(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】輸送管接続方法および輸送管
(51)【国際特許分類】
F16L 47/02 20060101AFI20240409BHJP
F16L 47/06 20060101ALI20240409BHJP
B29C 63/00 20060101ALI20240409BHJP
B29C 65/32 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F16L47/02
F16L47/06
B29C63/00
B29C65/32
(21)【出願番号】P 2020070919
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000207562
【氏名又は名称】タキロンシーアイシビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】時吉 充亮
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-208274(JP,A)
【文献】実開平03-072197(JP,U)
【文献】特開平10-160085(JP,A)
【文献】特開2017-180652(JP,A)
【文献】特開2004-052993(JP,A)
【文献】特開2004-176739(JP,A)
【文献】特開2021-089000(JP,A)
【文献】特開2014-199128(JP,A)
【文献】特開2008-267434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 47/02
F16L 47/06
B29C 63/00
B29C 65/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂製の第1輸送管と第2輸送管とを接続する輸送管接続方法であって、
前記第1輸送管
における第1端環部において
、周囲の熱可塑性樹脂よりも溶融時の膨張性が高い熱可塑性樹脂で構成された第1溶融部を備え、前記第1溶融部の中に導電性の発熱媒体
で構成された補強部材が埋設された第1管端部と、前記第2輸送管における前記第1管端部と接続される第2管端部と、を仮接続する工程と、
次いで、前記
補強部材を誘導加熱することによって
、前記
補強部材の周囲の熱可塑性樹脂を溶融させて前記第1管端部と前記第2管端部とを熱融着する工程とを備えている
輸送管接続方法。
【請求項2】
前記第2管端部は、周囲の熱可塑性樹脂よりも溶融時の膨張性が高い熱可塑性樹脂で構成された第2溶融部を備え、
前記第2溶融部は、前記第1溶融部と対向した状態で前記補強部材を誘導加熱することによって熱融着される
請求項1に記載の輸送管接続方法。
【請求項3】
前記
補強部材は、金属製のメッシュ部材、または、パンチングメタルである
請求項1または2に記載の輸送管接続方法。
【請求項4】
前記第1輸送管および前記第2輸送管の外部から前記
補強部材を誘導加熱する
請求項1ないし3のうち何れか1項に記載の輸送管接続方法。
【請求項5】
前記第1輸送管および前記第2輸送管の内部から前記
補強部材を誘導加熱する
請求項1ないし3のうち何れか1項に記載の輸送管接続方法。
【請求項6】
前記第1輸送管および前記第2輸送管の内部を管軸方向に自動走行する自動走行装置が備えた加熱装置によって前記第1輸送管および前記第2輸送管の内部から前記
補強部材を誘導加熱する
請求項5に記載の輸送管接続方法。
【請求項7】
前記第1輸送管および前記第2輸送管のうちの少なくとも一方は、前記第1管端部および前記第2管端部に関する継手情報が記録されたICタグが一体的に設けられており、
前記第1輸送管および前記第2輸送管は、前記ICタグから読み取った前記継手情報に従って前記
補強部材が誘導加熱されることによって熱融着される
請求項1ないし6のうち何れか1項に記載の輸送管接続方法。
【請求項8】
第1管端部と第2管端部とを備える熱可塑性樹脂製の輸送管であって、
前記第1管端部および前記第2管端部のうちの少なくとも何れかの管端部は、
周囲の熱可塑性樹脂よりも溶融時の膨張性が高い熱可塑性樹脂で構成された第1溶融部を備え、前記第1溶融部の中に埋設された誘導加熱可能な金属製の補強部材を備える
輸送管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送管接続方法およびそれに用いる輸送管に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送管として熱可塑性樹脂管が知られている。熱可塑性樹脂管は、農業用水管路、水力発電設備の水圧管路、水処理施設、下水道施設、工場内循環水管などの分野において、大口径化が進んでいる。熱可塑性樹脂管の端部同士は、受口に差口を挿入する際に用いる電気融着や、同径の端部同士を突き合わせ接合するバット融着などによって接合される。
【0003】
なお、小口径のパイプ接合を誘導加熱で行うことが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱可塑性樹脂管は、大径化するほど、自重により偏平形状に変形し易い。接続される熱可塑性樹脂管の管端部である接続部同士が公差の範囲内のものであっても、そこに自重による変形が加わると、接続強度の低下を招くおそれがある。例えば、受口の内径が中央値より大きく、かつ、差口の外径が中央値より小さく、そこに自重による変形が加わると、受口内面と差口外面との間隔が一定とならず、部分的であれ、電気融着による接続強度の低下を招くおそれがある。
【0006】
バット融着の場合にも、熱可塑性樹脂管の端部同士の内径や外径が一致せず、そこに自重による変形が加わると、端部同士の位置がずれ、全周に亘って同じように突き合わされず、部分的であれ、接続強度の低い部分が生じてしまうおそれもある。
【0007】
そして、このような問題点は、口径の大きな輸送管において顕著に現れる問題である。
本発明は、以上のような課題を鑑みてなされたものであり、輸送管の管端部同士の接続信頼性の向上を可能とした輸送管接続方法および輸送管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための輸送管接続方法は、熱可塑性樹脂製の第1輸送管と第2輸送管とを接続する輸送管接続方法であって、前記第1輸送管において熱可塑性樹脂の中に導電性の発熱媒体が埋設された第1管端部と、前記第2輸送管における前記第1管端部と接続される第2管端部と、を仮接続する工程と、次いで、前記発熱媒体を誘導加熱することによって前記発熱媒体の周囲の熱可塑性樹脂を溶融させて前記第1管端部と前記第2管端部とを熱融着する工程とを備えている。
【0009】
上記構成によれば、発熱媒体が第1管端部の補強部材として機能し、第1管端部の自重による変形が抑えられる。これにより、第1管端部および第2管端部が周回方向に一様に熱融着でき、接続信頼性が向上する。
【0010】
上記輸送管接続方法において、前記第1管端部は、周囲の熱可塑性樹脂よりも溶融時の膨張性が高い熱可塑性樹脂で構成された溶融部を備え、前記発熱媒体は、前記溶融部に埋設されている構成としてもよい。上記構成によれば、溶融部に溶融時における膨張性の高い材料が使用されることで、溶融時における端部同士の密着性が向上される。
【0011】
上記輸送管接続方法において、前記発熱媒体は、金属製のメッシュ部材、または、パンチングメタルで構成としてもよい。上記構成によれば、溶融時、メッシュ部材やパンチングメタルと発熱媒体の発熱により溶融した溶融樹脂との一体性が高められる。
【0012】
上記輸送管接続方法において、前記第1輸送管および前記第2輸送管の外部から前記発熱媒体を誘導加熱する構成としてもよい。上記構成によれば、第1輸送管および第2輸送管が小径管であるときに、外部から発熱媒体を加熱することができる。
【0013】
上記輸送管接続方法において、前記第1輸送管および前記第2輸送管の内部から前記発熱媒体を誘導加熱する構成としてもよい。上記構成によれば、第1輸送管および第2輸送管が大径管であるときに、内部から発熱媒体を加熱することができる。
【0014】
上記輸送管接続方法において、前記第1輸送管および前記第2輸送管の内部を管軸方向に自動走行する自動走行装置が備えた加熱装置によって前記第1輸送管および前記第2輸送管の内部から前記発熱媒体を誘導加熱する構成としてもよい。上記構成によれば、第1輸送管および第2輸送管の内部を管軸方向に自動走行する自動走行装置に設けられた加熱装置を用いることで、輸送管接続作業を効率化できる。
【0015】
上記輸送管接続方法において、前記第1輸送管および前記第2輸送管のうちの少なくとも一方は、前記第1管端部および前記第2管端部に関する継手情報が記録されたICタグが一体的に設けられており、前記第1輸送管および前記第2輸送管は、前記ICタグから読み取った前記継手情報に従って前記発熱媒体が誘導加熱されることによって熱融着される構成としてもよい。上記構成によれば、個々の輸送管の特性に応じて第1管端部と第2管端部とを熱融着することができる。
【0016】
上記課題を解決するための輸送管は、第1管端部と第2管端部とを備える熱可塑性樹脂製の輸送管であって、前記第1管端部および前記第2管端部のうちの少なくとも何れかの管端部は、前記管端部を構成する熱可塑性樹脂の中に埋設された誘導加熱可能な金属製の補強部材を備える。
【0017】
上記課題を解決するための輸送管接続方法は、熱可塑性樹脂製の第1輸送管と第2輸送管とを接続する輸送管接続方法であって、前記第1輸送管において導電性の発熱媒体が配置された第1管端部と、前記第2輸送管における前記第1管端部と接続される第2管端部と、を仮接続する工程と、次いで、前記発熱媒体を誘導加熱することによって前記発熱媒体の周囲の熱可塑性樹脂を溶融させて前記第1管端部と前記第2管端部とを熱融着する工程とを備え、前記第1管端部は、前記発熱媒体が配置され、かつ、周囲の熱可塑性樹脂よりも溶融時の膨張性が高い熱可塑性樹脂で構成された溶融部を備えている。上記構成によれば、溶融部に膨張性の高い材料が使用されることで、溶融時における端部同士の密着性が向上される。
【0018】
上記課題を解決するための輸送管は、第1管端部と第2管端部とを備える熱可塑性樹脂製の輸送管であって、前記第1管端部および前記第2管端部のうちの少なくとも何れかの管端部は、周囲よりも溶融時の膨張性が高い熱可塑性樹脂で構成された溶融部と、前記溶融部に配置された誘導加熱可能な金属製の補強部材とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、輸送管の管端部同士の接続信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】第1実施形態における受口部と差口部の断面図。
【
図5】加熱装置が受口部の外側に配置されて、受口部と差口部が熱融着される状態を示す断面図であり、上図は、熱融着前、下図は、熱融着後を示す。
【
図6】第2実施形態における加熱装置が差口部の内部に配置されて、受口部と差口部が熱融着される状態を示す断面図であり、上図は、熱融着前、下図は、熱融着後を示す。
【
図7】第3実施形態における加熱装置が設けられた自動走行装置の斜視図。
【
図8】自動走行装置が加熱装置で熱融着する前の状態と熱融着動作状態を示す図。
【
図9】第4実施形態における受口部の最奥部に設けられた第1傾斜面と差口部先端の第2傾斜面とを熱融着する状態を示す断面図。
【
図10】第5実施形態における第1管端部と第2管端部の段差部同士を係合して熱融着する状態を示す断面図。
【
図11】第6実施形態における第1管端部と第2管端部の傾斜面同士を突き合わせて熱融着する状態を示す断面図。
【
図12】第7実施形態における差口部のフランジ部に受口部の先端を突き合わせて熱融着する状態を示す断面図。
【
図13】第8実施形態における第1管端部のフランジ部と第2管端部のフランジ部とを突き合わせて熱融着する状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明が適用された輸送管路について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、輸送管路1は、農業用水管路、水力発電設備の水圧管路、水処理施設、下水道施設、工場内循環水管などである。例えば、内径が300mm~3000mm程度の管である。輸送管路1を構成する各輸送管2は、ポリエチレン、オレフィン、ガラス繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂管であって、ここではポリエチレン管が使用されている。輸送管2は、熱可塑性樹脂として、特に高密度ポリエチレン材料を使用することで、耐薬品性、耐腐食性、耐摩耗性、耐衝撃性、および軽量性に優れた管となっている。
【0022】
図2に示すように、各輸送管2は、管本体3と、管本体3の第1管端部としての受口部4と、管本体3の第2管端部としての差口部5とを備える。
受口部4は、外径および内径が管本体3よりも大きくなるように構成されている。受口部4は、周回方向に、環状形状または筒形状を有する発熱媒体6が配置されている。
【0023】
発熱媒体6は、
図3に示すように、真鍮、ステンレス、鉄、アルミニウムなどの導電性の金属材料で成形された筒体である。発熱媒体6は、誘導加熱可能な材料で成形されており、ジュール熱で発熱し、周囲の熱可塑性樹脂を溶融する。発熱媒体6は、溶融した樹脂と一体化し易くなるように、ここではパンチングメタルで構成されている。
【0024】
発熱媒体6は、受口部4に埋設されており、受口部4の内面に露出していない。発熱媒体6の周囲は、管本体3を含む全体が高密度ポリエチレンで成形されているのに対して、低密度ポリエチレン材料で形成されており、発熱媒体6により溶融される受口溶融部としての第1溶融部7となっている。第1溶融部7は、受口部4の内面の一部を構成し、差口部5と対向する面となる。第1溶融部7は、低密度ポリエチレンで形成されることで、溶融時、高密度ポリエチレンの部分よりも膨張する。そして、発熱媒体6は、パンチングメタルで構成されることで、パンチングメタルの孔部を通じて溶融樹脂が表面および裏面に亘って移行でき、溶融樹脂とも一体化する。また、発熱媒体6は、受口部4の周回方向に延在することで、受口部4を補強する補強部材となる。受口部4は、口径が大きくなるほど、自重によって偏平形状に変形する傾向がある。発熱媒体6は、受口部4が自重により変形しないように補強する。
【0025】
受口部4の管厚方向において、例えば、第1溶融部7は、内面側に偏倚して設けられ、発熱媒体6も、例えば、内面側に偏倚した位置に設けられている。第1溶融部7の厚さ方向において、発熱媒体6は、中央に設けられている。
【0026】
差口部5は、その内径が管本体3の内径と一致し、外径が管本体3よりも大きくなり、肉厚部により構成されている。差口部5の内面は、管本体3の内面と面一であり、差口部5の外面は、受口部4と対向する面であって、発熱媒体6の熱によって溶融される差口溶融部としての第2溶融部8となる。第2溶融部8は、外面に臨み、かつ、差口部5の管厚方向において、外面側に臨んでいる。また、差口部5の管厚方向において、例えば、第2溶融部8は、外面側に偏倚して設けられている。すなわち、第2溶融部8は、低密度ポリエチレン材料で形成されており、内面には臨んでおらず、内面側は、高密度ポリエチレンで構成されている。第2溶融部8は、発熱媒体6の熱によって溶融し第1溶融部7と一体化する。第1溶融部7および第2溶融部8は、管本体3などの第1溶融部7および第2溶融部8以外の他の領域よりも熱により溶融し易い材料が選択されている。
【0027】
差口部5は、外面における管本体3側に、標線9が設けられている。標線9は、受口部4に対する差口部5の挿入深さを示す指標である。ここでは、標線9は、互いに平行な2本で構成されており、差口部5は、受口部4の先端部が2本の標線9の間に位置するまで受口部4に挿入される。このとき、第1溶融部7と第2溶融部8の位置が対向する。
【0028】
受口部4の外面には、ICタグ11が一体的に設けられている。また、差口部5の外面にも、ICタグ11が設けられている。差口部5にICタグ11が設けられる位置は、受口部4に差口部5を挿入したときにも、受口部4に覆われてしまわない位置に設けられている。ICタグ11は、一例として非接触ICタグであり、アンテナと、メモリと、制御部とを備えている。ICタグ11は、リーダ/ライタから放射される電波を電力に変換し、メモリおよび制御部を駆動し、メモリに対して情報を記録し、または、情報を読み出す。メモリは、少なくとも各輸送管2を識別するための管識別情報および継手の熱融着に必要とされる継手情報が記録される。また、受口部4と差口部5とを熱融着する工事の環境である温度や湿度などの環境情報や日付や日時などの時間情報や工事現場の場所情報や加熱装置の識別情報などが記録される。
【0029】
ここで、継手情報は、一例として、管種(電気融着継手管/バット融着継手管/発熱媒体6を用いた継手管)、熱融着の方法(電気融着/バット融着/発熱媒体6を用いた熱融着)、管端部である受口の内径および差口の外径(規格値/実測値)などである。また、発熱媒体6を用いた熱融着の場合における適当な電圧の範囲、周波数の範囲などである。
【0030】
図4に示すように、受口部4と差口部5との熱融着時には、受口部4の外周に、発熱媒体6を発熱するための加熱装置12が配置される。加熱装置12は、高周波電流が供給される誘導コイルを備えている。加熱装置12は、制御装置13により制御される。制御装置13は、駆動部14と、メモリ15と、検出部16と、制御部17と、リーダ/ライタ18とを備えている。駆動部14は、加熱装置12とケーブルで接続され、高周波電流を誘導コイルに対して供給する高周波電源部などを備える。メモリ15は、EEPROM、RAMなどであって、動作プログラムなどが格納されており、制御部17は、動作プログラムに従って駆動部14を駆動する。一例として、動作プログラムは、輸送管2の種類に応じて所定の温度に発熱媒体6を発熱させるための動作モードを備えている。検出部16は、温度センサ、湿度センサなどであり、熱融着を行う環境の温度や湿度を検出する。
【0031】
ICタグ11とリーダ/ライタ18は、RFID(Radio frequency identification)、NFC(Near field communication)などの方式に従って近距離無線通信を行う。リーダ/ライタ18は、入力されたICタグ11に記録する検出部16が検出した温度や湿度の環境情報や時間情報や場所情報などをエンコードし、ICタグ11に出力し記録する。リーダ/ライタ18は、ICタグ11から受信した継手情報をデコードし制御部17に出力する。制御部17は、継手情報、環境情報などを考量して、駆動部14を通じて加熱装置12を駆動する。さらに、制御部17は、検出部16が検出した温度や湿度の環境情報や時間情報や場所情報を、管理サーバなどに送信し、輸送管2の接続時における環境を事後的に確認できるようにする。
【0032】
次に、以上のように構成された輸送管2の接続方法について説明する。
先ず、受口部4の内面および差口部5の外面をアセトンまたはエタノールなどを含浸させたタオルなどで清掃する。次いで、
図5に示すように、接合される2つの輸送管2のうち、第1輸送管としての輸送管2の受口部4に対して、第2輸送管としての輸送管2の差口部5が、受口部4の先端部が差口部5の2本の標線9の間に位置するまで挿入される。この際、受口部4は、発熱媒体6が補強部材として機能することによって、自重による変形が抑えられている。したがって、円滑に、差口部5を受口部4に挿入することができる。この状態において、受口部4の内面と差口部5の外面とが対向する。そして、接合される2つの輸送管2は、芯出しがされ、さらに、スリングベルトなどの固定具で固定されることにより仮接続される。仮接続の状態において、第1溶融部7および第2溶融部8は対向した状態となる。
【0033】
次いで、受口部4の外周には、発熱媒体6を発熱するための加熱装置12が配置される。加熱装置12の誘導コイルは、制御部17の制御に従い、駆動部14から高周波電流が供給されると、電磁波を生成する。これにより、発熱媒体6は、渦電流が発生し、ジュール熱によって発熱する。このように第1溶融部7および第2溶融部8を溶融する所定温度まで誘導加熱された発熱媒体6によって、第1溶融部7および第2溶融部8は溶融され一体化される。
【0034】
加熱装置12が受口部4の周回方向において全周に亘って延在している場合は、一度に第1溶融部7および第2溶融部8を熱融着することができる。また、加熱装置12が受口部4の周回方向の一部分しか誘導加熱できない場合、加熱装置12を順次周回方向に移動させて誘導加熱することになる。融着動作前において、ICタグ11に記録された継手情報などをリーダ/ライタ18で読み取り、継手情報などを加熱装置12に供給する。これにより、加熱装置12は、継手情報に従って適当な条件で駆動され、第1溶融部7と第2溶融部8とを熱融着する。
【0035】
以上のような第1実施形態は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(1-1)受口部4には、発熱媒体6が配置されている。したがって、受口部4に差口部5に挿入し仮接続した状態で、加熱装置12を外側に配置し駆動することで、発熱媒体6を誘導加熱できる。したがって、受口部4と差口部5とを熱融着する作業が容易となる。受口部4の外側に加熱装置12を配置し発熱媒体6を加熱する方法は、輸送管2が一例として内径が600mm未満の小口径の輸送管2の接続に有効である。
【0036】
(1-2)受口部4は、発熱媒体6を備え、発熱媒体6が補強部材として機能することで、自重による変形が抑えられる。これにより、受口部4に対して、差口部5を円滑に挿入でき、この点でも作業性を向上することができる。加えて、受口部4の内周面と差口部5の外周面との間隔が全周に亘って一定になり、全周に亘って第1溶融部7および第2溶融部8を一様に溶融できる。したがって、輸送管同士の接続信頼性を向上できる。
【0037】
(1-3)第1溶融部7が他の部分より溶融時の膨張性が高い低密度ポリエチレンで成形されているので、差口部5に対する密着性が向上する。また、第2溶融部8が他の部分より溶融時の膨張性が高い低密度ポリエチレンで成形されているので、第1溶融部7に対する密着性が向上する。さらに、第1溶融部7および第2溶融部8がともに他の部分より溶融時の膨張性が高い低密度ポリエチレンで成形されているので、より高い確度で両者が一体化される。
【0038】
(1-4)発熱媒体6は、パンチングメタルで構成されることで、溶融樹脂が表面および裏面に亘って移行でき、溶融樹脂と発熱媒体6がより強固に一体化される。したがって、継手部分の強度が向上される。
【0039】
(1-5)受口部4と差口部5との熱融着に当たっては、ICタグ11からリーダ/ライタ18で継手情報を読み取り、継手情報に従って、制御装置13を通じて加熱装置12を駆動できる。これにより、熱融着作業を行う際の発熱媒体6の加熱温度などの設定を容易に行うことができる。
【0040】
(1-6)受口部4と差口部5との熱融着作業後に熱融着不良の箇所が発見された場合にも、発熱媒体6を再加熱するだけでよい。したがって、受口部4と差口部5との接続箇所における補修作業も容易なものとなる。
【0041】
〔第2実施形態〕
図6に示すように、発熱媒体6は、第1溶融部7に設けず、第2溶融部8に埋設してもよい。この場合、加熱装置12は、差口部5の内側に配置される。すると、第2溶融部8に埋設された発熱媒体6が誘導加熱されることで、第1溶融部7および第2溶融部8が溶融され熱融着される。
【0042】
以上のような第2実施形態は、さらに、以下のような効果を得ることができる。
(2-1)差口部5の内部に加熱装置12を配置し内部から発熱媒体6を加熱する方法は、輸送管2が一例として内径が600mm以上の大口径の輸送管2の接続に有効である。
【0043】
(2-2)輸送管2の外面にICタグ11が設けられている場合、輸送管2の内側に配置される加熱装置12とは別のリーダ/ライタ18でICタグ11から継手情報などを読み取ることによって、継手情報に従って加熱装置12を駆動できる。
【0044】
なお、第1実施形態および第2実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・第1実施形態において、小口径の輸送管2において、第1溶融部7に発熱媒体6が埋設されている場合であっても、加熱装置12は、差口部5の内部に配置し、第1溶融部7の発熱媒体6を加熱するようにしてもよい。
【0045】
・第1実施形態において、発熱媒体6を第2溶融部8に埋設してもよい。
・第2実施形態において、発熱媒体6を第1溶融部7に埋設してもよい。
・第2実施形態において、大口径の輸送管2において、第2溶融部8に発熱媒体6が埋設されている場合であっても、加熱装置12は、受口部4の外側に配置し、第2溶融部8の発熱媒体6を加熱するようにしてもよい。
【0046】
・第1実施形態および第2実施形態において、発熱媒体6は、第1溶融部7および第2溶融部8の両方に配置してもよい。この場合、加熱装置12を受口部4の外側、差口部5の内部の何れの側に配置してもよいし、両側からに配置してもよい。そして、両側に加熱装置12を配置した場合、2つの発熱媒体6を、同時または時間差で加熱することもできる。
【0047】
・受口部4の厚さ方向における全てを第1溶融部7とすることも可能である。また、差口部5の厚さ方向における全てを第2溶融部8とすることも可能である。また、受口部4や差口部5の全体を溶融部としてもよい。
【0048】
〔第3実施形態〕
加熱装置12を差口部5の内部に配置する場合は、加熱装置12を輸送管2内を管軸方向に自動走行する自動走行装置20に設けるようにしてもよい。これにより、作業性を向上することができる。
【0049】
図7に示すように、自動走行装置20は、本体部21と、この本体部21を輸送管2内で昇降させるとともに走行可能に支持する昇降走行支持部22と、本体部21の上方に設けられた上駆動脚部23と、本体部21の略中心より下方に装着された下固定脚部24と、本体部21に設けられた加熱部25とを備えている。
【0050】
昇降走行支持部22は、台車部26を備える。台車部26は、モータなどの駆動部、駆動部により回転駆動される車輪、輸送管の外側から遠隔操作するための送受信部などを備えている。また、本体部21と台車部26との間には、本体部21を台車部26に対して昇降する昇降部27を備えている。昇降部27は、例えばシリンダ機構である。
【0051】
上駆動脚部23は、上方へ放射状に延出しており、上シリンダ28と、上シリンダ28に設けられる上脚部29とを備えている。また、下固定脚部24は、下方へ略放射状に延出した下脚部31を備えている。下脚部31は伸縮するシリンダ付きアームなどを備えていてもよい。
【0052】
加熱部25は、伸縮可能で、直線状に左右に延びる一対のシリンダ付きアーム38と、一対のシリンダ付きアーム38を回動可能に支持する回動部34とを備えている。一対のシリンダ付きアーム38は、伸縮可能であり、その先端部は、加熱装置12を備えている。
【0053】
図8に示すように、以上のように構成された自動走行装置20は、遠隔操作によって操作される。先ず、自動走行装置20は、受口部4と差口部5との継手部分まで、輸送管2内を管軸方向に走行する。受口部4と差口部5が仮接続された継手部分に至ると、本体部21は、台車部26が上昇することにより、下固定脚部24で支持される。そして、台車部26は浮いた状態となる。また、上駆動脚部23は、伸長され、輸送管2の内面に当接される。これにより、輸送管2の中心と回動部34の中心が一致され、当該状態が維持される。
【0054】
この後、一対のシリンダ付きアーム38は、伸長されて、先端の加熱装置12は、輸送管2の内面に当接される。この後、一対のシリンダ付きアーム38は、回動部34によって順次回動される。これにより、加熱装置12は、発熱媒体6との対向位置を周回方向に移動し、第1溶融部7および第2溶融部8を順次熱融着する。
【0055】
以上のような第3実施形態は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(3-1)自動走行装置20を用いることによって、効率的に、発熱媒体6を加熱し第1溶融部7および第2溶融部8を熱融着することができる。そして、継手部分の熱融着が終了すると、直ちに次の継手部分に移動することができる。
【0056】
(3-2)輸送管2の外面にICタグ11が設けられている場合、輸送管2の内側に配置される自動走行装置20の加熱装置12とは別のリーダ/ライタ18でICタグ11から継手情報などを読み取ることによって、継手情報などに従って加熱装置12を駆動できる。
【0057】
なお、第3実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・自動走行装置20は一例であって、
図7および
図8の例に限定されるものではない。例えば、加熱装置12は、環状形状を有し、継手部分において拡径して、内周面に当接し、発熱媒体6を誘導加熱する構成であってもよい。
【0058】
〔第4実施形態〕
図9に示すように、受口部4の内面であって最奥部は、第1傾斜面41で構成されている。また、差口部5の先端は、第1傾斜面41に対応する逆向きの第2傾斜面42で構成されている。そして、差口部5が受口部4に挿入された場合、第1傾斜面41および第2傾斜面42は対向し突き合わされ仮接続される。
【0059】
受口部4は、第1傾斜面41を含む領域に、第1溶融部7が設けられ、差口部5は、第2傾斜面を含む領域に、第2溶融部8が設けられている。この場合、発熱媒体6は、環状形状を有し、第1溶融部7に埋設される。発熱媒体6はその表面と裏面が第1傾斜面41および第2傾斜面42と平行となるように配置される。受口部4において、第1傾斜面41と反対側の外面も傾斜面で構成されているが、第1傾斜面41より緩やかな第3傾斜面43となっている。加熱装置12のコイルと発熱媒体6とは距離が一定であることが好ましい。しかし、第3傾斜面43に加熱装置12を直接配置したのでは、コイルと発熱媒体6とは距離が一定にならなくなる。そこで、第3傾斜面43に角度調整具44を配置し、コイルと発熱媒体6との距離が一定となるようにする。
【0060】
以上のような第4実施形態は、さらに、以下のような効果を得ることができる。
(4-1)受口部4が発熱媒体6を備えているので、自重による変形を抑えることができる。したがって、受口部4が自重で変形しない分、受口部4と差口部5との仮接続させる作業が容易となる。
【0061】
(4-2)受口部4に差口部5に挿入し仮接続した状態で、全周に亘って確実に第1傾斜面41と第2傾斜面42とが向き合わせることができる。これにより、第1傾斜面41と第2傾斜面42とを確実に熱融着することができる。
【0062】
(4-3)角度調整具44を用いることで、発熱媒体6と加熱装置12との距離を一定にすることができる。これによっても、第1傾斜面41と第2傾斜面42とを確実に熱融着することができる。
【0063】
なお、第4実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・第1溶融部7に発熱媒体6を配置した場合であっても、輸送管2の内部に角度調整具44を介して加熱装置12を配置し誘導加熱するようにしてもよい。
【0064】
・発熱媒体6は、発熱媒体6は、第2溶融部8に埋設するようにしてもよい。この場合は、加熱装置12は、輸送管2の内側に配置される。すると、第2溶融部8に埋設された発熱媒体6が誘導加熱されることで、第1溶融部7および第2溶融部8は溶融され熱融着される。勿論、このような場合であっても、受口部4の外側から加熱装置12で加熱するようにしてもよい。
【0065】
・発熱媒体6は、第1溶融部7および第2溶融部8の両方に埋設するようにしてもよい。この場合であっても、加熱装置12を受口部4の外側、差口部5の内部の何れかの側に配置してもよいし、両側に配置してもよい。そして、両側に加熱装置12を配置した場合、2つの発熱媒体6を、同時または時間差で加熱することもできる。
【0066】
〔第5実施形態〕
図10に示すように、輸送管50の管軸方向における両側の第1管端部51および第2管端部52は、内径は管本体53の内径と一致し、外径が管本体53よりも大きくなり、肉厚部により構成されている。そして、第1管端部51は、第1段差部51aを備え、第2管端部52は、第1段差部51aと係合する第2段差部52aとを備えている。第1段差部51aは、他の部分より溶融時の膨張性が高い樹脂材料で形成された第1溶融部7として構成されている。第2段差部52aは、全体が他の部分より溶融時の膨張性が高い樹脂材料で形成された第2溶融部8として構成されている。第1管端部51および第2管端部52は、第1段差部51aと第2段差部52aとを係合させることによって仮接続される。
【0067】
発熱媒体6は、第1溶融部7に埋設されている。このような場合、加熱装置12は、輸送管50の外側に配置するようにしてもよいし、輸送管50の内部に配置するようにしてもよい。一例として、輸送管50の内径が600mm未満の場合、加熱装置12を輸送管50の外側に配置し、600mm以上の場合、加熱装置12を輸送管50の内部に配置する。そして、加熱装置12によって発熱媒体6が加熱されると、第1溶融部7および第2溶融部8が溶融され熱融着される。
【0068】
以上のような第5実施形態は、さらに、以下のような効果を得ることができる。
(5-1)第1管端部51が発熱媒体6を備え、発熱媒体6が補強部材として機能するので、自重による変形を抑えることができる。したがって、第1段差部51aが自重で変形しない分、第1段差部51aと第2段差部52aとを係合する作業が容易となる。
【0069】
なお、第5実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・発熱媒体6は、第2溶融部8に埋設するようにしてもよい。また、発熱媒体6は、第1溶融部7に加えて第2溶融部8にも埋設するようにしてもよい。そして、加熱装置12は輸送管の外側および内部の何れかの側に配置してもよいし、両側に配置してもよい。両側に加熱装置12を配置した場合、2つの発熱媒体6を、同時または時間差で加熱すればよい。
【0070】
〔第6実施形態〕
図11に示すように、第1管端部51は、その端面に第1傾斜面56を備え、第2管端部52は、その端面に第1傾斜面56に対応する逆向きの第2傾斜面57を備えている。第1傾斜面56および第2傾斜面57は、管端部51,52が突き合わされ対向させるように仮接続される。
【0071】
第1管端部51は、第1傾斜面56を含む領域に、第1溶融部7が設けられ、第2管端部52は、第2傾斜面57を含む領域に、第2溶融部8が設けられている。発熱媒体6は、環状形状を有し、第1管端部51の第1溶融部7であって、第1傾斜面56より若干内側に埋設される。発熱媒体6は、その表面と裏面が第1傾斜面56および第2傾斜面57と平行となるように配置される。加熱装置12のコイルと発熱媒体6とは距離が一定であることが好ましい。しかし、第1管端部51の外周面に加熱装置12を直接配置したのでは、コイルと発熱媒体6とは距離が一定にならなくなる。そこで、第1管端部51の外周面に角度調整具44を配置し、コイルと発熱媒体6との距離が一定になるようにする。このような場合、加熱装置12は、管本体53の内部に配置される。
【0072】
以上のような第6実施形態は、さらに、以下のような効果を得ることができる。
(6-1)第1管端部51が発熱媒体6を備え、発熱媒体6が補強部材として機能することで、自重による変形を抑えることができる。したがって、第1管端部51が自重で変形しない分、管端部51,52同士を突き合わせる作業が容易となる。
【0073】
(6-2)第1管端部51の端面および第2管端部52の端面が傾斜面で構成されているので、端面を垂直面で構成した場合に比べて融着面積を増え、接続強度を向上することができる。
【0074】
(6-3)第1管端部51と第2管端部52とを突き合わせた状態で、加熱装置12を第1管端部51および第2管端部52の境界部の外側に配置し駆動することで、発熱媒体6を誘導加熱し、第1傾斜面56と第2傾斜面57とを熱融着できる。
【0075】
(6-4)角度調整具44を用いることで、発熱媒体6と加熱装置12との距離を一定にすることができる。これにより、第1傾斜面56と第2傾斜面57とを確実に熱融着することができる。
【0076】
なお、第6実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・発熱媒体6は、第2管端部52の第2傾斜面57の若干内側に埋設するようにしてもよい。また、発熱媒体6は、第1傾斜面56の側と第2傾斜面57の側の両方に設けるようにしてもよい。この場合であっても、加熱装置12を輸送管50の外側だけに配置してもよいし、外側と内部の両方に配置するようにしてもよい。そして、加熱装置12は、輸送管の外側および内部の何れかの側に配置してもよいし、両側に配置してもよい。両側に加熱装置12を配置した場合、2つの発熱媒体6を、同時または時間差で加熱することもできる。
【0077】
〔第7実施形態〕
図12に示すように、差口部5の基端部には、フランジ部61が設けられ、受口部4の先端62がフランジ部61に突き当てられる。フランジ部61は、先端62が突き当てられる面61aおよび当該面61aとは反対側の面61bが平面で構成されている。したがって、面61aには、先端62が全周に亘って確実に突き当てられる。発熱媒体6は、フランジ部61に埋設されている。そして、受口部4の先端62に第1溶融部7が構成され、フランジ部61に第2溶融部8が構成されている。
【0078】
この場合、加熱装置12は、面61bに配置される。すると、フランジ部61に埋設された発熱媒体6が誘導加熱されることで、第1溶融部7および第2溶融部8が溶融され熱融着される。この際、面61bは平面で構成されているので、加熱装置12のコイルと発熱媒体6との距離を一定とすることができる。
【0079】
以上のような第7実施形態は、さらに、以下のような効果を得ることができる。
(7-1)差口部5が発熱媒体6を備えたフランジ部61を設けられているので、自重による変形を抑えることができる。したがって、差口部5が自重で変形しない分、フランジ部61と先端62とを確実に熱融着することができる。
【0080】
(7-2)フランジ部61を利用することで、発熱媒体6と加熱装置12との距離を一定にすることができる。これにより、フランジ部61と先端62とを確実に熱融着することができる。
【0081】
なお、第7実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・フランジ部61は、面61a側に偏って第1溶融部7が設けられ、面61bは、管本体53と同じ高密度ポリエチレンなどで構成されていてもよい。
【0082】
・発熱媒体6は、先端62に埋設するようにしてもよい。また、発熱媒体6は、フランジ部61と先端62の両方に埋設するようにしてもよい。何れの場合であっても、加熱装置12は、面61bに配置されることになる。
【0083】
〔第8実施形態〕
図13に示すように、輸送管70の管軸方向における両側の第1管端部71および第2管端部72は、第1フランジ部73および第2フランジ部74とを備えている。第1フランジ部73は、他の部分より溶融時の膨張性が高い樹脂材料で形成された第1溶融部7で構成され、第2フランジ部74も他の部分より溶融時の膨張性が高い樹脂材料で形成された第2溶融部8で構成されている。
【0084】
発熱媒体6は、第1溶融部7に埋設されている。第1フランジ部73において、第2フランジ部74が突き当てられる面73aおよび当該面73aとは反対側の面73bが平面で構成されている。また、第2フランジ部74において、第1フランジ部73が突き当てられる面74aも平面で構成されている。面73a,74aは、全体が突き当てられ接触面積が大きくなるので、確実に熱融着される。さらに、面73bが平面で構成されているので、加熱装置12のコイルと発熱媒体6との距離を一定とすることができる。
【0085】
以上のような第8実施形態は、さらに、以下のような効果を得ることができる。
(8-1)フランジ部73,74を利用することで、発熱媒体6と加熱装置12との距離を一定にすることができる。また、融着面積を増やし、接続強度を高めることができる。
【0086】
なお、第8実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・第1フランジ部73において、第1溶融部7は、面73a側に偏って設けられ、面73b側は、管本体と同じ高密度ポリエチレンなどで構成されていてもよい。第2フランジ部74において、第2溶融部8は、面74a側に偏って設けられ、面74b側は、管本体と同じ高密度ポリエチレンなどで構成されていてもよい。
【0087】
・発熱媒体6は、第2溶融部に埋設するようにしてもよい。この場合、加熱装置12は、面74bに配置される。さらに、発熱媒体6は、フランジ部73,74の両方に埋設するようにしてもよい。この場合、加熱装置12は、面73b,74bの何れかまたは両方に配置される。両側に加熱装置12を配置した場合、2つの発熱媒体6を、同時または時間差で加熱すればよい。
【0088】
なお、以上のような第1実施形態から第8実施形態において、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・ICタグ11は、接続される輸送管の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0089】
・第1実施形態から第8実施形態において、他の部分より溶融時の膨張性が高い樹脂材料で形成された溶融部は、少なくとも発熱媒体6が配置される管端部に設けられていればよく、相手方の管端部には設けられていなくてもよい。
【0090】
・他の部分より溶融時の膨張性が高い熱可塑性樹脂材料で形成された溶融部を備えていなくてもよい。
・発熱媒体6は、溶融部に埋設されているのではなく、外方に露出していてもよい。例えば、受口部4に内嵌されていたり、差口部5に外嵌されていてもよい。
【0091】
・発熱媒体6は、溶融樹脂が移行したり食い込む構造であれば、パンチングメタル(
図3参照)に限定されるものではない。発熱媒体6は、例えば立体網目構造などを備えたメッシュ部材であってもよい。また、発熱媒体6は、薄板で構成された孔部を備えない金属薄板で構成された筒体であってもよい。
【0092】
・発熱媒体6は、管端部の補強機能が低下し過ぎず、また、熱可塑性樹脂を熱融着できる程度に溶融できるのであれば、周回方向に連続した筒体ではなく、金属片を周回方向に並べた周回方向に非連続の構成であってもよい。
【0093】
・発熱媒体6は、接続される管の両方の管端部に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…輸送管路
2…輸送管
3…管本体
4…受口部
5…差口部
6…発熱媒体
7…第1溶融部
8…第2溶融部
9…標線
11…ICタグ
12…加熱装置