(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20240409BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2020135556
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 将寿
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084612(JP,A)
【文献】特開2020-068126(JP,A)
【文献】特開2017-152272(JP,A)
【文献】特開2022-032089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フード部と被ロック部を有した相手方ハウジングと、
前記フード部に挿入されて嵌合されるハウジングと、
前記ハウジングに組み付けられた状態で、前記フード部への前記ハウジングの挿入途中から挿入完了にかけて仮係止位置から嵌合確認位置の本係止方向へ移動することで前記両ハウジングの嵌合状態を検知する嵌合検知部材と、
を備え、
前記ハウジングは、前記嵌合検知部材を収容する部材収容部と、中途部に前記相手方ハウジングの被ロック部に係脱する嵌合用ロックビークを設けると共に先端部に前記嵌合検知部材の被ロック部に係脱する先端側ロック部及び前記嵌合検知部材の傾斜部に沿って摺動するボス部をそれぞれ設けた可撓性のロックアームと、を有し、
前記嵌合検知部材は、前記可撓性のロックアームの前記先端側ロック部に係脱する前記被ロック部と、前記部材収容部の係止突起に係脱するロック部を設けた可撓性のアーム部と、を有し、
前記仮係止位置において、前記ハウジングの前記部材収容部に収容され該部材収容部の前記係止突起に前記ロック部を係止させた前記嵌合検知部材は、該嵌合検知部材の前記被ロック部と前記可撓性のロックアームの前記先端側ロック部が係止されていることで、前記本係止方向への移動が規制され、
前記部材収容部に前記嵌合検知部材が収容されて係止された前記ハウジングを前記フード部に挿入することで、前記可撓性のロックアームが撓み変形により変位し、前記嵌合検知部材の前記被ロック部と前記可撓性のロックアームの前記先端側ロック部が離れることで、前記嵌合検知部材の前記本係止方向への移動規制が解除されると共に、前記嵌合検知部材の傾斜部を前記可撓性のロックアームのボス部が摺動することで、前記嵌合検知部材を前記本係止方向へ移動させるコネクタ。
【請求項2】
前記部材収容部に前記嵌合検知部材が収容されて係止された前記ハウジングを前記フード部に挿入する途中において、前記相手方ハウジングの被ロック部に前記可撓性のロックアームの嵌合用ロックビークが当接して下方に押圧されることで、前記可撓性のロックアームの前記先端部側が撓み変形して下方に変位する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記嵌合検知部材は、本体としての操作部と、前記操作部の両端側に設けられた両側部と、前記両側部の各下部間に設けられた前記可撓性のアーム部と、を有し、
前記操作部の裏面に前記被ロック部が設けられ、
前記両側部の各内面側に形成された突出壁部に前記傾斜部としての断面円弧状の傾斜面が設けられ、
前記両側部の前記被ロック部寄りの位置に突出壁部がそれぞれ設けられ、
前記フード部への前記ハウジングの挿入途中において、前記可撓性のロックアームの前記ボス部が前記傾斜面に沿って下方へ摺動することで、前記嵌合検知部材が前記嵌合確認位置へ移動する、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記フード部への前記ハウジングの挿入が完了すると、下方へ変位していた前記可撓性のロックアームが元の位置に戻り、前記両側部の前記被ロック部寄りの位置に設けられた前記突出壁部に前記ボス部が乗り上げた状態、或いは、乗り越えた状態となる、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記両側部の前記被ロック部寄りの位置に設けられた前記突出壁部の後方には第2傾斜部が設けられ、前記第2傾斜部を前記可撓性のロックアームのボス部が摺動することで、前記嵌合検知部材を前記本係止方向へ更に移動させる、請求項3又は4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングの前記部材収容部の両側壁に、係止凸部を有する凹状の溝部がそれぞれ設けられ、
前記嵌合検知部材の前記両側部の各外面に、下側に係合突起を有し、前記凹状の溝部に挿入されるレール部が設けられ、
前記嵌合検知部材の本係止完了時に、前記レール部の前記係合突起が前記凹状の溝部の前記係止凸部に係止されて前記両ハウジングの正規の嵌合状態が保証される、請求項
3又は4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPA(嵌合検知部材)付きのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタとして、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示されたコネクタは、相手方コネクタに嵌合可能なハウジングと、相手方コネクタとハウジングとが完全に嵌合した状態で初期位置から嵌合補償位置に移動可能にハウジングに組み付けられる嵌合検知部材と、を備えている。
【0003】
ハウジングは、嵌合検知部材を初期位置と嵌合補償位置とに移動可能に保持する保持室と、嵌合検知部材が係合されるロックアームに設けられた係合凹部及び係合凹部とは別に設けられ、保持室の内部と当該保持室の外部とを連通する嵌合検知孔と、を有している。この嵌合検知孔は、嵌合検知部材が嵌合補償位置より初期位置側にある状態で当該嵌合検知部材が退避し、嵌合検知部材が嵌合補償位置にある状態で当該嵌合検知部材が進出する位置に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のコネクタでは、相手方コネクタへハウジングを嵌合(挿入)完了後、嵌合検知部材が仮係止位置から本係止方向へ移動しないため、相手方コネクタとハウジングの嵌合完了が確認できない。すなわち、相手方コネクタとハウジングの中途嵌合の場合、嵌合検知部材がスライドしてロックアームの係合凹部と嵌合検知部材の係合突部が当接することで始めて中途嵌合が検知可能となる。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、両ハウジングの嵌合完了状態を嵌合検知部材の移動した位置で簡単に確認することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るコネクタは、フード部と被ロック部を有した相手方ハウジングと、前記フード部に挿入されて嵌合されるハウジングと、前記ハウジングに組み付けられた状態で、前記フード部への前記ハウジングの挿入途中から挿入完了にかけて仮係止位置から嵌合確認位置の本係止方向へ移動することで前記両ハウジングの嵌合状態を検知する嵌合検知部材と、を備え、前記ハウジングは、前記嵌合検知部材を収容する部材収容部と、中途部に前記相手方ハウジングの被ロック部に係脱する嵌合用ロックビークを設けると共に先端部に前記嵌合検知部材の被ロック部に係脱する先端側ロック部及び前記嵌合検知部材の傾斜部に沿って摺動するボス部をそれぞれ設けた可撓性のロックアームと、を有し、前記嵌合検知部材は、前記可撓性のロックアームの前記先端側ロック部に係脱する前記被ロック部と、前記部材収容部の係止突起に係脱するロック部を設けた可撓性のアーム部と、を有し、前記仮係止位置において、前記ハウジングの前記部材収容部に収容され該部材収容部の前記係止突起に前記ロック部を係止させた前記嵌合検知部材は、該嵌合検知部材の前記被ロック部と前記可撓性のロックアームの前記先端側ロック部が係止されていることで、前記本係止方向への移動が規制され、前記部材収容部に前記嵌合検知部材が収容されて係止された前記ハウジングを前記フード部に挿入することで、前記可撓性のロックアームが撓み変形により変位し、前記嵌合検知部材の前記被ロック部と前記可撓性のロックアームの前記先端側ロック部が離れることで、前記嵌合検知部材の前記本係止方向への移動規制が解除されると共に、前記嵌合検知部材の傾斜部を前記可撓性のロックアームのボス部が摺動することで、前記嵌合検知部材を前記本係止方向へ移動させるコネクタである。
【0008】
前記部材収容部に前記嵌合検知部材が収容されて係止された前記ハウジングを前記フード部に挿入する途中において、前記相手方ハウジングの被ロック部に前記可撓性のロックアームの嵌合用ロックビークが当接して下方に押圧されることで、前記可撓性のロックアームの前記先端部側が撓み変形して下方に変位することが好ましい。
【0009】
前記嵌合検知部材は、本体としての操作部と、前記操作部の両端側に設けられた両側部と、前記両側部の各下部間に設けられた前記可撓性のアーム部と、を有し、前記操作部の裏面に前記被ロック部が設けられ、前記両側部の各内面側に形成された突出壁部に前記傾斜部としての断面円弧状の傾斜面が設けられ、前記両側部の前記被ロック部寄りの位置に突出壁部がそれぞれ設けられ、前記フード部への前記ハウジングの挿入途中において、前記可撓性のロックアームの前記ボス部が前記傾斜面に沿って下方へ摺動することで、前記嵌合検知部材が前記嵌合確認位置へ移動することが好ましい。
【0010】
前記フード部への前記ハウジングの挿入が完了すると、下方へ変位していた前記可撓性のロックアームが元の位置に戻り、前記突出壁部に前記ボス部が乗り上げた状態、或いは、乗り越えた状態となることが好ましい。
【0011】
前記突出壁部の後方には第2傾斜部が設けられ、前記第2傾斜部を前記可撓性のロックアームのボス部が摺動することで、前記嵌合検知部材を前記本係止方向へ更に移動させることが好ましい。
【0012】
前記ハウジングの前記部材収容部の両側壁に、係止凸部を有する凹状の溝部がそれぞれ設けられ、前記嵌合検知部材の前記両側部の各外面に、下側に係合突起を有し、前記凹状の溝部に挿入されるレール部が設けられ、前記嵌合検知部材の本係止完了時に、前記レール部の前記係合突起が前記凹状の溝部の前記係止凸部に係止されて前記両ハウジングの正規の嵌合状態が保証されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、両ハウジングの嵌合完了状態を嵌合検知部材の移動した位置で簡単に確認することができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るコネクタの一例を示す分解斜視図である。
【
図2】(a)は上記コネクタの雌コネクタを裏側から見た斜視図、(b)は同雌コネクタを表側から見た斜視図である。
【
図3】上記コネクタの嵌合検知部材を裏側から見た斜視図である。
【
図7】上記嵌合検知部材を組付けた状態の雌コネクタの斜視図である。
【
図8】上記嵌合検知部材を組付けた状態のコネクタの正面図である。
【
図9】上記嵌合検知部材を組付けた仮係止状態で雌コネクタを雄コネクタに嵌合する挿入前の状態を示す
図8中Y-Y線に沿う断面図である。
【
図10】上記嵌合検知部材の仮係止解除の状態を示す
図8中Y-Y線に沿う断面図である。
【
図11】上記雌コネクタの挿入途中の状態を示す
図8中Y-Y線に沿う断面図である。
【
図12】上記雌コネクタの挿入完了の状態を示す
図8中Y-Y線に沿う断面図である。
【
図13】上記嵌合検知部材の本係止完了の状態を示す
図8中Y-Y線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るコネクタについて詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の実施形態に係るコネクタの一例を示す分解斜視図である。
図2(a)はコネクタの雌コネクタを裏側から見た斜視図、
図2(b)は雌コネクタを表側から見た斜視図である。
図3はコネクタの嵌合検知部材を裏側から見た斜視図である。
図4は
図3中IV-IV線に沿う断面図である。
図5はコネクタの雄コネクタの正面図である。
図6は
図5中VI-VI線に沿う断面図である。
図7は嵌合検知部材を組付けた状態の雌コネクタの斜視図である。
図8は嵌合検知部材を組付けた状態のコネクタの正面図である。
図9は嵌合検知部材を組付けた仮係止状態で雌コネクタを雄コネクタに嵌合する挿入前の状態を示す
図8中Y-Y線に沿う断面図である。
図10は嵌合検知部材の仮係止解除の状態を示す
図8中Y-Y線に沿う断面図である。
図11は雌コネクタの挿入途中の状態を示す
図8中Y-Y線に沿う断面図である。
図12は雌コネクタの挿入完了の状態を示す
図8中Y-Y線に沿う断面図である。
図13は嵌合検知部材の本係止完了の状態を示す
図8中Y-Y線に沿う断面図である。
【0017】
図1、
図13に示すように、コネクタ1は、合成樹脂製の雌ハウジング(ハウジング)11を有した雌コネクタ10と、雌ハウジング11が挿入されて嵌合される合成樹脂製の雄ハウジング(相手方ハウジング)31を有した雄コネクタ30と、を備えている。
【0018】
図7に示すように、雌コネクタ10は、雌ハウジング11のCPA収容部13に組付けられ、雌雄両ハウジング11,31の嵌合状態を検知する合成樹脂製の嵌合検知部材(CPA:Connector Position Assurance)20を備えている。
【0019】
図2(a),(b)に示すように、雌ハウジング11は、下段側に図示しない雌端子が収容される複数(この実施形態では4つ)の端子収容室12を有している。また、雌ハウジング11は、上段の前側に嵌合検知部材20を収容するCPA収容部(部材収容部)13を有している。このCPA収容部13は、嵌合検知部材20のスライド空間となっている。さらに、雌ハウジング11は、上段の後側から前側のCPA収容部13上にかけて、可撓性のロックアーム16を有している。
【0020】
図2(a),(b)に示すように、CPA収容部13は、底壁13aと、この底壁13aの両端側より垂直に延びる一対の保護壁(両側壁)13b,13bと、この一対の保護壁13b,13bの上端後側間に掛け渡された保護板部13cと、を有している。底壁13aの中央の前側には、後述する嵌合検知部材20の可撓性のアーム部24のロック突起(ロック部)25に係止・離脱される傾斜面状の前面14aを有した係止突起14が設けられている。また、一対の保護壁13b,13bの中央の相対向する内側には、係止凸部15aを有する凹状の溝部15が嵌合検知部材20のスライド方向に延びるようにそれぞれ設けられている。
【0021】
図2(a),(b)に示すように、可撓性のロックアーム16は、中途部16aに雄ハウジング31の係止突起(被ロック部)34に係止・離脱される嵌合用ロックビーク17を、先端部16bに操作部18を、それぞれ有している。この操作部18は、嵌合検知部材20の係止突起(被ロック部)26に係止・離脱される先端側ロック突起(先端側ロック部)19aと、嵌合検知部材20の傾斜面(傾斜部)27aに沿って摺動する一対のボス部19b,19bと、を有している。なお、可撓性のロックアーム16の中途部16aは、雌ハウジング11の端子収容室12上に一体突出形成された一対の側壁13d,13d間に位置している。また、可撓性のロックアーム16の先端部16bに設けられた操作部18は、CPA収容部13の一対の保護壁13b,13b間まで延びており、操作部18を手動で下方に押してもロックアーム16を下方に撓み変形させることができるようになっている。さらに、
図2(a)に示すように、操作部18は、その基端側がロックアーム16の先端部16bからブリッジ状に突出して、前方側が平板状に延びる設けられている。
【0022】
図7~
図13に示すように、嵌合検知部材20は、雌ハウジング11のCPA収容部13に収容されて組付けられた状態で、仮係止位置から嵌合確認位置の本係止方向Rへスライド移動することにより雌雄両ハウジング11,31の嵌合状態を検知するものである。すなわち、
図3、
図4に示すように、嵌合検知部材20は、本体としての操作部21と、この操作部21の両端側に設けられた両側部22,22と、この両側部22,22の各下部間に突出壁部23を介して設けられた可撓性のアーム部24と、を有している。この可撓性のアーム部24の先端には、CPA収容部13の係止突起14に係止・離脱されるロック突起(ロック部)25が設けられている。つまり、可撓性のアーム部24の中央には、矩形の切欠き部24aが形成されていて、この切欠き部24a内に係止突起14を収容することで、係止突起14とロック突起25が係止されるようになっている。また、操作部21の裏面21bには、ロックアーム16の先端側ロック突起(先端側ロック部)19aに係止・離脱される係止突起(被ロック部)26が設けられている。
【0023】
図7、
図9に示すように、雌ハウジング11のCPA収容部13に収容された嵌合検知部材20は、CPA収容部13の係止突起14と嵌合検知部材20のロック突起25とで抜止方向Lに係止されている。この係止状態が嵌合検知部材20の仮係止位置となっている。また、この仮係止位置において、
図9に示すように、嵌合検知部材20は、操作部21の裏面21bに突設された係止突起26と可撓性のロックアーム16の先端側ロック突起19aが係止されていることで、本係止方向Rへの移動が規制されている。
【0024】
そして、
図10に示すように、嵌合検知部材20が仮係止位置に係止された雌ハウジング11を雄ハウジング31のフード部33に挿入することで、可撓性のロックアーム16が下方に撓み変形して変位するようになっている。すなわち、雌ハウジング11をフード部33に挿入する途中において、雄ハウジング31の係止突起34にロックアーム16の嵌合用ロックビーク17が当接して下方に押圧されることで、ロックアーム16の先端部16b側が下方に撓み変形して変位する。この下方への変位により、嵌合検知部材20の係止突起26と可撓性のロックアーム16の先端側ロック突起19aが離れることで、嵌合検知部材20の本係止方向Rへの移動規制が解除されるようになっている。
【0025】
また、
図3、
図4に示すように、嵌合検知部材20の両側部22,22の各内面22a側に形成された突出壁部27には、傾斜部としての断面円弧状の傾斜面27aが設けられている。そして、
図11に示すように、雄ハウジング31への雌ハウジング11の挿入途中において、傾斜面27aに沿ってロックアーム16のボス部19bが下方へ摺動することで、嵌合検知部材20が本係止方向Rへ自動的にスライド移動するようになっている。
【0026】
また、
図3、
図4に示すように、嵌合検知部材20の両側部22,22の各内面22aの係止突起26寄りの位置には、突出壁部28がそれぞれ設けられている。そして、
図12に示すように、雄ハウジング31への雌ハウジング11の挿入が完了すると、下方へ変位していた可撓性のロックアーム16が元の位置に戻り、突出壁部28にボス部19bが乗り上げた状態、或いは、乗り越えた状態となるようになっている。さらに、突出壁部28の後方である後面側には、傾斜面(第2傾斜部)28aが設けられている。この傾斜面28aを可撓性のロックアーム16のボス部19bが摺動することで、嵌合検知部材20を本係止方向Rへ更に移動させるようになっている。
【0027】
さらに、
図3、
図4に示すように、嵌合検知部材20の両側部22,22の各外面22bの中央には、下側に係合突起29aを有し、CPA収容部13の凹状の溝部15に挿入されるレール部29がスライド方向に沿って延びるように突設されている。そして、
図13に示すように、嵌合検知部材20の本係止完了時に、レール部29の係合突起29aが雌ハウジング11の凹状の溝部15の係止凸部15aに係止されることで、雌雄両ハウジング11,31の正規の嵌合状態が保証されるようになっている。
【0028】
図5、
図6に示すように、雄ハウジング31は、図示しない雄端子を収容させる複数の端子収容孔32aを有するハウジング本体32と、このハウジング本体32の前側に一体突出形成され、雌ハウジング11を挿入して嵌合させるフード部33と、を有している。このフード部33は、略四角筒状に形成されていて、雌ハウジング11の前側から中途側を収容する収容部になっている。また、フード部33の上壁33aの前端33b側の内面には、嵌合用ロックビーク17に係止・離脱される係止突起(被ロック部)34が設けられている。そして、
図10、
図11に示すように、雌ハウジング11をフード部33に挿入する途中において、係止突起34にロックアーム16の嵌合用ロックビーク17が当接して下方に押圧されるようになっている。この下方への押圧により、可撓性のロックアーム16の先端部16b側が下方に撓み変形(弾性変形)して変位するようになっている。
【0029】
なお、雄ハウジング31のフード部33の上壁33aの両側には、段差部33cがそれぞれ設けられていて、この一対の段差部33c,33c間に雌ハウジング11の一対の側壁13d,13dが挿入されるようになっている。また、雄ハウジング31のハウジング本体32の端子収容孔32aに収容されて固定された雄端子は、雌ハウジング11の端子挿通孔12aから端子収容室12内に挿入されて雌端子と電気的に接続されるようになっている。さらに、雌ハウジング11の端子収容室12に収容された雌端子は、リレーナの可撓性ランス12bにより係止されるようになっている。
【0030】
以上実施形態のコネクタ1において、雌コネクタ10に嵌合検知部材20を組付け、雌雄両コネクタ10,30が嵌合するまでの作用を説明する。
【0031】
まず、
図7に示すように、雌ハウジング11のCPA収容部13に操作部21を操作して嵌合検知部材20を挿入する。このCPA収容部13に挿入して収容された嵌合検知部材20は、CPA収容部13の係止突起14と嵌合検知部材20のロック突起25とで抜止方向Lに係止(仮係止)されている。また、
図9に示すように、嵌合検知部材20は、操作部21の裏面21bに突設された係止突起26と可撓性のロックアーム16の先端側ロック突起19aが係止(仮係止)されていることで、本係止方向Rへの移動が規制されている。
【0032】
そして、
図10に示すように、嵌合検知部材20が仮係止位置に係止された雌ハウジング11を雄ハウジング31のフード部33に挿入する。この雌ハウジング11をフード部33に挿入する途中において、雄ハウジング31の係止突起34にロックアーム16の嵌合用ロックビーク17が当接して下方に押圧されることで、ロックアーム16の先端部16b側が下方に撓み変形して変位する。この下方への変位により、嵌合検知部材20の係止突起26と可撓性のロックアーム16の先端側ロック突起19aが離れることで、嵌合検知部材20の本係止方向Rへの移動規制が解除される。
【0033】
図11に示すように、嵌合検知部材20の本係止方向Rへの移動規制が解除された状態から、雌ハウジング11を雄ハウジング31のフード部33にさらに挿入すると、ロックアーム16のボス部19bが嵌合検知部材20の傾斜面27aに沿って下方へ摺動する。このボス部19bの下方への摺動により、嵌合検知部材20が嵌合確認位置の本係止方向Rへ自動的に押されてスライド移動する。そして、
図12に示すように、雄ハウジング31のフード部13への雌ハウジング11の挿入が完了すると、下方へ変位していた可撓性のロックアーム16が元の位置に戻り、突出壁部28にボス部19bが乗り上げた状態となる。さらに、突出壁部28の傾斜面28aを可撓性のロックアーム16のボス部19bが摺動することで、嵌合検知部材20が本係止方向Rへ更にスライド移動する。
【0034】
図13に示すように、嵌合検知部材20を本係止方向Rへ押し込むことで、嵌合検知部材20のレール部29の係合突起29aが雌ハウジング11の凹状の溝部15の係止凸部15aに係止されて、嵌合検知部材20が本係止完了状態となる。この本係止完了状態が嵌合検知部材20の嵌合確認位置となり、雌雄両ハウジング11,31の正規の嵌合状態が検知されて保証される。
【0035】
このように、雌ハウジング11を雄ハウジング31に挿入完了後、嵌合検知部材20を仮係止位置から嵌合確認位置へ移動することで、雄雌両ハウジング11,31の嵌合完了状態を、嵌合検知部材20の移動した位置により簡単に視認することができる。
【0036】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 コネクタ
11 雌ハウジング(ハウジング)
13 CPA収容部(部材収容部)
13b,13b 一対の保護壁(両側壁)
14 係止突起
15 凹状の溝部
15a 係止凸部
16 可撓性のロックアーム
16a 中途部
16b 先端部
17 嵌合用ロックビーク
19a 先端側ロック突起(先端側ロック部)
19b ボス部
20 嵌合検知部材(CPA)
21 操作部(本体)
21b 裏面
22,22 両側部
22a 内面
22b 外面
24 可撓性のアーム部
25 ロック突起(ロック部)
26 係止突起(被ロック部)
27 突出壁部
27a 傾斜面(傾斜部)
28 突出壁部
28a 傾斜面(第2傾斜部)
29 レール部
29a 係合突起
31 雄ハウジング(相手方ハウジング)
33 フード部
34 係止突起(被ロック部)
R 本係止方向