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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】窓開閉用ハンドルボックス
(51)【国際特許分類】
   E05F 11/04 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
E05F11/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020150529
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2022045050
(43)【公開日】2022-03-18
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000210986
【氏名又は名称】中央発條株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503428703
【氏名又は名称】オイレスECO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英樹
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-150691(JP,A)
【文献】特開平9-64557(JP,A)
【文献】実開平3-126082(JP,U)
【文献】特開平7-238737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 11/04
E05D 1/00
E05D 15/33
E05D 15/44
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓を開閉するためのワイヤーを巻取可能な窓開閉用ハンドルボックスにおいて、
ワイヤーを巻き取るための巻取ドラムが収納された収納ボックスと、
前記収納ボックスの前面側板面を覆うフェイスプレートと、
前記収納ボックスと前記フェイスプレートとを連結するとともに、所定形状に屈曲した金属製の棒材で構成されたヒンジ部材であって、前記前面側板面を覆う位置と当該前面側板面を露出させる位置との間で前記フェイスプレートを変位可能とするヒンジ部材とを備え、
前記ヒンジ部材は、
前記フェイスプレートの裏面に設けられた係止穴に回転可能に嵌り込んだ係止部であって、その回転軸線と平行な方向に延びる係止部、
前記係止部から前記前面側板面に設けられた貫通穴を貫通して当該前面側板面の裏面側に延びる貫通部、及び
前記前面側板面の裏面側に接触可能な規制部を有しており、
さらに、前記規制部は、前記裏面側に接触することにより、前記係止部が前記前面側板面と直交する方向に予め決められた寸法を超えて離間することを規制する窓開閉用ハンドルボックス。
【請求項2】
前記規制部は、前記回転軸線と平行な方向に延びる部位であり、
前記規制部の延び方向と直交する方向を法線方向としたとき、
前記ヒンジ部材のうち、前記法線方向において前記規制部を挟んで前記係止部と反対側には、前記裏面側に接触可能な第2の規制部が設けられており、
前記第2の規制部は、前記裏面側に接触することにより、前記回転軸線と平行な軸線を中心として、前記係止部が回転変位する際の最大回転角を規制する請求項1に記載の窓開閉用ハンドルボックス。
【請求項3】
前記貫通穴は、前記回転軸線と平行な方向と直交する方向に延びる長穴状に構成されており、
前記ヒンジ部材は、前記貫通穴の延び方向端部にて当該貫通穴の内壁に接触可能な第3の規制部を有しており、
さらに、前記第3の規制部は、少なくとも前記規制部及び前記第2の規制部が前記裏面側に接触しているときに、前記内壁に接触する請求項2に記載の窓開閉用ハンドルボックス。
【請求項4】
前記フェイスプレートには、前記貫通部に接触可能な第4の規制部が設けられており、
前記第4の規制部が前記貫通部に接触することにより、前記係止部を回転中心とする前記フェイスプレートの最大回転角度が規制される請求項3に記載の窓開閉用ハンドルボックス。
【請求項5】
前記収納ボックスに収納されたロック機構であって、前記巻取ドラムが巻き戻しの向きに回転することを禁止するロック状態と当該回転を許容する非ロック状態とを切替可能なロック機構と、
前記フェイスプレートの裏面側に配置された伝達部材であって、当該フェイスプレートに作用する押圧力を、前記ロック機構を非ロック状態とするための操作力として当該ロック機構に伝達する伝達部材とを備え、
前記伝達部材は、本体部及び調節部を有して構成され、
さらに、前記調節部のうち前記本体部と接触する部位は、階段状の段付き部にて構成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の窓開閉用ハンドルボックス。
【請求項6】
前記巻取ドラムを回転させるための巻取用ハンドルであって、短辺部及び長辺部を有する略L字状の巻取用ハンドルを備え、
前記長辺部の先端部は、前記短辺部と平行な方向において、前記長辺部の基端部に対して当該短辺部の先端部と反対側に位置している請求項1ないし5のいずれか1項に記載の窓開閉用ハンドルボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窓を開閉するためのワイヤーを巻取可能な窓開閉用ハンドルボックス(以下、ハンドルボックスという。)に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のハンドルボックスでは、押圧操作される解除スイッチがフェイスプレートに設けられている。解除スイッチは、ロック状態のロック機構を非ロック状態にするための操作部である。ロック機構は、ワイヤーを巻き取るための巻取ドラムの逆転を禁止するロック状態と逆転を許容する非ロック状態とを切り替えるための機構である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-80856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
巻取ドラムは収納ボックス内に収納されている。収納ボックスの前面側板面は、通常、フェイスプレートに覆われている。このため、ワイヤーを巻き取る際に、ハンドルボックスを操作する者は、フェイスプレートを開く必要がある。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、前面側板面を覆う位置と当該前面側板面を露出させる位置との間でフェイスプレートを変位可能なハンドルボックスの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
窓を開閉するためのワイヤーを巻取可能な窓開閉用ハンドルボックス(10)は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0007】
すなわち、当該構成要件は、ワイヤーを巻き取るための巻取ドラム(14)が収納された収納ボックス(12)と、収納ボックス(12)の前面側板面(12B)を覆うフェイスプレート(11)と、収納ボックス(12)とフェイスプレート(11)とを連結する所定形状に屈曲した金属製の棒材で構成されたヒンジ部材(20)であって、前面側板面(12B)を覆う位置と当該前面側板面(12B)を露出させる位置との間でフェイスプレート(11)を揺動変位可能とするヒンジ部材(20)とを備える。
【0008】
そして、ヒンジ部材(20)は、フェイスプレート(11)の裏面に設けられた係止穴(11A)に回転可能に嵌り込んだ係止部(20A)であって、回転軸線方向と平行な方向に延びる係止部(20A)、係止部(20A)から前面側板面(12B)に設けられた貫通穴(12C)を貫通して当該前面側板面(12B)の裏面側に延びる貫通部(20B)、及び前面側板面(12B)の裏面(12D)側に接触可能な規制部(20C)を有している。
【0009】
さらに、規制部(20C)は、裏面(12D)側に接触することにより、係止部(20A)が当該前面側板面(12B)と直交する方向に予め決められた寸法を超えて離間することを規制する。
【0010】
これにより、当該窓開閉用ハンドルボックス(10)では、フェイスプレート(11)が前面側板面(12B)を露出させる位置にあるときに、当該フェイスプレート(11)の位置が不安定になってしまうことが抑制され得る。
【0011】
さらに、ヒンジ部材(20)は、金属製の棒材で構成されているので、樹脂にてヒンジ部材が構成された場合に比べて、当該ヒンジ部材(20)の強度及び耐久性が向上する。
【0012】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る排煙窓を示す図である。
図2】第1実施形態に係るハンドルボックスを示す図である。
図3】第1実施形態に係るハンドルボックスを示す図である。
図4】第1実施形態に係るハンドルボックス内の構造を示す図である。
図5】第1実施形態に係るハンドルボックスを示す図である。
図6】第1実施形態に係るハンドルボックスを示す図である。
図7】第1実施形態に係る伝達部材を示す図である。
図8】第1実施形態に係る調節部を示す図である。
図9】第1実施形態に係るヒンジ部材を示す図である。
図10】第1実施形態に係るヒンジ部材の構造説明図である。
図11】第1実施形態に係るヒンジ部材の構造説明図である。
図12】第1実施形態に係るヒンジ部材の構造説明図である。
図13】第1実施形態に係るヒンジ部材の構造説明図である。
図14】第1実施形態に係るヒンジ部材の構造説明図である。
図15】第1実施形態に係るヒンジ部材の構造説明図である。
図16】第1実施形態に係るヒンジ部材の作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0015】
各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
【0016】
なお、図中の「左」及び「右」は、観測者が窓開閉用ハンドルボックを正面側から観測したときの右手側を「右」とし、観測者が当該窓開閉用ハンドルボックを正面側から観測したときの左手側を「左」としている。さらに、斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0017】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された窓開閉用ハンドルボックスは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素を備える。
【0018】
(第1実施形態)
<1.窓開閉用装置の概要>
本実施形態は、図1に示される排煙窓1に本開示に係る窓開閉用ハンドルボックス(以下、ハンドルボックスという。)10を適用したものである。
【0019】
排煙窓1は、窓枠3、障子5及びステイダンパー7等を有して構成されている。窓枠3は、排煙窓1の開口を縁取る枠部である。障子5は、当該開口を閉塞するための部材である。当該障子5は、ヒンジ(図示せず。)を介して窓枠3に回転可能に連結されている。
【0020】
ステイダンパー7は、障子5を窓枠3から離間させる力(以下、離間力という。)を発揮する。なお、本実施形態に係るステイダンパー7は、筒状のシリンダ及び当該シリンダから出没するロッド等を有する。シリンダ内には、離間力を発生させるバネ又は高圧ガスが封入されている。
【0021】
ハンドルボックス10は、ワイヤー5Aを巻き取るための手動式巻取装置である。ワイヤー5Aは排煙窓1を開閉するためのワイヤーである。すなわち、ワイヤー5Aがハンドルボックス10に巻き取られると、障子5は窓枠3に近づくように揺動変位して上記開口、つまり排煙窓1が閉じた状態となる。
【0022】
巻き取られたワイヤー5Aが開放されると、ステイダンパー7が発揮する離間力により、障子5が窓枠3から離間するように揺動変位して上記開口、つまり排煙窓1が開いた状態となる。
【0023】
<2.ハンドルボックスの構成>
<2.1 ハンドルボックスの概要>
ハンドルボックス10は、図2及び図3に示されるように、フェイスプレート11、収納ボックス12及びヒンジ部材20等を少なくとも有する。収納ボックス12は、ボックス本体12A及び前面側板面12B等を有する。
【0024】
ボックス本体12Aは、図4に示されるように、巻取装置13及び伝達部材17等を収納する収納部である。前面側板面12Bは、図3に示されるように、ボックス本体12Aの前面側開口の一部を覆う部材である。
【0025】
フェイスプレート11は、図2に示されるように、前面側板面12Bを覆う部材である。当該フェイスプレート11は、図3に示されるように、ヒンジ部材20を介して収納ボックス12に連結されている。
【0026】
<巻取装置>
巻取装置13は、ワイヤー5Aを巻き取るための装置である。当該巻取装置13は、図4に示されるように、巻取ドラム14及びロック機構15等を少なくとも有する。巻取ドラム14は、正転及び逆転可能な回転体であって、正転時にワイヤー5Aを巻き取る回転体である。したがって、巻取ドラム14の逆転時には、巻き取られていたワイヤー5Aが当該巻取ドラム14から放出される。
【0027】
巻取ドラム14を正転させるには、図5に示されるように、オペレータがハンドル30を巻取ドラム14に挿入し、当該ハンドル30を回転操作する必要がある。ハンドル30は、図3に示されるように、2つの部材30A、30Bに分解された状態で前面側板面12Bに収納されている。
【0028】
ハンドル30は、図6に示されるように、ハンドル本体31及び把持部32等を有している。ハンドル本体31は、短辺部31A及び長辺部31Bを有する略L字状の部位である。把持部32は、オペレータにより把持される部位である。
【0029】
短辺部31Aは巻取ドラム14に挿入される部位である。長辺部31Bは、短辺部31Aの長手方向と交差する(本実施形態では、約直交する)方向に延びる部位である。当該長辺部31Bは、当該長辺部31Bの基端部31Cにて短辺部31Aと連結されている。
【0030】
そして、長辺部31Bの先端部31D、つまり把持部32が設けられた部位は、短辺部31Aと平行な方向(本実施形態では、前後方向)において、基端部31Cに対して当該短辺部31Aの先端部31Eと反対側に位置している。
【0031】
つまり、本実施形態係るハンドル30では、部材30Bの先端側が部材30Aの長辺部分に対して反るように屈曲している。換言すれば、部材30Bの先端側は、基端部31Cを通る上下方向の仮想線に対して反るように屈曲している。
【0032】
<ロック機構>
ロック機構15は、巻取ドラム14の逆転を禁止するロック状態と逆転を許容する非ロック状態とを切替可能な機構である。当該ロック機構15は、図4に示されるように、解除部材15A、ラチェット機構15B、及び伝達部材17等を少なくとも有して構成されている。
【0033】
伝達部材17は、フェイスプレート11の裏面側、つまり前面側板面12B側に配置されている。当該伝達部材17は、フェイスプレート11に作用する押圧力を、ロック機構15を非ロック状態とするための操作力として当該ロック機構15に伝達する。
【0034】
伝達部材17は、図7に示されるように、本体部17A及び調節部17Bを有して構成されている。なお、調節部17Bは、皿ネジ17C等の締結具にて本体部17Aに締結固定されている。
【0035】
調節部17Bのうち本体部17Aと接触する部位は、図8に示されるように、階段状の段付き部17D、17Eが設けられている。段付き部17D、17Eは、皿ネジ17Cの挿入穴17Fを中心とする螺旋階段状に構成されている。
【0036】
<2.2 ヒンジ部材の詳細構成>
ヒンジ部材20は、フェイスプレート11にて前面側板面12Bが覆われた位置(図2参照)と当該前面側板面12Bを露出させる位置(図3参照)との間で当該フェイスプレート11を変位可能とする。
【0037】
当該ヒンジ部材20は、図9に示されるように、所定形状に屈曲した金属製の棒材で構成されている。なお、本実施形態に係るヒンジ部材20は、図9における左右方向の略中央に対して対称な形状である。
【0038】
ヒンジ部材20は、係止部20A、貫通部20B、第1規制部20C、第2規制部20D及び第3規制部20E等を有して構成されている。
【0039】
係止部20Aは、図10に示されるように、フェイスプレート11の裏面に設けられた係止穴11Aに回転可能に嵌り込んだ部位であって、その回転軸線Loと平行な方向に延びる直線状の部位である。
【0040】
貫通部20Bは、図11に示されるように、係止部20Aから貫通穴12Cを貫通して前面側板面12Bの裏面側に延びる部位である。貫通穴12Cは、図10に示されるように、前面側板面12Bに設けられ、かつ、回転軸線Loと直交する方向(本実施形態では、上下方向)に延びる長穴状に構成された貫通穴である。
【0041】
<第1規制部>
第1規制部20Cは、図12に示されるように、前面側板面12Bの裏面12D側に接触可能な部位である。当該第1規制部20Cは、裏面12D側に接触することにより、係止部20Aが前面側板面12Bと直交する方向(本実施形態では、前方向き)に予め決められた寸法を超えて離間することを規制する。
【0042】
つまり、図12に示されるように、第1規制部20Cが前面側板面12Bの裏面12Dに接触した状態では、ヒンジ部材20が前方向き移動することが規制されるため、係止部20A、つまりフェイスプレート11の係止穴11Aの変位が規制される。
【0043】
<第2規制部>
第2規制部20Dは、図13に示されるように、前面側板面12Bの裏面12Dに設けられた当接部12Eに接触可能な部位である。当該第2規制部20Dは、図9に示されるように、法線方向L1において第1規制部20Cを挟んで係止部20Aと反対側(図9では、第1規制部20Cの上側)に設けられている。
【0044】
法線方向L1とは、第1規制部20Cの延び方向(本実施形態では、回転軸線Loと平行な方向)と直交する方向をいう。つまり、フェイスプレート11が完全に開いた状態(図10参照)では、第1規制部20Cの上方側に第2規制部20Dが位置し、第1規制部20Cの下方側に係止部20Aが位置する。
【0045】
因みに、第1規制部20Cの延び方向と直交する方向は無数に存在する。しかし、第2規制部20Dが存在しない方向は、技術的な意味が無い。したがって、法線方向L1とは、第1規制部20Cの延び方向と直交する方向のうち、第2規制部20Dの機能を発揮可能な方向である。
【0046】
そして、第2規制部20Dは、図14に示されるように、当接部12Eに接触することにより、回転軸線Loと平行な軸線(図14の紙面と直交する方向)を中心として、係止部20Aが回転変位する際の最大回転角を規制する。
【0047】
具体的には、本実施形態では、第1規制部20Cが前面側板面12Bの裏面12Dに接触した状態では、係止部20Aは、第1規制部20Cと裏面12Dとの接触箇所を中心として、矢印の方向に回転変位可能である。
【0048】
例えば、図14において、第1規制部20Cと裏面12Dとの接触箇所を中心として、ヒンジ部材20が二点鎖線に示す状態から実線に示す状態に回転し、第2規制部20Dが当接部12Eに接触すると、係止部20Aは、実線で示される状態を越えて更に左向きに回転変位できない。つまり、第2規制部20Dは、回転軸線Loと平行な軸線を中心として、係止部20Aが回転変位する際の最大回転角を規制する。
【0049】
<第3規制部>
第3規制部20Eは、図15に示されるように、貫通穴12Cの延び方向端部(本実施形態では、下端部)にて当該貫通穴12Cの内壁12Fに接触可能な部位である。そして、第3規制部20Eは、少なくとも第1規制部20C及び第2規制部20Dが裏面12D側に接触しているときに、内壁12Fに接触する。
【0050】
なお、第3規制部20Eは、貫通部20Bの一部に設けられている。このため、第3規制部20Eは、係止部20A、第1規制部20C及び第2規制部20Dと略直交する方向に延びている。
【0051】
<2.3 フェイスプレートの規制部>
フェイスプレート11には、図10に示されるように、貫通部20Bに接触可能な第4規制部11Bが設けられている。第4規制部11Bは、貫通部20Bに接触することにより、係止部20Aを回転中心とするフェイスプレート11の最大回転角度を規制する。
【0052】
つまり、図11に示されるように、フェイスプレート11が完全に開いた状態では、貫通部20Bのうち係止部20Aの近傍と第4規制部11Bとが接触する。このため、フェイスプレート11は、係止部20Aを中心として当該状態から更に回転変位することができない。
【0053】
<2.4 フェイスプレート及びヒンジ部材の作動>
フェイスプレート11が前面側板面12Bを覆った状態(以下、閉じた状態ともいう。)から開いた状態に変化する際においては、図16に示されるように、ヒンジ部材20は、先ず、第1規制部20Cが前面側板面12Bの裏面12Dに接触する位置まで前方側に移動する。
【0054】
第1規制部20Cが前面側板面12Bの裏面12Dに接触すると、第1規制部20Cと裏面12Dとの接触箇所を中心としてヒンジ部材20が回転する。そして、第2規制部20Dが当接部12Eに接触すると、当該回転が停止する。
【0055】
ヒンジ部材20が回転しているとき、貫通部20Bは、内壁12Fに対して転がり接触するように、内壁12Fとの接触箇所が変化している。そして、第3規制部20Eと内壁12Fとが接触した状態では、ヒンジ部材20全体が下方に変位することが規制される。
【0056】
このとき、第1規制部20C及び第2規制部20Dは、前面側板面12Bの裏面12D側に接触しているため、前面側板面12Bに対するヒンジ部材20の位置及び姿勢が保持される。
【0057】
ヒンジ部材20の位置及び姿勢が保持されると、係止部20Aを中心とするフェイスプレート11の回転変位のみ可能な状態となる。そして、貫通部20Bと第4規制部11Bとが接触すると、係止部20Aを中心とするフェイスプレート11の回転変位が停止する。
【0058】
なお、本実施形態では、フェイスプレート11及び前面側板面12Bのうちいずれか一方には永久磁石(図示せず。)が設けられ、他方に鉄等の強磁性体(図示せず。)が設けられている。そして、当該永久磁石と強磁性体との吸引力にて、フェイスプレート11が前面側板面12Bを覆う位置に保持される。
【0059】
<3.本実施形態に係るハンドルボックスの特徴>
本実施形態に係るヒンジ部材20は、所定形状に屈曲した金属製の棒材で構成され、かつ、第1規制部20Cを備える。第1規制部20Cは、前面側板面12Bの裏面12D側に接触可能な部位である。
【0060】
そして、第1規制部20Cは、裏面12D側に接触することにより、係止部20Aが前面側板面12Bと直交する方向(本実施形態では、前方向き)に予め決められた寸法を超えて離間することを規制する。
【0061】
したがって、フェイスプレート11の係止穴11Aの変位が規制されるので、フェイスプレート11が前面側板面12Bを露出させる位置にあるときに、当該フェイスプレート11の位置が不安定になってしまうことが抑制され得る。
【0062】
ヒンジ部材20の第2規制部20Dがフェイスプレート11の裏面12D側に接触すると、回転軸線Loと平行な軸線を中心とする係止部20Aの回転変位が規制される。これにより、ヒンジ部材20の姿勢が規制され、ヒンジ部材20の姿勢が安定する。
【0063】
第3規制部20Eは、少なくとも第1規制部20C及び第2規制部20Dが裏面12D側に接触しているときに、内壁12Fに接触する。これにより、ヒンジ部材20の位置が保持される。したがって、ヒンジ部材20の位置が安定する。
【0064】
第4規制部11Bが貫通部20Bに接触することにより、係止部20Aを回転中心とするフェイスプレート11の最大回転角度が規制される。これにより、フェイスプレート11が過度に開いてしまうことが抑制される。
【0065】
伝達部材17の調整部17Bには、階段状の段付き部17D、17Eが設けられている。これにより、フェイスプレート11と伝達部材17との距離にバラツキが発生しても、当該調整部17Bにて当該距離のバラツキを吸収することができ得る。
【0066】
ハンドル30を構成する部材30Bの先端側は、基端部31Cを通る上下方向の仮想線に対して反るように屈曲している。これにより、オペレータがハンドル30を回転操作する際に、ハンドル30とフェイスプレート11とが干渉してしまうことが抑制され得る。
【0067】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、ハンドル30を構成する部材30Bの先端側は、基端部31Cを通る上下方向の仮想線に対して反るように屈曲していた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、部材30Bの先端側が基端部31Cを通る上下方向の仮想線上に位置する構成であってよい。
【0068】
上述の実施形態では、伝達部材17の調整部17Bには、階段状の段付き部17D、17Eが設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、調整部17Bが無段階的に寸法変化する螺旋状であってもよい。
【0069】
上述の実施形態では、第1規制部20C、第2規制部20D、第3規制部20E及び第4規制部11Bが設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1規制部20C、第2規制部20D、第3規制部20E及び第4規制部11Bのうち少なくとも1つが廃止されたヒンジ部材20であってもよい。
【0070】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
10… ハンドルボックス
11… フェイスプレート
12… 収納ボックス
12A… ボックス本体
12B… 前面側板面
20… ヒンジ部材
20A… 係止部
20B… 貫通部
20C… 第1規制部
20D… 第2規制部
20E… 第3規制部
図1
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