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特許7468935携帯用RT-PCR装置およびこれを用いたRT-PCR測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】携帯用RT-PCR装置およびこれを用いたRT-PCR測定方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240409BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240409BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20240409BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20240409BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 B
C12N15/09 Z
C12Q1/686 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022565875
(86)(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 KR2021000946
(87)【国際公開番号】W WO2022139061
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0181069
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522420753
【氏名又は名称】ジーン2アス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ソン ホ
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0008476(KR,A)
【文献】藤原一彦,迅速・簡便・超高感度な新規SNPs検出法による薬剤応答性遺伝子診断システムの開発に関する研究 平成19年度 総括研究報告書,2008年03月,p. 1-18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
C12N 15/00
C12Q 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用リアルタイムPCR装置において、
設置空間が形成されるベース部と、
前記ベース部の前記設置空間に設けられる複数の下部加熱部と、
前記ベース部に設けられ、前記下部加熱部と異なる位置に配置され、測定光を提供するか、前記測定光を受光する下部光学測定部と、
前記下部加熱部および前記下部光学測定部にそれぞれ載置される複数のチャンバ部を含み、前記チャンバ部は、いずれか1つの前記下部加熱部から他の1つの前記下部加熱部または前記下部光学測定部に移動可能に設けられる、チャンバアセンブリと、を含み、
前記チャンバ部は、内部に検体ユニットが収容される検体ユニット収容空間が形成されるチャンバユニットを収容するためのチャンバ部本体を含み、
前記チャンバユニットは、前記検体ユニット収容空間が形成されるチャンバユニット本体と、前記チャンバユニット本体の前記検体ユニット収容空間を上方から遮蔽するキャップユニットとを含み、
前記下部加熱部は、板状に形成され、
前記チャンバ部の下面は、前記下部加熱部に完全に接触し、
前記チャンバ部の前記チャンバ部本体には、前記チャンバユニットが挿入されるためのチャンバユニット挿入空間が形成され、
前記チャンバユニット挿入空間の幅は、前記チャンバユニットの幅に対応する大きさに形成され、
前記検体ユニットは、幅に対する高さの比率であるアスペクト比が0より大きくて1より小さいことを特徴とする携帯用リアルタイムPCR装置。
【請求項2】
前記チャンバアセンブリは、前記チャンバ部を移動させるためのチャンバ移動部をさらに含み、
複数の前記チャンバ部は、前記ベース部に形成される回転中心を基準として予め設定された間隔で相互離隔して配置され、
前記チャンバ移動部は、複数の前記チャンバ部を同時に前記回転中心を基準として一方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載の携帯用リアルタイムPCR装置。
【請求項3】
前記チャンバ移動部は、一端が前記チャンバ部にそれぞれ連結される複数の連結ブラケットと、前記連結ブラケットの他端が連結され、前記回転中心に回転可能に設けられる回転シャフトとを含み、
保持時間に前記チャンバ移動部の回転が停止され、移動時間に前記チャンバ移動部の回転が行われ、
前記保持時間は、前記移動時間より大きく形成されることを特徴とする請求項2に記載の携帯用リアルタイムPCR装置。
【請求項4】
いずれか1つの前記下部加熱部および他の1つの前記下部加熱部または前記下部光学測定部の間には、前記チャンバ部の回転をガイドするための第1ガイドユニットが形成され、
前記第1ガイドユニットは、前記チャンバ部が回転してなす仮想の円の曲率半径に対応する曲率を有するように形成され、
前記チャンバ部の下部には、前記第1ガイドユニットと噛み合うガイド溝またはガイド突起が形成されることを特徴とする請求項3に記載の携帯用リアルタイムPCR装置。
【請求項5】
前記下部加熱部および前記下部光学測定部の上面には、前記第1ガイドユニットと連結され、前記第1ガイドユニットと同一の曲率半径を有し、前記チャンバ部の前記ガイド溝または前記ガイド突起と選択的に噛み合う第2ガイドユニットが形成されることを特徴とする請求項4に記載の携帯用リアルタイムPCR装置。
【請求項6】
前記下部加熱部は、第1温度で動作する第1下部加熱部と、第2温度で動作する第2下部加熱部と、第3温度で動作する第3下部加熱部とを含み、
前記第1下部加熱部は、前記回転中心を基準として前記第3下部加熱部と対称になり、前記第2下部加熱部は、前記回転中心を基準として下部光学測定部と対称になることを特
徴とする請求項2に記載の携帯用リアルタイムPCR装置。
【請求項7】
前記第1温度は、前記第3温度より高く形成され、前記第3温度は、前記第2温度より高く形成され、
前記第1下部加熱部、前記第2下部加熱部および前記第3下部加熱部は、それぞれの温度が設定された状態が保持されることを特徴とする請求項6に記載の携帯用リアルタイムPCR装置。
【請求項8】
前記ベース部の上方に配置され、前記設置空間をカバーするカバー部と、
前記下部加熱部および前記カバー部の間に配置され、前記チャンバ部の上面と選択的に接触する複数の上部加熱部と、
前記下部光学測定部と対向し、前記下部光学測定部から発散する前記測定光が受光されるか、前記下部光学測定部に向かって前記測定光を提供する上部光学測定部と、をさらに含む請求項6に記載の携帯用リアルタイムPCR装置。
【請求項9】
複数の前記上部加熱部および前記下部加熱部の間の距離が可変可能に形成され、
前記上部加熱部および前記下部加熱部の間に前記チャンバ部が配置されて保持時間に移動しない場合、前記上部加熱部および前記下部加熱部の間の距離は、前記チャンバ部の高さに対応し、
前記保持時間が超過して、前記チャンバ部が他の前記上部加熱部および前記下部加熱部側に移動する場合、前記上部加熱部および前記下部加熱部の間の距離は、前記チャンバ部の高さより大きく形成されることを特徴とする請求項8に記載の携帯用リアルタイムPCR装置。
【請求項10】
前記チャンバユニットの前記検体ユニット収容空間には測定溶液が収容され、前記検体ユニット収容空間のアスペクト比は、0より大きくて1より小さく形成され、
前記検体ユニット収容空間の容積は、20μl~100μlに形成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯用リアルタイムPCR装置。
【請求項11】
前記検体ユニットは、多孔性材質からなるメンブレン構造体で形成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯用リアルタイムPCR装置。
【請求項12】
請求項1に記載の携帯用リアルタイムPCR装置を用いたPCR測定方法において、
検体ユニットが収容されたチャンバユニットをチャンバ部に収容させる検体ユニット投入ステップと、
前記検体ユニットが投入された状態で、前記検体ユニットに対する加熱または測定動作を行う加熱および測定動作開始ステップと、
前記加熱および測定動作開始ステップの保持時間が予め設定された基準保持時間より大きい場合、前記チャンバ部を1ステップ移動させるチャンバアセンブリの1ステップ移動ステップと、
複数の前記チャンバ部に対する測定サイクルが予め設定された基準サイクルより大きく形成される場合、測定結果を知らせる測定結果通知ステップと、を含む携帯用リアルタイムPCR装置を用いたPCR測定方法。
【請求項13】
前記加熱および測定動作開始ステップの保持時間が予め設定された基準保持時間より大きい場合、前記チャンバアセンブリの1ステップ移動ステップを行う前に、前記下部加熱部と対向するように配置される上部加熱部および前記下部加熱部間の間隔を増加させる加熱部間の間隔増加ステップと、
前記チャンバアセンブリの1ステップ移動ステップが行われた後、前記上部加熱部および前記下部加熱部間の間隔を減少させる加熱部間の間隔減少ステップと、をさらに含み、前記加熱部間の間隔増加ステップにおいて、前記上部加熱部および前記下部加熱部間の間隔は、前記チャンバ部の高さより大きく形成され、
前記加熱部間の間隔減少ステップにおいて、前記上部加熱部および前記下部加熱部間の間隔は、前記チャンバ部の高さに対応することを特徴とする請求項12に記載の携帯用リアルタイムPCR装置を用いたPCR測定方法。
【請求項14】
前記測定サイクルの1単位は、前記チャンバ部が4ステップ移動したことを特徴とする請求項12に記載の携帯用リアルタイムPCR装置を用いたPCR測定方法。
【請求項15】
前記チャンバアセンブリの1ステップ移動ステップにおいて、
前記チャンバ部は、前記ベース部に形成される回転中心を基準として予め設定された角度だけ回転し、
前記下部加熱部は、第1温度で動作する第1下部加熱部と、第2温度で動作する第2下部加熱部と、第3温度で動作する第3下部加熱部とを含み、
前記下部加熱部と対向する上部加熱部は、前記第1下部加熱部と対向し、前記第1温度で動作する第1上部加熱部と、前記第2下部加熱部と対向し、前記第2温度で動作する第2上部加熱部と、前記第3下部加熱部と対向し、前記第3温度で動作する第3上部加熱部とを含み、
前記携帯用リアルタイムPCR装置は、複数の前記下部加熱部および前記上部加熱部が動作する温度が保持されるように制御することを特徴とする請求項12に記載のPCR測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子増幅(PCR)装置に関し、より詳しくは、携帯用リアルタイムPCR(RT-PCR)装置およびこれを用いたRT-PCR測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、DNA増幅技術は、生命科学、遺伝工学および医学分野などの研究開発および診断の目的で広範囲に活用されており、特に、重合酵素連鎖反応(Polymerase Chain Reaction:PCR)によるDNA増幅技術が広く活用されている。
【0003】
重合酵素連鎖反応(PCR)は、遺伝体にある特定のDNA配列を必要なだけ増幅をする時に使用される。
【0004】
重合酵素連鎖反応は、2個のプライマー(primer)の間に挟まれたDNA部分を試験管内で大量に増幅させることができる方法で、DNA合成酵素(DNA polymerase)がDNA合成にプライマーを必要とするが、このプライマーにおいて5’→3’方向にDNAが合成することを利用して、(1)DNAの一本鎖への変性→(2)プライマーの結合→(3)重合酵素による相補性DNAの合成→(1)変性→(2)プライマー結合・・・という回路を繰り返すことで、目的の遺伝子領域のみを試験管内で増殖させる。
【0005】
このために、PCRにおいて、第一に、DNAの変性(Denaturation)を行う。二本鎖のDNAは加熱することにより分離させることができる。分離されたそれぞれのDNAは、鋳型(Template)としての役割を果たす。
【0006】
その後、PCRにおいて結合(Annealing)ステップを行う。このステップでは、プライマー(Primer)が鋳型DNAに結合をする。結合(Annealing)温度は、反応の正確性を決定する重要な要素であるが、もし、温度を過度に高くすれば、プライマーが鋳型DNAに過度に弱く結合されて、増幅されたDNAの産物が非常に少なくなる。また、もし、温度を過度に低くすれば、プライマーが非特異的に結合するため、所望しないDNAが増幅されうる。
【0007】
その後、PCRにおいて伸長(Elongation)ステップが行われる。このステップにおいて、熱に強いDNA重合酵素が鋳型DNAから新しいDNAを作る。
【0008】
一方、リアルタイムPCRは(Real-time polymerase chain reaction、real-time PCR、RT-PCR)は、定量重合酵素連鎖反応(quantitative polymerase chain reaction、qPCR)ともいい、一般のPCRの場合、反応が完了した後、最終産物の量を知ることができるのに対し、リアルタイムPCRは、PCRが進行する間にDNA分子が増幅される過程を定量的に観察することができる。
【0009】
リアルタイムPCRを行うと、レポータープローブがDNAの中間に結合するが、依然として蛍光を示さない。PCRの増幅ステップにおいて、Taq DNA重合酵素がフォワードプライマーを延長するとレポータープローブと出会う。この時、Taq DNA重合酵素が持っている5’→3’分解酵素機能によってレポータープローブが分解されると、蛍光標識が蛍光抑制標識から分離されて蛍光を示すようになる。
【0010】
このような過程は、蛍光を測定する蛍光測定器内で進行するので、蛍光を測定すればPCRの進行程度を測定することができる。十分な量のレポータープローブが存在すれば、毎回作られる新しいDNAにレポータープローブが結合して、増幅周期が増加するほど蛍光も増加する。
【0011】
一方、既存のPCR装置の場合、各ステップごとに温度を上昇させてから下降させる方式を行って、所望の温度制御を行うことが容易でなく、これによって、重合連鎖反応が円滑に行われないという制限がある。
【0012】
また、検体を収容する検体収容容器が上下方向に長く延長形成されるチューブ形状に形成され、前記検体を前記チューブに収容させるためには別のピペット(Pipette)を用いなければならないことにより、外部の検査現場で直ちにPCR測定を行うことが難しい問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、温度制御が容易で、重合連鎖反応が円滑に行われることが可能な携帯用リアルタイムPCR装置およびこれを用いたPCR測定方法を提供しようとする。
【0014】
また、容易に使用可能な携帯用リアルタイムPCR装置およびこれを用いたPCR測定方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施例の一側面による携帯用リアルタイムPCR装置は、前記ベース部の前記設置空間に設けられる複数の下部加熱部と、前記ベース部に設けられ、前記下部加熱部と異なる位置に配置され、測定光を提供するか、前記測定光を受光する下部光学測定部と、前記下部加熱部および前記下部光学測定部にそれぞれ載置される複数のチャンバ部を含み、前記チャンバ部は、いずれか1つの前記下部加熱部から他の1つの前記下部加熱部または前記下部光学測定部に移動可能に設けられる、チャンバアセンブリと、を含み、前記チャンバ部は、内部に検体ユニットが収容される検体ユニット収容空間が形成されるチャンバユニットを収容するためのチャンバ部本体を含み、前記チャンバユニットは、前記検体ユニット収容空間が形成されるチャンバユニット本体と、前記チャンバユニット本体の前記収容空間を上方から遮蔽するキャップユニットとを含み、前記検体ユニットは、幅に対する高さの比率であるアスペクト比が0より大きくて1より小さく形成される。
【0016】
また、前記チャンバアセンブリは、前記チャンバ部を移動させるためのチャンバ移動部をさらに含み、複数の前記チャンバ部は、前記ベース部に形成される回転中心を基準として予め設定された間隔で相互離隔して配置され、前記チャンバ移動部は、複数の前記チャンバ部を同時に前記回転中心を基準として一方向に回転させることができる。
【0017】
また、前記チャンバ移動部は、一端が前記チャンバ部にそれぞれ連結される複数の連結ブラケットと、前記連結ブラケットの他端が連結され、前記回転中心に回転可能に設けられる回転シャフトとを含み、保持時間に前記チャンバ移動部の回転が停止され、移動時間に前記チャンバ移動部の回転が行われ、前記保持時間は、前記移動時間より大きく形成される。
【0018】
また、いずれか1つの前記下部加熱部および他の1つの前記下部加熱部または前記下部光学測定部の間には、前記チャンバ部の回転をガイドするための第1ガイドユニットが形成され、前記第1ガイドユニットは、前記チャンバ部が回転してなす仮想の円の曲率半径に対応する曲率を有するように形成され、前記チャンバ部の下部には、前記第1ガイドユニットと噛み合うガイド溝またはガイド突起が形成される。
【0019】
また、前記下部加熱部および前記下部光学測定部の上面には、前記第1ガイドユニットと連結され、前記第1ガイドユニットと同一の曲率半径を有し、前記チャンバ部の前記ガイド溝または前記ガイド突起と選択的に噛み合う第2ガイドユニットが形成される。
【0020】
また、前記下部加熱部は、第1温度で動作する第1下部加熱部と、第2温度で動作する第2下部加熱部と、第3温度で動作する第3下部加熱部とを含み、前記第1下部加熱部は、前記回転中心を基準として前記第3下部加熱部と対称になり、前記第2下部加熱部は、前記回転中心を基準として下部光学測定部と対称になる。
【0021】
また、前記第1温度は、前記第3温度より高く形成され、前記第3温度は、前記第2温度より高く形成され、前記第1下部加熱部、前記第2下部加熱部および前記第3下部加熱部は、それぞれの温度が設定された状態が保持できる。
【0022】
また、前記ベース部の上方に配置され、前記設置空間をカバーするカバー部と、前記下部加熱部および前記カバー部の間に配置され、前記チャンバ部の上面と選択的に接触する複数の上部加熱部と、前記下部光学測定部と対向し、前記下部光学測定部から発散する前記測定光が受光されるか、前記下部光学測定部に向かって前記測定光を提供する上部光学測定部と、をさらに含むことができる。
【0023】
また、複数の前記上部加熱部および前記下部加熱部の間の距離が可変可能に形成され、前記上部加熱部および前記下部加熱部の間に前記チャンバ部が配置されて保持時間に移動しない場合、前記上部加熱部および前記下部加熱部の間の距離は、前記チャンバ部の高さに対応し、前記保持時間が超過して、前記チャンバ部が他の前記上部加熱部および前記下部加熱部側に移動する場合、前記上部加熱部および前記下部加熱部の間の距離は、前記チャンバ部の高さより大きく形成される。
【0024】
また、前記下部加熱部は、板状に形成され、前記チャンバ部の下面は、前記下部加熱部に完全に接触し、前記チャンバ部の前記チャンバ部本体には、前記チャンバユニットが挿入されるためのチャンバユニット挿入空間が形成され、前記チャンバユニット挿入空間の幅は、前記チャンバユニットの幅に対応する大きさに形成される。
【0025】
また、前記チャンバユニットの前記検体ユニット収容空間には測定溶液が収容され、前記収容空間のアスペクト比は、0より大きくて1より小さく形成され、前記検体ユニット収容空間の容積は、20μl~100μlに形成される。
【0026】
また、前記検体ユニットは、多孔性材質からなるメンブレン構造体で形成される。
【0027】
本発明の実施例の他の側面による携帯用リアルタイムPCR装置を用いたPCR測定方法において、検体ユニットが収容されたチャンバユニットをチャンバ部に収容させる検体ユニット投入ステップと、前記検体ユニットが投入された状態で、前記検体ユニットに対する加熱または測定動作を行う加熱および測定動作開始ステップと、前記加熱および測定動作開始ステップの保持時間が予め設定された基準保持時間より大きい場合、前記チャンバ部を1ステップ移動させるチャンバアセンブリの1ステップ移動ステップと、複数の前記チャンバ部に対する測定サイクルが予め設定された基準サイクルより大きく形成される場合、測定結果を知らせる測定結果通知ステップと、を含む。
【0028】
また、前記加熱および測定動作開始ステップの保持時間が予め設定された基準保持時間より大きい場合、前記チャンバアセンブリの1ステップ移動ステップを行う前に、前記下部加熱部と対向するように配置される上部加熱部および前記下部加熱部間の間隔を増加させる加熱部間の間隔増加ステップと、前記チャンバアセンブリの1ステップ移動ステップが行われた後、前記上部加熱部および前記下部加熱部間の間隔を減少させる加熱部間の間隔減少ステップと、をさらに含み、前記加熱部間の間隔増加ステップにおいて、前記上部加熱部および前記下部加熱部間の間隔は、前記チャンバ部の高さより大きく形成され、前記加熱部間の間隔減少ステップにおいて、前記上部加熱部および前記下部加熱部間の間隔は、前記チャンバ部の高さに対応することができる。
【0029】
また、前記測定サイクルの1単位は、前記チャンバ部が4ステップ移動したものとして形成される。
【0030】
また、前記チャンバアセンブリの1ステップ移動ステップにおいて、前記チャンバ部は、前記ベース部に形成される回転中心を基準として予め設定された角度だけ回転し、前記下部加熱部は、第1温度で動作する第1下部加熱部と、第2温度で動作する第2下部加熱部と、第3温度で動作する第3下部加熱部とを含み、前記下部加熱部と対向する上部加熱部は、前記第1下部加熱部と対向し、前記第1温度で動作する第1上部加熱部と、前記第2下部加熱部と対向し、前記第2温度で動作する第2上部加熱部と、前記第3下部加熱部と対向し、前記第3温度で動作する第3上部加熱部とを含み、前記携帯用PCR装置は、複数の前記下部加熱部および前記上部加熱部が動作する温度が保持されるように制御することができる。
【発明の効果】
【0031】
提案される実施例によれば、急激な温度の上昇と下降の温度変化が行われず温度制御が容易で、重合連鎖反応が円滑に行われることが可能である。
【0032】
また、アスペクト比が1より小さいメンブレンタイプの検体ユニットを用いることにより、PCR装置の全体的な高さが減少し、より容易に前記検体ユニットをPCR装置に投入させることができるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施例による携帯用リアルタイムPCR装置を示す図である。
図2図1の携帯用リアルタイムPCR装置のチャンバ部が移動する過程を示す図である。
図3図1の携帯用リアルタイムPCR装置をIII方向から眺めた状態を示す図である。
図4図3の携帯用リアルタイムPCR装置の上部加熱部が上方にリフトされた状態を示す図である。
図5図1の携帯用リアルタイムPCR装置のチャンバユニットおよび検体ユニットを示す図である。
図6図1の携帯用リアルタイムPCR装置を用いたPCR測定方法を示す図である。
図7】本発明の他の実施例によるリアルタイムPCR装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は添付した図面とともに詳細に後述する実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現され、単に本実施例は本発明の開示が完全となるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。
【0035】
たとえ、第1、第2などが多様な構成要素を記述するために使われるが、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されないことはもちろんである。これらの用語は単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために使うものである。したがって、以下に言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよいことはもちろんである。
【0036】
明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指し示す。
【0037】
本発明の様々な実施例のそれぞれの特徴が部分的にまたは全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、当業者が十分に理解できるように技術的に多様な連動および駆動が可能であり、各実施例を互いに対して独立して実施することもでき、関連づけられた関係からともに実施することもできる。
【0038】
一方、本発明の明細書において具体的に言及されていない本発明の技術的特徴によって期待できる暫定的な効果は、本明細書に記載された通りに取り扱われ、本実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されたことから、図面に示された内容は、実際の発明の実現態様に比べて誇張して表現され、本発明の要旨を不必要にあいまいにしうると判断される構成の詳細な説明は省略するか、簡略に記載する。
【0039】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例を詳しく説明する。
【0040】
図1は、本発明の実施例による携帯用リアルタイムPCR装置を示す図であり、図2は、図1の携帯用リアルタイムPCR装置のチャンバ部が移動する過程を示す図である。そして、図3は、図1の携帯用リアルタイムPCR装置をIII方向から眺めた状態を示す図であり、図4は、図3の携帯用リアルタイムPCR装置の上部加熱部が上方にリフトされた状態を示す図である。そして、図5は、図1の携帯用リアルタイムPCR装置のチャンバユニットおよび検体ユニットを示す図である。
【0041】
図1図5を参照すれば、本発明の実施例による携帯用リアルタイムPCR装置1は、作動温度が固定された複数の加熱部に検体ユニットが収容されたチャンバ部が移動して加熱されることにより、加熱部の作動温度がより円滑に保持できる。例として、チャンバ部は、携帯用リアルタイムPCR装置1内に形成される回転中心を中心に回転可能に配置される。
【0042】
また、前記検体ユニットが平らなメンブレン形状(例として、円盤のメンブレン形状)に形成され、注射器方式のポータブル核酸抽出キットで抽出したDNAあるいはRNAが存在する前記検体ユニットを、単純にPCR溶液が収容されたチャンバユニットに投入させることにより、容易に前記検体ユニットをPCR装置に投入できる構成を提供する。
【0043】
したがって、本発明の実施例によるリアルタイムPCR装置1は、実験室の環境だけでなく、緊急なウイルス測定が必要な外部環境でもPCR測定を安定的かつ円滑に行われるようにする。
【0044】
本発明の実施例による携帯用PCR装置1は、ベース部100と、下部加熱部310、320、330と、下部光学測定部500と、カバー部600と、上部加熱部410、420と、チャンバアセンブリ200とを含む。
【0045】
ベース部100は、設置空間が形成され、携帯用PCR装置1の下部外形を形成する。この時、ベース部100は、底面に対して支持可能である。
【0046】
下部加熱部310、320、330は、ベース部100の前記設置空間に設けられ、下部加熱部310、320、330は、第1温度(T)で動作する第1下部加熱部310と、第2温度(T)で動作する第2下部加熱部320と、第3温度(T)で動作する第3下部加熱部330とを含む。
【0047】
第1下部加熱部310は、チャンバアセンブリ200が回転する回転中心を基準として第3下部加熱部320と対称になり、第2下部加熱部320は、前記回転中心を基準として下部光学測定部500と対称になるように配置される。この時、第1下部加熱部310、第2下部加熱部320、第3下部加熱部330および下部光学測定部500は、前記回転中心を基準として互いに予め設定された間隔で離隔して配置される。
【0048】
第1温度(T)は、第3温度(T)より高く形成され、第3温度(T)は、第2温度(T)より高く形成される。そして、第1下部加熱部310、第2下部加熱部320および第3下部加熱部330は、それぞれの温度が設定された状態が保持される。すなわち、PCR測定過程中、第1下部加熱部310、第2下部加熱部320および第3下部加熱部330の温度は可変しない。
【0049】
この時、第1温度(T)は、例として約97℃に形成され、第2温度(T)は、例として約60℃に形成されてもよい。最後に、第3温度(T)は、約72℃に形成されてもよい。
【0050】
一方、下部光学測定部500は、ベース部100に設けられ、下部加熱部310、320、330と異なる位置に配置され、測定光を提供するか、前記測定光を受光する。下部光学測定部500は、測定対象領域510に位置する検体ユニット250に測定光を照射して、検体ユニット250の蛍光(fluorescence)を測定することができる。この時、測定対象領域510は、複数個形成されてもよいし、下部光学測定部500は、前記測定光を発散するための発光装置であるか、前記測定光を受光するための光学センサ装置であってもよい。この時、前記発光装置は、UV LEDのように予め設定された波長帯域の光を発散可能な装置であり、前記光学センサ装置は、CISまたはCCDなどのように光を受光してイメージを生成する装置であってもよい。
【0051】
一方、検査対象試料を含有しているいずれか1つの検体ユニット250は、第1下部加熱部310、第2下部加熱部320、第3下部加熱部330および下部光学測定部500の順に移動し、下部光学測定部500で検体ユニット250の測定ステップが終了すれば、検体ユニット250に対する1つの測定サイクルが終了したものとして設定される。
【0052】
第1温度(T)で作動する第1下部加熱部310によって検体ユニット250が加熱される場合、DNAの変性(Denaturation)ステップが行われ、第2温度(T)で作動する第2下部加熱部320によって前記検体ユニットが加熱される場合、DNAの結合(Annealing)ステップが行われる。第3温度(T)で作動する第3下部加熱部330によって検体ユニット250が加熱される場合、DNAの伸長(Elongation)ステップが行われる。
【0053】
検体ユニット250が第3下部加熱部330によって保持時間(T)に加熱された後、検体ユニット250は、下部光学測定部500側に移動して、検体ユニット250に対するPCR測定が行われる。
【0054】
一方、チャンバアセンブリ200は、下部加熱部310、320、330および下部光学測定部500にそれぞれ載置される複数のチャンバ部210と、チャンバ部210を移動させるためのチャンバ移動部220とを含む。
【0055】
チャンバ部210は、いずれか1つの下部加熱部310、320、330から他の1つの下部加熱部310、320、330または下部光学測定部500に移動可能に設けられ、複数のチャンバ部210は、ベース部100に形成される回転中心を基準として予め設定された間隔で相互離隔して配置される。そして、チャンバ移動部220は、複数のチャンバ部210を同時に前記回転中心を基準として一方向に回転させる。本実施例において、チャンバ移動部220は、チャンバ部210を例として時計方向に回転させることができ、第1下部加熱部310、第2下部加熱部320、第3下部加熱部330および下部光学測定部500は、時計方向に順に配置される。
【0056】
チャンバ部210は、内部に検体ユニット250が収容される検体ユニット収容空間が形成されるチャンバユニット230を収容するためのチャンバ部本体211を含む。この時、チャンバ部本体211は、上下の高さより幅が大きい板状形状に形成されてもよいし、チャンバ部本体211には、チャンバユニット230が挿入されるためのチャンバユニット挿入空間215が形成される。そして、チャンバユニット挿入空間215の幅は、チャンバユニット230の幅に対応する大きさに形成される。チャンバ部210のチャンバユニット挿入空間215にチャンバユニット230が挿入された状態で、チャンバユニット230の下面と側面は、完全にチャンバユニット挿入空間215の内側壁に密着する。チャンバ部210は、チャンバユニット230側に熱を円滑に伝達するために、金属などのように熱伝達係数が高い材質からなる。
【0057】
チャンバユニット230は、検体ユニット収容空間232が形成されるチャンバユニット本体211と、チャンバユニット本体211の検体ユニット収容空間232を上方から遮蔽するキャップユニット233とを含む。
【0058】
この時、検体ユニット250は、幅に対する高さの比率であるアスペクト比が0より大きくて1より小さく形成される。例として、検体ユニット250は、円盤形状に形成され、多孔性材質からなるメンブレン構造体で形成されるメンブレンディスク形状に形成される。
【0059】
一方、チャンバユニット230の検体ユニット収容空間231には、PCR溶液である測定溶液が収容され、収容空間231のアスペクト比は0より大きくて1より小さく形成される。すなわち、検体ユニット収容空間231は、上下方向の高さより幅がさらに大きく形成される。そして、検体ユニット収容空間231の容積は、20μl~100μlに形成される。例として、本実施例において、検体ユニット収容空間231には約50μlの前記測定溶液が収容され、前記測定溶液に検体ユニット250が含浸された状態で配置される。
【0060】
チャンバ移動部220は、一端がチャンバ部210にそれぞれ連結される複数の連結ブラケット222と、連結ブラケット222の他端が連結され、前記回転中心に回転可能に設けられる回転シャフト221とを含む。
【0061】
チャンバ部210がそれぞれ下部加熱部310、320、330が載置される保持時間(T)にチャンバ移動部220の回転が停止され、保持時間(T)が終了した後、他の保持時間(T)までの移動時間(T)にチャンバ移動部220の回転が行われる。この時、保持時間(T)は、移動時間(T)より大きく形成される。
【0062】
図3および図4には、本発明の実施例によるPCR装置1のカバー部600がベース部100の前記設置空間を覆った状態で、PCR装置1の内部構成が側面方向で示される。
【0063】
より詳しくは、カバー部600は、ベース部100の上方に配置され、ベース部100の前記設置空間を上方からカバーし、PCR装置1の上部側外形を形成する。
【0064】
上部加熱部410、420は、下部加熱部310、320、330およびカバー部600の間に配置される。この時、チャンバ部210の上面と選択的に接触する。上部加熱部410、420は、下部加熱部310、320、330に対応する形状に形成され、第1下部加熱部310、第2下部加熱部320、第3下部加熱部330にそれぞれ対応する第1上部加熱部410、第2上部加熱部420および第3上部加熱部(図示せず)を含む。上部加熱部410、420は、それぞれ対応する下部加熱部310、320、330と同一の温度に加熱されて動作し、下部加熱部310、320、330および上部加熱部410、420の間にチャンバ部210が密着して配置されることによって、より安定してチャンバユニット230に対する加熱が行われる。
【0065】
一方、本実施例によるPCR装置1の複数の上部加熱部410、420および下部加熱部310、320、330の間の距離が可変可能に形成される。すなわち、チャンバ部210が各ステップごとに加熱された状態が完了すれば、他の加熱部410、420、310、320、330側に移動するが、加熱部410、420、310、320、330間の移動が円滑に行われるように、上部加熱部410、420および下部加熱部310、320、330の間の距離が可変する。
【0066】
より詳しくは、上部加熱部410、420および下部加熱部310、320、330の間にチャンバ部210が配置されて保持時間に移動しない場合、上部加熱部410、420および下部加熱部310、320、330の間の距離は、チャンバ部210の高さに対応する。すなわち、上部加熱部410、420および下部加熱部310、320、330の間にチャンバ部210が密着して、チャンバユニット230に対する安定した熱供給が行われる。
【0067】
一方、前記保持時間が超過して、チャンバ部210が他の上部加熱部410、420および下部加熱部310、320、330側に移動する場合、上部加熱部410、420および下部加熱部310、320、330の間の距離は、チャンバ部210の高さより大きく形成される。すなわち、チャンバ部210が上部加熱部410、420および下部加熱部310、320、330の間に密着した状態が解除されて、チャンバ部210がより円滑に移動可能にする。
【0068】
本実施例では、上部加熱部410、420を上下方向に移動可能に配置される上部加熱部移動ユニット450に連結されて、同時に上下方向に移動可能に形成される。一方、下部加熱部310、320、330が上下方向に移動して、上部加熱部410、420および下部加熱部310、320、330の間の距離が可変する構成も、本発明の実施例に含まれる。
【0069】
一方、前記上部光学測定部は、下部光学測定部500と対向し、下部光学測定部500から発散する前記測定光が受光されるか、前記下部光学測定部に向かって前記測定光を提供する。すなわち、前記上部光学測定部および下部光学測定部500は、相互対応する一対で用意されて、光を発散および受光しながら、前記上部光学測定部および下部光学測定部500に配置されるチャンバユニット230に収容される検体ユニット250に対する蛍光測定を行う。
【0070】
本実施例において、上部加熱部410、420および前記上部光学測定部は、カバー部600に設けられる構成として用意される。
【0071】
以下、本発明の実施例による携帯用リアルタイムPCR装置を用いたPCR測定方法をより詳しく説明する。
【0072】
図6は、図1の携帯用リアルタイムPCR装置を用いたPCR測定方法を示す図である。
【0073】
図6を参照すれば、本発明の実施例によるPCR測定方法において、まず、検体ユニット250が収容されたチャンバユニット230をチャンバ部210に収容させる検体ユニット投入ステップS110が行われる。
【0074】
その後、検体ユニット250が投入された状態で、検体ユニット250に対する加熱または測定動作を行う加熱および測定動作開始ステップS120が行われる。
【0075】
この時、複数の下部加熱部310、320、330および上部加熱部410、420が動作する温度が保持されるように制御される。この時、第1下部加熱部310および第1上部加熱部410は、第1温度(T)で動作し、第2下部加熱部320および第2上部加熱部420は、第2温度(T)で動作し、第3下部加熱部330および前記第3上部加熱部は、第3温度(T)で動作する。そして、前記上部光学測定部および下部光学測定部500の間に配置されるチャンバ部210に対しては蛍光測定動作が行われる。
【0076】
その後、加熱および測定動作開始ステップS120の保持時間(T)が予め設定された基準保持時間(Tm,r)より大きいか同一の場合(S130)、上部加熱部410、420および下部加熱部310、320、330間の間隔を増加させる加熱部間の間隔増加ステップS140が行われる。
【0077】
加熱部間の間隔増加ステップS140において、上部加熱部410、420および下部加熱部310、320間の間隔は、チャンバ部210の高さより大きく形成される。一方、本実施例では、上部加熱部410、420がリフトされて、上部加熱部410、420および下部加熱部310、320間の間隔が増加するようにできる。
【0078】
その後、チャンバ部210を1ステップ移動させるチャンバアセンブリの1ステップ移動ステップS150が行われる。チャンバアセンブリの1ステップ移動ステップS150において、チャンバ部210は、ベース部100に形成される回転中心を基準として予め設定された角度だけ回転し、本実施例では、約90゜だけ時計方向に回転する。
【0079】
チャンバアセンブリの1ステップ移動ステップS150が行われた後、上部加熱部410、420および下部加熱部310、320、330間の間隔を減少させる加熱部間の間隔減少ステップS160が行われる。加熱部間の間隔減少ステップS160において、上部加熱部410、420および下部加熱部310、320間の間隔は、チャンバ部210の高さに対応する。本実施例では、上部加熱部410、420が下降できる。
【0080】
その後、複数のチャンバ部210に対する測定サイクルが予め設定された基準サイクルより大きいか同一に形成される場合(S170)、測定結果を知らせる測定結果通知ステップS180が行われる。この時、前記測定サイクルの1単位は、前記チャンバ部が4ステップ移動したことを基準として設定される。
【0081】
一方、加熱および測定動作開始ステップS120の保持時間が予め設定された基準保持時間より小さい場合(S130)、加熱および測定動作開始ステップS120が行われる。
【0082】
また、複数のチャンバ部210に対する測定サイクルが予め設定された基準サイクルより小さく形成される場合(S170)、再度加熱および測定動作開始ステップS120が行われる。
【0083】
提案される実施例によれば、温度制御が容易で、重合連鎖反応が円滑に行われる。また、アスペクト比が1より小さいメンブレンタイプの検体ユニットを用いることにより、PCR装置の全体的な高さが減少し、より容易に前記検体ユニットをPCR装置に投入させることができるというメリットがある。
【0084】
本実施例では、チャンバ部210が、回転シャフト221と直接連結され、線状に形成される連結ブラケット222と連結される構成であると説明されているが、チャンバ部210の間を相互連結させるチャンバ連結ブラケットと、前記チャンバ連結ブラケットを前記回転シャフト221と連結させる連結部材とによって、チャンバ部210が回転可能に配置される構成も、本発明の実施例に含まれる。
【0085】
また、回転シャフト221の一端は、ベース部100に回転可能に連結され、他端は、カバー部600に脱着可能で回転可能に連結されて、回転シャフト221の回転がより安定して行われる構成も、本発明の実施例に含まれる。
【0086】
図7は、本発明の他の実施例によるリアルタイムPCR装置を示す図である。
【0087】
本実施例は、チャンバ部の動きをガイドするためのガイドユニットが配置される構成において差があるだけで、他の構成においては図1図6で示された携帯用リアルタイムPCR装置の構成と実質的に同一であるので、以下では、本実施例の特徴的な部分を中心に説明する。
【0088】
図7を参照すれば、発明の実施例によるPCR装置1は、チャンバ部210の回転の動きをガイドするためのガイド部700をさらに含む。
【0089】
より詳しくは、ガイド部700は、いずれか1つの下部加熱部310、320、330および他の1つの下部加熱部310、320、330または下部光学測定部500の間に配置され、チャンバ部210の回転をガイドするための第1ガイドユニット710と、下部加熱部310、320、330および下部光学測定部500の上面に形成される第2ガイドユニット720とを含む。
【0090】
第1ガイドユニット710は、チャンバ部210が回転してなす仮想の円の曲率半径に対応する曲率を有するように形成される。そして、チャンバ部210の下部には、第1ガイドユニット710と噛み合うガイド溝またはガイド突起が形成される。第1ガイドユニット710は、チャンバ部210の前記ガイド溝または前記ガイド突起に対応する突起または溝の形状に形成される。
【0091】
一方、第2ガイドユニット720は、第1ガイドユニット710と連結され、第1ガイドユニット710と同一の曲率半径を有し、チャンバ部210の前記ガイド溝または前記ガイド突起と選択的に噛み合う形状に形成される。
【0092】
提案される実施例によれば、ガイド部700によってチャンバ部210の回転がガイドされることによって、より安定したチャンバ部210の回転が行われるというメリットがある。
【0093】
上記では、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【実施例
【0094】
実施例は、上記の発明を実施するための形態で併せて記述された。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明による携帯用RT-PCR装置およびこれを用いたRT-PCR測定方法に関し、携帯用RT-PCR装置などにおける反復可能性および産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7