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特許7468998第1および第2の単電線を撚り合わせてペア電線を形成するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】第1および第2の単電線を撚り合わせてペア電線を形成するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/02 20060101AFI20240409BHJP
   B21F 7/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H01B13/02 Z
B21F7/00 A
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019077736
(22)【出願日】2019-04-16
(65)【公開番号】P2019216087
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】18167774.1
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506058451
【氏名又は名称】コマックス ホルディング アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】KOMAX HOLDING AG
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ストーブリ
(72)【発明者】
【氏名】デニス、 ファセンダ
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-085973(JP,A)
【文献】米国特許第06289944(US,B1)
【文献】特開2013-182850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/02
B21F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主撚り装置(120)と、再撚り装置(160)であって、静止再撚りモジュール(170)と、直線的なガイド方向に沿って移動可能な再撚りモジュール(180)とを有する再撚り装置(160)とを有し、第1および第2の単電線(11,12)を撚り合わせてペア電線(10)を形成するための装置(100)であって、
前記再撚りモジュール(170,180)のそれぞれが、撚り合わされた前記ペア電線(10)の端部を引き受けて保持する移送ユニット(172,182)を有し、前記移送ユニット(172,182)が、前記第1の単電線(11)のための第1のワイヤグリップ(174,184)と、前記第2の単電線(12)のための第2のワイヤグリップ(175,185)とを有し、前記第1のワイヤグリップと前記第2のワイヤグリップとの相対距離が、前記電線(11,12)の前記端部間の距離(a3)に応じて変更可能であり
前記静止再撚りモジュール(170)と前記可動再撚りモジュール(180)の少なくとも一方が、保持したそれぞれの前記ペア電線(10)を再撚りするように構成されている、装置。
【請求項2】
前記第1のワイヤグリップ(174,184)と前記第2のワイヤグリップ(175,185)の少なくとも一方が、保持したそれぞれの前記単電線(11,12)を固定するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記静止再撚りモジュール(170)と前記可動再撚りモジュール(180)の少なくとも一方が、保持したそれぞれの前記単電線(11,12)を固定するように構成された固定装置(171,181)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記静止再撚りモジュール(170)と前記可動再撚りモジュール(180)の少なくとも一方が、再撚りヘッド(173,183)を有し、それぞれの前記再撚りヘッド(173,183)が、撚り合わされた前記ペア電線(10)の両方の前記単電線(11,12)を保持し、前記再撚りのために事前に指定された回数または事前に指定可能な回数の回転を実行する、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記再撚りヘッド(173,183)の少なくとも一方が、前記ペア電線(10)の延在方向に移動可能であり、それにより、前記ペア電線に張力が加えられる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記可動再撚りモジュール(180)が、前記装置のリニアガイド(105)上に設けられたキャリッジであって、前記リニアガイド(105)に沿って前記直線的なガイド方向に案内されて移動可能なキャリッジとして構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記キャリッジが、歯付きベルトドライブによって移動可能である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記可動再撚りモジュール(180)が、前記電線(11,12)の保持したそれぞれの端部を前記電線の方向に移動させる駆動装置をさらに有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記移送ユニット(17,18)が、水平駆動装置と鉛直駆動装置とをさらに有し、前記水平駆動装置と前記鉛直駆動装置が、前記第1および第2のワイヤグリップの少なくとも一方をケーブルの軸に垂直な平面内で鉛直方向および水平方向に移動させるように構成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の装置(100)を用いて、第1および第2の単電線(11,12)を撚り合わせてペア電線(10)を形成するための方法であって、
前記主撚りモジュール(120)によって前記単電線(11,12)を撚り合わせてツイストペア電線(10)を得ることと、
前記移送ユニット(172,182)の前記ワイヤグリップ(174,175;184,185)を、前記ツイストペア電線(10)の関連する単電線(11,12)に対応する位置に移動させることと、
前記単電線(11,12)をそれぞれの関連する前記ワイヤグリップ(174,175;184,185)に引き渡すことと、
前記ワイヤグリップ(174,175;184,185)間の距離を縮めることと、
前記ツイストペア電線(10)を再撚り位置に配置することと、
前記ツイストペア電線を前記再撚りモジュール(170,180)の前記再撚りヘッド(173,183)に引き渡すことと、
前記ツイストペア電線(10)を再撚りすることと、を含む方法。
【請求項11】
前記再撚りの間、前記ツイストペア電線(10)は、前記ワイヤグリップ(174,175;184,185)の一方によって、あるいは、固定グリップ(171,181)によって固定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ツイストペア電線(10)を前記再撚り位置に配置する前に、前記可動再撚りモジュール(180)を前記静止再撚りモジュール(170)に向けて移動させることをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記ツイストペア電線(10)を再撚りする前と、前記再撚りの間、撚り合わされる前記ペア電線(10)に張力を付与することをさらに含む、請求項10から12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、第1および第2の単電線を撚り合わせてペア電線を形成するための装置と、本明細書に記載の装置を用いて、第1および第2の単電線を撚り合わせてペア電線を形成するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の用途において、2本の単電線は、並んで案内され、ケーブル加工装置で撚り合わされる。撚り合わされた後、電線は、(ツイスト)ペア電線を形成し、ペア電線は、例えば、後続する工程においてコネクタハウジング内に案内される。
【0003】
欧州特許第1032095号明細書には、自動撚り機を備えた従来のケーブル加工装置が記載されている。2つの単電線が同時に引き込まれて組み立てられる。その組み立ては、通常、個々の電線の少なくとも一方の端部を所定の長さに切断することと、絶縁体を剥離することと、接点やグロメットなどを設けることとの少なくともいずれかを含んでいる。電線前端部が組み立てられた後、単電線が引き出され、後端部が組み立てられ、その後、電線は実際の撚り装置に引き渡される。この装置は、撚りの間に電線後端部を保持する静止保持モジュールと、ケーブルの方向に移動可能であって、電線前端部を把持して一緒に回転する(ねじれる)撚りヘッドとを含んでいる。ペア電線は、単電線が撚り合わされた結果として、撚りの間に短くなる。張力が測定され、撚りヘッドは、測定された張力に基づいて制御されて移動し、それにより、短くなることが考慮される。
【0004】
欧州特許出願公開第3012841号明細書には、さらに別の加工装置へ電線端部を供給するための装置が記載されている。この場合、電線は、少しだけ離れて保持されて撚り合わされる。電線の両端部は、単一対のグリップジョー部によって保持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
欧州特許出願公開第3012841号明細書により公知の方法は、撚りの間に発生する張力の単電線への伝達をより難しくする。一対のグリップジョー部によって単電線に加わるクランプ力は、単電線を傷づけることなく、例えば、変形させることなく、確実にしっかりと保持できるようにするために、限定的に強められるだけであり、そのことは、ペア電線の品質を低下させることになる。
【0006】
本開示の目的は、第1および第2の単電線を撚り合わせてペア電線を形成するための装置または方法であって、質の高いツイストペア電線を保証する装置または方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、請求項1に記載の、第1および第2の単電線を撚り合わせてペア電線を形成するための装置が提示される。
【0008】
一態様によれば、この装置は、主撚り装置と、再撚り装置であって、静止再撚りモジュールと、直線的なガイド方向に沿って移動可能な再撚りモジュールとを有する再撚り装置とを有している。再撚りモジュールのそれぞれは、撚り合わされたペア電線の端部を引き受けて保持する移送ユニットを有し、移送ユニットは、第1の単電線のための第1のワイヤグリップと、第2の単電線のための第2のワイヤグリップとを有し、第1のワイヤグリップと第2のワイヤグリップとの相対距離は、電線の端部間の距離に応じて変更可能である。静止再撚りモジュールと可動再撚りモジュールの少なくとも一方は、保持したそれぞれのペア電線を再撚りするように構成されている。
【0009】
本明細書では、「再撚り」、「再撚り装置」などは、ペア電線を形成するための撚り動作の全過程において、時間的に主撚り補助工程の後に続く態様を指定している。主撚り工程は、例えば、欧州特許第1032095号明細書に記載された撚り動作と同様に実施される。主撚り工程の後では、ペア電線における単電線は、ペア電線の長さの大部分で撚り合わされた状態になっている。しかしながら、ペア電線は、それぞれの電線端部(典型的には、電線前端部および電線後端部の両方)では、互いに遠く離れている。
【0010】
本開示によれば、移送ユニットは、ツイストペア電線の一方の端部を引き受けて保持する。移送ユニットの第1のワイヤグリップは、第1の単電線を保持し、第2のワイヤグリップは、第2の単電線を保持する。第1のワイヤグリップと第2のワイヤグリップとの距離は、単電線の端部間の距離に応じて変更されてもよい。通常、第1のワイヤグリップと第2のワイヤグリップとの距離は縮められ、それにより、単電線の端部間の距離もそれに応じて縮められる。
【0011】
続いて、距離が縮められた単電線の端部は再撚りされる。ツイストペア電線の再撚りされた電線の端部は、再撚りの完了後、間隔がより狭く、高品質である。
【0012】
第1のワイヤグリップと第2のワイヤグリップとの距離は、典型的には、プログラムによって変更されてもよい。プログラム可能な変更は、例えば、事前に指定された電線構成または事前に指定可能な電線構成(第1の交差位置の距離、ツイストの撚り長さなどの仕様)と、電線特性(電線断面積、絶縁体厚さなど)との少なくとも一方に応じて、第1のワイヤグリップと第2のワイヤグリップとの距離を調節することを含んでいる。
【0013】
ある実施態様では、第1のワイヤグリップと第2のワイヤグリップの少なくとも一方は、保持したそれぞれの単電線を固定するように構成されている。あるいは、静止再撚りモジュールと可動再撚りモジュールの少なくとも一方は、保持したそれぞれの単電線を固定するように構成された固定装置を有している。ここでいう固定とは、再撚り動作の準備と実施の少なくとも一方のために保持することを含んでいる。
【0014】
ある実施態様では、静止再撚りモジュールと可動再撚りモジュールの少なくとも一方は、再撚りヘッドを有している。それぞれの再撚りヘッドは、撚り合わされたペア電線の両方の単電線を保持し、再撚りのために事前に指定された回数または事前に指定可能な回数であって、典型的には、プログラム可能な回数の回転を実行する。
【0015】
ある実施態様では、再撚りヘッドの少なくとも一方は、ペア電線の延在方向に移動可能であり、それにより、ペア電線に張力が加えられる。張力の印加により、電線端部における撚り合わされた電線部分であっても、撚り長さなどの電線パラメーターを保証することができる。再撚りヘッドの少なくとも一方は、事前に指定された張力または事前に指定可能な張力をペア電線に加えるために、力制御されて移動することができるように構成されていてもよい。
【0016】
ある実施態様では、可動再撚りモジュールは、装置のリニアガイド上に設けられたキャリッジであって、リニアガイドに沿って直線的なガイド方向に案内されて移動可能なキャリッジとして構成されている。直線的に案内されるキャリッジの構成は、特に簡単で効果的な構造を可能にする。キャリッジは、歯付きベルトドライブによって移動可能であってもよく、それにより、その構造がさらに簡略化される。
【0017】
ある実施態様では、可動再撚りモジュールは、電線の保持したそれぞれの端部を電線の方向に移動させる駆動装置をさらに有している。駆動装置は、典型的には、スピンドルドライブとして構成されている。
【0018】
ある実施態様では、移送ユニットは、水平駆動装置と鉛直駆動装置とをさらに有し、水平駆動装置と垂直駆動装置は、第1のまたは第2のワイヤグリップの少なくとも一方をケーブルの軸に垂直な平面内で鉛直方向および水平方向に移動させるように構成されている。水平駆動装置は、例えば、水平スピンドルドライブである。鉛直駆動装置は、例えば、鉛直スピンドルドライブである。
【0019】
さらに別の態様によれば、本明細書に記載された装置を用いて、第1および第2の単電線を撚り合わせてペア電線を形成するための方法が提示されている。この方法は、主撚りモジュールによって単電線を撚り合わせてツイストペア電線を得ることと、移送モジュールのワイヤグリップを、ツイストペア電線の関連する単電線に対応する位置に移動させることと、単電線をそれぞれの関連するワイヤグリップに引き渡すことと、ワイヤグリップ間の距離を縮めることと、ツイストペア電線を再撚り位置に配置することと、ツイストペア電線を再撚りモジュールの再撚りヘッドに引き渡すことと、ツイストペア電線を再撚りすることと、を含んでいる。
【0020】
この方法により、ペア電線の端部における単電線間の距離がより短い場合の再撚り工程を自動化することができる。例えば、ユーザインターフェースを介して、ペア電線の一方または両方の端部における単電線間の距離を指定可能である。また、電線端部からの単電線の第1の交差位置の距離は、それぞれの端部において指定可能であることも考えられる。単電線の第1の交差位置は、注目している端部から出発したとき、電線が撚り合わされた状態を形成するために初めて互いに接触する位置、すなわち、交差する位置である。
【0021】
ある実施態様では、再撚りの間、ツイストペア電線は、ワイヤグリップの一方によって、あるいは、固定グリップによって固定される。これにより、特に簡単で信頼性の高い再撚りが保証される。
【0022】
ある実施態様では、ツイストペア電線を再撚り位置に配置する前に、可動再撚りモジュールは、静止再撚りモジュールに向けて移動される。したがって、ペア電線は、上記配置の前に緩められる。ペア電線を緩めることにより、保持された単電線がワイヤグリップから滑り落ちたり、単電線の位置が変化したりするリスクが軽減される。
【0023】
ある実施態様では、ツイストペア電線を再撚りする前と、再撚りの間、撚り合わされるペア電線に張力が付与される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本明細書で使用される用語を説明するためのツイストペア電線を示す図である。
図2】本明細書で使用される用語を説明するための別のツイストペア電線を示す図である。
図3】本明細書で使用される用語を説明するための別のツイストペア電線を示す図である。
図4】本明細書で開示される態様を説明するために、再撚り装置を備えていない状態の第1および第2の単電線を撚り合わせる装置の上面図である。
図5】再撚り装置を備えた第1および第2の単電線を撚り合わせる装置の一部の上面図である。
図6】斜め下方から見た装置100の一部を示す図である。
図7】第1の方向からの可動再撚りモジュールの斜視図である。
図8】第2の方向からの可動再撚りモジュールの斜視図である。
図9】第1の方向からの静止再撚りモジュール170の斜視図である。
図10】第2の方向からの静止再撚りモジュール170の斜視図である。
図11】本明細書に記載された方法を実施中の本明細書に記載された装置の組み合わせられた図である。
図12】本明細書に記載された方法を実施中の本明細書に記載された装置の組み合わせられた図である。
図13】本明細書に記載された方法を実施中の本明細書に記載された装置の組み合わせられた図である。
図14】本明細書に記載された方法を実施中の本明細書に記載された装置の組み合わせられた図である。
図15】本明細書に記載された方法を実施中の本明細書に記載された装置の組み合わせられた図である。
図16図13から図15に示す図の一部を拡大して示す図である。
図17】本明細書に記載された方法を実施中の本明細書に記載された装置の組み合わせられた図である。
図18】本明細書に記載された方法を実施中の本明細書に記載された装置の組み合わせられた図である。
図19】本明細書に記載された方法を実施中の本明細書に記載された装置の組み合わせられた図である。
図20】本明細書に記載された方法を実施中の本明細書に記載された装置の組み合わせられた図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して、本開示の実施形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は、第1の単電線11と第2の単電線12からなるツイストペア電線10を示している。ペア電線10の一方の端部16は、前端部と定義され、後述する撚り合わせのための装置100内に案内される。ペア電線の他方の端部17は、後端部と定義される。
【0027】
後端部17において、電線11,12にはそれぞれ、第1の接点13および第2の接点14が取り付けられている。端部16,17間の領域は撚り合わされ、すなわち、電線11,12は互いに巻き付けられている。前端部16から出発すると、電線11,12は、第1の交差点P2で初めて重なり合う、すなわち、交差する。同様に、電線11,12は、後端部17から出発して、第1の交差点P1で初めて重なり合う、すなわち、交差する。
【0028】
説明のために、図2には、ペア電線10の一部が再び示されている。単電線11,12の後端部17のうち、撚り合わされていない端部は、長さa1を有している。撚り合わされた領域において、電線11,12の2つの同様の交差部すなわち重複部の間の距離は、撚り長さa2と規定される。
【0029】
距離a3は、距離a1,a2が定義されたペア電線10の延在方向と実質的に垂直な方向で定義される。距離a3は、各端部(図2では、後端部17)での単電線11,12の距離を意味する。対応する距離a3は、前端部16でも定義されるが、後端部17での距離a3と同じであっても、異なっていてもよい。
【0030】
図3は、図2のペア電線10の一部を示している。図3では、単電線11,12間の距離a3は、図2のものよりも小さい。
【0031】
図4には、説明のために、再撚り装置を備えていない状態の単電線11,12を撚り合わせる装置100を表している。
【0032】
図4において、単電線11,12の前端部16は、加工領域101へと案内されるが、そこから機械軸に沿ってガイドレール105上をさらに案内されてもよい。加工モジュール103,104,105,106は、加工領域101内で電線11,12を処理することができる。
【0033】
単電線11,12の前端部16は、切削ヘッド102によって絶縁体が剥離され、引き続き第1の旋回ユニット107によって、一方の側にある加工モジュール103,104に供給される。例えば、ここで、それぞれの電線端部にグロメットおよび接点が取り付けられてもよい。
【0034】
続いて、第1の旋回ユニット107により、ペア電線10は機械軸の方向に戻される。そこで、その単電線11,12は、引抜キャリッジ109が把持可能な位置まで送られる。単電線11,12は、引抜キャリッジ109により、ガイドレール105に沿って所望の電線長さに応じて規定された直線的なガイド方向に引き出される。
【0035】
次に、単電線11,12は、第2の旋回ユニット108に把持され、切削ヘッド102によって切断されて絶縁体が剥離される。電線後端部17は、第2の旋回ユニット108によって他方の側にある加工モジュール105、106に供給され、組み立てが完了し、すなわち、例えば、それぞれにグロメットおよび接点が再び装着される。
【0036】
移送モジュール111は、単電線11,12の後端部17を引き受け、それらを互いに近付け、旋回運動の後に保持モジュール110に引き渡す。引受モジュール112は、単電線11,12の前端部16を撚りヘッド120に引き渡す。撚りヘッド120は、図4に示すように、装置100内で回転し、それと同時に、張力を調節しながら保持モジュール110の方向に移動する。撚りヘッド120は、主撚り装置を構成し、この主撚り装置により、例えば、図2に示すような、それぞれの端部16,17において単電線11,12の間に比較的大きな距離a3を有するペア電線が利用可能になる。
【0037】
図5には、図4の装置100が部分図として示されており、再撚り装置160が追加的に設けられている。再撚り装置160は、静止再撚りモジュール170と可動再撚りモジュール180を有している。可動再撚りモジュール180は、ガイドレール105上に別個に設けられたリニアガイドに沿って移動可能であり、リニアガイドは、可動再撚りモジュール180のための直線的なガイド方向を規定している。直線的なガイド方向は、撚りヘッド120および引抜キャリッジ109の移動方向に平行である。
【0038】
図6は、斜め下方から見た装置100の一部を示している。図6には、一例として、保持モジュール110と撚りヘッド120が示されている。保持モジュール110の代わりに、撚りヘッド120に加えて、さらに別の撚りヘッドを設けることも考えられる。
【0039】
静止再撚りモジュール170は、再撚りヘッド173と移送ユニット172を有している。同様に、可動再撚りモジュール180は、再撚りヘッド183と移送ユニット182を有している。図6に示す実施形態では、静止再撚りモジュール170は、固定グリップ171をさらに有している。これに対応して、可動再撚りモジュール180は、固定グリップ(図示せず)を有していてもよい。
【0040】
移送ユニット172,182は、撚りヘッド120によって撚り合わされたペア電線10を引き受け、それぞれ再撚りヘッド173,183に引き渡すように構成されている。固定グリップ171,181は、設けられているならば、再撚り工程中にペア電線10を保持する。
【0041】
可動再撚りモジュール180は、歯付きベルトドライブ(図示せず)によってリニアガイド105上を移動可能なキャリッジとして構成されている。このように、撚りヘッド120は、撚り合わされたケーブルに応じて、異なる端部位置に移動可能である。
【0042】
図7は、第1の方向からの可動再撚りモジュール180の斜視図であり、図8は、第2の方向からの可動再撚りモジュール180の斜視図である。再撚りヘッド183は、撚りモータ188により、歯付きベルトドライブを介して移動可能である。さらに、再撚りヘッド183は、第1のスピンドルドライブ189を介してケーブルの方向に移動可能である。移送ユニット182は、互いに距離a3だけ離れた単電線11,12の端部を把持する役割を果たす第1のワイヤグリップ184および第2のワイヤグリップ185を支持している。ワイヤグリップ183,185の一方は、リニア軸に取り付けられ、それにより、両ワイヤグリップの間隔をプログラムによって変更することができる。リニア軸は、サーボ軸として構成されていてもよい。
【0043】
移送ユニット182は、水平スピンドルドライブ186bと鉛直スピンドルドライブ186aを有している。したがって、ワイヤグリップ184,185は、ケーブルの軸に垂直な平面内で鉛直方向におよび水平方向に移動可能である。また、このような移動を実現するために、関連するサーボモータおよびガイドを備えたスピンドルドライブに加えて、例えば、ピストンのない空気圧シリンダーなど、他の変形例も考えられる。
【0044】
図9は、第1の方向からの静止再撚りモジュール170の斜視図であり、図10は、第2の方向からの静止再撚りモジュール170の斜視図である。静止再撚りモジュール170は、再撚りヘッド173と移送ユニット172を有している。このモジュールは移動の必要がなく、したがって、これらの構成部品は、互いに接続されておらず、機械フレームに個別に取り付けられている。再撚りヘッド173は、再撚りヘッド183と同様に構成され、空気圧シリンダーによってツイストペア電線10の方向に移動可能である。移送ユニット172は、第1のワイヤグリップ174と第2のワイヤグリップ175を有しており、第1のワイヤグリップ174と第2のワイヤグリップ175との距離は、リニア軸177によって変更可能である。
【0045】
再撚りの間、ワイヤグリップ174,175によって、あるいは、別個に設けられた固定グリップ171によって、ペア電線10を固定することができる。
【0046】
移送ユニット172は、3つの移動軸を有しており、水平方向の歯付きベルトドライブ178および第1の鉛直スピンドルドライブ176aは、ペア電線10の軸に垂直の平面内で、ワイヤグリップ174,175および固定グリップ171を一緒に移動させる。水平スピンドルドライブ176bは、ペア電線10の軸に平行にワイヤグリップ174,175を単独で移動させる。
【0047】
図11から図19はそれぞれ、本明細書に記載の方法が実施されている間の異なる時点での装置100を示している。図11から図15図17から図20のそれぞれの上側領域の部分(a)は、撚り軸Vから再撚り軸への方向に見た図である。図11から図15図17から図20のそれぞれの下側領域の部分(b)は、下方から見た図である。当然のことながら、図11から図20に例として記載された工程は、前端部16および後端部17の一方のみが再撚りされる場合には、電線端部の接合と対応する端部での再撚りを実施しないことで修正されてもよい。
【0048】
図11には、開始位置が示されている。以下の図面において参照符号が付されていない構成部品は、図11のものに対応している。
【0049】
図11では、組み立てが完了し、撚りヘッド120によって撚り合わされた、第1の単電線11と第2の単電線12からなるペア電線10が、保持モジュール110内で保持されている。第1の単電線11と第2の単電線12との距離a3は、比較的大きい。可動再撚りモジュール180のワイヤグリップ184,185と、静止再撚りモジュール170のワイヤグリップ174,175は、撚り軸Vおよび再撚り軸Nの上方であって撚り軸Vと再撚り軸Nとの間の待機位置にある。
【0050】
図12に示す第1の工程では、両方のワイヤグリップ対174,175;184,185は、それらがそれぞれの電線端部の上方に位置するまで水平方向に移動される。ワイヤグリップ174,175;184,185は、ケーブルの方向にそれぞれの位置まで順次または同時に移動されてもよい。
【0051】
図13に示す次の工程では、ワイヤグリップ対174,175;184,185は引き下ろされて撚り軸Vの高さにされる。
【0052】
図14に示す工程では、ワイヤグリップ174とワイヤグリップ175との距離が縮められるとともに、ワイヤグリップ184とワイヤグリップ185との距離が縮められ、両方の電線端部11,12を把持するために、ワイヤグリップ対184,185は水平方向にわずかに移動される。そして、両方のワイヤグリップ対174,175;184,185が閉じられた後、撚りヘッドおよび保持モジュール110のケーブルグリップが開けられることで、ケーブルは、ワイヤグリップ184,185;174,175に引き渡される。
【0053】
図15に示すように、引き渡しの後、電線端部11,12は、再撚りのために所望の間隔に配置される。このために、ワイヤグリップ174とワイヤグリップ175との距離と、ワイヤグリップ184とワイヤグリップ185との距離は、それぞれのリニア軸のさらなる操作によってさらに縮められる。
【0054】
図16は、(a)~(c)にそれぞれ可動再撚りモジュール180のワイヤグリップ184,185の一部を拡大して示しており、(a)は、図13の拡大図であり、(b)は、図14の拡大図であり、(c)は、図15の拡大図である。ワイヤグリップ184,185は、図16の(a)~(c)では、それぞれ異なる位置にある。
【0055】
図17は、図15に続く工程を示している。図17では、ペア電線10は、可動再撚りモジュール180を静止再撚りモジュール170の方向に移動させることで緩められている。ペア電線10を緩めることにより、電線端部がワイヤグリップ174,175;184,185から滑り落ちたり、その後のペア電線10の移動中にその中に入り込んだりする可能性があるというリスクが軽減される。
【0056】
その後、両方の移送ユニット172,182は、ペア電線10を再撚り軸Nへと移動させるが、最初に、静止再撚りモジュール170において鉛直移動が実施され、それにより、ペア電線10は、開放された保持モジュール110の領域の外側に移動される。2つの再撚りヘッド173,183は、ある角度位置にあり、その角度位置により、再撚りヘッド173,183の開放されたワイヤグリップ174,175;184,185内にペア電線10を衝突させることなく導入することが可能になる。
【0057】
図18は、両方の移送ユニットの最終位置を示している。これ以降、撚りヘッドおよび保持モジュールは、もはや図示されていない。
【0058】
次に、ペア電線10は、再撚りに備えられる。このために、ペア電線10は、再び引き伸ばされ、再撚りヘッド173,183に把持される。その後、ワイヤグリップ174,175;184,185が開放される。
【0059】
再撚りの前に、ペア電線10の両端部が固定される。静止再撚りモジュール170では、その固定は、固定グリップ171によって行われる。水平方向への移送ユニット172の位置修正の後、固定グリップ171が閉じられ、それにより、ペア電線10が把持される。可動再撚りモジュール180では、上記固定は、2つのワイヤグリップ184,185の一方によって行われ、その一方のワイヤグリップは、閉じられたときにペア電線10全体を固定するために、移送ユニット182の水平移動によって正しく位置決めされている。
【0060】
図19は、再撚り直前の状態を示している。引き伸ばされたペア電線10の電線端部は、両方の再撚りヘッド173,183に保持され、ペア電線10は、固定グリップ171とワイヤグリップ184,185によって固定されている。
【0061】
必要に応じて、撚り合わされた電線11,12に張力が加えられてもよい。
【0062】
実際の再撚りは、再撚りヘッド173,183の回転によって行われる。例えば、既知のプロセスパラメーター(撚り長さ、電線外径など)から再撚りヘッド173,183の想定回転数を計算し、それに応じて再撚りヘッド173,183を制御するマシンコントローラ(図示せず)が設けられている。
【0063】
図20は、2つの再撚りされたケーブル端部16,17を含む、完成したペア電線10を備えた装置を示している。
【0064】
固定が解除されてもよく、ペア電線10は、再撚りヘッド173,183が開放された後で落下し、再撚りヘッド173,183は、事前に正しい角度位置に配置される。また、最初に再撚りヘッド173,183を開放し、ケーブルが正確に置かれる前にそれを移送ユニット172,182に通すことも考えられる。
図1
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図4
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図6
図7
図8
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図10
図11
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図14
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図16
図17
図18
図19
図20