(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】微生物の検出方法、培地
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/04 20060101AFI20240409BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C12Q1/04
C12N1/20 A
(21)【出願番号】P 2020020673
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】下川 正貴
【審査官】伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-229956(JP,A)
【文献】特開平09-037794(JP,A)
【文献】Journal of Dairy Science,2016, Vol.99, No. 3, pp.1831-1836
【文献】Veterinary Research Forum,2016, Vol.7, pp.213-219
【文献】Pharmaceutical Sciences,2016, Vol.22, pp.272-278
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸飲料における
非芽胞形成菌検出方法であって、
前記炭酸飲料をポリフッ化ビニリデン製メンブレンフィルタを用いてろ過
処理を行い、
前記ろ過処理により前記炭酸飲料から
前記ポリフッ化ビニリデン製メンブレンフィルタで捕捉されて分離された非芽胞形成菌を
50~200ppmの濃度のナイシンおよび
20~150ppmの濃度のチモールを含む培地を用いて培養し、検出することを含む、
非芽胞形成菌検出方法。
【請求項2】
前記非芽胞形成菌がシトロバクター属、クレブシエラ属、セラチア属、メチロバクテリウム属、エンテロバクター属、スタフィロコッカス属およびラルストニア属からなる群から選択される1種または2種以上の微生物である、請求項
1に記載の
非芽胞形成菌検出方法。
【請求項3】
前記炭酸飲料のpHが4.0以下である請求項
1または2に記載の
非芽胞形成菌検出方法。
【請求項4】
前記炭酸飲料が加熱殺菌されている、請求項1から
3のいずれか一つに記載の
非芽胞形成菌検出方法。
【請求項5】
非芽胞形成菌の検出を前記加熱殺菌された前記炭酸飲料において死滅しなかった非芽胞形成菌が存在するか否かを判定するために行う、請求項4に記載の非芽胞形成菌検出方法。
【請求項6】
前記炭酸飲料が、レディトゥドリンク飲料である、請求項1から5のいずれか一つに記載の非芽胞形成菌検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸飲料についての微生物の検出方法、および該微生物の検出に用いることができる培地に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、炭酸飲料であるビールテイストノンアルコール飲料や所謂チューハイの需要が高まっている。
【0003】
これらは工場などで製造されるが、一般に工場などで製造される飲料に対しては、微生物の検出試験が行われている(例えば非特許文献1)。例えば上記のような炭酸飲料は加熱殺菌などの殺菌工程を経て製造されることが多いが、その殺菌処理の確認などのために上記微生物の検出試験が行われている。
具体的に説明すると、加熱殺菌等を経て製造される炭酸飲料においては、芽胞形成菌は飲料中に存在していても増殖しない。そのため、該炭酸飲料に対しては加熱殺菌を経ても死滅しなかった非芽胞形成菌が存在するか否かを判定するために上記検出が行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】最新・ソフトドリンクス」(社)全国清涼飲料工業会 監修 2003.9.30 pp927-pp936
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、より容易に非芽胞形成菌を検出できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は炭酸飲料についての、メンブレンフィルタ(MF)法に基づく非芽胞形成菌(以下、非芽胞菌ともいう)の検出方法の確立を試みた。具体的には、メンブレンフィルタを用いてのろ過処理を行い、次いで培養処理を行うことによる非芽胞形成菌(以下、非芽胞菌ともいう)の検出を行った。
しかしながら、上記炭酸飲料中に芽胞形成菌(以下、芽胞菌ともいう)が存在する場合、炭酸飲料中では芽胞菌は増殖しないものの、芽胞のままで飲料中にあり、培地を用いた培養では芽胞菌が増殖してしまった。その結果、増殖した芽胞菌が非芽胞菌検出にあたってのノイズとなり、炭酸飲料中に非芽胞菌が存在するかどうかの判定が困難となることが明らかとなった。
【0007】
本発明者は、鋭意研究の結果、ポリフッ化ビニリデン製のメンブレンフィルタを用いて炭酸飲料に対しろ過処理を行うとともに、該ろ過処理で分離された非芽胞菌を所定の培地を用いて培養を行うことで、芽胞菌の増殖を抑えての非芽胞菌の培養を行うことができ、より容易に非芽胞菌を検出できることを見出した。
【0008】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 炭酸飲料における微生物検出方法であって、
前記炭酸飲料をポリフッ化ビニリデン製メンブレンフィルタを用いてろ過し、
前記ろ過処理により前記炭酸飲料から分離された非芽胞形成菌をナイシンおよびチモールを含む培地を用いて培養し、検出することを含む、微生物検出方法。
[2] 前記培地におけるナイシンの濃度が50~200ppmである[1]に記載の微生物検出方法。
[3] 前記培地におけるチモールの濃度が20~150ppmである[1]または[2]に記載の微生物検出方法。
[4] 前記非芽胞形成菌がシトロバクター属、クレブシエラ属、セラチア属、メチロバクテリウム属、エンテロバクター属、スタフィロコッカス属およびラルストニア属からなる群から選択される1種または2種以上の微生物である、[1]から[3]のいずれか一つに記載の微生物検出方法。
[5] 前記炭酸飲料のpHが4.0以下である[1]から[4]のいずれか一つに記載の微生物検出方法。
[6] 前記炭酸飲料が加熱殺菌されている、[1]から[5]のいずれか一つに記載の微生物検出方法。
[7] 非芽胞形成菌の培養が可能である培地であって、
ナイシンおよびチモールを含む培地。
[8] 前記培地におけるナイシンの濃度が50~200ppmである[7]に記載の培地。
[9] 前記培地におけるチモールの濃度が20~150ppmである[7]または[8]に記載の培地。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より容易に非芽胞形成菌を検出できる技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の1つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態は炭酸飲料における微生物検出方法に関する。本実施形態の微生物検出方法は、炭酸飲料をポリフッ化ビニリデン製メンブレンフィルタを用いてろ過し、ろ過処理により炭酸飲料から分離された非芽胞形成菌をナイシンおよびチモールを含む培地を用いて培養し、検出することを含む。
【0011】
ここで、本明細書において炭酸飲料とは、飲料中に溶存している二酸化炭素(炭酸ガス)を含有する飲料をいう。二酸化炭素が溶存していることで飲料のpHは中性より下がり、例えばpH4.0以下となる(pHの測定は公知の方法により行うことができ、例えばガラス電極pHメーターを用いた方法が挙げられる(JIS-Z8802や、「最新・ソフトドリンクス」(社)全国清涼飲料工業会 監修 p910-911, 2003.9.30.)。なお、他の炭酸飲料と比較してより検出を容易に行うことができるため、pH4.0以下の炭酸飲料であることが好ましい。
また、本実施形態の炭酸飲料における微生物検出方法は、加熱殺菌される工程を経て製造される炭酸飲料を対象にして行うことができる(加熱殺菌を行っていない炭酸飲料と比較してより検出を容易に行うことができるため、好ましい)。具体的な加熱殺菌の方法としては、特に限定されないが、含有成分の混合などを経て調製された飲料を缶等の容器に充填した後に60~70℃程度の熱水によるシャワー殺菌に供する方法や、容器充填前の飲料を配管中などで80℃程度まで加熱し、加熱された飲料を容器に充填しながら容器ごと殺菌する方法(ホットパック)などを挙げることができる。
炭酸飲料に対して加熱殺菌を行うときの温度、時間などは特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。
【0012】
具体的な本実施形態に係る炭酸飲料としては、ノンアルコール炭酸飲料やアルコール炭酸飲料などを挙げることができる。ノンアルコール炭酸飲料としては、ビールテイストノンアルコール飲料、ノンアルコールチューハイ、ノンアルコールカクテル、そのほか炭酸飲料に分類される清涼飲料水などが例示される。また、アルコール炭酸飲料としては、RTD(Ready to Drink)飲料と称される、所謂チューハイ飲料、カクテル飲料などが例示される。
【0013】
また、本実施形態において検出対象となる微生物とは上記の炭酸飲料中に含まれる微生物をいい、具体的には非芽胞菌を意味する。本実施形態においては培地を用いての検出対象である非芽胞菌の培養のときに炭酸飲料中に非芽胞菌と共に存在し得る芽胞菌の増殖が抑えられるため、非芽胞菌を検出しやすい。
【0014】
ここで、本明細書において、芽胞形成菌とは、芽胞(spore)を形成する微生物を意味する。また、芽胞とは、該微生物が形成する強固な殻構造を意味する。
一方、非芽胞形成菌とは上述の芽胞を形成しない微生物を意味する。
【0015】
増殖が抑制される芽胞菌としては特に限定されないが、より抑制される芽胞菌としてバチルス属(genus Bacillus)、ブレビバチルス属(genus Brevibacillus)、またはパニバチルス属(genus Paenibacillus)に属する微生物を挙げることができる。さらにより抑制される芽胞菌としては、以下の微生物を挙げることができる。
バチルス リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)
ブレビバチルス ラテロスポラス(Brevibacillus laterosporus)
バチルス ギンセンギフミ(Bacillus ginsengihumi)
バチルス コアグランス(Bacillus coagulans)
ブレビバチルス パラブレビス(Brevibacillus parabrevis)
バチルス サブティリス(Bacillus subtilis)
パエニバチルス アルギノリティカス(Paenibacillus alginolyticus)
バチルス プミルス(Bacillus pumilus)
バチルス アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)
パエニバチルス バリダス(Paenibacillus validus)
パエニバチルス ポリミザ(Paenibacillus polymyxa)
【0016】
また、非芽胞菌として、特に限定されないが、本実施形態の方法を適用したときに他の菌と比較してより検出しやすいため、シトロバクター属(genus Citrobacter)、クレブシエラ属(genus Klebsiella)、セラチア属(genus Serratia)、メチロバクテリウム属(genus Methylobacterium)、エンテロバクター属(genus Enterobacter)、スタフィロコッカス属(genus Citrobacter)、またはラルストニア属(genus Citrobacter)に属する微生物が好ましく、以下の非芽胞菌のうち1種または2種以上を検出対象とすることがより好ましい。
シトロバクター フロインデイ(Citrobacter freundii)
クレブシエラ オキシトカ(Klebsiella oxytoca)
セラチア マルセッセンス(Serratia marcescens)
メチロバクテリウム エキストロクエンス(Methylobacterium extorquens)
エンテロバクター クロアカ(Enterobactor cloacae)
クレブシエラ ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)
スタフィロコッカス エピデルミデス(Staphylococcus epidermidis)
ラルストニア ピッケテ(Ralstonia pickettii)
スフィンゴモナス トゥルーペリ(Sphingomonas trueperi)
パントエア アグロメランス(Pantoea agglomerans)
バークホルデリア ベトナミエンシス(Burkholderia vietnamiensis)
シュードモナス エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)
シュードモナス フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)
ステノトロホモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)
【0017】
本実施形態の微生物検出方法は、メンブレンフィルタ法(MF法)に基づき行うことができる。具体的には、試料となる炭酸飲料をメンブレンフィルタを用いたろ過処理に供し、次にメンブレンフィルタを培地に貼り付けて炭酸飲料から分離された微生物の培養を試み、形成されたコロニーの検出、形態観察などにより微生物を検出する。
【0018】
ここで、本実施形態においては、メンブレンフィルタとして、ポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene difluoride,PVDF)製メンブレンフィルタを用いる。
なお、メンブレンフィルタの孔径などは特に限定されず、当業者が適宜設定できるが、例えば0.2μm~1.0μmとすることができる。PVDF製メンブレンフィルタとして市販のものを用いればよく、例えばメルクミリポア社製MSP001026を挙げることができる。
また、ろ過処理におけるその他の条件(例えば、ろ過処理を吸引ろ過とする場合のろ過圧力など)についても特に限定されず、当業者が適宜設定できる。
【0019】
本実施形態において、培地はナイシンおよびチモールを含む培地を用いる。
ナイシンは、乳酸菌由来の34アミノ酸残基からなる水溶性の多環式ペプチドである。ナイシンは、乳酸菌を公知の方法により培養し精製することによって得ることができるほか、市販のものを用いてもよい。
また、チモールはC10H14Oで表されるモノテルペン誘導体である。チモールも例えば市販のものを用いることができ、特に限定されない。
【0020】
ナイシン、チモールの含有量は当業者が適宜設定でき、特に限定されないが、より芽胞菌の増殖を抑制できるため、培地におけるナイシンの濃度が50~200ppmであることが好ましい。また、同様の理由から培地におけるチモールの濃度が20~150ppmであることが好ましい。
なお、ナイシン、チモールの含有量は、例えば培地成分への添加量に基づき算出することができる。また、他に、ナイシンについては、液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)により検出する方法、チモールについては、ガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS)で検出する方法がある。
【0021】
具体的には、チモールについて、試料となる培地を以下の条件で、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)に供し、含有量を得ることができる。
GC装置:Agilent Technologies GC-MSD
GCオーブン温度条件:40℃(5分)- 6℃/min - 240℃
質量分析(MS)条件
四重極設定値:150
イオン源設定値:230
面積値算出条件
トータルイオンモード
質量(LOW):35
質量(HIGH):550
カラム:DB-WAXETR 60m、内径320μm、膜厚0.25μm
試料前処理条件:試料80μLと内部標準物質(デカン酸メチルエステル20ppm
アルコール水溶液)20μLを20mLスクリューキャップバイアル瓶中で混合
ダイナミックヘッドスペース条件
装置:ゲステル社MPS
吸着剤:TENAX
試料気化温度:80℃
試料気化用ガス供給量:3000ml
試料気化用ガス供給速度:100ml/min
試料気化用ガス種類:窒素
ピーク保持時間:MSの解析によって成分および濃度の同定を行う。
【0022】
また、ナイシンについては、厚生労働省ホームページ、食品中の食品添加物分析法 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/bunseki/index.html 「食品中の食品添加物分析法」の改正について(令和元年6月28日)(別添3)に従って分析できる。
【0023】
培地組成について、ナイシン、チモール以外の他の成分は非芽胞菌を培養できる限り特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。例えば、標準寒天培地などを構成する成分にナイシン、チモールを添加して培地を調製するなどすればよい。
また、培地の形態についても限定されず、例えば平板培地とすることができる。
【0024】
上記培地を用いての培養条件は特に限定されず当業者が適宜設定できる。
また、非芽胞菌の検出についても限定されず、例えば形成されたコロニーに対する目視での観察などにより行うことができる。
【0025】
以上、本実施形態によれば、MF法に基づき炭酸飲料由来の非芽胞菌の検出を行うにあたり、ノイズとなる芽胞菌の増殖を抑えることができる。そのため、より容易に非芽胞菌の検出を行うことができるので、炭酸飲料の製造における作業性の改善などに寄与することができる。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0027】
[試験例1]
1.培地の作製
標準寒天培地(日水製薬(株))を培地記載の方法に従って調製した。ナイシン溶液は80℃で30分の加熱、チモール水溶液は0.45μmのフィルタ除菌の処理それぞれを行い、分注前に無菌的に培地添加し、培地を作成した。
【0028】
2.供試菌の前培養
飲料製造工場の環境頻出菌を実験に用いた。
いずれも前培養には、標準寒天培地(日水製薬(株))を用いた。
芽胞菌については、80℃で30分間加熱し、栄養細胞を死滅させたものを用いた。
【0029】
3.菌液の調整
菌数が200-300個程度となるよう、前培養した菌体をオートクレーブ処理済みの生理食塩水50mLに懸濁させ、菌液とした。
【0030】
4.菌液のメンブレンろ過・培養
ファンネルを用いて、所定のメンブレンで調整した菌液をろ過した後、メンブレンを各培地へ移し、48時間培養した。培養温度は、35℃とした。
【0031】
5.観察
培養後の継時的にコロニー数を確認し、各菌種の生育状況を観察した。
【0032】
試験に供した菌種、メンブレンフィルタの種類、培地への添加物(未添加、ナイシンのみ添加、またはナイシンおよびチモールを添加)については、結果と共に表1~5に示す。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
表1、2から理解できるように、メンブレンフィルタとしてPVDF製メンブレンフィルタを用いることで芽胞菌の増殖が抑制された。さらに、表3から理解できるように、ナイシン、チモールを含有する培地を用いることで芽胞菌の増殖がさらに抑制された(表3の試験では芽胞菌は検出されなかった)。
一方、表4、5から理解できるように非芽胞菌についてはメンブレンフィルタとしてPVDF製メンブレンフィルタを用い、ナイシン、チモールを含有する培地を用いる場合にもその増殖が確認できた。
【0039】
[試験例2]
表6に示す非芽胞菌、表7に芽胞菌について、試験例1と同様のろ過処理および培養を行った。結果を表6、7に示す。
【0040】
【0041】
【0042】
表6から理解できるように、これら非芽胞菌についてもメンブレンフィルタとしてPVDF製メンブレンフィルタを用い、ナイシン、チモールを含有する培地を用いる場合でもその増殖が確認された。一方、表7に示す芽胞菌についてはその増殖が抑制されていることが確認された。
【0043】
[試験例3]
RTD飲料(アサヒビール社製 チューハイ「もぎたて(グレープフルーツ)」)に菌液を添加し、試験例1と同様(具体的には表3、4と同様の条件)に試験した結果、PVDF製メンブレンフィルタ、およびナイシン、チモールを含有する培地を用いた実施例に該当する例においては、試験例1、2と同様に芽胞菌の増殖が抑制された一方で非芽胞菌の増殖が確認された。