(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】EGR装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20240409BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20240409BHJP
F02M 26/15 20160101ALI20240409BHJP
F02M 26/35 20160101ALI20240409BHJP
【FI】
F01N3/24 S
F01N3/28 301W
F02M26/15
F02M26/35 Z
(21)【出願番号】P 2019056848
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2021-09-03
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 航平
【合議体】
【審判長】河端 賢
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-28008(JP,A)
【文献】特開2007-255358(JP,A)
【文献】特開平8-291772(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013111313(DE,A1)
【文献】特開2013-256912(JP,A)
【文献】特開2019-44660(JP,A)
【文献】特開2007-315370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/24
F01N 3/28
F02M 26/15
F02M 26/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EGR装置であって、
内燃機関の排気ガスが流入するケースと、
前記ケースの内部に格納される触媒であって、前記排気ガスの流れ方向に関して当該触媒よりも上流側の第1空間と下流側の第2空間とを連結する流路を有する触媒と、
前記排気ガスの一部を前記内燃機関に循環させるEGR配管と、を備え、
前記ケースにおける前記触媒の側面を覆う部分の少なくとも一部は、内管と外管とを有する二重管部であり、
前記ケースにおける前記第1空間を形成する部分は、前記二重管部の前記上流側において、前記二重管部の外周を覆い、前記外周と密接するように前記二重管部と連結し、
前記二重管部の前記外管には、前記EGR配管が連結されたEGR取り出し口が設けられており、
前記二重管部は、前記第1空間から前記EGR取り出し口への前記排気ガスの流入を抑制するように前記内管と前記外管との隙間を閉塞する閉塞部を備え、かつ、前記第2空間から前記EGR取り出し口への前記排気ガスの流入が可能となるように前記隙間が前記第2空間に向けて開放されており、
さらに、前記隙間に配置され、前記内管及び前記外管に当接する当接部材を備え、
前記当接部材は、前記内管の変位を抑制するための部材であり、
前記閉塞部は、前記外管の前記上流側の開口と前記内管との隙間を閉塞し、かつ、前記内管の前記上流側の端部よりも前記下流側に位置し、かつ、前記触媒の径方向外側に位置する、
EGR装置。
【請求項2】
請求項1に記載のEGR装置であって、
前記当接部材は、前記第2空間から前記EGR取り出し口へ向かって移動する固形の異物を捕集する捕集部材として構成されている、EGR装置。
【請求項3】
請求項2に記載のEGR装置であって、
前記当接部材は、前記二重管部を軸方向の中央部を基準として前記第1空間側の部分と前記第2空間側の部分とに区分した場合に、前記第2空間側の部分に配置される、EGR装置。
【請求項4】
請求項3に記載のEGR装置であって、
前記当接部材は、前記二重管部における前記第2空間側の端部から離間した位置に設けられる、EGR装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のEGR装置であって、
前記捕集部材は、ワイヤーメッシュである、EGR装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、EGR装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内燃機関において、触媒で排気ガスを浄化し、浄化された排気ガスの一部を内燃機関に循環させるEGR(排気再循環)装置が公知である。
下記特許文献1では、触媒の下流の出口側ディフューザを拡張させて排気通路を形成し、触媒コンバータの側方のEGR通路を通過してEGRガスを内燃機関に送るEGR装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように触媒の下流の出口側ディフューザを拡張させて排気通路を形成すると、EGR装置の下流側部分のサイズが大きくならざるを得ない。そのため、自動車におけるEGR装置の搭載に必要なスペースが増大する。
【0005】
本開示の一局面は、搭載に必要なスペースを低減できるEGR装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、EGR装置であって、ケースと、触媒と、EGR配管と、を備える。ケースは、内燃機関の排気ガスが流入する。触媒は、ケースの内部に格納され、排気ガスの流れ方向に関して当該触媒よりも上流側の第1空間と下流側の第2空間とを連結する流路を有する。EGR配管は、排気ガスの一部を内燃機関に循環させる。
【0007】
ケースにおける触媒の側面を覆う部分の少なくとも一部は、内管と外管とを有する二重管部である。二重管部の外管には、EGR配管が連結されたEGR取り出し口が設けられている。二重管部は、第1空間からEGR取り出し口への排気ガスの流入を抑制するように内管と外管との隙間を閉塞する閉塞部を備え、かつ、第2空間からEGR取り出し口への排気ガスの流入が可能となるように上述した隙間が第2空間に向けて開放されている。
【0008】
このような構成によれば、第1空間から触媒を通過して第2空間に到達した排気ガスの一部が、二重管部の内管と外管の隙間を通過してEGR取り出し口から排出される。二重管部はケースにおける触媒の側面を覆う部分であるため、EGR取り出し口の位置は、ケースにおける触媒の側面を覆う部分である。そのため、触媒の下流側にEGRガスの流路を形成する必要がなくなり、EGR装置における触媒の下流側のサイズ増加が抑制できる結果、EGR装置の搭載に必要なスペースが低減できる。
【0009】
上述したEGR装置は、さらに、上述した隙間に配置され、内管及び外管に当接する当接部材を備えてもよい。このような構成によれば、当接部材によって内管と外管との相対的な位置が変化してしまうことを抑制できる。また、内管と外管が当接することで、内管の振動が抑制できる。
【0010】
上述したEGR装置は、さらに、上述した隙間に配置され、第2空間からEGR取り出し口へ向かって移動する固形の異物を捕集する捕集部材を備えてもよい。このような構成によれば、捕集部材によって異物がEGR配管を通って内燃機関に送られてしまうことを抑制できる。
【0011】
上述した捕集部材は、内管及び外管に当接する当接部材であってもよい。このような構成によれば、捕集部材が内管及び外管に当接することで、内管と外管との相対的な位置が変化してしまうことを抑制でき、また、内管の振動が抑制できる。
【0012】
また、上述した捕集部材は、二重管部を軸方向の中央部を基準として第1空間側の部分と第2空間側の部分とに区分した場合に、第2空間側の部分に配置されてもよい。このような構成によれば、捕集部材が第2空間側に配置されることで、異物が二重管部の隙間におけるEGR取り出し口近くの深い位置まで進入してしまうことを抑制できる。そのため、捕集部材に捕集された異物が二重管部の隙間から脱落しやすくなる結果、異物が第2空間に戻り、下流側へ排出されることを促進できる。
【0013】
また、上述した捕集部材は、ワイヤーメッシュであってもよい。このような構成によれば、ワイヤーメッシュによる異物の捕集が実現できる。またワイヤーメッシュは弾性を有しているため、内管と外管とに良好に接触し、内管と外管との相対的な位置変化や振動を良好に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態のEGR装置の模式的な正面図である。
【
図2】
図2は、実施形態のEGR装置の模式的な斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線での模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線での模式的な断面図である。
【
図5】
図5は、
図1とは異なる実施形態のEGR装置の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.実施形態]
[1-1.構成]
図1~
図4に示すEGR装置1は、内燃機関の排気ガス流路内に設けられる。
【0016】
EGR装置1は、排気ガスの浄化を行うと共に、浄化した排気ガスの一部を内燃機関に循環させる。EGR装置1が設けられる内燃機関としては、例えば、自動車に用いられるガソリンエンジン又はディーゼルエンジンが挙げられる。
【0017】
EGR装置1は、上流コーン2と、触媒コンバータ3と、下流コーン4と、EGR配管5とを備える。上流コーン2、後述する触媒コンバータ3の二重管部31、及び下流コーン4によって、内燃機関の排気ガスが流入するケース11が構成される。
【0018】
<上流コーン>
上流コーン2は、内燃機関の排気ガスが導入される部材である。上流コーン2は、EGR装置1において排気ガスの流れ方向における最も上流側に配置されている。
【0019】
上流コーン2は、
図4に示すように、上面と下面とがそれぞれ開口し、上流側から下流側に向かって拡径する円錐台状の筒体である。上流コーン2は、導入口21を有する。
導入口21は、排気ガスを上流コーン2の内部に導入する開口であり、上流コーン2の上流側の端部に設けられている。導入口21には、内燃機関に連結された排気マニホールド等が接続される。
【0020】
上流コーン2は、上流側の端部が導入口21を構成し、下流側の端部は後述する触媒コンバータ3の二重管部31に連通した開口を構成している。上流コーン2は、導入口21及び二重管部31に連通した第1空間S1を画定している。
【0021】
<触媒コンバータ>
触媒コンバータ3は、上流コーン2の下流側に配置されている。触媒コンバータ3は、二重管部31と、触媒32と、マット33と、EGR取り出し口34とを有する。
【0022】
二重管部31は、上流コーン2に連結された筒状の部材である。二重管部31は、
図3及び
図4に示すように、ケース11における触媒32の側面32aを覆う部分であって、内管31aと外管31bとを有する。内管31aと外管31bは、いずれも円筒形状であり、それぞれの中心軸が一致するように配置されている。外管31bは内管31aを囲うように配置される。
【0023】
二重管部31は、上流側(即ち、第1空間S1側)の端部において、内管31aと外管31bとの隙間を閉塞する閉塞部37を有する。閉塞部37において、外管31bは、その径が上流に向かって徐々に小さくなる。それにより、内管31aと外管31bとの間隔が徐々に小さくなり、最終的には内管31aと外管31bとの隙間がなくなる。
【0024】
二重管部31の上流側の端部は、上流コーン2の下流側の開口に溶接等によって固定されている。二重管部31の内管31aには、触媒32とマット33とが格納されている。
また、外管31bには、EGR配管5が連結されたEGR取り出し口34が設けられている。つまり、EGR取り出し口34が形成されている位置は、ケース11における触媒32の側面32aを覆う部分である。触媒32の側面32aを覆う部分とは、二重管部31のうち、触媒32の上流側端部と下流側端部の間の位置である。二重管部31の軸方向の長さは、触媒32の軸方向の長さより若干長く、側面32aは全面が内管31a及び外管31bにより覆われる。
【0025】
内管31aと外管31bとの隙間には、ワイヤーメッシュ38が配置される。ワイヤーメッシュ38は、金属のメッシュを曲げて重ねることにより厚みを持たせたものであり、弾性を有する。ワイヤーメッシュ38は無数のワイヤーが重なることによって異物を捕集することができるが、排気ガスは通過する。
【0026】
ワイヤーメッシュ38は、二重管部31を軸方向(即ち、排気ガス流れ方向)の中央部を基準として第1空間S1側の部分と第2空間S2側の部分とに分けた場合に、第2空間S2側の部分となる位置に配置される。またワイヤーメッシュ38は、二重管部31の周方向に沿って、内管31aの側面を囲むように配置される。なお本実施形態では、ワイヤーメッシュ38は外管31bの内側にスポット溶接により固定されている。ワイヤーメッシュ38が、当接部材及び捕集部材に相当する。
【0027】
触媒32は、触媒32に設けられた触媒成分と排気ガスとの接触によって排気ガス中の環境汚染物質を改質又は捕集し、排気ガスを浄化する。触媒成分とは、例えば、白金族元素や希土類などであってもよい。
【0028】
触媒32は、ケース11の内部に格納される。より具体的には二重管部31の内管31aの内部に格納される。また触媒32は、排気ガスが二重管部31の軸方向に流れる複数の流路35を二重管部31内に構成している。複数の流路35同士は互いに連通しないが、連通していてもよい。上述した触媒成分は、流路35を構成する壁面と、側面32aと、に備えられている。
【0029】
触媒32は、例えば、排気ガスの流れ方向と垂直な断面が多角形(例えば四角形、六角形等)の複数のチューブが集合した立体形状を有する。つまり、触媒32は、二重管部31の軸方向に延伸する複数の仕切り板が格子状に配置された立体形状(例えばハニカム形状)を有する。なお上述した側面32aは、触媒32における第1空間S1を向く面及び第2空間S2を向く面を底面としたときの側面である。
【0030】
マット33は、
図3及び
図4に示すように、内管31aと触媒32との間に配置された弾性変形可能な部材である。マット33は、内管31aの周方向に沿って、触媒32の側面を囲むように配置される。
【0031】
EGR取り出し口34は、後述するEGR配管5が連結された開口である。EGR取り出し口34からはEGRガスが排出される。EGR取り出し口34は、二重管部31の外管31bに設けられている。またEGR取り出し口34は、外管31bを第1空間S1側の部分と第2空間S2側の部分とに区分した場合に第1空間S1側となる位置に設けられている。EGR取り出し口34の開口面積は、導入口21の開口面積よりも小さい。EGR取り出し口34は、バーリング加工により穴の周囲が外側に向けて立ち上がっている。
【0032】
<下流コーン>
図1及び
図3に示すように、下流コーン4は、触媒コンバータ3の下流側に連結された部材である。下流コーン4は、上面と下面とがそれぞれ開口し、上流側から下流側に向かって縮径する円錐台状の筒体である。
【0033】
下流コーン4の上流側の開口は、二重管部31における外管31bの下流側(即ち、第2空間S2側)の端部に溶接等によって固定されている。下流コーン4の下流側の開口は、EGR装置1から排気ガスが排出される排出口41を構成している。下流コーン4は、二重管部31及び排出口41に連通した第2空間S2を画定している。
【0034】
<EGR配管>
EGR配管5は、排気ガスの一部を内燃機関に循環させるための配管である。EGR配管5は、一端が触媒コンバータ3のEGR取り出し口34に溶接等によって連結されている。
【0035】
<排気ガスの流れ>
図4に示すように、触媒32の流路35は、排気ガスの流れ方向における当該触媒32よりも上流側の第1空間S1と、触媒32よりも下流側の第2空間S2とを連結するように形成されている。
【0036】
二重管部31は、閉塞部37によって、内管31aと外管31bとの第1空間S1側の隙間が閉塞されているため、第1空間S1からEGR取り出し口34へ排気ガスは流入しない。一方で、内管31aと外管31bとの第2空間S2側の隙間は、第2空間S2からEGR取り出し口34への排気ガスの流入が可能となるように第2空間S2に向けて開放されている。
【0037】
そのため、導入口21から上流コーン2の第1空間S1内に導入された排気ガスは、触媒32を二重管部31の軸方向に通過し、下流コーン4の第2空間S2内に流れ込む。内管31aと外管31bとの隙間は、排気ガスが第2空間S2からEGR取り出し口34まで流れるための流路36となる。よって、第2空間S2に流れ込んだ排気ガスの一部は、内管31aと外管31bとの隙間の流路36を通ってEGR取り出し口34に到達し、EGR配管5に流れ込む。
【0038】
このEGRガスの流れは、EGR配管5が触媒コンバータ3に対して負圧となることで発生する。EGR配管5に流れ込んだEGRガスは、内燃機関に供給される。
触媒コンバータ3によって浄化された排気ガスのうち、EGR配管5に供給されるEGRガスを除いた残りの部分は、下流コーン4の排出口41から図示しない配管を通じて大気に向かって排出される。
【0039】
なお、閉塞部37やマット33は、実質的に排気ガスを通過させない。ここでいう実質的とは、EGR装置1の機能や性能に影響する程度の排気ガスの漏れが生じていないことを意味する。
【0040】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)上流コーン2から触媒32を通過して下流コーン4に到達した排気ガスの一部は、二重管部31の備える内管31a及び外管31bの間に形成された流路36をEGR取り出し口34の設けられた方向に流れ、外管31bのEGR取り出し口34から排出される。そのため、触媒32で浄化された排気ガスを、触媒32の側面を覆う二重管部31の壁面からEGRガスとして取り出すことができる。その結果、下流コーン4にEGRガスの流路を形成する必要がなくなり、下流コーン4のサイズ増加が抑制されるため、EGR装置1の搭載に必要な自動車のスペースが低減できる。
【0041】
(1b)EGR装置1では、二重管部31の備える内管31a及び外管31bの間にワイヤーメッシュ38が備えられている。ワイヤーメッシュ38は弾性を有しており、内管31a及び外管31bの両方に当接している。そのため、自動車の振動等を受けることによる内管31aの位置の変化や振動を抑制でき、それらに起因するEGR装置1の破損や性能低下を抑制できる。
【0042】
(1c)ワイヤーメッシュ38は、第2空間S2からEGR取り出し口34へ向かって移動する固形の異物を捕集する。そのため、異物がEGR配管5を通って内燃機関に送られてしまうことを抑制できる。
【0043】
またワイヤーメッシュ38は、二重管部31の上述した第2空間S2側の部分に配置されているため、異物が二重管部31の隙間の深い位置まで進入してしまうことを抑制できる。その結果、ワイヤーメッシュ38に捕集された異物が二重管部31の隙間から脱落しやすくなり、異物が排出口41から排出されることを促進できる。なお、ワイヤーメッシュ38は、二重管部31の第2空間S2側の端部から少し第1空間S1側の位置に配置されている。二重管部31の第2空間S2側の端部は下流コーン4と溶接する部分であるため、その端部にワイヤーメッシュ38が配置されていると、溶接時にワイヤーメッシュ38の変形や変質などが生じてしまう可能性がある。そこで、ワイヤーメッシュ38を端部から離して配置することで、溶接時に上述した変形や変質などが生じてしまうことを抑制する。
【0044】
(1d)ワイヤーメッシュ38は、変形や振動を抑制する上記(1b)にて説明した機能と、異物を捕集する上記(1c)にて説明した機能と、の両方の機能を有している。そのため、2つ以上の部品によって上述した2つの機能を奏する構成と比較して部品点数を削減することができる。
【0045】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0046】
(2a)二重管部31の構成は、上記実施形態に例示した構成に限定されない。例えば上記実施形態では、二重管部31の軸方向の長さが触媒32の軸方向の長さよりも若干長い構成を例示した。しかしながら、二重管部31の長さは触媒32の軸方向の長さより短く、二重管部31は触媒32の側面32aのうち、触媒32の軸方向に関する一部分のみを覆っていてもよい。また、二重管部31の長さは触媒32の軸方向の長さよりも長くてもよい。その場合には、EGR取り出し口34は、二重管部31の外管31bのうち触媒32の側面32aを覆う部分に配置されていればよい。
【0047】
また、上記実施形態では、閉塞部37は二重管部31の上端に設けられている構成を例示したが、閉塞部37が形成される位置は二重管部31の上端に限定されない。閉塞部37は、第1空間S1からEGR取り出し口34への排気ガスの流入を抑制できる様々な位置に配置できる。
【0048】
また、上記実施形態では、内管31aと外管31bとの間隔を狭めて重ねることで閉塞部37となる構成を例示したが、内管31aと外管31bとの隙間を閉塞可能であれば、それ以外の構成であってもよい。例えば、内管31aと外管31bとの隙間を埋めるシール部材が設けられていてもよい。
【0049】
(2b)上記実施形態のEGR装置1では、内管31aと外管31bとの隙間に、捕集部材及び当接部材として機能するワイヤーメッシュ38を配置する構成を例示した。しかしながら、ワイヤーメッシュ38以外の部品が上記隙間に配置されていてもよい。例えば、捕集部材、当接部材のいずれか一方の機能のみを有する部品のみが配置されていてもよいし、捕集部材として機能する部品と当接部材として機能する部品との両方が配置されていてもよい。また、上記隙間には何も配置されていなくてもよい。
【0050】
なお、捕集部材として機能する部品としては、シート状のメッシュが例示されるが、これに限定されない。また、当接部材として機能する部品としては、マット33と同様の弾性を有する樹脂部品が例示されるが、これに限定されない。当接部材は、高い弾性を有していない部材、例えば金属製の板材や棒材などであってもよい。
【0051】
(2c)上記実施形態では、ワイヤーメッシュ38が二重管部31における第2空間S2側の部分に形成される構成を例示したが、二重管部31における軸方向の中央部分や第1空間S1側の部分に形成されていてもよい。
【0052】
(2d)上記実施形態では、ワイヤーメッシュ38は外管31bの内側面に溶接されている構成を例示した。しかしながら、ワイヤーメッシュ38は、内管31aの外側面に溶接される構成であってもよい。ワイヤーメッシュ38を内管31aに溶接する場合、管の外側面にワイヤーメッシュを配置して溶接することとなるため、溶接作業が容易になる。しかしながら、管の内側面に溶接痕が残ることとなるため、その部分に触媒32を配置できず、
図5に示されるように、外管31bが触媒32よりも大きく下流側に伸びだすこととなる。
【0053】
(2e)上記実施形態では、EGR取り出し口34が二重管部31における第1空間S1側の部分に形成される構成を例示したが、二重管部31における軸方向の中央部分や第2空間S2側の部分に形成されていてもよい。
【0054】
(2f)ケース11の具体的な構成は、上記実施形態のEGR装置1にて例示した構成に限定されない。つまり、内燃機関のガスが流入可能であり、内部に触媒32を保持可能であればよく、上述した上流コーン2、二重管部31、下流コーン4と同等の形状や構成を備えていなくてもよい。
【0055】
(2g)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0056】
1…EGR装置、2…上流コーン、3…触媒コンバータ、4…下流コーン、5…EGR配管、11…ケース、21…導入口、31…二重管部、31a…内管、31b…外管、32…触媒、32a…側面、33…マット、34…EGR取り出し口、35,36…流路、37…閉塞部、38…ワイヤーメッシュ、41…排出口、S1…第1空間、S2…第2空間