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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】試験器
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/18 20060101AFI20240409BHJP
   G01W 1/14 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G01W1/18
G01W1/14 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020088167
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021181959
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000220675
【氏名又は名称】東京都下水道サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 晃一
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/216184(WO,A1)
【文献】特開2000-110712(JP,A)
【文献】米国特許第05898110(US,A)
【文献】精密機械部会 気象計器専門委員会,B 7309-1982 転倒ます雨量計,日本産業規格,経済産業省,1982年03月01日,1-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W 1/00 - 1/18
F04B 49/00 - 49/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨量計及び降雨強度計の試験に用いられる試験器であって、
水を一定の吐出速度で吐出するポンプと、
表示部と、
前記ポンプによる水の吐出速度および吐出量を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、雨量計モードと降雨強度計モードとを有し、
前記表示部は、前記雨量計モードにおいて、前記雨量計の計測値に対する比較に用いるために前記制御部で制御された水の吐出量を表示し、
前記表示部は、前記降雨強度計モードにおいて、前記降雨強度計の計測値に対する比較に用いるために前記制御部で制御された水の吐出速度を表示する、
試験器。
【請求項2】
前記ポンプによる水の吐出速度および吐出量を調節する調節部をさらに備え、
前記降雨強度計モードにおいて設定される水の吐出速度は、前記雨量計モードにおいて設定される水の吐出速度に比べて小さい、
請求項1に記載の試験器。
【請求項3】
前記制御部は、設定モードをさらに有し、
前記設定モードは、前記雨量計モードを校正するための第1モードと、前記降雨強度計モードを校正するための第2モードと、を有する、
請求項1又は2に記載の試験器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験方法および試験器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、転倒枡型の雨量計が開示されている。転倒枡型の雨量計は、雨水を受水する受水器と、受水器からの雨水を一定量計量する毎に転倒する計量枡と、を備えている。雨量計は、計量枡の転倒回数の計測によって雨量を計測する。
例えば下記特許文献2には、滴下型の降雨強度計が開示されている。滴下型の降雨強度計は、底部に水を上部に灯油を収容し、上部から雨水が流入する受水筒と、受水筒への雨水の流入による静水圧を利用して受水筒から底部の水を導出して先端から水滴を滴下させるための導水管と、導水管から滴下される水滴の個数を計数するための水滴計数機構と、を備えている。導水管から滴下される水滴の個数は、降雨強度に比例する。降雨強度計は、水滴計数機構で水滴の個数を計数することにより、降雨強度を計測する。
上記の雨量計や降雨強度計の試験は、雨量計や降雨強度計に対して、例えば油さしやメスシリンダー等を用いて人手で水を吐出することによって行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭63-48182号公報
【文献】特開昭49-86076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、局所的降雨が以前より多くみられるようになった。このため、数km程度の離間距離でも雨量や降雨強度の差が大きくなり、雨量計や降雨強度計の故障と判断されることがしばしばあった。このような誤った判断を防止したり、雨量計や降雨強度計の計測精度が低下している場合に雨量計や降雨強度計を校正したりするために、雨量計や降雨強度計の計測精度を試験する方法が求められている。
しかしながら、人手で試験を行う従来の方法では、試験中に水の吐出速度を一定に維持することはほぼ不可能である。このため、雨量計や降雨強度計が動作するかを確認することはできても、雨量計や降雨強度計の計測精度を試験することは困難であった。
【0005】
例えば雨量計を試験する場合、従来の試験方法では、試験中に水の吐出速度が急激に上昇して、水が雨量計から零れてしまい、雨量計の精度を試験できない可能性がある。
また、例えば降雨強度計を試験する場合、従来の試験方法では、試験中に水滴の吐出速度が変化する可能性が高いため、降雨強度計の精度を試験することは極めて困難である。このため、降雨強度計の異常の原因が、例えば導水管につまったゴミや、水滴計数機構に用いられている計測用の光源(LED等)の劣化であることに気が付かず、降雨強度計の一部を修理または交換したり、降雨強度計を校正したりすればいい場合であっても、降雨強度計の全体を取り換えてしまうことも多くあった。
【0006】
そこで、本発明は、人手で試験を行う場合と比較して、容易に雨量計や降雨強度計の精度を試験できる試験方法および試験器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る試験方法は、雨量計または降雨強度計を試験するための試験方法であって、雨量計または降雨強度計に、試験器を用いて水を一定の吐出速度で吐出して供給する供給工程と、前記試験器の水の吐出量と前記雨量計による計測値との比較、または前記試験器の水の吐出速度と前記降雨強度計による計測値との比較を行う比較工程と、を備える。
【0008】
本態様によれば、試験方法は、雨量計に、試験器を用いて一定の吐出速度で水を吐出する吐出工程を備えている。これにより、人手で雨量計に水を吐出する場合と比較して、容易に水の吐出速度を一定に維持できる。このため、例えば雨量計を試験する場合、試験中に水の吐出速度が急激に上昇して、水が雨量計から零れ出ることを抑制できる。したがって、雨量計に異常が無い場合、試験器の水の吐出量と雨量計の試験の計測値との誤差は、雨量計に異常がある場合と比較して、極めて小さくなる。さらに、試験方法は、試験器の水の吐出量と雨量計による計測値との比較を行う比較工程を備えている。これにより、試験器の水の吐出量と雨量計による計測値との誤差を計測できる。ここで、雨量計に異常が無い場合、試験器の水の吐出量と雨量計の試験の計測値との誤差は、雨量計に異常がある場合と比較して、極めて小さくなる。このため、試験器の水の吐出量と雨量計による計測値との誤差を見ることにより、雨量計の精度を試験できる。したがって、人手で試験を行う場合と比較して、容易に雨量計の精度を試験できる。
また、本態様によれば、試験方法は、降雨強度計に、試験器を用いて一定の吐出速度で水を吐出する吐出工程を備えている。これにより、人手で降雨強度計に水を吐出する場合と比較して、容易に水の吐出速度を一定に維持できる。このため、例えば降雨強度計を試験する場合、試験中に水の吐出速度が急激に変化することを抑制できる。したがって、降雨強度計に異常が無い場合、試験器の水の吐出速度と降雨強度計の試験の計測値との誤差は、降雨強度計に異常がある場合と比較して、極めて小さくなる。さらに、試験方法は、試験器の水の吐出速度と降雨強度計による計測値との比較を行う比較工程を備えている。これにより、試験器の水の吐出速度と降雨強度計による計測値との誤差を計測できる。ここで、降雨強度計に異常が無い場合、試験器の水の吐出速度と降雨強度計の試験の計測値との誤差は、降雨強度計に異常がある場合と比較して、極めて小さくなる。このため、試験器の水の吐出速度と降雨強度計による計測値との誤差を見ることにより、降雨強度計の精度を試験できる。したがって、人手で試験を行う場合と比較して、容易に降雨強度計の精度を試験できる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る試験器は、上記の試験方法で用いられる試験器であって、水を一定の吐出速度で吐出するポンプを備える。
本態様によれば、試験器を使用することで、雨量計に水を一定の吐出速度で吐出できる。これにより、人手で雨量計に水を吐出する場合と比較して、容易に水の吐出速度を一定に維持できる。このため、例えば雨量計を試験する場合、試験中に水の吐出速度が急激に上昇して、水が雨量計から零れ出ることを抑制できる。したがって、雨量計に異常が無い場合、試験器の水の吐出量と雨量計の試験の計測値との誤差は、雨量計に異常がある場合と比較して、極めて小さくなる。よって、試験器の水の吐出量と雨量計による計測値との誤差を見ることにより雨量計の精度を試験できるので、人手で試験を行う場合と比較して、容易に雨量計の精度を試験できる。
本態様によれば、試験器を使用することで、降雨強度計に水を一定の吐出速度で吐出できる。これにより、人手で降雨強度計に水を吐出する場合と比較して、容易に水の吐出速度を一定に維持できる。このため、例えば降雨強度計を試験する場合、試験中に水の吐出速度が急激に変化することを抑制できる。したがって、降雨強度計に異常が無い場合、試験器の水の吐出速度と降雨強度計の試験の計測値との誤差は、降雨強度計に異常がある場合と比較して、極めて小さくなる。よって、試験器の水の吐出速度と降雨強度計による計測値との誤差を見ることにより降雨強度計の精度を試験できるので、人手で試験を行う場合と比較して、容易に降雨強度計の精度を試験できる。
【0010】
上記態様の試験器において、前記ポンプは、水を一定の吐出量だけ吐出してもよい。
本態様によれば、ポンプによる水の吐出量よりも大容量の雨量計および降雨強度計に試験器を使用する場合、水が雨量計および降雨強度計から溢れることを抑制できる。
また、本態様によれば、雨量計を試験する場合、目的の吐出量だけ水を吐出した時にポンプを停止させる必要がないため、ポンプが水を吐出し続ける場合と比較して容易に雨量計を試験できる。したがって、ポンプが水を吐出し続ける場合と比較して容易に雨量計の精度を試験できる。
【0011】
上記態様の試験器において、前記ポンプによる水の吐出速度および吐出量の少なくとも一方を調節する調節部を備えてもよい。
本態様によれば、試験する雨量計および降雨強度計に応じて、水の吐出速度および吐出量の少なくとも一方の調節できる。これにより、試験器を用いて試験できる雨量計および降雨強度計の選択肢を増やすことができる。
【0012】
上記態様の試験器において、前記ポンプによる水の吐出速度および吐出量の少なくとも一方を制御する制御部を備え、前記調節部は、前記ポンプに対して回転可能な操作部と、前記操作部の回転位置を検出し、前記回転位置に基づいて、前記ポンプによる水の吐出速度および吐出量の少なくとも一方を調節する情報を前記制御部に出力する検出部と、を有してもよい。
本態様によれば、操作部を回転させることにより、ポンプによる水の吐出速度および吐出量の少なくとも一方を調節できる。これにより、例えばテンキーによりポンプによる水の吐出速度および吐出量の少なくとも一方を入力して調節する場合と比較して、容易にポンプによる水の吐出速度および吐出量の少なくとも一方を調節できる。
【0013】
上記態様の試験器において、前記ポンプによる水の吐出速度および吐出量の少なくとも一方を表示する表示部を備えてもよい。
本態様によれば、表示部にポンプによる水の吐出速度および吐出量の少なくとも一方が表示されない場合と比較して、容易に試験器の水の吐出量と雨量計による計測値との誤差、または試験器の水の吐出速度と降雨強度計による計測値との誤差を見ることができる。したがって、表示部にポンプによる水の吐出速度および吐出量の少なくとも一方が表示されない場合と比較して、容易に雨量計および降雨強度計の精度を試験できる。
【発明の効果】
【0014】
上記各態様によれば、本発明は、人手で試験を行う場合と比較して、容易に雨量計や降雨強度計の精度を試験できる試験方法および試験器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る試験器の斜視図である。
図2】実施形態に係る試験器の要部を示す構成図である。
図3】実施形態に係る表示部の画面の一例(その1)を示す図である。
図4】実施形態に係る表示部の画面の一例(その2)を示す図である。
図5】実施形態に係る表示部の画面の一例(その3)を示す図である。
図6】実施形態に係る表示部の画面の一例(その4)を示す図である。
図7】実施形態に係る表示部の画面の一例(その5)を示す図である。
図8】実施形態に係る表示部の画面の一例(その6)を示す図である。
図9】実施形態に係る表示部の画面の一例(その7)を示す図である。
図10】実施形態に係る表示部の画面の一例(その8)を示す図である。
図11】実施形態に係る表示部の画面の一例(その9)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から図11に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、実施形態に係る試験器1の斜視図である。
図2は、実施形態に係る試験器の要部を示す構成図である。
図1および図2に示す試験器1は、雨量計4または降雨強度計6の動作状態を試験するためのものである。試験器1で試験される雨量計4、降雨強度計6は、それぞれ例えば転倒枡型の雨量計、滴下型の降雨強度計である。雨量計4、降雨強度計6は、それぞれ200mm径の円柱型の受水ロート(不図示)と、計測値を表示する監視トレンド画面(不図示)と、を有している。試験器1は、筐体10と、ポンプ20と、制御部30と、調節部40と、表示部50と、を備えている。
【0017】
筐体10は、直方体の箱状に形成されている。筐体10は、金属材料により形成されている。筐体10は、両手または片手で持ち運び可能な大きさに形成されている。筐体10は、不使用時は後述する吸入チューブ23および吐出チューブ24とともに持ち運び用のケース(不図示)に収納されている。これにより、試験器1は、容易に持ち運び可能となっている。
筐体10の第一面10aには、バッテリ収容部11が設けられている。バッテリ収容部11は、第一面10aに略平行な一面を有する直方体の箱状に形成されている。バッテリ収容部11は、第一面10aから突出している。バッテリ収容部11には、第一面10aの面方向外側に向けて開口する開口部12が形成されている。
【0018】
図2に示すように、バッテリ収容部11には、バッテリ2が収容されている。バッテリ2は、例えば円柱状の乾電池である。バッテリ2は、バッテリ収容部11に4本収容されている。バッテリ2は、開口部12からバッテリ収容部11に嵌め込まれている。バッテリ2は、後述する制御部30に電気的に接続している。
【0019】
図1に示すように、筐体10の第一面10aの隣に位置する第二面10bには、電源スイッチ3が設けられている。電源スイッチ3は、ON/OFFの切り替えが可能である。電源スイッチ3がONの場合、バッテリ2から制御部30に電気が供給され、試験器1は起動している。電源スイッチ3がOFFの場合、バッテリ2から制御部30への電気の供給が停止され、試験器1は起動状態にない。
【0020】
図2に示すように、ポンプ20は、筐体10に収容されている。ポンプ20は、外部から水を吸入し、吸入した水を断続的に外部に吐出する。ポンプ20の1ショット当たりの吐出量は、0.055mL/Pである。ポンプ20の最大吐出速度は、38mL/minである。ポンプ20の対応電圧は、12Vである。ポンプ20は、吸入口21と、吐出口22と、を有している。吸入口21には、吸入チューブ23の一端が接続されている。吸入チューブ23は、筐体10の第二面10bを貫通し、筐体10の外部に向かって延出している(図1参照)。吐出口22には、吐出チューブ24の一端が接続されている。吐出チューブ24は、筐体10の第二面10bを貫通し、筐体10の外部に向かって延出している(図1参照)。
【0021】
図1に示すように、吐出チューブ24のうち筐体10の外部に位置する部分の筐体10側には、エア抜き弁25が設けられている。エア抜き弁25は、吐出チューブ24と繋がっている。エア抜き弁25は、ポンプ20、吸入チューブ23および吐出チューブ24内の空気たまりによる障害予防等のために用いられる。ポンプ20、吸入チューブ23および吐出チューブ24内の空気は、エア抜き弁25を介して、外部に適宜排出される。エア抜き弁25は、つまみ部25aを有している。つまみ部25aは、使用者の手によって操作されることにより、エア抜き弁25を開閉する。
【0022】
図2に示すように、制御部30は、筐体10に収容されている。制御部30は、例えばマイコンボードである。制御部30は、ポンプ20に電気的に接続されている。制御部30は、ポンプ20による水の吐出量や吐出速度、吐出間隔等を制御する。具体的には、制御部30は、ポンプ20による水の吐出速度を一定に維持する。制御部30は、ポンプ20に一定の吐出量だけ水を吐出させる。
【0023】
図1および図2に示すように、調節部40は、筐体10の第一面10aに設けられている。調節部40は、ポンプによる水の吐出速度および吐出量を調節するものである。調節部40は、つまみ部41(請求項の操作部に相当)と、検出部42と、を有している。つまみ部41は、円柱状に形成されている。つまみ部41の中心軸は、第一面10aの法線方向に沿って延びている。つまみ部41は、第一面10aから筐体10の外部に突出している。つまみ部41は、筐体10によって、ポンプ20に対してつまみ部41の軸心回りに回転可能に支持されている。つまみ部41の外周面には、軸方向に沿って延びる突起部43が複数設けられている。複数の突起部43は、つまみ部41の径方向に等間隔に配置されている。突起部43は、使用者の手が滑ることを防止するためのものである。つまみ部41における筐体10の外側に位置する端面は、スイッチ面44となっている。スイッチ面44は、軸方向に沿う方向の圧力が筐体10に向かう方向に印加されると、筐体10側に移動する。スイッチ面44は、圧力の印加を止められると、例えばつまみ部41の内部に設けられたバネ(不図示)の弾性力によって元の位置(つまみ部41の端面)に戻る。
【0024】
検出部42は、制御部30に電気的に接続されている。検出部42は、例えばロータリーエンコーダ42aである。ロータリーエンコーダ42aは、つまみ部41の回転位置を検出する。ロータリーエンコーダ42aは、つまみ部41の回転位置に基づいて、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量を調節する情報を制御部30に出力する。また、検出部42は、スイッチ面44の移動を検出する。検出部42は、スイッチ面44の移動に基づいて、試験器1の操作の指示を決定する情報を制御部30に出力する。
【0025】
表示部50は、筐体10の第一面10aに設けられている。表示部50は、制御部30に電気的に接続されている。すなわち、表示部50は、制御部30を介して調節部40に電気的に接続されている。表示部50は、制御部30の制御および調節部40による操作に応じた画像を表示する画像表示装置である。表示部50は、筐体10の外側に露出する画面51を有している。画面51は、一方向に延びる矩形状に形成されている。画面51は、例えば液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)である。画面51は、制御部30の制御および調節部40による操作に応じた画像を表示する。画面51は、例えばポンプ20による水の吐出速度および吐出量等を表示する。また、画面51は、例えば試験器1の操作に要する操作画面も表示する。
【0026】
(試験器の操作方法)
続いて、図1から図11に基づいて試験器1の操作方法を説明する。
図3から図11は、それぞれ実施形態に係る表示部50の画面51の一例(その1からその9)を示す図である。
【0027】
(空気抜きの方法)
図1および図2に示す試験器1を使用する前に、ポンプ20、吸入チューブ23および吐出チューブ24の内部から空気を抜く必要がある。図1および図2に基づいて空気抜きの方法を説明する。具体的な手順は、以下の通りである。
以下では、吐出量を雨量の単位(mm等)で表し、吐出速度を降雨強度の単位(mm/h等)で表すことがある。
図2に示すように、試験器1の付近に水が収容されているタンク5を配置する。タンク5は、例えばポリタンクである。吸入チューブ23の他端をタンク5内の水に浸ける。エア抜き弁25を開く。電源スイッチ3(図1参照)をONにして、試験器1を起動する。後述する雨量計モードで、吐出量を2mmから3mmに設定し、ポンプ20を起動させる。これにより、タンク5内の水は、吸入チューブ23、ポンプ20、吐出チューブ24の順に流通し、吐出チューブ24の他端から外部に排出される。ポンプ20、吸入チューブ23および吐出チューブ24の内部に溜まった空気は、水の流通によって外部に押し出されて排出される。その後、ポンプ20を強制的に停止させる。このようにして、ポンプ20、吸入チューブ23および吐出チューブ24の内部の空気抜きが完了する。
【0028】
(雨量計モード)
続いて、図1から図5に基づいて、雨量計4を試験する試験器1の雨量計モードを説明する。
まず、図2に示すように、試験対象の雨量計4の付近に試験器1および水が収容されているタンク5を配置する。吸入チューブ23の他端をタンク5内の水に浸ける。吐出チューブ24の他端を雨量計4の受水ロート内に配置する。電源スイッチ3(図1参照)をONにして、試験器1を起動する。バッテリ2から制御部30に電気が供給される。制御部30から表示部50に信号が送信される。
【0029】
図3に示すように、表示部50の画面51にメニュー画面100が表示される。メニュー画面100には、バッテリインジケーター101と、モード表示部102と、モード選択部103と、が表示される。バッテリインジケーター101は、画面51の隅部に1つ表示されている。バッテリインジケーター101には、バッテリ2の残量が表示される。
モード表示部102は、画面51の長手方向に沿って延びている。モード表示部102には、試験器1が、雨量計4の試験を行う雨量計モード、降雨強度計6の試験を行う降雨強度計モード、試験器1自体の校正を行う設定モードのいずれかに設定されているかを示す記載が表示される。図示の例では、モード表示部102には、「ウリョウケイ コウセイキ」の記載が表示されている。「ウリョウケイ コウセイキ」の記載は、試験器1が雨量計モードに設定されていることを示している。
【0030】
モード選択部103は、画面51の長手方向に沿って延びている。モード選択部103には、「ウリョウ」、「キョウド」および「セッテイ」の記載が長手方向に間隔をあけて表示されている。「ウリョウ」、「キョウド」および「セッテイ」の記載のうちいずれか1つを指示するカーソル104が表示される。図示の例では、カーソル104は、「ウリョウ」の記載を指示している。カーソル104が指示する記載は、つまみ部41(図1参照)を回すことで変更できる。
つまみ部41を回してカーソル104を「ウリョウ」に合わせ、スイッチ面44(図1参照)を押す。これにより、試験器1は雨量計モードに設定される。
【0031】
図4に示すように、画面51に吐出量入力画面110(雨量入力画面)が表示される。吐出量入力画面110には、バッテリインジケーター101と、画面51の長手方向に延びる「ウリョウヲニュウリョク」の記載と、設定吐出量(設定雨量)(mm)と、が表示される。図示の例では、設定吐出量が1mmとして表示されている。
つまみ部41を回して、設定吐出量を例えば10mmに変更する。使用者から見てつまみ部41を右に回すと数値が増加し、つまみ部41を左に回すと数値が減少する。スイッチ面44を押すと、吐出量が10mmに設定される。
【0032】
図5に示すように、画面51に吐出量確認画面120(雨量確認画面)が表示される。吐出量確認画面120には、バッテリインジケーター101と、吐出量確認部121(雨量確認部)と、操作決定部122と、が表示される。
吐出量確認部121は、画面51の長手方向に沿って延びている。吐出量確認部121には、設定吐出量を確認する表示される。図示の例では、吐出量確認部121には、「10mmデOK?」の記載が表示されている。
【0033】
操作決定部122は、画面51の長手方向に沿って延びている。操作決定部122には、「ハイ」、「イイエ」および「メニュへモドル」の記載が長手方向に間隔をあけて表示されている。「ハイ」、「イイエ」および「メニュへモドル」の記載のうちいずれか1つを指示するカーソル123が表示される。図示の例では、カーソル123は、「ハイ」の記載を指示している。カーソル123が指示する記載は、つまみ部41を回すことで変更できる。
【0034】
吐出量の設定をやり直す場合は、つまみ部41を回して、カーソル123を「イイエ」に合わせて、スイッチ面44を押す。これにより、画面51には、吐出量入力画面110が表示される。メニュー画面100に戻る場合は、カーソル123を「メニュヘモドル」に合わせて、スイッチ面44を押す。これにより、画面51には、メニュー画面100が表示される。
【0035】
つまみ部41を回して、カーソル123を「ハイ」に合わせて、スイッチ面44を押す。これにより、制御部30は、ポンプ20に動作開始の信号を出力する。
【0036】
(雨量計の試験方法)
以下、試験器1の雨量計モードによって、雨量計4の精度を試験する試験方法について説明する。雨量計4を試験する試験方法は、雨量計4に、試験器1を用いて水を一定の吐出速度で吐出して供給する供給工程と、試験器1の水の吐出量と雨量計4による雨量の計測値との比較を行う比較工程と、を備えている。
【0037】
供給工程では、ポンプ20は、設定した一定の吐出速度(50mm/h)で水を吐出する。これにより、雨量計4の受水ロート内に、水が正確な滴下周期で滴下されて供給される。水の吐出量が10mmに達すると、制御部30は、ポンプ20に動作停止の信号を出力する。ポンプ20は、動作を停止する。
【0038】
比較工程では、その後、表示部50に表示された試験器1の水の吐出量と、雨量計4の監視トレンド画面に表示された雨量の計測値と、を比較する。試験器1の水の吐出量と雨量計4による雨量の計測値との誤差を計測する。試験器1の水の吐出量と雨量計4による雨量の計測値との誤差から、雨量計4の精度の良否を判断する。具体的には、試験器1の水の吐出量と雨量計4による雨量の計測値との誤差が、0.5mm以内であれば高精度(正常)であると判断する。
このようにして、雨量計4の精度が試験される。
雨量計4の精度が低下している場合、雨量計4に対して、修理や一部の交換、校正等を行い、雨量計4の精度を正常値に戻す。
【0039】
(降雨強度計モード)
続いて、図1から図3図6から図8に基づいて、降雨強度計6を試験する試験器1の降雨強度計モードを説明する。
まず、図2に示すように、試験対象の降雨強度計6の付近に試験器1および水が収容されているタンク5を配置する。吸入チューブ23の他端をタンク5内の水に浸ける。吐出チューブ24の他端を降雨強度計6の受水ロート内に配置する。電源スイッチ3をONにして、試験器1を起動する。バッテリ2から制御部30に電気が供給される。制御部30から表示部50に信号が送信される。
【0040】
図3に示すように、表示部50の画面51にメニュー画面100が表示される。
図6に示すように、つまみ部41を回して、カーソル104を「キョウド」に合わせて、スイッチ面44を押す。これにより、試験器1は降雨強度計モードに設定される。
【0041】
図7に示すように、画面51に吐出速度入力画面130(降雨強度入力画面)が表示される。吐出速度入力画面130には、バッテリインジケーター101と、画面51の長手方向に延びる「キョウドヲニュウリョク」の記載と、設定吐出速度(設定降雨強度)(mm/h)と、が表示される。図示の例では、設定吐出速度が1mm/hとして表示されている。
つまみ部41を回して、設定吐出速度を10mm/hに設定する。使用者から見てつまみ部41を右に回すと数値が増加し、つまみ部41を左に回すと数値が減少する。
【0042】
図8に示すように、画面51に吐出速度確認画面140(降雨強度確認画面)が表示される。吐出速度確認画面140には、バッテリインジケーター101と、吐出速度確認部141(降雨強度確認部)と、操作決定部142と、が表示される。
吐出速度確認部141は、画面51の長手方向に沿って延びている。吐出速度確認部141には、設定吐出速度を確認する表示される。図示の例では、吐出速度確認部141には、「10mm/hデOK?」の記載が表示されている。
【0043】
操作決定部142は、画面51の長手方向に沿って延びている。操作決定部142には、「ハイ」、「イイエ」および「メニュへモドル」の記載が長手方向に間隔をあけて表示されている。「ハイ」、「イイエ」および「メニュへモドル」の記載のうちいずれか1つを指示するカーソル143が表示される。図示の例では、カーソル143は、「ハイ」の記載を指示している。カーソル143が指示する記載は、つまみ部41を回すことで変更できる。
【0044】
吐出速度の設定をやり直す場合は、つまみ部41を回して、カーソル143を「イイエ」に合わせて、スイッチ面44を押す。これにより、画面51には、吐出速度入力画面130が表示される。メニュー画面100に戻る場合は、カーソル143を「メニュヘモドル」に合わせて、スイッチ面44を押す。これにより、画面51には、メニュー画面100が表示される。
【0045】
つまみ部41を回して、カーソル143を「ハイ」に合わせて、スイッチ面44を押す。これにより、制御部30は、ポンプ20に動作開始の信号を出力する。
【0046】
(降雨強度計の試験方法)
以下、試験器1の降雨強度計モードによって、降雨強度計6の精度を試験する試験方法について説明する。降雨強度計6を試験する試験方法は、降雨強度計6に、試験器1を用いて水を一定の吐出速度で吐出して供給する供給工程と、試験器1の水の吐出速度と降雨強度計6による降雨強度の計測値との比較を行う比較工程と、を備えている。
【0047】
供給工程では、ポンプ20は、設定した一定の吐出速度(10mm/h)で水を吐出する。これにより、降雨強度計6の受水ロート内に、水が正確な滴下周期で滴下されて供給される。計測を終了させたいタイミングでスイッチ面44を押すと、ポンプ20は動作を停止する。
【0048】
比較工程では、その後、表示部50に表示された試験器1の水の吐出速度と、降雨強度計6の監視トレンド画面に表示された降雨強度の計測値と、を比較する。試験器1の水の吐出速度と降雨強度計6による降雨強度の計測値との誤差を計測する。試験器1の水の吐出速度と降雨強度計6による降雨強度の計測値との誤差から、降雨強度計6の精度の良否を判断する。
このようにして、降雨強度計6の精度が試験される。
降雨強度計6の精度が低下している場合、降雨強度計6に対して、修理や一部の交換、校正等を行い、降雨強度計6の精度を正常値に戻す。
【0049】
(設定モード)
続いて、図1から図3図9から図11に基づいて、試験器1自体の校正を行う設定モードを説明する。
まず、雨量計モードを校正する場合を説明する。
まず、図2に示すように、試験器1の付近に、水が収容されたタンク5および例えば500mL容量の空のメスシリンダー7を配置する。吸入チューブ23の他端をタンク5内の水に浸ける。吐出チューブ24の他端をメスシリンダー7内に配置する。電源スイッチ3をONにして、試験器1を起動する。続いて、雨量計モードで、例えば10mm分の水量をメスシリンダー7内へ供給する。
【0050】
メスシリンダー7内の水量が314mLであれば、校正は不要と判断する。ただし、メスシリンダー7内の水量が314mLよりも多いまたは少ない場合は、校正が必要と判断する。
【0051】
校正が必要な場合、図3に示すように、表示部50の画面51にメニュー画面100を表示させる。つまみ部41を回してカーソル104を「セッテイ」に合わせ、スイッチ面44を押す。これにより、試験器1は設定モードに設定される。
【0052】
図9に示すように、画面51に第1設定画面150が表示される。第1設定画面150には、バッテリインジケーター101と、画面51の長手方向に延びる「セッテイ」の記載と、設定選択部151と、が表示される。「セッテイ」の記載は、試験器1が設定モードにあることを示している。
【0053】
設定選択部151は、画面51の長手方向に沿って延びている。設定選択部151には、「P/mm」、「ホセイ」および「BTチェック」の記載が長手方向に間隔をあけて表示されている。「P/mm」、「ホセイ」および「BTチェック」の記載のうちいずれか1つを指示するカーソル152が表示される。図示の例では、カーソル152は、「P/mm」の記載を指示している。カーソル152が指示する記載は、つまみ部41を回すことで変更できる。
つまみ部41を回してカーソル152を「P/mm」に合わせ、スイッチ面44を押す。
【0054】
図10に示すように、画面51に第2設定画面160が表示される。第2設定画面160には、バッテリインジケーター101と、画面51の長手方向に延びる「Pulse/mmセッテイ」の記載と、雨量1mmあたりのポンプ動作指令回数(P/mm)と、が表示される。図示の例では、雨量1mmあたりのポンプ動作指令回数が429P/mmとして表示されている。
つまみ部41を回して、雨量1mmあたりのポンプ動作指令回数の値を適切な値に変更する。このようにして、試験器1の雨量計モードが校正される。
【0055】
続いて、降雨強度計モードを校正する場合を説明する。
まず、図2に示すように、試験器1の付近に、水が収容されたタンク5およびメスシリンダー7を配置する。吸入チューブ23の他端をタンク5内の水に浸ける。吐出チューブ24の他端をメスシリンダー7内に配置する。例えば、ストップウォッチ(不図示)等、時間を計測できるものを別途用意する。
電源スイッチ3(図1参照)をONにして、試験器1を起動する。降雨強度計モードで例えば吐出速度を60mm/hに設定して、メスシリンダー7内へ水を供給する。ストップウォッチを使用して、10分丁度で水の供給を停止させる。
【0056】
メスシリンダー7内の水量が314mLであれば、校正は不要と判断する。ただし、メスシリンダー7内の水量が314mLよりも多いまたは少ない場合は、校正が必要と判断する。
【0057】
校正が必要な場合、図3に示すように、表示部50の画面51にメニュー画面100を表示させる。つまみ部41を回してカーソル104を「セッテイ」に合わせ、スイッチ面44を押す。これにより、試験器1は設定モードに設定される。
【0058】
図9に示すように、画面51に第1設定画面150が表示される。つまみ部41を回してカーソル152を「補正」に合わせ、スイッチ面44を押す。
【0059】
図11に示すように、画面51に第3設定画面170が表示される。第3設定画面170には、バッテリインジケーター101と、画面51の長手方向に延びる「ホセイスウヲニュウリョク」の記載と、現在の補正度と、が表示される。図示の例では、補正度が「10%ホセイ」と表示されている。
つまみ部41を回して、補正度を適切な値に変更する。このようにして、試験器1の降雨強度計モードが校正される。
【0060】
(作用効果)
このように、本実施形態において、試験方法は、雨量計4に、試験器1を用いて一定の吐出速度で水を吐出する吐出工程を備えている。これにより、人手で雨量計4に水を吐出する場合と比較して、容易に水の吐出速度を一定に維持できる。このため、例えば雨量計4を試験する場合、試験中に水の吐出速度が急激に上昇して、水が雨量計4から零れ出ることを抑制できる。したがって、雨量計4に異常が無い場合、試験器1の水の吐出量と雨量計4の試験の計測値との誤差は、雨量計4に異常がある場合と比較して、極めて小さくなる。さらに、試験方法は、試験器1の水の吐出量と雨量計4による計測値との比較を行う比較工程を備えている。これにより、試験器1の水の吐出量と雨量計4による計測値との誤差を計測できる。ここで、雨量計4に異常が無い場合、試験器1の水の吐出量と雨量計4の試験の計測値との誤差は、雨量計4に異常がある場合と比較して、極めて小さくなる。このため、試験器1の水の吐出量と雨量計4による計測値との誤差を見ることにより、雨量計4の精度を試験できる。したがって、人手で試験を行う場合と比較して、容易に雨量計4の精度を試験できる。これにより、試験を行う者によって、試験の結果に違いが生じることを抑制できる。
【0061】
また、この構成によれば、試験方法は、降雨強度計6に、試験器1を用いて一定の吐出速度で水を吐出する吐出工程を備えている。これにより、人手で降雨強度計6に水を吐出する場合と比較して、容易に水の吐出速度を一定に維持できる。このため、例えば降雨強度計6を試験する場合、試験中に水の吐出速度が急激に変化することを抑制できる。したがって、降雨強度計6に異常が無い場合、試験器1の水の吐出速度と降雨強度計6の試験の計測値との誤差は、降雨強度計6に異常がある場合と比較して、極めて小さくなる。さらに、試験方法は、試験器1の水の吐出速度と降雨強度計6による計測値との比較を行う比較工程を備えている。これにより、試験器1の水の吐出速度と降雨強度計6による計測値との誤差を計測できる。ここで、降雨強度計6に異常が無い場合、試験器1の水の吐出量と降雨強度計6の試験の計測値との誤差は、降雨強度計6に異常がある場合と比較して、極めて小さくなる。このため、試験器1の水の吐出量と降雨強度計6による計測値との誤差を見ることにより、降雨強度計6の精度を試験できる。したがって、人手で試験を行う場合と比較して、容易に降雨強度計6の精度を試験できる。これにより、試験を行う者によって、試験の結果に違いが生じることを抑制できる。
【0062】
本実施形態では、試験器1は、水を一定の吐出速度で吐出するポンプ20を備えている。
この構成によれば、試験器1を使用することで、雨量計4に水を一定の吐出速度で吐出できる。これにより、人手で雨量計4に水を吐出する場合と比較して、容易に水の吐出速度を一定に維持できる。このため、例えば雨量計4を試験する場合、試験中に水の吐出速度が急激に上昇して、水が雨量計4から零れ出ることを抑制できる。したがって、雨量計4に異常が無い場合、試験器1の水の吐出量と雨量計4の試験の計測値との誤差は、雨量計4に異常がある場合と比較して、極めて小さくなる。よって、試験器1の水の吐出量と雨量計4による計測値との誤差を見ることにより雨量計4の精度を試験できるので、人手で試験を行う場合と比較して、容易に雨量計4の精度を試験できる。これにより、試験を行う者によって、試験の結果に違いが生じることを抑制できる。
【0063】
また、この構成によれば、試験器1を使用することで、降雨強度計6に水を一定の吐出速度で吐出できる。これにより、人手で降雨強度計6に水を吐出する場合と比較して、容易に水の吐出速度を一定に維持できる。このため、例えば降雨強度計6を試験する場合、試験中に水の吐出速度が急激に変化することを抑制できる。したがって、降雨強度計6に異常が無い場合、試験器1の水の吐出速度と降雨強度計6の試験の計測値との誤差は、降雨強度計6に異常がある場合と比較して、極めて小さくなる。よって、試験器1の水の吐出速度と降雨強度計6による計測値との誤差を見ることにより降雨強度計6の精度を試験できるので、人手で試験を行う場合と比較して、容易に降雨強度計6の精度を試験できる。これにより、試験を行う者によって、試験の結果に違いが生じることを抑制できる。
【0064】
本実施形態では、ポンプ20は、水を一定の吐出量だけ吐出する。
この構成によれば、ポンプ20による水の吐出量よりも大容量の雨量計4に試験器1を使用する場合、水が雨量計4から溢れることを抑制できる。
また、この構成によれば、雨量計4を試験する場合、目的の吐出量だけ水を吐出した時にポンプ20を停止させる必要がないため、ポンプ20が水を吐出し続ける場合と比較して容易に雨量計4を試験できる。したがって、ポンプ20が水を吐出し続ける場合と比較して容易に雨量計4の精度を試験できる。これにより、試験を行う者によって、試験の結果に違いが生じることを抑制できる。
【0065】
本実施形態では、試験器1は、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量を調節する調節部40を備えている。
この構成によれば、試験する雨量計4および降雨強度計6に応じて、水の吐出速度および吐出量を調節できる。これにより、試験器1を用いて試験できる雨量計4および降雨強度計6の選択肢を増やすことができる。
【0066】
本実施形態では、試験器1は、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量を制御する制御部30を備えている。調節部40は、ポンプ20に対して回転可能なつまみ部41と、つまみ部41の回転位置を検出し、つまみ部41の回転位置に基づいて、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量を調節する情報を制御部30に出力する検出部42と、を有している。
この構成によれば、つまみ部41を回転させることにより、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量の少なくとも一方を調節できる。これにより、例えばテンキーによりポンプ20による水の吐出速度および吐出量を入力して調節する場合と比較して、容易にポンプ20による水の吐出速度および吐出量を調節できる。
【0067】
本実施形態では、試験器1は、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量を表示する表示部50を備えている。
本態様によれば、表示部50にポンプ20による水の吐出速度および吐出量が表示されない場合と比較して、容易に試験器1の水の吐出量と雨量計4による計測値との誤差、または試験器1の水の吐出速度と降雨強度計6による計測値との誤差を見ることができる。したがって、表示部50にポンプ20による水の吐出速度および吐出量が表示されない場合と比較して、容易に雨量計4および降雨強度計6の精度を試験できる。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0069】
上述した実施形態では、試験器1で点検される雨量計4、降雨強度計6は、例えばそれぞれ転倒枡型の雨量計、滴下型の降雨強度計である。しかしながら、試験器1で点検される雨量計4および降雨強度計6は、これに限られない。
【0070】
上述した実施形態では、試験器1は、筐体10を備えているとしたが、これに限られない。試験器1は、筐体10を備えていなくてもよい。
【0071】
上述した実施形態では、バッテリ2は、例えば円柱状の乾電池であるとしたが、これに限られない。また、バッテリ2は、バッテリ収容部11に4本収容されているとしたが、これに限られない。バッテリ2の本数は、適宜変更可能である。
【0072】
上述した実施形態では、雨量計4を試験する場合のみ、ポンプ20は、水を一定の吐出量だけ吐出していたが、これに限られない。例えば、降雨強度計6を試験する場合にも、ポンプ20は、水を一定の吐出量だけ吐出していてもよい。この場合、ポンプ20による水の吐出量よりも大容量の降雨強度計6に試験器1を使用する場合、水が降雨強度計6から溢れることを抑制できる。
【0073】
上述した実施形態では、ポンプ20は、制御部30によって水の吐出速度および吐出量が制御されているとしたがこれに限られない。例えば、試験器1は、制御部30を備えておらず、ポンプ20は、吐出速度と、一度の起動で吐出できる水の吐出量とが予め決まっており、それぞれ変更不可であってもよい。
【0074】
上述した実施形態では、制御部30は、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量の両方を制御するとし、検出部42は、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量の両方を調節する情報を制御部に30に出力するとしたがこれに限られない。例えば、制御部30は、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量の一方のみを制御し、検出部42は、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量の一方のみを調節する情報を制御部30に出力してもよい。
【0075】
上述した実施形態では、調節部40は、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量の両方を調節していたが、これに限られない。調節部40は、例えば、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量の一方のみを調節するものであってもよい。
【0076】
上述した実施形態では、調節部40は、筐体10に対して回転可能なつまみ部41と、つまみ部41の回転位置を検出する検出部42と、を有しているとした。しかしながら、これに限られない。例えば、調節部40は、テンキーと、テンキーへの入力を検出し、制御部30に出力する検出部と、を有してもよい。
【0077】
上述した実施形態では、表示部50の画面51は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)であるとしたが、これに限られない。画面51は、例えば機EL(Electrо Luminescence)ディスプレイや電子泳動方式ディスプレイ等であってもよい。
【0078】
上述した実施形態では、表示部50は、制御部30の制御および調節部40による操作に応じた画像を表示する画像表示装置としたが、これに限られない。表示部50は、筐体10の第二面10b上であって、調節部40のつまみ部41の周囲に記された複数の目盛と、つまみ部41に設けられ、一の目盛を示す矢印状の指示部と、で構成されてもよい。この場合、筐体10の第二面10b上であって、目盛の付近には、ポンプ20によって吐出される水の吐出量および吐出速度を示す数値が記載されている。
【0079】
上述した実施形態では、表示部50は、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量の両方を表示するとしたが、これに限られない。表示部50は、例えば、ポンプ20による水の吐出速度および吐出量の一方のみを表示してもよい。
【0080】
上述した実施形態では、タンク5は、例えばポリタンクであるとしたが、これに限られない。タンク5は、水を収容できる容器であればよく、例えばペットボトルでもあってもよい。
【0081】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…試験器
4…雨量計
6…降雨強度計
20…ポンプ
30…制御部
40…調節部
41…つまみ部(操作部)
42…検出部
50…表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11