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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/86 20220101AFI20240409BHJP
   B01F 27/87 20220101ALI20240409BHJP
【FI】
B01F27/86
B01F27/87
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018020277
(22)【出願日】2018-02-07
(65)【公開番号】P2019136633
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-12-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000171919
【氏名又は名称】佐竹マルチミクス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】加藤 好一
(72)【発明者】
【氏名】根本 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 健一
(72)【発明者】
【氏名】山本 太一
(72)【発明者】
【氏名】井坂 和一
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】松井 裕典
【審判官】金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-14694(JP,U)
【文献】特開2002-143889(JP,A)
【文献】特開2004-188413(JP,A)
【文献】特開2000-254682(JP,A)
【文献】特開2011-240342(JP,A)
【文献】国際公開第2018/001397(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F27/00-27/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体を有する液体が所望の高さまで容れられる処理槽と、
該処理槽内において、前記液体の液面から所望の深さに設けられた回転翼と、
前記処理槽の底部に固定された放射状に延びる静翼と、
前記回転翼よりも上方の前記処理槽に設けられた、処理槽内の液体を外部に排出する排出口とよりなり、
前記所望の深さは、前記回転翼の上方で、前記処理槽内に容れられた液体のうち、該回転翼の回転によっても、担体の無い無担体ゾーンを形成できる深さであり、
前記排出口は、前記無担体ゾーンに位置する、前記処理槽の側壁に形成され
前記液面より下で、前記回転翼の上方の前記処理槽の側壁の内周面に、周方向に、固定された邪魔板を有し、
該邪魔板は、前記側壁内の全周に渡って水平に固定された板体よりなるリング状板であることを特徴とする撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撹拌装置、特に、微生物や触媒を担持した担体を有する排水などの液体を撹拌しながら生物処理する微生物反応装置などの撹拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排水を生物処理するために、排水に微生物や触媒を担持した担体を撹拌して、排水を浄化する方法がある。
【0003】
図9及び図10は従来の微生物反応装置などの撹拌装置を示し、1は、撹拌装置、2は、該撹拌装置1の処理槽を示し、該処理槽2は、例えば、有底の円筒状よりなる。
【0004】
3は、回転翼を示し、該回転翼3は、例えば、前記処理槽2の上部から垂設された回転軸3aの下端に半径方向に放射状に固定される。
【0005】
前記回転翼3は、例えば、4枚のフラットパドル翼などの矩形板状の翼板からなり、モータ等の駆動手段(図示せず)により前記回転軸3aを介して、前記処理槽2内に所望の高さまで容れられた液体内の上部、例えば、液面の近傍において回転するように設けられている。
【0006】
4は、静翼を示し、該静翼4は、例えば、4枚の複数の直線状の帯状板からなり、前記回転翼3の下方の前記処理槽2の底部2aの中心に放射状に等角度に離間して固定される。
【0007】
また、前記各帯状板は、例えば、図10に示すように、該帯状板の交差部に相当する前記帯状体の中心部は互に間隙5を有すると共に、該各帯状板は、例えば、前記回転翼3の回転方向の前方(又は後方)で、前記底部2aの中心を通る半径線Rから間隔dを開けて並行に固定されている。
【0008】
6は、流入管を示し、該流入管6は、例えば、前記処理槽2の側壁の下部に設けられ、処理すべき処理水などの液体を前記処理槽2内に容れるように設けられている。
【0009】
7は、排出口を示し、該排出口7は、前記処理槽2の側壁の中間部に設けられ、該排出口7には、処理槽2内の担体が外部に排出されないように、担体分離部(図示せず)が設けられている。
【0010】
前記従来の撹拌装置においては、微生物や触媒などを担持した担体を有する処理水などの液体を、前記処理槽2内に所望の高さまで流入させて、前記回転翼3を回転させることにより、前記処理槽2内の処理水は、図9に示すように、前記回転翼3により、前記処理槽2の側壁内面を旋回して旋回しながら緩やかに槽底部に向かう下降流Pを形成し、その後、前記処理槽2の中心部の底部において、前記静翼4により、強力な竜巻上昇流Qを引き起こし、これにより、前記回転翼3と前記静翼6との間で循環流が形成され、処理槽2内で液体の混合・均一分散化を図ることができるようになる。
【0011】
また、生物処理された処理水は、前記排出口7を通じて、前記担体分離部に流れ、処理水に含まれる担体は前記担体分離部内で下方に沈下し、排出口7から処理槽2内に戻され、担体のない処理水のみを、外部に排出されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2000-246269号公報
【文献】特開2012-30155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、担体の処理槽外への抜け防止に、別途担体分離部などが必要で、構成が複雑となっていた。
【0014】
本発明は、簡単な構成で、担体等の処理槽外部への排出を防止できる撹拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成すべく、本発明の撹拌装置は、担体を有する液体が所望の高さまで容れられる処理槽と、該処理槽内において、前記液体の液面から所望の深さに設けられた回転翼と、前記処理槽の底部に固定された放射状に延びる静翼と、前記回転翼よりも上方の前記処理槽に設けられた、処理槽内の液体を外部に排出する排出口とよりなり、前記所望の深さは、前記回転翼の上方で、前記処理槽内に容れられた液体のうち、該回転翼の回転によっても、担体の無い無担体ゾーンを形成できる深さであり、前記排出口は、前記無担体ゾーンに位置する、前記処理槽の側壁に形成され、前記液面より下で、前記回転翼の上方の前記処理槽の側壁の内周面に、周方向に、固定された邪魔板を有し、該邪魔板は、前記側壁内の全周に渡って水平に固定された板体よりなるリング状板であることを特徴とする。
【0017】
また、前記所望の深さは、前記液面から、液体深さの1/3よりも下であることを特徴とする。
【0018】
また、前記所望の深さは、前記液面から、液体深さの1/2よりも下であることを特徴とする。
【0019】
また、前記回転翼の上端に板体を固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡単な構成で、担体の槽内混合・均一分散化が得られると共に、担体が排水処理系から系外に流出することを防止できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例1の撹拌装置の縦断側面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】本発明の実施例2の撹拌装置の斜視図である。
図4】本発明の実施例2の撹拌装置の縦断側面図である。
図5図4のB-B線断面図である。
図6】本発明の実施例3の撹拌装置の斜視図である。
図7】本発明の実施例3の撹拌装置の縦断側面図である。
図8図7のC-C線断面図である。
図9】従来の撹拌装置の縦断側面図である。
図10図9のD-D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。なお、前記従来例と同じ部分には、同じ符号を付け、説明を省略する。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施例1を図1及び図2によって説明する。
【0026】
本発明の撹拌装置8においては、前記従来の撹拌装置1において、前記処理槽2の排出口7に担体分離部を設ける代わりに、前記回転軸3aを前記処理槽2内の下方に伸ばし、該回転軸3aの下端に固定された前記回転翼3を、前記処理槽2内に容れられた処理水の液面から所望の深さにおいて回転するように設けると共に、前記回転翼3の上方で、液面より下の前記処理槽2の側壁に排出口9を設ける。
【0027】
なお、前記液面からの所望の深さとは、前記処理槽2内に所望(規定)の高さまで処理水などの液体を容れ、前記回転翼を回転させた時に、前記回転翼3よりも上方で、該回転翼の回転の影響を受けない液体部分10(以下、「無担体ゾーン10」という)を形成できる深さを意味し、該深さは、撹拌槽2と回転翼3と静翼4の形状や、回転翼3の回転数や、処理水や担体の種類などにより影響を受けるが、例えば、液面から、液体深さの1/3よりも下の位置、好ましくは、液体深さの1/2よりも下の位置に設けられる。
【0028】
なお、前記液体を排出口9は、前記無担体ゾーン10に位置する前記処理槽2の側壁部分に形成される。
【0029】
次に、前記実施例1の撹拌装置による処理方法と効果を説明する。
【0030】
前記流入管6より、微生物や触媒などを担持した担体を有する処理水などの液体を、前記処理槽2内に所望の高さまで流入させて、前記液体を前記処理槽2内に貯めるようにする。
【0031】
前記回転翼3を回転させることにより、前記処理槽2内において、担体を有する処理水は、図1に示すように、前記回転翼3により、半径方向外側に吐出されて処理槽2の側壁内面に当接して下方に流れて、前記処理槽2の側壁内面を旋回しながら緩やかに処理槽2の底部2aに向かう下降流が形成され、その後、該処理槽2の中心部の底部において、前記静翼4により、強力な竜巻上昇流を引き起こし、これにより、前記回転翼3と前記静翼6との間において、循環流が形成され、前記処理槽2内で処理水の混合・均一分散化を図ることができるようになる。
【0032】
また、前記回転翼3による吐出流のほとんど影響のない、該回転翼3の上方に無担体ゾーン10が形成され、該無担体ゾーンの処理水が、前記排出口7から排出されるので、担体のない反応後の処理水を、処理槽外に引き抜き排出できるようになる。
【0033】
従って、簡単な構成で、担体の槽内混合・均一分散化が得られると共に、担体が排水処理系から系外に流出することを防止できる効果を有する。
【実施例2】
【0034】
本発明の実施例2において、図3図5に示すように、実施例1の撹拌装置8において、前記回転翼3の上端に円板などの板体11を固定する。
【0035】
前記板体11は、例えば、その中心が前記回転軸3aと一致した円板であり、前記回転翼3の径と同じあるいは、それ以上の径の円板で形成されると共に、板体縁部と前記処理槽2の側壁内面との間に隙間が形成される大きさに形成される。
【0036】
本発明の第2実施例によれば、前記板体11により、前記回転翼3の上方の無担体ゾーン10への担体の侵入を確実に少なくすることができるようになる。
【0037】
また、前記板体11を設けることにより、前記回転翼2の上方に無担体ゾーン10を形成しやすくなるため、例えば、前記実施例1に比べて、前記回転翼3の位置を高い位置に設けることができるようになる。
【実施例3】
【0038】
本発明の実施例3は、図6図8に示すように、前記実施例1または実施例2の撹拌装置において、前記回転翼3の上方でかつ液面よりも下方の前記処理槽2の側壁の内周面に、周方向に、例えば、リング状板12などの邪魔板を固定する。
【0039】
前記リング状板12は、例えば、該処理槽2の内径と同じ外径のリング状の板が前記処理槽2の側壁内の全周に渡って水平に固定された板体であり、該板体の中心部には、例えば、円状の開口部12aが形成される。
【0040】
なお、前記開口部12aの大きさは、例えば、前記回転翼2の径よりも大きく形成する。また、例えば、前記板体11よりも大きく形成する。
【0041】
本発明の第3の実施例によれば、前記リング状板12により、前記回転翼3により半径方向外方に吐出され、前記処理槽2の側壁の内面に当接した処理水が、上方に向かうのを阻止することができ、前記回転翼3の上方の無担体ゾーン10への担体の侵入を更に確実に少なくすることができるようになる。
【0042】
また、前記リング状板12を設けることにより、前記回転翼3の上方に無担体ゾーン10を更に形成しやすくなるため、例えば、前記実施例1や実施例2に比べて、前記回転翼3の位置を高い位置に設けることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の撹拌装置は、嫌気処理や、好気処理や、脱窒・硝化処理などでも活用することができ、用途も電子産業、食品、畜産、農業、オフィス、下水など、産業排水や生活排水において利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 撹拌装置
2 処理槽
2a 底部
3 回転翼
3a 回転軸
4 静翼
5 間隙
6 流入管
7 排出口
8 撹拌装置
9 排出口
10 無担体ゾーン
11 板体
12 リング状板
12a 開口部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10