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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】除菌消臭システム
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/015 20060101AFI20240409BHJP
   A47B 55/00 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
A61L9/015
A47B55/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020056955
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021153821
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】古川 修三
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】門脇 昌作
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-227322(JP,A)
【文献】特開平03-258265(JP,A)
【文献】実開昭61-181538(JP,U)
【文献】実開平05-023939(JP,U)
【文献】特開平04-129505(JP,A)
【文献】登録実用新案第3165040(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 - 9/22
A47B 55/00 - 55/06
A47B 61/00 - 61/06
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納可能な収納空間、前記収納空間を開閉可能に設けられた扉部、前記扉部を施開錠可能な施開錠部、前記収納空間と連通する第一開口部及び第二開口部を有する複数の収納部と、
前記複数の収納部の外側に配置されると共に前記複数の収納部に共用され、気体状の除菌消臭成分を発生させる除菌消臭部と、
前記複数の収納部に共用され、前記第二開口部から前記収納空間の空気を前記収納空間の外部へ吸引することで、前記複数の収納部の外側に存在する前記除菌消臭成分を、前記第一開口部を介して前記複数の収納部の前記収納空間の内部へ導入するファンユニットと、
を具備し、
前記第二開口部を開閉可能な蓋部と、
前記蓋部を動作させる駆動源と、
前記駆動源を制御可能なコントローラと、
をさらに具備し、
前記コントローラは、
各施開錠部の施錠に応じて前記蓋部により前記第二開口部の開度を変更することによって、各収納空間への前記除菌消臭成分の導入量を個別に調整する、
除菌消臭システム。
【請求項2】
前記ファンユニットは、
回転可能に構成されるファンと、
前記複数の収納部の裏面側に亘るように設けられると共に前記第二開口部を介して各収納部と連通されるファンユニット空間部を有し、
前記ファンの回転により、前記第二開口部から前記収納空間の空気を前記ファンユニット空間部に吸引する、
請求項1に記載の除菌消臭システム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記施開錠部が施錠された場合における前記第二開口部の開度を、前記施開錠部が開錠された場合における開度よりも大きくする、
請求項1又は請求項2に記載の除菌消臭システム。
【請求項4】
内部空間を有すると共に前記収納部の上側に配置される上側部材をさらに具備し、
前記除菌消臭部は、
前記内部空間に前記除菌消臭成分を供給し、
前記第一開口部は、
前記内部空間と前記収納空間とを連通する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の除菌消臭システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納可能な収納空間を除菌消臭する除菌消臭システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を収納可能な収納空間を除菌消臭する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の脱臭ハンガーは、フック部及びハンガー部を具備し、収納部(例えば、洋服タンス等)の内側に形成された収納空間に配置される。フック部は、収納空間に設けられたパイプに吊るされる。ハンガー部は、フック部と接続され、衣類が掛けられる。ハンガー部の内側には、脱臭成分を生成する脱臭装置が設けられる。ハンガー部は、前記脱臭成分をハンガー部の外側に放出可能に構成される。このような構成により、脱臭ハンガーは、ハンガー部に掛けられた衣類や収納空間の脱臭を行うことができる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の脱臭ハンガーは、1つの収納部の収納空間において脱臭を行うものである。このため、複数の収納部の収納空間を除菌消臭する場合、脱臭ハンガーを各収納部に設置する必要がある。この場合、少なくとも収納部の数と同じ数の脱臭ハンガーが必要となってしまうため、脱臭ハンガーの設置の手間やコストが増大してしまう。よってこの場合、脱臭ハンガーを適用することが困難となってしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-18655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、複数の収納部の収納空間を除菌消臭する場合に適用し易い除菌消臭システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、物品を収納可能な収納空間、前記収納空間を開閉可能に設けられた扉部、前記扉部を施開錠可能な施開錠部、前記収納空間と連通する第一開口部及び第二開口部を有する複数の収納部と、前記複数の収納部の外側に配置されると共に前記複数の収納部に共用され、気体状の除菌消臭成分を発生させる除菌消臭部と、前記複数の収納部に共用され、前記第二開口部から前記収納空間の空気を前記収納空間の外部へ吸引することで、前記複数の収納部の外側に存在する前記除菌消臭成分を、前記第一開口部を介して前記複数の収納部の前記収納空間の内部へ導入するファンユニットと、を具備し、前記第二開口部を開閉可能な蓋部と、前記蓋部を動作させる駆動源と、前記駆動源を制御可能なコントローラと、をさらに具備し、前記コントローラは、各施開錠部の施錠に応じて前記蓋部により前記第二開口部の開度を変更することによって、各収納空間への前記除菌消臭成分の導入量を個別に調整するものである。
【0010】
請求項においては、前記ファンユニットは、回転可能に構成されるファンと、前記複数の収納部の裏面側に亘るように設けられると共に前記第二開口部を介して各収納部と連通されるファンユニット空間部を有し、前記ファンの回転により、前記第二開口部から前記収納空間の空気を前記ファンユニット空間部に吸引するものである。
【0014】
請求項においては、前記コントローラは、前記施開錠部が施錠された場合における前記第二開口部の開度を、前記施開錠部が開錠された場合における開度よりも大きくするものである。
【0015】
請求項においては、内部空間を有すると共に前記収納部の上側に配置される上側部材をさらに具備し、前記除菌消臭部は、前記内部空間に前記除菌消臭成分を供給し、前記第一開口部は、前記内部空間と前記収納空間とを連通するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、複数の収納部の収納空間を除菌消臭する場合に除菌消臭システムを適用し易い。また、収納空間における除菌消臭を効率的に行うことができる。また、除菌消臭成分の導入量を収納部の使用状態に応じて適切な量に調整することができる。また、除菌消臭成分の導入量を簡単に調整することができる。また、収納部の使用状態に応じた除菌消臭成分の導入量の調整を簡単に行うことができる。
【0019】
請求項においては、複数の収納部の収納空間を除菌消臭する場合に除菌消臭システムをより適用し易い。
【0023】
請求項においては、収納部に収納された物品の除菌消臭を効率的に行うことができる。
【0024】
請求項においては、収納部の上側のスペースを有効活用することができると共に、除菌消臭成分を収納空間に効率よく導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る除菌消臭システムを示した斜視図。
図2】同じく、断面図。
図3】イオンの流れを示した斜視図。
図4】同じく、断面図。
図5】前側のロッカーを開錠した場合におけるイオンの流れを示した断面図。
図6】別実施形態に係る除菌消臭システムを示した斜視図。
図7】同じく、断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0027】
以下では、図1及び図2を参照し、本発明の一実施形態に係る除菌消臭システム1について説明する。
【0028】
除菌消臭システム1は、物品を収納可能な収納空間21の除菌消臭を行うためのものである。除菌消臭システム1は、収納空間21を具備する収納部(本実施形態ではロッカー20)が複数設けられる場所に適用される。本実施形態の除菌消臭システム1は、一例として、更衣室Aに適用される。
【0029】
以下では、更衣室Aについて簡単に説明する。更衣室Aは、着替えを行う部屋である。更衣室Aは、所定の建物に設けられ、天井A1、床部A2及び側壁(不図示)により建物内の他の部屋と区画される。更衣室Aには、後述するロッカー20が複数設けられる。
【0030】
次に、除菌消臭システム1の構成について説明する。除菌消臭システム1は、イオン発生器10、複数のロッカー20、ファンユニット30及び調整部40等を具備する。
【0031】
イオン発生器10は、気体状の除菌消臭成分を発生させるためのものである。本実施形態において除菌消臭成分は、ウイルス等の病原体や臭いを除去可能なものを指す。また、本実施形態において気体状とは、空気の流れに沿って移動可能な状態を指す。本実施形態のイオン発生器10は、除菌消臭成分としてイオンを発生させる。イオン発生器10は、更衣室Aの天井A1に配置され、発生させたイオンを更衣室A内に供給可能に構成される。イオン発生器10は、複数のロッカー20で共用される。すなわち、イオン発生器10は、複数のロッカー20の収納空間21を除菌消臭するイオンを発生させる用途に用いられる。
【0032】
ロッカー20は、衣服や靴等の物品を収納するためのものである。ロッカー20は、略箱状に形成される。ロッカー20は、更衣室Aの床部A2に載置され、イオン発生器10の下方に配置される。複数のロッカー20は、後述するファンユニット30のチャンバー31の前側及び後側において、それぞれ左右方向に並んで配置される。ロッカー20は、収納空間21、扉部22、通気口23及び施開錠部24を具備する。なお、以下では、チャンバー31の前側に配置されたロッカー20を例に挙げてロッカー20の構成を説明する。
【0033】
収納空間21は、物品を収納可能な空間である。収納空間21は、ロッカー20の内部に形成される。収納空間21には、衣服を掛けるためのハンガーやパイプ等が配置される(不図示)。収納空間21には、例えば、更衣室Aを使用する者(以下、「使用者」と称する)の物品が適宜収納される。
【0034】
扉部22は、ロッカー20を開閉するためのものである。扉部22は、ロッカー20の前部(チャンバー31から遠い側)に設けられる。扉部22には、後述する施開錠部24が形成される。また、扉部22は、ガラリ22a及び取っ手22bを具備する。
【0035】
ガラリ22aは、扉部22を前後に貫通するように設けられる開口部である。ガラリ22aは、正面視略矩形状に形成される。ガラリ22aは、扉部22の上部に配置され、収納空間21と連通される。
【0036】
取っ手22bは、扉部22を開閉する際に使用者が手を掛けるものである。取っ手22bは、扉部22の左部に設けられる。
【0037】
通気口23は、ロッカー20の後部(扉部22と対向する部分)を前後に貫通するように設けられる開口部である。通気口23は、正面視略円状に形成される。通気口23は、ロッカー20の後部(チャンバー31に近い側)に形成され、収納空間21と連通される。通気口23は、ガラリ22a及び取っ手22bよりも低い位置に配置される。通気口23は、後述する調整部40により開度が変更可能に構成される。通気口23は、開度が変更されることで、全開状態(図1の右から2番目に示すロッカー20参照)と、半開状態(図1の右端に示すロッカー20参照)と、に切り替えられる。
【0038】
施開錠部24は、扉部22の施錠及び開錠を行うためのものである。施開錠部24は、取っ手22bの上方に設けられる。本実施形態において、施開錠部24は、ICカード式の電気錠によって構成される。当該施開錠部24は、ICカードに記憶された情報を読み取る読み取り部(不図示)を具備する。施開錠部24は、当該読み取り部が読み取った情報に基づいて、扉部22の施錠及び開錠を行う。また、施開錠部24は、開錠及び施錠を行った旨の信号を外部に出力する。
【0039】
このように構成されるロッカー20は、通常、収納空間21に物品が収納された(使用された)場合に、施開錠部24が施錠される。また、ロッカー20は、収納空間21に物品が収納されていない(使用されていない)場合に、施開錠部24が開錠された状態となる。
【0040】
ファンユニット30は、イオン発生器10で発生したイオンを収納空間21へ導入することを促進するためのものである。ファンユニット30は、複数のロッカー20に対して1つ設けられる。ファンユニット30は、チャンバー31、第一ダクト32、ファン33及び第二ダクト34を具備する。
【0041】
チャンバー31は、略箱状に形成される部材である。チャンバー31は、左右に並んだロッカー20の裏面側(扉部22の反対側)に亘るように形成される。チャンバー31は、前後のロッカー20の間に配置される。チャンバー31は、前側面が前側のロッカー20と当接すると共に、後側面が後側のロッカー20と当接するように配置される。チャンバー31は、チャンバー空間31a、接続孔31b及び排出孔31cを具備する。
【0042】
チャンバー空間31aは、チャンバー31の内部に形成される空間である。接続孔31bは、ロッカー20の通気口23と接続される孔である。接続孔31bは、チャンバー31の前部及び後部にそれぞれ形成される。前側の接続孔31bは、左右に間隔をあけて複数形成され、チャンバー31の前側において左右に並んだロッカー20の通気口23とそれぞれ接続される。後側の接続孔31bは、左右に間隔をあけて複数形成され、チャンバー31の後側において左右に並んだロッカー20の通気口23とそれぞれ接続される。こうして、チャンバー空間31aは、接続孔31b及び通気口23を介して複数のロッカー20の収納空間21とそれぞれ連通される。排出孔31cは、チャンバー空間31aから空気を排出するための孔である。排出孔31cは、チャンバー31の下部に形成される。
【0043】
第一ダクト32は、一端部が排出孔31cと接続されると共に他端部が後述するファン33と接続される。第二ダクト34は、一端部がファン33と接続されると共に、他端部が更衣室Aの外部で開口するように配置される。
【0044】
ファン33は、チャンバー空間31aから空気を吸引するためのものである。ファン33は、プロペラ(不図示)を回転させることで、第一ダクト32を介してチャンバー空間31aから空気を吸引する。また、ファン33は、吸引した空気を、前記プロペラの回転により第二ダクト34を介して更衣室Aの外部に送り出す。
【0045】
調整部40は、収納空間21へ導入するイオンの量を調整するためのものである。調整部40は、通気口23の開度を変更することでイオンの量を調整可能に構成される。調整部40は、複数のロッカー20にそれぞれ設けられる。以下では、図2に示す前側のロッカー20に設けられた調整部40を例に挙げて調整部40の構成を説明する。
【0046】
調整部40は、通気口23を開閉する開閉蓋41と、開閉蓋41を動作させるモータ等の駆動源(不図示)と、駆動源を制御するコントローラ(不図示)と、を具備する。開閉蓋41は、略板状に形成される。開閉蓋41は、通気口23の上方に配置される。開閉蓋41は、コントローラによって駆動源が駆動されることでロッカー20に対して相対的に上下方向に移動することができる。開閉蓋41は、上方へ移動することで通気口23を開放することができる。また、開閉蓋41は、下方へ移動することで通気口23を閉塞することができる。
【0047】
このように構成される調整部40(前記コントローラ)は、自身が設けられたロッカー20の施開錠部24から開錠及び施錠を行った旨の信号を受信可能に構成される。調整部40は、施開錠部24からの信号を受信すると、当該信号に応じて開閉蓋41を上下方向へ移動させる。これにより、調整部40は、施開錠部24の施錠及び開錠に応じて、通気口23の開度を変更することができる。
【0048】
本実施形態において、調整部40は、施開錠部24が施錠された場合に開閉蓋41を上方へ移動させ、通気口23をすぐに(施錠と略同一のタイミングで)全開状態にすることができる。また、調整部40は、施開錠部24が開錠された場合に開閉蓋41を下方へ移動させ、通気口23をすぐに(開錠と略同一のタイミングで)半開状態にすることができる。
【0049】
次に、図3から図5を参照して更衣室Aにおけるイオンの流れについて説明する。なお、図3から図5に示す矢印は、イオンの流れを示すものである。また、図4においては、前後のロッカー20の施開錠部24がそれぞれ施錠され、使用された状態となっている。また、図5においては、前後のロッカー20のうち、前側のロッカー20の施開錠部24が開錠され、使用されていない状態となっている。
【0050】
イオン発生器10は、更衣室A内にイオンを供給する。当該イオンは、ガラリ22aを介して収納空間21へ導入される。除菌消臭システム1は、ファンユニット30のファン33を駆動させることで、収納空間21へのイオンの導入を促進する。
【0051】
具体的には、図4に示すように、ファン33は、駆動することでチャンバー空間31aから空気を吸引する。当該吸引に伴って、チャンバー空間31aと連通された収納空間21の空気も吸引される。こうして収納空間21の空気が吸引されることで、収納空間21には、ガラリ22aを介して更衣室A内の空気が流入する。このように、ファンユニット30は、ファン33の駆動により、ガラリ22aを通って収納空間21に流入し、通気口23を通って収納空間21から流出するような空気の流れを発生させることができる。
【0052】
更衣室A内(ロッカー20の外側)のイオンは、当該空気の流れに沿うようにロッカー20内を流通する。すなわち、イオンは、ガラリ22aを介して収納空間21へ導入され、収納空間21を下方へ移動する。そして、イオンは、通気口23を通って収納空間21から流出する。その後、イオンは、チャンバー空間31a、第一ダクト32及び第二ダクト34を介して更衣室Aの外部へ排出される。
【0053】
このように、本実施形態においては、ファンユニット30によって空気の流れを生じさせることで、イオンの収納空間21への導入を促進することができる。また、イオン発生器10で発生させたイオンを、複数のロッカー20の収納空間21へ効率的に供給することができる。これにより、イオン発生器10を1つのロッカー20に対して1台ずつ割り当てる必要がなくなって、イオン発生器10の設置の手間及びコストを省くことができる。その結果、複数のロッカー20の収納空間21を除菌消臭する場合に除菌消臭システム1を適用し易くなる。
【0054】
また、本実施形態においては、チャンバー31が左右に並んだロッカー20の裏面側に亘るように形成されると共に、チャンバー空間31aが複数のロッカー20の収納空間21とそれぞれ連通されている。このような構成によれば、1つのファンユニット30で複数の収納空間21へのイオンの導入を促進することができる。これにより、除菌消臭システム1は、ファンユニット30の設置の手間及びコストを省くことができるため、複数のロッカー20の収納空間21を除菌消臭する場合により適用し易いものとなる。
【0055】
また、上述の如く、ロッカー20は、通常、収納空間21に物品が収納された場合に施開錠部24が施錠され、収納空間21に物品が収納されていない場合に、施開錠部24が開錠された状態となる。このように、施開錠部24の施錠及び開錠と、ロッカー20の使用状態(収納空間21に物品が収納されているか否か)とは、相互に関連していると考えられる。そこで、本実施形態において調整部40は、施開錠部24が施錠されているか否かに応じて通気口23の開度を変更することで、ロッカー20の使用状態に応じてイオンの導入量を調整するようにしている。
【0056】
具体的には、調整部40は、施開錠部24が施錠された(物品が収納された)場合に、ロッカー20の通気口23を全開状態にして、物品が収納された収納空間21からより多くの空気が吸引されるようにしている。これにより、調整部40は、当該収納空間21へ導入するイオンの量を増やすことができるため、収納空間21に収納された物品、及び当該収納空間21の除菌消臭を効果的に行うことができる。
【0057】
また、図5に示すように、調整部40は、施開錠部24が開錠された(物品が収納されていない)場合に、ロッカー20の通気口23を半開状態にして、物品が収納されていない収納空間21(図5では前側の収納空間21)から吸引される空気の量を減らしている。このように、本実施形態の調整部40は、ロッカー20の鍵と連動して通気口23の開度(風量)を調整し、開錠時に通気口23の開度を小さくしている(風量を減らしている)。当該構成においては、物品が収納されていない収納空間21よりも、物品が収納された収納空間21(図5では後側の収納空間21)へ優先的にイオンを導入することができる。このため、収納空間21に収納された物品、及び当該収納空間21の除菌消臭を効果的に行うことができる。
【0058】
また、通気口23は、ガラリ22aよりも低い位置に配置されている。このような構成によれば、大気中において下方へと移動するイオンを、ガラリ22aから通気口23へと流通させ易くすることができる。
【0059】
また、イオン発生器10は、天井A1に設置されることにより、ガラリ22aよりも高い位置に配置されている。このような構成によれば、大気中において下方へと移動するイオンを、ガラリ22aへ導入し易くすることができる。
【0060】
以上の如く、本実施形態に係る除菌消臭システム1は、物品を収納可能な収納空間21、及び前記収納空間21と連通するガラリ22a(第一開口部)を有する複数のロッカー20(収納部)と、前記複数のロッカー20の外側に配置されると共に前記複数のロッカー20に共用され、気体状のイオン(除菌消臭成分)を発生させるイオン発生器10(除菌消臭部)と、前記複数のロッカー20の外側に存在する前記イオンを、前記ガラリ22aを介して前記複数のロッカー20の前記収納空間21へ導入することを促進するファンユニット30(促進部)と、を具備するものである。
【0061】
このように構成することにより、複数のロッカー20の収納空間21にイオンを効率的に導入することができるため、イオン発生器10の設置個数を比較的少なくすることができる。上記構成においては、複数のロッカー20の収納空間21を除菌消臭する場合に、イオン発生器10の設置の手間やコストを省くことができるため、除菌消臭システム1が適用し易いものとなる。
【0062】
また、前記ロッカー20は、前記収納空間21と連通され、前記ガラリ22aとは異なる通気口23(第二開口部)をさらに具備し、前記ファンユニット30は、前記通気口23から前記収納空間21の空気を吸引することで、前記イオンの前記収納空間21への導入を促進するものである。
【0063】
このように構成することにより、ロッカー20の外側からガラリ22aに向けて送風する場合と比較して、イオンを収納空間21の広い範囲に行き渡らせることができるため、収納空間21における除菌消臭を効果的に行うことができる。
【0064】
また、前記ファンユニット30は、前記複数のロッカー20の裏面側に亘るように設けられると共に前記通気口23を介して各ロッカー20と連通されるチャンバー31(促進空間部)を有し、前記通気口23から前記収納空間21の空気を前記チャンバー31に吸引するものである。
【0065】
このように構成することにより、1つのファンユニット30で複数の収納空間21へのイオンの導入を促進することができるため、複数のロッカー20の収納空間21を除菌消臭する場合に除菌消臭システム1をより適用し易いものとなる。
【0066】
また、前記ロッカー20の使用状態に応じて、前記収納空間21への前記イオンの導入量を調整する調整部40をさらに具備するものである。
【0067】
このように構成することにより、イオンの導入量をロッカー20の使用状態に応じて適切な量に調整することができる。
【0068】
また、前記調整部40は、前記通気口23の開度を変更することで、前記イオンの導入量を調整するものである。
【0069】
このように構成することにより、通気口23を介した空気の流通を制御して、イオンの導入量を簡単に調整することができる。
【0070】
また、前記ロッカー20は、施開錠可能な施開錠部24をさらに具備し、前記調整部40は、前記施開錠部24が施錠されているか否かに応じて前記通気口23の開度を変更するものである。
【0071】
このように構成することにより、ロッカー20の使用状態と相互に関連している施開錠部24の状態(施錠されているか否か)に応じて、イオンの導入量を調整することができる。これにより、ロッカー20の使用状態に応じたイオンの導入量の調整を簡単に行うことができる。
【0072】
また、前記調整部40は、前記施開錠部24が施錠された場合における前記通気口23の開度を、前記施開錠部24が開錠された場合における開度よりも大きくするものである。
【0073】
このように構成することにより、使用されていないロッカー20(物品が収納されずに開錠されたロッカー20)の収納空間21よりも、使用中のロッカー20(物品が収納されて施錠されたロッカー20)の収納空間21にイオンを優先的に導入することができる。その結果、使用中のロッカー20に収納された物品の除菌消臭を効率的に行うことができる。
【0074】
なお、本実施形態に係るガラリ22aは、本発明に係る第一開口部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るロッカー20は、本発明に係る収納部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るイオンは、本発明に係る除菌消臭成分の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るイオン発生器10は、本発明に係る除菌消臭部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るファンユニット30は、本発明に係る促進部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る通気口23は、本発明に係る第二開口部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るチャンバー31は、本発明に係る促進空間部の実施の一形態である。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0076】
例えば、除菌消臭システム1は、更衣室Aに適用されるものとしたが、除菌消臭システム1の適用対象はこれに限定されるものではない。
【0077】
また、本実施形態においては、除菌消臭をイオンにより行うものとしたが、除菌消臭を行う除菌消臭成分はイオンに限定されるものではない。除菌消臭成分は、例えば、次亜塩素酸等であってもよい。なお、除菌消臭成分は、塩素を含まないもの、例えば、本実施形態のようなイオン等であることが望ましい。これによれば、更衣室Aにおいて錆が発生するのを抑制することができる。
【0078】
また、イオン発生器10の設置個数は特に限定されるものではなく、任意の数であってよい。イオン発生器10は、例えば、更衣室Aの広さやロッカー20の設置個数等に応じて適宜の個数設置されるものであってもよい。また、イオン発生器10は、イオンを更衣室A全体に拡散できるように複数設置されていてもよい。このような構成により、更衣室A内を効果的に除菌消臭することができる。
【0079】
また、施開錠部24は、ICカードにより扉部22の施錠及び開錠を行う電気式のものであったが、施開錠部24の構成はこれに限定されるものではない。施開錠部24は、例えば、鍵を鍵穴にさし込む機械式のものであってもよい。
【0080】
また、調整部40は、施開錠部24からの信号に応じて開閉蓋41を上下方向に移動させるものとしたが、調整部40の構成はこれに限定されるものではない。調整部40は、例えば、施開錠部24と開閉蓋41とを機械的に連結する所定のリンク部を具備し、施開錠部24の施錠及び開錠に応じてリンク部を動作させることで開閉蓋41を上下方向に移動させてもよい。
【0081】
また、調整部40は、自身が取り付けられたロッカー20の施開錠部24からの信号によって開閉蓋41を移動させるものとしたが、開閉蓋41を移動させる手法はこれに限定されるものではない。調整部40は、例えば、全ての施開錠部24からの信号を受信可能な所定の制御部を具備し、当該制御部により各開閉蓋41の移動をまとめて制御するものであってもよい。この場合、前記制御部は、施開錠部24から受信した信号に基づいて、当該施開錠部24が取り付けられたロッカー20の開閉蓋41を移動させればよい。
【0082】
また、ファン33は、チャンバー31の外側に配置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、チャンバー31内に配置されるものであってもよい。
【0083】
また、本実施形態において調整部40は、施開錠部24が施錠されたロッカー20の通気口23を全開状態にするものとしたが、施開錠部24が施錠された場合における通気口23の開度はこれに限定されるものではなく、任意の開度とすることができる。また、調整部40は、施開錠部24が開錠されたロッカー20の通気口23を半開状態にするものとしたが、施開錠部24が開錠された場合における通気口23の開度はこれに限定されるものではなく、任意の開度とすることができる。
【0084】
また、本実施形態において調整部40は、ロッカー20の使用状態に応じて通気口23の開度を調整する構成の一例として、施開錠部24の施錠及び開錠に応じて開度を調整するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。調整部40は、例えば、収納空間21に設けられたパイプ(ハンガーを吊るすパイプ)にかかる荷重が所定の閾値を超えたか否かをトリガーとして、通気口23の開度を調整してもよい。また、調整部40は、例えば、収納空間21で臭いを検知したか否かをトリガーとして、通気口23の開度を調整してもよい。
【0085】
また、調整部40は、通気口23の開度を調整することでイオンの導入量を調整するものとしたが、イオンの導入量を調整する手法はこれに限定されるものではなく、例えば、ガラリ22aの開度を調整することでイオンの導入量を調整してもよい。
【0086】
また、調整部40は、ロッカー20に設けられるものとしたが、これに限定されるものではない。調整部40は、例えば、チャンバー31等に設けられていてもよい。
【0087】
また、調整部40は、施開錠部24が開錠されるとすぐに通気口23を半開状態にするものとしたが、これに限定されるものではなく、所定の時間が経過した時点で半開状態となるように、時間を置いて通気口23を閉じてもよい。具体的には、調整部40は、例えば、施開錠部24が開錠されてから所定の時間が経過した後で開閉蓋41の移動を開始させることで、通気口23を半開状態にしてもよい。また、調整部40は、例えば、通気口23の開度を徐々に小さくすることで、通気口23を半開状態にするのに所定の時間を要するようにしてもよい。この場合、調整部40は、例えば、半開状態にする際の開閉蓋41の移動速度を全開状態にする際の移動速度よりも遅くすることで、通気口23の開度を徐々に小さくすることができる。
【0088】
以上の如く、前記調整部40は、前記施開錠部24が開錠された場合に、所定の時間が経過した時点で所定の開度となるように、前記通気口23の開度を変更するものである。
【0089】
このように構成することにより、施開錠部24の開錠及び通気口23の開度の調整に時間差が生じることとなる。当該構成においては、使用が済んだロッカー20(施錠された状態から開錠されたロッカー20)へのイオンの導入量が急激に減るのを抑制することができる。これにより、使用が済んだロッカー20の収納空間21に残った臭いやウイルス等を除去することができる。
【0090】
また、イオン発生器10は、更衣室Aの天井A1に設置されるものとしたが、イオン発生器10の設置場所はこれに限定されるものではなく、任意の場所に設置することができる。例えば、イオン発生器10は、更衣室Aの側壁や床部A2等に設置することができる。また、イオン発生器10は、更衣室A内において区画された所定の空間から収納空間21へ直接的にイオンを供給してもよい。図6及び図7に示す別実施形態に係る除菌消臭システム100は、このような収納空間21に直接的にイオンを供給可能な構成の一例である。
【0091】
別実施形態に係る除菌消臭システム100は、ロッカー120、ファンユニット30、調整部40及び上側チャンバー150を具備する。上側チャンバー150は、略箱状に形成され、ロッカー120及びファンユニット30に載置される。上側チャンバー150の内側には、イオン発生器10が設けられる。上側チャンバー150は、チャンバー空間151及び貫通孔152を具備する。チャンバー空間151は、上側チャンバー150の内部に形成された空間(内部空間)である。貫通孔152は、上側チャンバー150の下部を上下に貫通する。ロッカー120は、ガラリ22aが設けられていない点、及び導入孔122aが形成される点を除いて本実施形態に係るロッカー20と同様に構成される。導入孔122aは、ロッカー120の上部を上下に貫通し、上側チャンバー150の貫通孔152と接続される。イオン発生器10は、イオンをチャンバー空間151に供給する。当該イオンは、貫通孔152及び導入孔122aを介して収納空間21に供給される。このような構成によれば、イオンを収納空間21に効率的に供給することができる。
【0092】
以上の如く、別実施形態に係る除菌消臭システム100は、チャンバー空間151(内部空間)を有すると共に前記ロッカー120の上側に配置される上側チャンバー150(上側部材)をさらに具備し、前記イオン発生器10は、前記チャンバー空間151に前記イオンを供給し、前記導入孔122a(第一開口部)は、前記チャンバー空間151と前記収納空間21とを連通するものである。
【0093】
このように構成することにより、ロッカー20の上側のスペースを有効活用することができると共に、イオンを収納空間21に効率よく導入することができる。
【0094】
なお、別実施形態に係る上側チャンバー150は、本発明に係る上側部材の実施の一形態である。
また、別実施形態に係る導入孔122aは、本発明に係る第一開口部の実施の一形態である。
【符号の説明】
【0095】
1 除菌消臭システム
10 イオン発生器(除菌消臭部)
20 ロッカー(収納部)
21 収納空間
22a ガラリ(第一開口部)
30 ファンユニット(促進部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7