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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】排気バルブ
(51)【国際特許分類】
   F02D 9/10 20060101AFI20240409BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20240409BHJP
   F16K 1/22 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F02D9/10 Z
F01N13/08 B
F16K1/22 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020035258
(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公開番号】P2021139299
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175766
【氏名又は名称】三恵技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】野村 哲昭
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-080840(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0135497(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0104981(US,A1)
【文献】国際公開第2008/043754(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0119621(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0089270(US,A1)
【文献】特開2018-003842(JP,A)
【文献】特開2006-105094(JP,A)
【文献】実開平02-087925(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 9/10
F01N 13/08
F16K 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気の上流管と下流管を接続する管体と、
アクチュエータの駆動で回転する回転軸に取り付けられて前記管体内に配置され、前記管体内の排気流路を開閉するように回転可能なバルブ板と、
前記管体内で前記管体の周壁に固定され、閉状態の前記バルブ板と当接する正面視略C字形のストッパーを備え、
正面視略C字形の前記ストッパーの前記バルブ板への上流側当接面と下流側当接面の少なくとも一方が、前記回転軸の外周よりも排気の上流側若しくは下流側に寄った位置で前記管体の内周面に沿って延設され、
前記バルブ板が前記排気流路を閉鎖する位置で前記上流側当接面と前記下流側当接面に当接する排気バルブであって、
正面視略C字形の前記ストッパーが、前記回転軸が挿入される挿入穴が形成された基部と、前記基部から排気下流側に寄った位置に形成された略弧状の第1当接部と、前記基部の排気上流側に寄った位置に形成された略弧状の第2当接部とからなる一体形成部材であり、
前記第1当接部に設けられた前記下流側当接面が前記回転軸の外周よりも排気の下流側に寄った位置で前記管体の内周面に沿って延設され、
前記第2当接部に設けられた前記上流側当接面が前記回転軸の外周よりも排気の上流側に寄った位置で前記管体の内周面に沿って延設されていることを特徴とする排気バルブ。
【請求項2】
排気の上流管と下流管を接続する管体と、
アクチュエータの駆動で回転する回転軸に取り付けられて前記管体内に配置され、前記管体内の排気流路を開閉するように回転可能なバルブ板と、
前記管体内で前記管体の周壁に固定され、閉状態の前記バルブ板と当接する正面視略C字形のストッパーを備え、
正面視略C字形の前記ストッパーの前記バルブ板への上流側当接面と下流側当接面の少なくとも一方が、前記回転軸の外周よりも排気の上流側若しくは下流側に寄った位置で前記管体の内周面に沿って延設され、
前記バルブ板が前記排気流路を閉鎖する位置で前記上流側当接面と前記下流側当接面に当接し、
前記バルブ板が、軸方向に対して垂直な断面視が円形の前記回転軸の外周面に略沿うように配置される湾曲板部を介して第1平板部と第2平板部が連設された段差板状に形成され、
前記湾曲板部が前記回転軸に固定され、
前記バルブ板が前記排気流路を閉鎖する位置で、前記第2平板部よりも面積が大きく形成された前記第1平板部が排気の上流側若しくは下流側に寄った位置に設けられる前記上流側当接面若しくは前記下流側当接面の一方に当接し、前記第2平板部が前記上流側当接面若しくは前記下流側当接面の他方に当接する排気バルブであって、
正面視略C字形の前記ストッパーが、前記回転軸が挿入される挿入穴が形成された基部と、前記基部から排気下流側に寄った位置に形成された略弧状の第1当接部と、前記基部の排気上流側に寄った位置に形成された略弧状の第2当接部とからなる一体形成部材であり、
前記第1当接部に設けられた前記下流側当接面が前記回転軸の外周よりも排気の下流側に寄った位置で前記管体の内周面に沿って延設され、
前記第2当接部に設けられた前記上流側当接面が前記回転軸の外周よりも排気の上流側に寄った位置で前記管体の内周面に沿って延設されていることを特徴とする排気バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の排気が流通する排気路に設置され、開閉動作で排気の流通量と排気音を調整する排気バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の排気が流通する排気路に設置され、開閉動作で排気の流通量を調整する排気バルブとして、特許文献1の排気バルブがある。特許文献1の排気バルブでは、排気の上流管と下流管を接続する管体が設置され、アクチュエータの駆動による回転軸の回転に応じて回転するシャッターが管体内に配置され、管体の下流側の略弧状の第1ストッパー、上流側の略弧状の第2ストッパーがそれぞれ内面に溶接して取り付けられ、回転するシャッターの環状当接壁が排気路を閉鎖する位置で略弧状の第1ストッパーの当接面と略弧状の第2ストッパーの当接面に当接する構造である。
【0003】
この排気バルブにおけるシャッターの環状当接壁は回転軸の中心軸と略同一平面に配置されるように拡がって形成され、又、略弧状の第1ストッパーの当接面と略弧状の第2ストッパーの当接面は管体の管軸に対して略垂直平面内に配置されており、閉状態の環状当接壁が、管体の管軸に対して略垂直平面に配置された第1ストッパーの当接面と第2ストッパーの当接面に当接するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第10167785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の排気バルブのように、第1ストッパーの当接面と第2ストッパーの当接面を略垂直平面内に配置し、回転軸の中心軸と略同一平面に配置されるように拡がるシャッターの環状当接壁を第1ストッパーの当接面と第2ストッパーの当接面に当接させる構造にすると、シャッターの回転軸の根元部分との接触、干渉を回避するために、第1ストッパーの当接面と第2ストッパーと当接面を短く形成する必要がある。このようにストッパーの当接面を短くして回転軸の根元部分との接触を回避する形状にすると、回転軸の根元付近に大きな隙間が生ずる。そのため、この隙間に起因して排気路の閉状態における排気の漏れ量が増加し、所望の排気量や排気音の調整が困難となる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであり、閉状態でのシール性を改善することができ、高性能の排気量や排気音の調整を行うことを可能にする排気バルブを提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、部品点数を増加させることなく、低コストで閉状態でのシール性を改善することができる排気バルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の排気バルブは、排気の上流管と下流管を接続する管体と、アクチュエータの駆動で回転する回転軸に取り付けられて前記管体内に配置され、前記管体内の排気流路を開閉するように回転可能なバルブ板と、前記管体内で前記管体の周壁に固定され、閉状態の前記バルブ板と当接する正面視略C字形のストッパーを備え、正面視略C字形の前記ストッパーの前記バルブ板への上流側当接面と下流側当接面の少なくとも一方が、前記回転軸の外周よりも排気の上流側若しくは下流側に寄った位置で前記管体の内周面に沿って延設され、前記バルブ板が前記排気流路を閉鎖する位置で前記上流側当接面と前記下流側当接面に当接することを特徴とする。
これによれば、ストッパーの上流側当接面と下流側当接面の少なくとも一方を回転軸の外周よりも排気の上流側若しくは下流側に寄った位置に設けることにより、バルブ板の回転軸の根元部分と接触しない位置に設けることができ、回転軸の根元部分との接触を回避するためにストッパーの当接面を短くする必要が無くなり、回転軸の根元部分に大きな隙間が発生することを防止することができる。従って、排気の漏れ量を無くす或いは極力少なくして、閉状態でのシール性を改善することができ、高性能の排気量や排気音の調整を行うことができる。また、シール性を改善する別部材を用いずに、排気の漏れ量を無くす或いは極力少なくすることができ、部品点数を増加させることなく、低コストで閉状態での排気バルブのシール性を改善することができる。
【0008】
本発明の排気バルブは、前記バルブ板が、軸方向に対して垂直な断面視が円形の前記回転軸の外周面に略沿うように配置される湾曲板部を介して第1平板部と第2平板部が連設された段差板状に形成され、前記湾曲板部が前記回転軸に固定され、前記バルブ板が前記排気流路を閉鎖する位置で、前記第2平板部よりも面積が大きく形成された前記第1平板部が排気の上流側若しくは下流側に寄った位置に設けられる前記上流側当接面若しくは前記下流側当接面の一方に当接し、前記第2平板部が前記上流側当接面若しくは前記下流側当接面の他方に当接することを特徴とする。
これによれば、異なる面積の第1平板部と第2平板部を湾曲板部を介して連設した段差板状のバルブ板とすることにより、回転軸から上流側や下流側に寄った位置に設けられるストッパーの当接面と安定して当接するバルブ板の形状とすることができる。また、回転軸の根元部分を回避するための部分的な形状加工が不要であり、バルブ板の形状を単純化し、プレス加工等で容易に得られる製造コストの低い形状にすることができる。また、湾曲板部を回転軸の外周面に略沿うように配置して回転軸とバルブ板の構造体を得られることから、回転軸に対してバルブ板を正確な位置に位置決め配置し、固定する作業を容易化することができると共に、湾曲板部と回転軸の外周面が略沿う領域で溶接等で固定することにより、バルブ板を回転軸に高強度で固定することができる。
【0009】
本発明の排気バルブは、前記回転軸の外周よりも上流側若しくは下流側に寄った位置に設けられる前記上流側当接面若しくは前記下流側当接面の一部が、前記回転軸の一方の根元部分と前記管体の軸方向で重なる位置に配置されることを特徴とする。
これによれば、回転軸の一方の根元部分の周辺における排気漏れをより確実に防止することができ、閉状態でのシール性をより改善することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の排気バルブは、閉状態でのシール性を改善することができ、高性能の排気量や排気音の調整を行うことができる。また、部品点数を増加させることなく、低コストで閉状態でのシール性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による実施形態の排気バルブの閉状態の斜視説明図。
図2】実施形態の排気バルブの開状態の横断説明図。
図3】実施形態の排気バルブの開状態を底面側から視た縦断説明図。
図4】実施形態の排気バルブの閉状態を底面側から視た縦断説明図。
図5】実施形態の排気バルブの閉状態を説明する一部断面説明図。
図6】(a)は実施形態の排気バルブにおけるストッパーの斜視図、(b)はその平面図、(c)はその側面図、(d)はその底面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態の排気バルブ〕
本発明による実施形態の排気バルブ1は、自動車の排気が流通する排気路に設置され、開閉動作で排気の流通量と排気音を調整するものである。排気バルブ1は、図1図5に示すように、略円筒形の管体2と、管体2の軸方向に対して直交する方向に配置され、管体2の略中心を通るように周壁21に貫通して設けられる回転軸3と、回転軸3に固着して取り付けられ、管体2内に配置されるバルブ板4と、管体2内に固定され、閉状態のバルブ板4と当接するストッパー5を備える。
【0013】
管体2は、排気路を構成する排気の上流管11と下流管12を接続するものであり、管体2の管軸方向の一方の端部側に上流管11、他方の端部側に下流管12が固定される。管体2への排気の上流管11と下流管12の固定の仕方は適宜であり、例えば管体2の管軸方向の一方の端部に上流管11、他方の端部に下流管12を突き合わせ溶接で固定する、或いは、管体2の管軸方向の一方の端部側に上流管11、他方の端部側に下流管12を内嵌合し、隅肉溶接や貫通溶接でそれぞれ固定する、或いは管体2の管軸方向の一方の端部側に上流管11、他方の端部側に下流管12を外嵌合し、隅肉溶接や貫通溶接でそれぞれ固定する等とすることが可能である。
【0014】
管体2の周壁21には、径方向の対向する位置に回転軸挿通穴22、23が形成されており、回転軸3は軸方向の一方の端部を回転軸挿通穴22に、他方の端部を回転軸挿通穴23に挿通するようにして配置される。回転軸挿通穴22の外側には頂部が開口した略ハット形状のベアリングケース61が設けられ、管体2の周壁21の外周面に倣う形状に変形された鍔部611が周壁21の外周面に沿うように配置され、溶接等で固定されている。ベアリングケース61にはベアリング71が収容され、回転軸挿通穴22から管体2の外側に突出する回転軸3の軸方向の一方の端部を軸支している。
【0015】
回転軸挿通穴23の外側には略ハット形状のベアリングケース62が設けられ、管体2の周壁21の外周面に倣う形状に変形された鍔部621が周壁21の外周面に沿うように配置され、溶接等で固定されている。ベアリングケース62にはベアリング72が収容され、回転軸挿通穴23から管体2の外側に突出する回転軸3の軸方向の他方の端部を軸支している。
【0016】
回転軸3の軸方向の一方の端部は、ベアリング71よりも外側に突出し、アクチュエータ8の駆動伝達部81に連結されている。回転軸3は、アクチュエータ8の駆動により駆動伝達部81を介して回転動作するようになっており、回転軸3の回転に応じて、管体2内の排気流路を開閉するようにバルブ板4が回転するようになっている。
【0017】
バルブ板4は、図示例では正面視略円形状で形成されており、略半円形の第1平板部41と略半円形の第2平板部42が湾曲板部43を介して連なる一体的に形成された段差板状になっている。略半円形の第1平板部41と、略半円形の第2平板部42は、略平行に延びるように配置され、第1平板部41は第2平板部42よりも、回転軸3の軸方向と直交する方向に長く形成され且つ面積が大きく形成されている。第1平板部41と第2平板部42との間に設けられた湾曲板部43は回転軸3の外周面に略沿うように配置され、回転軸3に溶接等で固定されている。
【0018】
本実施形態におけるストッパー5は、図2図6に示すように正面視略C字形の一体形成部材であり、回転軸3が挿入される挿入穴511が形成された基部51を有し、基部51から排気下流側に寄った位置に略弧状の第1当接部52が形成され、基部51の排気上流側に寄った位置に略弧状の第2当接部53が形成されている。略弧状の第1当接部52は、管体2の内周面24に沿うように延設され、略弧状の第2当接部53は、管体2の内周面24に沿うように延設され、且つ管体2内で第1当接部52と管体周方向の逆側に延びるようにして延設されている。ストッパー5は、管体2の周壁21に、貫通溶接などの溶接等で固定されている。
【0019】
そして、ストッパー5のバルブ板4への下流側当接面に相当する第1当接部52の当接面521は、回転軸3の外周よりも排気の下流側に寄った位置で管体2の内周面24に沿って延設され、ストッパー5のバルブ板4への上流側当接面に相当する第2当接部53の当接面531は、回転軸3の外周よりも排気の上流側に寄った位置で管体2の内周面24に沿って延設されており、下流側当接面に相当する当接面521と上流側当接面に相当する当接面531は、回転するバルブ板4が管体2の排気流路を閉鎖する位置になった状態で、段差板状のバルブ板4に当接する位置に配置されている。
【0020】
尚、本実施形態では、下流側当接面に相当する当接面521を回転軸3の外周よりも排気の下流側に寄った位置で管体2の内周面24に沿って延設し、上流側当接面に相当する当接面531を回転軸3の外周よりも排気の上流側に寄った位置で管体2の内周面24に沿って延設する構成としたが、本発明の排気バルブには、上流側当接面と下流側当接面の少なくとも一方を、回転軸の外周よりも排気の上流側若しくは下流側に寄った位置で管体の内周面に沿って延設する構成が含まれ、例えば図示例の排気バルブ1の構造を変更して、第2平板部42よりも面積が大きい第1平板部41が当接する下流側当接面に相当する当接面521だけを回転軸3の外周よりも排気の下流側に寄った位置で管体2の内周面24に沿って延設し、上流側当接面に相当する当接面531を回転軸3の外周よりも排気の上流側に寄った位置でよりも回転軸3の中心軸寄りの位置で管体2の内周面24に沿って延設する構成としても良好である。
【0021】
下流側当接面に相当する当接面521と、上流側当接面に相当する当接面531の、管体2の排気流路を閉鎖する位置になったバルブ板4との当接により、バルブ板4の回転動作を規制されると共に、シール性を発揮する当接による接触領域が形成される。図5に、管体2の排気流路を閉鎖する位置になったバルブ板4と、下流側当接面に相当する当接面521及び上流側当接面に相当する当接面531との当接による接触領域Rを示す。
【0022】
また、本実施形態では、ストッパー5の第1当接部52の下流側当接面に相当する当接面521と上流側当接面に相当する第2当接部53の当接面531との間の管体2の軸方向の距離Lは、回転軸3の軸径よりも大きく設定され、形成されており、下流側の略弧状の第1当接部52の先端と、上流側の略弧状の第2当接部53の先端が、回転軸挿通穴23の近傍に位置する回転軸3の軸方向の根元部分と接触、干渉しないようになっている(図3図2参照)。そして、回転軸3の外周よりも下流側に寄った位置に設けられる下流側当接面に相当する当接面521の一部5211が、回転軸挿通穴23の近傍に位置する回転軸3の軸方向の根元部分と管体2の軸方向で重なる位置に配置されている(図5参照)。
【0023】
本実施形態の排気バルブ1では、図示省略する制御装置の制御によりアクチュエータ8の駆動を制御し、回転軸3及びバルブ板4を回動させて開状態と閉状態が切り替えられる。開状態の排気バルブ1では、バルブ板4の第1平板部41と第2平板部42の面の延びる方向が管体2内の排気流路、管軸方向に倣うように配置される(図2図3参照)。閉状態の排気バルブ1では、バルブ板4の第1平板部41と第2平板部42が管体2内の排気流路を塞ぐように配置され、第2平板部42よりも面積が大きい第1平板部41がストッパー5の第1当接部52の下流側当接面に相当する当接面521に当接し、第2平板部42がストッパー5の第2当接部53の上流側当接面に相当する当接面531に当接して、下流管12に排気が流れないように閉鎖される(図1図4図5参照)。
【0024】
本実施形態の排気バルブ1やその変形例によれば、ストッパー5の上流側当接面と下流側当接面の両方又はいずれか一方を回転軸3の外周よりも排気の上流側や下流側に寄った位置に設けることにより、バルブ板4の回転軸3の根元部分と接触しない位置に設けることができ、回転軸3の根元部分との接触を回避するためにストッパー5の当接面を短くする必要が無くなり、回転軸3の根元部分に大きな隙間が発生することを防止することができる。従って、排気の漏れ量を無くす或いは極力少なくして、閉状態でのシール性を改善することができ、高性能の排気量や排気音の調整を行うことができる。また、シール性を改善する別部材を用いずに、排気の漏れ量を無くす或いは極力少なくすることができ、部品点数を増加させることなく、低コストで閉状態での排気バルブ1のシール性を改善することができる。
【0025】
また、異なる面積の第1平板部41と第2平板部42を湾曲板部43を介して連設した断面視非対称形状の段差板状のバルブ板4とすることにより、回転軸3から上流側や下流側に寄った位置に設けられるストッパー5の当接面521等と安定して当接するバルブ板4の形状とすることができる。また、回転軸3の根元部分を回避するための部分的な形状加工が不要であり、バルブ板4の形状を単純化し、プレス加工等で容易に得られる製造コストの低い形状にすることができる。また、湾曲板部43を回転軸3の外周面に略沿うように配置して回転軸3とバルブ板4の構造体を得られることから、回転軸3に対してバルブ板4を正確な位置に位置決め配置し、固定する作業を容易化することができると共に、湾曲板部43と回転軸3の外周面が略沿う領域で溶接等で固定することにより、バルブ板4を回転軸3に高強度で固定することができる。
【0026】
また、回転軸3の外周よりも下流側に寄った位置に設けられる下流側当接面に相当する当接面521の一方の端部5211を、回転軸挿通穴23の近傍に位置する回転軸3の軸方向の根元部分と管体2の軸方向で重なる位置に配置することにより、回転軸挿通穴23の近傍に位置する回転軸3の根元部分の周辺における排気漏れをより確実に防止することができ、閉状態でのシール性をより改善することができる。
【0027】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記変形例や追記した内容も含まれる。
【0028】
本発明の排気バルブで適用可能なストッパーは、上流側当接面と下流側当接面が管体の内周面に沿って延設され、上流側当接面と下流側当接面の少なくとも一方を回転軸の外周よりも排気の上流側若しくは下流側に寄った位置に設置可能なものであれば、上記実施形態におけるストッパー5に限定されず適宜である。例えば上流側に配置される略弧状片或いはリング状の上流側ストッパー部と、下流側に配置される略弧状片或いはリング状の下流側ストッパー部でストッパーを構成し、上流側ストッパー部の上流側当接面を回転軸の外周よりも排気の上流側に寄った位置に設置し、下流側ストッパー部の下流側当接面を回転軸の外周よりも排気の下流側に寄った位置に設置し、バルブ板が排気流路を閉鎖する位置でこれらの上流側当接面と下流側当接面に当接する構成等としてもよい。
【0029】
また、本発明の排気バルブにおいて、回転軸の根元部分と管体の軸方向で重なる位置に配置される当接面の一部は、ストッパーの形状や構成に応じて、回転軸の一方の根元部分に対して上流側当接面の一部、下流側当接面の一部、若しくは上流側当接面の一部と下流側当接面の一部、又は、回転軸の双方の根元部分に対して上流側当接面の一部、下流側当接面の一部、若しくは上流側当接面の一部と下流側当接面の一部とすることが可能である。
【0030】
また、本発明の排気バルブにおけるバルブ板は、上記実施形態の第1平板部41と第2平板部42が回転軸3の外周面に略沿うように配置される湾曲板部43を介して連設された断面視非対称の段差板状のバルブ板4とすると好適であるが、少なくとも何れか一方が上流側若しくは下流側に寄った位置に設けられるストッパー上流側当接面と下流側当接面と閉状態で当接可能な適宜の形状或いは構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、自動車等の排気が流通する排気路に設置され、開閉動作で排気の流通量と排気音を調整する排気バルブに利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…排気バルブ 2…管体 21…周壁 22、23…回転軸挿通穴 24…内周面 3…回転軸 4…バルブ板 41…第1平板部 42…第2平板部 43…湾曲板部 5…ストッパー 51…基部 511…挿入穴 52…第1当接部 521…当接面 5211…回転軸の根元部分と管体の軸方向で重なる位置に配置された当接面の一部 53…第2当接部 531…当接面 61、62…ベアリングケース 611、621…鍔部 71、72…ベアリング 8…アクチュエータ 81…駆動伝達部 11…上流管 12…下流管 R…バルブ板と第1当接部の当接面及び第2当接部の当接面との当接による接触領域 L…第1当接部の当接面と第2当接部の当接面との間の管体軸方向の距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6