(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】積付用ロボットハンド、ロボット及び物品保持方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
B25J15/00 Z
(21)【出願番号】P 2020110432
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】山根 秀士
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 祥一
(72)【発明者】
【氏名】辻森 俊行
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-051081(JP,A)
【文献】特開2010-214543(JP,A)
【文献】特開昭60-242920(JP,A)
【文献】特開平05-305593(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0012387(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ー 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積付用ロボットハンドであって、
第1部材と、
前記第1部材との間で物品を挟んで保持可能な第2部材と、
前記第2部材を、前記第1部材に対して近づく方向及び離れる方向に移動させる駆動装置と、
を備え、
前記駆動装置は、
駆動源の駆動によりスライド移動可能な移動ベースと、
前記移動ベースに取り付けられる流体シリンダと、
前記流体シリンダの作動圧力を変更可能な圧力調整部と、
圧力指令値を前記圧力調整部に出力し、前記圧力調整部を制御する制御部と、
を備え、
前記流体シリンダの伸縮方向は、前記移動ベースのスライド移動方向と平行であり、
前記第2部材は、前記流体シリンダのうち、前記移動ベースに対して相対移動可能な部分に取り付けられることを特徴とする積付用ロボットハンド。
【請求項2】
請求項1に記載の積付用ロボットハンドであって、
前記制御部は、前記圧力調整部へ出力する前記圧力指令値を物品に応じて変更可能であることを特徴とする積付用ロボットハンド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の積付用ロボットハンドであって、
前記第2部材の位置を検知可能な位置センサを備え、
前記制御部は、前記位置センサの検知結果に応じて、前記駆動源及び前記圧力調整部のうち少なくとも何れかを制御することを特徴とする積付用ロボットハンド。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の積付用ロボットハンドであって、
前記流体シリンダのシリンダ室の圧力を検知可能な圧力センサを備え、
前記制御部は、前記圧力センサの検知結果に応じて、前記駆動源及び前記圧力調整部のうち少なくとも何れかを制御することを特徴とする積付用ロボットハンド。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の積付用ロボットハンドを備えることを特徴とするロボット。
【請求項6】
積付用ロボットハンドによる物品保持方法であって、
前記積付用ロボットハンドは、
第1部材と、
前記第1部材との間で物品を挟んで保持可能な第2部材と、
前記第2部材を、前記第1部材に対して近づく方向及び離れる方向に移動させる駆動装置と、
を備え、
前記駆動装置は、
駆動源の駆動によりスライド移動可能な移動ベースと、
前記移動ベースに取り付けられる流体シリンダと、
前記流体シリンダの作動圧力を変更可能な圧力調整部と、
圧力指令値を前記圧力調整部に出力し、前記圧力調整部を制御する制御部と、
を備え、
当該物品保持方法は、
前記第2部材と前記第1部材との間で物品を挟んだ状態とするために前記第2部材を移動させるストロークのうち一部だけ、前記第2部材を前記第1部材に近づける第1工程と、
前記ストロークの残りだけ、前記第2部材を前記第1部材に近づける第2工程と、
を含み、
前記第1工程における前記第2部材の移動は、前記駆動源の駆動により行われ、
前記第2工程における前記第2部材の移動は、
前記圧力指令値に基づく前記作動圧力で前記流体シリンダ
が駆動
することにより行われることを特徴とする物品保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、積付作業を行うためにロボットに取り付けられるロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のロボットハンドは、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1において、ロボットパレタイザが備えるロボットハンドは、ベース体を備える。ベース体には、固定挟持体と、可動挟持体と、が取り付けられている。物品は、固定挟持体と可動挟持体とで、両側方から挟持される。可動挟持体とベース体との間には、エアシリンダ等の挟持体用シリンダが架設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成は、様々な大きさの物品を保持するために可動挟持体の可動ストロークを大きくしようとすると、挟持体用シリンダが大型化し、コンパクト性の実現が難しかった。また、硬さ等が異なる様々な物品を1つのロボットハンドで積み付ける場合、シリンダによる保持力が固定であると、柔らかい物品を押しつぶしたりするおそれもあった。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、様々な物品を破損させずに積み付けることが可能で、シリンダの小型化が容易な積付用ロボットハンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の積付用ロボットハンドが提供される。即ち、積付用ロボットハンドは、第1部材と、第2部材と、駆動装置と、を備える。前記第2部材は、前記第1部材との間で物品を挟んで保持可能である。前記駆動装置は、前記第2部材を、前記第1部材に対して近づく方向及び離れる方向に移動させる。前記駆動装置は、移動ベースと、流体シリンダと、圧力調整部と、制御部と、を備える。前記移動ベースは、前記駆動源の駆動によりスライド移動可能である。前記流体シリンダは、前記移動ベースに取り付けられる。前記圧力調整部は、前記流体シリンダの作動圧力を変更可能である。前記制御部は、圧力指令値を前記圧力調整部に出力し、前記圧力調整部を制御する。前記流体シリンダの伸縮方向は、前記移動ベースのスライド移動方向と平行である。前記第2部材は、前記流体シリンダのうち、前記移動ベースに対して相対移動可能な部分に取り付けられる。
【0008】
これにより、物品の硬さに応じて、第2部材が物品を押し付ける力を、圧力調整部により容易に変更することができる。また、物品の寸法誤差を、流体シリンダのストロークで容易に吸収することができる。従って、様々な物品に柔軟に対応しながら、物品の損傷等を回避して円滑に積み付けることができる。
【0009】
本発明の第2の観点によれば、積付用ロボットハンドによる以下のような物品保持方法が提供される。前記積付用ロボットハンドは、第1部材と、第2部材と、駆動装置と、を備える。前記第2部材は、前記第1部材との間で物品を挟んで保持可能である。前記駆動装置は、前記第2部材を、前記第1部材に対して近づく方向及び離れる方向に移動させる。前記駆動装置は、移動ベースと、流体シリンダと、圧力調整部と、制御部と、を備える。前記移動ベースは、駆動源の駆動によりスライド移動可能である。前記流体シリンダは、前記移動ベースに取り付けられる。前記圧力調整部は、前記流体シリンダの作動圧力を変更可能である。前記制御部は、圧力指令値を前記圧力調整部に出力し、前記圧力調整部を制御する。当該物品保持方法は、第1工程と、第2工程と、を含む。前記第1工程では、前記第2部材と前記第1部材との間で物品を挟んだ状態とするために前記第2部材を移動させるストロークのうち一部だけ、前記第2部材を前記第1部材に近づける。前記第2工程では、前記ストロークの残りだけ、前記第2部材を前記第1部材に近づける。前記第1工程における前記第2部材の移動は、前記駆動源の駆動により行われる。前記第2工程における前記第2部材の移動は、前記圧力指令値に基づく前記作動圧力で前記流体シリンダが駆動することにより行われる。
【0010】
これにより、第1工程で物品の大きさに応じて第2部材の位置を大まかに定め、第2工程で物品を実際に挟むことができる。物品の寸法誤差は、第2工程で駆動される流体シリンダのストロークで適切に吸収することができる。流体シリンダによる第2部材の押付け力を圧力調整部で調整することで、柔らかい物品でも適切に保持することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、様々な物品を破損させずに積み付けることが可能で、シリンダの小型化が容易な積付用ロボットハンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロボットハンドを備えるパレタイジングロボットの全体的な構成を示す模式図。
【
図2】ロボットハンドを説明する模式図及びブロック図。
【
図3】サーボモータ及び空気圧シリンダの駆動により物品を保持する動作を説明する図。
【
図4】ロボットハンドで物品を保持した状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るロボットハンド20を備えるパレタイジングロボット1の全体的な構成を示す模式図である。
図2は、ロボットハンド20を説明する模式図及びブロック図である。
【0014】
図1に示すパレタイジングロボット(ロボット)1は、食品、飲料等の物品5を、図示しないコンベアからパレット6の上に並べることができる。パレタイジングロボット1は、パレット6の上に並んでいる物品5をコンベアに移動させる用途で用いても良い。
【0015】
パレタイジングロボット1は、ロボット本体10と、ロボットハンド20と、を備える。
【0016】
ロボット本体10は、公知の垂直多関節型ロボットとして構成されている。このロボットの自由度は4又は6とすることができるが、これに限定されない。
【0017】
ロボットハンド20は、ロボット本体10の先端に固定されている。ロボット本体10がアームを様々に動かすことにより、ロボットハンド20は様々な方向に移動したり向きを変えたりすることができる。
【0018】
ロボットハンド20は、ベース枠(ベース部材)30と、固定板(第1部材)31と、移動板(第2部材)32と、駆動装置33と、を備える。
【0019】
ベース枠30は、ロボットハンド20の上部に配置されている。ベース枠30は、枠体状に構成されている。このベース枠30に、駆動装置33を構成するサーボモータ(駆動源)41及び空気圧シリンダ(流体シリンダ)42が配置されている。
【0020】
固定板31は、ベース枠30の縁部に固定されている。固定板31は、ベース枠30から下方へ延びるように配置されている。固定板31は、移動板32と、水平方向で対向している。固定板31において移動板32と向かい合う面は、搬送対象の物品5に接触可能である。
【0021】
移動板32は、固定板31と同様に、ベース枠30から下方へ延びるように配置されている。移動板32は、ベース枠30に固定された図略の案内部材(例えば、レール)に沿ってスライド移動可能に支持されている。移動板32は、固定板31と平行に向けられている。移動板32の移動方向は、固定板31の厚み方向と平行であり、移動板32の厚み方向と平行である。移動板32において固定板31と向かい合う面は、搬送対象の物品に接触可能である。
【0022】
ロボットハンド20において、固定板31と移動板32との間の空間の下側は開放されている。ロボットハンド20を下降させて、この空間に物品5を下から上に相対的に差し込んだ状態で移動板32を固定板31に近づけることにより、固定板31と移動板32とで物品5を挟んで保持することができる。
【0023】
駆動装置33は、サーボモータ41と、空気圧シリンダ42と、を備える。
【0024】
サーボモータ41は、減速機付きのサーボモータとして構成されている。減速機の出力軸には、ネジ軸51が連結されている。ネジ軸51には、スライド部材(移動ベース)52がネジ結合されている。スライド部材52は、ネジ軸51の回転に連動してスライド移動する。このように、サーボモータ41は、スライド部材52を移動させる駆動源として機能する。
【0025】
サーボモータ41は、
図2に示すようにドライバ45及びサーボコントローラ46を備える。ドライバ45はサーボモータ41に電気的に接続される。サーボコントローラ46は公知のプログラマブルコントローラ(PLC)として構成され、ドライバ45に電気的に接続される。
【0026】
サーボコントローラ46は、ドライバ45に指令信号を出力する。サーボモータ41にはエンコーダ47が設けられており、このエンコーダ47は、サーボモータ41の出力軸の回転角度を検出することができる。エンコーダ47は、検出した回転角度を表す信号をドライバ45に出力する。ドライバ45は、サーボコントローラ46から入力された指令信号と、エンコーダ47から入力された回転角度と、を比較し、その誤差をゼロにするようにサーボモータ41を制御する(フィードバック制御)。
【0027】
空気圧シリンダ42は、
図2に示すように、スライド部材52に、ブラケット61を介して取り付けられている。空気圧シリンダ42は、その伸縮方向がスライド部材52の移動方向と平行になるように配置されている。
【0028】
空気圧シリンダ42が備えるシリンダロッド62の先端が、移動板32に固定されている。ブラケット61には複数のガイド孔63が形成されており、それぞれのガイド孔63を、移動板32に固定された棒状のガイドロッド64が通過している。これにより、移動板32のスライド部材52に対する移動方向を案内することができる。
【0029】
シリンダロッド62の伸縮による移動板32の移動ストロークS2は、サーボモータ41の回転による移動板32の移動ストロークS1よりも短い(S2<S1)。
【0030】
空気圧シリンダ42に空気を供給するために、圧縮空気源65が工場に設置されている。圧縮空気源65と空気圧シリンダ42との間には、電空レギュレータ(圧力調整部)66と、電磁弁67と、が配置されている。
【0031】
電空レギュレータ66は、比例制御弁の一種であり、入力される信号に応じて空気圧力を制御することができる。
【0032】
電磁弁67は、電空レギュレータ66と空気圧シリンダ42との間に配置されている。電磁弁67は、入力される信号に応じて開閉を切り換えることができる。
【0033】
ロボットハンド20は、公知のコンピュータからなる制御部70を備える。制御部70は、電空レギュレータ66、電磁弁67、及びサーボコントローラ46のそれぞれに対し、電気的に接続されている。
【0034】
制御部70には、物品5を保持する場合のサーボモータ41の回転位置(言い換えれば、スライド部材52の位置)、及び、電空レギュレータ66への圧力指令値が、予め記憶されている。
【0035】
本実施形態では、サーボモータ41、ドライバ45、サーボコントローラ46、スライド部材52、空気圧シリンダ42、電空レギュレータ66、電磁弁67、及び制御部70により、移動板32を駆動するための駆動装置33が構成されている。
【0036】
次に、ロボットハンド20が物品5を保持する場合の制御について、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0037】
図3(a)の状態で、コンベア7に載っている物品5をロボットハンド20が保持するとき、制御部70は、サーボモータ41を、物品5の大きさに応じて設定された回転位置となるように制御する。サーボモータ41の回転によってスライド部材52が移動するので、
図3(b)に示すように移動板32は固定板31に近づく(第1工程)。このとき、空気圧シリンダ42のシリンダロッド62は退避した状態で維持される。
【0038】
第1工程が完了した
図3(b)の状態で、固定板31と移動板32との距離が、物品5の水平方向の寸法よりも少しだけ大きくなるように、サーボモータ41が制御される。従って、サーボモータ41を駆動しただけでは、固定板31及び移動板32によって物品5は保持されない。
【0039】
第1工程が完了した時点で、固定板31と物品5の間、又は、移動板32と物品5の間には、小さな隙間G1が形成される。この隙間G1の大きさの合計は、物品5の寸法誤差に応じて変化するが、空気圧シリンダ42の伸縮によるストロークS2で吸収できる大きさである。
【0040】
続いて、制御部70は電磁弁67を開く。これに伴って、圧縮空気が空気圧シリンダ42に供給されるので、シリンダロッド62が進出する。この結果、移動板32が固定板31に更に近づく(第2工程)。最終的には、上述の隙間G1が消失して、
図4(c)に示すように、固定板31及び移動板32によって物品5が挟まれた状態で保持される。
【0041】
このように、物品5の保持状態を実現するために移動板32が固定板31に近づく向きで移動するストロークのうち、一部はサーボモータ41の駆動により行われ、残りの一部は空気圧シリンダ42の駆動により行われる。
【0042】
電磁弁67を切り換える前に、制御部70は、圧力指令値を電空レギュレータ66へ出力する。従って、シリンダロッド62の進出に伴って移動板32が物品5を押し付ける力は、圧力指令値に応じた大きさとなる。
【0043】
多種類の物品5を1つのパレットに混載する場合、物品5の大きさ、重量及び硬さが様々に異なることが想定される。物品5の硬さを考慮した圧力で空気圧シリンダ42が移動板32を物品5に押し付けるように電空レギュレータ66を制御することで、物品5のバリエーションに対応しながら円滑なパレタイズ作業を実現することができる。
【0044】
空気圧シリンダ42を用いずにサーボモータ41だけで物品5を保持することも、理論的には可能である。しかしながら、実際の物品5には寸法誤差があるため、サーボモータ41の位置制御では、移動板32が物品5を押し付ける力を適度に調整することが難しい。この点、本実施形態では、物品5に多少の寸法誤差があっても、当該誤差が空気圧シリンダ42の伸縮ストロークに含まれている限り、移動板32を安定して物品5に押し付けることができる。このときの押付け力も、電空レギュレータ66を介した圧力調整によって、物品5に応じた強さとすることができる。
【0045】
また、本実施形態の構成は、特許文献1のように空気圧シリンダで(サーボモータなしで)物品を保持する構成と比較して、空気圧シリンダ42のストロークを小さくすることができる。従って、様々な大きさの物品5を柔軟に保持可能としながら、空気圧シリンダ42の小型化及び軽量化を容易に実現することができる。
【0046】
同種の物品5を連続して積み付けていく場合は、サーボモータ41の駆動を省略することができる。即ち、サーボモータ41を駆動して、物品5の寸法を考慮してスライド部材52の位置を定めるのは、1個目の積付けだけで良い。2個目以降の積付けでは、空気圧シリンダ42の伸縮によって移動板32を小さなストロークで移動させるだけで、物品5の保持/保持解除を切り換えることができる。これにより、積付け作業の効率化を実現することができる。
【0047】
続いて、2つの変形例を説明する。
【0048】
図2に鎖線で示すように、ロボットハンド20が、移動板32の位置を検知可能な位置センサ81を備えるように変更することができる。この位置センサ81としては、ポテンショメータ、距離計等、公知のセンサを採用することができる。位置センサ81は、制御部70に対して電気的に接続される。
【0049】
ロボットハンド20において物品5を掴むために空気圧シリンダ42に圧縮空気を供給しても、何らかの理由で、空気圧シリンダ42の伸長が行われなかった(又は、十分な距離だけ伸長しなかった)場合を考える。この場合、移動板32の位置の異常を位置センサ81によって検出した制御部70は、サーボモータ41を例外的に駆動して、移動板32を正常な位置(言い換えれば、固定板31と移動板32とで物品5を保持できる位置)まで移動させる。これにより、物品5の保持失敗を回避することができる。
【0050】
図2に鎖線で示すように、ロボットハンド20が圧力センサ82を備えるように変更することができる。この圧力センサ82は、空気圧シリンダ42のシリンダ室において、空気圧シリンダ42を伸長させるために圧縮空気が供給される側の圧力を検知することができる。圧力センサ82は、制御部70に対して電気的に接続される。
【0051】
制御部70は、圧力センサ82の検出圧力に応じてサーボモータ41を制御する。例えば、圧力センサ82の検出圧力が所定の閾値を上回る場合、制御部70はサーボモータ41を制御して、移動板32の物品5に対する押付け力を緩める方向にスライド部材52を移動させる。一方、検出圧力が所定の閾値を下回る場合、移動板32の物品5に対する押付け力を強める方向にスライド部材52を移動させる。これにより、サーボモータ41による押付け力の調整を実現できる。
【0052】
上記の2つの変形例では、位置センサ81又は圧力センサ82の検出信号に応じてサーボモータ41の制御が行われている。これに代えて、又はこれに加えて、電空レギュレータ66の制御が行われても良い。
【0053】
以上に説明したように、本実施形態のロボットハンド20は、固定板31と、移動板32と、駆動装置33と、を備える。移動板32は、固定板31との間で物品5を挟んで保持可能である。駆動装置33は、移動板32を、固定板31に対して近づく方向及び離れる方向に移動させる。駆動装置33は、スライド部材52と、空気圧シリンダ42と、電空レギュレータ66と、制御部70と、を備える。スライド部材52は、サーボモータ41の駆動によりスライド移動可能である。空気圧シリンダ42は、スライド部材52に取り付けられる。電空レギュレータ66は、空気圧シリンダ42の作動圧力を変更可能である。制御部70は、電空レギュレータ66を制御する。空気圧シリンダ42の伸縮方向は、スライド部材52のスライド移動方向と平行である。移動板32は、空気圧シリンダ42のうち、スライド部材52に対して相対移動可能な部分であるシリンダロッド62に取り付けられる。
【0054】
これにより、物品5の硬さに応じて、移動板32が物品5を押し付ける力を、電空レギュレータ66により容易に変更することができる。また、物品5の寸法誤差を、空気圧シリンダ42のストロークで容易に吸収することができる。従って、様々な物品5に柔軟に対応しながら、物品5の損傷等を回避して円滑に積み付けることができる。
【0055】
また、本実施形態のロボットハンド20において、スライド部材52を移動させる駆動源はサーボモータ41である。
【0056】
サーボモータ41と空気圧シリンダ42の組合せにより、全体としてコンパクトな構成を実現することができる。
【0057】
また、本実施形態のロボットハンド20は、移動板32の位置を検知可能な位置センサ81を備えるように変更することができる。この場合、制御部70は、位置センサ81の検知結果に応じて、サーボモータ41及び電空レギュレータ66のうち少なくとも何れかを制御する。
【0058】
これにより、例えば空気圧シリンダ42が正常に動作しない場合に、サーボモータ41を用いて物品5を保持することができる。あるいは、移動板32の位置に応じた押付け力の調整を実現できる。
【0059】
また、本実施形態のロボットハンド20は、空気圧シリンダ42のシリンダ室の圧力を検知可能な圧力センサ82を備えるように変更することができる。この場合、制御部70は、圧力センサ82の検知結果に応じて、サーボモータ41及び電空レギュレータ66のうち少なくとも何れかを制御する。
【0060】
これにより、移動板32が物品5を押す力等を、検知された圧力を参照して調整することができる。
【0061】
また、本実施形態のパレタイジングロボット1は、ロボットハンド20を備える。
【0062】
これにより、多品種の物品5を積み付ける場合に好適なロボットを提供することができる。
【0063】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0064】
ドライバ45、サーボコントローラ46、電空レギュレータ66、電磁弁67、及び制御部70は、ロボットハンド20に内蔵されても良いし、ロボットハンド20の外部に配置されても良い。
【0065】
流体シリンダとして油圧シリンダを用いても良い。しかしながら、上記の実施形態のように空気圧シリンダ42を用いると、空気のバネ性を活用して移動板32で物品5を押すことができ、好ましい。
【0066】
空気圧シリンダ42のシリンダ側をブラケット61に取り付けるのに代えて、シリンダロッド側をブラケット61に取り付けても良い。この場合、シリンダ側が移動板32に固定されることになる。
【0067】
ブラケット61を省略して、空気圧シリンダ42を、ネジ移動するスライド部材52に直接固定しても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 パレタイジングロボット(ロボット)
5 物品
20 ロボットハンド(積付用ロボットハンド)
31 固定板(第1部材)
32 移動板(第2部材)
33 駆動装置
41 サーボモータ(駆動源)
42 空気圧シリンダ(流体シリンダ)
52 スライド部材(移動ベース)
66 電空レギュレータ(圧力調整部)
70 制御部
81 位置センサ
82 圧力センサ