(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ボール搭載装置及びボール搭載方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240409BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H01L21/92 604Z
H01L21/92 604H
H05K3/34 505A
(21)【出願番号】P 2023011576
(22)【出願日】2023-01-30
【審査請求日】2023-03-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592141488
【氏名又は名称】アスリートFA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】小竹 利幸
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-192820(JP,A)
【文献】特開2016-143690(JP,A)
【文献】特開2017-204559(JP,A)
【文献】特開2021-027207(JP,A)
【文献】特開2007-281369(JP,A)
【文献】特開2009-071109(JP,A)
【文献】特開2008-205056(JP,A)
【文献】特開2016-018852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H05K 3/34
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成されたパッド電極の配列パターンに対応して設けられるフラックス印刷用開口部、及び前記フラックス印刷用開口部の配列パターンの内側に前記フラックス印刷用開口部が存在しない非開口領域を有するフラックス印刷用マスクを使用し、前記フラックス印刷用開口部から前記パッド電極にフラックスを印刷するフラックス印刷装置と、
前記パッド電極の配列パターンに対応して設けられるボール振込用開口部、前記フラックス印刷用マスクの前記非開口領域に対応する位置に設けられる前記ボール振込用開口部が存在しない前記非開口領域、及び当該非開口領域の前記基板に対面する面に形成される柱状の突起部を有するボール振込用マスクを使用し、前記ボール振込用開口部から導電性ボールを振り込むボール振込装置と、
前記導電性ボールが振り込まれた前記基板の前記導電性ボールが振り込まれていない領域にある前記パッド電極に前記フラックスを塗布するフラックス転写部、前記非開口領域及び前記ボール振込用開口部のボール搭載不足位置に前記導電性ボールを搭載するボール搭載部、及び前記基板上の余剰ボールを除去する余剰ボール除去部を有するリペア装置と、
を有して
おり、
前記基板における、前記フラックス印刷用マスクの前記非開口領域に対応する領域には、前記パッド電極が配置されており、
前記リペア装置は、前記ボール振込装置によって前記導電性ボールが振り込まれていない前記非開口領域に対応する領域の前記パッド電極に前記導電性ボールを搭載する、
ことを特徴とするボール搭載装置。
【請求項2】
請求項1に記載のボール搭載装置において、
前記ボール振込用マスクは、前記非開口領域が複数個所に配置され、隣り合う前記非開口領域の間に前記ボール振込用開口部がさらに配置され、
複数の前記非開口領域のそれぞれに前記突起部が形成されている、
ことを特徴とするボール搭載装置。
【請求項3】
請求項1に記載のボール搭載装置において、
前記フラックス印刷用マスクは、前記ボール振込用マスクの複数の前記非開口領域と同じ位置に前記非開口領域が配置され、隣り合う前記非開口領域の間に、前記フラックス印刷用開口部がさらに配置されている、
ことを特徴とするボール搭載装置。
【請求項4】
請求項1に記載のボール搭載装置において、
前記突起部の高さは、前記導電性ボールを前記ボール振込用マスクに振り込んだときに、前記導電性ボールの最上部が、前記ボール振込用マスクの上面から突出しない高さにある、
ことを特徴とするボール搭載装置。
【請求項5】
基板に形成されたパッド電極の配列パターンに対応して設けられるフラックス印刷用開口部、及び前記フラックス印刷用開口部の配列パターンの内側に前記フラックス印刷用開口部が存在しない非開口領域を有するフラックス印刷用マスクを使用し、前記フラックス印刷用開口部から前記パッド電極にフラックスを印刷するフラックス印刷工程と、
前記パッド電極の配列パターンに対応して設けられるボール振込用開口部、前記フラックス印刷用マスクの前記非開口領域に対応する位置に設けられる前記ボール振込用開口部が存在しない前記非開口領域、及び前記非開口領域の前記基板に対面する面に形成される柱状の突起部を有するボール振込用マスクを使用し、前記ボール振込用開口部から導電性ボールを振り込むボール振込工程と、
前記導電性ボールの過不足を検出し、過不足を是正するリペア工程と、
を含み、
前記基板における、前記フラックス印刷用マスクの前記非開口領域に対応する領域には、前記パッド電極が配置されており、
前記リペア工程は、前記ボール振込
工程によって前記導電性ボールが振り込まれていない前記非開口領域に対応する領域の前記パッド電極に前記導電性ボールを搭載する、
ことを特徴とするボール搭載方法。
【請求項6】
請求項5に記載のボール搭載方法において、
前記リペア工程は、
前記基板のフラックス印刷欠陥位置、及び前記基板上に搭載された前記導電性ボールの過不足位置を検出する工程と、
前記フラックス印刷欠陥位置に前記フラックスを転写する工程と、
前記導電性ボールの搭載不足の位置に、前記導電性ボールを搭載するボール搭載工程と、
前記基板上にある余剰ボールを除去する余剰ボール除去工程と、
を含む、
ことを特徴とするボール搭載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール搭載装置及びボール搭載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末機器やノート型パソコンなどは、小型化・軽量化及び高性能化によって、半導体チップの高密度化が進んでいる。高密度化に伴い基板(例えば、ウエハ)と他の基板や回路素子との接続手段として、バンプとなる微小径の導電性ボールを基板に高密度に搭載することが可能な導電性ボール搭載装置が採用されてきている。しかし、導電性ボールの高密度搭載と共に、ボール搭載領域の面積が従来の面積より大きくなることに対応可能なボール搭載装置及びボール搭載方法が求められている。
【0003】
ボール搭載領域の面積が大きくなるということは、導電性ボールを基板の所定位置に振り込むためのボール振込用マスクの面積が大きくなる。すると、ボール振込用マスクを基板に吸引する際、又は導電性ボールを振込む際のブラシスキージの押し圧力によって、ボール振込用マスクが基板方向に撓むことがある。ボール振込用マスクが撓むと、予め基板に印刷されたフラックスがボール振込用マスクの裏面に付着したり、ボール振込用開口部にフラックスが入り込んだりするため、所定位置に導電性ボールを配置することができなくなる虞があった。
【0004】
そこで、ボール振込用マスクの基板に対面する裏面に支柱のような突起部を設け、この突起部によって、ボール振込用マスクが撓むことを防止することが可能なボール振込用マスクが開示されている(例えば、特許文献1参照)。この突起部の1例では、突起部は、パット電極の配列パターンに応じて形成された導電性ボールが挿通可能な多数のボール振込用開口部の間の非開口領域に形成されている。また、他の例には、突起部は、上記ボール振込用開口部が形成されていない非開口領域、つまり、導電性ボールを搭載する必要がない非開口領域に突起部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の1例においては、突起部を設けることによって、ボール振込用マスクが撓むことを防止することが可能である。しかし、導電性ボールのボール径及びボール間距離が小さい基板の場合には、非開口領域の面積が小さく、この位置に突起部を形成することは困難である。他の例においては、ボール配列パターン領域内に導電性ボールを配置する必要がない非開口領域を有するボール振込用マスクのみに適用可能であって、ボール配列パターン領域内に非開口領域がなくボール振込用開口部が密集しているようなボール振込用マスクには適用することができない。
【0007】
そこで、本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、ボール搭載領域の面積が大きく、かつ、微小径の導電性ボールが高密度に配列されるパッド電極の配列パターンを有する基板に、導電性ボールをボール搭載欠陥がなく搭載することが可能なボール搭載装置及びボール搭載方法を実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明のボール搭載装置は、基板に形成されたパッド電極の配列パターンに対応して設けられるフラックス印刷用開口部、及び前記フラックス印刷用開口部の配列パターンの内側に前記フラックス印刷用開口部が存在しない非開口領域を有するフラックス印刷用マスクを使用し、前記フラックス印刷用開口部から前記パッド電極にフラックスを印刷するフラックス印刷装置と、前記パッド電極の配列パターンに対応して設けられるボール振込用開口部、前記フラックス印刷用マスクの前記非開口領域に対応する位置に設けられる前記ボール振込用開口部が存在しない前記非開口領域、及び当該非開口領域の前記基板に対面する面に形成される柱状の突起部を有するボール振込用マスクを使用し、前記ボール振込用開口部から導電性ボールを振り込むボール振込装置と、前記導電性ボールが振り込まれた前記基板の前記導電性ボールが振り込まれていない領域にある前記パッド電極に前記フラックスを塗布するフラックス転写部、前記非開口領域及び前記開口領域のボール搭載不足位置に前記導電性ボールを搭載するボール搭載部、及び前記基板上の余剰ボールを除去する余剰ボール除去部を有するリペア装置と、を有していることを特徴とする。
【0009】
[2]本発明のボール搭載装置においては、前記ボール振込用マスクは、前記非開口領域が複数個所に配置され、隣り合う前記非開口領域の間に前記ボール振込用開口部がさらに配置され、複数の前記非開口領域のそれぞれに前記突起部が形成されていることが好ましい。
【0010】
[3]本発明のボール搭載装置においては、前記フラックス印刷用マスクは、前記ボール振込用マスクの前記複数の前記非開口領域と同じ位置に前記非開口領域が配置され、隣り合う前記非開口領域の間に、前記フラックス印刷用開口部がさらに配置されていることが好ましい。
【0011】
[4]本発明のボール搭載装置においては、前記突起部の高さは、前記導電性ボールを前記ボール振込用マスクに振り込んだときに、前記導電性ボールの最上部が、前記ボール振込用マスクの上面から突出しない高さにあることが好ましい。
【0012】
[5]本発明のボール搭載方法は、基板に形成されたパッド電極の配列パターンに対応して設けられるフラックス印刷用開口部、及び前記フラックス印刷用開口部の配列パターンの内側に前記フラックス印刷用開口部が存在しない非開口領域を有するフラックス印刷用マスクを使用し、前記フラックス印刷用開口部から前記パッド電極にフラックスを印刷するフラックス印刷工程と、前記パッド電極の配列パターンに対応して設けられるボール振込用開口部、フラックス印刷用マスクの前記非開口領域に対応する位置に設けられる前記ボール振込用開口部が存在しない前記非開口領域、及び前記非開口領域の前記基板に対面する面に形成される柱状の突起部を有するボール振込用マスクを使用し、前記ボール振込用開口部から導電性ボールを振り込むボール振込工程と、前記導電性ボールの過不足を検出し、過不足を是正するリペア工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
[6]本発明のボール搭載方法においては、前記リペア工程は、前記基板のフラックス印刷欠陥位置、及び前記基板上に搭載された前記導電性ボールの過不足位置を検出する工程と、前記フラックス印刷欠陥位置に前記フラックスを転写する工程と、前記導電性ボールの搭載不足の位置に、前記導電性ボールを搭載するボール搭載工程と、前記基板上にある余剰ボールを除去する余剰ボール除去工程と、を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のボール搭載装置及びボール搭載方法は、フラックス印刷装置によって、フラックス印刷用開口部の配列パターンの内側に非開口領域を有するフラックス印刷用マスクを使用してフラックスを基板に印刷する。また、ボール振込装置は、フラックス印刷用マスクと同じ位置にボール振込用開口部及び非開口領域を有するボール振込用マスクを使用し、ボール振込用開口部から基板に導電性ボールを振り込む。ボール振込用マスクの非開口領域には、基板に対面する裏面に柱状の突起部を有している。このような突起部を有することによって、導電性ボールを基板上に振り込むとき、ボール搭載領域及びボール振込用マスクの面積が大きくなっても、ボール振込用マスクが基板側に撓むことを防止することができる。その結果、予め基板に印刷されているフラックスが、ボール振込用マスクの裏面やボール振込用開口部に付着することがなくなり、付着したフラックスによってボール搭載欠陥が発生することを防止することが可能となる。
【0015】
導電性ボールが微小化し、高密度配列となる場合、突起部を設けることが困難になるが、非開口領域を設け、この非開口領域には、導電性ボールの配列密度に関係なく突起部を設けることが可能となる。ただし、非開口領域では、ボール振込装置では導電性ボールを基板に振り込むことができない。しかし、リペア装置によって、非開口領域内のパッド電極に、フラックスの塗布及び導電性ボールの搭載を行うことができる。また、リペア装置は、ボール搭載装置によって振り込まれた導電性ボールの過不足を是正する機能も有している。
【0016】
以上説明したボール搭載装置及びボール搭載方法によれば、ボール搭載領域の面積が大きく、かつ、微小径の導電性ボールが高密度に配列されるパッド電極の配列パターンを有する基板に、導電性ボールをボール搭載欠陥がなく搭載することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】ボール搭載装置1の概略構成を示す平面図である。
【
図2】リペア装置5を
図1の点線の矢印方向から見た正面図である。
【
図4】ボール振込用マスク47の構成例を示す図である。
【
図5】ボール振込用マスク47の変形例を示す図である。
【
図6】フラックス印刷用マスク26の構成例を示す図である。
【
図7】フラックス印刷用マスク26の変形例を示す図である。
【
図9】フラックス印刷ユニット20の動作を示す説明図である。
【
図10】ボール振込ユニット40の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係るボール搭載装置1及びボール搭載方法について図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図は、説明を分かりやすくするために、構成要素の大きさや間隔、縮尺などを誇張している。
【0019】
(ボール搭載装置1の構成)
図1は、ボール搭載装置1の概略構成を示す平面図である。なお、紙面の左右方向をX軸、X軸に直交する方向をY軸、X-Y平面に対して鉛直方向(紙面の上下方向)をZ軸又は上下方向と表し説明する。ボール搭載装置1は、基板Wの給材装置である搬送用ロボット装置2、基板WにフラックスFを印刷するフラックス印刷装置3、フラックスFが印刷された基板Wに導電性ボールS(
図3(b)参照)を振り込むボール振込装置4、及び振り込まれた導電性ボールSの過不足を是正するリペア装置5で構成されている。搬送用ロボット装置2、フラックス印刷装置3、ボール振込装置4、及びリペア装置5は、X軸方向に連結配置されている。
【0020】
搬送用ロボット装置2は、第1ロードポート11と第2ロードポート12の各々に配置されるFOUP(Front-Opening-Unified-Pod)13に収容されている基板Wをフラックス印刷装置3に搬送するロボットアーム14を有している。ロボットアーム14は、第1ロードポート11及び第2ロードポート12のいずれから基板Wをピックアップしてプレアライナ15に搬送し、プレアライナ15において基板Wの位置補正をした後、フラックス印刷装置3に配置される第1基板置台16に搬送する。
【0021】
(フラックス印刷装置3の構成)
フラックス印刷装置3は、中央部にフラックス印刷ユニット20を有し、フラックス印刷時に基板Wを吸着保持する基板ステージ21、基板ステージ21を挟んで図示左方側に配置される第1基板置台16、及び図示右方側に配置される第2基板置台22を有している。基板ステージ21の図示下方側には、第1基板搬送ユニット23が配置されている。第1基板搬送ユニット23は、第1基板搬送アーム24及び第2基板搬送アーム25を有している。基板ステージ21のZ軸上方側には、フラックス印刷用マスク26が配置されており、フラックス印刷用スキージ140(
図9参照)によって基板WにフラックスFを印刷する。
【0022】
次いで、第1基板搬送ユニット23による基板Wの搬送について説明する。説明にあたり、初期位置として、基板Wが第1基板置台16に搬送されており、基板ステージ21には、フラックスFが印刷された基板Wがあるものとする。まず、X軸スライダー28によって、第1基板搬送アーム軸29が第1基板置台16の中心からワーク搬送軌跡Lに対して直交する直線上となる位置まで、第1基板搬送アーム24及び第2基板搬送アーム25を保持する保持ブロック27を移動する。次に、第1基板搬送ユニット23は、第2基板搬送アーム軸30を回転中心として第2基板搬送アーム25を時計回りに90度回転し、第1基板搬送アーム軸29を回転中心として第1基板搬送アーム24を反時計回りに90度回転する。
【0023】
すると、第2基板搬送アーム25の基板保持部25aが基板Wと基板ステージ21との間に入り込み、基板Wを吸着する。第1基板搬送アーム24は、基板保持部24aの開口している部分が、第1基板置台16の中心に向いている状態で、Y軸移動用アクチュエータ31によって第1基板置台16に向かって移動する。すると、第1基板搬送アーム24の基板保持部24aが基板Wと第1基板置台16との間に入り込み、基板Wを吸着する。
【0024】
第2基板搬送アーム25は、フラックスFが印刷された基板Wを吸着し、第1基板搬送アーム24は、フラックス印刷前の基板Wを吸着した後、X軸スライダー28によって、保持ブロック27と一体で図示右側の位置(
図1に示す位置)に移動される。第2基板搬送アーム25は、フラックスFが印刷された基板Wを基板ステージ21から第2基板置台22に搬送する。第1基板搬送アーム24は、フラックス印刷前の基板Wを第1基板置台16から基板ステージ21に搬送する。第2基板置台22のY軸上方には、第2基板搬送ユニット33が配置されている。
【0025】
第2基板搬送ユニット33は、Y軸アクチュエータ34、X軸スライダー35及び第3基板搬送アーム36で構成されている。第2基板置台22には、フラックスFが印刷された基板Wが載置されている。第3基板搬送アーム36は、
図1に示す位置からY軸アクチュエータ34によって基板保持部36aが基板Wと第2基板置台22との間に入り込むまで移動し、基板保持部36aは基板Wを吸着する。フラックスFが印刷された基板Wを吸着した第3基板搬送アーム36は、X軸スライダー35によって、ボール振込装置4の第3基板置台42に搬送する。
【0026】
フラックス印刷装置3において、第1基板搬送アーム24及び第2基板搬送アーム25は、
図1に示す初期状態に戻り、フラックス印刷ユニット20によって、基板WにフラックスFが印刷される間待機している。なお、フラックスFの印刷方法は、
図9を参照して説明する。
【0027】
(ボール振込装置4の構成)
ボール振込装置4は、中央部にボール振込ユニット40を有し、ボール振込時に基板Wを吸着保持する基板ステージ41、基板ステージ41を挟んで図示左方側に配置される第3基板置台42、及び図示右方側に配置される第4基板置台43を有している。基板ステージ41の図示下方側には、第3基板搬送ユニット44が配置されている。第3基板搬送ユニット44は第4基板搬送アーム45及び第5基板搬送アーム46を有している。基板ステージ41のZ軸上方側には、ボール振込用マスク47が配置されており、ブラシスキージ141(
図9参照)によって基板Wに導電性ボールSを振り込まれる。
【0028】
次いで、第3基板搬送ユニット44による基板Wの搬送について説明する。説明にあたり、初期位置として、フラックスFが印刷された基板Wが第3基板置台42に搬送されており、基板ステージ41には、導電性ボールSが搭載された基板Wがあるものとする。まず、X軸スライダー48によって、第4基板搬送アーム軸50が、第3基板置台42の中心からワーク搬送軌跡Lに対して直交する直線上となる位置まで保持ブロック57を移動する。次に、第3基板搬送ユニット44は、第3基板搬送アーム軸49を回転中心として第5基板搬送アーム46を時計回りに90度を回転し、第4基板搬送アーム軸50を回転中心として第4基板搬送アーム45を反時計回りに90度を回転する。
【0029】
すると、第5基板搬送アーム46の基板保持部46aが基板Wと基板ステージ41との間に入り込み、基板Wを吸着する。第4基板搬送アーム45は、基板保持部45aの開口している部分が、第3基板置台42の中心に向いている状態で、Y軸移動用アクチュエータ51によって第3基板置台42に向かって移動する。すると、第4基板搬送アーム45の基板保持部45aが基板Wと第3基板置台42との間に入り込み、基板Wを吸着する。
【0030】
第5基板搬送アーム46は、導電性ボールSが搭載された基板Wを吸着し、第4基板搬送アーム45は、フラックスFが印刷された基板Wを吸着した後、X軸スライダー48によって、保持ブロック57と一体で図示右側の位置(
図1に示す位置)に移動される。第5基板搬送アーム46は、導電性ボールSが搭載された基板Wを基板ステージ41から第4基板置台52に搬送する。第4基板搬送アーム45は、ボール搭載前の基板Wを第3基板置台42から基板ステージ41に搬送する。第4基板置台52のY軸上方には、第4基板搬送ユニット53が配置されている。
【0031】
第4基板搬送ユニット53は、Y軸アクチュエータ54、X軸スライダー55及び第6基板搬送アーム56で構成されている。第4基板置台52には、導電性ボールSが搭載された基板Wが載置されている。第6基板搬送アーム56は、
図1に示す位置からY軸アクチュエータ54によって基板保持部54aが基板Wと第4基板置台52との間に入り込むまで移動し、基板保持部54aは基板Wを吸着する。導電性ボールSが搭載された基板Wを吸着した第6基板搬送アーム56は、X軸スライダー55によって、リペア装置5の基板ステージ70に搬送する。
【0032】
ボール振込装置4において、第4基板搬送アーム45及び第5基板搬送アーム46は、
図1に示す初期状態に戻り、ボール振込ユニット40によって、基板Wに導電性ボールSが印刷される間待機している。なお、導電性ボールSの振込方法は、
図10を参照して説明する。
【0033】
(リペア装置5の構成)
続いて、
図1及び
図2を参照してリペア装置5の構成について説明する。リペア装置5は、導電性ボールSが基板Wの所定のパッド電極107(
図3参照)に適切に搭載されているか否かを検査し、導電性ボールSが所定のパッド電極107に搭載されていない場合に是正する装置である。
【0034】
図2は、リペア装置5を
図1の点線の矢印方向から見た正面図である。なお、
図2は、
図1に対して拡大して表している。リペア装置5は、検査部60、フラックス転写部61、ボール搭載部62及び余剰ボール除去部63を有している。リペア装置5は、ボール振込装置4から導電性ボールSが搭載された基板Wを受取り保持する基板ステージ70、基板ステージ70をX軸方向及びY軸方向に搬送するステージ搬送機構64をさらに有している。ステージ搬送機構64、検査部60、フラックス転写部61、ボール搭載部62及び余剰ボール除去部63は、架台65上に直列に配置されている。また、検査部60、フラックス転写部61、ボール搭載部62及び余剰ボール除去部63は、平面視して略コの字状のフレーム68によって支持され、フレーム68は両端部を支柱69によって架台65に固定されている。
【0035】
ステージ搬送機構64は、ボール振込装置4から搬送された基板Wを保持した基板ステージ70を、Y軸ガイド71に沿ってY軸方向に移動するY軸駆動部72、X軸ガイド73に沿ってX軸方向に移動するX軸駆動部74、及び基板ステージ70に固定されたキャリブレーション部75を有している。キャリブレーション部75は、フラックス転写部61、ボール搭載部62、余剰ボール除去部63のX軸方向の位置情報、Y軸方向の位置情報及びZ軸方向の位置情報を取得する。これらの位置情報は、フラックス転写部61のフラックス転写ピン76の先端、ボール搭載部62のボール搭載ノズル77の先端、及び余剰ボール除去部63のボール除去ノズル78の先端それぞれのX、Y、Z各軸方向の位置の情報である。そして、キャリブレーション部75が取得した位置情報により、基板Wの位置が較正される。
【0036】
検査部60は、導電性ボールSが基板Wのパッド電極107(
図3参照)に適切に搭載されているか否かを検査する。検査部60は、主検査部66及びベリファイ用検査部67で構成されている。主検査部66は、搬送されてきた基板Wを撮像するカメラ80、カメラ80をZ軸方向に駆動するZ軸駆動部81、及び照明装置82を有している。ベリファイ用検査部67は、搬送されてきた基板Wを撮像するカメラ85、カメラ85をZ軸方向に移動するZ軸駆動部86、及び照明装置87を有している。主検査部66は、導電性ボールSが基板Wのパッド電極107に適切に搭載されているか否かの情報を取得する。ベリファイ用検査部67は、主検査部66の情報に基づき、カメラ85によりボール搭載領域105A~105D(
図3参照)を撮像し、リペア(是正)を必要とする位置情報を取得する。ベリファイ用検査部67が取得した情報は、画像として、表示装置Dに表示される。オペレーターは、表示装置Dに表示された画像を目視することにより、リペア装置5による修正が必要か否かを判断することができる。
【0037】
フラックス転写部61は、非開口領域132のパッド電極107にフラックスFを塗布するフラックス転写ピン76、フラックス転写ピン76にフラックスFを供給するフラックストレイ90、フラックストレイ90をY軸方向に移動するY方向駆動部91、フラックスFの転写対象位置を撮像するカメラ92、及び照明装置93を有している。フラックス転写部61は、フラックス転写ピン76、フラックストレイ90及びカメラ92をZ軸方向に移動するZ方向駆動部94を有している。フラックス転写ピン76は、フラックストレイ90でフラックスFを付着させ、フラックストレイ90がフラックス転写ピン76の位置からY軸方向に退避している間に、降下して基板W(パッド電極107)の転写対象位置に1か所ずつフラックスFを転写する。フラックスFの転写対象位置は、ボール振込用マスク47の非開口領域117(
図4参照)に位置するパッド電極107の位置である。
【0038】
ボール搭載部62は、ボール振込用マスク47の非開口領域117及びボール振込装置4でボール振込不足となったパッド電極107に導電性ボールSを搭載するボール搭載ノズル77、ボール搭載ノズル77に導電性ボールSを供給するボール供給トレイ96、ボール供給トレイ96をY軸方向に移動するY軸駆動部97、及びボール搭載ノズル77をZ軸方向に移動するZ軸駆動部98を有している。ボール搭載ノズル77は、ボール供給トレイ96から導電性ボールSを吸着し、ボール搭載対象位置に導電性ボールSを搭載する。ボール搭載ノズル77は、導電性ボールSを吸着した後、ボール供給トレイ96がボール搭載ノズル77からY軸方向に退避している間に降下してボール搭載対象位置に導電性ボールSを搭載する。導電性ボールSの搭載対象位置は、ボール振込用マスク47の非開口領域117にあるパッド電極107の位置、或いは、ボール振込用開口領域115においてボール搭載欠陥が認められたパッド電極107の位置である。
【0039】
余剰ボール除去部63は、導電性ボールSが基板Wに必要以上に搭載されていたり、所定のパッド電極107から位置がずれていたりする導電性ボールS(余剰ボールという)を除去するボール除去ノズル78、余剰ボールを回収する余剰ボール受トレイ100、余剰ボール受トレイ100をY軸方向に移動するY軸駆動部101、及びボール除去ノズル78をZ軸方向に移動するZ軸駆動部102を有している。ボール除去ノズル78は、基板W上に残った余剰ボールを吸着し、余剰ボール受トレイ100に排出する。ボール除去ノズル78は、余剰ボール受トレイ100がY軸方向に退避している間に降下して余剰ボールを吸着し、上昇した後、余剰ボール受トレイ100がボール除去ノズル78の下方に移動し、余剰ボールを排出する。
【0040】
続いて、ボール搭載装置1において、導電性ボールSが搭載される基板W、使用されるフラックス印刷用マスク26及びボール振込用マスク47について説明する。まず、ボール搭載装置1で導電性ボールSが搭載されたときの基板Wについて説明する。
【0041】
(基板Wの構成)
図3は、基板Wの1構成例を示す平面図である。
図3(a)は平面図、
図3(b)は基板Wの一部を拡大して示す断面図である。
図3(a)において点線で囲まれた領域は、ボール搭載領域105であって、本例では、4か所にボール搭載領域105A~105Dが設けられている。ボール搭載領域105A~105Dには、パッド電極107が形成されている。基板Wは、シリコンウエハなどであって、外形形状が円形又は四角形である。また、パッド電極107は、再配線された電極である。基板Wは、導電性ボールSが搭載された後に、ボール搭載領域105A~105Dの間のスクライブライン106で切断することにより基板WA~基板WDに固片化され、それぞれが半導体集積回路チップとなる。
【0042】
基板Wの切断は、導電性ボールSを搭載した基板Wをリフローし、導電性ボールSのバンプを形成した後、又は回路素子実装後に行われる。
図3(a)に示す基板Wには、
図3(a)は、基板Wに設けられたパッド電極107、及び導電性ボールSが搭載される多数のパッド電極107が整列配置されている。ただし、パッド電極107は、図示の都合上、各パッド電極形成領域内に、横列が10、縦列が8の配列としているが、実際には、さらに多数設けられている。本例のパッド電極107のピッチは、大略50μm~400μmである。
図3(b)に示すように、パッド電極107は、基板Wに設けられた凹部108の底部に設けられている。パッド電極107が形成され、フラックスFが印刷された後、導電性ボールSが凹部108内に振り込まれる。本例の導電性ボールSの直径は、10μm~30μmである。
【0043】
ボール振込用マスク47を介して基板W上に導電性ボールSを振り込む際に、ボール振込用マスク47の中央部がブラシスキージ141(
図10参照)の押圧力によって基板W側に撓むことがある。ボール振り込みの前には、基板WにはフラックスFが印刷されている。そのため、ボール振込用マスク47の基板Wに対面する面(以降、裏面47aとする)や、導電性ボールSを振り込むボール振込用開口部116(
図4参照)にフラックスFが付着することがあり、そのことによりボール搭載欠陥が発生することがある。そこで、ボール振込用マスク47は、撓み防止の工夫をしている。フラックス印刷用マスク26は、ボール振込用マスク47にフラックスFを付着させない工夫をしている。以下に、ボール振込用マスク47及びフラックス印刷用マスク26の構成について説明する。
【0044】
(ボール振込用マスク47の構成)
図4は、ボール振込用マスク47の構成例を示す図である。
図4(a)は、全体平面図、
図4(b)は、ボール振込用マスク47の一部(ボール振込用開口領域115A部分)を拡大して示す断面図である。なお、
図4に示すボール振込用マスク47は、
図3に示した基板Wに対応している例である。ボール振込用マスク47は、固片化された基板WA~基板WD(
図3参照)それぞれに対応した位置にボール振込用開口領域115A~115Dを有している(図中、点線の枠内)。ボール振込用開口領域115A~115Dは、パッド電極107に対応した位置にボール振込用開口部116を有している。但し、ボール振込用開口部116の配列パターンの内側の中央部には、ボール振込用開口部116が形成されていない非開口領域117が設けられている。なお、ボール振込用開口領域115A~115Dを総称してボール振込用開口領域115と記載することがある。
【0045】
ボール振込用マスク47の非開口領域117には、基板Wに対面する裏面47a側に柱状の突起部118が設けられている。突起部118は、円柱、円錐台、角柱又は角錐台など形状は任意の形状とすることが可能であり、また、ボール振込用マスク47と同じ材質としたり、異なる材質としたり、又はボール振込用マスク47と一体構成としたりすることが可能である。本例のボール振込用マスク47は、メタルマスクであって、突起部118を樹脂製とすることも可能である。ボール振込用マスク47は、非常に薄いため、取り扱いの際、そのままでは撓むことがあるため、4辺の外周縁両面をフレーム119で補強している。なお、
図4(a)において、フレーム119は、二点鎖線で表している。
【0046】
ボール振込用マスク47の裏面47a側に配置されるフレーム119は、ボール振込時において基板Wに接し、ボール振込用マスク47の裏面47aと基板Wとの隙間位置を規制するスペーサー120となる。突起部118は、非開口領域117の範囲内で、ボール振込時に変形(例えば、座屈)しない強度を有する大きさであり、ボール振込時において、パッド電極107に印刷されているフラックスFに接触しない高さを有している。また、突起部118の高さは、ブラシスキージ141で導電性ボールSをボール振込用マスク47に振り込むときに、導電性ボールSをフラックスFに適度に押え込み、ブラシスキージ141で振り込まれた導電性ボールSを掻き出すことを防止することが可能な高さである。また、スペーサー120は、ボール振込用マスク47の裏面47aと基板Wとの隙間を最適に管理するものである。そのため、突起部118の高さはスペーサー120の厚みと略同じとすることが好ましい。
【0047】
ところで、ボール振込用マスク47の構成は、
図4に示した構成に限らない。そこで、ボール振込用マスク47の変形例について、
図5を参照して説明する。
【0048】
図5は、ボール振込用マスク47の変形例を示す図である。
図5(a)は、全体平面図、
図5(b)は、ボール振込用マスク47の一部(ボール振込用開口領域115A部分)を拡大して示す断面図である。ボール振込用マスク47は、4か所のボール振込用開口領域115A~115Dを有している。
図5に示す例は、
図4に示したボール振込用マスク47の構成例に対し、各ボール振込用開口領域が、図示横方向に大きくした例である。つまり、ボール振込用マスク47が横方向に大きくなっている。各ボール振込用開口領域には、複数個所の非開口領域117(本例では、非開口領域117A,117B)が設けられている。この2か所の非開口領域117A,117Bの各々に突起部118(突起部118A,118Bとする)が設けられている。
図4の説明と共通に説明できる部位には
図4と同じ符号を付して説明する。フレーム119の図示は省略する。
【0049】
ボール振込用マスク47の非開口領域117A,117B各々には、基板Wに対面する裏面47a側に柱状の突起部118A,118Bが設けられている。突起部118A,118Bに高さは同じである。突起部118A,118Bは、
図4に示したボール振込用マスク47と同様に、円柱、円錐台、角柱又は角錐台など形状は任意の形状とすることが可能であり、また、ボール振込用マスク47と同じ材質としたり、異なる材質としたり、又はボール振込用マスク47と一体構成としたりすることが可能である。突起部118A、118Bは、非開口領域117A、117Bの範囲で、ボール振込時に変形(例えば、座屈)しない強度を有する大きさであり、ボール振込時において、パッド電極107に印刷されているフラックスFに接触しない高さを有している。
【0050】
ところで、
図5(a)に示すように非開口領域117Aと非開口領域117Bの間には、ボール振込用開口部116が配置されている。非開口領域117A,117Bを連続する構成も有り得る。しかし、非開口領域117A,117Bには、ボール振込装置4において、ボール振込用マスク47を使用して導電性ボールSを振り込むことができない。そのため、
図3に示すような導電性ボールSの配列パターンを実現するためには、リペア装置5による導電性ボールSの追加搭載工程に時間を要することになるため、導電性ボールSの追加搭載の数は少ない方が好ましい。そこで、非開口領域117A,117Bの範囲を狭くし、非開口領域117Aと非開口領域117Bの間に、ボール振込用開口部116を配置している。
【0051】
なお、ボール振込用マスク47が、さらに大判化される場合、つまり、ボール振込用開口領域115A~115Dが広くなる場合には、非開口領域117の数を増やしたり、例えば、ボール振込用開口領域115A~115Dのうちの隣り合うボール振込用開口領域115の間に突起部118を追加したりすることが可能である。
【0052】
(フラックス印刷用マスク26の構成)
図6は、フラックス印刷用マスク26の構成例を示す図である。なお、
図6に示すフラックス印刷用マスク26は、
図4に示したボール振込用マスク47に対応している例である。フラックス印刷用マスク26は、ボール振込用開口領域115A~115Dそれぞれに対応した位置にフラックス印刷用開口領域130A~130Dを有している(図中、点線の枠内)。フラックス印刷用開口領域130A~130Dは、ボール振込用開口部116に対応した位置にフラックス印刷用開口部131を有している。但し、フラックス印刷用開口部131の配列パターンの内側の中央部には、フラックス印刷用開口部131が形成されていない非開口領域132が設けられている。
【0053】
すなわち、フラックス印刷用マスク26は、ボール振込用マスク47のボール振込用開口領域115A~115D、ボール振込用開口部116及び非開口領域117のそれぞれに対して、同じ位置に、フラックス印刷用開口領域130A~130D、フラックス印刷用開口部131、及び非開口領域132を有して構成されている。フラックス印刷用マスク26は、非開口領域132を設けることによって、ボール振込用マスク47の非開口領域117,117A,117Bに設けられる突起部118の先端部分にフラックスFが付着することに起因するボール搭載欠陥が発生することを防止している。
【0054】
なお、フラックス印刷用マスク26は、ボール振込用マスク47に対応した構成とすることから、非開口領域132が2か所に設けられる構成にも同様に対応することが可能である。フラックス印刷用マスク26の変形例として
図7を参照して説明する。
【0055】
図7は、フラックス印刷用マスク26の変形例を示す平面図である。フラックス印刷用マスク26の変形例は、
図5で示したボール振込用マスク47の変形例に対応しており、ボール振込用開口領域115A,115B,115C,115Dと同じ位置にフラックス印刷用開口領域130A,130B,130C,130Dが配置されている(図中、点線の枠内)。そして、ボール振込用開口部116と同じ位置にフラックス印刷用開口部131が配置され、ボール振込用マスク47の非開口領域117A,117Bと同じ位置に、フラックス印刷用開口部131が形成されていない非開口領域132A,132Bが配置されている。変形例によるフラックス印刷用マスク26は、非開口領域132A,132Bを設けることによって、ボール振込用マスク47の非開口領域117A,117Bに設けられる突起部118A,118Bの先端部分にフラックスFが付着することに起因するボール搭載欠陥が発生することを防止している。
【0056】
続いて、ボール搭載装置1を使用するボール搭載方法について、
図8に示す工程フロー図に沿って、
図9、
図10及び既述した
図1~
図7を参照しながら説明する。
【0057】
(ボール搭載方法)
図8は、ボール搭載方法を示す工程フロー図である。まず、搬送用ロボット装置2によって、基板Wをフラックス印刷装置3に搬送する(ステップS1)。次いで、フラックス印刷装置3によって、基板Wのパッド電極107にフラックスFを印刷する(フラックス印刷工程、ステップS2)。フラックス印刷方法ついては、
図9を参照して説明する。
【0058】
(フラックス印刷方法)
図9は、フラックス印刷ユニット20の動作を示す説明図である。
図9(a)は、フラックス印刷動作を模式的に示す断面図、
図9(b)は、
図9(a)の点線Aで囲まれた範囲を拡大して示す図である。フラックス印刷は、基板Wを基板ステージ21に真空吸着した状態で、フラックス印刷用マスク26及びフラックス印刷用スキージ140を使用して行う。基板ステージ21は、真空吸引孔21aを有している。フラックス印刷用スキージ140は、フラックス印刷用マスク26を傷つけないように柔軟性を有する樹脂製としている。基板Wは、フラックス印刷用マスク26に対して所定の隙間を有するように、ステージ上下駆動アクチュエータ(図示は省略)によって調整される。
【0059】
フラックス印刷用スキージ140は、フラックス印刷用マスク26を基板Wに接触する位置まで押圧しつつ図示矢印方向に移動しながらフラックスFを基板Wのパッド電極107上に印刷する。
図9(b)においては、左側のフラックス印刷用開口部131の位置を位置(1)、中間のフラックス印刷用開口部131の位置を位置(2)、右側のフラックス印刷用開口部131の位置を位置(3)とする。基板Wには、導電性ボールSを振り込む位置に凹部108が形成されており、凹部108の底部にはパッド電極107が形成されている。
【0060】
位置(1)は、フラックス印刷用スキージ140がフラックス印刷用開口部131を通過した直後のフラックスFを表しており、フラックスFはフラックス印刷用マスク26の表面からはみ出ない。そして、フラックスFは、凹部108内においてパッド電極107に接触するように収まる。位置(2)は、フラックス印刷用スキージ140がフラックス印刷用開口部131から基板WにフラックスFを印刷する直前を表している。位置(3)は、次に印刷するフラックス印刷用開口部131を表している。スキージ動作終了後にフラックス印刷用マスク26を版離れさせると、パッド電極107にフラックスFが塗布され、フラックス印刷が完了する。
【0061】
なお、フラックス印刷用マスク26は、
図6で示したように、基板Wに形成されたパッド電極107の配列パターンに対応したフラックス印刷用開口部131、及びフラックス印刷用開口部131の配列パターンの内側にフラックス印刷用開口部131が存在しない非開口領域132を有している。当然、非開口領域132においては、パッド電極107にはフラックスFが印刷されないことになる。
【0062】
フラックスFが印刷された基板Wは、第2基板搬送ユニット33によってボール振込装置4に搬送され(ステップS3)、ボール振込装置4によって、基板Wに導電性ボールSを振り込む(ボール振込工程、ステップS4)。ボール振込方法については、
図9を参照して説明する。
【0063】
(ボール振込方法)
図10は、ボール振込ユニット40の動作を示す図である。
図10(a)はボール振込動作を模式的に示す断面図、
図10(b)は、
図10(a)の点線Aで囲まれた範囲を拡大して示す図である。ボール振込ユニット40において、ボール振込は、フラックスFが印刷された基板Wを基板ステージ41に吸着した状態で、ボール振込用マスク47及びブラシスキージ141を使用して行う。基板Wの吸着は、基板Wが突起部118を有しているため、基板ステージ41の下方側に配置された磁石(図示は省略)によって磁気吸引される。ブラシスキージ141は、ボール振込部142の下方側のブラシ取付け部143に端部が埋め込まれた結束線状部材で構成されている。ボール振込用マスク47は、基板ステージ41に吸引されるが、突起部118とスペーサー120とによって、撓むことなく裏面47aと基板Wとの隙間が一定に保持されている。
【0064】
ブラシスキージ141は、回転しつつX方向及びY方向に移動し、ボール振込部142からブラシスキージ141の回転軌跡内に供給された導電性ボールSをボール振込用マスク47のボール振込用開口部116に振り込む。
【0065】
図10(b)に示すように、ボール振込用マスク47上に供給された導電性ボールSは、ブラシスキージ141によってボール振込用開口部116に1個ずつ振り込まれる。基板Wのパッド電極107上にはフラックスFが印刷されている。導電性ボールSは、ブラシスキージ141によってフラックスFに軽く押しつけられることによって、フラックスFの粘着性によって仮固定され、その後の基板搬送において仮固定された状態が維持される。
【0066】
なお、ボール振込用マスク47は、
図4で示したように、基板Wに形成されたパッド電極107の配列パターンに対応したボール振込用開口部116、及びボール振込用開口部116の配列パターンの内側にボール振込用開口部116が存在しない非開口領域117と、を有している。当然、非開口領域117においては、パッド電極107に導電性ボールSは振り込まれないことになる。
【0067】
(リペア方法)
ボール振込装置4によって導電性ボールSが振り込まれた基板Wは、第3基板搬送ユニット44によってリペア装置5に搬送される(ステップS5)。ボール振込装置4から搬送された基板Wは、基板ステージ70に吸着保持され、ステージ搬送機構64によって検査部60の下方位置に搬送される。検査部60は、主検査部66及びベリファイ用検査部67によってフラックス印刷なし位置(フラックス印刷欠陥位置)、及び導電性ボールSの過不足位置(ボール搭載欠陥位置)を検出する(ステップS6)。フラックス印刷なし位置とは、フラックス印刷用マスク26の非開口領域132における本来フラックスが印刷されるべきパッド電極107の位置である。
【0068】
導電性ボールSの不足の検出としては、ボール振込装置4では振り込まれることがない、ボール振込用マスク47の非開口領域117に配置されるパッド電極107の位置、及びボール振込装置4で振り込まれるべき位置に導電性ボールSが無いパッド電極107の位置である。また、導電性ボールSの過剰の検出としては、基板Wに導電性ボールSが所定数以上振り込まれている場合や、導電性ボールSが所定位置からずれて搭載されている場合であり、これを余剰ボールという。
【0069】
フラックス転写部61は、検査部60において検出されたフラックス印刷なし位置情報に基づき、フラックス転写ピン76にフラックストレイ90内のフラックスFを付着させ、フラックスFが印刷されていないパッド電極107にフラックスFを転写する(ステップS7)。フラックス転写は、ステージ搬送機構64によって、フラックス転写ピン76と、フラックス転写対象位置との位置合わせをした後に行われる。フラックス転写工程は、必要な数だけ繰り返される。
【0070】
続いて、フラックス転写部61においてフラックスFが転写されたパッド電極107及びボール振込装置4においてボール搭載不足となっている位置に導電性ボールSを搭載する。具体的には、ボール搭載部62は、検査部60において検出されたボール搭載不足位置情報に基づき、ボール搭載ノズル77がボール供給トレイ96から導電性ボールSを吸着し、ボール搭載不足となっているパッド電極107に導電性ボールSを搭載する(ステップS8)。ボール搭載は、ステージ搬送機構64によって、ボール搭載ノズル77と、ボール搭載対象位置との位置合わせをした後に行われる。ボール搭載工程は、必要な数だけ繰り返される。
【0071】
次いで、余剰ボールを除去する(ステップS9)。余剰ボール除去部63は、検査部60において検出された余剰ボールの位置情報に基づき、ボール除去ノズル78で余剰ボールを吸着し、余剰ボール受トレイ100に排出する。余剰ボール除去は、ステージ搬送機構64によって、余剰ボール対象位置とボール除去ノズル78との位置合わせをした後に行われる。余剰ボール除去工程は、必要な数だけ繰り返される。
【0072】
リペア装置5によって導電性ボールSの搭載欠陥が是正された基板Wは、次の工程を担う装置、例えば、リフロー装置(図示は省略)に搬出される(ステップS10)。リフロー装置を通った導電性ボールSは、溶融し、いわゆるバンプとなる。図示は省略するが、基板Wは、ロボットアームによってリペア装置5から除材用ロードポートに排出するようにすることも可能である。
【0073】
ボール搭載装置1は、フラックス印刷装置3によって、フラックス印刷用開口部131の配列パターンの内側にフラックス印刷用開口部131が存在しない非開口領域132を有するフラックス印刷用マスク26を使用してフラックスFを基板Wのパッド電極107上に印刷する。また、ボール振込装置4は、フラックス印刷用マスク26と同じ位置にボール振込用開口部116及び非開口領域117を有するボール振込用マスク47を使用し、ボール振込用開口部116からフラックスFが印刷されたパッド電極107上に導電性ボールSを振り込む。
【0074】
ボール振込用マスク47の非開口領域117には、基板Wに対面する裏面47aに柱状の突起部118を有している。このような突起部118を有することによって、ブラシスキージ141を使用して導電性ボールSを基板W上に振り込むとき、ブラシスキージ141の押圧力によってボール振込用マスク47が基板側に撓むことを防止することができる。そのことにより、ボール振込用マスク47の裏面47aやボール振込用開口部116にパッド電極107に印刷されているフラックスFが付着することがないため、付着したフラックスFによってボール搭載欠陥が発生することを防止することが可能となる。
【0075】
ところで、従来のボール振込用マスク47においては、導電性ボールSが微小化し、高密度配列となる場合、ボール振込用開口部116を避けた位置に突起部118を設けることが困難である。しかし、ボール振込用マスク47に非開口領域117を設け、この非開口領域117には、導電性ボールSの配列密度に関係なく突起部118を設けることが可能となる。ただし、ボール振込装置4は、非開口領域117にボール振込ができないことになるが、リペア装置5によって、ボール振込用マスク47の非開口領域117内に配置されているパッド電極107に、フラックスFを転写し、導電性ボールSを搭載することができる。
【0076】
以上説明したボール搭載装置1によれば、ボール搭載領域105が大きく、かつ、微小径の導電性ボールSが高密度に配列されるパッド電極107の配列パターンを有する基板Wに、導電性ボールSをボール搭載欠陥がなく搭載することが可能となる。
【0077】
ボール振込用マスク47には、非開口領域117A,117Bが配置され、隣り合う非開口領域117A,117Bの間にボール振込用開口部116が配置される。そして、非開口領域117A,117Bのそれぞれに突起部118A,118Bが形成されている。ボール搭載領域105の面積がさらに大きくなり、それに伴いボール振込用マスク47が大判化することがある。しかし、ボール振込用マスク47のサイズに対応した非開口領域117を設け、それぞれの適切な位置に突起部118を設けることによって、ボール振込用マスク47が大判化し、ボール搭載領域105の面積がさらに大きくなったとしても、ボール振込用マスク47の撓みを防止することが可能となる。なお、ボール振込装置4では、非開口領域117A,117Bには、導電性ボールSを振り込むことができないため、ボール搭載欠陥となるが、リペア装置5によって、ボール搭載欠陥の是正を行うことになる。そこで、隣り合う非開口領域117の間にボール振込用開口部116を配置することによって、リペア工程によるボール搭載欠陥位置のフラックス転写回数及びボール搭載回数を減らすことが可能となる。
【0078】
フラックス印刷用マスク26は、ボール振込用マスク47の非開口領域117と同じ位置に配置される非開口領域132を有している。そして、隣り合う非開口領域132の間には、フラックス印刷用開口部131が配置されている。非開口領域132は、フラックス印刷装置3ではフラックスFを基板Wに印刷することはないため、後工程のボール振込用マスク47の突起部118にフラックスFが付着することがなく、ボール搭載欠陥の発生を抑えることが可能となる。なお、非開口領域132には、フラックスFを印刷することはできないため、フラックス印刷欠陥となるが、リペア装置5によって、フラックス印刷欠陥の是正を行うことになる。そこで、隣り合う非開口領域132の間にフラックス印刷用開口部131を配置することによって、リペア工程によるフラックス転写回数を減らすことが可能となる。
【0079】
また、突起部118の高さは、導電性ボールSをボール振込用マスク47に振り込んだときに、導電性ボールSの最上部が、ボール振込用マスク47の上面から突出しない高さとしている。このことによって、ブラシスキージ141で導電性ボールSをボール振込用マスク47に振り込むときに、導電性ボールSをフラックスFに適度に押えこみ、ブラシスキージ141で振り込まれた導電性ボールSを掻き出されることを防止することが可能となる。
【0080】
ボール搭載装置1を使用するボール搭載方法においては、まず、基板Wに形成されたパッド電極107の配列パターンに対応したフラックス印刷用開口部131と、フラックス印刷用開口部131の配列パターンの内側に配置される非開口領域132と、を有するフラックス印刷用マスク26を使用して、パッド電極107にフラックスFを印刷する。次いで、ボール振込用開口部116、及びフラックス印刷用マスク26の非開口領域132と同じ位置に配置される非開口領域117を有し、非開口領域117の基板Wに対面する裏面47aに形成される柱状の突起部118を有するボール振込用マスク47を使用し、ボール振込用開口部116から導電性ボールSを振り込む。そして、フラックス印刷欠陥及び導電性ボールSの過不足を検出し、フラックス印刷欠陥及び導電性ボールSの過不足を是正する。
【0081】
ボール振込用マスク47の非開口領域117には、基板Wに対面する裏面47aに柱状の突起部118を有しているため、ブラシスキージ141によるボール振込の際の押圧力によってボール振込用マスク47が基板W側に撓むことを防止することができる。そのことから、ボール振込用マスク47の裏面47aやボール振込用開口部116に、予め基板Wに印刷されているフラックスFが付着することがなく、付着したフラックスFによるボール搭載欠陥の発生を防止することが可能となる。
【0082】
非開口領域117には、ボール振込装置4で導電性ボールSのボール振込はできない。しかし、リペア工程によって、非開口領域117内のパッド電極107に、フラックスFの転写及び導電性ボールSの搭載を行うことができる。また、リペア装置5によって、ボール搭載装置1によって振り込まれた導電性ボールSの過不足を是正することが可能である。
【0083】
以上説明したボール搭載方法によれば、ボール搭載領域105が大きく、かつ、微小径の導電性ボールSが高密度に配列されるパッド電極107の配列パターンを有する基板Wに、導電性ボールSをボール搭載欠陥がなく搭載することが可能となる。
【0084】
また、リペア工程では、まず、検査部60で基板Wのフラックス印刷欠陥位置、及びボール搭載装置1による搭載された導電性ボールSの過不足を検出する。次いで、フラックス転写部61でフラックス印刷欠陥位置にフラックスFを転写し、ボール搭載部62で導電性ボールSの搭載不足の位置に、導電性ボールSを搭載する。そして、余剰ボール除去部63で基板W上にある余剰ボールを除去する。このような工程により、ボール搭載欠陥がない基板Wを製造することが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
1…ボール搭載装置、3…フラックス印刷装置、4…ボール振込装置、5…リペア装置、20…フラックス印刷ユニット、21,41,70…基板ステージ、23…第1基板搬送ユニット、26…フラックス印刷用マスク、40…ボール振込ユニット、47…ボール振込用マスク、47a…裏面、60…検査部、61…フラックス転写部、62…ボール搭載部、63…余剰ボール除去部、64…ステージ搬送機構、66…主検査部、67…ベリファイ用検査部、76…フラックス転写ピン、77…ボール搭載ノズル、78…ボール除去ノズル、105,105A~105D…ボール搭載領域、107…パッド電極、115,115A~115D…ボール振込用開口領域、116…ボール振込用開口部、117,117A,117B…非開口領域、118,118A、118B…突起部、130A~130D…フラックス印刷用開口領域、131…フラックス印刷用開口部、132,132A,132B…非開口領域、140…フラックス印刷用スキージ、141…ブラシスキージ、F…フラックス、S…導電性ボール、W…基板、WA,WB…固片化された基板
【要約】
【課題】ボール搭載領域の面積が大きく、かつ、微小径の導電性ボールが高密度に配列されるパッド電極の配列パターンを有する基板に、導電性ボールをボール搭載欠陥がなく搭載することが可能なボール搭載装置及びボール搭載方法を提供すること。
【解決手段】フラックス印刷用開口部131の配列パターンの内側にフラックス印刷用開口部131が存在しない非開口領域132を有するフラックス印刷用マスク26を使用してフラックスFを基板Wに印刷する。フラックス印刷用マスク26と同じ位置にボール振込用開口部116及び非開口領域117を有するボール振込用マスク47を使用し、ボール振込用開口部116からフラックスFが印刷されたパッド電極107上に導電性ボールSを振り込む。ボール振込用マスク47の非開口領域117には、基板Wに対面する裏面47aに柱状の突起部118を有している。
【選択図】
図4