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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】流路切替機構およびポジショナ
(51)【国際特許分類】
   F16K 37/00 20060101AFI20240409BHJP
   F15B 9/08 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F16K37/00 A
F15B9/08 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020078346
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021173352
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】野見山 隆
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194067(JP,A)
【文献】特開2020-16320(JP,A)
【文献】実公昭34-3677(JP,Y1)
【文献】実公昭47-26898(JP,Y1)
【文献】実開平6-49870(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 37/00
F15B 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の肉厚内に形成された弁体収容部に前記筐体の外部から進退操作可能に収容される弁体を備え、前記弁体を前記弁体収容部に設けられた弁座に着座させた第1の状態と前記弁座から離間させた第2の状態とで前記筐体の外部から供給される供給空気の流出経路を切り替える流路切替機構において、
前記弁体は、
前記弁体内に前記供給空気を流入させる流入口と、
前記弁体内に流入した前記供給空気を前記弁体外に流出させる流出口と、
前記流入口と前記流出口とを連通する前記弁体内に設けられた内部連通路とを有し、
前記筐体の肉厚部に前記弁体収容部と前記筐体外部とを連通する外部連通路が形成され、
前記外部連通路は、
前記弁体が第1の状態にあるときは前記弁体の外周面によって閉鎖される一方、前記弁体が第2の状態にあるときは開放されて、前記弁体に流入した前記供給空気の一部が通過することを可能とし、
前記外部連通路の前記筐体外部側に接続されて、前記外部連通路を通過する空気により音を発生する発音体を備えることを特徴とする流路切替機構。
【請求項2】
請求項1に記載の流路切替機構において、
前記弁座を通過した前記供給空気はノズル通路および背圧通路に連通する通路へと導かれるとともに、
前記弁体の先端部の外周面と前記弁体収容部の内壁面との間に装着された第1および第2のOリングとを備え、
前記流出口は、
前記ノズル通路および背圧通路に連通する通路に開口する第1の流出口と、前記弁体収容部内の前記第1および第2のOリングとで仕切られる空間に開口する第2の流出口とを備え、
前記第1の流出口には固定絞りが設けられ、
前記弁体が第1の状態にあるときには、前記流入口より流入した前記供給空気が前記内部連通路を通り前記固定絞りのみを通って前記ノズル通路および背圧通路に連通する通路に至り、
前記弁体が第2の状態にあるときには、前記流入口より流入した前記供給空気が前記内部連通路を通り前記固定絞りおよび前記第2の流出口を通って前記ノズル通路および背圧通路に連通する通路に至ることを特徴とする流路切替機構。
【請求項3】
外部からの供給空気を利用して電気信号を空気圧信号に変換する電空変換器と、この電空変換器からの空気圧信号を増幅するパイロットリレーと、前記電空変換器を少なくとも収容する筐体とを備えたポジショナにおいて、
前記筐体は、
前記パイロットリレーへの空気圧信号を導く通路を備え、
この通路中に形成された弁体収容部に前記筐体の外部から進退操作可能に請求項1または請求項2に記載された流路切替機構の弁体が収容されていることを特徴とするポジショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体を弁座に着座させた状態と弁座から離間させた状態とで空気の流出経路を切り替える流路切替機構およびこの流路切替機構を備えたポジショナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気作動型の調節弁を開閉制御するために、ポジショナが広く使用されている。この種のポジショナとしては、例えば特許文献1に記載されているように、動作モードを「オート」と「マニュアル」とに切り替える流路切替機構を備えたものがある。動作モードが「オート」の場合は、調節弁の開度が予め定めた設定値にしたがって自動で制御される。動作モードが「マニュアル」の場合には、ポジショナに供給される制御用空気の圧力を手動式の減圧弁で変えることによってポジショナの出力圧が変わるようになり、調節弁の開度を手動で操作することができる。
【0003】
この流路切替機構は、調節弁の設置・調整時に使われ、電源を必要とすることなく手動で操作することが可能である。
特許文献1に開示されている流路切替機構は、ポジショナの筐体にねじ込まれたねじ部材を締め込むことにより「オート」モードに切り替わり、ねじ部材を緩めることによって「マニュアル」モードに切り替わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-185540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の流路切替機構において非通電状態でポジショナの現在のモードを確認するためには、ねじ部材がねじ込まれている状態であるか緩められている状態であるかを目視で確認するしかない。このため、設置・調整作業が終了した後に作業者が流路切替機構をポジショナが「オート」になるように操作することを忘れるおそれがあった。流路切替機構をポジショナがオートモードになるように切り替えることを忘れると、運転開始後にポジショナで開度制御を行うことができない。ポジショナの構造は複雑であるから、開度制御を行うことができない原因の究明に時間が長くかかることが多い。
【0006】
「オート」と「マニュアル」を切り替える流路切替機構が最も有用な場面は、ポジショナに電力が供給されていない状態で調節弁の動作確認をするという場面である。このため、切替状態をセンサー等で検出して状態を認識したり、電気的な表示等で通知するという、電力に頼る解決策を採用することはできない。
【0007】
本発明の目的は、「オート」と「マニュアル」の状態を簡単に識別できる流路切替機構およびポジショナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る流路切替機構は、筐体の肉厚内に形成された弁体収容部に前記筐体の外部から進退操作可能に収容される弁体を備え、前記弁体を前記弁体収容部に設けられた弁座に着座させた第1の状態と前記弁座から離間させた第2の状態とで前記筐体の外部から供給される供給空気の流出経路を切り替える流路切替機構において、前記弁体は、前記弁体内に前記供給空気を流入させる流入口と、前記弁体内に流入した前記供給空気を前記弁体外に流出させる流出口と、前記流入口と前記流出口とを連通する前記弁体内に設けられた内部連通路とを有し、前記筐体の肉厚部に前記弁体収容部と前記筐体外部とを連通する外部連通路が形成され、前記外部連通路は、前記弁体が第1の状態にあるときは前記弁体の外周面によって閉鎖される一方、前記弁体が第2の状態にあるときは開放されて、前記弁体に流入した前記供給空気の一部が通過することを可能とし、前記外部連通路の前記筐体外部側に接続されて、前記外部連通路を通過する空気により音を発生する発音体を備えるものである。
【0009】
本発明は、前記流路切替機構において、前記弁座を通過した前記供給空気はノズル通路および背圧通路に連通する通路へと導かれるとともに、前記弁体の先端部の外周面と前記弁体収容部の内壁面との間に装着された第1および第2のOリングとを備え、前記流出口は、前記ノズル通路および背圧通路に連通する通路に開口する第1の流出口と、前記弁体収容部内の前記第1および第2のOリングとで仕切られる空間に開口する第2の流出口とを備え、前記第1の流出口には固定絞りが設けられ、前記弁体が第1の状態にあるときには、前記流入口より流入した前記供給空気が前記内部連通路を通り前記固定絞りのみを通って前記ノズル通路および背圧通路に連通する通路に至り、前記弁体が第2の状態にあるときには、前記流入口より流入した前記供給空気が前記内部連通路を通り前記固定絞りおよび前記第2の流出口を通って前記ノズル通路および背圧通路に連通する通路に至ってもよい。
【0010】
本発明に係るポジショナは、外部からの供給空気を利用して電気信号を空気圧信号に変換する電空変換器と、この電空変換器からの空気圧信号を増幅するパイロットリレーと、前記電空変換器を少なくとも収容する筐体とを備えたポジショナにおいて、前記筐体は、前記パイロットリレーへの空気圧信号を導く通路を備え、この通路中に形成された弁体収容部に前記筐体の外部から進退操作可能に請求項1または請求項2に記載された流路切替機構の弁体が収容されているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、流路切替機構の弁体が第1の状態にあるときは発音体から音が発生することはなく、弁体が第2の状態にあるときには発音体で音が発生する。このため、弁体が第1の状態にあるときにポジショナが「オート」モードになるように構成するとともに、弁体が第2の状態にあるときにポジショナが「マニュアル」モードになるように構成することにより、「オート」と「マニュアル」の状態を簡単に識別できる流路切替機構およびポジショナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明に係る流路切替機構を備えたポジショナを示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施の形態による流路切替機構を用いたポジショナの構成を示す断面図である。
図3図3は、オートモード時の流路切替機構の断面図である。
図4図4は、図3の一部を拡大して示す断面図である。
図5図5は、マニュアルモード時の流路切替機構の断面図である。
図6図6は、図5の一部を拡大して示す断面図である。
図7図7は、パイロットリレーに設けられた流路切替機構の断面図である。
図8図8は、パイロットリレーに設けられた流路切替機構の断面図である。
図9図9は、第2の実施の形態による流路切替機構の断面図である。
図10図10は、第2の実施の形態による流路切替機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る流路切替機構およびポジショナの一実施の形態を図1図6を参照して詳細に説明する。
図1に示すポジショナ1は、空気作動型の調節弁2を開閉制御するためのものである。ポジショナ1は、上位のコントローラ3から電気信号で送られてくる入力信号IO を空気圧信号(ノズル背圧)PNに変換する電気/空気変換部(電空変換器)4と、ノズル背圧PNを増幅して空気圧信号PO として調節弁2の駆動装置5に出力するパイロットリレー6と、調節弁2の動作モードをオート(自動)とマニュアル(手動)に切り替える流路切替機構7等を備えている。図1において、符号PSで示すものは空気供給源、8は減圧弁である。空気供給源PSから供給された空気は、減圧弁8を通ってパイロットリレー6に供給される。
【0014】
ポジショナ1は、例えば図2に示すように構成することができる。図2において、ポジショナ1は、耐圧防爆構造からなるハウジング11を備えている。ハウジング11の内部には、電気入力信号IO を空気圧信号(ノズル背圧PN)に変換する電空変換器4、調節弁2の実作動量をフィードバックするフィードバック機構12、制御部13等が収納され、外部には電空変換器4による空気圧信号を増幅して調節弁2の駆動装置5に出力空気圧PO として出力するパイロットリレー6が配設され、さらに肉厚内には調節弁2の動作モードを後述する2つのモード(オートモード、マニュアルモード)に切り替える流路切替機構7等が組み込まれている。フィードバック機構12のレバー12aは、ハウジング11の外部に揺動自在に突出し、調節弁2の弁軸14に連結されている。
【0015】
(電空変換器の説明)
電空変換器4は、ヨーク15、励磁コイル16等からなるマグネットユニット17と、ノズル18およびフラッパ19等からなるノズルフラッパ機構20とで構成されている。
ノズル18は、後述する流路切替機構7と空気供給通路21とを介して空気供給源PSに接続されており、流路切替機構7でオートモードに切り替えられた状態において、供給空気圧Psup (通常1.4Kgf/cm2)が供給される。この空気供給通路21の途中にはパイロットリレー6、減圧弁8、供給空気用圧力計22等が設けられている。
【0016】
電気入力信号I0 (例えば4~20mA)によって励磁コイル16を励磁しフラッパ19をその支点部23を中心として揺動させると、ノズル18とフラッパ19の間隙(ノズルギャップ)が変化し、ノズル18の背圧PNを変化させる。このノズル背圧PNは、パイロットリレー6によって増幅され、出力空気圧PO として駆動装置5に出力されると、駆動装置5が駆動して弁軸14を上下方向に変位させ、これによって調節弁2の弁開度が自動的に調節される。また、弁軸14の動きは、フィードバック機構12が受けて電空変換器4にフィードバックすることにより、フラッパ19の動きを安定化させる。
【0017】
(パイロットリレーの説明)
パイロットリレー6は、内部が2つの隔壁31,32と2枚のダイヤフラム33,34によって5つの室、すなわち空気供給室35、出力室36、大気開放室37、バイアス室38および背圧室39に仕切られたケース40と、ポペット弁41およびピストン弁42等で構成されている。空気供給室35は、空気供給通路21を介して空気供給源PSに接続されるとともに、流路切替機構7を介してノズル18に接続されている。
【0018】
出力室36は、隔壁31,32に設けられた連通孔43によって空気供給室35と連通するとともに、ピストン弁42内に設けられた排気通路44により大気開放室37に連通可能とされ、また配管45によって駆動装置5に接続されている。大気開放室37は、ベント孔46を介してケース40の外部と連通している。バイアス室38には供給空気圧PSUPが通路47を介して供給され、背圧室39にはノズル背圧PNが背圧通路48を介して供給される。
背圧通路48は、ノズル18から延びるノズル通路49と、流路切替機構7から延びる制御圧通路50とに接続されている。
【0019】
ポペット弁41は、連通孔43を進退自在に貫通し、連通孔43とピストン弁42の排気通路44を開閉制御するもので、図示しないばねによって閉方向、すなわち連通孔43および排気通路44を閉鎖する方向に付勢されている。ピストン弁42は、2つのダイヤフラム33,34によって保持され、下端部が隔壁32に設けられた貫通孔32aに図示していないOリングを介して摺動自在に挿入されている。
【0020】
このようなパイロットリレー6において、入力増加に伴い出力が増加する正作動型として使用する場合、背圧通路48を通って背圧室39に流入するノズル背圧PNが増加すると、ダイヤフラム33,34が下方へ変位する。このため、ピストン弁42が下降し、これによりポペット弁41も下降する。この結果、ポペット弁41の下側弁体41aが隔壁31,32から離間して連通孔43を開き空気供給室35と出力室36を連通させる。このため、空気供給通路21から空気供給室35に供給される供給空気圧PSUP は連通孔43を通って出力室36に流入し、出力室36内の圧力を増大させる。そして、この出力室36内の圧力は、配管45を通り出力空気圧PO として駆動装置5へ供給される。
【0021】
一方、この状態からノズル背圧PNが減少すると、出力空気圧PO とバイアス室38内の圧力(バイアス圧)によってピストン弁42が上昇復帰し、ポペット弁41が図示しないばねの弾撥力によって上昇復帰する。この時、ポペット弁41の上側弁体41bがピストン弁42の下面から離間して排気通路44を開き、出力室36と排気通路44を連通させる。このため、出力室36内の圧力は、排気通路44,大気開放室37,ベント孔46を経てケース40の外部へ排出される。
【0022】
(流路切替機構の説明)
流路切替機構7は、図3に示すように、ハウジング11(筐体)の肉厚内に形成された弁体収容部51内に第1~第4のOリング52~55を介してねじ込まれる弁体56を備えている。弁体収容部51は、パイロットリレー6への空気圧信号を導く通路中に形成されている。
弁体56は、弁体収容部51にハウジング11の外部から進退操作可能に収容されており、先端部に設けられている第1のOリング52が弁体収容部51の底面からなる弁座57に接触した第1の状態と、図5に示すように、第1のOリング52が弁座57から離間した第2の状態との何れか一方の状態で使用される。第1の状態と第2の状態とでは、詳細は後述するが、ハウジング11の外部から供給される供給空気の流出経路が切り替えられる。
【0023】
弁体56には、その中央部に外部からの供給空気の流入口61が形成され、その先端部に外部からの供給空気の第1の流出口62および第2の流出口63,64が形成され、その中心部に流入口61と、第1の流出口62および第2の流出口63,64とを連通する内部連通路65が形成されている。この例において、流入口61は空気供給通路21に連通する開口として弁体56の中央部に、第1の流出口62は背圧通路48およびノズル通路49に連通するハウジング11内の制御圧通路50に連通する開口として弁体56の先端部に形成されている。また、第1および第2の流出口63,64は、弁体収容部51内の第1のOリング52と第2のOリング53とで仕切られる空間Sに臨む開口として、弁体56の先端部の外周面に形成されている。
【0024】
また、弁体56の先端部には、内部連通路65内の流出口62側に固定絞り66が設けられている。また、弁体56の中央部には、流入口61が形成されている弁体56の胴部を覆うように、この流入口61への供給空気に含まれるゴミや油分などの異物を吸着除去する筒状のフィルタ67が着脱可能に設けられている。なお、ハウジング11内の制御圧通路50と連通する背圧通路48およびノズル通路49は、ノズル通路49の方が背圧通路48よりもその通路幅が格段に細いものとされている。
弁体56の後端部には、弁体収容部51の後述する雌ねじ71に螺合する雄ねじ72が形成されている。弁体56の後端面には、弁体56を回転させる際、ドライバ等が係入される直径方向の溝73が形成されている。
【0025】
弁体収容部51は、奥側に向かって小径化する異径孔とされることにより、第1~第4の孔部51a~51dを有している。弁体収容部51の底面には、一端が背圧通路48とノズル通路49とに接続される制御圧通路50の他端が開口している。最奥の第1の孔部51aは、弁体収容部51の底面に接続されている。この第1の孔部51aには、第1のOリング52が接触している。
【0026】
奥から二番目の第2の孔部51bには、第2のOリング53が接触しているとともに、外部連通路74の一端が開口している。外部連通路74の一端は、第2の孔部51bと、第3の孔部51cとの境界の近傍に形成されている。外部連通路74の他端は、ハウジング11の外面に開口し、後述する発音体81に接続されている。すなわち、外部連通路74は、弁体収容部51とハウジング外部(筐体外部)とを連通している。
【0027】
奥から三番目の第3の孔部51cには、空気供給室35から延びる空気供給通路21の先端部21aが連通しているとともに、この先端部21aより手前側に位置して雌ねじ71が形成されている。
最も手前側の第4の孔部51dには、第3および第4のOリング54、55が接触している。
【0028】
発音体81は、エアーリード82を音源として音が発生するもので、エアーリード82に外部連通路74から空気が吹き付けられるようにハウジング11の外面に取付けられている。空気が外部連通路74からエアーリード82に吹き付けられることによって音が発生する。
【0029】
(ポジショナの動作の説明)
〔オートモード〕
この流路切替機構7を備えたポジショナ1において、調節弁2を自動制御する際には、流路切替機構7をオートモードに切り替える。図3は流路切替機構7をオートモードに切り替えた状態を示している。この場合、弁体56は、弁体収容部51第1のOリング52が弁座57に着座した第1の状態に保持される。
ポジショナ1に供給空気が供給されると、この供給空気が空気供給室35から空気供給通路21の先端部21aを通って弁体収容部51に流入する。この供給空気は、図3中に二点鎖線で示すように、フィルタ67を通って弁体56の流入口61に入り、内部連通路65と固定絞り66とを通って制御圧通路50に至り、背圧通路48およびノズル通路49へ送られる。
【0030】
すなわち、オートモード時は、空気供給源PSからの供給空気が固定絞り66のみを通過して制御圧通路50へ送られ、この制御圧通路50に送られる小流量の供給空気によって作られるノズル背圧PNが背圧通路48を通ってパイロットリレー6の背圧室39に供給され、このノズル背圧PNをパイロットリレー6によって増幅し、空気圧信号PO として出力することによって、調節弁2が自動制御される。
【0031】
弁体収容部51に流入した供給空気の一部は、弁体56と弁体収容部51の第2の孔部51bとの間の微小な隙間を通って漏洩し、外部連通路74に流出することがある。この漏洩した空気は、外部連通路74を通過して発音体81に流入する。このときに外部連通路74を通過する供給空気の流量は、僅かな漏れ程度の流量であるから、この供給空気が発音体81に流入したとしても発音体81から音が発生することはない。すなわち、弁体56が第1の状態にあるときは、外部連通路74は弁体56の外周面によって実質的に閉鎖される。
【0032】
〔マニュアルモード〕
一方、メンテナンスや零調整等のために調節弁2をマニュアルモードに切り替える場合は、弁体56を回転させることによって図3において右方向へ移動(後退)させ、図5に示すように、第1のOリング52を弁座57から離間させた第2の状態とする。この場合、流入口61より入流した供給空気は、図5中に二点鎖線の矢印で示すように、内部連通路65を通り、固定絞り66と第1および第2の流出口62~64とを通って制御圧通路50に至り、背圧通路48およびノズル通路49へ送られる。
【0033】
すなわち、マニュアルモード時は、空気供給源PSからの供給空気が固定絞り66だけではなく、第2の流出口63,64を通過し、弁体56の先端部と弁体収容部51の内面(第1および第2の孔部51a,51b)との間の隙間からなるバイパス通路83を通って制御圧通路50へられ、制御圧通路50へ送られる供給空気の流量が増大する。この例では、バイパス通路83の断面積を固定絞り66の通過断面積の約10倍としている。これにより、減圧弁8を操作して供給空気圧PSUPを変更することによって、調節弁2の開度を手動で調節することが可能となる。
【0034】
第2の流出口53,54を通過して第2の孔部51b内に流出した供給空気の一部は、図6中に二点鎖線の矢印で示すように外部連通路74に入り、外部連通路74を通って発音体81に流入する。すなわち、弁体56が第2の状態にあるときは、外部連通路74は開放されて、弁体56に流入した供給空気の一部が通過することを可能とする。このときに外部連通路74を流れる供給空気の流量は、オートモード時の流量より多くなる。このため、このときには発音体81に大量の空気が吹き込まれ、発音体81から音が発生するようになる。
【0035】
このように、この実施の形態によれば、流路切替機構7の弁体56が第1の状態となってポジショナ1がオートモードになるときは発音体81から音が発生することはなく、弁体56が第2の状態となってポジショナ1がマニュアルモードになるときには発音体81で音が発生する。したがって、「オート」と「マニュアル」の状態を簡単に識別できる流路切替機構およびポジショナを提供することができる。
【0036】
(第1の実施の形態の変形例)
上述した実施の形態では、流路切替機構7を電空変換器4等を収納するハウジング(筐体)11に設けたが、図7および図8に示すように、パイロットリレー6のケース(筐体)40に設けるようにしてもよい。図7および図8において、図1図6によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。図7はオートモードの状態を示し、図8はマニュアルモードの状態を示している。
【0037】
図7,8に示すパイロットリレー6のケース40の肉厚内には、弁体収容部51が形成されている。この弁体収容部51に弁体56が収容されている。この弁体56は、ケース40の外側から手動操作によって回転させることができるように構成されている。
このようにパイロットリレー6のケース40に流路切替機構7を設ける場合は、外部連通路74がケース40の壁を貫通するように形成され、発音体81がケース40の外面に取り付けられる。
このように流路切替機構7をパイロットリレー6に設ける構成を採る場合であっても「オート」と「マニュアル」の状態を簡単に識別することができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
本発明に係る流路切替機構は、図9および図10に示すように構成することができる。図9および図10において、図1図6によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図9に示す流路切替機構7の弁体56は、先端に円筒91を有している。円筒91の内部には固定絞り66が設けられている。円筒91は、弁体56が第1の状態にあるときにハウジング11内の制御圧通路50に挿入されるように形成されている。円筒91と制御圧通路50の壁面との間には、クリアランス程度の微小な隙間が形成されている。
【0039】
この実施の形態による外部連通路74の一端は、制御圧通路50の壁面であって、円筒91と対向する部分に開口している。このため、弁体56が第1の状態にあるときは、外部連通路74の一端が円筒91によって実質的に閉鎖される。外部連通路74の他端は、発音体81に接続されている。
【0040】
この実施の形態による流路切替機構7において、オートモード時は、弁体56が図9に示す第1の状態とされ、空気供給源PSPSからの供給空気が固定絞り66のみを通過して制御圧通路50へ送られる。この制御圧通路50に送られる小流量の供給空気によって作られるノズル背圧PNが背圧通路48を通ってパイロットリレー6の背圧室39に供給され、このノズル背圧PNをパイロットリレー6によって増幅し、空気圧信号PO として出力することによって、調節弁2が自動制御される。
【0041】
このとき、制御圧通路50内の供給空気の一部が円筒91と制御圧通路50の壁面との隙間を通って外部連通路74に漏洩し、外部連通路74を通過して発音体81に流れる。このときに外部連通路74を通過する供給空気の流量は、僅かな漏れ程度の流量であるから、この供給空気が発音体81に流入したとしても発音体81から音が発生することはない。
【0042】
一方、マニュアルモード時は、弁体56が図10に示すように第2の状態になる。この場合、空気供給源PSからの供給空気が固定絞り66だけではなく、第1および第2の流出口62~64を通過し、弁体56の先端部と弁体収容部51の内面(第1および第2の孔部51a,51b)との間の隙間からなるバイパス通路83を通って制御圧通路50へ送られ、制御圧通路50へ送られる供給空気の流量が増大する。これにより、減圧弁828を操作して供給空気圧PSUPを変更することによって、調節弁2の開度を手動で調節することが可能となる。
【0043】
このマニュアルモード時は、弁体56の円筒91が制御圧通路50から弁体収容部51内に移動するために、外部連通路74の一端が開放され、弁体56に流入した供給空気の一部が流入可能になる。このときに外部連通路74を流れる供給空気の流量は、オートモード時の流量より多くなる。このため、このときには発音体81に大量の空気が吹き込まれ、発音体81から音が発生するようになる。
したがって、流路切替機構7を図9および図10に示すように構成したとしても、上述した各実施の形態を採るときと同様に、「オート」と「マニュアル」の状態を簡単に識別することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…ポジショナ、4…電空変換器、6…パイロットリレー、7…流路切替機構、11…ハウジング(筐体)、48…背圧通路、49…ノズル通路、50…制御圧通路、51…弁体収容部、52…第1のOリング、53…第2のOリング、56…弁体、57…弁座、61…流入口、62…第1の流出口、63,64…第2の流出口、65…内部連通路、74…外部連通路、81…発音体、66…固定絞り、S…空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10