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特許7469153ランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法及び焼結体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法及び焼結体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 39/00 20060101AFI20240409BHJP
   C04B 35/495 20060101ALI20240409BHJP
   C04B 35/50 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C01G39/00 Z
C04B35/495
C04B35/50
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020106729
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022001543
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 満央
(72)【発明者】
【氏名】小塚 久司
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/017493(WO,A1)
【文献】特開2022-001542(JP,A)
【文献】特開2011-225979(JP,A)
【文献】特開2009-242175(JP,A)
【文献】特開平08-259346(JP,A)
【文献】Q. F. FANG et al.,“Damping mechanism in the novel La2Mo2O9-based oxide-ion conductors”,Journal of Alloys and Compounds,2003年06月,Vol. 355, No. 1-2,p.177-182,DOI: 10.1016/S0925-8388(03)00278-0
【文献】P. LACORRE et al.,“First Direct Synthesis by High Energy Ball Milling of a New Lanthanum Molybdate”,Journal of Solid State Chemistry,1997年09月,Vol. 132, No. 2,p.443-446,DOI: 10.1006/jssc.1997.7535
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 39/00 - 39/02
A01N 59/16
C04B 35/495
C04B 35/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固相のランタン化合物及び固相のモリブデン化合物を混合して混合粉末を調製する調製工程と、
前記混合粉末を、固相状態で500℃以上700℃以下の温度条件で、2時間以上焼成して、LaMoを主相とするランタン・モリブデン複合酸化物粉末を得る焼成工程とを備え
前記ランタン化合物は、La(OH) からなり、前記モリブデン化合物は、MoO からなるランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法。
【請求項2】
前記焼成工程において、前記混合粉末を、大気雰囲気下で焼成する請求項1に記載のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法。
【請求項3】
前記ランタン・モリブデン複合酸化物粉末の比表面積が3.0m /g以上となるように、前記焼成工程の後に、前記ランタン・モリブデン複合酸化物粉末を造粒する造粒工程を備える請求項1又は請求項2に記載のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法。
【請求項4】
前記造粒工程の後、前記ランタン・モリブデン複合酸化物粉末に含まれる、ランタン及びモリブデン以外の元素から構成される不純物の含有割合が、酸化物換算で1%以下である請求項3に記載のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法で得られたランタン・モリブデン複合酸化物粉末を用いて成形体を成形する成形工程と、前記成形体を焼結させて焼結体を得る焼結工程とを備える焼結体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法及び焼結体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗菌性及び抗ウイルス性を備えた無機系材料が知られている。この種の無機系材料としては、例えば、Ag、Cu等の金属系材料、ZnO、CaO等の金属酸化物系材料、TiO等の光触媒系材料等が知られている。
【0003】
しかしながら、Ag等の金属系材料は、時間の経過と共に不活性化し易いという問題があった。特にAgは高価であり、コスト的な問題も生じていた。また、金属酸化物系材料は、金属系材料と比べて、抗菌性等が低いという問題があった。また、光触媒系材料は、光のない環境下で、抗菌性等を発現できないという問題があった。
【0004】
このような事情等により、従来、抗菌性及び抗ウイルス性を備えた新しいタイプの無機系材料として、LaMoからなるセラミックスが提供されている(非特許文献1参照)。LaMoは、ランタンとモリブデンを含む複合酸化物であり、抗菌性及び抗ウイルス性を併せ持った新材料として注目されている。ランタンは希土類元素の中でも安価であり、入手し易い材料である。
【0005】
なお、ランタンとモリブデンを含む複合酸化物は、La(NO・6HO及び(NHMo24・4H0を利用して製造される。具体的には、錯体重合法により、それらの水溶液にクエン酸とエチレングリコールを添加することでゲル化した状態の混合物を作製し、その混合物を乾燥及び焼成することで、粉末状のLaMoを得ていた。そして、そのような粉末状のLaMoを、特殊な合成ガス(窒素:80%、酸素:20%)の雰囲気下で焼成することで、LaMoの焼結体を得ていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Takumi Matsumoto, et al. , "Preparation of hydrophobic La2Mo2O9 ceramics with antibacterial and antiviral properties", Journal of Hazardous Materials, Elsevier Science, Netherlands, volume 378, 15 October 2019, article 120610
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記複合酸化物の従来の製造方法は、実験室レベルの小スケールの製造であれば問題なく行うことができる。しかしながら、工業的に量産化しようとした場合、錯体を作製する等の製造工程が煩雑であり、しかも焼結時に合成ガスを供給するための特別な製造設備等が必要となるため、コスト的な問題もある。
【0008】
本発明の目的は、抗菌性及び抗ウイルス性を併せ持ったランタン・モリブデン複合酸化物粉末を容易に製造可能なランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、粉末状のランタン化合物と粉末状のモリブデン化合物を混合した混合粉末を、固相状態で500℃以上700℃以下の温度条件で、2時間以上焼成することによって、LaMoを主相とする抗菌性及び抗ウイルス性を備えたランタン・モリブデン複合酸化物粉末が得られることを見出し、本願発明の完成に至った。
【0010】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> ランタン化合物及びモリブデン化合物を混合して混合粉末を調製する調製工程と、前記混合粉末を、固相状態で500℃以上700℃以下の温度条件で、2時間以上焼成して、LaMoを主相とするランタン・モリブデン複合酸化物粉末を得る焼成工程とを備えるランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法。
【0011】
<2> 前記焼成工程において、前記混合粉末を、大気雰囲気下で焼成する前記<1>に記載のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法。
【0012】
<3> 前記ランタン化合物は、La(OH)からなり、前記モリブデン化合物は、MoOからなる前記<1>又は<2>に記載のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法。
【0013】
<4> 前記ランタン・モリブデン複合酸化物粉末の比表面積が3.0m/g以上となるように、前記焼成工程の後に、前記ランタン・モリブデン複合酸化物粉末を造粒する造粒工程を備える前記<1>から<3>の何れか1つに記載のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法。
【0014】
<5> 前記造粒工程の後、前記ランタン・モリブデン複合酸化物粉末に含まれる、ランタン及びモリブデン以外の元素から構成される不純物の含有割合が、酸化物換算で1%以下である前記<4>に記載のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法。
【0015】
<6> 前記<4>又は<5>」に記載の前記造粒工程後のランタン・モリブデン複合酸化物粉末を用いて成形体を成形する成形工程と、前記成形体を焼結させて焼結体を得る焼結工程とを備える焼結体の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、抗菌性及び抗ウイルス性を併せ持ったランタン・モリブデン複合酸化物粉末を容易に製造可能なランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法を示すフロー図
図2】本実施形態の焼結体の製造方法を示すフロー図
図3】実施例1のランタン・モリブデン複合酸化物粉末のX線回折スペクトル
図4】実施例2のランタン・モリブデン複合酸化物粉末のX線回折スペクトル
図5】実施例3のランタン・モリブデン複合酸化物粉末のX線回折スペクトル
図6】比較例2のランタン・モリブデン複合酸化物粉末のX線回折スペクトル
図7】実施例1の焼結体のX線回折スペクトル
図8】実施例2の焼結体のX線回折スペクトル
図9】実施例3の焼結体のX線回折スペクトル
【発明を実施するための形態】
【0018】
先ず、本実施形態のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法によって製造されるランタン・モリブデン複合酸化物粉末について説明する。本実施形態のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法で製造されるランタン・モリブデン複合酸化物粉末は、LaMoを主相(主結晶相)とするランタン・モリブデン複合酸化物の粉末である。このようなランタン・モリブデン複合酸化物としては、LaMoのみからなるものであってもよいし、副相(副結晶相)として、LaMo以外のランタン・モリブデン複合酸化物を含むものであってもよい。
【0019】
前記LaMo以外のランタン・モリブデン複合酸化物としては(つまり、前記副結晶相としては)、LaMo12、LaMo12、LaMo30、LaMo15、LaMoO、LaMoO及びLaMoからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0020】
前記副結晶相としては、特に、LaMo12、LaMoO12、LaMo30及びLaMoからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0021】
本明細書において、ランタン・モリブデン複合酸化物が、副結晶相として含む、LaMo以外のランタン・モリブデン複合酸化物を、「ランタン・モリブデン副複合酸化物」と称する場合がある。また、本実施形態のランタン・モリブデン複合酸化物が、主結晶相として含む、LaMoを、「ランタン・モリブデン主複合酸化物」と称する場合がある。
【0022】
ランタン・モリブデン複合酸化物における主結晶相及び副結晶相は、粉末X線回折法により得られるランタン・モリブデン複合酸化物のX線回折スペクトルを解析することにより、特定することができる。
【0023】
副結晶相は複数の結晶相から構成されていてもよい。主結晶相を構成するランタン・モリブデン主複合酸化物(つまり、LaMo)の特定、及び副結晶相を構成するランタン・モリブデン副複合酸化物(LaMo12等)の特定は、それぞれLaMoやLaMo12等の公知のX線回折スペクトルデータとの比較により行われる。
【0024】
なお、ランタン・モリブデン複合酸化物が主相及び副相を含む場合、粉末X線回折法により得られるX線回折スペクトルにおける主結晶相に由来する回折ピークのうち、副結晶相のピークと重ならないピークの中で最も大きい回折ピークの強度Xと、副結晶相に由来する回折ピークのうち、主結晶相と重ならないピークの中で最も大きな強度を有する回折ピークYとの比率が、Y/X<1となることが好ましい。
【0025】
次いで、図1を参照しつつ、本実施形態のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法について説明する。図1は、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法を示すフロー図である。図1に示されるように、本実施形態のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法は、調製工程S1と、焼成工程S2とを備えている。
【0026】
調製工程S1は、ランタン化合物及びモリブデン化合物を混合して混合粉末を調製する工程である。
【0027】
ランタン化合物は、ランタン・モリブデン複合酸化物を製造するために必要なランタン(La)を含む化合物であり、例えば、La(OH)、La、La(CO等が挙げられる。ランタン化合物としては、例えば、La(OH)、La、La(COからなる群より選ばれる少なくとも1種が使用されてもよい。なお、ランタン化合物としては、La(OH)が好ましい。
【0028】
モリブデン化合物は、ランタン・モリブデン複合酸化物を製造するために必要なモリブデン(Mo)を含む化合物であり、例えば、MoO、MoO、MoO、Mo(OH)、Mo(OH)等が挙げられる。モリブデン化合物としては、例えば、MoO、MoO、MoO、Mo(OH)、Mo(OH)からなる群より選ばれる少なくとも1種が使用されてもよい。なお、モリブデン化合物としては、MoOが好ましい。
【0029】
ランタン化合物及びモリブデン化合物の混合比は、モル比でLa:Mo=1:1となるように調整することが好ましい。
【0030】
ランタン化合物及びモリブデン化合物の混合は、互いに固相状態であるランタン化合物及びモリブデン化合物によって行われる。ランタン化合物及びモリブデン化合物は、互いに粉末であり、それらを互いに粉末の状態で混合してもよいし、それらの粉末に低級アルコール(エタノール)等の溶媒を加えて湿式混合を行ってもよい。ランタン化合物及びモリブデン化合物の混合は、例えば、アルミナボール(アルミナ玉石)等を利用した湿式混合で行われてもよい。なお、湿式混合された混合物(湿式混合物)は、湯煎乾燥、スプレードライ等によって適宜、乾燥される。
【0031】
このような調製工程により、ランタン化合物及びモリブデン化合物の混合粉末が得られる。
【0032】
焼成工程S2は、調製工程S1で得られた混合粉末を、固相状態で焼成する工程である。焼成工程S1は、前記混合粉末を、固相状態で500℃以上700℃以下の温度条件で、2時間以上焼成する。焼成工程は、特別な合成空気の雰囲気下で行う必要がなく、通常の大気圧雰囲気下で行われる。
【0033】
この焼成工程S2により、前記混合粉末中の固相状態のランタン化合物と固相状態のモリブデン化合物とが反応して、主結晶相としてLaMoを含む粉末状のランタン・モリブデン複合酸化物(ランタン・モリブデン複合酸化物粉末)が得られる。
【0034】
焼成工程S2の後に得られるランタン・モリブデン複合酸化物粉末には、副結晶相としてLaMo12等が含まれてもよい。
【0035】
なお、本明細書において、前記混合粉末中のランタン化合物及びモリブデン化合物を反応させるために行われる上記焼成工程S2を、「第1焼成工程」と称する場合がある。この第1焼成工程は、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末が焼結される前に行われる焼成工程(仮焼工程)である。
【0036】
このような焼成工程S2の後、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末が得られる。得られたランタン・モリブデン複合酸化物粉末は、必要に応じて、造粒工程S3を行って造粒してもよい。例えば、得られたランタン・モリブデン複合酸化物粉末に、エタノール等の溶媒を添加しつつ、アルミナボール等を利用した湿式混合粉砕を行うことによりスラリーを調製し、そのスラリーの乾燥物を、所定の目開きの篩を通過させることで、所定の大きさに造粒されたランタン・モリブデン複合酸化物粉末が得られる。造粒工程S3は、抗菌性及び抗ウイルス性を確保し易い等の理由により、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末の比表面積が、例えば3.0m/g以上となるように調整されることが好ましい。
【0037】
以上のような調製工程S1及び焼成工程S2を備えたランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法により、優れた抗菌性及び抗ウイルス性を併せ持つランタン・モリブデン複合酸化物粉末を製造することができる。調製工程S1及び焼成工程S2は、共に作業内容等が簡便であり、効率的に多くのランタン・モリブデン複合酸化物粉末を製造することができる。
【0038】
ランタン・モリブデン複合酸化物粉末は、焼結前の状態で、抗菌性(抗菌活性)及び抗ウイルス性(抗ウイルス活性)を示すことができる。
【0039】
また、上述したように、必要に応じて、焼成工程S2の後、造粒工程S3を行ってもよい。造粒工程S3の後、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末に含まれる、ランタン及びモリブデン以外の元素から構成される不純物の含有割合は、酸化物換算で1%以下であることが好ましい。前記不純物の含有割合がこのような範囲であると、不純物の影響で、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末の抗菌性及び抗ウイルス性が妨げられることが抑制される。
【0040】
また、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末を焼結させて、焼結体として用いてもよい。図2は、本実施形態の焼結体の製造方法を示すフロー図である。図2に示されるように、本実施形態の焼結体の製造方法は、成形工程S11及び焼結工程S12を備えている。
【0041】
成形工程S11は、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法で製造されたランタン・モリブデン複合酸化物粉末を用いて成形体を成形する工程である。成形工程S11において、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末は、例えば、所定のプレス機(粉末プレス機)を使用して、所定形状(例えば、円柱状、円板状等)に成形される。
【0042】
焼結工程S12は、成形工程S11後に得られた成形体を焼結させて焼結体を得る工程である。成形体を、所定の温度条件(例えば、900℃以上)で焼成することにより、成形体が焼結されて、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末の焼結体が得られる。焼結工程S12は、大気雰囲気下で行うことができる。
【0043】
なお、本明細書において、焼結工程S12を、「第2焼成工程」と称する場合がある。この第2焼成工程は、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末を焼結させるために行われる本焼成工程である。
【0044】
以上のような、焼結体の製造方法により得られた焼結体も、上述したランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造方法により得られるランタン・モリブデン複合酸化物粉末と同様、優れた抗菌性及び抗ウイルス性を備えている。なお、焼結体は、そのままの状態で使用してもよいし、その焼結体を粉砕して、粉末状にした状態で使用してもよい。
【0045】
ランタン・モリブデン複合酸化物は、焼結後も、焼結前と同様に、抗菌性及び抗ウイルス性を示すことができる。
【0046】
ランタン・モリブデン複合酸化物(焼結体を含む)の抗菌性及び抗ウイルス性の評価方法は、後述する。
【0047】
ランタン・モリブデン複合酸化物は、黄色ブドウ球菌(グラム陽性菌)、大腸菌(グラム陰性菌)等に対して抗菌性を示す。また、ランタン・モリブデン複合酸化物は、肺炎桿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑膿菌、多剤耐性緑膿菌等に対して、抗菌性を示すことが推測される。
【0048】
また、ランタン・モリブデン複合酸化物は、バクテリオファージQβ、バクテリオファージφ6等に対して抗ウイルス性を示す。なお、バクテリオファージQβは、エンベローブが無く、ノロウイルスの代替ウイルスとして知られ、バクテリオファージφ6は、エンベローブが有り、インフルエンザウイルスの代替ウイルスとして知られている。また、ランタン・モリブデン複合酸化物は、ネコカリシウイルス(ヒトノロウイルスの代替)、ヒトインフルエンザウイルス、豚コレラウイルス、牛ウイルス性下痢ウイルス、ボーダー病ウイルス、キリンペチウイルス、コロナウイルス、鳥インフルエンザウイルス等に対して、抗ウイルス性を示すことが推測される。
【0049】
また、ランタン・モリブデン複合酸化物(焼結体を含む)は、撥水性である。
【0050】
ランタン・モリブデン複合酸化物は、そのまま粉末の状態(ランタン・モリブデン複合酸化物粉末)で使用してもよいし、ランタン・モリブデン複合酸化物粉末を塗料や樹脂等の他の材料に配合して使用してもよい。また、ランタン・モリブデン複合酸化物は、上述したように焼結体の状態で使用してもよい。
【0051】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0052】
〔実施例1〕
(固相法によるランタン・モリブデン複合酸化物粉末の作製)
ランタン化合物として、La(OH)を用意し、モリブデン化合物として、MoOを用意した。そして、ランタン化合物の原料粉末と、モリブデン化合物の原料粉末とを、モル比で1:1(La:Mo=1:1)となるようにそれぞれ秤量した。秤量後の各原料粉末を、所定量のエタノールと共に混合し、得られた湿式混合物を乾燥することで、混合粉末を得た(調製工程)。なお、混合粉末では、固相状態のランタン化合物と、固相状態のモリブデン化合物とが互いに混ざり合った状態となっている。
【0053】
次いで、前記混合粉末を、大気雰囲気下で、550℃の温度条件で10時間焼成することにより、ランタン化合物とモリブデン化合物との反応物からなる焼成粉末を得た(1回目の焼成工程)。そして、得られた焼成粉末を造粒するために、以下に示される操作を行った。
【0054】
所定量のエタノールと共に樹脂ポット内に入れ、それらの混合物に対して、アルミナ玉石を利用した湿式混合粉砕を施すことにより、スラリーを得た。
【0055】
その後、得られたスラリーを、80℃の温度条件で約2時間乾燥し、得られた乾燥物を、目開きが250μmの篩に通すことによって、造粒粉末としての実施例1のランタン・モリブデン複合酸化物粉末を得た(造粒工程)。
【0056】
(焼結体の作製)
造粒された前記ランタン・モリブデン複合酸化物粉末を、所定のプレス機(成形圧力:98MPa)を使用して粉末プレス成形し、その後、圧力150MPaで、CIP処理(冷間静水圧成形処理)することにより、円板状の成形体(直径:17mm、厚み:2.5mm)を得た(成形工程)。そして、その成形体を、大気雰囲気下で、900℃の温度条件で、10時間焼成することにより、焼結体を得た(焼結工程、2回目の焼成工程)。得られた焼結体を更に平面研磨することによって、後述する接触角等の評価用の実施例1の焼結体(直径:15mm、厚み:2.0mmの円板状)を得た。
【0057】
〔実施例2〕
造粒されたランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造過程(焼成工程)において、混合粉末の焼成温度を、600℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のランタン・モリブデン複合酸化物粉末を作製した。そして、そのランタン・モリブデン複合酸化物粉末を使用して、実施例1と同様の方法により、実施例2の焼結体(評価用の焼結体)を作製した。
【0058】
〔実施例3〕
造粒されたランタン・モリブデン複合酸化物粉末の製造過程(焼成工程)において、混合粉末の焼成温度を、650℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のランタン・モリブデン複合酸化物粉末を作製した。そして、そのランタン・モリブデン複合酸化物粉末を使用して、実施例1と同様の方法により、実施例3の焼結体(評価用の焼結体)を作製した。
【0059】
〔比較例1〕
比較例1として、錯体重合法によって作製された非特許文献1に記載の粉末、及び焼結体を示した。比較例1の粉末及び焼結体の作製方法は、非特許文献1に記載の通りであり、以下、簡単に説明する。
【0060】
2.503gのLa(NO・6HOと、1.021gの(NHMo24・4HOとを、10mlの蒸留水に溶解して、混合溶液を作製した。なお、混合溶液中のランタンイオン及びモリブデンイオンは、モル比で1:1となっている。次いで、その混合溶液に、クエン酸と、エチレングリコールを加えた。なお、前記混合溶液中において、ランタンイオンとモリブデンイオンとを合わせた金属イオンと、クエン酸とは、モル比で1:2となっている。また、前記混合液中において、エチレングリコールとクエン酸とは、モル比で2:3となっている。
【0061】
前記混合溶液を、80℃で、6時間攪拌することで、ゲル状の前駆体を得た。この前駆体を、200℃で24時間乾燥し、その後、乾燥された前駆体を、乳鉢と乳棒を利用して10分間、粉砕した。そして、得られた粉砕物を、500℃の温度条件で12時間焼成することにより、比較例1の粉末を得た。
【0062】
(焼結体の作製)
上記粉末に、バインダとしてエチレングリコールを2体積%の割合で加えたものを、100MPaで3分間、一軸加圧成形することにより、直径10mmの成形体(ペレット)を得た。得られた成形体を、所定の合成空気雰囲気下で、900℃の温度条件で、12時間焼成することにより、焼結体を得た。なお、合成空気は、窒素(80%)と酸素(20%)の混合ガスであり、1.0L/minの流速で供給した。
【0063】
〔比較例2〕
混合粉末の焼成温度を、800℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の造粒粉末を得た。なお、比較例2では、造粒粉末を用いて焼結体を作製していない。
【0064】
〔粉末XRDを用いた結晶相の特定(1)〕
1回目の焼成後に得られた各実施例等の粉末(焼結前)について、粉末X線回折法(XRD:X‐ray diffraction)を利用して、結晶相における主結晶相と、副結晶相とを特定した。測定条件は、以下の通りである。
【0065】
<測定条件>
測定装置:粉末X線回折装置(装置名「Smart lab」、株式会社リガク製)
検出器:D/teX Ultra250.
光学系:集中型光学系ブラッグ-ブレンターノ型
X線出力:40kV-30mA
ステップ幅:0.0200°
走査軸:2θ/θ
走査範囲:10.00°~80.00°
回転:有り
【0066】
<主結晶相と副結晶相の定義>
得られたX線回折スペクトルの中で、強度が高い順に3つの回折ピークに起因する結晶相を、主結晶相(主相)と定義した。そして、その主結晶相のスペクトル以外のスペクトルを、副結晶相と定義した。
【0067】
各実施例等のX線回折スペクトルの結果(焼結前)は、図3図6に示し、結晶相の特定結果は、表1に示した。なお、比較例1の結果については、非特許文献1の記載を参照した。なお、後述する比較例1の各評価結果も、非特許文献1の記載を参照した。
【0068】
〔不純物の含有率〕
1回目の焼成後に得られた各実施例等の粉末(焼結前)について、ランタン及びモリブデン以外の元素から構成される不純物の含有率を、X線回折スペクトルに基づいて求めた。その結果、各実施例等における不純物の含有率は、酸化物換算で、何れも1%以下であった。
【0069】
〔粉末の比表面積〕
1回目の焼成後に得られた各実施例等の粉末(焼結前)について、JIS R 1626:1996「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に準拠して、比表面積(m/g)を測定した。その結果、実施例1~3のランタン・モリブデン複合酸化物粉末は、何れも比表面積が3.0m/gであった。
【0070】
〔接触角〕
各実施例等の焼結体について、水に対する撥水性を評価するために、JIS 3257:1999「基板ガラス表面の濡れ性試験方法」に準拠して、接触角(°)を測定した。測定結果は、表1に示した。
【0071】
〔粉末XRDを用いた結晶相の特定(2)〕
各実施例等の焼結体を、メノウ乳鉢及び乳棒を利用して粉砕して、粉砕物を得た。この粉砕物は、焼結体の粉砕物であり、2回目の焼成後に得られた粉末である。そして、得られた各実施例等の粉砕物について、上述した粉末X線回折法を同様に利用して、結晶相の特定を行った。各実施例のX線回折スペクトルの結果(焼結後)は、図7図9に示し、結晶相の特定結果は、表1に示した。
【0072】
〔抗菌性能評価〕
実施例3のランタン・モリブデン複合酸化物粉末について、JIS Z 2801:2012に準拠しつつ、抗菌性能評価試験を行った。具体的には、試験菌として、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を使用しつつ、2時間後、4時間後、及び6時間後の抗菌活性値Rを求めた。抗菌活性値Rは、各作用時間(2,4又は6時間後)について、それぞれR=Ut-Atより求めた。Utは、無加工試験品における各作用時間t(2,4又は6時間後)の生菌数の対数値(平均値)であり、Atは、加工試験品における各作用時間t(2,4又は6時間後)の生菌数の対数値(平均値)である。各試験品のサンプル数は、3である。
【0073】
なお、接種菌液の濃度を2.6×10cfu/ml、接種菌液の接種量を1サンプル当たり0.1mlとしたときの生菌数(cfu/cm)をカウントした。
【0074】
また、抗菌性能評価における検出下限(定義)は、以下の通りである。経過0時間の生菌数をNとし、経過t時間の生菌数をNとした場合、その生菌生存率N/Nの常用対数をlog(N/N)と表す。時間tは、作用時間である。抗菌活性値Rの値が2.0以上(つまり、R≧2.0)であるにもかかわらず、Log(N/N)-Log(Nt+2/N)≦0.5のとき、Log(N/N)とLog(Nt+2/N)の何れか小さい値の方を検出下限とする。
【0075】
抗菌性能評価の結果(検出下限に至る時間、抗菌活性値R)は、表2に示した。なお、検出下限に至らなくても、Log(N/N)-Log(Nt+2/N)>0.5の場合は、検出下限を「6時間以上」とし、Log(N/N)-Log(Nt+2/N)≦0.5の場合は、非特許文献1に未記載であるため、表2において「-」と示した。
【0076】
〔抗ウイルス性能評価〕
実施例3のランタン・モリブデン複合酸化物粉末について、JIS R 1756:2013「可視光応答型光触媒、抗ウイルス(バクテリオファージ)」に準拠しつつ、抗ウイルス性能評価試験を行った。具体的には、試験ウイルスとして、バクテリオファージQβ(bacteriophage Qβ)を使用しつつ、2時間後、4時間後、及び6時間後の抗ウイルス活性値(暗所)Vを求めた。抗ウイルス活性値(暗所)Vは、各作用時間(2,4又は6時間後)について、それぞれV=Log(U)-Log(T)より求めた。Log(U)は、無加工試験品における各作用時間(2,4又は6時間後)のファージ数の対数値(平均値)であり、Log(T)は、加工試験品における各作用時間(2,4又は6時間後)のファージ数の対数値(平均値)である。各試験品のサンプル数は、3である。
【0077】
なお、接種ファージ液の濃度を2.3×10cfu/ml、接種ファージ液の接種量を1サンプル当たり0.1mlとしたときのファージ数(感染値)(cfu/cm)をカウントした。
【0078】
また、抗ウイルス性能評価における検出下限(定義)は、以下の通りである。経過0時間のファージ数(感染値)をN’とし、経過t時間のファージ数(感染値)をN’とした場合、そのファージ生存率N’/N’の常用対数をlog(N’/N’)と表す。時間tは、作用時間である。抗ウイルス活性値Vの値が3.0以上(つまり、V≧3.0)であるにもかかわらず、Log(N’/N’)-Log(N’t+2/N’)≦0.5のとき、Log(N’/N’)とLog(N’t+2/N’)の何れか小さい値の方を検出下限とする。
【0079】
抗ウイルス性能評価の結果(検出下限に至る時間、抗ウイルス活性値V)は、表2に示した。なお、検出下限に至らなくても、Log(N’/N’)-Log(N’t+2/N’)>0.5の場合は、検出下限を「6時間以上」とした。
【0080】
なお、比較例1の焼結前の粉末、及び比較例1の焼結後の粉末(焼結体の粉砕物)についての抗菌性能評価の結果(文献値)、及び抗ウイルス性能評価の結果(文献値)も表2に示した。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
〔結晶相等について〕
図3は、実施例1のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の各X線回折スペクトルである。図3に示されるように、実施例1のランタン・モリブデン複合酸化物は、焼結前の状態において、主結晶相として、LaMoを含み、副結晶相として、LaMo12及びLaを含むことが確かめられた。なお、図3に示されるように、主結晶相に由来するピークのうち、副結晶相のピークと重ならないピークの中で最も大きい回折ピーク(30.6°)の強度Xと、副結晶相に由来するピークのうち、主結晶相のピークと重ならないピークの中で最も大きい回折ピーク(29.9°)の強度Yとの比率(Y/X)は、1.2である。
【0084】
図7は、実施例1の焼結体のX線回折スペクトルである。図7に示されるように、実施例1のランタン・モリブデン複合酸化物は、焼結後の状態において、主結晶相として、LaMoを含み、副結晶相として、LaMo12、LaMo30及びLaを含むことが確かめられた。なお、図7に示されるように、主結晶相に由来するピークのうち、副結晶相のピークと重ならないピークの中で最も大きい回折ピーク(24.9°)の強度Xと、副結晶相に由来するピークのうち、主結晶相のピークと重ならないピークの中で最も大きい回折ピーク(33.1°)の強度Yとの比率(Y/X)は、0.06である。
【0085】
図4は、実施例2のランタン・モリブデン複合酸化物粉末のX線回折スペクトルである。図4に示されるように、実施例2のランタン・モリブデン複合酸化物は、焼結前の状態において、主結晶相として、LaMoを含み、副結晶相として、LaMo12を含むことが確かめられた。なお、図4に示されるように、主結晶相に由来するピークのうち、副結晶相のピークと重ならないピークの中で最も大きい回折ピーク(30.6°)の強度Xと、副結晶相に由来するピークのうち、主結晶相のピークと重ならないピークの中で最も大きい回折ピーク(29.9°)の強度Yとの比率(Y/X)は、0.13である。
【0086】
図8は、実施例2の焼結体のX線回折スペクトルである。図8に示されるように、実施例2のランタン・モリブデン複合酸化物は、焼結後の状態において、主結晶相として、LaMoを含み、副結晶相として、LaMo12及びLaを含むことが確かめられた。
【0087】
図5は、実施例3のランタン・モリブデン複合酸化物粉末の各X線回折スペクトルである。図5に示されるように、実施例3のランタン・モリブデン複合酸化物は、焼結前の状態において、主結晶相として、LaMoを含み、副結晶相として、LaMo12、LaMo及びLaを含むことが確かめられた。なお、図5に示されるように、主結晶相に由来するピークのうち、副結晶相のピークと重ならないピークの中で最も大きい回折ピーク(30.7°)の強度Xと、副結晶相に由来するピークのうち、主結晶相のピークと重ならないピークの中で最も大きい回折ピーク(29.9°)の強度Yとの比率(Y/X)は、0.08である。
【0088】
図9は、実施例3の焼結体のX線回折スペクトルである。図9に示されるように、実施例3のランタン・モリブデン複合酸化物は、焼結後の状態において、主結晶相として、LaMoを含み、副結晶相として、LaMoO12及びLaを含むことが確かめられた。
【0089】
図6は、比較例2のランタン・モリブデン複合酸化物粉末のX線回折スペクトルである。図6に示されるように、比較例2のランタン・モリブデン複合酸化物は、焼結前の状態において、主結晶相として、LaMo0.984.07を含み、副結晶相として、LaMo33及びLaを含むことが確かめられた。
【0090】
〔接触角について〕
表1に示されるように、実施例1~3の焼結体は、水に対する接触角が103°であった。このように実施例1~3の焼結体は、比較例1の焼結体と同様、撥水性であることが確かめられた。
【0091】
〔抗菌・抗ウイルス性能について〕
表2に示されるように、抗菌性評価及び抗ウイルス性評価において、実施例1のランタン・モリブデン複合酸化物粉末は、共に2時間で検出下限に至った。これに対して、比較例1の粉末(焼結前の粉末)の場合、抗菌性評価及び抗ウイルス性評価において、共に4時間で検出下限に至っている(非特許文献1参照)。このように、実施例1のランタン・モリブデン複合酸化物粉末は、比較例1と比べて、優れた抗菌性及び抗ウイルス性を備えていることが確かめられた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9