(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】車両用アウトスライドドアのロック機構
(51)【国際特許分類】
E05B 83/40 20140101AFI20240409BHJP
E05D 15/10 20060101ALI20240409BHJP
E05F 15/56 20150101ALI20240409BHJP
E05B 81/20 20140101ALI20240409BHJP
E05B 81/28 20140101ALI20240409BHJP
E05B 81/30 20140101ALI20240409BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20240409BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20240409BHJP
E05B 81/10 20140101ALN20240409BHJP
【FI】
E05B83/40
E05D15/10
E05F15/56
E05B81/20 A
E05B81/20 B
E05B81/28
E05B81/30
B60J5/06 A
B60J5/04 C
E05B81/10
(21)【出願番号】P 2020061952
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】592180720
【氏名又は名称】泰平電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【氏名又は名称】莊司 英史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】片寄 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(72)【発明者】
【氏名】本多 敦
(72)【発明者】
【氏名】中村 康治
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-180731(JP,A)
【文献】国際公開第2010/044339(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05F 15/00-15/79
E05D 15/10
B60J 5/06
B60J 5/04
B61D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを車両ボディに対してドア幅方向及びドア厚方向に移動して乗降口を開口する車両用アウトスライドドアのロック機構において、
車両用アウトスライドドアを開閉駆動し、本体部が本体動作方向にスライド可能に支持されるアクチュエータと、
アクチュエータに固定されるアクチュエータ支持部と、
アクチュエータ支持部に配置され、経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段と、
経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段と係合するドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分とドア幅方向に伸びる部分からなる経路手段を形成した部材と、
経路手段を形成した部材のドア厚方向の移動をガイドするガイド部と、
アクチュエータの駆動による推力伝達部の開閉方向の移動に経路手段を形成した部材のドア厚方向の移動を連動させる連動手段と、を備え、
ドアが閉の状態で経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段を経路手段のドア幅方向に伸びる部分に位置させ、
経路手段を形成した部材のドア厚方向の移動を阻止することによりドアをロックすることを特徴とする車両用アウトスライドドアのロック機構。
【請求項2】
アクチュエータの推力で移動する部
材と接触し、ドアを正確な閉位置に停止するように配置された停止手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用アウトスライドドアのロック機構。
【請求項3】
ドアがロックされ閉の状態でアクチュエータを駆動し、推力伝達部に開方向の推力を印加することで、経路手段を形成した部材がロック状態のため、移動を阻止された推力伝達部の反力により、アクチュエータを閉方向に移動させ、経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段の位置を経路手段のドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分に位置させアンロック状態とし、ドアの開動作をすることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用アウトスライドドアのロック機構。
【請求項4】
アクチュエータの駆動による推力伝達部の開閉方向の移動に、経路手段を形成した部材のドア厚方向の移動を連動させる連動手段が、
ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分とドア幅方向に伸びる部分があるガイドレール部と、
ガイドレール部に移動可能に係合するガイドレール案内手段が配置されたドア支持部と、
ドア支持部の開閉方向の移動をガイドし、経路手段を形成した部材に固定されたガイド部からなることを特徴とする請求項1ないし3に記載の車両用アウトスライドドアのロック機構。
【請求項5】
ロックされ、閉状態のドアを非常開放するための操作
部と、操作
部を作動する力を伝達する作動力伝達部と、
操作
部からの作動力伝達部と係合する係合部が配置されたアクチュエータ支持部またはアクチュエータ支持部と一体に固定された部材と、
を備え、
操作
部の作動により、アクチュエータの動力をカットし、作動力伝達部からアクチュエータ支持部またはアクチュエータ支持部と一体に固定された部材の係合部に作動力を伝達することで、アクチュエータ支持部を閉方向に移動させ、経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段の位置を経路手段のドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分に移動させアンロック状態とし、手動によりドアの開動作をすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両用アウトスライドドアのロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアを車両ボディのドア厚方向の車外側に張り出せると共に、ドア幅方向にスライド移動して開口部を開口する車両用アウトスライドドアのロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用アウトスライドドアのロック機構として、車両ボディに対してスライド可能に支持され、乗降口を開閉し、閉状態では車体側面と面一になり、開状態ではドア厚方向の車外側に移動するアウトスライド式であることを特徴とする車両用アウトスライドドアのドアクローザ装置において、車両ボディ側に配置され前記車両用アウトスライドドアの開閉方向に伸縮する流体圧シリンダからなる駆動手段と、鉛直方向に伸びる駆動力伝達軸と、前記駆動手段の伸縮による直線運動を前記駆動力伝達軸の回転運動に変換する水平リンク部材からなる駆動力方向変換手段と、前記駆動力伝達軸の下部に固定されたU字溝を形成したロック部と、前記車両用アウトスライドドアに配置され前記ロック部のU字溝に係合する係合部と、を備え、前記車両用アウトスライドドアの開閉時に前記ロック部のU字溝に前記車両用アウトスライドドアに配置した係合部が係合離脱することを特徴とする車両用アウトスライドドアのドアクローザ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献1: 特許第4767037号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、ドアの開閉動作用の流体圧シリンダと別にドアクローザ装置用の流体圧シリンダの2つのアクチュエータが必要であった。ロック解除をするアンロック時、係合部とロック部の2つの機構が、離れるため、係合及び離脱動作が難しかった。また、走行中に圧縮空気が抜けると自動的にロック解除状態であるアンロック状態になり、ドアが開いてしまう可能性があるという問題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来技術の持つ問題点を解決する、ロック・アンロック動作とドアの開閉動作を1つのアクチュエータで行い、経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段を、経路手段から離脱させず、経路手段の中で移動させることでロック、アンロック動作を行うため、ロック状態、アンロック状態の変換が容易で、動力をカットした状態でもロック状態を保持することが可能な車両用アウトスライドドアのロック機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用アウトスライドドアのロック機構は、前期課題を解決するために、ドアを車両ボディに対してドア幅方向及びドア厚方向に移動して乗降口を開口する車両用アウトスライドドアのロック機構において、車両用アウトスライドドアを開閉駆動し、本体部が本体動作方向にスライド可能に支持されるアクチュエータと、アクチュエータに固定されるアクチュエータ支持部と、アクチュエータ支持部に配置され、経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段と、経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段と係合するドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分とドア幅方向に伸びる部分からなる経路手段を形成した部材と、経路手段を形成した部材のドア厚方向の移動をガイドするガイド部と、アクチュエータの駆動による推力伝達部の開閉方向の移動に経路手段を形成した部材のドア厚方向の移動を連動させる連動手段と、を備え、ドアが閉の状態で経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段を経路手段のドア幅方向に伸びる部分に位置させ、経路手段を形成した部材のドア厚方向の移動を阻止することによりドアをロックすることを特徴とする車両用アウトスライドドアのロック機構。
【0007】
アクチュエータの推力で移動する部材(例えば、ドア支持部)と接触し、ドアを正確な閉位置に停止するように配置された停止手段を備えることを特徴とする。
【0008】
ドアがロックされ閉の状態でアクチュエータを駆動し、推力伝達部に開方向の推力を印加することで、経路手段を形成した部材がロック状態のため、移動を阻止された推力伝達部の反力により、アクチュエータを閉方向に移動させ、経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段の位置を経路手段のドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分に位置させアンロック状態とし、ドアの開動作をすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の車両用アウトスライドドアのロック機構は、アクチュエータの駆動による推力伝達部の開閉方向の移動に、経路手段を形成した部材のドア厚方向の移動を連動させる連動手段が、ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分とドア幅方向に伸びる部分があるガイドレール部と、ガイドレール部に移動可能に係合するガイドレール案内手段が配置されたドア支持部と、ドア支持部の開閉方向の移動をガイドし、経路手段を形成した部材に固定されたガイド部からなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の車両用アウトスライドドアのロック機構は、ロックされ、閉状態のドアを非常開放するための操作部(たとえば非常コック)と、操作部(たとえば非常コック)を作動する力を伝達する作動力伝達部と、操作部(たとえば非常コック)からの作動力伝達部と係合する係合部が配置されたアクチュエータ支持部またはアクチュエータ支持部と一体に固定された部材と、を備え、操作部(たとえば非常コック)の作動により、アクチュエータの動力をカットし、作動力伝達部からアクチュエータ支持部またはアクチュエータ支持部と一体に固定された部材の係合部に作動力を伝達することで、アクチュエータを閉方向に移動させ、経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段の位置を経路手段のドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分に移動させアンロック状態とし、手動によりドアの開動作をすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の車両用アウトスライドドアのロック機構は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用アウトスライドドアのロック機構を建造物の開口部に配置されるアウトスライドドアに適用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
ドアを車両ボディに対してドア幅方向およびドア厚方向に移動して乗降口を開口する車両用アウトスライドドアのロック機構において、車両用アウトスライドドアを開閉駆動し、本体部が本体動作方向に移動可能に支持されるアクチュエータと、アクチュエータに固定されるアクチュエータ支持部と、アクチュエータ支持部に配置される経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段と、経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段と係合するドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分とドア幅方向に伸びる部分からなる経路手段を形成した部材と、経路手段を形成した部材のドア厚方向の移動をガイドするガイド部と、アクチュエータの駆動による推力伝達部の開閉方向の移動に経路手段を形成した部材のドア厚方向の移動を連動させる連動手段と、を備え、ドアが閉の状態で経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段を経路手段のドア幅方向に伸びる部分に位置させ、経路手段を形成した部材のドア厚方向の移動を阻止することによりドアをロックすることを特徴とすることで、本発明は、前記従来技術の持つ問題点を解決する、ロック・アンロック動作とドアの開閉動作を1つのアクチュエータで行い、経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段を、経路手段から離脱させず、経路手段の中で移動させることでロック、アンロック動作を行うため、ロック状態、アンロック状態の変換が容易で、動力をカットした状態でもロック状態を保持することが可能になる。
ロックされ、閉状態のドアを非常開放するための操作部(たとえば非常コック)と、操作部(たとえば非常コック)を作動する力を伝達する作動力伝達部と、操作部(たとえば非常コック)からの作動力伝達部と係合する係合部が配置されたアクチュエータ支持部またはアクチュエータ支持部と一体に固定された部材と、を備え、操作部(たとえば非常コック)の作動により、アクチュエータの動力をカットし、作動力伝達部からアクチュエータ支持部またはアクチュエータ支持部と一体に固定された部材の係合部に作動力を伝達することで、アクチュエータ支持部を閉方向に移動させ、経路手段を形成した部材内経路を案内する経路案内手段の位置を経路手段のドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分に移動させアンロック状態とし、手動によりドアの開動作をすることで、非常の際、簡単な操作で車両用アウトスライドドアを開くことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図により説明する。
図1は、車両用アウトスライドドアの全体構成を示す概略図である。
実施形態の理解のために、特許請求の範囲の記載における構成と実施形態との部材の対応を示す。ただし、実施形態は特許出願の一例を示すものであり、特許請求の範囲が当該記載により実施形態の内容に限定的に解釈されるものではない。
(請求項1の記載について)
請求項1記載の「本体部」は本実施形態における「アクチュエータ1」に相当する。同様に「本体動作方向」は「開閉方向」に、「アクチュエータ支持部」は「ホルダー2」に、「経路手段を形成した部材内経路」は「カム穴7a」に、「経路手段を形成した部材」は「カムプレート7」に、「経路手段」は「カム穴7a」に、「経路案内手段」は「カムローラ2b」に、「ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分」は「曲線と直線の組み合わせ部分7a2」に、「ドア幅方向に伸びる部分」は、「ドア幅方向に伸びる部分7a1」に、「経路手段を形成した部材のドア厚方向の移動をガイドするガイド部」は「リニアガイド9」に、「推力伝達部」は「カーソル1a」に、「連動手段」は「直動ベアリングシャフト6、ガイドレール溝4、直動ベアリングユニット5、ガイドローラ5aで構成される態様」に相当する。
(請求項2の記載について)
同様に、「アクチュエータの推力で移動する部材」は「直動ベアリングユニット5」に、「停止手段」は、「ストッパー13」に相当する。
(請求項3の記載について)
同様に、「推力伝達部」は「カーソル1a」に、「経路手段を形成した部材」は「カムプレート7」に、「ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分」は「曲線と直線の組み合わせ部分7a2」に、相当する。
(請求項4の記載について)
同様に、「推力伝達部」は「カーソル1a」に、「経路手段を形成した部材」は「カムプレート7」に、「連動手段」は「直動ベアリングシャフト6、ガイドレール溝4、直動ベアリングユニット5、ガイドローラ5aで構成される態様」に、「ドア支持部」は「ドアアーム8a、直動ベアリングユニット5で構成される態様」に相当する。
また、「ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分」は、例えば図1で示される「ガイドレール溝4」の形状のことを意図している。
同様に、「ガイドレール部」は、「ガイドレール溝4」に、「ガイドレール案内手段」は、「ガイドローラ5a」に、「ドア支持部の開閉方向の移動をガイドし、経路手段を形成した部材に固定されたガイド部」は、「直動ベアリングシャフト6」に相当する。
(請求項5の記載について)
同様に、「作動力伝達部」は、「抜けとめ10a、ワイヤー10bで構成される態様」に、「アクチュエータ支持部」は「ホルダー2」に、「アクチュエータ支持部と一体に固定された部材」は、「バー2aの突起部」に、「経路手段を形成した部材内経路」は「カム穴7a」に、「経路案内手段」は「カムローラ2b」に、「経路手段」は「カム穴7a」に、「ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線あるいは曲線と直線の組み合わせ部分」は「曲線と直線の組み合わせ部分7a2」に、「操作部」は「操作部10」に相当する。
【0015】
車両ボディ11の開口を開閉するドア8の開閉及びドア8のロック、アンロックを駆動する流体圧シリンダからなるアクチュエータ1が車内に配置される。アクチュエータ1の両端にはホルダー2が固定される。ホルダー2にはバー2aが固定され、バー2aは軸受3を介してスライド可能に軸支され、アクチュエータ1が開閉方向にスライド可能に支持される。ホルダー2の一端にカムローラ2bが回転自在に配置される。
【0016】
両ホルダー2に近接してカムプレート7が配置される。カムプレート7にはカム穴7aが形成される。カム穴7aは、ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分7a2とドア幅方向に伸びる部分7a1を有し略L字形である(
図4参照)。本実施形態では、7a2は、ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分をなすものとして説明するが、ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線部分をなすものであってもよい。
【0017】
カムローラ2bがカム穴7aと係合し、ドア8の開閉動作によるカムプレート7の移動およびアクチュエータ1自体の移動に伴い、カム穴7aの車両のドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分7a2とドア幅方向に伸びる部分7a1のいずれかに位置する。
【0018】
ドア8に一端を連結されたドアアーム8aの他端がドア8を開閉方向にガイドする直動ベアリングユニット5に連結される。ドアアーム8aと直動ベアリングユニット5がドア支持部を構成する。直動ベアリングユニット5に回転自在に配置されたガイドローラ5aが、ドア8の開閉軌跡をガイドするガイドレール溝4に移動可能に係合する。直動ベアリングシャフト6は、直動ベアリングユニット5の開閉方向の移動をガイドする。直動ベアリングシャフト6の両端は両カムプレート7に固定される。
【0019】
流体圧シリンダからなるアクチュエータ1には、アクチュエータ1の開閉方向の推力が伝達されるカーソル1aが配置される。カーソル1aの端部にドア厚方向に伸びる長孔1bが形成され、ドア厚方向に伸びる長孔1bに直動ベアリングユニット5に固定された推力伝達ピン5bが係合する。
【0020】
アクチュエータ1の推力がカーソル1aを介して直動ベアリングユニット5に伝達され、ガイドレール溝4に係合したガイドローラ5aが、ガイドレール溝4の軌跡に沿って移動し、ドア8の開閉動作をする。
【0021】
アクチュエータ1の駆動によるカーソル1aの開閉方向の移動に両カムプレート7のドア厚方向の移動を連動させる。ガイドレール溝4には、ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分とドア幅方向方向に伸びる部分がある。カムプレート7には、ドア厚方向の移動をガイドするリニアガイド9を取り付ける。ガイドレール溝4のドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分をガイドローラ5aが移動する時、直動ベアリングユニット5、直動ベアリングシャフト6を介してカムプレート7が連動してドア厚方向に移動する。ガイドレール溝4のドア幅方向に伸びる部分をガイドローラ5aが移動する時、直動ベアリングシャフト6とカムプレート7は、ドア厚方向の移動範囲における車外側に位置する。本実施形態では、ガイドレール溝4は、ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分とドア幅方向に伸びる部分をなすものとして説明するが、ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線部分とドア幅方向に伸びる部分をなすものであってもよい。
【0022】
ドア幅方向に伸びる位置調整ロッド12の両端に位置調整リンク部材12aの一端がピン連結され位置調整リンク部材12aの他端に配置された位置調整ローラ12bが、カムプレート7に形成したドア幅方向に伸びた長孔7bに移動可能に係合する。ドア8の裏面に沿って移動可能なローラ12cを配置したアーム12dに形成したドア幅方向に伸びる長孔12eに移動可能に係合したローラ12fを一端に配置した位置調整リンク部材12aの他端が位置調整ロッド12にピン連結される。位置調整ロッド12と位置調整リンク部材12aは、ドア8自体の開閉動作に伴う両カムプレート7の移動の調整をし、両カムプレート7のカム穴7aのドア厚方向の移動を同期させ、ドア厚方向の位置を合わせる機能を有している。
【0023】
図8に示すように、一方のバー2aに抜け止め10aを一端に配置したワイヤー10bを有する操作部(たとえば非常コック)10を配置する。操作部(たとえば非常コック)10は、ロックされ閉の状態のドア8を非常開放とするためのもので、操作部(たとえば非常コック)10の作動により先ずアクチュエータ1の圧縮空気を抜き、その後、操作部(たとえば非常コック)10を引張り、抜け止め10aをバー2aの突起部に係合させアクチュエータ1を移動させ、カムローラ2bの位置をカム穴7aのドア幅方向に伸びる部分7a1からドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分7a2に移動させ、カムプレート7をロック状態からアンロック状態とし、カムプレート7をドア厚方向に移動可能な状態とすることでドア8をアンロック状態とし、ドア8を手動により開動作をする。非常の際、簡単な操作でドア8を開くことが可能になる。
【0024】
図4は、カム穴7aの拡大図である。カム穴7aは、ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分7a2とドア幅方向に伸びる部分7a1からなり略L字形をしている。カムローラ2bがドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分7a2に位置するときは、カムプレート7はアンロック状態となり、カムローラ2bがドア幅方向に伸びる部分7a1に位置するときは、カムプレート7はロック状態になる。カムローラ2bがドア幅方向に伸びる部分7a1に位置するときは、ドア8が閉の状態で、ドア8を開けようとしても、ドア8は、最初車両外側に押し出さなければならないが、カムローラ2bが、ドア幅方向に伸びる部分7a1に位置しているのでドア厚方向の移動が阻止されており、ドア8はロック状態になる。
【0025】
図2は、カムプレート7がアンロックの状態を示す。カムローラ2bがカム穴7aのドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分7a2に位置しており、カムプレート7はドア厚方向に移動可能な状態になっている。カムプレート7がアンロックの状態の時、ドア8を開くことが可能となり、ドア8がアンロック状態になる。
【0026】
図3は、カムプレート7がロックの状態を示す。カムローラ2bがカム穴7aのドア幅方向に伸びる部分7a1に位置しており、ホルダー2と軸受3が剛体であり、軸受3が固定されているため、カムプレート7はドア厚方向の移動が阻止されている。カムプレート7がロック状態で、アクチュエータ1の圧縮空気が抜け状態の時、ドア8は手動で開こうとしても、直動ベアリングユニット5、直動ベアリングシャフト6は車外方向への移動が阻止され、ガイドレール溝4に沿ってガイドローラ5aは車外方向に斜めに移動できないので、ドア8を車外方向及び開方向に移動することができず、ドア8はロック状態になる。
【0027】
図5は、ドア8を閉方向に移動する状態を示す。カムローラ2bがカム穴7aのドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分7a2に位置しているのでカムプレート7がアンロック状態であり、アクチュエータ1の推力でカーソル1 aが矢印方向に移動し、ガイドローラ5aがガイドレール溝4に沿って矢印方向に移動する。車両外側に押し出されていたドア8は、車内方向に斜めに移動する。カーソル1 aにより移動するガイドローラ5aによって車内方向に移動する直動ベアリングシャフト6を介してカムプレート7を車内方向に移動させる。
車内方向に斜めに移動するドア8によって車内方向に移動するカムプレート7とアーム12dにより、長孔7bに係合したローラ12bと長孔12eに係合したローラ12fを介して、位置調整リンク部材12aが回転する。位置調整リンク部材12aは、位置調整ロッド12とピン連結しているため、3箇所ある位置調整リンク部材12aのどれか1箇所が回転すると、他の位置調整リンク部材12aも同期して回転する。両カムプレート7とアーム12dは同期して車内方向に移動する。それによりドア8のドア幅方向の両端は、車内方向に斜めに同期して移動する。
【0028】
図6は、ドア8を閉位置まで移動し、ドア8がロックした状態を示す。ストッパー13が、直動ベアリングユニット5の移動を阻止したことで、ドア8とカーソル1aは移動が阻止され、停止している。ストッパー13は、車両ボディ11に固定されているロック機構を支持する部材に固定されている。閉方向への移動を阻止されたカーソル1 aの反力により、アクチュエータ1が矢印の開方向に移動した状態になっており、アクチュエータ1と一体に動くホルダー2に配置されたカムローラ2bは、カム穴7aのドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分7a2からドア幅方向に伸びる部分7a1に移動した状態になっている。カムローラ2bが、カム穴7aのドア幅方向に伸びる部分7a1に位置するため、カムプレート7が、ロック状態になっている。それにより、ドア8がロック状態になっている。
【0029】
図7は、ドア8がロックされ閉の状態から、ドア8を開く状態を示す。カムプレート7がロックされているので直動ベアリングユニット5、直動ベアリングシャフト6は車外方向への移動が阻止され、ガイドレール溝4に沿ってガイドローラ5aは車外方向に斜めに移動できない。そのため、アクチュエータ1を駆動してもカーソル1aは開方向へ動かない。アクチュエータ1をカーソル1 aの反力により矢印の閉方向に移動させる。アクチュエータ1と一体に動くホルダー2に配置されたカムローラ2bもカム穴7aのドア幅方向に伸びる部分7a1から移動し、カム穴7aのドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分7a2に達するとカムプレート7がアンロック状態になる。アンロック状態になった後にアクチュエータ1が開方向の推力をカーソル1 aに伝達し、ドア8を開方向に駆動する。
【0030】
本発明の車両用アウトスライドドアのロック機構は、建造物の開口に配置されるアウトスライドドアにも適用可能である。建造物の場合、本発明における前記車両ボディとは外壁であり、前記車内とは室内であり、前記車外とは室外である。
【0031】
以上のように、本発明の車両用アウトスライドドアのロック機構によれば、ロック・アンロック動作とドアの開閉動作を1つのアクチュエータで行い、カムローラを、カム穴から離脱させず、カム穴の中で移動させることでロック、アンロック動作を行うため、ロック状態、アンロック状態の変換が容易で、圧縮空気が抜け状態でもロック状態を保持することが可能になる。
【符号の説明】
【0032】
1: アクチュエータ、1 a:カーソル、1b:ドア厚方向に伸びる長孔、2:ホルダー、2a:バー、2b:カムローラ、3:軸受、4:ガイドレール溝、5:直動ベアリングユニット、5a:ガイドローラ、5b:推力伝達ピン、6:直動ベアリングシャフト、7:カムプレート、7a:カム穴、7a1:ドア幅方向に伸びる部分、7a2:ドア幅方向に変位するとともにドア厚方向に変位する曲線と直線の組み合わせ部分、7b:ドア幅方向に伸びる長孔、8:ドア、8a:ドアアーム、9:リニアガイド、10:操作部(たとえば非常コック)、10a:抜け止め、10b:ワイヤー、11:車両ボディ、12:位置調整ロッド、12a:位置調整リンク部材、12b:位置調整ローラ、12c:ローラ、12d:アーム、12e:長孔:12f:ローラ、13:ストッパ-