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  • 特許-ネットワークシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/00 20220101AFI20240409BHJP
【FI】
H04L41/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020144336
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039355
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】木村 剛史
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-294915(JP,A)
【文献】特開2014-150582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機器を接続可能な複数の通信ポートと、
前記通信ポートを介した前記通信機器との通信を個別に制御する通信制御部と、
前記通信制御部による前記通信機器との通信条件の設定を前記通信ポートごとに行うことができる通信設定部と、
前記複数の通信ポートのいずれかを視覚的に特定する表示を行う特定部と、
前記通信設定部がいずれかの前記通信ポートの通信条件の設定を行うときに、前記特定部に前記通信設定部が設定を行う前記通信ポートを特定する表示を行わせる特定制御部と、
を備え
前記特定制御部は、前記通信条件の設定の進捗に応じて前記特定部に表示の態様を変化させる、ネットワークシステム。
【請求項2】
前記特定部は、前記通信ポートにそれぞれ設けられる、請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記特定部は、発光素子を有する、請求項2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記特定部は、通信状態を示す発光素子と兼用され、
前記特定制御部は、前記通信条件の設定を行うときに、通信状態を示すときとは異なる態様で前記発光素子を発光させる、請求項3に記載のネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業機械、家庭用電気機械器具等、様々な機器が通信機能を有し、ネットワークに接続されている。ネットワークに接続された機器を有効に利用するためには、ネットワークを制御する制御装置において、通信機器ごとに例えばIPアドレス、サブネットマスク、通信プロトコル等の通信条件の設定を行う必要がある。
【0003】
多くのネットワークシステムは、複数の通信機器をネットワークに接続するために、それぞれ個別に通信機器を接続する複数の通信ポートを備える装置を有する。このような通信ポートとしては、例えば、広く普及しているネットワーク規格であるイーサネットでは、主にISO8877に規定されるRJ45コネクタのジャック(雌型コネクタ)が用いられる。一般的に、複数の通信ポートを備える装置では、通信ポートに番号が付されており、制御装置において通信条件の設定をした番号の通信ポートに通信機器を接続する。つまり、従来のネットワークシステムでは、制御装置で確認した番号と同じ番号が付された通信ポートに、通信機器から延びるケーブルの先端に設けられるプラグ(雄型コネクタ)を挿入する必要がある。しかしながら、通信ポートの番号を頼りにするだけでは、設定した通信ポートと異なる通信ポートに通信機器を接続してしまうおそれがある。
【0004】
例えば特許文献1には、ネットワークに接続される通信機器の設定を容易にするために、複数の通信ポートを有するネットワークスイッチ(スイッチングハブ)に、通信ポートに接続した通信機器の表示装置にトポロジー図、フロアプラン又はマップを示すグラフィカル管理インターフェースを表示させるグラフィカル管理モジュールを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-63417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のシステムでは、ネットワークスイッチと通信機器が通信可能である場合にのみ、通信機器の接続状況の取得及びグラフィカル管理インターフェースの提供が可能となる。通信機器との通信を可能にするためにネットワーク制御装置において通信ポートの通信条件を設定する必要がある場合、通信条件を設定した特定の通信ポートに通信機器を接続しなければならない。このため、通信条件の設定を行った通信ポートに通信機器を確実に接続できるネットワークシステムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るネットワークシステムは、通信機器を接続可能な複数の通信ポートと、前記通信ポートを介した前記通信機器との通信を個別に制御する通信制御部と、前記通信制御部による前記通信機器との通信条件の設定を前記通信ポートごとに行うことができる通信設定部と、前記複数の通信ポートのいずれかを視覚的に特定する特定部と、前記通信設定部がいずれかの前記通信ポートの通信条件の設定を行うときに、前記特定部に前記通信設定部が設定を行う前記通信ポートを特定する表示を行わせる特定制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、通信条件を設定する通信ポートに通信機器を確実に接続できるネットワークシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係るネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るネットワークシステム1の構成を示すブロック図である。
【0011】
ネットワークシステム1は、それぞれ通信機器100を接続可能な複数の通信ポート10と、通信ポート10を介した通信機器との通信を個別に制御する通信制御部20と、通信制御部20による通信機器100との通信条件の設定を通信ポート10ごとに行うことができる通信設定部30と、複数の通信ポート10のいずれかを視覚的に特定する表示を行う特定部40と、通信設定部30がいずれかの通信ポート10の通信条件の設定を行うときに、特定部40に通信設定部30が設定を行う通信ポート10を特定する表示を行わせる特定制御部50と、ユーザ(システム管理者等)が通信条件を入力するために用いる入力部60と、通信設定部30によって設定を行っている通信条件等をユーザに対して表示する出力部70と、を備える。
【0012】
ネットワークシステム1は、例えばCPU、メモリ等を有し、適切なプログラムを実行する単一又は複数のコンピュータ装置、及び、必要に応じてコンピュータ装置に接続される1又は複数の補助装置(例えば、スイッチングハブ)によって構成することができる。なお、図1では、ネットワークシステム1は、単一のコンピュータ装置から構成されるネットワーク制御装置として示されている。ネットワークシステム1の主体となるコンピュータ装置は、汎用コンピュータ装置に限られず、例えば工作機械用数値制御装置、ロボット制御装置等であってもよい。
【0013】
ネットワークシステム1において、通信ポート10、通信制御部20、通信設定部30、特定部40、特定制御部50、入力部60及び出力部70は、機能的に区分されるものであり、その物理的構造及びプログラム構造において明確に区分できなくてもよい。また、ネットワークシステム1において通信ポート10、通信制御部20、通信設定部30、特定部40、特定制御部50、入力部60及び出力部70の一部が、他の構成要素を構成するコンピュータ装置とネットワーク等を介して接続される別の装置によって構成されてもよい。
【0014】
通信機器100は、ネットワークを介して接続されるものであれば特に限定されず、工作機械用数値制御装置、ロボット制御装置、PLC(Programable Logic Controller)、各種加工装置、各種検出装置、記憶装置等であってもよく、他のネットワークシステムの制御装置であってもよい。
【0015】
通信ポート10は、例えばRJ45、USB、RS232C等の規格に準拠したコネクタ(一般的には雌型)を有するものとすることができる。複数の通信ポート10は、1又は複数の筐体に、配設され得る。通信ポート10は、ネットワークシステム1の他の構成要素を構成するコンピュータ装置に接続されるハブ等のコネクタであってもよい。
【0016】
通信制御部20は、それぞれの通信ポート10を介した通信機器100との通信を制御するものであり、例えばOSI参照モデルにおけるデータリンク層以上の制御を各種の規格に準拠した通信条件で行うものとすることができる。具体例として、通信制御部20は、データリンク層においては、通信ポート10のコネクタに合致する規格、例えばイーサネット、USB等の規格に準拠したデータ転送を行うものとすることができる。また、通信制御部20は、通信条件として、エラー訂正、再送制御、ファイル転送等のより上位の制御手順に従う制御を行ってもよい。
【0017】
このため、通信制御部20は、通信ポート10ごとに設定される通信条件を記憶する設定記憶部21と、設定記憶部21に記憶される通信条件に従って通信ポート10を介した通信機器100との通信を制御する主制御部22と、を有する構成とされてもよい。
【0018】
設定記憶部21に記憶される通信条件としては、各通信ポート10を介して接続される通信機器100のIPアドレス、サブネットマスク等の情報、通信機器100との通信に適用される通信プロトコル等を挙げることができる。
【0019】
通信設定部30は、任意の通信ポート10を介した通信機器100との通信条件の設定を行う。通信設定部30における通信条件の設定は、入力部60及び出力部70を利用して行われる。
【0020】
通信設定部30は、通信条件の設定のためのユーザインターフェイスを提供する設定処理部31と、設定処理部31により設定される通信条件を一時的に記憶する作業記憶部32と、作業記憶部32に記憶された通信条件を設定記憶部21に転送する設定適用部33と、を有する構成とされてもよい。
【0021】
設定処理部31は、ユーザに対して、通信ポート10の選択及び選択した通信ポート10の通信条件の入力を促す設定画面を出力部70に表示させる。具体的には、設定処理部31は、例えばプルダウンメニュー、チェックボックス、テキストボックス等を表示することにより、ユーザに必要な情報を入力させるよう構成され得る。また、設定処理部31は、通信条件の設定の完了を確認する例えばボタン表示等の終了確認手段を提供することが好ましい。
【0022】
作業記憶部32は、入力部60から入力された値を通信条件の設定作業が終了するまで記憶する。設定適用部33は、設定処理部31において通信条件の設定完了が確認されたときに、作業記憶部32に記憶されている通信条件を設定記憶部21に転送することで、主制御部22による通信制御に反映させる。
【0023】
特定部40は、通信設定部30において通信条件の設定を開始した通信ポート10、つまりユーザが通信条件の設定対象として入力した通信ポート10を特定するよう、視覚状態を変化させる。これにより、ユーザは、通信条件を設定している通信ポート10を容易に確認することでき、通信機器100を、通信条件を設定している通信ポート10に確実に接続できる。
【0024】
特定部40は、通信ポート10にそれぞれ設けられていることが好ましい。これにより、ユーザが通信条件を設定している通信ポート10を誤認することが抑制される。特定部40は、ユーザが認知しやすいよう、例えば発光ダイオード等の発光素子を有することが好ましい。また、特定部40は、機械的に視覚状態が変化するよう構成されてもよい。例として、特定部40は、マーカの筐体からの突出又は開口から視認できる位置への移動等によってことにより設定対象の通信ポート10を特定するよう構成され得る。
【0025】
特定部40は、通信ポート10の通信状態を示す発光素子と兼用されてもよい。多くのコネクタは、通信状態を示す発光素子を有するため、この発光素子を特定部40としても利用することで、設備コストを抑制できる。この場合、特定部40は、通信状態を示すときとは異なる色又は点滅パターンで発光することにより、通信条件を設定している通信ポート10を特定することが好ましい。特定部40は、通信条件を設定している通信ポート10を特定する場合に、通信状態を示すときとは異なる態様で発光することによって、通信ポート10の通信状態を示している特定部40と区別できる。具体例として、特定部40は、通信条件を設定している通信ポート10を特定する場合に、短いサイクルで色を変化させたり、短いサイクルで点滅したりしてもよい。
【0026】
特定部40は、通信条件の設定の進捗に応じて表示の状態を変化させてもよい。これにより、ユーザは、通信条件の設定作業の進行状況を確認することができる。特定部40は、通信条件の設定の進捗を発光素子の色や点滅パターンによって表現するよう構成されてもよいが、通信条件の設定作業の進行状況を分かりやすく示すために、例えば7セグメントLED、16セグメントLED、小型液晶ディスプレイパネル等、文字又は記号を表示可能に構成されてもよい。
【0027】
また、特定部40は、並んで配置される一群の通信ポート10に隣接するよう設けられ、通信ポート10を特定する番号等を表示するよう構成されてもよい。このように、1つの特定部40により一群の通信ポート10のいずれについて通信条件の設定がなされているかを示すようにすることで、装置コストの増大を抑制することができる。この場合も、特定部40としては、例えば7セグメントLED、16セグメントLED、小型液晶ディスプレイパネル等を用いることができる。
【0028】
特定制御部50は、通信設定部30が通信条件の設定を開始した場合に、特定部40に上述のように通信条件の設定を開始した通信ポート10を特定する表示を行わせる。したがって、特定部40が通信状態を示す発光素子と兼用される場合、特定制御部50は、通信状態を示すときとは異なる態様で特定部40を発光させることが好ましい。また、特定制御部50は、通信設定部30から通信条件の進捗のステイタスを取得して、通信条件の進捗に応じて特定部40の状態を変化させてもよい。
【0029】
入力部60は、例えばマウス、キーボード等の入力装置から構成され得る。また、入力部60は、例えばタッチパネル等、出力部70と一体に構成されてもよい。入力部60は、それ自体が通信ポート10を介して通信を行う通信機器100の一つであってもよい。
【0030】
出力部70は、例えば液晶モニタ、有機ELモニタ等のディスプレイ装置によって構成され得る。出力部70は、それ自体が通信ポート10を介して通信を行う通信機器100の一つであってもよい。
【0031】
以上のように、ネットワークシステム1は、複数の通信ポート10のいずれかを視覚的に特定する表示を行う特定部40と、通信設定部30がいずれかの通信ポート10の通信条件の設定を行うときに、特定部40に通信設定部30が設定を行う通信ポートを特定する表示を行わせる特定制御部50と、を備える。これによって、ネットワークシステム1は、ユーザが通信条件を設定する通信ポート10に確実に通信機器100を接続できる。
【0032】
以上、本開示に係るネットワークシステムの一実施形態について説明したが、本開示の範囲は前述した実施形態に限るものではない。また、前述した実施形態に記載された効果は、本開示に係るネットワークシステムから生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本開示に係るネットワークシステムによる効果は、前述の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0033】
例として、本開示に係るネットワークシステムにおいて、通信設定部は、ユーザが逐次入力する通信条件を一時的に記憶することなく、通信制御部の設定記憶部に記憶されている通信条件をその都度書き換えてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 ネットワークシステム
10 通信ポート
20 通信制御部
21 設定記憶部
22 主制御部
30 通信設定部
31 設定処理部
32 作業記憶部
33 設定適用部
40 特定部
50 特定制御部
60 入力部
70 出力部
100 通信機器
図1