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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】樹脂構造体
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/56 20060101AFI20240409BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20240409BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
B29C65/56
H02G3/08
B60R16/02 610A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020036651
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021138020
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】井坂 直貴
(72)【発明者】
【氏名】永田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】中山 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】八木 寿久
【審査官】小山 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-010373(JP,A)
【文献】特開2012-170204(JP,A)
【文献】特開2013-220798(JP,A)
【文献】特開2012-034530(JP,A)
【文献】特開2017-022824(JP,A)
【文献】特開2004-251319(JP,A)
【文献】特開2014-205360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00-65/82
B60R 16/00-17/02
H02G 3/08- 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂体と、前記第1樹脂体の外面に沿って所定のスライド方向に移動させながら前記第1樹脂体の外面に組み付けられる第2樹脂体と、前記第2樹脂体に隣接するように前記スライド方向に移動させながら前記外面に組み付けられる第3樹脂体と、を備える、樹脂構造体であって、
前記第1樹脂体が有する第1係合部に前記第2樹脂体が係合するとともに、前記第2樹脂体が有する第2係合部に前記第3樹脂体が係合し、前記第1樹脂体が有する第3係合部に前記第3樹脂体が係合し、
前記第2樹脂体と前記第3樹脂体とは、当該第2樹脂体及び当該第3樹脂体の互いに向かい合う周縁部同士が当接するように配置される、
樹脂構造体。
【請求項2】
第1樹脂体と、前記第1樹脂体の外面に沿って所定のスライド方向に移動させながら前記第1樹脂体の外面に組み付けられる第2樹脂体と、前記第2樹脂体に隣接するように前記スライド方向に移動させながら前記外面に組み付けられる第3樹脂体と、を備える、樹脂構造体であって、
前記第1樹脂体が有する第1係合部に前記第2樹脂体が係合するとともに、前記第2樹脂体が有する第2係合部に前記第3樹脂体が係合し、
前記第2樹脂体と前記第3樹脂体とは、当該第2樹脂体及び当該第3樹脂体の互いに向かい合う周縁部同士が当接するように配置され、
前記第1係合部と前記第2係合部とは、前記スライド方向に沿って並ぶように配置される、
樹脂構造体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の樹脂構造体において、
前記第2樹脂体及び前記第3樹脂体の一方が有する凸部と他方が有する凹部とが噛み合うようにして構成される液密部が、前記周縁部同士が当接する箇所に構成される、
樹脂構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される電気接続箱(例えば、リレーボックス)等のように、複数の樹脂体を互いに組み付けて構成される樹脂構造体が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-022824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような樹脂構造体を構成する際、例えば、ケース状の樹脂体(例えば、リレーボックスの外枠を構成するフレーム)の内外を連通するようにその樹脂体に開口部を設け、その開口部を塞ぐように他の樹脂体(例えば、サイドカバー)を組み付ける場合がある。このような開口部は、例えば、外部機器(例えば、エンジン、コンバータ及びバッテリ等)に繋がる電線をケース状の樹脂体の外側から内側に導入する際などに用いられる。
【0005】
ここで、複数種類の電線をケース状の樹脂体に導入する際、複数の他の樹脂体を用いてケース状の樹脂体の開口部を塞ぐ場合がある。この場合、複数の他の樹脂体を組み付けるための広いスペースや複数のロック機構をケース状の樹脂体の外面に設けることとなる。しかし、樹脂構造体の小型化の観点からは、このようなスペースやロック機構を過度に増大させることは望ましくない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、所定の樹脂体の外面に複数の他の樹脂体を組み付ける場合であっても小型化が可能な樹脂構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を発揮するために、本発明に係る樹脂構造体は、下記[1]~[3]を特徴としている。
[1]
第1樹脂体と、前記第1樹脂体の外面に沿って所定のスライド方向に移動させながら前記第1樹脂体の外面に組み付けられる第2樹脂体と、前記第2樹脂体に隣接するように前記スライド方向に移動させながら前記外面に組み付けられる第3樹脂体と、を備える、樹脂構造体であって、
前記第1樹脂体が有する第1係合部に前記第2樹脂体が係合するとともに、前記第2樹脂体が有する第2係合部に前記第3樹脂体が係合し、前記第1樹脂体が有する第3係合部に前記第3樹脂体が係合し、
前記第2樹脂体と前記第3樹脂体とは、当該第2樹脂体及び当該第3樹脂体の互いに向かい合う周縁部同士が当接するように配置される、
樹脂構造体であること。
[2]
第1樹脂体と、前記第1樹脂体の外面に沿って所定のスライド方向に移動させながら前記第1樹脂体の外面に組み付けられる第2樹脂体と、前記第2樹脂体に隣接するように前記スライド方向に移動させながら前記外面に組み付けられる第3樹脂体と、を備える、樹脂構造体であって、
前記第1樹脂体が有する第1係合部に前記第2樹脂体が係合するとともに、前記第2樹脂体が有する第2係合部に前記第3樹脂体が係合し、
前記第2樹脂体と前記第3樹脂体とは、当該第2樹脂体及び当該第3樹脂体の互いに向かい合う周縁部同士が当接するように配置され、
前記第1係合部と前記第2係合部とは、前記スライド方向に沿って並ぶように配置される、
樹脂構造体であること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の樹脂構造体において、
前記第2樹脂体及び前記第3樹脂体の一方が有する凸部と他方が有する凹部とが噛み合うようにして構成される液密部が、前記周縁部同士が当接する箇所に構成される、
樹脂構造体であること。
【0008】
上記[1]の構成の樹脂構造体によれば、第1樹脂体(例えば、リレーボックスのフレーム)に第2樹脂体および第3樹脂体(例えば、複数のサイドカバー)を組み付ける際、第1樹脂体が有する第1係合部に第2樹脂体が係合するとともに、第2樹脂体が有する第2係合部に第3樹脂体が係合する。更に、第2樹脂体と第3樹脂体とは、互いに向かい合う周縁部同士が当接するように配置される。換言すると、第3樹脂体は、第2樹脂体を介した状態で、第1樹脂体に組み付けられる。そのため、第3樹脂体が直接的に第1樹脂体に組み付けられる場合に比べ、第1樹脂体に設ける係合部の数(具体的には、第3樹脂体を組み付けるための係合部の数)を低減でき、その分だけ第1樹脂体に設けるべきスペースを小さくすることができる。したがって、本構成の樹脂構造体は、第1樹脂体の外面に第2樹脂体および第3樹脂体を組み付ける場合であっても、第2樹脂体および第3樹脂体を個々に第1樹脂体に組み付ける場合に比べ、小型化が可能である。
【0009】
上記[2]の構成の樹脂構造体によれば、第1樹脂体が有する第1係合部と、第2樹脂体が有する第2係合部と、がスライド方向に沿って並ぶように配置される。この場合、例えば、第1樹脂体(例えば、リレーボックスのフレーム)に第2樹脂体(例えば、1つめのサイドカバー)を係合させた後、第2樹脂体に第3樹脂体(例えば、2つめのサイドカバー)を係合させる際、各々の係合部には主にスライド方向に沿った外力が及ぶことになる。よって、各々の係合部にスライド方向に対して傾いた外力が及ぶ場合に比べ、各々の係合部の意図しない変形などを抑制できる。
【0010】
上記[3]の構成の樹脂構造体によれば、第2樹脂体と第3樹脂体とが当接する箇所(例えば、2つのサイドカバーが互いに接触する箇所)には、凸部と凹部とが噛み合うようにして構成される液密部が構成される。この液密部は、水や油などの液体の進入経路を長くする構造(いわゆるラビリンス構造)を有することとなり、優れた液密機能を発揮する。よって、第2樹脂体と第3樹脂体との間の隙間から第1樹脂体の内部への液体が侵入することを抑制できる。
【0011】
なお、上記「液密部」は、そのような液密部が無い場合(例えば、第2樹脂体と第3樹脂体とが単に突き合わされている場合)に比べて液体が移動(侵入)することを抑制する機能を有していればよく、必ずしもそのような液体の移動を完全に防ぐ機能を有していなくてもよい。別の言い方をすると、上述した凸部と凹部とは、互いに完全に密着するように配置されていてもよいし、そのような液体の移動を抑制できる程度の十分に小さな間隔をあけて配置されていてもよいし、一部分において密着し且つ他の部分において間隔をあけて配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、所定の樹脂体の外面に複数の他の樹脂体を組み付ける場合であっても小型化が可能な樹脂構造体を提供できる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態に係る樹脂構造体の斜視図である。
図2図2は、第1、第2アッパカバーのみを分解した樹脂構造体を示す斜視図である。
図3図3は、第1~第3サイドカバー、及び、フレームの外面における第1~第3サイドカバーが組み付けられる箇所である第1~第3組付部を示す斜視図である。
図4図4は、フレームに第1~第3サイドカバー及び第1アッパカバーを組み付ける手順を説明するための第1の側面図である。
図5図5は、フレームに第1~第3サイドカバー及び第1アッパカバーを組み付ける手順を説明するための第2の側面図である。
図6図6は、フレームに第1~第3サイドカバー及び第1アッパカバーを組み付ける手順を説明するための第3の側面図である。
図7図7は、フレームに第1~第3サイドカバー及び第1アッパカバーを組み付ける手順を説明するための第4の側面図である。
図8図8(a)は、図7のA-A断面図であり、図8(b)は、図7のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、図1に示す本発明の実施形態に係る樹脂構造体1について説明する。樹脂構造体1は、典型的には、車両に搭載され、リレー等の電子部品を収容するリレーボックス(電気接続箱)である。
【0016】
図1及び図2に示すように、樹脂構造体1は、フレーム2と、フレーム2の上端開口の一部を塞ぐようにフレーム2の上方に組み付けられる第1アッパカバー3と、フレーム2の上端開口の他部を塞ぐようにフレーム2の上方に組み付けられる第2アッパカバー4と、フレーム2の一側の外面(側面)に互いに隣接するように組み付けられる第1、第2、第3サイドカバー5,6,7と、を含んで構成される。樹脂構造体1を構成する上記6つの部品は全て、樹脂成形体である。
【0017】
図2に示すように、フレーム2の内部には、リレー等の電子部品(及び、その他の部品)Rが収容されている。本発明は、樹脂構造体1のうち、特に、フレーム2、及び、第1、第2、第3サイドカバー5,6,7の構造に係る。よって、以下、フレーム2、及び、第1、第2、第3サイドカバー5,6,7の構造について詳細に説明する。
【0018】
以下、説明の便宜上、図3に示すように、「内外方向」、「左右方向」、「上下方向」、「左」、「右」、「内」、「外」、「上」及び「下」を定義する。「左右方向」、「幅方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。樹脂構造体1の車両搭載時において、「上下方向」は、車両の上下方向に対応している。
【0019】
第1、第2、第3サイドカバー5,6,7の各々は、フレーム2の外面に沿って下向きにスライドさせることで、フレーム2の外面に組み付けられるようになっている。よって、「上下方向」は、第1、第2、第3サイドカバー5,6,7の各々のスライド方向に対応している。
【0020】
フレーム2の外面に組み付けられた第1、第2、第3サイドカバー5,6,7の各々と、フレーム2の外面との間に画成される空間は、典型的には、部品等を収容するための空間として使用される。本例では、第1サイドカバー5とフレーム2の外面との間に画成される空間が、電線8(図1参照)の端部に接続される端子8a(図8(b)参照)を収容するための空間として使用され、第2サイドカバー6とフレーム2の外面との間に画成される空間が、電線9(図1参照)の端部に接続される端子9a(図8(b)参照)を収容するための空間として使用されている。電線8,9は、例えば、エンジン、コンバータ及びバッテリ等の外部機器に繋がっており、樹脂構造体1を車両に搭載する際に対応する端子8a,9aに接続されるようになっている。
【0021】
先ず、フレーム2について説明する。図3に示すように、フレーム2の一側の外面(側面)には、第1サイドカバー5が組み付けられる箇所である第1組付部11と、第1組付部11の右側に隣接し且つ第2サイドカバー6が組み付けられる箇所である第2組付部12と、第1組付部11の左側に隣接し且つ第3サイドカバー7が組み付けられる箇所である第3組付部13と、が左右方向に並ぶように設けられている。
【0022】
第1組付部11の所定位置には、図3及び図4に示すように、一対の係合部14,15が、左右方向に間隔を空けて並ぶように一体で設けられている。係合部14は、第1組付部11と第2組付部12との境界近傍に位置し、係合部15は、第1組付部11と第3組付部13との境界近傍に位置している。一対の係合部14,15は共に、本例では、フレーム2の外面に設けられた基端部から上方に延びる係合アームである(図8(a)も参照)。一対の係合部14,15には、第1サイドカバー5が有する一対の係合部21,22(後述)が係合することになる。
【0023】
第2組付部12の右端部における一対の係合部14,15より上側の位置には、図3及び図4に示すように、係合部16が一体で設けられている。係合部16は、本例では、フレーム2の外面に設けられた基端部から上方に延びる係合アームである。係合部16には、第2サイドカバー6が有する係合部32(後述)が係合することになる。
【0024】
第3組付部13の左端部における一対の係合部14,15より上側の位置には、図3及び図4に示すように、係合部17が一体で設けられている。係合部17は、本例では、フレーム2の外面に設けられた基端部から上方に延びる係合アームである。係合部17には、第3サイドカバー7が有する係合部42(後述)が係合することになる。
【0025】
次いで、第1サイドカバー5について説明する。図3図4及び図8(b)に示すように、第1サイドカバー5は、大略的には、外側壁、左側壁、及び右側壁を有し且つ内側が開口した上下方向に延びる箱状の形状を有する。図3及び図4に示すように、第1サイドカバー5の外側壁及右側壁の角部には、係合部21が一体で設けられ、第1サイドカバー5の外側壁及左側壁の角部には、係合部22が一体で設けられている。一対の係合部21,22の各々は、本例では、上下方向に貫通する係合孔である(図8(a)も参照)。
【0026】
第1サイドカバー5には、図3及び図4に示すように、係合部21の上端部にて係合部21と上下方向に沿って並ぶように、係合部23が一体で設けられ、係合部22の上端部にて係合部22と上下方向に沿って並ぶように、係合部24が一体で設けられている。一対の係合部23,24の各々は、本例では、上方に延びる係合アームである(図8(a)も参照)。係合部23には、第2サイドカバー6が有する係合部31(後述)が係合することになり、係合部24には、第3サイドカバー7が有する係合部41(後述)が係合することになる。
【0027】
第1サイドカバー5の右側壁の外面には、図8(b)に示すように、左方向に窪み且つ上下方向に延びる凹部25が形成されている。同様に、第1サイドカバー5の左側壁の外面にも、右方向に窪み且つ上下方向に延びる凹部26が形成されている。後述するように、凹部25,26は、隣接する凸部33,43と嵌め合わされることで、いわゆるラビリンス構造の液密部を構成するようになっている。
【0028】
次いで、第2サイドカバー6について説明する。図3図4及び図8(b)に示すように、第2サイドカバー6は、大略的には、外側壁、左側壁、及び右側壁を有し且つ内側が開口した上下方向に延びる箱状の形状を有する。図3及び図4に示すように、第2サイドカバー6の外側壁及左側壁の角部には、係合部31が一体で設けられ、第2サイドカバー6の外側壁及右側壁の角部には、係合部32が一体で設けられている。一対の係合部31,32の各々は、本例では、上下方向に貫通する係合孔である(図8(a)も参照)。
【0029】
第2サイドカバー6の左側壁の外面には、図3図4及び図8(b)に示すように、左方向に突出し且つ上下方向に延びる凸部33が形成されている。同様に、第2サイドカバー6の右側壁の外面にも、右方向に突出し且つ上下方向に延びる凸部34が形成されている。
【0030】
次いで、第3サイドカバー7について説明する。図3図4及び図8(b)に示すように、第3サイドカバー7は、大略的には、外側壁、内側壁、左側壁、及び右側壁を有し且つ上下が開口した上下方向に延びる筒状の形状を有する。図3及び図4に示すように、第3サイドカバー7の外側壁及右側壁の角部には、係合部41が一体で設けられ、第3サイドカバー7の外側壁及左側壁の角部には、係合部42が一体で設けられている。一対の係合部41,42の各々は、本例では、上下方向に貫通する係合孔である。第3サイドカバー7の右側壁の外面には、図3図4及び図8(b)に示すように、右方向に突出し且つ上下方向に延びる凸部43が形成されている。以上、フレーム2、及び、第1、第2、第3サイドカバー5,6,7の構造について説明した。
【0031】
次いで、フレーム2に、第1、第2、第3サイドカバー5,6,7、及び第1アッパカバー3を組み付ける際の手順について、図4図7を参照しながら説明する。まず、外部機器(図示省略)から延びる電線8を対応する端子8aに接続した後、図4に白矢印で示すように、第1サイドカバー5を、フレーム2の第1組付部11の上方位置からフレーム2に対して下方に向けてスライドさせて、第1サイドカバー5が有する一対の係合部21,22をそれぞれ、フレーム2が有する一対の係合部14、15に係合させる。第1サイドカバー5が組付完了位置に到達すると、第1サイドカバー5のフレーム2への組み付けが完了する。
【0032】
第1サイドカバー5の組付完了状態では、図5に示すように、第1サイドカバー5が有する係合部23と、フレーム2が有する係合部16とが、左右方向に並ぶように配置され、第1サイドカバー5が有する係合部24と、フレーム2が有する係合部17とが、左右方向に並ぶように配置されている。更に、第1サイドカバー5が有する係合部23と、フレーム2が有する係合部14とが、上下方向に沿って並ぶように配置され、第1サイドカバー5が有する係合部24と、フレーム2が有する係合部15とが、上下方向に沿って並ぶように配置されている。
【0033】
第1サイドカバー5の組み付けが完了すると、外部機器から延びる電線9を対応する端子9aに接続した後、図5に白矢印で示すように、第2サイドカバー6を、フレーム2の第2組付部12の上方位置からフレーム2に対して下方に向けてスライドさせて、第2サイドカバー6が有する一対の係合部31,32をそれぞれ、第1サイドカバー5が有する係合部23及びフレーム2が有する係合部16に係合させる。第2サイドカバー6が組付完了位置に到達すると、第2サイドカバー6のフレーム2への組み付けが完了する。
【0034】
同様に、図5に白矢印で示すように、第3サイドカバー7を、フレーム2の第3組付部13の上方位置からフレーム2に対して下方に向けてスライドさせて、第3サイドカバー7が有する一対の係合部41,42をそれぞれ、第1サイドカバー5が有する係合部24及びフレーム2が有する係合部17に係合させる。第3サイドカバー7が組付完了位置に到達すると、第3サイドカバー7のフレーム2への組み付けが完了する。第2サイドカバー6のフレーム2への組み付け作業と、第3サイドカバー7のフレーム2への組み付け作業と、の前後は問わない。なお、本例では、第3サイドカバー7が組み付けられる箇所(第3組付部13)には、外部機器から延びる電線は導入されていない。この第3組付部13には、車両の仕様などに応じて外部機器から延びる電線が導入されてもよい。
【0035】
ここで、第2サイドカバー6のフレーム2への組み付け作業時、第1サイドカバー5が有する係合部23とフレーム2が有する係合部14とが上下方向に沿って並ぶように配置されているため、係合部14及び係合部23には主にスライド方向に沿った外力が及ぶことになる。よって、係合部14,23にスライド方向に対して傾いた外力が及ぶ場合に比べ、係合部14,23の意図しない変形などを抑制できる。
【0036】
同様に、第3サイドカバー7のフレーム2への組み付け作業時、第1サイドカバー5が有する係合部24とフレーム2が有する係合部15とが上下方向に沿って並ぶように配置されているため、係合部15及び係合部24には主にスライド方向に沿った外力が及ぶことになる。よって、係合部15,24にスライド方向に対して傾いた外力が及ぶ場合に比べ、係合部15,24の意図しない変形などを抑制できる。
【0037】
第1、第2サイドカバー5,6の組付完了状態では、第1サイドカバー5の右側に第2サイドカバー6が隣接配置されており、図8(b)に示すように、第1サイドカバー5の右側壁の一部と第2サイドカバー6の左側壁の一部とが互いに当接している。更に、第1サイドカバー5の右側壁の凹部25と、第2サイドカバー6の左側壁の凸部33と、が噛み合うように当接して「液密部」を構成している。
【0038】
同様に、第1、第3サイドカバー5,7の組付完了状態では、第1サイドカバー5の左側に第3サイドカバー7が隣接配置されており、図8(b)に示すように、第1サイドカバー5の左側壁の一部と第3サイドカバー7の右側壁の一部とが互いに当接している。更に、第1サイドカバー5の左側壁の凹部26と、第3サイドカバー7の右側壁の凸部43と、が噛み合うように当接して「液密部」を構成している。
【0039】
また、第2サイドカバー6の組付完了状態では、図8(b)に示すように、第2サイドカバー6の右側壁の凸部34と、フレーム2の凹部2aと、が噛み合うように当接して「液密部」を構成している。
【0040】
第2、第3サイドカバー6,7の組み付けが完了すると、次いで、図6に白矢印で示すように、第1アッパカバー3を、フレーム2の上端開口の上方位置からフレーム2に対して下方に向けて近づけて、第1アッパカバー3をフレーム2の上端開口の一部を塞ぐようにフレーム2の上方に組み付ける(図7参照)。これにより、フレーム2に対する、第1、第2、第3サイドカバー5,6,7、及び、第1アッパカバー3の組み付けが完了する。
【0041】
第2、第3サイドカバー6,7、及び、第1アッパカバー3の組付完了状態では、第2サイドカバー6の外側壁の左右方向に延びる上端縁(凸部)35(図3及び図4参照)、及び、第3サイドカバー7の外側壁の左右方向に延びる上端縁(凸部)44(図3及び図4参照)が、第1アッパカバー3の左右方向に延びる下端縁に設けられた下方に開口する凹部3a(図8(a)参照)と噛み合うように当接して「液密部」を構成している。
【0042】
なお、上述した種々の「液密部」は、そのような液密部が無い場合に比べて液体が移動(侵入)することを抑制する機能を有していればよく、必ずしもそのような液体の移動を完全に防ぐ機能を有していなくてもよい。別の言い方をすると、「液密部」を構成する凸部と凹部とは、互いに完全に密着するように配置されていてもよいし、そのような液体の移動を抑制できる程度の十分に小さな間隔をあけて配置されていてもよいし、一部分において密着し且つ他の部分において間隔をあけて配置されていてもよい。これらの「液密部」は、水や油などの液体の進入経路(いわゆる沿面距離)を長くする構造(いわゆるラビリンス構造)を有しているため、優れた液密機能を発揮する。
【0043】
<作用・効果>
以上より、本実施形態に係る樹脂構造体1によれば、フレーム2に第1、第2、第3サイドカバー5,6,7を組み付ける際、フレーム2が有する一対の係合部14,15に第1サイドカバー5が有する一対の係合部21,22がそれぞれ係合し、第1サイドカバー5が有する係合部23及びフレーム2が有する係合部16に第2サイドカバー6が有する係合部31,32がそれぞれ係合し、第1サイドカバー5が有する係合部24及びフレーム2が有する係合部17に第3サイドカバー7が有する係合部41,42がそれぞれ係合する。第2サイドカバー6は、第1サイドカバー5に近接配置された状態で第1サイドカバー5を介してフレーム2に組み付けられ、第3サイドカバー7は、第1サイドカバー5に近接配置された状態で第1サイドカバー5を介してフレーム2に組み付けられることになる。そのため、第2、第3サイドカバー6,7がフレーム2に直接に組み付けられる場合に比べ、フレーム2に設ける第2、第3サイドカバー6,7用の係合部の数を低減でき、その分だけ組み付けのためにフレーム2に設けるべきスペースを省略できる。したがって、本実施形態に係る樹脂構造体1は、フレーム2の外面に複数の第1、第2、第3サイドカバー5,6,7を組み付ける場合であっても小型化が可能である。
【0044】
更に、本実施形態に係る樹脂構造体1によれば、フレーム2が有する係合部14と、第1サイドカバー5が有する係合部23と、がスライド方向に沿って並ぶように配置され、フレーム2が有する係合部15と、第1サイドカバー5が有する係合部24と、がスライド方向に沿って並ぶように配置される。この場合、フレーム2に第1サイドカバー5を組み付けた後、第1サイドカバー5に第2、第3サイドカバー6,7を組み付ける際、係合部14及び係合部23、並びに、係合部15及び係合部24には、主にスライド方向に沿った外力が及ぶことになる。よって、それら係合部にスライド方向に対して傾いた外力が及ぶ場合に比べ、それら係合部の意図しない変形などを抑制できる。
【0045】
更に、本実施形態に係る樹脂構造体1によれば、第1サイドカバー5と第2サイドカバー6とが当接する箇所、並びに、第1サイドカバー5と第3サイドカバー7とが当接する箇所等には、凸部と凹部とが噛み合うように当接して構成される「液密部」が構成される。この液密部は、水や油などの液体の進入経路(いわゆる沿面距離)を長くする構造(いわゆるラビリンス構造)を有することとなり、優れた液密機能を発揮する。その結果、本構成の樹脂構造体1は、フレーム2の内部への液体の侵入を抑制できる。
【0046】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を発揮できるものであれば任意であり、限定されない。
【0047】
上記実施形態では、フレーム2に第1、第2、第3サイドカバー5,6,7が組み付けられ、第1サイドカバー5の右側に第2サイドカバー6が隣接配置され、第1サイドカバー5の左側に第3サイドカバー7が隣接配置されている。これに対し、フレーム2に第1、第2サイドカバー5,6のみが組み付けられ、第1サイドカバー5の右側のみに第2サイドカバー6が隣接配置されていてもよい。
【0048】
上記実施形態では、第1サイドカバー5と第2サイドカバー6とが当接する箇所、並びに、第1サイドカバー5と第3サイドカバー7とが当接する箇所等に、凸部と凹部とが噛み合うように当接して構成される「液密部」が構成されている。これに対し、当該箇所等において、凸部と凹部とが噛み合うように当接して構成される「液密部」が構成されていなくてもよい。
【0049】
更に、上記実施形態では、樹脂構造体1が、複数の電子部品Rを収容するリレーボックス(電気接続箱)であるが、樹脂構造体1が、リレーボックス(電気接続箱)以外の機能を有する構造体であってもよい。
【0050】
ここで、上述した本発明に係る樹脂構造体1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
第1樹脂体(2)と、前記第1樹脂体(2)の外面に沿って所定のスライド方向に移動させながら前記第1樹脂体(2)の外面に組み付けられる第2樹脂体(5)と、前記第2樹脂体(5)に隣接するように前記スライド方向に移動させながら前記外面に組み付けられる第3樹脂体(6,7)と、を備える、樹脂構造体(1)であって、
前記第1樹脂体(2)が有する第1係合部(14,15)に前記第2樹脂体(5)が係合するとともに、前記第2樹脂体(5)が有する第2係合部(23,24)に前記第3樹脂体(6,7)が係合し、
前記第2樹脂体(5)と前記第3樹脂体(6,7)とは、当該第2樹脂体(5)及び当該第3樹脂体(6,7)の互いに向かい合う周縁部同士が当接するように近接配置される、
樹脂構造体(1)。
[2]
上記[1]に記載の樹脂構造体(1)において、
前記第1係合部(14,15)と前記第2係合部(23,24)とは、前記スライド方向に沿って並ぶように配置される、
樹脂構造体(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の樹脂構造体(1)において、
前記第2樹脂体(5)及び前記第3樹脂体(6,7)の一方が有する凸部(33,43)と他方が有する凹部(25,26)とが噛み合うようにして構成される液密部が、前記周縁部同士が当接する箇所に構成される、
樹脂構造体(1)。
【符号の説明】
【0051】
1 樹脂構造体
2 フレーム(第1樹脂体)
5 第1サイドカバー(第2樹脂体)
6 第2サイドカバー(第3樹脂体)
7 第3サイドカバー(第3樹脂体)
14 係合部(第1係合部)
15 係合部(第1係合部)
23 係合部(第2係合部)
24 係合部(第2係合部)
25 凹部
26 凹部
33 凸部
43 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8