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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】表示装置及び表示方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20240409BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240409BHJP
   G03B 21/62 20140101ALI20240409BHJP
【FI】
H04N5/74 C
G09G5/00 510B
G09G5/00 550C
G09G5/00 510H
G03B21/62
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020126531
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023534
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小野 泰弘
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-028430(JP,A)
【文献】特開2015-079201(JP,A)
【文献】特開2012-138686(JP,A)
【文献】特開2010-243940(JP,A)
【文献】特開2012-255859(JP,A)
【文献】特開平05-191726(JP,A)
【文献】特開2016-009100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
H04N 9/31
G03B 21/00
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアに分割された調光スクリーンに画像を投影する表示装置であって、
前記調光スクリーンのどの前記エリアに前記画像を表示するのかに係るエリア情報を取得する取得部と、
前記エリア情報を基に、光源から照射された光を走査する走査ミラーを制御することにより、前記調光スクリーンの特定のエリアに前記画像を投影する制御部と、を備え
前記エリア情報は、前記調光スクリーンを撮影するカメラの撮影画像情報であり、
前記制御部は、前記撮影画像情報を解析し、前記複数のエリアの各々が調光状態か透明状態かを判別し、調光状態にある前記エリアが前記調光スクリーンにおける前記画像の表示エリアであると判定し、その判定結果を基に前記走査ミラーを制御することにより、前記特定のエリアに前記画像を投影する表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記調光スクリーンの前記複数のエリアのうち前記画像が表示可能な前記エリアにのみ前記画像が投影されるように、前記走査ミラーの作動を制御する請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記走査ミラーは、2つの回転軸による回動により前記光源からの光を走査し、
前記制御部は、前記エリア情報を基に前記走査ミラーの振れ角を設定し、設定した前記振れ角で前記走査ミラーを駆動することにより、前記調光スクリーンの特定のエリアに前記画像を投影する請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
複数のエリアに分割された調光スクリーンに画像を投影する表示方法であって、
前記調光スクリーンのどの前記エリアに前記画像を表示するのかに係るエリア情報を取得することと、
前記エリア情報を基に、光源から照射された光を走査する走査ミラーを制御することにより、前記調光スクリーンの特定のエリアに前記画像を表示させることと、を備え
前記エリア情報は、前記調光スクリーンを撮影するカメラの撮影画像情報であり、
前記撮影画像情報を解析し、前記複数のエリアの各々が調光状態か透明状態かを判別し、調光状態にある前記エリアが前記調光スクリーンにおける前記画像の表示エリアであると判定し、その判定結果を基に前記走査ミラーを制御することにより、前記特定のエリアに前記画像を投影する表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調光部材を備える透明スクリーンに画像を投影して画像を表示する表示システムが周知である。特許文献1に記載の表示システムは、透明スクリーンに投影機から画像光を投射し、投影機側にいる観察者に画像として視認可能に表示する。また、表示システムは、透明スクリーンをはさんで観察者とは反対側の光景を、投影機側にいる観察者に視認可能に透過する。表示システムは、調光部材によって、画像投影時に透明スクリーンの光透過率を下げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-90617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の表示システムでは、画像を投影しているときに、スクリーンの光透過率を、反対側の光景を透過しつつ、投影された画像を映し出す程度に低下させた半透明な状態とすることで、投影された画像と反対側の光景とを同時に視認できる可能性がある。しかし、半透明な状態のスクリーンでは、投影された画像と反対側の光景との両方の視認性が十分でない懸念があった。
【0005】
本発明の目的は、分割可能とされたスクリーンに対して好適に画像を投影可能にした表示装置及び表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施態様の表示装置は、調光スクリーンに画像を投影する表示装置であって、前記調光スクリーンのどのエリアに前記画像を表示するのかに係るエリア情報を取得する取得部と、前記エリア情報を基に、光源から照射された光を走査する走査ミラーを制御することにより、前記調光スクリーンの特定のエリアに前記画像を投影する制御部と、を備えた。
【0007】
一実施態様の表示方法は、調光スクリーンに画像を投影する表示方法であって、前記調光スクリーンのどのエリアに前記画像を表示するのかに係るエリア情報を取得することと、前記エリア情報を基に、光源から照射された光を走査する走査ミラーを制御することにより、前記調光スクリーンの特定のエリアに前記画像を表示させることと、を備えた。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表示装置及び表示方法は、分割可能とされたスクリーンに対して好適に画像を投影可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態において、表示システムに設けられた表示装置の構成を示すブロック図。
図2】同実施形態における調光スクリーンに設けられた複数のエリアを示す概略図。
図3】同実施形態における走査ミラーの作動を示す概略図。
図4】同実施形態における画像表示の処理を示すフロー図。
図5】同実施形態において、(a)は走査ミラーの走査範囲を示す図、(b)は投影される画像を示す図。
図6】同実施形態において、車両後部座席のサイドガラスに適用された場合の画像表示を示す図。
図7】第2実施形態において、表示システムに設けられた表示装置の構成を示すブロック図。
図8】同実施形態における画像表示の処理を示すフロー図。
図9】他の実施形態において、(a)は走査ミラーの走査範囲を示す図、(b)は投影される画像を示す図。
図10】他の実施形態において、(a)は走査ミラーの走査範囲を示す図、(b)は投影される画像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、表示装置、表示方法、及び表示システムの第1実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、表示システム1は、調光スクリーン2と、調光スクリーン2へ画像を投影して画像表示を行う表示装置3とを備えている。表示装置3は、例えばレーザープロジェクタである。表示システム1は、例えば車両に適用され、車両に乗車中のユーザに画像の表示を行う。なお、画像には、種々の情報を示す映像、静止画、動画、及び文字情報などを含む。
【0013】
調光スクリーン2は、透明部材からなる基材4と、基材4に設けられた複数の調光部材5とを備えている。基材4は、例えば車両のガラス材である。調光部材5は、例えば印加電圧に応じて、光透過率が低下する液晶材料である。調光部材5は、例えば光透過率が低下した場合、白色に曇った外観になる。調光部材5は、光透過率が低下して不透明になるに従って、投影される画像を映し出しやすくなる。
【0014】
表示装置3は、光を出力する光源6と、光源6から照射された光を走査する走査ミラー7と、表示装置3の作動を制御する表示制御装置8と、を含んでいる。光源6は、RGBの各レーザー光を出力するレーザー光源である。走査ミラー7は、例えば2つの回転軸で回動するMEMSミラー(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)である。走査ミラー7は、光源6からの光を反射し、その反射光を調光スクリーン2に対して走査する。表示制御装置8は、例えば光源6及び走査ミラー7の作動を制御する。
【0015】
図2に示すように、調光スクリーン2は、互いに交差する幅方向及び高さ方向を有している。同図において、調光スクリーン2の幅方向及び高さ方向は、それぞれ矢印X及び矢印Yで示されている。複数の調光部材5は、調光スクリーン2を複数のエリア10a~dに分割するように配置されている。各調光部材5は、調光スクリーン2において、例えば幅方向の全域に延びている。また、複数の調光部材5は、高さ方向に並べて配置されている。複数のエリア10a~dは、高さ方向の上側から、エリア10a、エリア10b、エリア10c、エリア10dの順に並んでいる。
【0016】
走査ミラー7は、例えば互いに交差する2つの回転軸で回動することにより、光源6から照射された光を、調光スクリーン2に2次元走査する所謂ラスタスキャンを行う。ラスタスキャンは、例えば幅方向及び高さ方向の一方に延びる走査線Lを形成するとともに、幅方向及び高さ方向の他方における走査位置を調整することにより、調光スクリーン2の面上を走査する。走査線Lは、例えば光源6が間欠的に点灯することにより、ビームスポットの集合となる。
【0017】
表示制御装置8は、例えば画像データから生成した各画素のデータを、走査ミラー7の走査に同期して、光源6に出力する。各画素のデータは、例えば画素の色調及び輝度などを示す。これにより、表示制御装置8は、例えばビームスポットごとに光源6のRGBの各レーザー光を制御し、各画素の色調及び輝度などを表現する。
【0018】
図1に示す通り、表示システム1は、ユーザによる操作に基づいて画像表示を選択する選択スイッチ11と、調光スクリーン2の制御を行うスクリーン制御装置12とを含んでいる。選択スイッチ11は、ユーザのスイッチ操作によって、画像表示の選択要求を、スクリーン制御装置12へ出力する。選択要求は、調光スクリーン2のどのエリアに画像を表示するのかに係るエリア情報を含む。本実施形態の場合、エリア情報は、選択スイッチ11へのユーザ操作に基づくエリア選択情報である。すなわち、選択スイッチ11は、ユーザ操作によって、複数のエリア10a~dから、画像を表示する表示エリアを選択する。
【0019】
スクリーン制御装置12は、調光部材5の制御を行う調光制御部13を備えている。調光制御部13は、各調光部材5を、投影された画像を映し出すように調光された調光状態と、照射される光を透過する透明状態との間で制御する。なお、調光するとは、例えば調光部材5の光透過率を調整することを指す。また、調光状態とは、例えば透明状態に比べて光透過率が低下している状態を含む。調光制御部13は、調光部材5に制御電圧を出力することで、調光部材5を調光状態に制御し、制御電圧の出力を停止することで、調光部材5を透明状態に制御する。調光制御部13は、例えば選択要求に含まれるエリア選択情報を基に、複数のエリア10a~dのうち、表示エリアに選択されたエリアの調光部材5を調光状態に制御し、その他のエリアの調光部材5を透明状態に制御する。
【0020】
表示制御装置8は、エリア選択情報を取得する取得部14と、走査ミラー7の駆動を制御する走査制御部15と、を備えている。取得部14は、例えば選択要求に含まれるエリア選択情報を、スクリーン制御装置12から取得する。また、表示制御装置8には、プログラム及びデータを書き込み及び読み出し可能なメモリ16が設けられている。メモリ16は、例えばエリア選択情報に対する走査ミラー7の振れ角の範囲を示す振れ角マップを記憶している。
【0021】
走査制御部15は、取得部14が取得したエリア選択情報を基に、走査ミラー7の駆動を制御して、調光スクリーン2への画像表示を制御する。走査制御部15は、例えば複数のエリア10a~dのうち表示エリアにのみ画像を投影するように、走査ミラー7を制御する。
【0022】
走査制御部15は、例えば、走査ミラー7を、2軸の回転軸のうち一方の回転軸で回動(振動)させることにより、光源6からの光を調光スクリーン2の幅方向の全域に走査する。これにより、走査線Lが形成される。走査線Lは、1ラインごとに幅方向の往路方向及び復路方向に交互に形成される方向が変わる(図2参照)。また、走査制御部15は、走査ミラー7を、2軸の回転軸のうち他方の回転軸で回動することにより、高さ方向における走査位置を調整する。以下、説明の便宜上、走査ミラー7の2軸の回転軸のうち一方の回転軸で回動を、「幅方向の回動」と記載し、2軸の回転軸のうち他方の回転軸で回動を、「高さ方向の回動」と記載する。
【0023】
図3に示すように、走査ミラー7は、光源6から入射する光に対して傾いて配置されている。走査制御部15は、入射光に対して走査ミラー7の傾きを変化させることにより反射光の角度を変化させる。ここで、入射光に対する走査ミラー7の傾きの変化量を、機械的振れ角αとする。また、反射光の角度の変化量を、光学的振れ角βとする。機械的振れ角α及び光学的振れ角βは、「α=2β」の関係を有する。
【0024】
走査制御部15は、振れ角マップを用いて、走査ミラー7の幅方向の回動及び高さ方向の回動の各々について、振れ角を制御する。なお、走査制御部15が制御する振れ角は、機械的振れ角αでもよいし、光学的振れ角βでもよい。走査制御部15は、振れ角マップを用いて、エリア選択情報から表示エリアに対応する振れ角を設定し、設定した振れ角で走査ミラー7を駆動させる。
【0025】
以下、本実施形態の作用について説明する。
図4に示すように、ステップ101では、ユーザ操作が行われた場合、選択スイッチ11は、スクリーン制御装置12へ選択要求を出力する。選択要求は、複数のエリア10a~dのうち画像の表示エリアに選択されたエリアを示すエリア選択情報を含む。
【0026】
ステップ102では、スクリーン制御装置12の調光制御部13は、選択要求に含まれるエリア選択情報に応じて、各調光部材5の光透過率を制御する。調光部材5は、画像を表示するエリアの調光部材5を調光状態に制御し、その他のエリアの調光部材5を透明状態に制御する。
【0027】
ステップ103では、表示装置3の表示制御装置8の取得部14は、エリア選択情報を、スクリーン制御装置12から取得する。なお、取得部14は、選択スイッチ11による選択要求の出力(ステップ101)の後、任意のタイミングでエリア選択情報を取得し得る。すなわち、取得のタイミングは、調光制御部13が調光部材5の制御を行うのよりも前でもよい。
【0028】
ステップ104では、走査制御部15は、複数のエリア10a~dのうち、表示エリアにのみ画像を表示するように、走査ミラー7の振れ角を設定する。走査制御部15は、振れ角マップを用いて、エリア選択情報から走査ミラー7の振れ角を設定する。本実施形態の場合、振れ角マップは、エリア選択情報に対する高さ方向の回動の振れ角を記憶している。従って、走査制御部15は、エリア選択情報に応じて、高さ方向の回動の振れ角を設定する。
【0029】
ステップ105では、表示装置3は、設定された振れ角で、走査ミラー7を駆動させ、画像の投影を行う。投影される画像は、設定された振れ角に応じて、高さ方向において表示されるエリアが異なる画像となる。
【0030】
ここで、表示装置3の投影画像について説明する。ここでは、ユーザ操作によって、エリア10a及びエリア10bが表示エリアに選択されたとする。
図5(a)に示すように、走査ミラー7は、走査制御部15に設定された振れ角で回動する。走査ミラー7は、高さ方向において、エリア10a及びエリア10bに対応した振れ角の範囲で回動する。これにより、走査ミラー7は、光源6からの光を、エリア10a及びエリア10bにのみ走査する。
【0031】
図5(b)に示すように、表示装置3は、エリア10a及びエリア10bに対応する部分にのみ画像を投影し、エリア10c及びエリア10dに対応する部分には画像を投影しない。なお、表示装置3は、投影画像の基となる画像データに対して、一部が欠落した画像を投影してもよいし、表示エリアに合わせて拡大又は縮小された画像を投影してもよい。
【0032】
図6に示すように、例えば調光スクリーン2が車両後部座席のサイドガラスに適用された場合、調光スクリーン2は、表示エリアに投影された画像を映し出す。ここで、表示エリアに選択されたエリア10a及びエリア10bは、調光状態に制御されて不透明な状態となっており、明確に画像を映す。また、エリア10c及びエリア10dは、透明状態である。したがって、調光スクリーン2は、ユーザに対して調光スクリーン2の反対側の光景を、エリア10c及びエリア10dを通じて明確に視認させる。
【0033】
上記のように、表示装置3の走査制御部15は、走査ミラー7を制御することにより、調光スクリーン2の特定のエリアに画像を投影する。これによれば、複数のエリア10a~dに分割された調光スクリーン2において、画像を表示するエリアに画像を投影することができる。そのため、分割可能とされた調光スクリーン2に対して好適に画像を投影できる。また、調光スクリーン2が、調光状態のエリアと透明状態のエリアとに分割された場合、調光状態のエリアに画像を投影することにより、調光状態のエリアに画像を明確に映し出しつつ、調光スクリーン2の反対側の光景を透明状態のエリアを通じて明確に視認させることができる。すなわち、調光スクリーン2に投影した画像の視認性と、調光スクリーン2の反対側の光景の視認性とを両立することができる。
【0034】
走査制御部15は、表示エリアに選択されたエリアとは他のエリアには、画像を投影しない。これによれば、透明状態の調光部材5を介して、調光スクリーン2の反対側へ投影した光が透過することがない。そのため、例えば調光スクリーン2の反対側にいる人物に眩しさを感じさせることがない。
【0035】
表示システム1は、調光スクリーン2における画像の表示エリアを、ユーザ操作によって選択させる選択スイッチ11を備えている。走査制御部15は、選択スイッチ11がユーザ操作を受け付けた際に出力するエリア選択情報を基に、走査ミラーを制御する。これによれば、ユーザにとっては、選択スイッチ11の操作により所望のエリアを表示エリアに設定できるので、利便性が高い。また、走査制御部15は、選択スイッチ11の出力を基に、好適に画像を表示することができる。
【0036】
以下、本実施形態の効果について説明する。
(1)表示装置3は、取得部14と走査制御部15とを備えている。取得部14は、調光スクリーン2のどのエリアに画像を表示するのかに係るエリア情報を取得する。走査制御部15は、エリア情報を基に、光源6から照射された光を走査する走査ミラー7を制御することにより、調光スクリーン2の特定のエリアに画像を投影する。この構成によれば、複数のエリア10a~dに分割された調光スクリーン2において、画像を表示するエリアに画像を投影することができる。そのため、分割可能とされた調光スクリーン2に対して好適に画像を投影できる。
【0037】
(2)走査制御部15は、調光スクリーン2の複数のエリア10a~dのうち画像が表示可能なエリアにのみ画像が投影されるように、走査ミラー7の作動を制御する。この構成によれば、調光スクリーン2において、画像が映らないエリアには画像を投影しない。例えば、透明状態の調光部材5を介して、調光スクリーン2の反対側へ投影した光が透過することがない。そのため、例えば調光スクリーン2の反対側にいる人物に眩しさを感じさせることがない。したがって、好適な画像投影に寄与できる。
【0038】
(3)走査ミラー7は、2つの回転軸による回動により光源6からの光を走査する。走査制御部15は、エリア情報を基に走査ミラーの振れ角を設定し、設定した振れ角で走査ミラー7を駆動することにより、調光スクリーン2の特定のエリアに画像を投影する。この構成によれば、振れ角を設定するという簡易な方法で走査ミラー7を制御できる。
【0039】
(4)調光スクリーン2における画像の表示エリアは、ユーザ操作によって切り換えられる。走査制御部15は、ユーザ操作に基づくエリア選択情報を基に、走査ミラー7を制御する。この構成によれば、ユーザにとっては、ユーザ操作により所望のエリアを表示エリアに設定できるので、利便性が高い。また、走査制御部15は、表示エリアを選択するユーザ操作に従って、好適に画像を表示することができる。
【0040】
<第2実施形態>
次に、表示装置、表示方法、及び表示システムの第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一の部材構成については、同一の符号を付すとともに説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0041】
図7に示すように、表示制御装置8の取得部14は、エリア情報として、調光スクリーン2を撮影するカメラ20の撮影画像情報を取得する。カメラ20は、例えば表示装置3に設けられている。走査制御部15は、撮影画像情報を基に調光スクリーン2における画像の表示エリアを判定し、その判定結果に基に走査ミラー7を制御する。走査制御部15は、例えば、判定した表示エリアに画像を投影するように、走査ミラー7の振れ角を設定する。
【0042】
以下、本実施形態の作用について説明する。
図8に示すように、ステップ201では、取得部14は、カメラ20が撮影した撮影画像情報を取得する。取得部14は、カメラ20から定期的又は非定期的に繰り返し撮影画像情報を取得する。
【0043】
ステップ202では、走査制御部15は、撮影画像情報を基に調光スクリーン2における画像の表示エリアを判定する。走査制御部15は、例えば撮影画像情報の解析により、複数のエリア10a~dの各々が調光状態か透明状態かを判別することにより、どのエリアが表示エリアであるかを判定する。
【0044】
ステップ203では、走査制御部15は、表示エリアの判定結果を基に走査ミラー7の振れ角を設定する。走査制御部15は、例えば振れ角マップを用いて、表示エリアに対応する振れ角を設定する。
【0045】
ステップ204では、表示装置3は、設定された振れ角で、走査ミラー7を駆動させ、画像の投影を行う。投影される画像は、設定された振れ角に応じて、表示されるエリアが異なる画像となる。
【0046】
以下、本実施形態の効果について説明する。
(5)調光スクリーン2のどのエリアに画像を表示するのかに係るエリア情報は、調光スクリーン2を撮影するカメラ20の撮影画像情報である。走査制御部15は、撮影画像情報を基に調光スクリーン2における画像の表示エリアを判定し、その判定結果を基に走査ミラー7を制御する。この構成によれば、表示装置3に設けられたカメラ20で撮影した撮影画像情報を用いて、表示エリアを判定することができる。そのため、互いに別個に配置されたスクリーン制御装置12と表示装置3との間で、通信を行うことなく、調光スクリーン2の表示エリアに応じた画像投影を行うことができる。
【0047】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
図9(a)、(b)に示すように、調光スクリーン2のうち、表示エリアを、分割して設定してもよい。例えば、エリア10a、エリア10c、及びエリア10dにのみ画像を投影してもよい。このとき、表示制御装置8は、例えば走査ミラー7がエリア10aとエリア10cとの間を回動している間は、光源6からの光の照射を停止する。また、走査制御部15は、走査ミラー7の高さ方向の回動において、エリア10aとエリア10cとの間で、回動速度を上げてもよい。
【0048】
図10(a)、(b)に示すように、調光スクリーン2の複数のエリアは、調光スクリーン2をマトリックス状に分割するエリア30であってもよい。この場合、走査制御部15は、マトリックス状の各エリア30への走査を制御することにより、各エリア30への画像の投影を制御してもよい。なお、走査線Lの形成は、同図に限定されず、例えばエリア30ごとに順番にラスタスキャンを行うのでもよい。
【0049】
・第2実施形態において、カメラ20が撮影する撮影画像情報とは、画像そのものでもよいし、画像の輝度や色調などに関する情報でもよい。また、カメラ20は、静止画を撮影してもよいし、動画を撮影してもよい。
【0050】
・各実施形態において、走査制御部15が制御する振れ角は、機械的振れ角αでもよいし、光学的振れ角βでもよい。
・各実施形態において、走査ミラー7は、回転軸により回動するものに限定されず、曲げ振動により駆動するものであってもよい。従って、走査制御部15は、走査ミラー7の振れ角を設定することに限定されず、走査ミラー7に応じた制御に変更可能である。
【0051】
・各実施形態において、選択スイッチ11は、物理的な操作部でもよいし、タッチ操作されるタッチ操作部でもよいし、ジェスチャ操作を検出するカメラなどの検出部でもよい。
【0052】
・各実施形態において、調光スクリーン2に形成されるエリアの個数は、特に限定されず、2つでもよいし、3つでもよいし、4つ以上でもよい。
・各実施形態において、調光スクリーン2に形成されるエリアの配置は、特に限定されない。例えば調光スクリーン2の高さ方向に並んでいてもよいし、幅方向に並んでいてもよいし、マトリックス状に配置されてもよい。
【0053】
・各実施形態において、調光スクリーン2の基材4は、透明部材に限定されず、例えば鏡などでもよい。すなわち、ユーザから見て調光スクリーン2の反対側の光景とは、物理的に調光スクリーン2の向こう側にある物体などに限らず、調光スクリーン2を通じて見える視覚情報であればよい。
【0054】
・各実施形態において、調光部材5において、透明状態における光透過率は、特に限定されない。例えば調光スクリーン2の反対側の光景の視認性に応じて適宜変更可能である。また、調光部材5が透明状態のときに制御電圧が印加されていてもよい。
【0055】
・各実施形態において、調光部材5は、調光状態のときに、白色になることに限定されず、着色してもよい。
・各実施形態において、調光部材5は、印加電圧が無い時に透明で、印加電圧に従って光透過率が低下するものでもよいし、印加電圧が無い時に不透明で、印加電圧に従って光透過率が上昇するものであってもよい。
【0056】
・各実施形態において、調光部材5は、液晶材料でもよいし、エレクトロクロミック材料でもよいし、フォトクロミック材料でもよい。
・各実施形態において、表示装置3は、調光スクリーン2に対して、ユーザと同じ側から画像を投影するフロントプロジェクション型でもよいし、ユーザと反対側から画像を投影するリアプロジェクション型でもよい。
【0057】
・各実施形態において、表示装置3は、レーザープロジェクタに限定されず、種々のプロジェクタを適用可能である。
・各実施形態において、表示装置3の搭載位置は、特に限定されず、例えば車両において、車室内及び車室外のいずれに設けられてもよく、車室内の天井に設けられてもよいし、車室外のサイドミラーに設けられてもよい。
【0058】
・各実施形態において、画像の投影開始のトリガは、ユーザの操作でもよいし、車両の電源遷移でもよいし、他の機器との通信でもよく、特に限定されない。
・各実施形態において、投影される画像の内容は特に限定されない。例えば、ナビゲーションシステムやオーディオなどの車載機器に連動して各種の情報や映像などを表示するものでもよいし、道路情報や周辺施設の情報及び広告などを表示するものでもよい。
【0059】
・各実施形態において、調光スクリーン2に表示される画像は、エリア同士の間で互いに独立した別の画像であってもよい。
・各実施形態において、表示制御装置8は、表示エリアに合わせて投影する画像データに加工を施してもよい。例えば、表示エリア外の部分を、カットしてもよいし、表示エリアに収まるように、縮小してもよい。
【0060】
・各実施形態において、投影される画像は、映像、静止画、動画、文字情報又はこれらの組み合わせを含み得る。
・各実施形態において、表示システム1及び表示装置3は、車両に適用されることに限定されず、種々の機器や装置、又は建造物や設備に設けられてもよい。
【0061】
・各実施形態は、1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶された命令を含むコンピュータプログラムに従って、各種処理を実行する1つ又は複数のプロセッサを含むコンピュータシステムとして構成し得る。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等の専用のハードウェア回路、或いはそれらの組み合わせを含む。コンピュータ可読記憶媒体は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、CD-ROMなどの光ディスクストレージデバイス、磁気ディスクストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、フラッシュメモリ、或いは命令又はデータ構造の形で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、且つコンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含む。
【符号の説明】
【0062】
1…表示システム、2…調光スクリーン、3…表示装置、5…調光部材、6…光源、7…走査ミラー、8…表示制御装置、10a…エリア、10b…エリア、10c…エリア、10d…エリア、11…選択スイッチ、14…取得部、15…走査制御部、20…カメラ。
図1
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