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特許7468940ラリンジアルマスクエアウェイ挿管ガイドおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ラリンジアルマスクエアウェイ挿管ガイドおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/04 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2022580474
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 AU2020050640
(87)【国際公開番号】W WO2020257852
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】522500365
【氏名又は名称】エアウェイ メディカル イノベーションズ ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Airway Medical Innovations Pty Ltd
【住所又は居所原語表記】Level 2, The Precinct, TCB Building, 315 Brunswick Street, Fortitude Valley, Queensland 4006, Australia
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】アロンソ ババッロ フリオ ミゲル
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/000031(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0113427(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管内挿管手順および対象者の換気用のラリンジアルマスクエアウェイ(LMA)挿管ガイドであって、
a)近位開口と遠位開口との間に延びて、挿管装置のブレード部を受け入れるように構成された通路を画定する細長い本体と、
b)前記遠位開口にあり、対象者の喉頭を覆うラリンジアルマスクと、
c)少なくとも部分的に前記本体に沿って延びた換気エアウェイとを含んでおり、
前記換気エアウェイは、
i)人工呼吸器に接続する、前記換気エアウェイの近位端にある換気ポートと、
ii)前記換気エアウェイと前記通路との間の流体連通を前記ラリンジアルマスクに近接した位置で可能にする前記換気エアウェイの遠位端にある換気アパーチャとを含んでおり、
前記LMA挿管ガイドは、対象者の口に挿入することで、前記近位開口が対象者の口に近接して配置され、前記ラリンジアルマスクが対象者の喉頭に近接して配置されるように構成されており、それによって、前記換気エアウェイを使用して対象者を換気しながら、前記通路を介して気管内チューブを使用した対象者の挿管を可能にして、前記挿管装置の前記ブレード部が前記LMA挿管ガイドの前記通路に挿入されることが可能となる、LMA挿管ガイド。
【請求項2】
前記ラリンジアルマスクが、対象者の喉頭の周りにシールを形成するマスクカフを含んでいる、請求項1に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項3】
前記マスクカフが膨張可能である、請求項2に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項4】
前記換気アパーチャが、前記ラリンジアルマスクに近接して前記通路内に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項5】
前記換気アパーチャが、換気ガスの流れを対象者の喉頭に向けるように構成されている、請求項4に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項6】
前記換気エアウェイが前記通路からずれて配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項7】
前記換気エアウェイは、前記ラリンジアルマスクが対象者の喉頭を覆うとき、対象者の矢状面と整列する前記LMA挿管ガイドの中心面に対して横方向にずれて配置される、請求項6に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項8】
前記換気エアウェイが、前記本体に沿って延びたエアウェイ本体部を含んでいる、請求項1~7のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項9】
少なくとも前記エアウェイ本体部が前記本体と一体的に形成されている、請求項1に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項10】
前記換気エアウェイは、前記近位開口から離れる方向に延びたエアウェイ導管部を含んでいる、請求項8または請求項9に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項11】
前記ブレード部が前記通路を介して挿入されていないとき、前記近位開口を覆うクロージャーを含んでいる、請求項1~10のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項12】
前記近位開口を覆うシールを含んでおり、前記シールが、通常時には前記近位開口をシールする閉位置にあり、前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路を介して挿入されるときには、開位置に移動可能である、請求項1~11のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項13】
前記シールは、前記ブレード部が前記シールに対して付勢されることに応答して変形し、それによって前記ブレード部を受け入れる開口を画定するように構成された少なくとも1つの弾性膜を含んでいる、請求項12に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項14】
前記シールが前記近位開口の周囲に支持される弾性膜を含んでおり、前記弾性膜が、前記閉位置で実質的に閉じられ、前記開位置で前記開口を画定するように伸びるアパーチャを含んでいる、請求項13に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項15】
前記アパーチャがスリットである、請求項14に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項16】
前記シールが、前記近位開口の周囲に支持された2つ以上の弾性膜を含み、各弾性膜の前記アパーチャが、形状、位置および配向の少なくとも1つにおいて他の弾性膜の前記アパーチャとは異なっている、請求項14または15に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項17】
前記シールは、それぞれが前記近位開口の周囲の一部分の周りに支持され、それぞれが支持されていないエッジを含んだ2つ以上の弾性膜を含んでおり、前記支持されていないエッジ同士は、前記閉位置では少なくとも部分的に重なり、前記開位置では分離して前記開口を画定する、請求項13に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項18】
前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路から取り外されたとき、前記シールが前記閉位置に向かって戻るように、前記シールが前記閉位置に向かって付勢されている、請求項12~17のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項19】
前記シールが、使用中に、前記挿管装置の前記ブレード部および前記気管内チューブの少なくとも1つを取り囲んだ部分的なシールを形成するように構成されている、請求項18に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項20】
前記LMA挿管ガイドが、前記挿管装置の前記ブレード部が前記LMA挿管ガイドの前記通路に挿入されていないとき、前記近位開口を閉じる取り外し可能なキャップを含んでいる、請求項1~19のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項21】
前記キャップが前記近位開口を覆うシールを含んでおり、前記シールは、通常時には前記近位開口を密封するために閉位置にあり、前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路を介して挿入されるとき、開位置に移動可能である、請求項20に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項22】
前記LMA挿管ガイドが前記近位開口を取り囲んだフランジを含んでいる、請求項1~21のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項23】
前記フランジが対象者の口に当接することで前記LMA挿管ガイドの過剰挿入を防止し、それによって、前記近位開口が口の外側に位置したままになるよう構成されている、請求項22に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項24】
前記通路および前記ラリンジアルマスクに沿って破断されるように構成されている、請求項1~23のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項25】
前記LMA挿管ガイドの前記本体が前記通路および前記ラリンジアルマスクの側面に沿って長手方向に延びている破断線を含んでおり、それによって、前記LMA挿管ガイドが前記破断線に沿って破断される、請求項24に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項26】
前記破断線が前記LMA挿管ガイドの中心面に沿って形成されている、請求項25に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項27】
可撓性材料から形成されている、請求項1~26のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項28】
前記LMA挿管ガイドが、前記ブレード部を受け入れるときに拡張するように構成されている、請求項27に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項29】
前記LMA挿管ガイドが湾曲している、請求項1~28のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項30】
前記LMA挿管ガイドが胃管導管を含んでおり、前記胃管導管を介して対象者の食道内に胃管を前進させることを可能にする、請求項1~29のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項31】
前記胃管導管が、前記本体に沿って延びており、前記胃管導管の近位端にある胃管導管ポートと、前記胃管導管の遠位端にある胃管アパーチャとを含んでおり、前記胃管アパーチャから食道内に前記胃管を前進させることを可能にする、請求項30に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項32】
前記胃管アパーチャが前記ラリンジアルマスクおよび前記通路の外側に配置されている、請求項31に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項33】
前記胃管アパーチャが使用時に対象者の食道に面するように構成されている、請求項32に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項34】
前記胃管導管が前記通路からずれて配置されている、請求項3033のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項35】
前記換気エアウェイおよび前記胃管導管が、前記通路の対向側面で前記通路からずれて配置されている、請求項34に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項36】
対象者に挿管が実施されることとは独立して、前記胃管が挿入可能に構成されている、請求項3035のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項37】
前記LMA挿管ガイドが、使用時に、
a)対象者の舌を保持することと、および、
b)舌を押し下げること、の少なくともいずれか一方を行うように構成されている、請求項1~36のいずれか一項に記載のLMA挿管ガイド。
【請求項38】
対象者に挿管が行われることとは独立して、対象者の換気を可能にするように構成されている、請求項1~37のいずれか1項に記載のLMA挿管ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気管内挿管手順で使用するラリンジアルマスクエアウェイ挿管ガイドおよび方法に関するものであり、手順全体を通してラリンジアルマスクエアウェイを使用して対象者の換気を可能にするように、特に適合されている。
【背景技術】
【0002】
気管内挿管は、医療専門家が、可撓性を有するプラスチック製の導管、気管内チューブを、一般的には口を通じて気管に導入する手順である。これにより、緊急時に呼吸能力が病気または怪我によって損なわれたり、手術中に薬剤性の衰弱によって妨げられたりした場合に必要とされる人工呼吸が可能になる。これは普遍的な手順であり、世界中で同じ方法で実施される。
【0003】
毎日、多様な専門家、特に麻酔専門医、集中治療専門医、救急医、病院の前段階の医療従事者および医療補助者によって、何千もの挿管が行われている。しかし、気管内挿管はリスクの高い手順であり、死亡または障害につながる可能性があるため、かなりのスキルが必要であり、場合によっては達成できないことがある。高度な訓練を受けた専門家でさえ、それはしばしば困難であり、時には失敗する。この困難な手順を容易にし、より良い成功率を確保することを目的として、新しい専門機器および高度な技術が絶えず開発されている。
【0004】
オペレーターの目的は、口、咽頭および喉頭を通じて気管に気管内チューブを通すことである。中咽頭の通路は湾曲して狭く、喉頭および食道の両方の入口で終わっている。患者が仰臥位にあるとき、舌は咽頭に戻る傾向があり、喉頭の入口は患者の特定の解剖学的構造によってその位置で変化する可能性があり、喉頭蓋は喉頭の入口の上にあり、通常は声門開口部を露出させるために移動させる必要がある。
【0005】
オペレーターは、喉頭の入口の声帯、患者の仰臥位での横方向の視界における喉頭の入口の上の喉頭蓋、およびこの視界のすべての先の構造の下にある食道を識別する必要がある。この手順には、並外れたスキルが必要である。気管内チューブは食道に向かう経路をたどりやすく、喉頭の良好な視界を得るのは困難な場合が多く、良好な視界でも気管内チューブの導入が困難な場合がある。手順を正常に完了するのが遅れると、深刻な合併症となり、致命的となる可能性がある。
【0006】
これらすべての解剖学的構造を通じて気管内に気管内チューブを挿入することは気管内挿管と呼ばれ、通常、ハンドルおよびブレードを備えた喉頭鏡と呼ばれる器具の使用を必要とする。患者の年齢やサイズ、様々な手順のオプションなど、様々な要因に応じて、異なる形状のブレードが使用されてもよい。喉頭鏡のブレードは一般に湾曲または直線に分類されるが、湾曲したブレードと直線のブレードの多くのスタイルが市販されている。一部のスタイルのブレードは喉頭蓋の前方に配置されるように設計されており、他のスタイルは喉頭蓋の後方に配置されるように設計されているため、手順中にわずかに異なる動きが生じる。
【0007】
気管内挿管中、一般的に患者を仰向けに寝かせた状態で、オペレーターは患者の頭頂部に立って、喉頭鏡のブレードを口を通じて咽頭に導入し、喉頭の入口を露出させるために、舌や喉頭蓋などの解剖学的構造を扱う(特定の患者およびブレードのタイプに応じて)。次に、直接視覚化して、オペレーターは気管内チューブの先端を喉頭に挿入し、気管内に前進させる。従来の普遍的な手順では、オペレーターは通常、左手を使用して喉頭鏡をハンドルで保持してブレードを配置し、右手を使用して気管内チューブを慎重に導入し、喉頭鏡ブレードに沿って視覚化された気管に押し込む。
【0008】
多くの場合、解剖学的な差異および課題によって、また、適切な技術にもかかわらず、直接の視覚化は困難である。これらのほとんどの場合、解剖学的構造の一部を扱うことで、適切な視覚化を得ることができる。残念ながら、従来の喉頭鏡および従来の手順では、オペレーターは両手を利用しており、手動で気管内チューブを導入するために使用されている手は、手順を容易にするために解剖学的構造を扱うことには使用できない。さらに、2番目のオペレーターは喉頭の入口へ直接視覚的にアクセスしてこれらの組織を扱うことができず、また、最初のオペレーターの視界に干渉する。最初のオペレーターが視界を得る開口は非常に制限されており、挿管手順を行うオペレーターは通常最適な表示位置にいる。ビデオ喉頭鏡は、直視の必要性をなくすために利用できるが、これらは通常、従来の喉頭鏡よりもかさばり、依然としてオペレーターの両手を占有する。
【0009】
手順自体の難易度が高く、潜在的な合併症の深刻さもあるため、この手順は高度なスキルを持つ専門家によってのみ実施される。この難しさと深刻な合併症のリスクはまた、手順とそれを実施するために使用される器具が、何十年もの間本質的に変わっていないことを表している。気管内挿管を行う医師およびその他の専門家は、難しさとリスクを考えると、新しい装置を使用したり、これまでの方法を変更したりすることを望んでいない。したがって、新しい挿管装置は、従来の喉頭鏡と比較して明らかな手順上の利点を提供するだけでなく、形状、重量、およびその使用方法において同様の特性を示し、すでに訓練を受けて従来の喉頭鏡に慣れているオペレーターによって、挿管手順実施の際のしばしばストレスを感じる状況で容易に採用できるようでなければならない。
【0010】
WO/2016/090435A1は、片手で気管内挿管手順を行うことを可能にする新しい挿管装置を開示している。特に、挿管装置は、先端および基部を有する喉頭鏡ブレードと、挿管装置をユーザーの手で保持できるようにブレードの基部に取り付けられたハンドルと、気管内チューブを受け入れるためのチャネルであって、実質的に先端から基部までブレードに沿って延びているブレードチャネル部を含んでおり、気管内チューブの遠位端を出口から前進させるために先端に近接する出口を含んだチャネルと、ブレードチャネル部からハンドルに沿って部分的に延びたハンドルチャネル部と、気管内チューブを、チャネルを通じて動かして気管内チューブを前進させるためのハンドル内のチューブ移動機構であって、ユーザーが挿管装置を保持している手の親指を使用してチューブ移動機構を操作可能にする親指インターフェースを含んでおり、それによって、ユーザーが気管内挿管手順において挿管装置を保持して気管内チューブを前進させることを片手を使って可能にするチューブ移動機構とを含んでいる。WO/2016/090435A1の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
ハンドルを介してブレードを配置し、気管内チューブを前進させるための挿管装置の片手操作を可能にすることにより、必要に応じて気管内挿管手順中に、ユーザーのもう一方の手は、吸引装置などの別の装置、または解剖学的構造および/または気管内チューブを操作するための鉗子などの他の装置を使用して気道を確保するなど、他の用途のために自由に使える状態となる。
【0012】
このような片手挿管装置は、気管内挿管手順の困難さと深刻な合併症のリスクを大幅に軽減するのに役立つが、残りの問題は、手順中に患者に人工呼吸を提供できない期間があることである。通常、患者は、十分に高い血中酸素飽和レベルが達成されるまで、手順の前にマスクで換気される。通常、これには、100%の血中酸素飽和度に到達するための事前酸素化、および場合により対象者の鎮静または麻痺を含んでいてもよい。所望の血中酸素飽和レベルが達成されたら、換気を中止し、マスクを取り外して患者の口を露出させ、気管内挿管手順を実施できるようにする。手順中、患者は換気されないため、気管内チューブを介して換気が再開されるように、気管内挿管をできるだけ早く完了することが重要である。挿管手順中に合併症が発生した場合、換気を長時間中断することに伴う重大なリスクが生じる可能性がある。このリスクは、挿管手順前に患者が重症または負傷している場合に悪化する可能性があり、換気がさらに重要になる。したがって、換気を中断することなく気管内挿管手順を実施可能にする方法および装置を提供することが望ましい。
【0013】
米国特許第5964217A号は、気管内チューブの誘導挿入中の換気/酸素化の方法および装置を開示している。気管内チューブは、蘇生中にフェイスマスクと湾曲したガイドを使用して患者の気管に挿入可能である。ガイドは、フェイスマスクの可撓性を有するポートを通じて挿入され、患者の口と下咽頭に伸びる湾曲した遠位部分を備えている。患者は、最初にマスクを通じて空気/酸素の流れを供給することによって蘇生が行われる。気管内チューブは光ファイバープローブの遠位端の上に挿入される。光ファイバープローブと気管内チューブが、カーブしたガイドの近位端にある可撓性を有するポートから挿入され、ガイドに沿って患者の気道に挿入される間、蘇生、酸素化または人工換気が中断することなく継続する。光ファイバープローブの遠位先端の方向は医師がコントロールできる。これにより、医師は、蘇生を続けながら、光ファイバープローブと気管内チューブを喉頭を通過する位置まで注意深く誘導することができる。次に、気管内チューブ内から光ファイバープローブが取り外され、気管内チューブを気管内に残したままマスクが取り外される。気管内チューブのカフを膨らませ、人工呼吸器が気管内チューブの近位端に接続されて患者を換気する。あるいは、蘇生バッグを気管内チューブの近位端に接続することにより、患者を手動で換気することも可能である。
【0014】
しかし、そのような装置は、上述の喉頭鏡または挿管装置を必要としない比較的単純な挿管においてのみ有用である。理想的には、医療従事者がすでに日常的に使用している挿管装置と同様のものを使用して、実際に遭遇する可能性が高いより広範囲の条件下で換気挿管を実施できるようにする改善された方法および装置が必要である。
【0015】
ラリンジアルマスクエアウェイ(LMA)は、麻酔または意識不明中、換気エアウェイを提供するために使用できる医療機器である。従来のLMA設計には、エアウェイチューブに接続されたラリンジアルマスクが含まれている。ラリンジアルマスクおよび接続されたエアウェイチューブは、ラリンジアルマスクが対象者の喉頭の上に配置された状態で、対象者の口と咽頭を通じて挿入される。ラリンジアルマスクは、喉頭を覆う気密シールを形成するカフを有しており、それによって喉頭に直接換気エアウェイを提供する。カフは、ラリンジアルマスクが対象者の解剖学的構造に適合できるように膨張可能であってもよい。
【0016】
本明細書における先行刊行物(またはそこから派生した情報)または既知の事項への言及は、先行刊行物(またはそこから派生した情報)または既知の事項が、本明細書に関連する努力の分野における通常の一般的な知識の一部を形成することへの承認、許可、またはいかなる形の示唆ともみなされず、またみなされるべきものでもない。
【発明の概要】
【0017】
1つの広範な形態において、本発明の一態様は、気管内挿管手順および対象者の換気用のラリンジアルマスクエアウェイ(LMA)挿管ガイドであって、近位開口と遠位開口との間に延びて、挿管装置のブレード部を受け入れるように構成された通路を画定する細長い本体と、前記遠位開口にあり、対象者の喉頭を覆うラリンジアルマスクと、少なくとも部分的に前記本体に沿って延びた換気エアウェイとを含んでおり、前記換気エアウェイは、人工呼吸器に接続する、前記換気エアウェイの近位端にある換気ポートと、前記換気エアウェイと前記通路との間の流体連通を前記ラリンジアルマスクに近接した位置で可能にする前記換気エアウェイの遠位端にある換気アパーチャとを含んでおり、前記LMA挿管ガイドは、対象者の口に挿入することで、前記近位開口が対象者の口に近接して配置され、前記ラリンジアルマスクが対象者の喉頭に近接して配置されるように構成されており、それによって、前記換気エアウェイを使用して対象者を換気しながら、前記通路を介して気管内チューブを使用した対象者の挿管を可能にして、前記挿管装置の前記ブレード部が前記LMA挿管ガイドの前記通路に挿入されることが可能となる、LMA挿管ガイドを提供することを目的としている。
【0018】
一実施形態では、前記ラリンジアルマスクが、対象者の喉頭の周りにシールを形成するマスクカフを含んでいる。
【0019】
一実施形態では、マスクカフが膨張可能である。
【0020】
一実施形態では、前記換気アパーチャが、前記ラリンジアルマスクに近接して前記通路内に配置されている。
【0021】
一実施形態では、前記換気アパーチャが、換気ガスの流れを対象者の喉頭に向けるように構成されている。
【0022】
一実施形態では、前記換気エアウェイが前記通路からずれて配置されている。
【0023】
一実施形態では、前記換気エアウェイは、前記ラリンジアルマスクが対象者の喉頭を覆うとき、対象者の矢状面と整列する前記LMA挿管ガイドの中心面に対して横方向にずれて配置される。
【0024】
一実施形態では、前記換気エアウェイが、前記本体に沿って延びたエアウェイ本体部を含んでいる。
【0025】
一実施形態では、少なくとも前記エアウェイ本体部が前記本体と一体的に形成されている。
【0026】
一実施形態では、前記換気エアウェイは、前記近位開口から離れる方向に延びたエアウェイ導管部を含んでいる。
【0027】
一実施形態では、前記ブレード部が前記通路を介して挿入されていないとき、前記近位開口を覆うクロージャーを含んでいる。
【0028】
一実施形態では、前記近位開口を覆うシールを含んでおり、前記シールが、通常時には前記近位開口をシールする閉位置にあり、前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路を介して挿入されるときには、開位置に移動可能である。
【0029】
一実施形態では、前記シールは、前記ブレード部が前記シールに対して付勢されることに応答して変形し、それによって前記ブレード部を受け入れる開口を画定するように構成された少なくとも1つの弾性膜を含んでいる。
【0030】
一実施形態では、前記シールが前記近位開口の周囲に支持される弾性膜を含んでおり、前記弾性膜が、前記閉位置で実質的に閉じられ、前記開位置で前記開口を画定するように伸びるアパーチャを含んでいる。
【0031】
一実施形態において、前記アパーチャがスリットである。
【0032】
一実施形態では、前記シールが、前記近位開口の周囲に支持された2つ以上の弾性膜を含み、各弾性膜の前記アパーチャが、形状、位置および配向の少なくとも1つにおいて他の弾性膜の前記アパーチャとは異なっている。
【0033】
一実施形態では、前記シールは、それぞれが前記近位開口の周囲の一部分の周りに支持され、それぞれが支持されていないエッジを含んだ2つ以上の弾性膜を含んでおり、前記支持されていないエッジ同士は、前記閉位置では少なくとも部分的に重なり、前記開位置では分離して前記開口を画定する。
【0034】
一実施形態では、前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路から取り外されたとき、前記シールが前記閉位置に向かって戻るように、前記シールが前記閉位置に向かって付勢されている。
【0035】
一実施形態では、前記シールが、使用中に、前記挿管装置の前記ブレード部および前記気管内チューブの少なくとも1つを取り囲んだ部分的なシールを形成するように構成されている。
【0036】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドが、前記挿管装置の前記ブレード部が前記LMA挿管ガイドの前記通路に挿入されていないとき、前記近位開口を閉じる取り外し可能なキャップを含んでいる。
【0037】
一実施形態では、前記キャップが前記近位開口を覆うシールを含んでおり、前記シールは、通常時には前記近位開口を密封するために閉位置にあり、前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路を介して挿入されるとき、開位置に移動可能である。
【0038】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドが前記近位開口を取り囲んだフランジを含んでいる。
【0039】
一実施形態では、前記フランジが対象者の口に当接することで前記LMA挿管ガイドの過剰挿入を防止し、それによって、前記近位開口が口の外側に位置したままになるよう構成されている。
【0040】
一実施形態では、前記通路および前記ラリンジアルマスクに沿って破断されるように構成されている。
【0041】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドの前記本体が前記通路および前記ラリンジアルマスクの側面に沿って長手方向に延びている破断線を含んでおり、それによって、前記LMA挿管ガイドが前記破断線に沿って破断される。
【0042】
一実施形態では、前記破断線が前記LMA挿管ガイドの中心面に沿って形成されている。
【0043】
一実施形態では、前記近位開口の形状が前記挿管装置の前記ブレード部の断面形状に基づいて選択されている
【0044】
一実施形態では、前記近位開口のサイズが前記挿管装置の前記ブレード部の断面サイズに基づいて選択されている。
【0045】
一実施形態では、前記通路の形状が前記挿管装置の前記ブレード部の断面形状に基づいて選択されている。
【0046】
一実施形態では、前記通路のサイズが前記挿管装置の前記ブレード部の断面サイズに基づいて選択されている。
【0047】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドが可撓性材料から形成されている。
【0048】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドが、前記ブレード部を受け入れるときに拡張するように構成されている。
【0049】
一実施形態では、LMA挿管ガイドが湾曲している。
【0050】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドの曲率が前記挿管装置の前記ブレード部の曲率に基づいて選択されている。
【0051】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドが胃管導管を含んでおり、前記胃管導管を介して対象者の食道内に胃管を前進させる。
【0052】
一実施形態では、前記胃管導管が、前記本体に沿って延びており、前記胃管導管の近位端にある胃管導管ポートと、前記胃管導管の遠位端にある胃管アパーチャとを含んでおり、前記胃管アパーチャから食道内に前記胃管を前進させることを可能にする。
【0053】
一実施形態では、前記胃管アパーチャが前記ラリンジアルマスクおよび前記通路の外側に配置されている。
【0054】
一実施形態では、前記胃管アパーチャが使用時に対象者の食道に面するように構成されている。
【0055】
一実施形態では、前記胃管導管が前記通路からずれて配置されている。
【0056】
一実施形態では、前記換気エアウェイおよび前記胃管導管が、前記通路の対向側面で前記通路からずれて配置されている。
【0057】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドが、対象者に挿管が実施されることとは独立して、前記胃管が挿入可能に構成されている。
【0058】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドが、使用時に、対象者の舌を保持することと、および、舌を押し下げることの少なくともいずれか一方を行うように構成されている。
【0059】
一実施形態では、対象者に挿管が行われることとは独立して、対象者の換気を可能にするように構成されている。
【0060】
1つの広い形態において、本発明の一態様は、気管内挿管手順用の方法であって、前記LMA挿管ガイドが、対象者の口に近接して配置された近位開口と遠位開口との間に延びて、挿管装置のブレード部を受け入れるように構成された通路を画定する細長い本体と、前記遠位開口に配置され、対象者の喉頭に近接して配置されるラリンジアルマスクと、少なくとも部分的に前記本体に沿って延びた換気エアウェイとを含んでおり、前記換気エアウェイは、人工呼吸器に接続する、前記換気エアウェイの近位端にある換気ポートと、前記換気エアウェイと前記通路との間の流体連通を前記ラリンジアルマスクに近接した位置で可能にする前記換気エアウェイの遠位端にある換気アパーチャとを含んでおり、ラリンジアルマスクエアウェイ(LMA)挿管ガイドを対象者の口に挿入することと、前記ラリンジアルマスクで対象者の喉頭を覆うことと、人工呼吸器を前記換気ポートに接続し、前記換気エアウェイを使用して対象者を換気することと、対象者の換気が続く間、前記挿管装置の前記ブレード部を前記LMA挿管ガイドの前記通路に挿入し、前記挿管装置の前記ブレード部の遠位端を対象者の喉頭に近接して配置し、前記通路を介して、前記挿管装置の前記ブレード部に沿って、気管内チューブを対象者の気管内に進めることとを含んでいる方法を提供することを目的としている。
【0061】
一実施形態では、前記ラリンジアルマスクが膨張可能なマスクカフを含んでおり、前記ラリンジアルマスクで対象者の喉頭を覆った後、前記マスクカフを膨張させることを含んでいる。
【0062】
一実施形態では、前記気管内チューブを対象者の気管内に前進させた後、前記気管内チューブを対象者の気管内の所定の位置に残したまま、前記LMA挿管ガイドから前記挿管装置の前記ブレード部を引き抜き、かつ、対象者の口から前記LMA挿管ガイドを取り外すことを含んでいる。
【0063】
一実施形態では、前記気管内チューブを対象者の前記気管内に前進させた後、かつ、前記LMA挿管ガイドを除去する前に、前記気管内チューブを使用して対象者を換気することを含んでいる。
【0064】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドが前記通路および前記ラリンジアルマスクに沿って破断されるように構成されており、前記気管内チューブが所定の位置に留まっている間に、前記LMA挿管ガイドが除去されることを可能とするように、前記LMA挿管ガイドを破断することを含んでいる。
【0065】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドが、前記近位開口を覆うクロージャーを含んでおり、当該方法が、前記通路を介して前記ブレード部を挿入する前に、前記クロージャーを取り外すことを含んでいる。
【0066】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドが前記近位開口を覆うシールを含んでおり、前記シールが、通常時には前記近位開口をシールする閉位置にあり、前記挿管装置のブレード部が前記通路を介して挿入されるとき、開位置に移動可能であり、当該方法が前記近位開口の前記シールを介して前記ブレード部を挿入することを含んでいる。
【0067】
一実施形態では、前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路から除去されるとき、前記シールが前記閉位置に向かって戻るように、前記シールが前記閉位置に向かって付勢されており、前記シールが前記ブレード部を挿入後の前記挿管装置の前記ブレード部および前記気管内チューブの少なくとも1つを取り囲んだ部分的なシールを形成している。
【0068】
一実施形態では、前記換気エアウェイを使用して対象者を換気することには、前記換気エアウェイを使用して対象者に酸素を供給することを含んでいる。
【0069】
一実施形態では、前記LMA挿管ガイドが胃管導管を含んでおり、前記胃管導管を介して対象者の食道内に胃管を前進させることをさらに含んでいる。
【0070】
本発明の広義の形態およびそれらの各特徴は、組み合わせて、交換可能に、および/または独立して使用することができ、別個の広義の形態への言及は限定することを意図しないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
次に、本発明の様々な例および実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0072】
図1A~1Jは、ラリンジアルマスクエアウェイ(LMA)挿管ガイドの第1の例を使用して、対象者に実施される換気気管内挿管手順のステップを示す断面図である。
【0073】
図2Aおよび2Bは、図1A~1JのLMA挿管ガイドの第1の例の斜視図である。
【0074】
図2Cおよび2Dは、図2Aおよび2BのLMA挿管ガイドの断面図である。
【0075】
図2Eおよび2Fは、図2Aおよび2BのLMA挿管ガイドのそれぞれ上面図および底面図である。
【0076】
図3Aおよび3Bは、キャップが取り外された図2Aおよび2BのLMA挿管ガイドの斜視図である。
【0077】
図4Aは、挿管装置のブレード部がLMA挿管ガイドの通路に挿入された、図3Aおよび3BのLMA挿管ガイドの斜視図である。
【0078】
図4Bは、図4Aの挿管装置のLMA挿管ガイドおよび挿入されたブレード部の断面図である。
【0079】
図5Aは、気管内チューブがLMA挿管ガイドの通路を通じて前進した、図3Aおよび3BのLMA挿管ガイドの底面図である。
【0080】
図5Bは、気管内チューブを取り外すためにLMA挿管ガイドが破断された、図5AのLMA挿管ガイドおよび気管内チューブの底面図である。
【0081】
図6A~6Fは、胃管導管を有するLMA挿管ガイドの第2の例を使用して対象者の食道に胃管を挿入するステップを示す断面図である。
【0082】
図7Aおよび7Bは、図6A~6FのLMA挿管ガイドの第2の例の斜視図である。
【0083】
図8は、近位開口をシールする膜シールを有するLMA挿管ガイドの第3の例の斜視図である。
【0084】
図9は、近位開口を密閉する別個の取り外し可能なキャップシールを有するLMA挿管ガイドの第3の例の斜視図である。
【0085】
図10Aおよび10Bは、LMA挿管ガイドの第1の例を有する従来の喉頭鏡を使用して気管内チューブを手動で前進させるステップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1A~1Jを参照して、ラリンジアルマスクエアウェイ(LMA)挿管ガイド110および換気気管内挿管手順でのその使用に対応する方法を説明する。ラリンジアルマスクエアウェイ(LMA)挿管ガイド110は、喉頭鏡などのブレード付挿管装置140(図1D~1Fに示す)を使用して挿管を実施できるように、特に適合されている。以下の例の目的のために、挿管装置140はWO/2016/090435A1に記載されているような片手用挿管装置であると想定されるが、他の形態の挿管装置が装置に適切に適合して使用できることが理解されるべきである。例えば、LMA挿管ガイド110の実施形態は、市販のビデオ喉頭鏡または従来の直視喉頭鏡と共に使用するように構成されていてもよい。
【0087】
図1Aを参照すると、本方法は、従来の気管内挿管手順と同様の方法で、対象者100が仰臥位で横になっている状態で開始する。手順中、喉頭へのアクセスをより容易にするよう、対象者の口102、咽頭103および喉頭104の相対的な位置を調整するために、対象者の頭101が傾けられてもよい。
【0088】
図1Aでは、LMA挿管ガイド110が対象者100の口102への挿入のために提供されている。LMA挿管ガイド110のさらなる詳細は、図2A~2F並びに図3Aおよび3Bで見ることができる。
【0089】
LMA挿管ガイド110は、近位開口113と遠位開口114との間に延びた通路112を画定する細長い本体111を含んでいる。LMA挿管ガイド110の通路112は、図1Eおよび1F、詳細については図4Aおよび4Bに示されるように、挿管装置140のブレード部142を受け入れるように構成されている。
【0090】
LMA挿管ガイド110は、また、遠位開口114に配置されたラリンジアルマスク120を含んでいる。ラリンジアルマスク120は、対象者の喉頭を覆うものであり、従来のラリンジアルマスクエアウェイ装置のラリンジアルマスクと同様の構成を有していてもよい。
【0091】
LMA挿管ガイド110は、本体111に少なくとも部分的に沿って延びた換気エアウェイ115をさらに含んでいる。図2A~2D、特に図2Bおよび2Dに関して、換気エアウェイ115は、人工呼吸器130(図1C~1Jに示される)に接続するために、換気エアウェイ115の近位端にある換気ポート211と、換気エアウェイ115と通路112との間の流体連通をラリンジアルマスク120に近接した位置で可能にする換気エアウェイ115の遠位端にある換気アパーチャ212とを含んでいる。
【0092】
次に、図1Bに示されるように、LMA挿管ガイド110が対象者100の口102に挿入される。LMA挿管ガイド110が適切に挿入されると、ラリンジアルマスク120は対象者100の喉頭104の近くに配置され、近位開口113は対象者100の口102に近接して配置される。対象者100の喉頭104はラリンジアルマスク120で覆われる。
【0093】
ラリンジアルマスク120のさらなる詳細は、図2A~2Dで見ることができる。この例では、ラリンジアルマスク120は、対象者100の喉頭104を取り囲むシールを備えるように構成されたマスクカフ223を有している。いくつかの例では、マスクカフ223は、空気などの膨張ガスが膨張導管121を介してマスクカフ223に供給され得る膨張可能なタイプのものであってもよい。膨張ガスは、シリンジまたは他の膨張ガス源を介して、従来のラリンジアルマスクエアウェイ装置の膨張式ラリンジアルマスクと同様の方法で供給可能である。膨張可能なマスクカフ223の使用は、対象者の解剖学的構造に適合するシールを備えるのを支援することができるため好ましいが、必須ではない。
【0094】
図1Cを参照すると、対象者の喉頭104がラリンジアルマスク120によって覆われるように、LMA挿管ガイド110が挿入されると、LMA挿管ガイド110の換気エアウェイ115を使用して、対象者100を換気することができる。通常、これには、人工呼吸器130を換気エアウェイ115に接続して、換気エアウェイを介してラリンジアルマスク120に近接する送達点に換気ガスを供給可能にすることが含まれる。
【0095】
図2A~2Dに示されるLMA挿管ガイドのさらなる詳細に関して、人工呼吸器130は、換気エアウェイ115の近位端で換気ポート211に接続されてもよく、人工呼吸器130によって供給される換気ガスは、換気エアウェイ115の遠位端にある換気アパーチャ212を介して対象者100に送達される。この例では、換気アパーチャ212はラリンジアルマスク120のマスクカフ223のすぐ内側に配置され、換気ガスを対象の喉頭104に向けるように構成されていてもよい。
【0096】
対象者100を換気するために、任意の適切なタイプの換気源が使用されてもよいことが理解されよう。この例では、手動バッグバルブタイプの人工呼吸器130が使用され、適切に構成された人工呼吸器コネクタを使用して、換気エアウェイ115の換気ポート211に接続される。人工呼吸器コネクタは、通常、標準/ユニバーサルコネクタタイプである。人工呼吸器は、通常、対象者の口の外側に配置される。
【0097】
図示の例は、換気エアウェイ115に直接接続された手動バッグバルブマスク人工呼吸器の形態で人工呼吸器130を示しているが、人工呼吸器130は、代替として、例えば、電動機械式人工呼吸器の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、より離れた人工呼吸器ユニットは、ある長さの可撓性チューブなどによって換気ポート211に接続されていてもよい。
【0098】
換気エアウェイ115を使用して対象者を換気する工程は、酸素供給源から換気ポートに酸素ガスを供給することなど、換気マスクを使用して対象者に酸素を加えることを含んでいてもよい。場合によって、100%の酸素が供給されることもあれば、より低い酸素パーセンテージで空気が供給されることもある。それにもかかわらず、酸素添加は必須ではなく、換気は酸素を添加せずに大気を使用して供給されてもよいことが理解されよう。これは、別の加圧酸素源が利用可能かどうかによる場合があるが、状況によってはそうではない場合がある。
【0099】
対象者100の換気は、必要に応じて図1Cに示されるように実施し続けることができ、この点に関して、LMA挿管ガイド110は、従来のラリンジアルマスクエアウェイ装置と同様の方法で使用できることが理解されよう。この換気は、ユーザーが対象者の気管内挿管を続けることを決定するまで無期限に継続できる。例えば、ユーザーは、対象者に挿管する前に、所望の血中酸素飽和レベルが達成されるまで換気を続けたいと思うことがある。あるいは、LMA挿管ガイド110は別のユーザーによって挿入されてもよいし、挿管専門医が対象者の挿管を実施できるようになるのを待っている間、対象者は換気されてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、LMA挿管ガイド110は、近位開口113を覆うクロージャーを含んでいてもよく、したがって、対象者100が換気されている間、換気エアウェイを介して対象者に供給された換気ガスが通路を通じて近位開口113から漏れるのを防止する。この例では、クロージャーが、近位開口113を効果的に密閉するキャップ116の形態で設けられている。通常、キャップ116は、LMA挿管ガイド110の最初の挿入中、かつ、図1Cに示されるように換気が開始および継続する間、近位開口113を密閉するよう所定の位置に留まる。しかし、換気ガスが喉頭に直接供給され得るので、少量の換気ガスの漏れが重大でないことがあるように、クロ―ジャーの使用は必須ではないことがある。以下でさらに詳細に説明するように、可動シールなどの別の形態のクロージャーが設けられていてもよい。
【0101】
図1Dを参照すると、対象者100が換気されている間、対象者100の気管内挿管を実施するために、挿管装置140が提供される。上述のように、この例では、挿管装置140は、片手挿管装置であり、ユーザーが挿管装置140を保持し、対象者の解剖学的構造に対してブレード部142および遠位先端143を動かすことができるよう、ブレード部142に接続されたハンドル部141を含んでいる。この形態の挿管装置140は、気管内チューブ150を受け入れるチャネルと、気管内チューブ150をチャネルを通じて動かして気管内チューブ150を前進させるハンドル部141内のチューブ移動機構とを含んでいる。この場合、チューブ移動機構は、ユーザーが挿管装置を保持している手の親指を使用してチューブ移動機構を操作することできる親指インターフェース144を含んでおり、それにより、ユーザーが挿管装置140を保持し、片手を使用した気管内挿管手順において気管内チューブ150を前進させる。
【0102】
この例では、図1Dにも示されているように、通路112を通じてブレード部142を挿入する前に、キャップ116も取り外される。しかし、取外し可能なキャップ116の形態のクロ―ジャーの使用は必須ではないことを理解されたい。他の実施形態では、クロ―ジャーの代替形態を使用されてもよい。例えば、図8に示される実施形態など、LMA挿管ガイド110の他の例は、近位開口113を覆うシール801を含んでいてもよい。シール801は、通常、近位開口113を密閉するために閉位置にあり、挿管デバイス140のブレード部142が通路112を通じて挿入されるとき、開位置に移動可能であるように構成されていてもよい。したがって、ブレード部142はクロ―ジャーを取り外しを必要とせず、近位開口113のシール801を通じて挿入することができる。他の実施形態では、近位開口113からの換気ガスの少量の漏れにもかかわらず、対象者の適切な換気を達成できる場合、クロ―ジャーがまったく備えられていなくともよい。
【0103】
好ましい実施形態では、シール801は閉位置に向かって付勢され、手順後に、挿管装置140のブレード部142が通路112から取り外されると、シール801は閉位置に向かって戻る。シール801は、挿管装置140のブレード部142および気管内チューブ150の少なくとも1つを取り囲み、それによって、使用中、さもなければブレード部142または気管内チューブ150の周りを通過し得る換気ガスの漏れを低減する手助けを行うシールを形成するように構成されていてもよい。
【0104】
いずれにせよ、図1Eに関して、対象者100の換気が継続している間、挿管装置140のブレード部142は、近位開口113を通じて、LMA挿管ガイド110の通路112に挿入される。
【0105】
挿管装置140のブレード部142は、LMA挿管ガイド110の通路112を通過し、対象者100の喉頭104に近接したブレード部142の遠位先端143の位置を定める。通常、遠位先端143は、LMA挿管ガイド110に対して、挿管装置140のブレード部142の位置に関する詳細図の図4Aおよび4Bに見られるように、遠位開口114およびラリンジアルマスク120を通じて突出している。
【0106】
遠位端143の特定の配置はブレードの特定の構成によるが、通常、遠位先端143は喉頭蓋107の周りに配置され、対象者の声門を露出させるために必要に応じて動かされる。遠位先端143は、対象者の気管105内の喉頭蓋谷と係合し得る。ブレード部142が動かされると、対象者の口102および舌106に対して、LMA挿管ガイド110が幾分動く可能性がある。
【0107】
ここで図1Fを参照すると、遠位先端143が気管内挿管を可能にする適切な位置に動かされると、気管内チューブ150は、LMA挿管ガイド110の通路112を通じて挿管装置140のブレード部142に沿って、対象者の気管105内に前進する。片手で挿管装置140を使用すると、使用者が装置を保持している同じ手の親指を使用して親指インターフェース144を操作することにより、気管内チューブ150を前進させることができることを理解されよう。しかし、片手での挿管を容易にしない異なる形態の挿管装置が使用される場合、気管内チューブ150は、一般的に従来の方法で手動で前進させられてもよい。
【0108】
いずれにしても、上述のように、挿管装置140の挿入および気管内チューブ150の気管105への前進を含む全体の気管内挿管手順は、対象者100が換気されている間に実施されてもよく、それによって、従来の気管内挿管手順で生じる換気なしの潜在的に危険な期間を回避する。したがって、この方法を使用することで、医療専門家が従来の気管内挿管手順でしばしば直面する時間的なプレッシャーを感じずに気管内挿管を実施できる可能性がある。これにより、従来は困難な状況であっても、挿管が成功する可能性が大幅に向上することが理解されよう。
【0109】
気管内チューブ150は、通常、標準型の気管内チューブであり、気管内チューブ150が所望の位置に前進させられると膨張可能なバルーンカフ(図示せず)を含んでいてもよい。膨張したバルーンカフは、対象者の気管105内の所定の位置に気管内チューブ150を保持するのに役立ち得ることが理解されよう。
【0110】
気管内チューブ150が対象者100の気管105内を前進した後(および気管内チューブ150にバルーンカフが備えられている場合はそれが膨張した後)、図1Gに示されるように、気管105内の所定の位置に気管内チューブ150を残したまま、挿管装置140が取り外されてもよい。これは、図1Gに示されるように気管内チューブ150を所定の位置に残したまま、LMA挿管ガイド110から挿管装置140のブレード部142を引き抜くことによって行われてもよい。この段階では、LMA挿管ガイド110は依然として所定の位置に残され、対象者100の換気は、LMA挿管ガイド110の換気エアウェイ115を介して人工呼吸器130を使用して提供される。
【0111】
次に、図1Hに示すように、気管内チューブ150が換気源に結合され、代わりに対象者100に換気を提供するために使用できる。換気源は、換気エアウェイ115を使用して換気を提供するために使用されるものと同じであってもよいし、異なる換気源であってもよい。この場合、人工呼吸器130は換気エアウェイ115から切り離され、気管内チューブ150の近位端でコネクタ152に直ちに接続され、換気が最小限の中断で気管内チューブ150を介して提供される。
【0112】
場合によっては、対象者が継続的に換気されることを保証するように、気管内チューブ150を使用した換気が、換気エアウェイ115を使用した換気を停止する前に確立されることが好ましい場合があり、第2の換気源の使用を必要とする場合がある。いくつかの例では、人工呼吸器130を換気エアウェイ115から切り離す前に、気管内チューブ150を使用して有効な換気を確認することが望ましい場合があり、そうでない場合は、有効な換気が達成されるようにユーザーが気管内チューブ150を再度位置決めする間、換気エアウェイ115を使用した換気を継続してもよい。しかし、特に、オペレーターが、気管内チューブ150が適切に配置されたことを他の方法で確認でき、換気エアウェイ115を介した換気から気管内チューブ150を介した換気に切り替える間の換気のない期間が最小限に保たれる場合には、これは必須でなくともよい。
【0113】
図1Hに示すように、気管内チューブ150を介した換気が確立されると、気管内チューブ150を換気を継続する位置に残したまま、LMA挿管ガイド110を対象者100の口102から取り外すことができる。膨張可能なマスクカフ223を備えたラリンジアルマスク120を有するLMA挿管ガイド110の実施形態では、マスクカフ223は、この段階で任意に収縮されてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、LMA挿管ガイド110は、図1Iに示されるように、通路112およびラリンジアルマスク120に沿って破断され、その除去を可能にするように構成され得る。例えば、図2Aから2Fに示される例示的なLMA挿管ガイド110に関して、これは、本体111に破断線117を形成することによって容易になり得、そのさらなる詳細は、適宜説明される。ラリンジアルマスク120がマスクカフ223を含む本実施形態では、仕切り224が、破断線117の効果的な延長としてマスクカフ223に設けられていてもよい。マスクカフ223が膨張可能なタイプである場合、この仕切り224は、マスクカフ223の膨張可能な容積の気密端壁に相当し得ることが理解されよう。
【0115】
いずれにせよ、LMA挿管ガイド410を使用する場合、この方法は、図1IのようにLMA挿管ガイド410を破断して、図1Jに示すように気管内チューブ150が所定の位置に留まっている間にLMA挿管ガイド110を取り外せるようにすることを含んでいてもよい。図5Aおよび5Bは、気管内チューブ150が通路112を通じて延びた状態で、破断前後のLMA挿管ガイド110の詳細図を示しており、これにより、気管内チューブ150をその展開位置に残したまま、LMA挿管ガイド110をどのように取り外すことができるかを示している。
【0116】
LMA挿管ガイド110を破断するこのアプローチは、LMA挿管ガイド110を、挿管チューブ150の近位端に取り付けられたコネクタ152の上に通す必要性、および気管内チューブ150を使用した対象者の換気を意図せず中断する、気管内チューブ150近位端を取り外す必要性を回避し得ることが理解されよう。これはまた、気管内チューブ150をその到達位置から意図せずに動かして、LMA挿管ガイド110の除去中に安全な気道を潜在的に見失うリスクを回避することができる。
【0117】
代替の例では、LMA挿管ガイド110は、切断マーク(図示せず)を含み、切断マークに従うことによって、通路112に沿って切断されるように構成されていてもよい。これは、LMA挿管ガイド110の構造に破断可能部を備えずに、切断具を使用するための追加の要件で、上述したようなLMA挿管ガイド110の除去を容易にするための同様の機能性を促進することが理解されよう。
【0118】
LMA挿管ガイド110は、チューブ取り付けの余裕を組み込まずに、通路112が挿管装置140のブレード部142に取り付けられるように設計されていてもよい。後にさらに説明するように、これによって、処置中にブレード部142の周囲に換気ガスが漏れるのを抑制することができる。
【0119】
上記の方法は、LMA挿管ガイド110を使用して一時的な気道が提供されている間に、気管内挿管を対象者に実行できるようにするための新しい技術を提供することが理解されるであろう。困難な挿管シナリオでは、LMA挿管ガイド110を挿入して、一時的な気道を確保し、気管内挿管手順を実際に実施する前に、対象者の状態を安定させるために必要なだけ対象者を換気することができる。状況によっては、LMA挿管ガイド110は、適切な熟練者が気管内挿管手順を実行できるまで、長期間にわたって一時的な気道を提供するために使用されてもよい。
【0120】
いずれにせよ、上述した方法を考慮すると、気管内挿管手順を行う性能は、図2A~2Fに関してさらに詳細に説明されるLMA挿管ガイド110の特定の設計によって可能になることが理解されよう。
【0121】
上述したように、LMA挿管ガイド110は、近位開口113と遠位開口114との間に延びた通路112を画定する細長い本体111を含んでいる。通路112は、挿管装置140のブレード部142を受け入れるように構成されている。LMA挿管ガイド110は、また、遠位開口114にラリンジアルマスク120を含んでいる。ラリンジアルマスク120は、対象者100の喉頭104を覆うためのものである。LMA挿管ガイド110は、本体111に少なくとも部分的に沿って延びた換気エアウェイ115をさらに含んでいる。換気エアウェイ115は、人工呼吸器130に接続するための換気エアウェイ115の近位端にある換気ポート211と、換気エアウェイ115と通路112との間の流体連通をラリンジアルマスク120に近接した位置で可能にする換気エアウェイ115の遠位端にある換気アパーチャ212とを含んでいる。
【0122】
前述のように、LMA挿管ガイド110は、近位開口113が対象者の口102に近接して配置され、ラリンジアルマスク120が対象者100の喉頭104に近接して配置されるように構成されており、それによって、換気エアウェイ115を使用して対象者100を換気しながら、通路を通じて気管内チューブ150を使用した対象者100の挿管を可能にして、挿管装置140のブレード部142がLMA挿管ガイド110の通路に挿入されることが可能となる。
【0123】
LMA挿管ガイド110は、挿入後、気管内挿管が行われる前に、換気エアウェイ115を介して対象者100の換気を可能にすることが理解されよう。この換気には酸素化を含めることができ、必要に応じて長時間続けることができる。場合によっては、LMA挿管ガイド110は、換気のみに使用されてもよいし、気管内挿管が必要であると判断される瞬間まで換気に使用されてもよい。したがって、LMA挿管ガイドは、実施されている対象者の挿管とは無関係に、対象者の換気を可能にするように構成されてもよいことが理解されよう。
【0124】
LMA挿管ガイド110の細長い本体111は、図2A~2Fの例に示されるように湾曲していてもよい。LMA挿管ガイド110が使用時に対象者100の口102および気道解剖学的構造により適合できるよう、そのような湾曲した構成が備えられていてもよい。しかし、LMA挿管ガイド110が湾曲していることは必須ではない。
【0125】
LMA挿管ガイド110は、要求に応じて、互いに異なるレベルの柔軟性を有する複数の材料から形成されていてもよい。例えば、LMA挿管ガイド110の実施形態は、比較的可撓性を有する材料から形成されていてもよく、その結果、LMA挿管ガイド110は、使用中に、対象者における口102の自然な湾曲および気道の解剖学的構造に適合するように少なくとも部分的に変形することが可能であってもよい。他方、LMA挿管ガイド110の実施形態は、比較的可撓性の小さい材料から形成されていてもよく、LMA挿管ガイド110の実質的な変形によることなく、対象者の解剖学的構造に適合するように本体111の曲率が選択される必要がある。
【0126】
LMA挿管ガイド110は、使用中に、挿管装置140のブレード部142がブレード部142の挿入を妨害する可能性のある対象者の舌および他の解剖学的構造と干渉することなく、対象者100の気道に挿入されるように機能し得ることが理解されよう。これは、LMA挿管ガイド110がブレード部142の挿入中に直接視覚化を妨げる場合があるので、特に有益である。LMA挿管ガイド110は、通常、対象者の舌を保持するように作用し、典型的には、舌を押し下げる、すなわち、舌を下向きに促すように作用することを理解すべきである。これは、上述の曲率および柔軟性を含んだ、LMA挿管ガイド110の特定の形状および構成によって決まる。
【0127】
LMA挿管ガイド110の近位開口113は、ブレード部142が近位開口113を通じて挿管ガイド110の通路112に挿入可能に構成されている。好ましくは、LMA挿管ガイド110は、挿管装置140、特にそのブレード部142に適合するように設計される。手順で使用される挿管装置140および気管内チューブ150は、必ずしも、上述のような人工呼吸気管内挿管手順用の特定の適合を備えていなくてもよい。したがって、正しいタイプの挿管装置140およびそれぞれのブレード部142がLMA挿管ガイド110に対して選択されているという条件で、LMA挿管ガイド110は挿管装置140および気管内チューブ150に対して別々に備えられていてもよい。
【0128】
前述のように、LMA挿管ガイド110の遠位開口114のラリンジアルマスク120は、対象者100の喉頭104を覆うように構成されている。換気エアウェイ115は、人工呼吸器に接続する、換気エアウェイ115の近位端にある換気ポート211と、換気エアウェイ115と通路112との間の流体連通をラリンジアルマスク120に近接した位置で可能にする換気エアウェイ115の遠位端にある換気アパーチャ212とを含んでいる。
【0129】
LMA挿管ガイド110のさらなる好ましいまたは任意の特徴、およびそれらに関連する利点について、ここで説明する。
【0130】
LMA挿管ガイド110は、通常、適切な医療グレードのプラスチック材料から形成されており、いくつかの実施形態では、使用時に対象者の解剖学的構造を視覚化できるように透明であってもよい。しかし、ビデオ機能を備えた喉頭鏡を使用する場合は、透明な素材を使用する必要がない場合がある。
【0131】
ラリンジアルマスク120の基本的な構造は、既知のラリンジアルマスクエアウェイ装置における従来のラリンジアルマスクと同様であってもよい。ラリンジアルマスク120は、通常、対象者の喉頭104の周囲にシールを形成するマスクカフ223を含んでいる。カフは、通常、LMA挿管装置110の近位開口113を取り囲んでいる。
【0132】
前述のように、マスクカフ223は膨張可能なタイプであってもよく、その場合、マスクカフ223は、通常、可撓性材料から形成された気密チャンバを含んでいる。マスクカフ223は、膨張ポート222を介してマスクカフ123のチャンバに接続することができる、または、空気充填シリンジ、外部空気供給ラインなどのインフレーション源に接続する適切に構成されたインフレーションコネクタ221を含むことができる、膨張導管121を使用して膨張させることができる。膨張導管121は、細いチューブから形成されていてもよく、例えば図1Bに示されるように、LMA挿管ガイド110の挿入後に口102の外側の便利な位置にある膨張コネクタ221にアクセスできるように、被験者の咽頭103および口102を通じて、喉頭マスク120から延びることができる長さとするのが好ましい。
【0133】
換気エアウェイ115の換気アパーチャ212は、通常、ラリンジアルマスク120に近接して、通路の内側に配置される。いくつかの例では、換気アパーチャ212は、ラリンジアルマスク120の内側に直接、またはそうでなければLMA挿管ガイド110の遠位開口114の近くに備えられていてもよい。この場合、換気口212はラリンジアルマスク120のマスクカフ223に隣接して配置され、対象者100の喉頭104の近くに換気ガスを供給することができる。
【0134】
換気エアウェイ115はLMA挿管ガイド110の通路112からずれて配置されていてもよい。この場合、ラリンジアルマスク120が対象者100の喉頭104を覆うとき、換気エアウェイ115は、対象者の矢状面と整列するLMA挿管ガイド110の中心面に対して横方向にずれて配置されている。しかし、この配置は必須ではなく、異なる実施形態は、LMA挿管ガイド110の他の特徴に関連して異なる換気エアウェイ115の位置を有していてもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、換気アパーチャ212が、換気ガスの流れを対象者100の喉頭104に向けるよう、特に構成されていてもよい。これは、クロ―ジャーまたはシールが不完全な場合、またはクロ―ジャーがない場合に、換気ガスがLMA挿管ガイド110の近位開口113から漏れにくくするのに役立ち得る。
【0136】
図2A~2Fに示す例に関して、換気エアウェイ115は、本体111に沿って延びるエアウェイ本体部214を含んでいてもよく、また、近位開口113から離れて延びたエアウェイ導管部213を含んでいてもよい。好ましくは、少なくともエアウェイ本体部214は本体111と一体的に形成されている。したがって、換気エアウェイ115は、通路に沿って近接した並列配置で延びている場合がある。
【0137】
LMA挿管ガイド110は、挿管装置140のブレード部142を挿入する前および挿入中に、換気ガスを近位開口113から逃がすことなく、換気エアウェイ115を使用して対象者100を換気できるように構成されていることが好ましい。いくつかの実施形態では、これは、近位開口113を覆うクロージャーを有する近位開口113を備えることによって達成することができ、換気中に、クロージャーは所定の位置に保持されてもよいが、ブレード部142を近位開口113を通じて挿入する前に取り外されてもよい。
【0138】
挿入後、ブレード部142は、近位開口113からのガスの漏れを実質的に防止するのに十分な場合がある。挿管手順が完了すると、気管内チューブを介して換気が継続できる。したがって、クロージャーは、ネジ接続、締まり嵌めなどの異なる可能なインターフェースを使用して、必要に応じて近位開口113に適用できる取り外し可能なキャップまたはプラグの形態で備えられていてもよい。あるいは、クロージャーは、ブレード部142の挿入時に邪魔にならないように押し出すことができる、ヒンジで取り付けられたバリアなどの可動カバーの形態で備えられていてもよい。
【0139】
本実施例では、図1Dに示すように、クロージャーは近位開口113を覆い、必要に応じ近位開口113を通じて、ブレード部142を挿入できる取り外し可能なキャップ116の形態で備えられる。この場合、キャップ116は、近位開口113を取り囲むリム201と締まり嵌めで係合する。キャップ116は、オペレーターがタブ201をつかんで引っ張ることによって、キャップ116を取り外すことができるプルタブ202または同様の特徴を含んでいてもよい。図3Aおよび3Bは、キャップ116が取り外された後のLMA挿管の追加の図を示している。
【0140】
図8に示されるようなLMA挿管ガイド810の例などのいくつかの実装では、LMA挿管ガイド810は、近位開口113を覆うシール801を含んでいてもよい。シール801は、近位開口113を密閉するために通常は閉鎖位置にあるように構成されていてもよく、挿管装置140のブレード部142が近位開口113を通じて挿入されるとき、開位置に移動可能であってもよい。図1Eに戻ると、挿管装置140のブレード部142が最初に近位開口113に挿入されるとき、これにより、近位開口113のシール801を閉位置から開位置に移動させ、ブレード部142が近位開口113を通過できるようにしてもよいことが理解されよう。
【0141】
上述のように、挿管装置140のブレード部142が近位開口113を通じて挿入されるとき、シール801は、通常の閉位置(図6に示される)から開位置に移動可能であってもよい。いくつかの実施形態では、シール801は、ブレード部142がシール801に対して付勢されることに応答して変形するように、それによってブレード部142を受け入れるための開口を画定するように構成された少なくとも1つの弾性膜を含んでいてもよい。
【0142】
一例では、シール801は、それぞれが近位開口113の周囲の一部分の周りに支持され、それぞれが各支持されていないエッジ802を含んだ2つ以上の弾性膜を含んでいてもよい。支持されていないエッジ802は、閉位置では少なくとも部分的に重なり、開位置では分離して開口を画定する。より効果的なシーリングのために重なり合うエッジ802が好ましいが、いくつかの例では、エッジ802は重なり合うことなく閉位置で当接していてもよい。
【0143】
他の例では、シール801は、近位開口113の周囲の周りに支持された2つ以上の弾性膜を含んでいてもよい。各弾性膜の各アパーチャは、形状、位置または配向において他の弾性膜のアパーチャとは異なっていてもよい。換言すれば、シール801は、整列または重なり合わないスリットなどのアパーチャを備えた複数の完全に支持された膜を含んでいてもよく、それにより、増強されたシール効果を備える。
【0144】
他の例では、シール801は近位開口113の周囲の周りに支持された単一の弾性膜を含んでいてもよい。単一の弾性膜は閉位置で実質的に閉じられて、開位置で開口を画定するように伸びるアパーチャを含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アパーチャはスリットであってもよい。他の実施形態では、アパーチャはピンホールであってもよいし、または挿管装置140のブレード部142を受け入れるために適切な開口が形成されることを可能にするように選択された他の任意の形状を有していてもよい。例えば、アパーチャは十字型またはH型にすることができる。
【0145】
少なくとも1つの弾性膜は、任意の適切な膜材料から形成されてもよいが、通常、薄くて可撓性を有するポリマー材料が使用される。LMA挿管ガイド110について、上述したような透明な材料から膜を形成することも望ましい場合がある。
【0146】
ブレード部142が近位開口113に受け入れられるとき(例えば、図4Aおよび4Bに示されるように)、シール801は開いた構成であってもよいが、それでも挿管手順中、ブレード部142の周りの換気ガスの漏れを実質的に防止するために、ブレード部142の周りに効果的な密閉を提供し得ることが理解されよう。密閉または漏れの程度は、シール801の設計およびブレード部142の設計でも決まる。例えば、シール801が開位置でブレード部142の周りに延びるように構成されている場合、ブレード部142が近位開口113を通じて延びるときでさえも、実質的に気密シールを形成し得る。
【0147】
特に描かれているような開放チャネル設計において、ブレード部142を通じて延びた気管内チューブ150の送達を可能にするチャネル401を介して、いくらかの漏れが依然として起こり得ることを理解されよう。いくつかの例では、挿管デバイス140は、WO/2016/090435A1に記載されているようにチャネルシール(図示せず)を含むように設計されていてもよい。そのようなチャネルシールは、チャネル401に沿って換気ポート122からガスが逃げるのを防ぐために使用可能である。しかし、これは必須ではなく、いくつかの挿管装置140の設計では、気管内チューブ150はチャネル401に嵌合して重大な漏出経路を備えないようにすることができ、シール801はブレード部に十分に適合して実質的な漏出を防止することができる。
【0148】
図9は、キャップ116の代わりに、前述したものと同様のシール801を備えた別個の取り外し可能なキャップシール部分901が備えられた、LMA挿管ガイド110の代替実施形態を示す。キャップシール部901は、また、前のキャップ116と比較してわずかに異なる設計を有していてもよく、特に、キャップシール部分901は、引っ張る動作とは対照的に剥がす動作で取り外すことができるようにキャップシール部901の側部に延在した取り外しタブ902を有していてもよい。
【0149】
さらに、キャップシール部分901は近位開口113を覆う一体型シール801を含んでいてもよく、シールは、通常、近位開口113を密封するための閉位置にあり、挿管装置140のブレード部142が近位開口113を通じて挿入されるときに開位置に移動可能であり、それによって、図8のLMA挿管ガイド810の先に説明した実施形態のシール801と同様の方法で機能する。キャップシール部901のシール801は、その中に形成された1つ以上のスリット802または他のオリフィスを有するシール膜を含んでいてもよく、それによって、挿入時にブレード部142を許容する。
【0150】
上述のキャップ116およびシール801のように、キャップシール部分901は、対象者100が換気されている間、近位開口113からの換気ガスの漏れを防止することを意図している。これは、喉頭鏡ブレードおよび気管内チューブが近位開口113の内側に配置されている間でも、挿入物の周りで近位開口113を部分的に密閉することによって達成できることが好ましい。喉頭鏡ブレードおよび気管内チューブが取り外されると、シールは元の閉位置に戻り、それによって完全なシールが再形成される。
【0151】
別個のキャップシール部分902にシール801を備えることにより、キャップシール部分902がシリコーンまたはゴム材料などの適切な弾性材料から形成可能であり、一方で、LMA挿管ガイド910は異なる材料から形成可能であることが理解されよう。これにより、LMA挿管ガイド910の製造が大幅に簡素化される。
【0152】
また、取り外し可能なキャップの使用は、非ビデオまたは直視喉頭鏡との使用に特に望ましく、それにより、ユーザーが近位開口113の中および通路112を通じて、遮られない視線を有することができることも理解されよう。
【0153】
挿管装置140のブレード部分142が通路112を通じて挿入されるとき、具体的には、気管内チューブ150が喉頭104を通じて対象者の気管105内に前進可能になるよう、遠位先端143が適切な位置に移動されるとき、LMA挿管ガイド110は対象者の解剖学的構造に対して移動可能となり得ることが理解されよう。
【0154】
図2Cおよび2Dに示されるLMA挿管ガイド110の詳細な例に関して、細長い本体111は、通路112を画定するための薄壁の本体として画定されてもよいことが分かる。本体111は、通常、適切な医療グレードのプラスチック材料などの剛性、半剛性または可撓性材料から形成されている。上述のように、透明性は望ましい品質の場合があるが必須ではない。
【0155】
いくつかの代替例では、LMA挿管ガイド110は近位開口113を囲んだフランジ(図示せず)を含んでいてもよい。フランジは、対象者の口102に当接することによって、LMA挿管ガイド110の正しい挿入を支援するように構成されていてもよく、それによって近位開口113が確実に口102の外側に配置されたままとなる。しかし、そのようなフランジが備えられる場合、ラリンジアルマスク120が対象者100の喉頭104上にシールを提供するよう正しく配置されるように、LMA挿管ガイド110の完全な挿入を妨げるべきではない。
【0156】
上述のように、気管内チューブ150が所定の位置に留まっている間、LMA挿管ガイド110の取り外しを容易にするために、通路112およびラリンジアルマスク120に沿って破断されるように構成されたLMA挿管ガイド110を提供することが望ましい場合がある。
【0157】
この特定の例では、LMA挿管ガイド110の本体111は、通路112の側面に沿って長手方向に延びた破断線117を含んでおり、それによってLMA挿管ガイド110が破断線117に沿って破断されることが可能となる。
【0158】
破断線117は、本体111の壁を構成する材料と比較して著しく薄い材料の領域を備えることによって形成されることができ、本体111の対向側面が強制的に引き離されるとき、このより薄い領域は破断可能である。ヒンジラインが通路112の反対側に形成されおり、気管内チューブ150が所定の位置に留まっている間に取り外しを促進するよう、挿管ガイド110を2つのヒンジで接続された部分に分割できるようにされていてもよい。
【0159】
この場合、破断線117は挿管ガイド110の中心面に沿って形成されていることが分かる。この破断線117は、使用中に対象者100の矢状面と整列される。しかし、図示された構成における破断線117の特定の構成は必須ではなく、LMA挿管ガイド110は、それを破断してその取り外しを容易にできる異なる構成を含んでいてもよいことを理解すべきである。
【0160】
上述のように、破断線117は、マスクカフ223の仕切り224の形態で、マスクカフ223を通じて延びていてもよく、これは、図5Aおよび5Bで使用状態で見ることができる。したがって、気管内チューブ150を所定の位置に残したまま、LMA挿管ガイド110の取り外しが可能となるよう、LMA挿管ガイド110の本体111が破断されたとき、ラリンジアルマスク120のマスクカフ223は仕切り224で開く。
【0161】
LMA挿管ガイド110の近位開口113および通路112は、通常、挿管装置140のブレード部142を受け入れるように選択された断面を有している。したがって、特定の断面形状は挿管装置140の設計によることが理解されよう。近位開口113および通路112は、図4Bに示されるように、ブレード部142の断面形状に対応する。しかし、その形状は、その長さに沿った複数の点でブレード部142の特定の形状に応じて変化していてもよい。
【0162】
したがって、近位開口113および通路112の形状は、挿管装置140のブレード部142の断面形状に基づいて選択されていてもよい。上述のように、LMA挿管ガイド110は湾曲していてもよく、そうであれば、LMA挿管ガイド110の曲率は挿管装置140のブレード部142の曲率に基づいて選択されていてもよい。
【0163】
湾曲の程度は、また、本体111を形成するために使用される材料の柔軟性および対象者の気道の解剖学的構造を含む他の範囲の要因によって決められていてもよい。例えば、上述したように、より可撓性を有する材料の使用は、直線のまたは比較的湾曲していない本体111が使用中において変形し、ブレード部142および/または対象者の気道に適合することを可能にし得る。本体111の曲率は、それが比較的可撓性を有する材料から形成されている場合、それほど重要ではない場合があることが理解されよう。しかし、対象者の口への挿入時に崩壊を防ぐために、LMA挿管ガイド110の柔軟性には実際的な制限があることに留意すべきである。
【0164】
さらに、挿管ガイド110の本体111を形成するための比較的より可撓性を有する材料の使用は、異なるサイズおよび形状のブレード部142に対応することを可能にし得るのに対し、異なるLMA挿管ガイド110が異なるサイズおよび形状のブレード部142に対して選択される必要があり得るように、比較的より剛性のある材料の使用がブレードタイプの範囲を制限することがある。
【0165】
様々な異なる形状およびサイズのLMA挿管ガイド110が、異なる年齢、サイズ、および解剖学的構成を有する患者に適合する挿管装置と共に使用されてもよいことに留意すべきである。例えば、異なるLMA挿管ガイド110が小児、成人または肥満の対象者で使用するために提供されてもよく、特定の対象者のために選択されたブレードに対応するように選択される。
【0166】
しかし、LMA挿管ガイド110を形成するための可撓性材料の使用などの上述の技術のいくつかは、同様のLMA挿管ガイド110が様々な異なるブレードで使用されることを可能にし得る。
【0167】
近位開口113および通路112のサイズは、挿管装置140のブレード部142の断面サイズに基づいて選択されていてもよい。いくつかの例では、LMA挿管ガイド110の近位開口113は、そのサイズが挿管装置140のブレード部142の対応する断面サイズよりも小さくなるように意図的に構築されていてもよい。同様に、LMA挿管ガイド110の通路112は、そのサイズが挿管装置140のブレード部142の対応する断面サイズよりも小さくなるように意図的に構築されてもよい。より小さなサイズの近位開口113および/または通路112を備えることで、近位開口113および通路112との境界面でブレード部142の周りのガスの漏れを密閉するのに役立つぴったりとした嵌合が可能となる。
【0168】
可撓性材料がLMA挿管ガイド110の形成に使用される場合、使用中に、近位開口および/または通路112をブレード部142の対応する断面サイズよりも著しく小さいサイズにすることや、ブレード部142を収容するために伸びることが可能になり得るので、このシール効果はより顕著になる場合がある。これに関して、LMA挿管ガイド110は、ブレード部142を受け入れるときに拡張するように構成可能であることが理解されよう。したがって、LMA挿管ガイド110を拡張可能な材料から形成することにより、使用時にブレード部142をLMA挿管ガイド110内によりしっかりと封入することができる。
【0169】
いくつかの実施形態では、LMA挿管ガイドは、胃管導管をさらに含むことができ、それにより、図6A~6Fに示されるような方法を使用して、胃管導管を介して対象者の食道内に胃管をさらに前進させる選択を可能にする。
【0170】
図6Aを参照すると、この方法は、被験者100が仰臥位で横たわる状態で、LMA挿管ガイド110を使用する上述の換気気管内挿管法と同様の方法で開始する。再び、対象の頭101を傾けて、対象の口102、咽頭103および喉頭104の相対的な位置を調整して、処置中の喉頭へのアクセスをより容易にしてもよい。
【0171】
図6Aでは、LMA挿管ガイド610は、対象100の口102への挿入のために提供されるが、この場合、LMA挿管ガイド610は胃管導管611をさらに含んでいる。LMA挿管ガイド110のさらなる詳細は、図7Aおよび7Bで見ることができる。
【0172】
胃管導管611を追加的に含むことは別として、LMA挿管ガイド610のこのバージョンは、LMA挿管ガイド110の前述のバージョンと実質的に同じ構成を有していてもよい。したがって、LMA挿管ガイド610は、一般に、近位開口113と遠位開口114との間に延びた通路112を画定する細長い本体111と、遠位開口114に位置するラリンジアルマスク120と、本体111に少なく部分的に沿って延びた換気エアウェイ115とを含んでいる。
【0173】
従来の人工呼吸挿管法に従って、図6Bに示されるように、LMA挿管ガイド610は対象者100の口102に挿入される。LMA挿管ガイド610が適切に挿入されると、ラリンジアルマスク120は対象者100の喉頭104の近くに配置され、近位開口113は対象者100の口102の近くに配置される。対象者100の喉頭104は、ラリンジアルマスク120で覆われる。膨張可能なマスクカフ223が備えられている場合、これを膨張させて喉頭104の周りにシールを形成することができる。
【0174】
図6Cに関して、対象者の喉頭104がラリンジアルマスク120によって覆われるようにLMA挿管ガイド610が挿入されると、対象者100は、LMA挿管ガイド610の換気エアウェイ115を使用して換気され得る。上述したように、これは、人工呼吸器130を換気エアウェイ115に接続して、換気エアウェイを介してラリンジアルマスク120に近接する送達点に換気ガスを供給可能にすることを含んでいてもよい。
【0175】
対象者100の換気は、必要に応じて図6Cに示されるように継続して実施可能でありき、この点に関して、LMA挿管ガイド610は、従来のラリンジアルマスクエアウェイ装置と同様の方法で使用可能であることが理解されよう。
【0176】
図6Dを参照すると、対象者100が換気されている間、胃管620が胃管導管611を通じて供給されてもよい。
【0177】
図7Aおよび7Bに関して、胃管導管611は本体111に沿って延在し、胃管導管611の近位端に胃管導管ポート701、および胃管導管の遠位端に胃管アパーチャ702を含んでいることが分かる。胃管アパーチャ702は、通常、胃管を胃管アパーチャ702から食道内に前進可能に構成されている。この例では、胃管アパーチャ702は、ラリンジアルマスク120および通路112の外側に配置されているが、この配置はラリンジアルマスクの設計および食道601に対する胃管アパーチャ702の位置によって決まる。胃管アパーチャ702は、胃管をできるだけ食道に近づけるように、ラリンジアルマスク120の最遠位端の近くに配置されることが好ましい。
【0178】
次に、図6Eに示されるように、胃管620の胃管先端621を胃管導管611から胃管アパーチャ702を介して患者100の食道601内に前進させてもよい。胃管アパーチャ702は、使用時に対象者の食道601に面するように構成されていることが好ましく、それによって、胃管先端621を食道601に向けるのを支援する。
【0179】
最後に、図6Fに示すように、胃管620は、必要に応じて胃管を利用するための吸引源または他の医療機器に順に接続できる管630に接続されていてもよい。
【0180】
図6Aから6Fに示される一連のステップに続いて、上述の気管内挿管方法は、本質的に図1D~1Jに示されて説明されるように、引き続き実施できることが理解されるであろう。
【0181】
LMA挿管ガイド610は、対象者の挿管が実施されるのとは無関係に、胃管620が挿入可能に構成されていることが理解されよう。さらに、LMA挿管ガイド610は、対象者の挿管が実施されるのとは無関係に、依然として対象者の換気が可能に構成されていることが理解されよう。したがって、胃管導管611は、上述のように、LMA挿管ガイド610の他の換気および気管内挿管機能を妨害することなく、胃管620の挿入を可能にするよう、通路112とは別に設けられていることが好ましい。
【0182】
再び図7Aおよび7Bを参照すると、胃管導管611は、換気エアウェイ115と同様の方法で、通路112からずれて配置されていてもよいことが分かる。胃管導管611は、また、LMA挿管ガイド110の中心面に対して横方向にずれて配置されていてもよい。いくつかの例では、換気エアウェイ115および胃管導管611は、通路112の反対側で通路112からずれて配置されていてもよい。さらに、胃管導管611は、本体111に沿って延びた換気エアウェイ115のエアウェイ本体部214と同様の方法で、LMA挿管ガイドの本体111と一体的に形成されていてもよい。しかし、この配置は必須ではなく、異なる実施形態は、LMA挿管ガイド110の他の特徴に関連して異なる胃管導管611の位置を有していてもよい。
【0183】
図10Aおよび10Bは、LMA挿管ガイド110の第1の例を有する従来の喉頭鏡を使用して、気管内チューブを手動で前進させるステップを示す断面図である。図10Aおよび10Bに示されるステップは、図1A~1Hを参照して説明される方法の図1Eおよび1Fに示されるステップを効果的に置き換えるが、上記で示した片手バージョンの挿管装置の代わりに、従来の喉頭鏡を挿管装置140として使用することが理解されるだろう。この例の従来の喉頭鏡は、直視またはビデオ喉頭鏡のいずれかであってもよいことが理解されよう。
【0184】
挿管装置140のブレード部142は、図1Eに関して上述したように、一般的にLMA挿管ガイド110の通路112に挿入されると想定される。しかし、図10Aに関して、この場合、気管内チューブ150は挿管装置140とは別に設けられている。図10Bを参照すると、気管内チューブ150は挿管装置140のブレード部142に沿って、通路112を通じて手動で進められ、気管内チューブ150の先端151を対象者の気管105に導入する。その後、残りの方法は、通常、図1G~1Hを参照して上述のように継続することができる。
【0185】
従来の喉頭鏡がこのように挿管装置140として使用される場合、ユーザーは、通常、挿管装置140のハンドル141を保持するために一方の手を使用し、気管内チューブ150を手動で進めるためにもう一方の手を使用することが理解されよう。
【0186】
いずれにせよ、LMA挿管ガイドの上述の方法および異なる実施形態は、使い慣れた挿管装置を使用して、手順中、換気のロスと関連するリスクを低減するために、ラリンジアルマスクエアウェイを介した方法全体を通して換気を実施して、気管内挿管を実施できることが理解されよう。
【0187】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上別段の必要がない限り、「comprise」という単語、および「comprises」または「comprising」などの変化形は、記載された整数、または整数群もしくはステップ群を含むが、他の整数または整数群を排除しないことを意味すると理解されるであろう。本明細書で使用され、特に明記されていない限り、「約」という用語は±20%を意味する。
【0188】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含むことに留意する必要がある。したがって、例えば、「支持体」の表記は複数の支持体を含んでいる。本明細書および以下の特許請求の範囲では、多くの用語が参照されるが、これらの用語は反対の意図が明らかでない限り、以下の意味を持つように定義されるものとする。
【0189】
もちろん、上記は本発明の例示であり、当業者には明らかなように、この発明の他のすべての変更および変形は、ここに規定される本発明の広い範囲および周辺に含まれているものとみなされることを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B