(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】駐車場管理システムおよび駐車場管理方法
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240409BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240409BHJP
【FI】
G07B15/00 510
G07B15/00 N
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020066768
(22)【出願日】2020-04-02
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504093744
【氏名又は名称】株式会社リンク
(73)【特許権者】
【識別番号】517339981
【氏名又は名称】瀬田 陽介
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】岡田 元治
(72)【発明者】
【氏名】瀬田 陽介
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-009319(JP,A)
【文献】特開2018-142263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00-15/06
G06Q 10/00-50/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場への車両の入庫を契機に、その車両のナンバプレートが示す番号とともに予め登録されたキャッシュレス決済のためのカード情報を用いて、前記駐車場の料金体系に応じた所定金額の与信照会を外部の決済事業者装置に対して行う与信照会部と、
前記駐車場から前記車両が出庫したことを契機に、前記カード情報を用いて、駐車料金の精算処理を前記決済事業者装置と連携して行う精算処理部と、
前記駐車場から前記車両が出庫しようとする際、前記与信照会部による与信照会が成功していれば、前記精算処理の完了を待つことなく、前記駐車場の出庫ゲートを開いて前記車両の出庫を可能にするゲート制御部と、
通知部と、
応答受付部と、
を備え
、
前記通知部は、前記駐車場へ入庫した車両の番号とともに予め登録されたカード保有者の携帯端末に対して、駐車料金のキャッシュレス決済を許可するか否かを確認するメッセージを通知し、
前記応答受付部は、前記キャッシュレス決済を許可または拒否する旨の情報を前記携帯端末から受け付け、
前記与信照会部は、前記キャッシュレス決済を許可する旨の情報が前記携帯端末から受け付けられた場合、前記カード情報を用いた与信照会を実行することを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項2】
駐車場への車両の入庫を契機に、その車両のナンバプレートが示す番号とともに予め登録されたキャッシュレス決済のためのカード情報を用いて、前記駐車場の料金体系に応じた所定金額の与信照会を外部の決済事業者装置に対して行う与信照会部と、
前記駐車場から前記車両が出庫したことを契機に、前記カード情報を用いて、駐車料金の精算処理を前記決済事業者装置と連携して行う精算処理部と、
前記駐車場から前記車両が出庫しようとする際、前記与信照会部による与信照会が成功していれば、前記精算処理の完了を待つことなく、前記駐車場の出庫ゲートを開いて前記車両の出庫を可能にするゲート制御部と、
を備え
、
前記与信照会部は、前記所定金額の与信照会として、前記駐車場において予め定められた駐車料金の初日最大金額の与信照会を実行することを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項3】
前記与信照会部は、前記駐車場における車両の駐車時間が所定時間を超過した場合、駐車料金の複数日分の最大金額の与信照会を新たに実行することを特徴とする請求項
2に記載の駐車場管理システム。
【請求項4】
駐車場への車両の入庫を契機に、その車両のナンバプレートが示す番号とともに予め登録されたキャッシュレス決済のためのカード情報を用いて、前記駐車場の料金体系に応じた所定金額の与信照会を外部の決済事業者装置に対して行う与信照会部と、
前記駐車場から前記車両が出庫したことを契機に、前記カード情報を用いて、駐車料金の精算処理を前記決済事業者装置と連携して行う精算処理部と、
前記駐車場から前記車両が出庫しようとする際、前記与信照会部による与信照会が成功していれば、前記精算処理の完了を待つことなく、前記駐車場の出庫ゲートを開いて前記車両の出庫を可能にするゲート制御部と、
を備え
、
前記精算処理部は、前記駐車料金の金額の与信照会を新たに行いその金額の売上処理を実行した上で、それ以前に確保された与信をキャンセルすることを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項5】
前記精算処理部は、前記駐車料金の金額の与信照会に失敗した場合、それ以前に確保された与信を使って前記駐車料金の金額の売上処理を実行することを特徴とする請求項
4に記載の駐車場管理システム。
【請求項6】
駐車場への車両の入庫を契機に、その車両のナンバプレートが示す番号とともに
予め登録されたカード保有者の携帯端末に対して、駐車料金のキャッシュレス決済を許可するか否かを確認するメッセージを通知するステップと、
前記キャッシュレス決済を許可または拒否する旨の情報を前記携帯端末から受け付けるステップと、
前記キャッシュレス決済を許可する旨の情報が前記携帯端末から受け付けられた場合、前記駐車場へ入庫した前記車両の前記番号とともに予め登録されたキャッシュレス決済のためのカード情報を用いて、前記駐車場の料金体系に応じた所定金額の与信照会を外部の決済事業者装置に対して行う与信照会ステップと、
前記駐車場から前記車両が出庫しようとする際、前記駐車場の出庫ゲートを開いて前記車両の出庫を可能にするゲート制御ステップと、
前記駐車場から前記車両が出庫したことを契機に、前記カード情報を用いて、駐車料金の精算処理を前記決済事業者装置と連携して行うステップと、
をコンピュータが実行し、
前記ゲート制御ステップは、前記与信照会ステップの与信照会が成功していれば、前記精算処理の完了を待つことなく、前記駐車場の出庫ゲートを開くことを特徴とする駐車場管理方法。
【請求項7】
駐車場への車両の入庫を契機に、その車両のナンバプレートが示す番号とともに予め登録されたキャッシュレス決済のためのカード情報を用いて、前記駐車場の料金体系に応じた所定金額の与信照会を外部の決済事業者装置に対して行う与信照会ステップと、
前記駐車場から前記車両が出庫しようとする際、前記駐車場の出庫ゲートを開いて前記車両の出庫を可能にするゲート制御ステップと、
前記駐車場から前記車両が出庫したことを契機に、前記カード情報を用いて、駐車料金の精算処理を前記決済事業者装置と連携して行うステップと、
をコンピュータが実行し、
前記与信照会ステップは、前記所定金額の与信照会として、前記駐車場において予め定められた駐車料金の初日最大金額の与信照会を実行し、
前記ゲート制御ステップは、前記与信照会ステップの与信照会が成功していれば、前記精算処理の完了を待つことなく、前記駐車場の出庫ゲートを開くことを特徴とする駐車場管理方法。
【請求項8】
駐車場への車両の入庫を契機に、その車両のナンバプレートが示す番号とともに予め登録されたキャッシュレス決済のためのカード情報を用いて、前記駐車場の料金体系に応じた所定金額の与信照会を外部の決済事業者装置に対して行う与信照会ステップと、
前記駐車場から前記車両が出庫しようとする際、前記駐車場の出庫ゲートを開いて前記車両の出庫を可能にするゲート制御ステップと、
前記駐車場から前記車両が出庫したことを契機に、前記カード情報を用いて、駐車料金の精算処理を前記決済事業者装置と連携して行う
精算ステップと、
をコンピュータが実行し、
前記ゲート制御ステップは、前記与信照会ステップの与信照会が成功していれば、前記精算処理の完了を待つことなく、前記駐車場の出庫ゲートを開
き、
前記精算ステップは、前記駐車料金の金額の与信照会を新たに行いその金額の売上処理を実行した上で、それ以前に確保された与信をキャンセルすることを含むことを特徴とする駐車場管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデータ処理技術に関し、特に駐車場管理システムおよび駐車場管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場から出庫する車両が、履歴DBに既に登録されている車両であれば、当該駐車場に情報を与えることで出庫時の料金徴収を省略して出庫させ、代わりに駐車時間の情報を当該駐車場から受け取って、当該車両の1か月分の駐車時間に対応する駐車料金をクレジットカード決済により徴収させる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムでは、車両が履歴DBに未登録である場合(駐車場の初回利用時等)、車両の乗員は出庫ゲートにおいてクレジットカードによる駐車料金支払いを行う必要がある。また、駐車場の初回利用後にクレジットカードが利用停止になった場合、2回目以降の駐車料金を徴収できなくなる可能性がある。
【0005】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、駐車場からの迅速な出庫と、駐車料金の確実な徴収とを両立させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の駐車場管理システムは、駐車場への車両の入庫を契機に、その車両のナンバプレートが示す番号とともに予め登録されたキャッシュレス決済のためのカード情報を用いて、駐車場の料金体系に応じた所定金額の与信照会を外部の決済事業者装置に対して行う与信照会部と、駐車場から車両が出庫したことを契機に、カード情報を用いて、駐車料金の精算処理を決済事業者装置と連携して行う精算処理部と、駐車場から車両が出庫しようとする際、与信照会部による与信照会が成功していれば、精算処理の完了を待つことなく、駐車場の出庫ゲートを開いて車両の出庫を可能にするゲート制御部と、を備える。
【0007】
本開示の別の態様は、駐車場管理方法である。この方法は、駐車場への車両の入庫を契機に、その車両のナンバプレートが示す番号とともに予め登録されたキャッシュレス決済のためのカード情報を用いて、駐車場の料金体系に応じた所定金額の与信照会を外部の決済事業者装置に対して行う与信照会ステップと、駐車場から車両が出庫しようとする際、駐車場の出庫ゲートを開いて車両の出庫を可能にするゲート制御ステップと、駐車場から車両が出庫したことを契機に、カード情報を用いて、駐車料金の精算処理を決済事業者装置と連携して行うステップと、をコンピュータが実行し、ゲート制御ステップは、与信照会ステップの与信照会が成功していれば、精算処理の完了を待つことなく、駐車場の出庫ゲートを開く。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を、装置、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、駐車場からの迅速な出庫と、駐車料金の確実な徴収とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例の駐車場管理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図1の駐車場サーバの機能ブロックを示すブロック図である。
【
図4】
図1の料金精算支援装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図7】駐車場管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図8】駐車場管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図9】駐車場管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図10】駐車場管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図11】駐車場管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図12】駐車場管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図13】駐車場管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図14】駐車場管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図15】駐車場管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図16】駐車場管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図17】駐車場管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図18】駐車場管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、実施例の概要を説明する。実施例の駐車場管理システムは、利用者が保持するキャッシュレス決済用のカード情報と、利用者の自動車ナンバー(具体的にはナンバープレートに記載される自動車登録番号)とを対応付けておき、利用者が駐車場から車両を出庫させることとは非同期に、駐車料金(すなわち駐車場の利用料金)をキャッシュレス決済により精算する。利用者は、駐車場においてキャッシュレス決済用のカードや駐車券等を用いて駐車料金を支払う必要がなく、また、駐車場から出場する際に駐車券を提示することなく、駐車場から車両を迅速に出庫させることができる。駐車場からの迅速な出庫が実現されることで、駐車場を備える施設(商業施設等)は、駐車場の出庫ゲート付近での渋滞解消を期待できる。また、実施例の駐車場管理システムは、不正なキャッシュレス決済用カードや不正な自動車ナンバーの利用を防止する機能を備える。
【0012】
実施例では、利用者が保持するキャッシュレス決済用のカードとしてクレジットカードを例示する。また、実施例で提案する決済方法であって、駐車場においてキャッシュレス決済用のカードや駐車券等を用いて駐車料金を支払うことを不要にした決済方法を以下「カードレス決済」と呼ぶ。
【0013】
図1は、実施例の駐車場管理システム10の構成を示す。駐車場管理システム10は、有料駐車場を管理する情報処理システムであり、駐車場からの車両の迅速な出庫と、駐車料金の確実な徴収とを両立させるための要素を含む。駐車場管理システム10は、入庫ゲート12、出庫ゲート14、駐車場サーバ18、利用者端末20、ウェブサーバ22、料金精算支援装置24、決済代行事業者装置26を備える。これらの装置は、LAN・WAN・インターネット等を含む通信網28を介して接続される。
【0014】
入庫ゲート12は、駐車場の入口に設けられたゲート装置である。車両16は、入庫ゲート12が開扉すると駐車場の中に入庫(入場とも言える)可能になる。入庫ゲート12は、駐車場に入庫する車両16の自動車ナンバーを撮像するカメラを備え、自動車ナンバーと入庫日時を駐車場サーバ18へ送信する。実施例の駐車場管理システム10では、カードレス決済を行わない場合や異常系のフローにおいて、利用者は駐車券を用いて駐車料金を精算する。そのため、入庫ゲート12は、全ての利用者に駐車券を発行する。
【0015】
出庫ゲート14は、駐車場の出口に設けられたゲート装置であり、駐車場サーバ18からの指示に応じて開扉する。車両16は、出庫ゲート14が開扉すると駐車場から外へ出庫(退場とも言える)可能になる。出庫ゲート14は、駐車場から出庫する車両16の自動車ナンバーを撮像するカメラを備え、自動車ナンバーと出庫日時を駐車場サーバ18へ送信する。
【0016】
駐車場サーバ18は、入庫ゲート12と出庫ゲート14の開閉を制御し、また、駐車料金を計算する情報処理装置である。駐車場サーバ18は、駐車場に設置されてもよく、精算機会社のデータセンタに配置されてもよい。また、駐車場に設置された情報処理装置と、精算機会社のデータセンタに配置された情報処理装置とが連携することにより、実施例の駐車場サーバ18の機能が実現されてもよい。
【0017】
利用者端末20は、駐車場管理システム10が提供するカードレス決済の利用者により操作される携帯端末である。利用者は、典型的には、カードレス決済が可能な駐車場に駐車する車両16の乗員(ドライバ等)である。利用者端末20は、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット端末であってもよい。実施例の利用者端末20は、ウェブブラウザを備える。
【0018】
また、後述するように、料金精算支援装置24と利用者端末20は、公知の通信方法を用いてメッセージを送受信する。実施例では、料金精算支援装置24と利用者端末20は、SMS(Short Message Service)を使用してメッセージを送受信する。実施例の利用者端末20は、SMS(Short Message Service)を利用可能なものとする。変形例として、料金精算支援装置24と利用者端末20は、SMS以外の通知技術を用いてメッセージを送受信してもよい。
【0019】
ウェブサーバ22は、利用者登録用のウェブサイト(以下「利用者登録サイト」とも呼ぶ。)を提供する情報処理装置である。利用者は、利用者端末20を介して利用者登録サイトにアクセスし、自動車ナンバーやクレジットカード情報等、カードレス決済に必要な情報を駐車場管理システム10に登録する。なお、利用者登録サイトは、クレジットカードのセキュリティ基準、例えばPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)に準拠したものであることが望ましい。
【0020】
料金精算支援装置24は、駐車料金の清算を支援する情報処理装置である。料金精算支援装置24の詳細な構成は後述する。決済代行事業者装置26は、決済代行事業者の情報処理装置である。決済代行事業者装置26は、クレジットカード決済に関する各種データ処理を実行する。なお、駐車場管理システム10は、決済代行事業者装置26に代えて、決済事業者(クレジットカード会社等)の装置を備える構成でもよい。
【0021】
図2は、
図1の駐車場サーバ18の機能ブロックを示すブロック図である。本開示のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU・メモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0022】
駐車場サーバ18は、制御部30、記憶部32、通信部34を備える。制御部30は、駐車場のゲート管理および料金管理に関する各種データ処理を実行する。記憶部32は、制御部30により参照または更新されるデータを記憶する。通信部34は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。制御部30は、通信部34を介して、入庫ゲート12、出庫ゲート14、料金精算支援装置24とデータを送受信する。
【0023】
記憶部32は、車両情報記憶部36を含む。車両情報記憶部36は、駐車場に入庫した車両16の情報である車両情報を記憶する。
図3は、車両情報の構成を示す。車両情報は、車両16に関する自動車ナンバー、入庫日時(言い換えれば入場日時)、カードレス決済フラグを含む。カードレス決済フラグ「オフ」は、カードレス決済を実施しないこと、すなわち、従来通り、集中精算機または出庫ゲート14において駐車券を用いて駐車料金が支払われることを示す。一方、カードレス決済フラグ「オン」は、カードレス決済を実施すること、すなわち、駐車券を用いずに事前登録されたクレジットカード情報を用いて自動的に駐車料金が支払われることを示す。後述の事前登録を行った利用者に関する車両情報のみ、そのカードレス決済フラグのデフォルト値としてオンが設定される。
【0024】
図2に戻り、制御部30は、ナンバー連携部40、フラグ更新部42、ゲート制御部44、料金計算部46、料金連携部48を含む。これら複数の機能ブロックのうち少なくとも一部の機能ブロックの機能が実装されたコンピュータプログラムが、記録媒体に格納され、その記録媒体を介して駐車場サーバ18のストレージにインストールされてもよい。または、上記のコンピュータプログラムが、通信網を介して駐車場サーバ18のストレージにインストールされてもよい。駐車場サーバ18のCPUは、上記のコンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、各機能ブロックの機能を発揮してもよい。後述の料金精算支援装置24の制御部50についても同様である。
【0025】
ナンバー連携部40は、入庫ゲート12、出庫ゲート14、料金精算支援装置24との間で、自動車ナンバーとその関連情報(入庫日時、出庫日時、カードレス決済フラグ等)を送受信する。また、ナンバー連携部40は、出庫ゲート14から送信された自動車ナンバーと出庫日時の組を受け付けて料金計算部46に渡す。フラグ更新部42は、車両情報記憶部36に記憶されたカードレス決済フラグを更新する。
【0026】
ゲート制御部44は、入庫ゲート12の開閉および出庫ゲート14の開閉を制御する。ゲート制御部44は、駐車場から車両16が出庫しようとする際に(典型的には出庫ゲート14の手前位置に車両16が来た場合)、ナンバー連携部40により車両16の自動車ナンバーが取得され、かつ、その自動車ナンバーに紐付くカードレス決済フラグがオンであれば、料金精算支援装置24による駐車料金の精算処理の完了を待つことなく、即時にゲートオープンを指示する信号を出庫ゲート14へ送信する。これにより、出庫ゲート14を開扉させ、車両16の出庫(言い換えれば駐車場からの退場)を可能にする。
【0027】
料金計算部46は、駐車場から出庫する車両16について、車両情報記憶部36に記憶された入庫日時と、ナンバー連携部40から渡された出庫日時と、予め定められた駐車場の料金体系とにしたがって、駐車料金の金額を算出する。料金連携部48は、駐車場から出庫する車両16の自動車ナンバーと駐車料金の金額の組を料金精算支援装置24へ送信する。
【0028】
図4は、
図1の料金精算支援装置24の機能ブロックを示すブロック図である。料金精算支援装置24は、制御部50、記憶部52、通信部54を備える。制御部50は、駐車料金の精算に関する各種データ処理を実行する。記憶部52は、制御部50により参照または更新されるデータを記憶する。通信部54は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。制御部50は、通信部34を介して、利用者端末20、ウェブサーバ22、駐車場サーバ18、決済代行事業者装置26とデータを送受信する。
【0029】
記憶部52は、利用者情報記憶部56を含む。利用者情報記憶部56は、駐車場管理システム10が提供するカードレス決済の利用者に関する情報(以下「利用者情報」と呼ぶ。)を記憶する。利用者情報の構成例は後述する。
【0030】
制御部50は、登録情報取得部60、有効性チェック部62、利用者情報保存部64、認証部66、ナンバー登録部68、入庫情報受付部70、利用者通知部72、確認結果受付部74、与信照会部76、フラグ更新部78、駐車時間計算部80、出庫情報受付部82、精算処理部84、与信キャンセル部86を含む。
【0031】
登録情報取得部60は、ウェブサーバ22から送信された利用者の登録情報を受け付ける。
図5は、登録情報の構成を示す。登録情報は、利用者の氏名、携帯電話番号(利用者端末20の電話番号)、駐車場を利用する自動車ナンバー、利用者が保有するクレジットカード情報(クレジットカード番号、有効期限およびセキュリティコード)を含む。
【0032】
有効性チェック部62は、決済代行事業者装置26と連携して、登録情報に含まれるクレジットカード情報を用いて、当該クレジットカードが有効か否かを確認する。有効性チェック部62は、クレジットカードの有効性チェックを行うとともに、クレジットカード情報を決済代行事業者装置26に渡し、そのクレジットカード情報の識別子である会員IDを決済代行事業者装置26から取得する。このように、実施例の料金精算支援装置24は、クレジットカード情報を決済代行事業者装置26に預け、以降の決済代行事業者装置26との取引(トランザクション)にはクレジットカード情報に代えて会員IDを用いる。これにより、料金精算支援装置24においてクレジットカード情報を保存しないでよくなる。
【0033】
利用者情報保存部64は、登録情報に基づく有効性チェックにおいてクレジットカードが有効であることが確認された場合、その登録情報にもとづく利用者情報を利用者情報記憶部56に格納する。
図6は、利用者情報の構成を示す。利用者情報は、利用者の氏名、携帯電話番号(利用者端末20の電話番号)、自動車ナンバー、会員ID、取引ID、入庫日時を含む。
【0034】
会員IDは、既述したように、有効性チェック部62による有効性チェック時に決済代行事業者装置26から取得される。取引IDは、後述の与信照会により承認された与信(言い換えれば利用者に供与された与信枠)のIDである。取引IDは、決済代行事業者装置26との取引(与信照会や売上処理)において特定の与信を指定する場合に使用される。入庫日時は、利用者の自動車ナンバーに対応する車両16が駐車場に入庫した日時である。
【0035】
認証部66は、利用者登録時にSMSを利用して利用者を認証する。実施例ではワンタイムパスワードを用いて利用者を認証するが、他の方法による認証であってもよい。ナンバー登録部68は、利用者から登録された自動車ナンバーを駐車場サーバ18に登録する。入庫情報受付部70は、駐車場サーバ18から送信された、駐車場へ入庫する車両16のナンバプレートが示す番号(実施例では自動車ナンバー)を受け付ける。
【0036】
利用者通知部72は、駐車場に入庫する車両16の自動車ナンバーが取得された場合、その自動車ナンバーとともに予め登録されたクレジットカード保有者の携帯端末(実施例では利用者端末20)に対して、駐車料金のカードレス決済を許可するか否かを確認するメッセージを通知する。
【0037】
また、利用者通知部72は、駐車場に入庫する車両16の自動車ナンバーとともに予め登録されたクレジットカード情報を用いた、後述の与信照会部76による与信照会が失敗した場合、駐車料金をカードレス決済できない旨のメッセージを利用者端末20に対して通知する。
【0038】
確認結果受付部74は、利用者通知部72による通知に対する応答として、カードレス決済を許可または拒否する旨の情報を利用者端末20から受け付ける。
【0039】
与信照会部76は、駐車場への車両16の入庫を契機に、車両16の自動車ナンバーとともに予め登録されたカードレス決済のためのカード情報を用いて、駐車場の料金体系(言い換えれば課金ルール)に応じた所定金額の与信照会(オーソリゼーション)を決済代行事業者装置26に対して実行する。与信照会の金額は、カードレス決済を実施する駐車場の料金体系に応じて、料金精算支援装置24の開発者や運用者により予め登録される。
【0040】
具体的には、与信照会部76は、駐車場に入庫する車両16の自動車ナンバーが取得された場合、その自動車ナンバーに予め対応付けられたクレジットカード情報(実施例では有効性チェック時に取得された会員ID)を用いて与信照会を実行する。与信照会部76は、カードレス決済を許可する旨の応答が利用者端末20から受け付けられた場合に与信照会を実行する。
【0041】
入庫時の与信照会における金額(言い換えれば与信照会により確保する与信枠)は、駐車場において予め定められた駐車料金の初日最大金額である。駐車時間計算部80は、駐車場に入庫した各車両16の入庫日時に基づいて各車両16の駐車時間を定期的に繰り返し算出する。与信照会部76は、駐車場における或る車両16の駐車時間が所定時間を超過した場合、当該車両16に紐付くクレジットカード情報(会員ID)を用いて、駐車料金の複数日分の最大金額の与信照会を新たに実行する。例えば、与信照会部76は、駐車初日は初日最大金額の与信枠を確保し、駐車2日目(例えば駐車時間が24時間超過後)は2日分の最大金額の与信枠を確保し、駐車3日目(例えば駐車時間が48時間超過後)は3日分の最大金額の与信枠を確保する。これにより、駐車料金の未収を確実に防止することができる。なお、実施例では、駐車日の更新単位、言い換えれば、新たな与信枠を確保する単位時間を24時間とするが、23時間30分等、24時間未満であってもよい。
【0042】
フラグ更新部78は、駐車場サーバ18のフラグ更新部42と連携して、駐車場サーバ18に記憶されたカードレス決済フラグを更新する。具体的には、フラグ更新部78は、利用者端末20からの応答または与信照会結果に応じて、カードレス決済フラグをオフに変更する。出庫情報受付部82は、駐車場サーバ18から送信された、駐車場から出庫しようとする車両16の自動車ナンバーと駐車料金の確定金額を受け付ける。
【0043】
精算処理部84は、駐車場から車両16が出庫したことを契機に、車両16(典型的には駐車場から退場済の車両16)の自動車ナンバーとともに予め登録されたカードレス決済のためのカード情報(実施例ではクレジットカード情報に対応する会員ID)を用いて、駐車料金の精算処理を決済代行事業者装置26と連携して実行する。精算処理部84は、出庫ゲート14が開くこととは非同期に、例えば、出庫ゲート14が開いて車両16が退場可能になった後に、上記精算処理を実行する。
【0044】
具体的には、精算処理部84は、駐車場サーバ18から送信された、車両16の駐車料金の確定金額の与信照会を決済代行事業者装置26に対して実行する。精算処理部84は、駐車料金の確定金額の与信を使用して、その確定金額の売上処理(実売上処理とも呼ばれる)を決済代行事業者装置26に対して実行する。与信キャンセル部86は、精算処理部84による売上処理が成功した場合、決済代行事業者装置26と連携して、それ以前に確保された与信(典型的には車両16の入庫時に確保された与信)をキャンセルする。また、精算処理部84は、駐車料金の確定金額の与信照会に失敗した場合、それ以前に確保された与信を使用して、その確定金額売上処理を実行する。
【0045】
以上の構成による駐車場管理システム10の動作を説明する。
図7は、駐車場管理システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、事前登録における正常系の動作を示している。利用者は、利用者端末20のウェブブラウザを介してウェブサーバ22にアクセスする。ウェブサーバ22は、利用者登録画面のウェブページを利用者端末20に表示させる。利用者は、利用者登録画面に登録情報(
図5)を入力する。利用者端末20は、利用者により入力された登録情報をウェブサーバ22へ送信する(S10)。ウェブサーバ22は、利用者端末20から送信された登録情報を料金精算支援装置24へ転送する(S11)。
【0046】
料金精算支援装置24の登録情報取得部60は、ウェブサーバ22から送信された登録情報を取得する。料金精算支援装置24の有効性チェック部62は、登録情報に含まれるクレジットカード情報の有効性チェックを決済代行事業者装置26に対して行う(S12)。有効性チェック部62は、チェック対象のクレジットカード情報を決済代行事業者装置26へ送信するとともに、そのクレジットカード情報の預かりを要求する。決済代行事業者装置26は、有効性チェックの結果がOKである(すなわちクレジットカードが有効である)旨の情報と、預かり対象のクレジットカード情報に対応する会員IDとを料金精算支援装置24へ送信する(S13)。
【0047】
料金精算支援装置24の認証部66は、登録情報に含まれる携帯電話番号を用いたショートメッセージを利用者端末20へ送信する(S14)。このショートメッセージは、認証部66が発行したワンタイムパスワード(以下「OTP」と呼ぶ。)を含み、また、そのOTPを利用者登録画面に入力して認証を受けるように促す内容を含む。利用者は、ショートメッセージが示すOTPを利用者登録画面に入力する。
【0048】
利用者端末20は、利用者が入力したOTPをウェブサーバ22へ送信し(S15)、ウェブサーバ22は、利用者端末20から送信されたOTPを料金精算支援装置24へ転送する(S16)。料金精算支援装置24の認証部66は、ウェブサーバ22を介して、利用者が入力したOTPをもとに利用者を認証し、認証に成功した旨の情報をウェブサーバ22へ送信する(S17)。ウェブサーバ22は、利用者登録が完了した旨を示す画面を利用者端末20に表示させる(S18)。
【0049】
料金精算支援装置24の利用者情報保存部64は、クレジットカードの有効性チェックと認証の両方に成功した利用者に関する利用者情報(
図6)を利用者情報記憶部56に格納する。また、料金精算支援装置24のナンバー登録部68は、クレジットカードの有効性チェックと認証の両方に成功した利用者の利用者情報が示す自動車ナンバーを駐車場サーバ18へ送信する。駐車場サーバ18のナンバー連携部40は、料金精算支援装置24から送信された自動車ナンバーを含む車両情報を車両情報記憶部36に格納し、また、その車両情報におけるカードレス決済フラグの初期値をオンに設定する(S19)。
【0050】
図8も、駐車場管理システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、事前登録における異常系の動作として、クレジットカードの有効性チェックがNGとなった場合の動作を示している。同図のS10~S12の動作は、
図7のS10~S12の動作と同じであるため説明を省略する。
【0051】
決済代行事業者装置26は、有効性チェックの結果がNGである(すなわちクレジットカード情報が不正または無効である)旨の情報を料金精算支援装置24へ送信する(S20)。料金精算支援装置24の有効性チェック部62は、有効性チェックの結果がNGである旨の情報をウェブサーバ22へ送信する(S21)。ウェブサーバ22は、利用者登録に失敗したことを示す情報を利用者端末20に表示させる(S22)。例えば、ウェブサーバ22は、「クレジットカードの有効性チェックに失敗しました。別のクレジットカードに変更して再度登録して下さい。」というメッセージを利用者端末20に表示させることで、利用者登録のリトライを促してもよい。
【0052】
図9も、駐車場管理システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、事前登録における異常系の動作として、SMS認証が失敗した場合の動作を示している。同図のS10~S16の動作は、
図7のS10~S16の動作と同じであるため説明を省略する。
【0053】
料金精算支援装置24の認証部66は、利用者が入力したOTPが不正の場合(すなわち認証部66が発行したOTPと不一致の場合)、または、SMSによるOTP通知から、利用者が入力したOTPを受け付けるまでの時間が所定時間を超過した場合(すなわちタイムアウトの場合)、SMS認証に失敗したと判定する。認証部66は、認証に失敗した旨の情報をウェブサーバ22へ送信する(S25)。ウェブサーバ22は、利用者登録に失敗したことを示す情報を利用者端末20に表示させる。SMS認証に失敗した場合、新たなOTPの発行とS14~S16の処理とを所定回数繰り返してもよい。
【0054】
図10も、駐車場管理システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、車両16が駐車場に入庫する際の正常系の動作を示している。入庫ゲート12は、駐車場に入庫しようとする車両16の自動車ナンバーを撮像する。入庫ゲート12は、駐車券を発行し、ゲートを開くことで車両16が駐車場に入庫する(言い換えれば入場する)ことを可能にする(S30)。入庫ゲート12は、駐車場に入庫する車両16(以下「入庫車両」とも呼ぶ。)の自動車ナンバーと入庫日時の組を駐車場サーバ18へ送信する(S31)。
【0055】
駐車場サーバ18のナンバー連携部40は、車両情報記憶部36に記憶された複数の車両情報のうち入庫ゲート12から送信された入庫車両の自動車ナンバーに一致する車両情報を入庫車両の車両情報として識別する。ナンバー連携部40は、入庫車両の車両情報に入庫日時を格納する。また、入庫車両の車両情報におけるカードレス決済フラグがオン(デフォルト値)の場合、入庫車両の自動車ナンバーと入庫日時の組を料金精算支援装置24へ送信する(S32)。
【0056】
料金精算支援装置24の入庫情報受付部70は、駐車場サーバ18から送信された、入庫車両の自動車ナンバーと入庫日時の組を受け付ける。料金精算支援装置24の利用者通知部72は、SMSを利用して、カードレス決済の実施要否を確認する内容のショートメッセージを利用者端末20へ送信する(S33)。このショートメッセージは、入庫車両の自動車ナンバーと入庫日時を含んでよく、例えば、以下の内容でもよい。
(ショートメッセージの例)
2020年2月1日 17:30:00
ナンバー「XX-YY」の車両が入庫されました。カードレス決済を実施しますか。
【0057】
利用者端末20は、利用者の操作にしたがって、ここでは、カードレス決済の実施を指示する情報を料金精算支援装置24へ送信する(S34)。なお、ショートメッセージには、所定のウェブサイトのURLが記載されてもよい。利用者端末20は、そのURLが示すウェブサイトにアクセスし、そのウェブサイト(ウェブサーバ)を介して、カードレス決済を実施する旨を料金精算支援装置24へ応答してもよい。
【0058】
カードレス決済を実施する旨の応答が利用者端末20から受け付けられると、料金精算支援装置24の与信照会部76は、駐車料金の初日最大金額の与信照会を決済代行事業者装置26に対して行う(S35)。決済代行事業者装置26は、駐車料金の初日最大金額の与信を承認する旨を料金精算支援装置24へ応答する(S36)。料金精算支援装置24の利用者通知部72は、SMSを利用して、カードレス決済を実施する旨のショートメッセージを利用者端末20へ送信する(S37)。
【0059】
図11も、駐車場管理システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、車両16が駐車場に入庫する際の準正常系の動作として、利用者がカードレス決済をキャンセルする場合の動作を示している。同図のS30~S33の動作は、
図10のS30~S33の動作と同じであるため説明を省略する。
【0060】
利用者端末20は、利用者の操作にしたがって、ここでは、カードレス決済を実施しない旨を料金精算支援装置24へ応答する(S40)。料金精算支援装置24のフラグ更新部78は、入庫車両(ここではカードレス決済の対象外となった車両)の自動車ナンバーを含む情報であり、カードレス決済フラグをオフにするよう指示する情報を駐車場サーバ18へ送信する(S41)。駐車場サーバ18のフラグ更新部42は、料金精算支援装置24から送信された自動車ナンバーをもとに入庫車両の車両情報を識別し、その車両情報のカードレス決済フラグをオフに変更する。
【0061】
なお、S33においてカードレス決済の実施要否をSMSで確認後、所定時間以内(例えば10分以内)にカードレス決済を許可または拒否する旨の応答がない場合、料金精算支援装置24のフラグ更新部78は、カードレス決済を拒否する旨の応答があった場合と同様に、入庫車両のカードレス決済フラグをオフに変更する(
図11のS41)。そして料金精算支援装置24の利用者通知部72は、SMSを利用して、カードレス決済を中止する旨のショートメッセージを利用者端末20へ送信する。
(ショートメッセージの例)
2020年2月1日 17:30:00
ナンバー「XX-YY」のカードレス決済確認への応答がなかったため、カードレス決済を中止します。駐車券による現金精算をお願いします。
【0062】
実施例の駐車場管理システム10によると、利用者登録時にSMSを利用して利用者を認証することにより、有効性が確認された利用者のクレジットカード情報と自動車ナンバーとを正しく紐付けることができる。また、利用者が駐車場を利用する都度、SMSを介してカードレス決済の承諾を利用者から得るため、自動車ナンバーの偽造等によるカードレス決済の不正利用を防止することができる。
【0063】
図12も、駐車場管理システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、車両16が駐車場に入庫する際の異常系の動作として、与信照会の結果がNGになった場合の動作を示している。同図のS30~S35の動作は、
図10のS30~35の動作と同じであるため説明を省略する。
【0064】
決済代行事業者装置26は、駐車料金の初日最大金額の与信を承認しない旨を料金精算支援装置24へ応答する(S42)。料金精算支援装置24の利用者通知部72は、SMSを利用して、カードレス決済が実施できない旨のショートメッセージを利用者端末20へ送信する(S43)。このショートメッセージは、例えば、「登録されているクレジットカードでエラーとなったため、カードレス決済で出庫できません。駐車券での精算をお願いします。」であってもよい。料金精算支援装置24のフラグ更新部78は、入庫車両のカードレス決済フラグをオフに変更する(S44)。このように、カードレス決済ができない旨を利用者に事前通知することにより、カードレス決済ができないことが出庫時点で判明して利用者が出庫に手間取る事態を回避できる。
【0065】
図13も、駐車場管理システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、車両16の駐車場利用が2日以上継続した場合の正常系の動作を示している。料金精算支援装置24の駐車時間計算部80は、駐車場利用中の各車両16の入庫日時に基づいて、各車両16の駐車時間を計算する。駐車時間計算部80は、駐車時間が24時間を超過した車両16(ここでは「対象車両」と呼ぶ。)を検出し、与信照会部76に通知する(S50)。
【0066】
与信照会部76は、対象車両の自動車ナンバーに対応付けられた会員IDを用いて、駐車料金の2日分の最大金額の与信照会を決済代行事業者装置26に対して行う(S51)。決済代行事業者装置26は、駐車料金の2日分の最大金額の与信を承認する旨を料金精算支援装置24へ応答する(S52)。料金精算支援装置24の利用者通知部72は、SMSを利用して、対象車両の利用者の利用者端末20に対して入庫から24時間が経過した旨のショートメッセージを送信する(S53)。
(ショートメッセージの例)
2020年2月2日 17:30:00
ナンバー「XX-YY」の車両の駐車時間が24時間経過しました。
【0067】
与信キャンセル部86は、決済代行事業者装置26に対して、対象車両の入庫時に確保された与信のキャンセルを要求する(S54)。例えば、与信キャンセル部86は、入庫時の与信照会時に決済代行事業者装置26から通知された、対象車両に対応する取引IDを用いて、入庫時に確保された与信をキャンセルする。決済代行事業者装置26は、対象車両の入庫時に確保された与信のキャンセルを承認する旨を料金精算支援装置24に応答する(S55)。このように、不要になった与信をキャンセルすることで、利用者のクレジットカードの利用限度額が逼迫することを回避しやすくなる。
【0068】
図13には不図示だが、対象車両の駐車時間が48時間を超過したことが検出された場合、与信照会部76は、駐車料金の3日分の最大金額の与信照会を行う。また、対象車両の駐車時間が72時間を超過したことが検出された場合、与信照会部76は、駐車料金の4日分の最大金額の与信照会を行う。それぞれのタイミングで、利用者通知部72は、入庫から48時間が経過した旨、または、入庫から72時間が経過した旨を利用者端末20へ通知する。このように、与信照会部76は、車両16の駐車時間が長くなるほど、より高い金額の与信照会を繰り返し実行する。
【0069】
図14も、駐車場管理システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、車両16の駐車場利用が2日以上継続した場合の異常系の動作として、駐車料金の2日分の最大金額の与信照会がNGとなった場合の動作を示している。同図のS50とS51の動作は、
図13のS50とS51の動作と同じであるため説明を省略する。
【0070】
決済代行事業者装置26は、駐車料金の2日分の最大金額の与信を承認しない旨を料金精算支援装置24へ応答する(S60)。料金精算支援装置24の利用者通知部72は、SMSを利用して、対象車両の利用者の利用者端末20に対して与信照会がNGになった旨のショートメッセージを送信する(S61)。
(ショートメッセージの例)
2020年2月2日 17:30:00
ナンバー「XX-YY」の車両の駐車時間が24時間経過しました。
登録されているクレジットカードでエラーとなったため、カードレス決済で出庫できません。駐車券での精算をお願いします。
【0071】
料金精算支援装置24のフラグ更新部78は、駐車場サーバ18に記憶された対象車両のカードレス決済フラグをオフに変更する(S62)。与信キャンセル部86は、決済代行事業者装置26に対して、対象車両の入庫時に確保された与信のキャンセルを要求する(S63)。決済代行事業者装置26は、対象車両の入庫時に確保された与信のキャンセルを承認する旨を料金精算支援装置24に応答する(S64)。
【0072】
図14には不図示だが、駐車料金の3日分の最大金額の与信照会を行った場合に、その与信照会がNGになった場合の動作も同様であり、料金精算支援装置24の利用者通知部72は、対象車両の利用者の利用者端末20に対して、与信照会がNGになった旨を通知する。また、駐車料金の4日分の最大金額の与信照会を行った場合に、その与信照会がNGになった場合の動作も同様であり、料金精算支援装置24の利用者通知部72は、対象車両の利用者の利用者端末20に対して、与信照会がNGになった旨を通知する。
【0073】
図15も、駐車場管理システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、車両16が駐車場から出庫する際の正常系の動作を示している。出庫ゲート14は、駐車場から出庫しようとする車両16(以下「出庫車両」と呼ぶ。)の自動車ナンバーを撮像する。出庫ゲート14は、出庫車両の自動車ナンバーと出庫日時の組を駐車場サーバ18へ送信する(S70)。駐車場サーバ18のゲート制御部44は、車両情報記憶部36に記憶された、駐車場サーバ18から送られた自動車ナンバーに対応づけられたカードレス決済フラグを確認する。ここでは、そのカードレス決済フラグがオンであり、ゲート制御部44は、出庫ゲート14に対して開扉を指示することにより出庫ゲート14を開かせ、出庫車両を出庫可能な状態とする(S71)。
【0074】
以降の出庫車両は、典型的には、駐車場から出庫済(退場済)の車両16である。駐車場サーバ18の料金計算部46は、出庫車両の車両情報が示す入庫日時と、出庫ゲート14から通知された出庫車両の出庫日時と、駐車場の料金体系(課金ルール)とにしたがって、出庫車両の駐車料金の確定金額を算出する(S72)。駐車場サーバ18の料金連携部48は、出庫車両の自動車ナンバーと駐車料金の確定金額の組を料金精算支援装置24へ送信する(S73)。
【0075】
料金精算支援装置24の精算処理部84は、出庫車両の自動車ナンバーに対応付けられたクレジットカード情報(実施例では会員ID)を使用して、駐車料金の確定金額の与信照会を決済代行事業者装置26に対して行い、続いて、その確定金額の売上処理を決済代行事業者装置26に対して行う(S74)。決済代行事業者装置26は、駐車料金の確定金額の与信を承認する旨、および、駐車料金の確定金額の売上処理が成功した旨を料金精算支援装置24に応答する(S75)。
【0076】
料金精算支援装置24の利用者通知部72は、SMSを利用して、出庫車両に対応付けられた利用者端末20に対して、カードレス決済を実施したことを示すショートメッセージを送信する(S76)。このショートメッセージは、駐車料金の確定金額を含んでよく、例えば「カードレス決済を実施しました。ご利用料金は、XXXX円です。」であってもよい。与信キャンセル部86は、決済代行事業者装置26に対して、出庫車両の入庫時に確保された与信のキャンセルを要求する(S77)。決済代行事業者装置26は、出庫車両の入庫時に確保された与信のキャンセルを承認する旨を料金精算支援装置24に応答する(S78)。
【0077】
実施例の駐車場管理システム10では、駐車場から出庫しようとする車両について、その入庫時(もしくは駐車時間24時間経過時)の与信照会が成功すれば、駐車場サーバ18における当該車両のカードレス決済フラグはオンが維持される。したがって、駐車場から車両が出庫しようとする際、事前の与信照会が成功していれば、精算処理の完了を待つことなく即時に出庫ゲート14が開かれ、当該車両の出庫が可能になる。これにより、駐車場からの迅速な出庫を実現でき、出庫ゲート14付近での渋滞を解消または緩和することができる。また、出庫ゲート14の即時開扉は、入庫時(もしくは駐車時間24時間経過時)の与信照会の成功が条件になるため、車両出庫後であっても駐車料金を確実に徴収することができる。
【0078】
また、実施例の駐車場管理システム10では、車両の出庫時に、駐車料金の確定金額の与信照会を新たに行い、新たに確保した与信を使って売上処理を実行し、さらに、それ以前の与信をキャンセルする。通常、入庫時(もしくは駐車時間24時間経過時)の与信の額は、駐車料金の確定金額より大きい。そのため、駐車料金の確定金額の与信を新たに確保して売上処理を実行しつつ事前の与信をキャンセルすることで、利用者のクレジットカードの利用限度額が逼迫することを回避しやすくなる。
【0079】
図16も、駐車場管理システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、車両16が駐車場から出庫する際の準正常系の動作として、カードレス決済以外で精算する場合の動作を示している。これは、駐車場サーバ18に記憶された出庫車両のカードレス決済フラグがオフの場合の動作となる。
【0080】
出庫ゲート14は、出庫車両の自動車ナンバーと出庫日時(車両16が出庫ゲート14の手前まで来た日時)の組を駐車場サーバ18へ送信する(S70)。駐車場サーバ18のゲート制御部44は、車両情報記憶部36に記憶された、出庫車両の自動車ナンバーに対応づけられたカードレス決済フラグを確認する。ここでは、そのカードレス決済フラグがオフである。ゲート制御部44は、出庫ゲート14の閉状態を維持したまま駐車券を用いた精算処理(すなわち従来の精算フロー)を実行する(S80)。駐車券を用いた精算処理が完了すると、駐車場サーバ18のフラグ更新部42は、当該出庫車両に紐付くカードレス決済フラグをオンに変更する(S81)。
【0081】
図17も、駐車場管理システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、車両16が駐車場から出庫する際の準正常系の動作として、駐車料金の確定金額の与信照会がNGとなった場合の処理を示している。この状況は、例えば、駐車場利用中(入庫時の与信照会後)に、利用者のクレジットカードが利用限度額に達した(もしくは近づいた)場合に起こり得る。同図のS70~S74の処理は、
図15のS70~S74の処理と同じであるため説明を省略する。
【0082】
決済代行事業者装置26は、S74の与信照会に対して、駐車料金の確定金額の与信を承認しない旨を料金精算支援装置24に応答する(S85)。料金精算支援装置24の精算処理部84は、出庫車両の入庫時(もしくは駐車時間24時間経過時)に確保された与信を用いて駐車料金の確定金額の売上処理を実行する(S86)。決済代行事業者装置26は、駐車料金の確定金額の売上処理が成功した旨を料金精算支援装置24に応答する(S87)。料金精算支援装置24の利用者通知部72は、
図15のS76と同様に、カードレス決済を実施したことを示すショートメッセージを利用者端末20へ送信する(S88)。実施例の駐車場管理システム10によると、入庫等を契機に駐車料金の最大金額の与信を予め確保しておくため、駐車料金を確実に徴収することができる。
【0083】
図18も、駐車場管理システム10の動作を示すシーケンス図である。同図は、車両16が駐車場から出庫する際の準正常系の動作として、駐車料金の確定金額が0円である場合の処理を示している。同図のS90~S93の処理は、
図15のS70~S73の処理と同じであるため説明を省略する。ただし、ここでの駐車料金の確定金額は0円である。
【0084】
駐車料金の確定金額が0円である場合、料金精算支援装置24の与信キャンセル部86は、決済代行事業者装置26に対して、出庫車両の入庫時に確保された与信のキャンセルを要求する(S94)。決済代行事業者装置26は、出庫車両の入庫時に確保された与信のキャンセルを承認する旨を料金精算支援装置24に応答する(S95)。料金精算支援装置24の利用者通知部72は、
図15のS76と同様に、カードレス決済を実施したことを示すショートメッセージを利用者端末20へ送信する(S96)。このショートメッセージは、例えば「カードレス決済を実施しました。ご利用料金は0円です。」であってもよい。
【0085】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0086】
第1変形例を説明する。上記実施例では言及していないが、或る車両の駐車時間が所定時間(例えば48時間または72時間等)を超過した場合、料金精算支援装置24のフラグ更新部78は、駐車場サーバ18に記憶された当該車両のカードレス決済フラグをオフに変更することにより、当該車両のカードレス決済を非実施とし、駐車券による精算に切り替えてもよい。料金精算支援装置24の利用者通知部72は、駐車時間がカードレス決済の上限を超過したため、駐車券による精算を行うよう指示する内容を含むショートメッセージを利用者端末20へ送信してもよい。料金精算支援装置24の与信キャンセル部86は、決済代行事業者装置26と連携して、それ以前に確保された与信をキャンセルしてもよい。
【0087】
第2変形例を説明する。上記実施例では、料金精算支援装置24の精算処理部84は、カードレス決済による精算時に、駐車料金の確定金額の与信を新たに取得し、新たに取得した与信を使って駐車料金の確定金額の売上処理を実行した。変形例として、精算処理部84は、駐車料金の確定金額の与信を新たに取得することなく、入庫時等、事前に取得した与信を使って駐車料金の確定金額の売上処理を実行してもよい。ただし、既述したように、事前に取得した与信の額は、駐車料金の確定金額より大きい。そのため、利用者のクレジットカードの利用限度額が逼迫することを回避する観点では、実施例の仕組みの方が利用者のメリットが大きい。
【0088】
上述した実施例および変形例に記載のカードレス決済の仕組みは、クレジットカード以外にも適用可能であり、例えば、デビットカードまたはプリペイドカードを用いる場合にも適用可能である。なお、デビットカードまたはプリペイドカードを用いる場合で、実施例の与信照会に対応する処理で利用者口座からの引き落としが発生する場合、精算時には与信照会額と駐車料金確定金額との差分を返金する処理を含めてもよい。
【0089】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0090】
10 駐車場管理システム、 14 出庫ゲート、 16 車両、 18 駐車場サーバ、 24 料金精算支援装置、 26 決済代行事業者装置、 44 ゲート制御部、 72 利用者通知部、 74 確認結果受付部、 76 与信照会部、 84 精算処理部。