(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】クレーンのための、折り畳み可能な垂下バラストガイド
(51)【国際特許分類】
B66C 23/76 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
B66C23/76 B
B66C23/76 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020024934
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】10 2019 104 142.2
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr-Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノルツ クレメンス
(72)【発明者】
【氏名】ウェンガー ハンス ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】ボーナッカー ローランド
(72)【発明者】
【氏名】イエヒル マルクス
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-051880(JP,A)
【文献】実開昭57-096190(JP,U)
【文献】米国特許第05586667(US,A)
【文献】実開昭58-166587(JP,U)
【文献】実開昭63-183188(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラストを吊り下げるクレーンのための、折り畳み可能な垂下バラストガイドであって、
少なくとも2つの格子ピースであって、少なくとも1つの回転継ぎ手によって互いに回動可能に接続される、2つの格子ピースと、
バラスト半径を変更するために回転角度を変化させる回転駆動部と、
を備え、
前記垂下バラストガイドは第1の格子ピースを介して前記クレーンに配置することができ、
第2の格子ピースは、バラスト半径を減少させるために、クレーンの
運転席から見て下方または後方に向かって前記第2の格子ピースを曲げるための、少なくとも1つの曲げ継ぎ手を備えることを特徴とする、折り畳み可能な垂下バラストガイド。
【請求項2】
請求項1に記載の折り畳み可能な垂下バラストガイドであって、曲げ角度を調整するための少なくとも1つの曲げ駆動部が、前記第2の格子ピースに設けられ、前記曲げ駆動部は、とりわけ引きシリンダの形式で設けられ、そのロッドの動作が、前記第2の格子ピースのサブ要素の曲げ角度の変化を創出することを特徴とする、折り畳み可能な垂下バラストガイド。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の折り畳み可能な垂下バラストガイドであって、前記第2の格子ピースの内側の端部同士は、分断されており、底側の弦の前記内側の端部のサブ要素は、曲げ継ぎ手によって互いに接続されることを特徴とする、折り畳み可能な垂下バラストガイド。
【請求項4】
請求項3に記載の折り畳み可能な垂下バラストガイドであって、前記第2の格子ピースの前記サブ要素のうち、特に頂上側の弦の前記内側の端の部位は、前記第2の格子ピースの前記頂上側の弦の領域において、固定装置を用いて互いに開放可能に接続することが可能であることを特徴とする、折り畳み可能な垂下バラストガイド。
【請求項5】
請求項3に記載の折り畳み可能な垂下バラストガイドであって、固定装置は、前記内側の端部同士の部位をボルトで固定するための少なくとも1つの固定ボルトを備え、とりわけ、各内側の端部につき少なくとも1つの固定ボルトを備え、またボルト引き出し装置も備えることを特徴とする、折り畳み可能な垂下バラストガイド。
【請求項6】
請求項5に記載の折り畳み可能な垂下バラストガイドであって、少なくとも1つの前記固定ボルトに対し、少なくとも1つのボルト固定手段が備えられ、前記ボルト固定手段は、固定ラグが前記固定ボルトの軸方向への突出部に係合する形式であることを特徴とする、折り畳み可能な垂下バラストガイド。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の折り畳み可能な垂下バラストガイドであって、少なくとも1つの前記固定ボルトのボルト収容部は長孔としてデザインされ、とりわけ、前記長孔内において前記固定ボルトを移動させることにより、固定ラグの前記固定ボルトとの係合を解除することができるように構成されていることを特徴とする、折り畳み可能な垂下バラストガイド。
【請求項8】
請求項7に記載の折り畳み可能な垂下バラストガイドであって、前記固定ボルトの移動は前記曲げ駆動部によって創出され、とりわけ、前記第2の格子ピースのサブ要素同士を互いに対して引くことによって創出され
、前記サブ要素の接触領域に対する適切な接触点が設けられることを特徴とする、折り畳み可能な垂下バラストガイド。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の折り畳み可能な垂下バラストガイドであって、少なくとも1つの近接センサが、前記固定装置の領域または前記長孔の領域に配置され、それにより前記長孔内における前記固定ボルトの位置を検出することを特徴とする、折り畳み可能な垂下バラストガイド。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の折り畳み可能な垂下バラストガイドであって、前記回転駆動部は、第2の格子ピースの1つ以上の曲げ継ぎ手の領域で作動し、
直線状に互いに平行に配置される2つのシリンダを備えることを特徴とする、折り畳み可能な垂下バラストガイド。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の折り畳み可能な垂下バラストガイドであって、クレーン本体に回動可能に配置することができる第1の格子ピースは、断面プロフィールがU字形状またはC字形状であり、そのため、前記第1の格子ピースを前記クレーン本体に対して後方に向かう方向に回動した場合、そこに配置されるクレーンの構成要素
であり、ガイを介してデリックブームに接続されるSA架台は、前記第1の格子ピースのプロフィールの辺の間に形成されたクリアランスの中を、少なくとも部分的に貫通することを特徴とする、折り畳み可能な垂下バラストガイド。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の折り畳み可能な垂下バラストガイドを少なくとも1つ備える、クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラストを吊り下げるクレーンのための、折り畳み可能な垂下バラストガイドであって、少なくとも2つの格子ピースであって、少なくとも1つの回転継ぎ手によって互いに回動可能に接続される、2つの格子ピースと、バラスト半径を変更するために回転角度を変化させる回転駆動部と、を備え、前記垂下バラストガイドは第1の格子ピースを介して前記クレーンに配置することができる、折り畳み可能な垂下バラストガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な折り畳み可能な垂下バラストガイドにおいては、2つの格子ピースを互いに回動可能に結合することにより、格子ピースの回転角度に応じて、垂下バラストガイドにより吊り下げられるバラストを、クレーンに対して様々な距離に維持できることが公知である。回転角度を増加させることにより、垂下バラストガイドが届く範囲を増大させることができ、またそれによりバラスト半径を増大させることができる。それにより、取り上げられるバラストプレートに関しては何らの変更点もなく、クレーンにおいて様々なバラストの動作を導入することができる。
【0003】
調整範囲をできるだけ広くすることが望ましい。最大回転角度は、実質的には構成部品の寸法に委ねられて決まるところ、デザイン上の理由による達成可能な最小回転角度は、格子ピースの形状に応じて制限される。これは、格子ピースのブロックが互いに小さな回転角度を有することによる。その結果、載せられるバラストの重量のために、必要とされるバラストの動作が実現できない場合がある。またそのために、扱いにくく時間を浪費するバラストの再形成が必要となる場合がある。
【0004】
現在までのところ実行可能な解決策は、用いられる格子ピースの改善である。ここで、格子ピースのうちの1つを特殊なU字形状のプロフィールにすることが提案されている。これによれば、小さな回転角度において、第2の格子ピースは、U字のプロフィールの辺の間に形成されるクリアランスに収容することができる。しかしながら、このような解決策によっても、達成し得る最小回転角度は限定的であった。
【0005】
それ故に、調整可能なバラスト半径の最小値をさらに小さくすることが可能な、代替的な解決策が捜し求められた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴に係る折り畳み可能な垂下バラストガイドによって解決される。垂下バラストガイドの有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、少なくとも2つの格子ピースが少なくとも1つの回転継ぎ手を介して互いに接続される一般的な折り畳み可能な垂下バラストガイドにおいて、第2の格子ピース(すなわち、クレーンの構造上には配置されない格子ピース)に少なくとも1つの曲げ継ぎ手を設けることが提案される。
【0008】
一般的な垂下バラストガイドにおいては、内装される格子ピースは直線状のデザインであること、すなわち、その中央軸が直線に一致することが、公知である。本発明によれば、第2の格子ピースには曲げ継ぎ手が内装されるため、第2の格子ピースは、必要に応じて、上記の標準的な形状から逸脱した形状をとることができる。これはとりわけ、2つの格子ピースの調整された最小回転角度において、バラスト半径をより一層小さくすることを可能とする。これは、第2の格子ピースが、曲げ継ぎ手を有することにより、クレーン本体の方向に対して下方へまたは後方へ曲げられるためである。加えて、第2の格子ピースの中間軸は対応する曲げ角度を示す。この特徴により、先行技術により知られている格子ピースの特殊なU字形状は、省略することが可能となる。
【0009】
本発明の有利な実施形態においては、第2の格子ピースの曲げ角度を調整するために、少なくとも1つの曲げ駆動部が設けられる。このような曲げ駆動部は、例えばシリンダとして、好ましくは引きシリンダの形式としてデザインできる。このシリンダは、第2の格子ピースの構造上において、少なくとも1つの曲げ継ぎ手の領域に配置され、両方のサブ要素を結合する。駆動部、特にピストンロッドを駆動させることにより、取得される曲げ角度は、好ましくは無段階に調整される。
【0010】
本発明のデザイン上の変形例においては、第2の格子ピースの内側の端部は、分断されたように設計される。内側の端部の領域は、好ましくは、内装された曲げ継ぎ手を介して、互いに接続される。好ましくは、曲げ継ぎ手は、第2の格子ピースの底側の弦の内側の端部同士の領域に、配置される。バラスト半径がより大きい場合には、すなわち、第2の格子ピースが曲げられていない場合には、頂上側の弦の内側の端部同士も分断されて設計され、かつ互いにしっかりと接続されていなければならない。格子ピースを曲げるために、非常に小さいまたは最小のバラスト半径を調整する場合に限り、上記の接続は分離されなければならない。
【0011】
この背景に対し、第2の格子ピースに少なくとも1つの固定装置が設けられていると、特に有利である。この固定装置は、頂上側の弦の内側の端部同士の領域を、開放可能に互いに接続する。好適な実施形態では、固定装置は、第2の格子ピースの頂上側の弦の少なくとも1つの内側の端部同士の領域をボルトで固定するために、少なくとも1つの固定ボルトを備える。理想的には、内側の端部の領域には、その端の部分に指状のまたはフォーク状の補足的な要素が設けられる。
【0012】
さらに、必要に応じて、頂上側の弦の内側の端部の固定ボルトを、自動的に引き出しまたは挿入するために、好適なボルト引き出し装置が第2の格子ピースに設けられていると、好都合である。
【0013】
しかしながら、固定ボルトが不注意に開放されないように、注意を払うべきである。監視の目的で、固定ボルトの位置をモニタリングするために、好適なセンサシステムを用いることが推奨される。例えば、格子ピースの固定ボルトの領域に位置し、その固定ボルトの位置を検出することが可能な、少なくとも1つの近接センサが採用される。考えられるのは、挿入位置にあるボルトを検出するセンサと、開放位置にあるボルトを検出するセンサと、を備えることである。センサシステムは、クレーンの制御装置と通信するための適切なインターフェースを備える。
【0014】
他の選択的かつ有利な安全手段として、ボルトが少なくとも挿入位置にあることを保証するための、付加的な固定手段が設けられる。形状がぴったり嵌まることにより、ボルトが引き抜かれることを防止するような、機械的な解決策がここでは好まれる。ボルト引き出し装置の引っ張り力に関しても、同様の事情が行く手に立ちはだかるため、固定手段の寸法設定が選択される。
【0015】
有利な実施形態においては、固定手段は固定ラグの形式で構成することが可能である。この固定ラグは、ボルト収容部から軸方向に突出しているボルトの突出部に、固定する目的で係合し、それによりボルトがボルト収容部から引き出されてしまうことを機械的に防止する。
【0016】
好ましくは、付加的なボルト引き出し装置を含む固定ボルトは、第2の格子ピースの第1のサブ要素に搭載される。すなわち、固定ボルトは、第2の格子ピースのサブ要素のうち、第1の格子ピースに回動可能に接続されている方のサブ要素に、搭載される。頂上側の弦の内側の端部同士のそれぞれに、丁度1つの固定ボルトが設けられていると、特に有利である。
【0017】
固定手段の自動的な開放を可能とするために、格子ピースの第1のおよび/または第2のサブ要素のボルト収容部は、長孔として構成される。これにより、所定のボルトのクリアランスが提供され、またそれにより、固定ボルトが挿入されている場合においても、第2の格子ピースのサブ要素が互いに対して小さく動くことが可能となる。これは、サブ要素の相対的な動きにより長孔内において固定ボルトを移動させるためには十分であり、また、固定手段との係合を解除するのにも十分である。ボルトの定義された移動は、理想的には、第2の格子ピースの曲げ駆動部を介して、実現される。特にこれは、曲げ駆動部によって第2の格子ピースのサブ要素同士を互いに対し引っ張ることにより、実現される。曲げ駆動部が引きシリンダとして設計される場合、ピストンロッドは完全にこの端まで反作用しなければならない。これにより、内側の端部同士がボルトで固定されている場合、サブ要素同士は互いに対して僅かに加圧されている。便宜的に、対応する接触点がサブ要素に設けられるものとする。
【0018】
長孔内における固定ボルトの具体的な位置を検出する好適なセンサシステムによる拡張は、クレーンの制御装置への接続に関して役立つ。ここでも、長孔の付近に配置される少なくとも1つの近接センサの利用が、役立つことが判明している。
【0019】
第1のおよび第2の格子ピースの回転駆動部として、好ましくは1つまたはそれ以上のシリンダユニットが採用される。互いに平行に配置される少なくとも2つの回転シリンダを用いることが、推奨される。このシリンダは、一方側の端部が第1の格子ピースに結合され、他方側の端部が第2の格子ピースに接続される。理想的には、1つまたはそれ以上の回転シリンダが総合的に、第2の格子ピースの1つまたはそれ以上の曲げ継ぎ手の領域に影響する。
【0020】
第1の格子ピースをクレーン本体の方向において後方側へと回動させた場合、クレーン本体のエッジと干渉する虞があることにより、後方への動きも制限される。特に、デリック構造を有するクレーンにおいては、SA架台が、上記の干渉する虞のあるエッジとして挙げられる。そのような場合には、干渉する虞のあるエッジ(特にSA架台)が後方側へと回動することを可能とするような、十分なクリアランスを、第1の格子ピースに設けることが考えられる。適切なクリアランスは、例えば、第1の格子ピースの断面プロフィールを、C字形状またはU字形状とすることにより、実現される。ここでのクリアランスは、上記プロフィールの辺の間において成り立っている。
【0021】
本発明に係る垂下バラストガイドと同様に、本願はクレーンにも関連している。当該クレーンは、とりわけ移動式のクレーンに関し、理想的にはデリックブームを有するクローラクレーンに関し、それは対応する回動可能な垂下バラストガイドを備えている。したがって、本発明に係る垂下バラストガイドを参照して上記で既に説明したのと同様の利点および特性が、クレーンにおいても得ることができる。それ故に、繰り返しとなる説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、回動可能な垂下バラストガイドを搭載した、本発明に係るクレーンの全体像を、詳細に示している。
【
図2】
図2は固定ボルトが配置される領域における、第2の格子ピースの細部を示している。
【
図3】
図3は、
図2に示した詳細な領域を、他の方向から見た様子を示している。
【
図4】
図4は、曲げ継ぎ手が配置される領域における、第2の格子ピースの全体的な様子を示している。
【
図5】a)~c)は、本発明に係るクレーンの3つの概略的な側面図であり、それぞれが異なるバラスト半径に調整されている様子を示している。これらにより、本発明に係る垂下バラストガイドの動作の様式を示している。
【
図6】
図6は、輸送時の配置における、本発明に係る垂下バラストガイドの側面図を示している。
【0023】
本発明のさらなる利点および特性については、図面に示された例示的な実施形態を参照しながら、以降において詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図に示された例示的な実施形態を参照して、本発明に係る折り畳み式の垂下バラストガイドの操作の様式について説明する。この例示的な実施形態によれば、垂下バラストガイドは、デリックブームを備えるクローラクレーンに搭載される。クレーンは、メインブームの側方に、ガイを介してSA架台20に接続されるデリックブーム21を備える。垂下バラストガイドのアッセンブリーは、上側キャリッジに作用する。そのために、垂下バラストガイドの第1の格子ピース11は、その開放端が上側キャリッジに回動可能に接続される。
【0025】
図1には、垂下バラストガイドの構造的デザインの良好な概観が示されている。本発明に係る垂下バラストガイドは実質的には2つの格子ピース11,12により構成されており、これらの内側の端部は、端部において一点に向かって集まっている。格子ピースは、一点に向かって集まっている内側の端部の領域においては、合計で2つの回転継ぎ手1を介して、互いに接続されている。第2の格子ピース12の開放端は、バラスト取り上げフレーム10を取り付けるための2つの組立点を備える。これらの組立点の領域に同様に結合するのは、ガイである。このガイは、垂下バラストガイドからデリックブーム21の先端部にまで延びている。2つの格子ピース11,12に含まれる回転角を変化させることにより、バラストからクレーン本体までの距離を調整することができる。
【0026】
角度の変化は、平行に配置された回転シリンダ3の影響を受ける。シリンダの側においては、同様のものが第1の格子ピース11にも組立点の近くにおいて設けられていて、上側キャリッジに接続される。ピストンボスが第2の格子ピース12に搭載され、より特定的にはそこに設けられる曲げ継ぎ手2に搭載されるが、その目的については後に詳述する。
【0027】
不可欠な曲げ継ぎ手2は本発明の本質部分であるが、同様に、必要に応じて、第2の格子ピース12は下方に曲げられていてもよいし、あるいはクレーン本体の方向に曲げられていてもよい。原理上は、第2の格子ピース12は2つのサブ要素12a,12bにより構成されていて、これらは2つの曲げ継ぎ手2を介して互いに接続されており、互いに対して回動可能である。
【0028】
具体的には、第2の格子ピース12の内側の端部同士はそれぞれ、2部のデザインであり、底側の弦の2つの下側の内側の端部同士は、曲げ継ぎ手2を介して互いに接続されている。組み込まれた曲げ継ぎ手2のおかげで、バラスト取り上げフレーム10に接続されるサブ要素12bは、クレーン本体の方向に対して下方へまたは後方へ曲がることができる。このため、第1のおよび第2の格子ピース11,12の間の回転角度が一定であっても、バラスト半径の一層の減少を実現することができる。
【0029】
新しい垂下バラストガイドの操作の様式と適応能力について、
図5a~
図5cに示してある。
図5aは、回転シリンダ3が完全に延ばされた状態における垂下バラストガイドと、格子ピース11,12の間の最大曲げ角度を示している。このとき、最大バラスト半径が設定される。第2の格子ピース12も曲げられていない。この構成では、例えばおよそ30mのバラスト半径を実現することができる。
【0030】
図5bでは、両方の回転シリンダ3が完全に引っ込んでいる。そのため、格子ピースの間の回転角度は最小である。しかしながら、第2の格子ピース12はまだ曲げられていない。この設定によれば、例えば、図示した構成においては、バラスト半径をおよそ16mに設定することができる。したがって、バラスト半径は、回転シリンダ3によって、比較的広い半径領域において変化させることが可能である。ここで、理想的には、無段階のバラスト半径の調整が可能である。
【0031】
同様に、
図5cは完全に引っ込んだ回転シリンダ3を示している。しかしここでは、第2の格子ピース12が、不可欠な曲げ継ぎ手2によって、付加的に下方へと曲げられているため、バラスト半径は、
図5bの場合と比較してより一層減少されている。例えば、曲げ継ぎ手2のおかげで、バラスト半径はおよそ3m~13mだけさらに減少させることができる。
【0032】
第2の格子ピース12のサブ要素12a,12bの間における、曲げ接続の操作の様式について、以下では
図2~
図4の詳細な表示を参照して説明する。サブ要素12bを曲げさせるためには、2つの上側の内側の端同士の角の、部分123,124の間の結合を解除する必要がある。そうでないと、曲げの動作が阻害されてしまう。その代わり、
図5a,
図5bに示した半径領域においては、部分123,124の間に、負荷を掛けることが可能でかつ強固な接続があることが保証されなければならない。2つの上側の内側の端同士の角の、部分123,124の間の結合を、要求されているとおりに開放可能な態様で設けるとなると、それぞれを固定ボルト22で締結することで実現し得る。ボルトは、機械によって取り付け/取り外すことが可能であるだけではなく、それに加えて、固定機構を備えることにより、不必要な動作から守られる。
【0033】
格子ピース12のサブ要素12a,12bの、上側の内側の端部123,124同士は、フォーク指状の補足的な結合を含む。ここで、頂上側の弦の内側の端部同士の各対は、関連する固定ボルト22によって、結合状態とし、または開放状態とすることができる。原理上は、フォーク状の/指状の要素は、サブ要素12a,12bに任意に配置することができる。ここでは、フォーク状の要素は、サブ要素12aの内側の端部123に配置される。内側の端部の各対のための固定ボルト22は、同様に、調整ボルト引き出し装置23とともにサブ要素12aに搭載される。ボルト引き出し装置によって、固定ボルト22が軸方向に動くことができ、それにより、フォーク指状の結合物の孔に対して固定ボルト22を挿入したり、あるいは引き抜いたりすることができる。
【0034】
近接センサ100,101は、固定ボルト22の位置を検出するように機能する。フォーク指状の結合物の近くに搭載される近接センサ100は、挿入位置にあるボルト22を検出し、一方で、格子ピースの中央の近くに搭載されるセンサ101は、引き出されたボルト22を検出する。
【0035】
固定ボルト22からの突出部22aは、フォーク指状の結合物の孔から、格子ピース12の外側へ突出する。図示されたボルトの位置では、サブ要素12bに搭載された固定ラグ25が突出部221に径方向から係合し、それにより、ボルト22がボルト引き出し装置23によって引き抜かれてしまうことを機械的に防止することができる。固定ラグ25がボルト22の突出部221と係合しなくなった場合に限り、ボルト22が引き抜かれ、そして格子ピース12の頂上側の弦の内側端部同士の接続が開放される。
【0036】
固定ラグ25の機械的な調整による開放を可能とするために、サブ要素12bの内側端部124の指状の要素の孔は、長孔24として構成される。これにより、ボルトの所定のクリアランスが許容されることとなり、サブ要素12bがサブ要素12aおよび挿入された固定ボルトに対して小さく動くことが可能となる。ここでは引きシリンダの様式で設けられる曲げ駆動部14は、そのシリンダ側がサブ要素12aの頂上側の弦のコネクティングロッドの中央に取り付けられ、そのピストン側がサブ要素12bの頂上側の弦のコネクティングロッドの中央に取り付けられる。ボルト22が挿入されている状態においても、サブ要素12bはサブ要素12aへ向かう方向において小さい距離だけ引き動かすことができる。サブ要素12bは、ボルト22が長孔24の壁に対して接触し、フォーク指状の結合物の2つの接触点26,26’が互いに他方を押す状態となるまで、引き動かすことができる。この小さな相対運動は、サブ要素12bに搭載される固定ラグ25を突出部221に係合しない状態へと変化させ、それにより機械的妨害を無くすのに十分な動きである。こうして、ボルト22を抜き出すことができる。
【0037】
2つの接触点26,26’の領域に配置された近接センサ102は、2つのサブ要素12a,12bの互いに対する距離を監視し検出し、それによりボルト22の安全な状態を検出する。
【0038】
引きシリンダ14は固定ラグ25を開放するために機能するだけではなく、概して第2の格子ピース12のサブ要素12a,12bの間の曲げ角度を無段階に調整するために機能する。
【0039】
また、本質的な点は、垂下したバラストを定速度で広げおよび引っ込ませる動作の調整である。また、そのような調整を行う場合、3つの全てのシリンダ、すなわち、両方の回転シリンダ3および引きシリンダ14の、正確な動作が保証されなければならない。とりわけ、垂下バラストガイドの具体的な幾何学的状態を考慮に入れなければならない。バラスト半径を変化させている間、垂下バラストプレートの高さは一定に保つことができる。吊り下げたバラストを広げおよび引っ込ませる間、吊り下げられたバラストはデリックヘッド211の周りを円運動するであろう。デリックブーム21と垂下バラストガイドとの間のガイに設けられるバラスト引きシリンダ212は対応するように調整され、それによりバラストプレートを一定の高さに保持することができる。
【0040】
2つの継ぎ手を用いることで、すなわち一方で回転継ぎ手1および曲げ継ぎ手2を用いることで、2つの格子ピース11,12とそれぞれのシリンダ3,14を備えるコンパクトな輸送ユニットが製造される。このとき、高価な構成要素の分解は不要である。一方で、回転および曲げの運動学的特徴により、公道運輸の際に利用可能な輸送ウィンドウが効果的に利用できる。全体として、これは組立ておよび輸送の際の支出を大幅に減少させることとなる。