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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】目標検出装置及び目標検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/46 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
G01S13/46
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020012093
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021117169
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-23
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト/非協調式SAAの研究開発/電波・光波センサ統合技術の開発」助成事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】板倉 晃
(72)【発明者】
【氏名】平木 直哉
(72)【発明者】
【氏名】土屋 廣憲
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-159678(JP,A)
【文献】特開2000-147108(JP,A)
【文献】特開2012-189584(JP,A)
【文献】特開昭60-133380(JP,A)
【文献】特開2017-129410(JP,A)
【文献】特開平06-162397(JP,A)
【文献】特開2020-016597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00-7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ受信強度が所定強度以上である領域について、レーダ送受信装置から奥まった距離ではなく前記レーダ送受信装置に最も近い距離における方位角幅が所定幅以上であるかどうかを識別する方位角幅識別部と、
前記方位角幅が前記所定幅以上であれば、前記領域を目標と識別し、前記方位角幅が前記所定幅より狭ければ、前記領域をノイズと識別する目標ノイズ識別部と、
前記領域が前記目標と識別されたときには、前記目標の位置として、前記レーダ送受信装置から奥まった距離ではなく前記レーダ送受信装置に最も近い距離における前記方位角幅のうち中心位置を出力し、前記領域が前記ノイズと識別されたときには、前記ノイズの位置の出力を中止する目標位置出力部と、
を備えることを特徴とする目標検出装置。
【請求項2】
前記方位角幅識別部は、二値化された前記レーダ受信強度が0ではなく1を有する前記領域について、二値を有する面フィルタと一致するかどうかを識別し、
前記面フィルタは、前記レーダ送受信装置から見て近方側に、前記面フィルタの全方位角幅にわたり0を有し、前記レーダ送受信装置から見て遠方側に、前記面フィルタの前記全方位角幅のうちの前記所定幅以上の様々な幅にわたり1を有し、
前記目標ノイズ識別部は、前記領域が特定の幅にわたり1を有する前記面フィルタとは一致するならば、前記領域を前記目標と識別し、前記領域がいずれの幅にわたり1を有する前記面フィルタとも一致しなければ、前記領域を前記ノイズと識別し、
前記目標位置出力部は、前記領域が前記目標と識別されたときには、前記目標の位置として前記面フィルタにおける前記特定の幅のうちの中心位置を出力し、前記領域が前記ノイズと識別されたときには、前記ノイズの位置の出力を中止する
ことを特徴とする、請求項1に記載の目標検出装置。
【請求項3】
前記所定幅以上の範囲の下限は、前記レーダ送受信装置のビーム幅に設定される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の目標検出装置。
【請求項4】
前記所定幅以上の範囲の上限は、前記レーダ送受信装置から近い前記領域については大きく設定され、前記レーダ送受信装置から遠い前記領域については小さく設定される
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の目標検出装置。
【請求項5】
前記レーダ受信強度が前記所定強度以上である前記領域は、MTI(Moving Target Indicator)に基づいて抽出された前記領域である
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の目標検出装置。
【請求項6】
レーダ受信強度が所定強度以上である領域について、レーダ送受信装置から奥まった距離ではなく前記レーダ送受信装置に最も近い距離における方位角幅が所定幅以上であるかどうかを識別する方位角幅識別ステップと、
前記方位角幅が前記所定幅以上であれば、前記領域を目標と識別し、前記方位角幅が前記所定幅より狭ければ、前記領域をノイズと識別する目標ノイズ識別ステップと、
前記領域が前記目標と識別されたときには、前記目標の位置として、前記レーダ送受信装置から奥まった距離ではなく前記レーダ送受信装置に最も近い距離における前記方位角幅のうち中心位置を出力し、前記領域が前記ノイズと識別されたときには、前記ノイズの位置の出力を中止する目標位置出力ステップと、
を順にコンピュータに実行させるための目標検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、目標を検出するレーダ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
目標を検出するレーダ技術が、特許文献1等に開示されている。従来技術の目標検出処理を図1に示す。レーダ受信強度が所定強度以上である領域R1、R2について、目標の位置として、領域R1、R2の重心位置G1、G2を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-096838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、領域R1、R2の重心位置G1、G2を出力するためには、モーメント計算用の乗算装置が必要であり、複雑なハードウェアリソースが必要である。しかし、省スペース及び省電力が要求される無人機等では、複雑なハードウェアリソースは不向きである。
【0005】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、目標を検出するレーダ技術において、複雑なハードウェアリソースを必要とせず、目標の位置を出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、レーダ受信強度が所定強度以上である領域について、目標の位置として、レーダ送受信装置に最も近い距離における方位角幅のうちの中心位置を出力する。つまり、レーダ受信強度が所定強度以上である領域のうち、レーダ送受信装置に最も近い位置は重要であるが、レーダ送受信装置から奥まった位置は重要ではない。
【0007】
具体的には、本開示は、レーダ受信強度が所定強度以上である領域について、レーダ送受信装置に最も近い距離における方位角幅が所定幅以上であるかどうかを識別する方位角幅識別部と、前記方位角幅が前記所定幅以上であれば、前記領域を目標と識別し、前記方位角幅が前記所定幅より狭ければ、前記領域をノイズと識別する目標ノイズ識別部と、前記領域が前記目標と識別されたときには、前記目標の位置として前記最も近い距離における前記方位角幅のうちの中心位置を出力し、前記領域が前記ノイズと識別されたときには、前記ノイズの位置の出力を中止する目標位置出力部と、を備えることを特徴とする目標検出装置である。
【0008】
また、本開示は、レーダ受信強度が所定強度以上である領域について、レーダ送受信装置に最も近い距離における方位角幅が所定幅以上であるかどうかを識別する方位角幅識別ステップと、前記方位角幅が前記所定幅以上であれば、前記領域を目標と識別し、前記方位角幅が前記所定幅より狭ければ、前記領域をノイズと識別する目標ノイズ識別ステップと、前記領域が前記目標と識別されたときには、前記目標の位置として前記最も近い距離における前記方位角幅のうちの中心位置を出力し、前記領域が前記ノイズと識別されたときには、前記ノイズの位置の出力を中止する目標位置出力ステップと、を順にコンピュータに実行させるための目標検出プログラムである。
【0009】
これらの構成によれば、レーダ受信強度が所定強度以上である領域のうち、レーダ送受信装置に最も近い位置のみを考慮し、レーダ送受信装置から奥まった位置を考慮しない。よって、複雑なハードウェアリソースを必要とせず、目標の位置を出力することができる。そして、方位角幅が広い目標を方位角幅が狭いノイズと識別することができる。
【0010】
また、本開示は、前記方位角幅識別部は、二値化された前記レーダ受信強度が0ではなく1を有する前記領域について、二値を有する面フィルタと一致するかどうかを識別し、前記面フィルタは、前記レーダ送受信装置から見て近方側に、前記面フィルタの全方位角幅にわたり0を有し、前記レーダ送受信装置から見て遠方側に、前記面フィルタの前記全方位角幅のうちの前記所定幅以上の様々な幅にわたり1を有し、前記目標ノイズ識別部は、前記領域が特定の幅にわたり1を有する前記面フィルタとは一致するならば、前記領域を前記目標と識別し、前記領域がいずれの幅にわたり1を有する前記面フィルタとも一致しなければ、前記領域を前記ノイズと識別し、前記目標位置出力部は、前記領域が前記目標と識別されたときには、前記目標の位置として前記面フィルタにおける前記特定の幅のうちの中心位置を出力し、前記領域が前記ノイズと識別されたときには、前記ノイズの位置の出力を中止することを特徴とする目標検出装置である。
【0011】
この構成によれば、レーダ受信強度が二値化された距離/方位角の座標軸空間において、目標の位置としての中心位置の情報が埋め込まれた面フィルタをスキャンするのみでよい。よって、複雑なハードウェアリソースを必要とせず、目標の位置を出力することができる。そして、方位角幅が広い目標を方位角幅が狭いノイズと識別することができる。
【0012】
また、本開示は、前記所定幅以上の範囲の下限は、前記レーダ送受信装置のビーム幅に設定されることを特徴とする目標検出装置である。
【0013】
この構成によれば、特に小さい目標の位置を出力するにあたり、レーダ送受信装置のビーム幅の広がりによるレーダ受信強度の高い領域の広がりを考慮することができる。
【0014】
また、本開示は、前記所定幅以上の範囲の上限は、前記レーダ送受信装置から近い前記領域については大きく設定され、前記レーダ送受信装置から遠い前記領域については小さく設定されることを特徴とする目標検出装置である。
【0015】
この構成によれば、特に大きい目標の位置を出力するにあたり、レーダ送受信装置からの距離の遠近に応じたレーダ受信強度の高い領域の見込み角を考慮することができる。
【0016】
また、本開示は、前記レーダ受信強度が前記所定強度以上である前記領域は、MTI(Moving Target Indicator)に基づいて抽出された前記領域であることを特徴とする目標検出装置である。
【0017】
この構成によれば、静止目標を除去したうえで、移動物標を抽出するとともに、静止目標と比べて小さい移動目標のみについて、目標の位置を出力する。よって、複雑なハードウェアリソースを必要とせず、移動目標の位置を出力することができる。
【発明の効果】
【0018】
このように、本開示は、目標を検出するレーダ技術において、複雑なハードウェアリソースを必要とせず、目標の位置を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来技術の目標検出処理を示す図である。
図2】本開示のレーダシステムの構成を示す図である。
図3】本開示の目標検出装置の概略的な処理を示す図である。
図4】本開示の目標検出装置の具体的な処理を示す図である。
図5】本開示の目標検出処理を示す図である。
図6】本開示の目標検出処理を示す図である。
図7】本開示の面フィルタ設定を示す図である。
図8】本開示の面フィルタ設定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0021】
本開示のレーダシステムの構成を図2に示す。レーダシステムRは、レーダ送受信装置1、目標検出装置2及びレーダ表示装置3を備える。目標検出装置2は、方位角幅識別部21、目標ノイズ識別部22及び目標位置出力部23を備える。目標検出装置2は、図3又は図4に示した目標検出プログラムをコンピュータ(例えば、CPU等。)にインストールすることにより実現可能であり、図3又は図4に示した目標検出処理をROMを有したIC(例えば、FPGA等。)に実行させることにより実現可能であり、上記のコンピュータ及びROMを有したICを両方とも備えることによっても実現可能である。
【0022】
本開示の目標検出装置の概略的な処理を図3に示す。本開示の目標検出装置の具体的な処理を図4に示す。図4の処理は、図3の処理に対する、具体例である。本開示の目標検出処理を図5及び図6に示す。本開示の面フィルタ設定を図7及び図8に示す。
【0023】
方位角幅識別部21は、MTIに基づいて抽出されレーダ受信強度が所定強度以上である領域について、レーダ送受信装置1に最も近い距離における方位角幅が所定幅以上であるかどうかを識別する(図3、ステップS1)。具体的には、方位角幅識別部21は、MTIに基づいて抽出され二値化されたレーダ受信強度が0ではなく1を有する領域について、二値を有する面フィルタと一致するかどうかを識別する(図4、ステップS11)。
【0024】
図5から図8まででは、距離方向の1セルは、距離分解能を示し、方位角方向の1セルは、方位角分解能を示し、レーダ送受信装置1のビーム幅は、方位角分解能の4倍である。図8では、距離/方位角の座標軸を極座標軸(PPI座標軸)で表示するが、図5から図7まででは、距離/方位角の座標軸を簡単のため直交座標軸で表示する。
【0025】
図5の左欄では、二値化されたレーダ受信強度が0ではなく1を有する領域R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10が、距離/方位角の座標軸空間に表示される(最終出力ではない。)。図5の右欄では、MTIに基づいて抽出された領域R4、R5、R7、R8、R9が、距離/方位角の座標軸空間に表示される(最終出力ではない。)。
【0026】
図7の上段では、小さい目標の位置として、ヘリコプターHの位置を検出する。すると、距離方向の1セル×方位角方向の4セル(レーダ送受信装置1のビーム幅に相当する。)の領域R11が、距離/方位角の座標軸空間に表示される(最終出力ではない。)。そこで、面フィルタF1として、(1)レーダ送受信装置1から見て近方側の1セル×6セルに、面フィルタF1の全方位角幅(6セル)にわたり0(白地)を有し、(2)レーダ送受信装置1から見て遠方側の1セル×6セルに、面フィルタF1の全方位角幅(6セル)のうちの中間領域(4セル(レーダ送受信装置1のビーム幅に相当する。))にわたり1(斜線)を有する。なお、中心位置CF1については、図6を用いて後述する。
【0027】
図7の中段では、中程度の目標の位置として、船舶Sの位置を検出する。すると、距離方向の2セル×方位角方向の5セル(レーダ送受信装置1のビーム幅より広い。)の領域R12が、距離/方位角の座標軸空間に表示される(最終出力ではない。)。そこで、面フィルタF2として、(1)レーダ送受信装置1から見て近方側の1セル×7セルに、面フィルタF2の全方位角幅(7セル)にわたり0(白地)を有し、(2)レーダ送受信装置1から見て遠方側の1セル×7セルに、面フィルタF2の全方位角幅(7セル)のうちの中間領域(5セル(レーダ送受信装置1のビーム幅より広い。))にわたり1(斜線)を有する。なお、中心位置CF2については、図6を用いて後述する。
【0028】
図7の下段では、大きい目標の位置として、船舶Sの位置を検出する。すると、距離方向の3セル×方位角方向の7セル(レーダ送受信装置1のビーム幅より広い。)の領域R13が、距離/方位角の座標軸空間に表示される(最終出力ではない。)。そこで、面フィルタF3として、(1)レーダ送受信装置1から見て近方側の1セル×7セルに、面フィルタF3の全方位角幅(7セル)にわたり0(白地)を有し、(2)レーダ送受信装置1から見て遠方側の1セル×7セルに、面フィルタF3の全方位角幅(7セル)のうちの連続領域(6セル(レーダ送受信装置1のビーム幅より広い。))にわたり1(斜線)を有する。なお、中心位置CF3については、図6を用いて後述する。
【0029】
目標ノイズ識別部22は、当該方位角幅が所定幅以上であれば(図3、ステップS2、YES)、当該領域を目標と識別し(ステップS3)、当該方位角幅が所定幅より狭ければ(図3、ステップS2、NO)、当該領域をノイズと識別する(ステップS5)。具体的には、目標ノイズ識別部22は、当該領域が特定の幅にわたり1を有する面フィルタとは一致するならば(図4、ステップS12、YES)、当該領域を目標と識別し(ステップS13)、当該領域がいずれの幅にわたり1を有する面フィルタとも一致しなければ(図4、ステップS12、NO)、当該領域をノイズと識別する(ステップS15)。
【0030】
目標位置出力部23は、当該領域が目標と識別されたときには(図3、ステップS3)、目標の位置として当該最も近い距離における当該方位角幅のうちの中心位置を出力し(ステップS4)、当該領域がノイズと識別されたときには(ステップS5)、ノイズの位置の出力を中止する(ステップS6)。具体的には、目標位置出力部23は、当該領域が目標と識別されたときには(図4、ステップS13)、目標の位置として面フィルタにおける当該特定の幅のうちの中心位置を出力し(ステップS14)、当該領域がノイズと識別されたときには(ステップS15)、ノイズの位置の出力を中止する(ステップS16)。
【0031】
図6の左欄では、距離方向の2セル×方位角方向の2セルの領域R4は、いずれの幅(4セル、5セル、6セル)にわたり1を有する面フィルタF1、F2、F3とも一致しないため、ノイズと識別される。図6の右欄では、距離方向の2セル×方位角方向の2セルの領域R4は、ノイズの位置をレーダ表示装置3に出力されない。
【0032】
図6の左欄では、距離方向の2セル×方位角方向の4セルの領域R5は、特定の幅(4セル)にわたり1を有する面フィルタF1とは一致するため、目標と識別される。図6の右欄では、距離方向の2セル×方位角方向の4セルの領域R5は、目標の位置として、面フィルタF1における特定の幅(4セル)のうちの中心位置CF1と面フィルタスキャン時に一致する中心位置C5を、レーダ表示装置3に出力される。
【0033】
図6の左欄では、距離方向の1セル×方位角方向の1セルの領域R7は、いずれの幅(4セル、5セル、6セル)にわたり1を有する面フィルタF1、F2、F3とも一致しないため、ノイズと識別される。図6の右欄では、距離方向の1セル×方位角方向の1セルの領域R7は、ノイズの位置をレーダ表示装置3に出力されない。
【0034】
図6の左欄では、距離方向の2セル×方位角方向の5セルの領域R8は、特定の幅(5セル)にわたり1を有する面フィルタF2とは一致するため、目標と識別される。図6の右欄では、距離方向の2セル×方位角方向の5セルの領域R8は、目標の位置として、面フィルタF2における特定の幅(5セル)のうちの中心位置CF2と面フィルタスキャン時に一致する中心位置C8を、レーダ表示装置3に出力される。
【0035】
図6の左欄では、距離方向の4セル×方位角方向の7セルの領域R9は、特定の幅(6セル)にわたり1を有する面フィルタF3とは一致するため、目標と識別される。図6の右欄では、距離方向の4セル×方位角方向の7セルの領域R9は、目標の位置として、面フィルタF3における特定の幅(6セル)のうちの中心位置CF3と面フィルタスキャン時に一致する中心位置C9を、レーダ表示装置3に出力される。
【0036】
ただし、移動目標は静止目標と比べて小さいことを考慮して、面フィルタが1を有する幅を広くし過ぎないようにして、大き過ぎる移動目標を出力しないようにしてもよい。
【0037】
このように、図3のステップS1の所定幅以上の範囲の下限は、レーダ送受信装置1のビーム幅に設定される.その一方で、図3のステップS1の所定幅以上の範囲の上限は、レーダ送受信装置1から近いレーダ受信強度の高い領域については大きく設定され、レーダ送受信装置1から遠いレーダ受信強度の高い領域については小さく設定される。
【0038】
図8の上段では、レーダ送受信装置1から近い目標の位置として、船舶Sの位置を検出する。すると、距離方向の1セル×方位角方向の10セル(レーダ送受信装置1から見て見込み角が広い。)の領域R14が、距離/方位角の座標軸空間に表示される(最終出力ではない。)。そこで、面フィルタF4として、(1)レーダ送受信装置1から見て近方側の1セル×12セルに、面フィルタF4の全方位角幅(12セル)にわたり0(白地)を有し、(2)レーダ送受信装置1から見て遠方側の1セル×12セルに、面フィルタF4の全方位角幅(12セル)のうちの中間領域(10セル)にわたり1(斜線)を有し、(3)当該中間領域(10セル)のうちの中心位置CF4(黒地)を有する。
【0039】
図8の下段では、レーダ送受信装置1から遠い目標の位置として、同じ大きさの船舶Sの位置を検出する。すると、距離方向の1セル×方位角方向の6セル(レーダ送受信装置1から見て見込み角が狭い。)の領域R15が、距離/方位角の座標軸空間に表示される(最終出力ではない。)。そこで、面フィルタF5として、(1)レーダ送受信装置1から見て近方側の1セル×8セルに、面フィルタF5の全方位角幅(8セル)にわたり0(白地)を有し、(2)レーダ送受信装置1から見て遠方側の1セル×8セルに、面フィルタF5の全方位角幅(8セル)のうちの中間領域(6セル)にわたり1(斜線)を有し、(3)当該中間領域(6セル)のうちの中心位置CF5(黒地)を有する。
【0040】
以上のように、レーダ受信強度が所定強度以上である領域のうち、レーダ送受信装置1に最も近い位置のみを考慮し、レーダ送受信装置1から奥まった位置を考慮しない。よって、複雑なハードウェアリソースを必要とせず、目標の位置を出力することができる。そして、方位角幅が広い目標を方位角幅が狭いノイズと識別することができる。
【0041】
具体的には、レーダ受信強度が二値化された距離/方位角の座標軸空間において、目標の位置としての中心位置の情報が埋め込まれた面フィルタをスキャンするのみでよい。よって、複雑なハードウェアリソースを必要とせず、目標の位置を出力することができる。そして、方位角幅が広い目標を方位角幅が狭いノイズと識別することができる。
【0042】
そして、静止目標を除去したうえで、移動物標を抽出するとともに、静止目標と比べて小さい移動目標のみについて、目標の位置を出力する。よって、複雑なハードウェアリソースを必要とせず、移動目標の位置を出力することができる。
【0043】
さらに、特に小さい目標の位置を出力するにあたり、レーダ送受信装置1のビーム幅の広がりによるレーダ受信強度の高い領域の広がりを考慮することができる。
【0044】
さらに、特に大きい目標の位置を出力するにあたり、レーダ送受信装置1からの距離の遠近に応じたレーダ受信強度の高い領域の見込み角を考慮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
このように、本開示の目標検出装置及び目標検出プログラムは、目標を検出するレーダ技術において、無人機等及び有人機等のいずれに適用するかによらず、複雑なハードウェアリソースを必要とせず、目標の位置を出力することができる。
【符号の説明】
【0046】
R:レーダシステム
H:ヘリコプター
S:船舶
1:レーダ送受信装置
2:目標検出装置
3:レーダ表示装置
21:方位角幅識別部
22:目標ノイズ識別部
23:目標位置出力部
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15:領域
G1、G2:重心位置
C5、C8、C9、CF1、CF2、CF3、CF4、CF5:中心位置
F1、F2、F3、F4、F5:面フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8