(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】交通システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240409BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240409BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20240409BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240409BHJP
G06T 7/215 20170101ALI20240409BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
G08G1/16 D
B60W40/04
G06T7/00 650B
G06T7/215
(21)【出願番号】P 2020094391
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】郭 暁琳
(72)【発明者】
【氏名】亢 健
(72)【発明者】
【氏名】関谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 領
(72)【発明者】
【氏名】夏目 充啓
(72)【発明者】
【氏名】神田 規史
(72)【発明者】
【氏名】田村 亮
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-27645(JP,A)
【文献】特開2010-68466(JP,A)
【文献】特開2016-57998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノードを備え、前記複数のノードの間で通信可能な交通システムであって、
前記複数のノードは、複数のワーカノード、及び少なくとも1つのマネージャノードを含み、
複数の前記ワーカノードは、道路上又は道路に面した位置にあるノード配置物体に配置され、
前記ワーカノード(3)は、
少なくとも、前記ノード配置物体の状態に関する情報を表す物体情報と、前記ノード配置物体の周辺に存在する周辺物体を検出する周辺センサによる検出結果と、を少なくとも含む情報を交通情報として生成する交通情報生成部(S4)と、
前記交通情報を送信する情報送信部(S5)と、を備え、
前記マネージャノード(5)は、
複数の前記ワーカノードから複数の前記交通情報を受信するマネージャ受信部(S110)と、
複数の前記交通情報に基づいて、前記ワーカノードの一部である対象ノードの周辺に存在する前記周辺物体である対象物体の前記検出結果と推定される結果候補が同一の前記周辺物体を表す前記検出結果であるか否かを判定し、同一の前記周辺物体を表すと判定された前記検出結果に基づいて前記周辺物体の位置を推定する同一判定部(S210)と、
推定された前記周辺物体の位置を用いた支援情報を生成して送信するマネージャ送信部(S240)と、
を備え、
当該交通システムは、
前記周辺物体の特徴を表す情報を特徴情報として生成する特徴生成部(S3)
を備え、
前記同一判定部は、前記特徴情報に基づいて、それぞれの前記結果候補が表す前記対象物体の前記特徴が類似する場合に、抽出した前記結果候補が同一の前記周辺物体を表す前記検出結果であると判定
し、
前記特徴生成部は、
少なくとも、前記周辺物体の移動に伴って発生する
前記周辺物体の少なくとも一部の速度又は加速度の時間的な変化に基づいて特定される、特徴となる周波数を検出し、検出された前記周波数で表される振動
を前記特徴情報
として生成し、
前記同一判定部は、
少なくとも、それぞれの前記結果候補が表す前記対象物体の前記振動
を表す前記周波数が類似する場合に、前記対象物体が同一であると判定する、交通システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の交通システムであって、
前記交通情報は、前記周辺物体の種別を表す情報を含んでおり、
前記同一判定部は、それぞれの前記結果候補が表す前記対象物体の種別が歩行者であるとき、それぞれの前記結果候補が表す前記対象物体の前記振動
を表す前記周波数が類似する場合に、前記対象物体が同一の歩行者であると判定する、交通システム。
【請求項3】
請求項1
又は請求項
2に記載の交通システムであって、
前記特徴生成部は、前記周辺物体の態様を前記周辺物体の特徴として検出し、検出した前記態様を表す前記特徴情報を生成し、
前記同一判定部は、それぞれの前記結果候補が表す前記対象物体の前記態様が類似する場合に、前記対象物体が同一であると判定する、交通システム。
【請求項4】
請求項
3に記載の交通システムであって、
前記交通情報は、前記周辺物体の種別を表す情報を含んでおり、
前記同一判定部は、それぞれの前記結果候補が表す前記対象物体の種別が歩行者以外で
あるとき、それぞれの前記結果候補が表す前記態様が一致する場合に、前記対象物体が歩行者以外の同一の物体であると判定する、交通システム。
【請求項5】
請求項
3又は請求項
4に記載の交通システムであって、
前記態様は、前記対象物体の形態を表す、交通システム。
【請求項6】
請求項
3から請求項
5のいずれか一項に記載の交通システムであって、
前記態様は、前記対象物体が位置する環境を表す、交通システム。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の交通システムであって、
前記複数のワーカノードは、前記ワーカノード(3)を第1ワーカノードとして、前記第1ワーカノード(3)と、前記第1ワーカノードとは異なる第2ワーカノード(4)と、を含み、
前記第2ワーカノードは、
前記第2ワーカノードが備えるセンサによって検出された位置であって前記第2ワーカノードが配置された前記ノード配置物体の位置を表す個別ノード位置と、前記第2ワーカノードが配置された前記ノード配置物体の移動に伴って発生する特徴を表す個別特性情報と、前記第2ワーカノードを識別するための個別識別情報と、を含む情報を個別情報として生成する個別情報部(S30)と、
前記個別情報を前記マネージャノードに送信する個別送信部(S40)と、を備え、
前記マネージャノードでは、
前記マネージャ受信部は、前記第1ワーカノードから前記交通情報を受信し、前記第2ワーカノードから前記個別情報を受信し、
前記第2ワーカノードから受信した前記個別特性情報と、前記同一判定部によって位置が推定された前記周辺物体に対応付けられた前記特徴情報と、が類似する場合に、推定された前記周辺物体の位置を前記第2ワーカノードが配置された前記ノード配置物体の位置として決定する個別決定部(S250)と、
を更に備える、交通システム。
【請求項8】
請求項
7に記載の交通システムであって、
前記個別決定部によって位置が決定された前記第2ワーカノードに、前記第2ワーカノードの安全を支援する支援情報を送信する支援送信部(S270)、
を更に備える、交通システム。
【請求項9】
請求項
7又は請求項
8に記載の交通システムであって、
前記第2ワーカノードの前記ノード配置物体は歩行者である、交通システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は交通システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に交通システムに関する技術が開示されている。交通システムは、複数のノードを備え、複数のノードのうちの少なくとも一部のノードは、物体を検出可能なセンサを備える。交通システムは、ノード間で、物体の検出結果等を表す情報を送受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交通システムでは、複数のノードのうちの少なくとも一部のノードは、物体の検出結果等を表す情報に基づいて、物体の位置等を推定するように構成され得る。検出対象として複数の物体が含まれる場合、これらの物体が近接していると、複数の物体が単一の物体として誤って検出されて物体の検出精度が低下するおそれがある。本開示の1つの局面では、近接する物体の検出精度の低下を抑制できる交通システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの局面は、複数のノードを備え、複数のノードの間で通信可能な交通システムである。複数のノードは、複数のワーカノード、少なくとも1つのマネージャノードを含む。複数のワーカノードは、道路上又は道路に面した位置にあるノード配置物体に配置される。ワーカノード(3)は、交通情報生成部(S4)と、情報送信部(S5)と、を備える。
【0006】
交通情報生成部は、少なくとも、ノード配置物体の状態に関する情報を表す物体情報と、ノード配置物体の周辺に存在する周辺物体を検出する周辺センサによる検出結果と、を少なくとも含む情報を交通情報として生成する。情報送信部は、交通情報を送信する。
【0007】
マネージャノード(5)は、マネージャ受信部(S110)と、同一判定部(S210)と、マネージャ送信部(S240)と、を備える。マネージャ受信部は、複数のワーカノードから複数の交通情報を受信する。
【0008】
同一判定部は、複数の交通情報に基づいて、ワーカノードの一部である対象ノードの周辺に存在する周辺物体である対象物体の検出結果と推定される結果候補が同一の周辺物体を表す検出結果であるか否かを判定する。同一判定部は、同一の周辺物体を表すと判定された検出結果に基づいて周辺物体の位置を推定する。マネージャ送信部は、推定された周辺物体の位置を用いた支援情報を生成して送信する。
【0009】
当該交通システムは、周辺物体の特徴を表す情報を特徴情報として生成する特徴生成部(S3)を備える。同一判定部は、特徴情報に基づいて、それぞれの結果候補が表す対象物体の特徴が類似する場合に、抽出した結果候補が同一の周辺物体を表す検出結果であると判定する。
【0010】
本開示の1つの局面である交通システムでは、近接する位置に存在する物体について、これらが同一の物体であるか、又は複数の物体であるか、を特徴情報に基づいて特定することができる。この結果、近接する物体の検出精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態の交通システムの構成を表すブロック図。
【
図2】第1ワーカノードが実行する処理を表すフローチャート。
【
図3】周辺物体の移動に伴う振動を説明する説明図。
【
図4】第2ワーカノードが実行する処理を表すフローチャート。
【
図5】第2ワーカノードのノード配置物体の移動に伴う振動を説明する説明図。
【
図6】マネージャノードが実行する処理を表すフローチャート。
【
図7】第1実施形態の作動を説明するための説明図。
【
図8】第1実施形態における同一の対象物体の判定を説明するための説明図。
【
図9】第2実施形態の交通システムの構成を表すブロック図。
【
図10】第2実施形態のマネージャノードが実行する処理を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書中でいう「一致」とは、厳密な意味での一致に限るものではなく、同様の効果を奏するのであれば厳密に一致でなくてもよい。
【0013】
<第1実施形態>
1.構成
交通システム1の構成を、
図1に基づき説明する。
図1に示すように、交通システム1は、複数のワーカノードと、マネージャノード5と、を備える。ワーカノード及びマネージャノード5はノードに対応する。複数のワーカノードは、第1ワーカノード3と、第1ワーカノード3とは異なる第2ワーカノード4とを備える。
【0014】
図1では便宜上、1つの第1ワーカノード3と1つの第2ワーカノード4とを記載しているが、交通システム1は複数の第1ワーカノード3と少なくとも1つの第2ワーカノード4とを備える。また、
図1では便宜上、1つのマネージャノード5を記載しているが、交通システム1は複数のマネージャノード5を備えていてもよい。
【0015】
任意の第1ワーカノード3は、少なくとも、他の第1ワーカノード3及びマネージャノード5と、ネットワーク7を介して通信可能である。任意の第2ワーカノード4は、少なくとも、他の第2ワーカノード4、及びマネージャノード5と、ネットワーク7を介して通信可能である。また、任意のマネージャノード5は、第1ワーカノード3、第2ワーカノード4、及び他のマネージャノード5と、ネットワーク7を介して通信可能である。
【0016】
<第1ワーカノード3>
第1ワーカノード3は、ノード配置物体9に配置される。ノード配置物体9は、道路上の位置、又は道路に面した位置にある。ノード配置物体9として、例えば、車両、道路インフラ等が挙げられる。以下でいう道路インフラには、例えば、信号機、道路に面した位置に設置された固定物等、種々の物体が含まれ得る。
【0017】
第1ワーカノード3は、制御部11と、センサ13と、送受信機15と、を備える。制御部11は、CPU17と、例えば、RAM又はROM等の半導体メモリ(以下、メモリ19とする)と、を有するマイクロコンピュータを備える。
【0018】
制御部11の各機能は、CPU17がメモリ19に格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部11は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。制御部11は、後述する
図2に示す処理を実行し、制御部11の機能を実現する。
【0019】
センサ13は、物体検出センサ131と、周辺検出センサ132と、を備える。物体検出センサ131は、ノード配置物体9の状態に関する情報を検出することができる。状態に関する情報として、例えば、位置、速度、加速度、移動方向、等が挙げられる。物体検出センサ131として、例えば、位置を検出可能なGPS装置、移動方向を検出可能なナビゲーション装置、車速センサ、加速度センサ等、といった種々のセンサが挙げられる。
【0020】
周辺検出センサ132は、周辺物体を検出することができる。周辺物体とは、ノード配置物体9の周辺に存在する物体である。周辺物体として、例えば、車両、歩行者、動物、道路上の白線、道路近辺の壁等といった、種々の物体が挙げられる。以下でいう歩行者には、歩行する人の他に、自転車等に乗車している人も含まれる。周辺物体は、他の第1ワーカノード3や第2ワーカノード4が配置されたノード配置物体9であってもよいし、ノード配置物体9以外の物体であってもよい。
【0021】
周辺検出センサ132として、例えば、カメラ、探査波センサが上げられる。ここでいう探査波センサには、光を用いるライダーやレーザレーダ、光以外の電磁波を用いるミリ波レーダや超音波センサ、等が挙げられる。
【0022】
送受信機15は、ネットワーク7を介して、他の第1ワーカノード3及びマネージャノード5と通信を行う。通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
<第2ワーカノード4>
第2ワーカノード4は、ノード配置物体9に配置される。本実施形態では、第2ワーカノード4のノード配置物体9は、道路上の位置、又は道路に面した位置に存在する、歩行者である。第2ワーカノード4は、例えばスマートフォン等といった、歩行者によって携帯される携帯端末であり得る。
【0023】
第2ワーカノード4は、第1ワーカノード3と同様に構成されるが、第1ワーカノード3とは異なり周辺検出センサ132を備えない。すなわち、第2ワーカノード4は、制御部21と、センサ23と、送受信機25と、を備える。制御部21は、CPU27と、例えば、RAM又はROM等の半導体メモリ(以下、メモリ29とする)と、を有するマイクロコンピュータを備える。
【0024】
制御部21の各機能は、CPU27がメモリ29に格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部21は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。制御部21は、後述する
図4に示す処理を実行し、制御部21の機能を実現する。
【0025】
センサ23は、物体検出センサ231を備える。物体検出センサ231は、第2ワーカノード4のノード配置物体9の状態に関する情報を検出することができる。状態に関する情報として、例えば、位置、速度、加速度、移動方向、等が挙げられる。物体検出センサ231として、例えば、位置を検出可能なGPS装置、加速度センサ、等、といった種々のセンサが挙げられる。
【0026】
送受信機25は、ネットワーク7を介して、他の第2ワーカノード4及びマネージャノード5と通信を行う。通信は、無線通信である。
<マネージャノード5>
マネージャノード5は、制御部41と、送受信機43と、を備える。制御部41は、CPU45と、例えば、RAM又はROM等の半導体メモリ(以下、メモリ47とする)と、を有するマイクロコンピュータを備える。
【0027】
制御部41の各機能は、CPU45がメモリ47に格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部41は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。制御部41は、後述する
図5に示す処理を実行し、制御部41の機能を実現する。
【0028】
送受信機43は、ネットワーク7を介して、第1ワーカノード3及び他のマネージャノード5と通信を行う。また、送受信機43は、ネットワーク7を介して、第2ワーカノード4及び他のマネージャノード5と通信を行う。通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
【0029】
2.処理
2_1.第1ワーカノード3が実行する処理
それぞれの第1ワーカノード3において制御部11が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を、
図2に基づき説明する。
【0030】
図2のステップ(以下、Sと記載する)1では、制御部11が、上述の物体検出センサ131を用いて、第1ワーカノード3が搭載されたノード配置物体9の状態を検出し、物体情報(以下、物体情報IBという)を取得する。制御部11は、続いて、処理をS2に移行させる。物体情報IBは、ノード配置物体9の状態に関する情報を表す。例えば、本実施形態では、物体情報IBは、ノード配置物体9の状態としての位置を表す情報であるものとする。位置は、例えば、GPSに基づく絶対位置であるものとする。但し、物体情報IBが表すノード配置物体9の状態は、上述のように種々の状態であってよく、これに限定されるものではない。
【0031】
S2では、制御部11が、周辺検出センサ132を用いて周辺物体を検出し、周辺物体の検出結果(以下、検出結果ICという)を取得する。制御部11は、続いて、処理をS3に移行させる。本実施形態では、制御部11は、周辺物体の位置、周辺物体の種別、を検出結果ICとするように構成される。但し、検出結果ICは、これに限定されるものではない。
【0032】
以下、本実施形態では、第1ワーカノード3が、ライダー、レーザレーダ、ミリ波レーダ、といった探査波センサのうちの少なくとも1つ(例えば、ライダー)とカメラとを周辺検出センサ132として備えるものとして、説明する。すなわち、制御部11は、撮像画像に基づいて、又は、探査波による周辺物体からの反射波の受信強度に基づいて、周辺物体の位置、種別、を検出結果ICとして生成する。
【0033】
検出結果ICにおいて、周辺物体の位置は、座標によって表されてもよいし、周辺検出センサ132からみた周辺物体までの距離と方位とによって表されてもよい。座標は、絶対座標であってもよいし、予め定められた基準点からみた相対座標であってもよい。なお、本実施形態では、位置は、絶対座標で表されるものとする。
【0034】
検出結果ICに含まれる周辺物体の種別は、例えば、歩行者、車両、建物等といった、周辺物体の属性を表す。種別は、周辺検出センサ132によって、周辺物体の色、大きさ、形状等に基づいて推定されてもよいし、周辺物体の速度等に基づいて推定されてもよい。
【0035】
S3では、制御部11が、第1ワーカノード3(すなわち、第1ワーカノード3が配置されたノード配置物体9)の周辺物体の特徴を検出し、検出した周辺物体の特徴を表す情報を特徴情報(以下、特徴情報ID)として生成する。そして、制御部11は、処理をS4へ移行させる。
【0036】
本実施形態では、制御部11は、周辺物体の移動に伴って発生する振動を周辺物体の特徴として検出し、検出した振動を表す特徴情報IDを生成する。周辺物体の移動に伴って発生する振動は、ライダー、レーザレーダ、ミリ波レーダといった探査波センサによって検出することができる。
【0037】
例えば、周辺物体の移動に伴って発生する振動を周辺物体の特徴として検出する場合、
図3に示すように周辺物体が歩行者であるとすると、周辺物体の移動に伴って発生する振動は、移動に伴う歩行者の身体又は身体の一部の動きによる振動である。歩行者の身体の一部としては、例えば、頭、肩、ひじ、手、腰、膝、踵、つま先等、が挙げられる。
【0038】
図3において、例えば、グラフ101は歩行者の手の加速度が、102は歩行者の足(すなわち、踵又はつま先)の加速度が、時間に伴って変化する様子を示す。加速度の単位は、m/s
2である。また、グラフ103は、歩行者の手の加速度及び足の加速度の平均である平均加速度が、時間に伴って変化する様子を示す。手の加速度、足の加速度、手及び足の平均加速度、は個々の歩行者によって異なる。そこで、制御部11は、このような周辺物体の移動に伴って発生する振動(すなわち、加速度)を周辺物体の特徴として検出し、検出した振動を表す特徴情報IDを生成する。
【0039】
本実施形態では、特に、手及び足の平均加速度の時間的な変化に基づいて、例えばFFT等によって特徴となる周波数を検出し、検出した特徴となる周波数を、振動を表す情報として用いる。FFTは、高速フーリエ変換の略である。例えば、占める割合が最も大きい周波数成分を特徴となる周波数として検出してもよい。
【0040】
制御部11は、周辺物体の位置を検出し、検出した位置における周辺物体の振動を検出し、検出した振動を周辺物体の検出結果ICに対応する特徴情報IDとして用いる。なお、制御部11は、加速度に代えて速度(すなわち、単位はm/s)を用いてもよい。又、第1ワーカノード3がカメラを備える本実施形態では、連続して取得した複数の撮像画像から、周辺物体の移動に伴って発生する振動を検出してもよい。
【0041】
又、本実施形態では、更に、制御部11は、周辺物体の態様を周辺物体の特徴として検出し、検出した態様を表す特徴情報IDを生成する。態様を表す特徴情報IDは1つであっても複数であってもよい。態様とは、例えば、形態(すなわち、対象物体の形態)や、位置する状況(すなわち、対象物体の位置する状況)等、をいう。形態には、色、形、大きさ、等が含まれる。周辺物体の種々の態様は、カメラやカメラ以外のセンサによって検出可能である。
【0042】
以下において、周辺検出センサ132としてのカメラを備える本実施形態では、例えば、周辺物体の色を表す情報が、(すなわち、態様を表す特徴情報IDとして)特徴情報IDに更に含まれるものとして、説明する。制御部11は、周辺物体の位置を検出し、カメラによる撮像画像において検出した位置に対応する周辺物体の色を特定し、特定した色を、検出結果ICに対応する特徴情報IDとして用いる。但し、これに限定されず、周辺物体の態様を表す情報は、種々の情報であり得る。
【0043】
S4では、制御部11が、交通情報IAを生成する。交通情報IAは、物体情報IB、検出結果ICを少なくとも含む。以下において、本実施形態では、交通情報IAは、上述のS1-S3の処理で生成した物体情報IBと、検出結果ICと、特徴情報IDとを含むものとして、説明する。但し、交通情報IAに含まれる情報はこれに限定されるものではない。
【0044】
検出結果ICには、検出結果ICを検出するために用いられた周辺検出センサ132ごとに、この周辺検出センサ132によって検出された周辺物体の数ぶんの検出結果ICが含まれる。
【0045】
例えば、第1ワーカノード3が、カメラとライダーとを周辺検出センサ132として備え、それぞれの周辺検出センサ132によって1つの周辺物体を検出するとする。この例では、カメラによって検出された1つの周辺物体の検出結果ICと、ライダーによって検出された1つの周辺物体の検出結果ICと、が交通情報IAに含まれる検出結果ICとなる。なお、それぞれの周辺検出センサ132によって検出された周辺物体は、同一の周辺物体である場合も、異なる周辺物体である場合も、あり得る。交通情報IAに含まれる情報は、互いに対応づけられている。
【0046】
S5では、制御部11は、交通情報IAに含まれる情報を、互いに対応づけた状態で、送信する。交通情報IAの送信対象には、少なくともマネージャノード5が含まれる。送信対象には、他の第1ワーカノード3が含まれていてもよい。
【0047】
S6では、制御部11が、統合情報を受信する処理を実行する。統合情報とは、後述するように、マネージャノード5が送信する情報である。統合情報には、少なくとも、マネージャノード5によって生成された、後述する対象物体の位置を表した統合地図情報が含まれる。なお、後述するように、対象物体は、マネージャノード5によって対象ノードとして特定された第1ワーカノード3の周辺物体である。対象ノードは当該第1ワーカノード3であり得るし、対象物体は当該第1ワーカノード3の周辺物体であり得る。
【0048】
S7では、制御部11が、統合情報に基づいて、処理を実行する。例えば、制御部11は、統合地図情報に示される周辺物体の位置に応じて、第1ワーカノード3の安全を支援するための、所定の処理を実行してもよい。所定の処理としては、例えば、第1ワーカノード3が車両に搭載される場合(すなわち、ノード配置物体9が車両である場合)、ノード配置物体9である車両に対し、周辺物体から退避する制御を指示する処理であってもよい。これにより、ノード配置物体9である車両は、指示された行動を実行する。
【0049】
また、所定の処理としては、例えば、ノード配置物体9である車両に対し、ドライバに対象物体の存在の報知を指示する処理であってもよい。これにより、ドライバは、対象物体の存在を認識することができる。なお、所定の処理は、これらに限定されるものではない。
【0050】
2_2.第2ワーカノード4が実行する処理
それぞれの第2ワーカノード4が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を、
図4に基づき説明する。
【0051】
図4のS10では、制御部21が、物体検出センサ231を用いて、第2ワーカノード4が搭載されたノード配置物体9(例えば、本実施形態では歩行者)の位置を表す情報を、個別ノード位置として取得する。制御部21は、続いて、処理をS20に移行させる。個別ノード位置は、例えば、GPSに基づく絶対位置であるものとする。但し、位置を表す情報は、これに限定されるものではない。
【0052】
S20では、制御部21が、第2ワーカノード4が配置されたノード配置物体9の移動に伴って発生する特徴を検出し、該特徴を表す個別特性情報を生成する。制御部21は、第2ワーカノード4のノード配置物体9(すなわち、本実施形態では歩行者)の移動に伴って発生する振動を検出し、移動に伴って発生する振動を表す個別振動情報を個別特性情報として取得する。移動に伴って発生する振動は、例えば
図5に示すように、第2ワーカノード4が備える加速度センサによって検出することができる。
【0053】
図5において、グラフ201は加速度センサによって検出されるノード配置物体9(すなわち、歩行者)の加速度が、時間に伴って変化する様子を示す。制御部21は、上述の第1ワーカノード3の場合と同様に、加速度の時間的な変化に基づいて、例えばFFT等によって特徴となる周波数を検出し、検出した特徴となる周波数を、振動を表す情報として用いる。例えば、グラフ202に示すように、占める割合が最も大きい周波数成分を特徴となる周波数として検出してもよい。
【0054】
S30では、制御部21は、個別ノード位置と、個別特性情報としての上述の個別振動情報と、第2ワーカノード4を識別するための個別識別情報と、を含む情報を個別情報として生成する。個別情報では、個別ノード位置と、個別特性情報と、個別識別情報と、が互いに対応付けられている。
【0055】
S40では、制御部21は、個別情報をマネージャノード5に送信する。
S50では、制御部21は、支援情報を受信する処理を実行する。支援情報とは、後述するように、マネージャノード5が当該制御部21を備える第2ワーカノード4に送信する情報である。支援情報は、当該制御部21を備える第2ワーカノード4の安全を支援するための情報である。支援情報としては、例えば、ノード配置物体9である歩行者に対し、近づいてくる車両についての報知を指示する内容であってもよい。
【0056】
S60では、制御部21は、支援情報に基づく処理を行う。例えば、支援情報が、近づいてくる車両についての報知を指示する内容である場合、制御部21は第2ワーカノード4に報知を実行させる。これにより、第2ワーカノード4のノード配置物体9としての歩行者は、近づいてくる車両の存在を認識することができる。なお、支援情報は、これに限定されるものではなく、種々の情報であり得る。
【0057】
2_3.マネージャノード5が実行する処理
マネージャノード5が所定時間ごとに繰り返し実行する処理を、
図6に基づき説明する。
図6のS100では、制御部41が、送受信機43を用いて、複数の第1ワーカノード3から複数の交通情報IAを受信する。
【0058】
S110では、制御部41が、送受信機43を用いて、第2ワーカノード4から個別情報を受信する。
S120では、制御部41が、S110にて受信した複数の交通情報IAに含まれる複数の検出結果ICのうちから、結果候補を抽出する。結果候補は、対象ノードの周辺に存在する個々の対象物体を表すと推定される、検出結果ICである。例えば、本実施形態では検出結果ICは位置を表す情報であるので、結果候補は、対象物体の位置を表すと推定される情報である。
【0059】
制御部41は、まず、対象ノードを特定し、対象物体に関すると推定される検出結果ICを結果候補として抽出する。対象ノードは、第1ワーカノード3の少なくとも一部である。対象物体は、対象ノードの周辺に存在する周辺物体である。
【0060】
例えば、制御部41は、複数の第1ワーカノード3のうち、車両に配置された第1ワーカノード3を対象ノードとして特定してもよい。制御部41は、第1ワーカノード3が車両に搭載されているか否かを、受信した交通情報IAのうち物体情報IBに含まれる種別に基づいて特定することができる。但し、対象ノードは、任意の種類のノード配置物体9に搭載された第1ワーカノード3であってよい。
【0061】
制御部41は、複数の第1ワーカノード3から送信される検出結果ICのうちから、ある1つの第1ワーカノード3を対象ノードとして、該対象ノードを中心とする所定の対象領域内に含まれる検出結果ICを、対象物体に関する検出結果ICとして抽出する。第1ワーカノード3の位置は物体情報IBに含まれる位置(すなわち、ノード配置物体9の位置)により特定できる。
【0062】
ここでいう対象物体は、単数であっても複数であってもよい。対象領域は、予め定められた半径の円形の領域であってもよい。半径は、例えば、数m-数百mであってもよい。但し、領域の半径、形状は、これに限定されるものではない。
【0063】
そして、制御部41は、上述の対象物体に関する複数の検出結果ICのうち、予め定められた相対的に狭い個体領域内に含まれる複数の検出結果ICを、結果候補として抽出する。結果候補とは、上述のように、同一の対象物体に関する検出結果ICを表していると推定される、検出結果ICである。すなわち、結果候補は、ある1つの対象物体に関する検出結果IC、の候補とされる検出結果ICである。
【0064】
個体領域は、予め定められた半径の円形の領域であってもよい。半径は、例えば、数十分の1m-数mであってもよい。但し、個体領域の半径、形状は、これに限定されるものではない。同一の対象物体に関する検出結果ICを抽出する処理は、これに限定されるものではない。
【0065】
なお、対象ノードは単数であってもよいし、複数であってもよい。対象ノードが複数である場合、マネージャノード5は、それぞれの対象ノードについて、S120-S270の処理を実行することができる。また、1つの対象ノードに対して、対象物体は単数であってもよいし、複数であってもよい。対象物体が複数である場合、マネージャノード5は、それぞれの対象物体について、S120-S270の処理を実行することができる。
【0066】
S130では、制御部41は、受信した交通情報IAにおいて、S120にて抽出された結果候補(すなわち、位置を表す情報)とともに検出結果ICに含まれる、周辺物体(すなわち、ここでいう対象物体)の種別を表す情報を取得する。
S140では、制御部41は、S130にて取得した対象物体の種別を表す情報に基づいて、対象物体が歩行者であるか否かを判定する。制御部41は、対象物体の種別が歩行者であると判定される場合に処理をS150へ移行させ、対象物体の種別が歩行者でないと判定される場合に処理をS160へ移行させる。対象物体の種別が歩行者でないと判定される場合には、対象物体が、例えば車両や道路インフラである場合が含まれる。
【0067】
ここで、S150では、制御部41は、上述の特徴情報IDにおける振動(すなわち、物体の移動に伴って発生する振動)を特徴項目として設定し、処理をS170へ移行させる。特徴項目は、後述するように(すなわち、S180において)、複数の結果候補のうちから同一の対象物体の検出結果ICを特定するために用いられる項目である。
【0068】
一方、S160では、制御部41は、上述の特徴情報IDにおける態様(すなわち、物体の形態)を特徴項目として設定し、処理をS170へ移行させる。本実施形態では、制御部41は、物体の色を特徴項目として設定する。但し、本ステップにて設定される特徴項目は、これに限定されるものではない。特徴項目は、上述の態様を表す項目、すなわち、形、大きさ等といった物体の形態や、後述する物体の位置する環境を表す項目であり得る。
【0069】
S170では、制御部41は、結果候補に対応付けられた特徴情報IDのうち、特徴項目の特徴情報IDを取得する。
S180では、制御部41は、全ての結果候補に対応付けられた特徴情報IDが類似するか否かを判定する。ここでいう「類似」には「一致」することを含む。制御部41は、全ての結果候補に対応付けられた特徴情報IDが類似する場合、処理をS190へ移行させ、全ての結果候補に対応付けられた特徴情報IDが類似しない場合、処理をS200へ移行させる。
【0070】
S190では、制御部41は、全ての結果候補を、同一の対象物体の検出結果ICであると判定し、処理をS210へ移行させる。同一の対象物体の検出結果ICとは、1つ(すなわち、単数)の対象物体を表す検出結果ICである。
【0071】
S200では、制御部41は、全ての結果候補のうち、特徴情報IDが類似する検出結果IC同士をグループ分けし、特徴情報IDが類似する検出結果IC同士を同一の対象物体の検出結果ICであると判定し、処理をS210へ移行させる。
【0072】
S210では、制御部41は、同一の対象物体の検出結果ICに基づいて、該対象物体の位置を特定する。例えば、検出結果ICが位置を表す本実施形態では、これらの位置の中央位置や、これらの位置それぞれに適宜重み付けを行って算出した位置等が、同一の対象物体の位置として特定され得る。
【0073】
すなわち、S180-S210では、制御部41は、歩行者を対象物体とする結果候補に対しては、結果候補に対応付けられた上述の振動を表す周波数が類似する場合、全ての結果候補が同一の対象物体に関する検出結果ICであると判定する。ここでいう類似とは、対応付けられた複数の周波数が、予め定められた大きさの差(すなわち、偏差)内に含まれること、をいうものとする。
【0074】
又、制御部41は、歩行者以外(例えば、車両等)を対象物体とする結果候補に対しては、結果候補に対応付けられた上述の態様(例えば、色)が類似する場合、全ての結果候補が同一の対象物体に関する検出結果ICであると判定する。ここでいう類似とは、一致であってもよい。
【0075】
これにより、相対的に狭い個体領域内に複数の対象物体が含まれる場合に、これらの対象物体が1つではなく複数であると認識される。例えば、対象物体が歩行者であるとすると、複数の歩行者が近接している場合、これらの対象物体が1つではなく複数であると認識される。また例えば、対象物体が車両等であるとすると、複数の車両等が近接している場合、これらの対象物体が1つではなく複数であると認識される。
【0076】
S220では、制御部41は、S210にて位置が特定された対象物体について、該対象物体に対応付けられた特徴情報IDと、該対象物体の近くに位置する第2ワーカノード4から送信された個別特性情報と、が類似するか否かを判定する。ここで、制御部41は、類似しないと判定された場合、上述の対象物体は上述の第2ワーカノード4ではないと特定して、処理をS230へ移行させる。一方、制御部41は、類似すると判定された場合、上述の対象物体は上述の第2ワーカノード4であると特定して、処理をS250へ移行させる。
【0077】
S230では、制御部41は、統合情報を生成する。統合情報は、上述のように、統合地図情報を含む。統合地図情報とは、上述の対象物体の位置を示す情報である。位置は、例えば、絶対座標で表され得る。
S240では、制御部41は、S230にて生成した統合情報を送信する。送信先は、対象ノードである第1ワーカノード3であり得る。又は、送信先は対象ノード以外の第1ワーカノード3であり得る。又は、送信先は第2ワーカノード4であり得る。制御部41は、以上で処理を終了する。
【0078】
S250では、制御部41は、第2ワーカノード4の位置を、S210にて特定した対象物体の位置として特定し、該第2ワーカノード4から受信した個別情報に含まれる個別識別情報を取得する。
S260では、制御部41は、支援情報を生成する。支援情報は、S250にて位置を特定した第2ワーカノード4の安全を支援するための情報である。制御部41は、例えば、該第2ワーカノード4のノード配置物体9である歩行者に対して接近する車両の有無を検出し、接近する車両について歩行者への報知を指示する支援情報を生成してもよい。但し、支援情報はこれに限定されるものではない。
【0079】
S270では、制御部41は、S250にて位置を特定した第2ワーカノード4に、S260にて生成した支援情報を送信する。第2ワーカノード4へ支援情報を送信する際は、該第2ワーカノード4の個別識別情報が用いられてもよい。制御部41は、以上で処理を終了する。
2_4.作動
以上説明した交通システム1について、
図7-
図8を用いて、第1ワーカノード3、第2ワーカノード4、マネージャノード5の作動について説明する。説明のための例として、
図7では、交通システム1は、図示されないマネージャノード5と、2つの第1ワーカノード3a、3bと、2つの第2ワーカノード4a、4bと、を備える。2つの第1ワーカノード3a、3bと、2つの第2ワーカノード4a、4bとは、十字路に位置している。第2ワーカノード4a、4bは、十字路の角において、個別領域内に含まれる程度に、近接している。
【0080】
第1ワーカノード3aは第1車両91をノード配置物体9とし、第1ワーカノード3bは第2車両92をノード配置物体9とする。第2ワーカノード4aは第1歩行者701をノード配置物体9とし、第2ワーカノード4bは第2歩行者702を配置物体とする。
【0081】
ここで、第1ワーカノード3aがマネージャノード5へ送信する交通情報IAには、前方の第1歩行者701を周辺物体として、周辺物体の位置及び周辺物体の種別(すなわち、歩行者)を示す検出結果IC、第1歩行者701の移動に伴う振動を表す特徴情報ID、が含まれている。第1ワーカノード3aは、第2歩行者702を検出していないものとする。
【0082】
一方、第1ワーカノード3bがマネージャノード5へ送信する交通情報IAには、前方の第2歩行者702を周辺物体として、周辺物体の位置及び周辺物体の種別(すなわち、歩行者)を示す検出結果IC、第2歩行者702の移動に伴う振動を表す特徴情報ID、が含まれている。第2歩行者702の移動に伴う振動を表す特徴情報IDは、第1歩行者701の移動に伴う振動を表す特徴情報IDとは、異なる。第1ワーカノード3bは、第1歩行者701を検出していないものとする。
【0083】
この場合、マネージャノード5は、全ての結果候補の特徴情報IDが類似していないと判定して(すなわち、S180にて肯定判定して)、特徴情報IDが類似する結果候補に基づいて、同一の対象物体の検出結果ICから、これらの位置を特定する。すなわち、第1ワーカノード3aから送信された検出結果ICに基づいてある対象物体の位置が特定され、第1ワーカノード3bから送信された検出結果ICに基づいてある対象物体の位置が特定される。
このようにして、マネージャノード5によって、第1車両91に搭載された第1ワーカノード3aによって検出された対象物体と第2車両92に搭載された第1ワーカノード3bによって検出された対象物体とが、別物体として検出され、それぞれ位置が特定される。
【0084】
続いて(すなわち、S220にて)、マネージャノード5は、位置が特定された対象物体の特徴情報IDが、特定された位置近くの第2ワーカノード(すなわち、第2ワーカノード4a又は第2ワーカノード4b)の個別特性情報と、類似するか否かを判定する。
【0085】
つまり、マネージャノード5は、
図8に示すように、例えば、第1車両91に搭載された第1ワーカノード3aによって検出された対象物体の特徴情報IDが、この位置近くの複数の第2ワーカノード4a、4bから受信した個別特性情報のうちいずれと類似するか、を特定する。本実施形態でいう特徴情報ID、個別特性情報は、いずれも、対象物体(すなわち、歩行者)の移動に伴う振動を表す情報(例えば、周波数)である。
【0086】
ここで、仮に、位置が特定された対象物体に近接する第2ワーカノード4が存在しない場合、又は、近接する第2ワーカノード4が存在したとしても特徴情報IDと個別特性情報とが一致しない場合、マネージャノード5は、位置が特定された対象物体は第2ワーカノード4ではないと、判定する。この場合(すなわち、S230では)、マネージャノード5は、別物体として判定されたそれぞれの対象物体の位置を示す統合地図情報を生成し、統合地図情報を含む統合情報を送信する。統合情報を受信した第1ワーカノード3(又は第2ワーカノード4)は、統合地図情報に従って、作動することができる。
【0087】
一方、
図8に示す状況において、マネージャノード5は、例えば、第1車両91に搭載された第1ワーカノード3aによって検出された対象物体の特徴情報IDと、第2ワーカノード4aから受信した個別特性情報とが類似する場合に、第1ワーカノード3aによって検出された対象物体が第1歩行者701である、と特定できる。同様に、マネージャノード5は、例えば、第2車両92に搭載された第1ワーカノード3bによって検出された対象物体の特徴情報IDと、第2ワーカノード4bから受信した個別特性情報とが類似する場合に、第1ワーカノード3bによって検出された対象物体が第1歩行者701である、と特定できる。
この場合(すなわち、S260では)、マネージャノード5は、個別識別情報に基づいて、第1歩行者701の安全を支援する支援情報を生成して第1歩行者701に送信し、第2歩行者702の安全を支援する支援情報を生成して第2歩行者702に送信する。支援情報を受信した第2ワーカノード4a、4bは、それぞれ、支援情報に従って、作動することができる。
【0088】
3.効果
(1A)交通システム1は、マネージャノード5と、第1ワーカノード3と、第2ワーカノード4とを備える。複数の第1ワーカノード3は、S4では、交通情報IAを生成し、少なくともマネージャノード5に送信する。交通情報IAには、第1ワーカノード3が配置されたノード配置物体9の状態に関する情報を表す物体情報IBと、ノード配置物体9の周辺に存在する周辺物体を検出する周辺検出センサ132による周辺物体の検出結果ICと、特徴情報IDと、第1ワーカノード3を識別するための物体識別情報IEと、を含む。ここで、特徴情報IDは、第1ワーカノード3において、特徴生成部としてのS3にて、周辺物体の特徴を検出し、検出した周辺物体の特徴を表す情報として生成されたものである。マネージャノード5は、同一判定部としてのS210では、受信した複数の交通情報IAのうちから結果候補を抽出する。
【0089】
同一判定部は、抽出した結果候補が同一の周辺物体を表す検出結果ICであるか否かを判定し、同一の周辺物体を表すと判定された検出結果ICに基づいて周辺物体の位置を推定する。同一判定部は、特に、特徴情報IDに基づいて、それぞれの結果候補が表す対象物体の特徴が類似する場合に、抽出した結果候補が同一の周辺物体を表す検出結果ICであると判定する。
【0090】
これにより、例えば周辺検出センサ132による検出精度(すなわち、周辺検出センサ132の検出精度の低さ)に応じて近接して存在するものとしてほぼ同一の位置に検出された周辺物体についても、これらが真に同一(すなわち、1つ)の物体であるか、又は複数の物体であるか、を特徴情報IDに基づいて検出することができる。特徴情報IDは、物体毎に異なるためである。この結果、近接する物体の検出精度の低下を抑制することができる。
【0091】
ここで、仮に、上述の
図7の例において、マネージャノード5とは異なり同一判定部を備えない比較のための装置(以下、比較装置)が、第1ワーカノード3a、3bによる検出結果ICによって示される位置に、第1歩行者701のみが存在すると誤って判定するとする。つまり、第1歩行者701と第1歩行者701とが同一である(すなわち、第1歩行者701である)と誤って判定するとする。この場合、比較装置によって生成される地図情報(以下、統一地図情報)には、第2歩行者702が存在することが反映されないとする。
【0092】
複数のノードが備える複数のセンサそれぞれによる検出結果ICに基づいて生成される統一地図情報は精度が高いものとして、このような統一地図情報に基づいて地上に位置する車両やインフラ等が一斉に作動するような交通システムが考えられる。しかしながら、比較装置による統一地図情報に基づくこのような交通システムにおいては、不都合が生じるおそれがある。例えば、上述のように誤った統一地図情報に基づいて、第1車両91が、第2歩行者702が存在しないものとして左折するような場合である。実際には第2歩行者702が存在するので、左折した第1車両91と第2歩行者702とが衝突するおそれが生じ得る。
【0093】
これに対し、本実施形態のマネージャノード5は、上述のように、特徴情報IDに基づいて、抽出したそれぞれの結果候補が表す対象物体の特徴が類似する場合に、抽出した結果候補が同一の周辺物体を表す検出結果ICであると判定する。換言すれば、抽出したそれぞれの結果候補が表す対象物体の特徴が類似しない場合に、抽出した結果候補が異なる周辺物体を表す検出結果ICであると判定する。この結果、マネージャノード5は、上述のように、近接する物体が真に同一の物体であるか、又は複数の物体であるか、を特徴情報IDに基づいて検出することができ、近接する物体の検出精度の低下を抑制することができる。
【0094】
(1B)交通システム1は、複数の第1ワーカノード3と、少なくとも1つの第1ワーカノード3とは異なる第2ワーカノード4とを備える。第2ワーカノード4は、周辺検出センサ132を備えないノードである。つまり、上述の検出結果ICを生成しないノードである。第2ワーカノード4は、個別情報を生成しマネージャノード5に送信する。個別情報には、個別ノード位置と、個別特性情報と、個別識別情報と、が含まれる。
【0095】
マネージャノード5は、個別決定部としてのS250では、第2ワーカノード4から受信した個別特性情報と、同一判定部によって位置が推定された周辺物体に対応付けられた特徴情報IDと、が類似する場合に、推定された周辺物体の位置を第2ワーカノード4の位置として決定する。つまり、第2ワーカノード4のノード配置物体9の位置として決定する。これにより、近接する周辺物体を個別に検出し、識別する(すなわち、それぞれの第2ワーカノード4を特定する)ことができる。
【0096】
(1C)マネージャノード5は、支援送信部としてのS270では、個別決定部によって位置が決定された第2ワーカノード4に、第2ワーカノード4の安全を支援する支援情報を送信する。これにより、近接する周辺物体それぞれに対して、それぞれに適した支援情報を送信することができる。
【0097】
(1D)本実施形態では、第2ワーカノード4のノード配置物体9は歩行者である。歩行者は、車両等よりも小さく、これらが近接する場合には周辺検出センサ132によって個別に認識することが困難である。マネージャノード5は、上述のように特徴情報IDを用いて、近接する歩行者をそれぞれ個別に検出することができる。
【0098】
(1E)同一判定部によって用いられる特徴情報IDは、周辺物体としての歩行者の移動に伴って発生する振動を表す情報である。又、個別特性情報は、歩行者の移動に伴って発生する振動を表す情報である。これにより、移動に伴って発生する振動に基づいて、近接する複数の歩行者を精度よく個別に検出し識別することができる。
【0099】
(1F)マネージャノード5では、第2ワーカノード4から受信した個別特性情報と、同一判定部によって位置が推定された周辺物体に対応付けられた特徴情報と、が類似するか否かを判定する際(すなわち、S220)に用いられる特徴情報は、第2ワーカノード4のノード配置物体9としての歩行者の移動に伴って発生する振動を表す情報であり得る。同一判定部は、それぞれの結果候補が表す対象物体の種別が歩行者であるとき、それぞれの結果候補が表す対象物体(すなわち、歩行者)の移動に伴う振動が類似する場合に、対象物体が同一の歩行者であると判定する。これにより、近接する歩行者を個別に精度よく検出することができる。
【0100】
(1G)マネージャノード5では、同一判定部は、それぞれの結果候補が表す対象物体の種別が歩行者でないとき、それぞれの結果候補が表す対象物体(すなわち、車両や道路インフラ等)の態様(例えば、色)が類似する場合に、対象物体が同一であると判定する。これにより、近接する歩行者以外の対象物体を個別に精度よく検出することができる。
【0101】
なお、上述の実施形態において、マネージャノード5、第1ワーカノード3、第2ワーカノード4が複数のノードに相当し、第1ワーカノード3、第2ワーカノード4がワーカノードに相当する。また、S3が特徴生成部としての処理に相当し、S4が交通情報生成部としての処理に相当し、S5が情報送信部としての処理に相当する。S30が個別情報部としての処理に相当し、S40が個別送信部としての処理に相当する。また、S110がマネージャ受信部としての処理に相当し、S210が同一判定部としての処理に相当し、S240がマネージャ送信部としての処理に相当し、S250が個別決定部としての処理に相当し、S270が支援送信部としての処理に相当する。
【0102】
<2.第2実施形態>
1.構成
第2実施形態以降の実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0103】
上述の実施形態では、交通システム1は、第1ワーカノード3と、第2ワーカノード4とを備えていた。これに対し、
図9に示すように、本実施形態の交通システム2は、複数の第1ワーカノード3を備え、第2のワーカノード4を備えない点で、交通システム1とは異なる。なお、
図9には、便宜上、交通システム2が2つの第1ワーカノード3を備えるように示されているが、第1ワーカノード3は3以上であり得る。
【0104】
2.処理
2.1 第1ワーカノード3が実行する処理
第1ワーカノード3では、制御部11は、第1実施形態の第1ワーカノード3と同様に構成される。
【0105】
2.2 マネージャノード5が実行する処理
上述の相違点に伴い、マネージャノード5が実行する処理では、例えば
図10に示すように、
図6の処理からS110が削除され、S220、S250-S270が削除されてS210に続いてS230が実行される。
【0106】
すなわち、マネージャノード5では、制御部41は、第1ワーカノード3から受信した交通情報IAのみに基づいて、特徴情報IDを用いて同一の対象物体であるか否かを判定して対象物体の位置を特定し、特定した位置に基づく統合情報を送信する。ここでいう統合情報は、例えば、統合地図情報である。
【0107】
3.効果
(2A)交通システム2では、上述の(1A)と同様の効果を得ることができる。つまり、近接する物体が同一であるか否か(すなわち、単数であるか複数であるか)が検出され、この結果、近接する物体の検出精度の低下を抑制することができる。更に、交通システム2では、第2ワーカノード4を備えないため、簡易な構成とすることができる。
【0108】
なお、上述の実施形態において、マネージャノード5、第1ワーカノード3が複数のノードに相当し、第1ワーカノード3がワーカノードに相当する。
<第3実施形態>
1.構成
上述の第1実施形態の交通システム1では、第1ワーカノード3において、制御部11は、S2では、制御部11が特定した周辺物体の位置(例えば、絶対位置)と周辺物体の種別とを検出結果ICとして生成した。また、制御部11は、S3では周辺物体の特徴情報IDを生成した。
【0109】
これに対し、図示しない第3実施形態の交通システムでは、制御部11は、周辺検出センサ132によって検出されたデータ(以下、検出データともいう)そのものを検出結果ICとして用いる点で、第1実施形態と相違する。また、本実施形態の交通システムでは、マネージャノード5にて制御部41が、複数の第1ワーカノード3から送信される複数の検出結果IC(すなわち、検出データ)に基づいて、第1ワーカノード3の周辺物体の位置、周辺物体の種別、周辺物体の特徴情報ID、を生成する点が、第1実施形態とは異なる。
【0110】
2.処理
2-1.第1ワーカノード3が実行する処理
第1ワーカノード3では、制御部11は、
図2のフローチャートからS3が削除された処理を実行する。但し、一部の処理の内容は第1実施形態と相違する。以下では、主に第1実施形態との相違点について説明し、同様の点については説明を一部省略する。
【0111】
S1では、制御部11は、第1実施形態と同様に、物体情報IBを取得する。
S2では、制御部11は、検出結果ICを取得する。但し、ここでいう検出結果ICは、上述のように、検出データである。例えば、第1ワーカノード3は、カメラを周辺検出センサ132として備える場合、カメラによって撮像された撮像画像を表すデータを検出結果ICとして用いる。例えば、第1ワーカノード3は、ミリ波レーダ、レーザレーダ等といった探査波センサを周辺検出センサ132として用いる場合、出力したレーダ波が周辺物体によって反射された反射波の受信強度を表すデータが検出結果ICとして用いる。
【0112】
続くS4では、制御部11は、交通情報IAを生成する。本実施形態の交通情報IAには、少なくとも、物体情報IB、検出データである検出結果ICが含まれる。交通情報IAには、更に、物体識別情報IE、搭載センサ情報IF、が含まれ得る。
【0113】
物体識別情報IEは、それぞれの第1ワーカノード3を識別する情報である。交通情報IAに物体識別情報IEが含まれる場合、交通情報IAを受信するマネージャノード5は、交通情報IAの生成元である第1ワーカノード3を物体識別情報IEによって識別することができる。
【0114】
搭載センサ識別情報IFは、マネージャノード5が周辺検出センサ132による検出データに基づいて周辺物体の位置や種別や特徴情報IDを検出するために必要となる、周辺検出センサ132に関する情報である。搭載センサ識別情報IFは、例えば、周辺検出センサ132を識別するための識別情報を含むものであり得る。搭載センサ識別情報IFは、例えば、周辺検出センサ132の検知範囲を特定するための情報、探査波センサの照射タイミングを表す情報、等といった種々の情報を含むものであり得る。
【0115】
S5では、制御部11は、交通情報IAを送信する。
S6では、制御部11は、統合情報を受信する。
S7では、制御部11は、統合情報に基づく処理を実行し、以上で処理を終了する。
【0116】
2-2.第2ワーカノード4が実行する処理
本実施形態の第2ワーカノード4は、第1実施形態の第2ワーカノード4と同様に構成される。
【0117】
2-3.マネージャノード5が実行する処理
マネージャノード5では、制御部41は、
図6のフローチャートに従って処理を実行する。但し、一部の処理は第1実施形態と相違する。以下では、主に第1実施形態との相違点について説明し、同様の点については説明を一部省略する。
【0118】
S100では、制御部41は、第1ワーカノード3から、交通情報IAを受信する。交通情報IAに含まれる検出結果ICは、上述のように、検出データである。
S110では、制御部41は、第2ワーカノード4から、個別情報を受信する。
【0119】
S120では、結果候補を抽出する。制御部41は、まず、各第1ワーカノード3から送信される検出結果IC(すなわち、検出データ)に基づいて、例えば第1実施形態の制御部11と同様にして、各第1ワーカノード3の周辺物体の位置と周辺物体の種別とを特定する。なお、制御部41は、異なる複数の第1ワーカノード3から送信される複数の検出結果IC(すなわち、検出データ)に基づいて、ある第1ワーカノード3の周辺物体の位置と周辺物体の種別とを特定してもよい。
【0120】
そして、制御部41は、第1実施形態と同様にして、対象ノードを特定し、対象物体を表すと推定される位置を表す情報を、結果候補として抽出する。結果候補として抽出される情報は、上述のように、対象ノードから見て対象領域内に含まれ、且つ、個別領域内に含まれる位置を表す情報である。
【0121】
S130では、制御部41は、S120にて特定された、結果候補が表す周辺物体の種別を取得する。
S140-S160では、第1実施形態と同様に、結果候補が表す周辺物体の種別が歩行者であるか否かに応じて、異なる特徴項目を設定する。
【0122】
S170では、制御部41は、例えば第1実施形態の制御部11と同様にして、結果候補が表す周辺物体の特徴情報IDを生成する。特徴情報IDには、物体の移動に伴う振動を表す情報、物体の態様を表す情報、が含まれる。そして、制御部41は、結果候補が表す周辺物体の特徴情報IDのうちから、特徴項目の特徴情報IDを取得する。
S180では、制御部41は、第1実施形態と同様にして、全ての結果候補が表す対象物体の特徴情報IDが類似するか否かに応じて、これらの結果候補が1つの同一対象物体の検出結果ICであるのか、複数の同一対象物体の検出結果ICであるのか、を特定する。
【0123】
S190以降では、制御部41は、第1実施形態と同様に、処理を実行する。
3.効果
(3A)本実施形態の交通システムにおいても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。更に、交通システムでは、マネージャノード5が、第1ワーカノード3に代わって、周辺物体の位置や周辺物体の種別、周辺物体の特徴情報IDを、複数の(すなわち、数多くの)検出データに基づいて特定する。このため、周辺物体の位置や周辺物体の種別、周辺物体の特徴情報IDの検出精度を向上させることができる。また、第1ワーカノード3を簡易に構成することができる。
【0124】
ところで、第3実施形態の交通システムは、第2実施形態と同様に、第1ワーカノード3のみを備え、第2ワーカノード4を備えないように構成されてもよい。この場合は、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0125】
なお、上述の実施形態において、S170が特徴生成部としての処理に相当する。
<8.他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0126】
(1)上述の第1実施形態では、交通システム1において、第1ワーカノード3が少なくとも1つの探査波センサとカメラとを備えていたが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0127】
第1ワーカノード3は探査波センサのみを備えていてもよい。探査波センサのみを備える第1ワーカノード3では、制御部11は、S1において、反射波の受信強度に基づいて、周辺物体の位置、周辺物体の種別を検出結果ICとして生成し、処理をS3へ移行するように構成され得る。
【0128】
また、第1ワーカノード3はカメラのみを備えていてもよい。カメラのみを備える第1ワーカノード3では、制御部11は、S1において、カメラによる撮像画像に基づいて周辺物体の位置、周辺物体の種別、を検出結果ICとして生成し、処理をS3へ移行するように構成され得る。
【0129】
(2)上述の第1実施形態では、交通システム1において、第1ワーカノード3では、制御部11がS2において、ノード配置物体9の位置を含む物体情報IBを生成したが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0130】
例えば、制御部11は、ノード配置物体9の位置とノード配置物体9の種別(すなわち、車両、自転車、道路インフラ等といった属性)を表す情報とを物体情報IBとして生成してもよい。そして、マネージャノード5において、制御部41が、例えば車両といったように、該物体情報IBに基づいて対象ノードのノード配置物体9の種別を特定し、種別に応じた統合情報を生成し対象ノードに送信するように構成されてもよい。
【0131】
(3)上述の第1実施形態では、制御部11は、S3では、周辺物体の振動を表す情報に加えて更に、周辺物体の形態(例えば、色)を表す特徴情報IDを生成した。これに対し、制御部11は、S3では、周辺物体の形態を表す特徴情報IDに代えて、又は周辺物体の形態を表す特徴情報IDに加えて更に、周辺物体の位置する状況(すなわち、周辺物体の環境)を表す特徴情報IDを生成してもよい。すなわち、特徴情報IDには、周辺物体の位置する環境を表す情報が含まれ得る。
【0132】
例えば、周辺検出センサ132としてのカメラを備える第1ワーカノード3は、周辺物体の背景画像を、周辺物体の環境を表す特徴情報IDとして用いてもよい。制御部11は、周辺物体の位置を検出し、カメラによる撮像画像において検出した位置に対応する周辺物体の背景画像を特定し、特定した背景画像を、検出結果IC(例えば、周辺物体の位置)に対応する特徴情報IDとして用いてもよい。但し、これに限定されず、周辺物体の位置する環境を表す情報は、種々の情報であり得る。
【0133】
マネージャノード5では、制御部41は、S150において、周辺物体の移動に伴う振動に代えて、又はそれに加えて更に、周辺物体の態様を表す情報を特徴項目として用いるように構成されてもよい。ここでいう態様を表す情報には、周辺物体の形態を表す特徴情報ID、周辺物体の環境を表す特徴情報ID、が含まれ得る。
【0134】
また、制御部41は、S160において、周辺物体の態様に代えて、又はそれに加えて更に、周辺物体の環境を表す情報を特徴項目として用いるように構成されてもよい。
そして、制御部41は、S180にて、これらの特徴項目が表す特徴情報IDに基づいて、結果候補の類似(すなわち、結果候補が同一の対象物体の検出結果ICであるか否か)を判定してもよい。
【0135】
(4)上述の第1実施形態では、第1ワーカノード3では、制御部11は、S6では、統合情報を受信するように構成されたが、本開示はこれに限定されるものではない。制御部11は、S4にてマネージャノード5に送信する交通情報IAに、制御部11を備える第1ワーカノード3のノード配置物体9を個々に識別可能な情報を含む物体情報IBを含めて送信してもよい。識別可能とは、情報の送信先として特定可能であることを含む。この場合は、S6にて受信する統合情報には、上述の統合地図情報に加えて、又は統合地図情報に代えて、例えば行動指示が含まれていてもよい。
【0136】
行動指示は、統合地図上に示される物体の位置と送信先である第1ワーカノード3の位置とに応じて、送信先である第1ワーカノード3の安全を支援するための、所定の処理を実行させるための指示である。第1ワーカノード3が車両に搭載される場合、所定の処理には、例えば、統合地図上に示される物体からの退避処理や、ドライバへの物体に関する報知等が含まれ得る。
【0137】
第1ワーカノード3では、制御部11は、受信した行動指示に従って、ノード配置物体9に行動を指示するように構成され得る。
(5)上述のように、制御部41は、受信した交通情報IAのうち、物体情報IBに含まれる種別が車両である交通情報IAを、車両に配置された第1ワーカノード3から送信された交通情報IAであると特定してもよい。但し、本開示はこれに限定されない。例えば、第1ワーカノード3では、制御部11は、S4において、種別を含めず位置のみを表す物体情報IBと、検出結果ICと、特徴情報IDと、更に物体識別情報IEと、を含める交通情報IAを生成してもよい。
【0138】
物体識別情報IEは、それぞれの第1ワーカノード3が配置されたノード配置物体9を個々識別するための情報である。マネージャノード5では、制御部41は、ノード配置物体9の種別と、物体識別情報IEとを対応づけた情報を、予めメモリ47に記憶していてもよい。これにより、制御部41は、受信した物体識別情報IEとメモリ47に記憶されている該情報とに基づいて、交通情報IAの送信元の第1ワーカノード3の種別を特定してもよい。
【0139】
(6)第1ワーカノード3は、マネージャノード5が実行する処理の一部又は全部を行ってもよい。例えば、第1ワーカノード3は、自らが生成した交通情報IAと他の第1ワーカノード3から送信される交通情報IAとを用いて、複数の検出結果ICを用いて、自らを対象ノードとして対象物体の位置を推定してもよい。
【0140】
(7)本開示に記載の制御部11、41及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部11、41及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部11、41及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。制御部11、41に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0141】
(8)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0142】
(9)上述した交通システム1、2の他、当該交通システム1、2を構成要素とするさらに上位のシステム、当該制御部11、41を機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、位置測定方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0143】
1、2…交通システム、3…ワーカノード、5…マネージャノード、9…ノード配置物体、11…制御部、13…センサ、132…周辺検出センサ、15…送受信機、17…CPU、19…メモリ、41…制御部、43…送受信機、45…CPU、47…メモリ。