(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】器具検出方法および器具検出システム
(51)【国際特許分類】
G01V 8/10 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
G01V8/10 S
(21)【出願番号】P 2020163037
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】堂本 槙一郎
(72)【発明者】
【氏名】西尾 崚
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0039513(US,A1)
【文献】特開2020-153732(JP,A)
【文献】特開2002-247441(JP,A)
【文献】実開平06-035185(JP,U)
【文献】特開2018-187873(JP,A)
【文献】特開平04-361548(JP,A)
【文献】特開2014-071513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00 - 99/00
G01N 21/84 - 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色から構成された表面領域を有する底板と、器具を収容可能なように前記器具の外形に沿って型抜きされかつ前記表面領域上に位置する収容部を含む器具保持部材と、を備えた器具収容ケースにおいて、カメラを用いて前記器具の有無を検出する方法であって、
前記カメラによって、前記器具保持部材の表面に設けられた識別標識のカメラ座標系のXYZ座標値を取得すること、
前記XYZ座標値に基づいて、前記カメラと前記器具収容ケースとの相対的な位置関係が所定の条件を満たすかを判断すること、
前記所定の条件を満たす場合に、前記カメラによって前記器具収容ケースを撮影すること、
撮影された前記器具収容ケースの撮影画像において、前記第1の色のピクセルを計数すること、
計数された前記第1の色のピクセル数に基づいて、前記器具の有無を検出すること、を包含する、器具検出方法。
【請求項2】
前記カメラによって撮影されたライブビュー画像を表示装置に表示し、前記所定の条件を満たす場合には前記表示装置に撮影可能であることを表示すること、を包含する、請求項1に記載の器具検出方法。
【請求項3】
前記カメラと前記器具収容ケースとの距離が所定の距離より離れている場合には、前記表示装置に撮影不可能であることを表示すること、を包含する、請求項2に記載の器具検出方法。
【請求項4】
前記カメラの光軸と前記器具収容ケースとのなす角度が所定の角度より小さい場合には、前記表示装置に撮影不可能であることを表示すること、を包含する、請求項2または3に記載の器具検出方法。
【請求項5】
前記ピクセル数が所定の第1閾値以上の場合には、前記器具収容ケースに前記器具が収容されていないことを検出すること、を包含する、請求項1から4のいずれか一項に記載の器具検出方法。
【請求項6】
前記ピクセル数が0より大きくかつ前記第1閾値より小さい場合には、前記器具収容ケースに収容された前記器具に位置ずれが生じていることを検出すること、を包含する、請求項5に記載の器具検出方法。
【請求項7】
前記ピクセル数が所定の第2閾値以下の場合には、前記器具収容ケースに前記器具が収容されていることを検出すること、を包含する、請求項1から4のいずれか一項に記載の器具検出方法。
【請求項8】
前記識別標識には、前記カメラによって取得可能な前記収容部に収容される前記器具の情報が記憶されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の器具検出方法。
【請求項9】
前記識別標識は、前記収容部を含む基準矩形領域の四隅のうちの一つの隅である第1の隅に位置する第1識別標識と、前記四隅のうちの他の一つの隅でありかつ前記第1の隅の対角上に位置する第2識別標識と、を含み、
計数される前記第1の色のピクセルは、前記撮影画像のうち前記第1識別標識および前記第2識別標識によって規定される計数対象矩形領域に含まれるピクセルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の器具検出方法。
【請求項10】
第1の色から構成された表面領域を有する底板と、器具を収容可能なように前記器具の外形に沿って型抜きされかつ前記表面領域上に位置する収容部を含む器具保持部材と、を備えた器具収容ケースと、
前記器具収容ケースを撮影可能なカメラと、
前記カメラを制御する制御装置と、を備え、
前記器具保持部材は、前記収容部を含む基準矩形領域の四隅のうちの一つの隅である第1の隅に配置された第1識別標識と、前記四隅のうちの他の一つの隅である第2の隅でありかつ前記第1の隅の対角上に位置する第2識別標識と、を備え、
前記第1識別標識および前記第2識別標識は、前記器具保持部材の表面に位置し、
前記カメラは、前記第1識別標識および前記第2識別標識のカメラ座標系のXYZ座標値を取得可能に構成され、
前記制御装置は、
取得された前記XYZ座標値に基づいて、前記カメラと前記器具収容ケースとの相対的な位置関係が所定の条件を満たすかを判断する判断部と、
前記所定の条件を満たす場合に、前記カメラによって前記器具収容ケースを撮影する撮影部と、
撮影された前記器具収容ケースの撮影画像において、前記第1の色のピクセルを計数する計数部と、
計数された前記第1の色のピクセル数に基づいて、前記器具の有無を検出する検出部と、を備えている、器具検出システム。
【請求項11】
前記器具保持部材は、前記四隅のうちの他の一つの隅である第3の隅に配置された第3識別標識を備え、
前記カメラは、前記第3識別標識のカメラ座標系のXYZ座標値を取得可能に構成されている、請求項10に記載の器具検出システム。
【請求項12】
前記第1識別標識および前記第3識別標識の前記第2識別標識側の端部を通る直線は、平面視で前記収容部と重なる、請求項11に記載の器具検出システム。
【請求項13】
前記第1識別標識の原点は、前記第1識別標識の中心に対して前記直線と反対側の領域に設けられている、請求項12に記載の器具検出システム。
【請求項14】
前記計数部は、前記撮影画像のうち前記第1識別標識および前記第2識別標識によって規定される計数対象矩形領域に含まれる前記第1の色のピクセルを計数する、請求項10から13のいずれか一項に記載の器具検出システム。
【請求項15】
前記カメラによって撮影されたライブビュー画像が表示される表示装置を備え、
前記制御装置は、
前記所定の条件を満たす場合には前記表示装置に撮影可能であることを表示する表示部を備えている、請求項10から14のいずれか一項に記載の器具検出システム。
【請求項16】
前記表示部は、前記カメラと前記器具収容ケースとの距離が所定の距離より離れている場合には、前記表示装置に撮影不可能であることを表示する、請求項15に記載の器具検出システム。
【請求項17】
前記表示部は、前記カメラの光軸と前記器具収容ケースとのなす角度が所定の角度より小さい場合には、前記表示装置に撮影不可能であることを表示する、請求項15または16に記載の器具検出システム。
【請求項18】
前記検出部は、前記ピクセル数が所定の第1閾値以上の場合には、前記器具収容ケースに前記器具が収容されていないことを検出する、請求項10から17のいずれか一項に記載の器具検出システム。
【請求項19】
前記検出部は、前記ピクセル数が0より大きくかつ前記第1閾値より小さい場合には、前記器具収容ケースに収容された前記器具に位置ずれが生じていることを検出する、請求項18に記載の器具検出システム。
【請求項20】
前記検出部は、前記ピクセル数が所定の第2閾値以下の場合には、前記器具収容ケースに前記器具が収容されていることを検出する、請求項10から17のいずれか一項に記載の器具検出システム。
【請求項21】
前記第1識別標識または前記第2識別標識には、前記カメラによって取得可能な前記収容部に収容される前記器具の情報が記憶されている、請求項10から20のいずれか一項に記載の器具検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、器具検出方法および器具検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、切削加工機やプリンタ等の製造工程(組立工程)において用いられる工具や治具等を含む器具を適切に管理することが行われている。製造工程において用いられた器具は切削加工機等から取り外され、切削加工機等は器具のない状態で製品として出荷される。ここで、器具が確実に切削加工機等から取り外されたことを確認するため、取り外された器具は専用の器具収容ケースに収容される。例えば、器具収容ケースには器具の外形に沿って型抜きされた収容部が設けられており、収容部に適した器具が収容部に嵌め込まれる。製造工程の作業者は、器具収容ケースの収容部に器具が収容されていない場合には、該当する器具が切削加工機等から取り外されていないことを認識することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常は作業者が目視によって器具の有無を確認するため、器具収容ケースに多数の器具が収容される場合に、器具が適切に収容されていないにもかかわらずそれを認識できない虞がある。また、器具は多種多様であるため、比較的小さい器具は見落とされやすいという問題がある。また、製造工程において用いられる器具を切削加工機等に確実に取り付ける場合には、器具収容ケースに器具が残っていないことを認識する必要があり、作業者による目視での確認では上記と同様の問題が生じ得る。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、器具収容ケースに収容された器具の有無をより確実に認識することができる器具検出方法および器具検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る器具検出方法は、第1の色から構成された表面領域を有する底板と、器具を収容可能なように前記器具の外形に沿って型抜きされかつ前記表面領域上に位置する収容部を含む器具保持部材と、を備えた器具収容ケースにおいて、カメラを用いて前記器具の有無を検出する方法である。前記器具検出方法は、前記カメラによって、前記器具保持部材の表面に設けられた識別標識のカメラ座標系のXYZ座標値を取得すること、前記XYZ座標値に基づいて、前記カメラと前記器具収容ケースとの相対的な位置関係が所定の条件を満たすかを判断すること、前記所定の条件を満たす場合に、前記カメラによって前記器具収容ケースを撮影すること、撮影された前記器具収容ケースの撮影画像において、前記第1の色のピクセルを計数すること、計数された前記第1の色のピクセル数に基づいて、前記器具の有無を検出すること、を包含する。
【0006】
本発明の器具検出方法によると、計数された第1の色のピクセル数に基づいて、器具の有無を検出することができる。例えば、器具保持部材の収容部に器具が収容されていない場合には、収容部を通して第1の色から構成された表面領域が露出するため、撮影画像における第1の色のピクセル数は多くなる。一方、器具保持部材の収容部に器具が収容されている場合には、器具によって第1の色から構成された表面領域が隠れるため、撮影画像における第1の色のピクセル数は少なくなる。このように、第1の色のピクセル数の大小によって、器具の有無を検出することができる。ここで、カメラによって器具収容ケースを撮影するときに、例えば、カメラが器具収容ケースから遠く離れている場合とカメラが器具収容ケースに近い場合とでは、第1のピクセル数が大きく変わる。このため、カメラと器具収容ケースとの相対的な位置関係をある程度限定する必要がある。ここでは、器具保持部材の表面に設けられた識別標識のカメラ座標系のXYZ座標値を取得することができるため、カメラの位置を適宜変更することによって、カメラと器具収容ケースとの相対的な位置関係を所定の条件にすることができる。これにより、撮影画像において第1のピクセル数を同等の条件で計数することができる。即ち、器具の有無の検出を高い精度で行うことができる。
【0007】
また、本発明に係る器具検出システムは、第1の色から構成された表面領域を有する底板と、器具を収容可能なように前記器具の外形に沿って型抜きされかつ前記表面領域上に位置する収容部を含む器具保持部材と、を備えた器具収容ケースと、前記器具収容ケースを撮影可能なカメラと、前記カメラを制御する制御装置と、を備えている。前記器具保持部材は、前記収容部を含む矩形領域の四隅のうちの一つの隅である第1の隅に配置された第1識別標識と、前記四隅のうちの他の一つの隅である第2の隅でありかつ前記第1の隅の対角上に位置する第2識別標識と、を備えている。前記第1識別標識および前記第2識別標識は、前記器具保持部材の表面に位置する。前記カメラは、前記第1識別標識および前記第2識別標識のカメラ座標系のXYZ座標値を取得可能に構成されている。前記制御装置は、取得された前記XYZ座標値に基づいて、前記カメラと前記器具収容ケースとの相対的な位置関係が所定の条件を満たすかを判断する判断部と、前記所定の条件を満たす場合に、前記カメラによって前記器具収容ケースを撮影する撮影部と、撮影された前記器具収容ケースの撮影画像において、前記第1の色のピクセルを計数する計数部と、計数された前記第1の色のピクセル数に基づいて、前記器具の有無を検出する検出部と、を備えている。
【0008】
本発明の器具検出システムによると、制御装置の検出部は、計数された第1の色のピクセル数に基づいて、器具の有無を検出することができる。上述のように、第1の色のピクセル数の大小によって、器具の有無を検出することができる。また、カメラによって器具保持部材の表面に設けられた第1識別標識および第2識別標識のカメラ座標系のXYZ座標値を取得することができるため、カメラの位置を適宜変更することによって、カメラと器具収容ケースとの相対的な位置関係を所定の条件にすることができる。これにより、計数部は、撮影画像において第1のピクセル数を同等の条件で計数することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、器具収容ケースに収容された器具の有無をより確実に認識することができる器具検出方法および器具検出システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る器具検出システムの概念図である。
【
図2】一実施形態に係る器具検出システムのブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る器具収容ケースの平面図である。
【
図5】一実施形態に係る器具収容ケースに器具が収容された状態を示す平面図である。
【
図6】一実施形態に係る器具収容ケースに器具の一部が収容されていない状態を示す平面図である。
【
図7】一実施形態に係る器具収容ケースに収容された器具に位置ずれが生じている状態を示す平面図である。
【
図8】カメラと器具収容ケースとの相対的な位置関係が所定の条件を満たすときに表示装置に表示される画面の一例である。
【
図9】全ての識別標識を認識できないときに表示装置に表示される画面の一例である。
【
図10】カメラと器具収容ケースとの距離が所定の距離より離れているときに表示装置に表示される画面の一例である。
【
図11】カメラが器具収容ケースに対して傾いているときに表示装置に表示される画面の一例である。
【
図12B】カメラと器具収容ケースとの位置関係を示す模式図である。
【
図13】器具収容ケースに全ての器具が収容されているときに表示装置に表示される画面の一例である。
【
図14】器具収容ケースに全ての器具が収容されていないときに表示装置に表示される画面の一例である。
【
図15】器具の有無を検出する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る器具検出システムおよび器具検出方法について説明する。なお、ここで説明される実施の形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
図1に示すように、器具検出システム10は、複数の器具15を収容可能な器具収容ケース30と、カメラ20と、管理装置60と、を備えている。器具検出システム10は、カメラ20を用いて、器具収容ケース30に収容される器具15の有無を検出するシステムである。
【0013】
器具15は、切削加工機やプリンタ等の製造工程(組立工程)に用いられる部材の総称である。器具15は、例えば、切削加工機等を構成する部品、切削加工機に着脱可能な加工ツール(例えばエンドミル)のような工具、切削加工機等の各種部品を取り付ける際に用いられる位置調整用の治具等を含む。
図4に示す例では、切削加工機の製造工程に用いられる器具15として、径の大きいエンドミル15Aと、径の小さいエンドミル15Bと、切削加工機のスピンドルに把持される位置合わせ用ピン15Cと、切削加工機のクランプに取り付けられる治具15Dとが図示されている。位置合わせ用ピン15Cおよび治具15Dは、スピンドルとクランプとの位置調整に用いられる部材である。
【0014】
図5に示すように、器具収容ケース30は、複数の器具15を収容する。
図3に示すように、器具収容ケース30は、底板31と、底板31上に位置する器具保持部材33と、底板31および器具保持部材33を収容するケース38と、を有する。ケース38は、一側面が開口した略直方体形状の部材である。底板31は、ケース38内配置される。底板31は、平板状に形成されている。本実施形態では、底板31は、矩形状に形成されている。底板31は、第1の色から構成された表面領域32を有する。本実施形態では、表面領域32は、底板31全体に亘って設けられている。なお、第1の色から構成された表面領域32は、後述する収容部35と重なる部分だけであってもよい。即ち、底板31のうち収容部35と重ならない部分は第1の色以外の色であってもよいし、収容部35と重ならない部分には底板31が設けられていなくてもよい。底板31は、ケース38と一体的に形成されていてもよい。なお、
図3等に示すように、以下の説明では表面領域32を斜線で表す。第1の色は、ケース38および器具保持部材33および器具15とは異なる色である。ここでは、例えば、赤色である。
【0015】
器具保持部材33は、弾性変形可能な材料から形成されている。器具保持部材33は、例えば、ウレタン樹脂(例えば発砲ポリウレタン)、エチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂)、ポリエチレン樹脂等から形成されている。器具保持部材33は、所定の厚みを有する。器具保持部材33の厚みは、底板31の厚みより厚い。器具保持部材33の厚みは、例えば、5mm~20mm程度である。器具保持部材33は、複数の収容部35を含む。収容部35には、器具15が収容される。収容部35は、器具15を収容可能なように器具15の外形に沿って型抜きされて形成されている。収容部35は、器具保持部材33を型抜きしているため、器具保持部材33の表面から凹んだ形状となっている。即ち、収容部35は、所定の厚みを有する。収容部35は、表面領域32上に位置する。即ち、収容部35は、表面領域32と重なる。平面視で、収容部35の内側の領域は全て表面領域32である。
図3に示す例では、器具保持部材33は、エンドミル15A(
図4参照)を収容可能な第1収容部35Aと、エンドミル15B(
図4参照)を収容可能な第2収容部35Bと、位置合わせ用ピン15C(
図4参照)を収容可能な第3収容部35Cと、治具15D(
図4参照)を収容可能な第4収容部35Dと、を含む。例えば、第1収容部35Aは、エンドミル15Aの外形に沿った形状をしており、
図5に示すように、第1収容部35Aにエンドミル15Aが収容された状態では、表面領域32は外部から視認できない。また、
図6に示すように、第4収容部35Dに治具15Dが収容されていない状態では、表面領域32は外部から視認できる。
【0016】
図3に示すように、器具保持部材33は、識別標識37を備えている。識別標識37は、第1識別標識37Aと、第2識別標識37Bと、第3識別標識37Cと、を含む。第1識別標識37A~第3識別標識37Cは、矩形状(例えば正方形)に形成されている。第1識別標識37A~第3識別標識37Cは、収容部35を含む基準矩形領域34の四隅にそれぞれ設けられている。収容部35は、基準矩形領域34の内側に位置する。第1識別標識37A~第3識別標識37Cは、器具保持部材33の表面に位置する。第1識別標識37Aは、基準矩形領域34の四隅のうちの一つの隅である第1の隅34Aに配置されている。第2識別標識37Bは、基準矩形領域34の四隅のうちの一つの隅である第2の隅34Bに配置されている。第2の隅34Bは、第1の隅34Aの対角上に位置する。第3識別標識37Cは、基準矩形領域34の四隅のうちの一つの隅である第3の隅34Cに配置されている。なお、第3識別標識37Cは、第4の隅34Dに配置されていてもよい。第1識別標識37Aの右端(第2識別標識37B側の端部)37ARおよび第3識別標識37Cの右端(第2識別標識37B側の端部)37CRを通る直線L1は、平面視で収容部35(ここでは第4収容部35D)と重なる。第1識別標識37Aの原点37APは、第1識別標識37Aの中心に対して直線L1と反対側(ここでは左側)の領域に設けられている。ここでは、原点37APは第1識別標識37Aの左上の領域に設けられている。第2識別標識37Bの原点37BPは、第2識別標識37Bの中心に対して直線L1と反対側(ここでは右側)の領域に設けられている。ここでは、原点37BPは第2識別標識37Bの右下の領域に設けられている。第3識別標識37Cの原点37CPは、第3識別標識37Cの中心に対して直線L1と反対側(ここでは左側)の領域に設けられている。ここでは、原点37CPは第3識別標識37Cの左下の領域に設けられている。第1識別標識37A~第3識別標識37Cは、計数対象矩形領域40を規定する。計数対象矩形領域40の外形線は、第1識別標識37Aの原点37APと、第2識別標識37Bの原点37BPと、第3識別標識37Cの原点37CPとを通る。計数対象矩形領域40は、基準矩形領域34の内側に位置する。収容部35は、計数対象矩形領域40の内側に位置する。なお、計数対象矩形領域40は、少なくとも第1識別標識37Aおよび第2識別標識37Bによって規定することができる。
【0017】
識別標識37は、カメラ20によって識別標識37のカメラ座標系のXYZ座標値が取得可能なように形成されている。ここで、カメラ座標系とは、カメラ20の位置および向きに関して定義された座標系である。カメラ座標系の原点はレンズ中心(即ち投影中心)である。識別標識37は、例えば、拡張現実すなわちAR(Augumented Reality)術を利用したARマーカーである。識別標識37には、器具収容ケース30の収容部35に収容される器具15の情報が記憶されている。例えば、第2識別標識37Bには器具15に対応する番号が記憶されている。また、識別標識37には、切削加工機等が製造される場所(例えば国名や都市名)等の情報が記憶されていてもよい。器具15の情報等はカメラ20によって取得可能に構成されている。
【0018】
本実施形態の器具検出システム10では、カメラ20は管理装置60の後述する制御装置70と通信可能に接続されている。カメラ20は、例えば有線を介して管理装置60に接続されている。カメラ20は、作業者が手にもって使用するものである。即ち、本実施形態のカメラ20は、器具収容ケース30に対する相対的な位置関係が作業者によって変更可能である。カメラ20は、例えば、ウェブカメラである。カメラ20は、器具収容ケース30に設けられた第1識別標識37A~第3識別標識37Cのカメラ座標系のXYZ座標値を取得可能に構成されている。カメラ20は、器具収容ケース30を撮影可能に構成されている。カメラ20は、制御装置70に制御される。
【0019】
図1に示すように、管理装置60は、表示装置65と、入力装置67(
図2参照)と、本体ケース68と、制御装置70(
図2参照)とを備えている。表示装置65は、例えば液晶ディスプレイ等である。表示装置65には、カメラ20によって撮影されたライブビュー画像や撮影画像が表示される。入力装置67としては、例えばキーボードやタッチパネル、マウス等が挙げられる。制御装置70は、器具15の有無の検出に関する制御をする装置である。制御装置70は、マイクロコンピュータからなっており本体ケース68の内部に設けられている。制御装置70は、例えば中央処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えている。ここでは、マイクロコンピュータ内に保存されたプログラムを使用して、器具15の有無の検出に関する制御を行う。
【0020】
図2に示すように、制御装置70は、記憶部71と、取得部73と、判定部75と、判断部77と、表示部79と、撮影部81と、計数部83と、検出部85とを備えている。制御装置70の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれる。なお、このプログラムは、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、制御装置70の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。
【0021】
記憶部71は、器具収容ケース30の収容部35に収容される器具15の情報を記憶する。記憶部71は、カメラ20によって撮影された撮影画像を記憶する。記憶部71は、後述する所定の条件を記憶する。記憶部71は、後述する第1閾値を記憶する。
【0022】
取得部73は、カメラ20によって取得された識別標識37のカメラ座標系のXYZ座標値を取得する。取得部73は、取得されたXYZ座標値に基づいて、例えば、計数対象矩形領域40(
図3参照)や、カメラ20と器具収容ケース30との距離や、器具収容ケース30に対するカメラ20の傾き等を取得する。取得部73は、識別標識37に記憶された器具15の情報を取得する。
【0023】
判定部75は、取得部73によって取得された器具15の情報(以下取得情報とする)と、作業者が器具収容ケース30に収容されているか否かをこれから確認しようとする器具15の情報(以下確認対象情報とする)とが同じであるかを判定する。
【0024】
判断部77は、カメラ20によって取得された識別標識37のカメラ座標系のXYZ座標値に基づいて、カメラ20と器具収容ケース30との相対的な位置関係が所定の条件を満たすかを判断する。所定の条件としては、例えば、第1識別標識37A~第3識別標識37Cの全てが認識されることが挙げられる。即ち、第1識別標識37A~第3識別標識37Cのカメラ座標系の少なくともXY座標値が取得されたことが挙げられる。判断部77は、例えば、カメラ20によって第1識別標識37A~第3識別標識37Cのカメラ座標系のXY座標値が取得されたか否かを判断する。また、所定の条件としては、例えば、カメラ20と器具収容ケース30との距離(即ちカメラ座標系のZ軸方向の距離)が所定の距離(例えば30cm~1m。好ましくは50cm。)以下であることが挙げられる。判断部77は、例えば、第1識別標識37A~第3識別標識37Cのカメラ座標系のXYZ座標値に基づいて、カメラ20と器具収容ケース30との距離が所定の距離以下であるかを判断する。また、所定の条件としては、例えば、
図12Bに示すように、カメラ20の光軸OAと器具収容ケース30(例えば識別標識37が設けられている平面33P)とのなす角度が所定の角度以上であることが挙げられる。判断部77は、第1識別標識37Aおよび第2識別標識37Bのカメラ座標系のYZ座標値に基づいて、カメラ20の光軸OAと器具収容ケース30とのなす角度θ(
図12B参照)が所定の角度(例えば80°~90°。好ましくは90°)以上であるかを判断する。カメラ20の光軸OAと器具収容ケース30とのなす角度θは90°が好ましい。本実施形態では、判断部77は、上記3つの条件を満たすか否かを判断している。
【0025】
表示部79は、カメラ20によって撮影されたライブビュー画像や撮影画像を表示装置65に表示する。表示部79は、判定部75によって取得情報と確認対象情報とが異なると判定されたとき、表示装置65に器具15の情報が異なること(即ち取得情報と確認対象情報とが異なること)を表示する。
図8に示すように、表示部79は、上述した所定の条件を満たす場合には表示装置65に撮影可能であること(ここでは「撮影OK」)を表示する。
図9に示すように、表示部79は、カメラ20によって第1識別標識37A~第3識別標識37Cの全てが認識されない場合には、表示装置65に撮影不可能であること(ここでは「撮影NG」)を表示する。
図9に示す例では、第2識別標識37Bがカメラ20によって認識されていない。
図10に示すように、表示部79は、カメラ20と器具収容ケース30との距離が所定の距離より離れている場合には、表示装置65に撮影不可能であること(ここでは「撮影NG」)を表示する。
図11に示すように、表示部79は、カメラ20の光軸OA(
図12B参照)と器具収容ケース30とのなす角度θ(
図12B参照)が所定の角度より小さい場合には、表示装置65に撮影不可能であること(ここでは「撮影NG」)を表示する。
図11に示す例では、カメラ20が器具収容ケース30に対して傾いている。ここで、
図12Aに示すように、器具収容ケース30の器具保持部材33は所定の厚みを有しているため、器具保持部材33を真上から見た場合(
図3参照)と比較して、器具保持部材33を斜めから見たときには表面領域32の一部が器具保持部材33によって隠れてしまう。即ち、収容部35に器具15が収容されていないにも関わらず、カメラ20の位置によっては、器具保持部材33によって表面領域32の全てあるいは大部分が隠れてしまい、表面領域32を正確に撮影できない虞がある。また、
図13に示すように、表示部79は、検出部85によって器具収容ケース30に器具15が収容されていることが検出された場合には、表示装置65に収容が完了していること(ここでは「収容OK」)を表示する。一方、
図14に示すように、表示部79は、検出部85によって器具収容ケース30に器具15が収容されていないことが検出された場合には、表示装置65に収容が未完了であること(ここでは「収容NG」)を表示する。
図14に示す例では、第4収容部35Dに治具15D(
図4参照)が収容されていない。
【0026】
撮影部81は、上述した所定の条件を満たす場合に、カメラ20によって器具収容ケース30を撮影する。撮影された器具収容ケース30の撮影画像は、記憶部71に記憶される。撮影画像は、カラー画像である。撮影部81は、上述した所定の条件を満たさない場合にカメラ20による撮影を禁止し、かつ、上述した所定の条件を満たす場合にカメラ20による撮影を許可する。また、判定部75によって取得情報と確認対象情報とが異なると判定されたとき、撮影部81はカメラ20による撮影を禁止する。
【0027】
計数部83は、撮影された器具収容ケース30の撮影画像において、第1の色(例えば赤色)のピクセルを計数する。計数部83は、撮影画像のうち第1識別標識37Aおよび第2識別標識37Bによって規定される計数対象矩形領域40(
図3参照)に含まれる第1の色のピクセルを計数する。
【0028】
検出部85は、計数された第1の色(例えば赤色)のピクセル数に基づいて、器具15の有無を検出する。検出部85は、ピクセル数が所定の第1閾値以上の場合には、器具収容ケース30に器具15が収容されていないことを検出する。即ち、検出部85は、ピクセル数が所定の第1閾値未満の場合には、器具収容ケース30に器具15が収容されていることを検出する。第1閾値は、例えば、撮影画像の解像度が640×480dpiの場合に、100ピクセルである。
図7に示すように、検出部85は、ピクセル数が0より大きくかつ第1閾値より小さい場合には、器具収容ケース30に収容された器具15に位置ずれが生じていることを検出してもよい。
図7に示す例は、治具15Dが第4収容部35Dに正確に収容されておらず、治具15Dの一部が第4収容部35Dからはみ出ているため、表面領域32の一部が外部に露出している状態である。
【0029】
次に、器具収容ケース30に収容された器具15の有無を検出する手順を説明する。
図15は、器具15の有無を検出する手順を示すフローチャートである。ここでは、作業者が手に持ったカメラ20を用いて器具収容ケース30を撮影する。
【0030】
まず、ステップS10において、表示部79はカメラ20によって撮影された器具収容ケース30のライブビュー画像を表示装置65に表示する。
【0031】
ステップS20において、判断部77は、カメラ20によって第1識別標識37A~第3識別標識37Cの全てが認識されたか否かを判断する。第1識別標識37A~第3識別標識37Cの少なくとも一つでも認識されていないと判断された場合には、ステップS30に進む。一方、第1識別標識37A~第3識別標識37Cの全てが認識されたと判断された場合には、ステップS40に進む。
【0032】
ステップS30において、表示部79は、表示装置65に撮影不可能であること(ここでは「撮影NG」)を表示する。撮影不可能であることを認識した作業者は、カメラ20によって第1識別標識37A~第3識別標識37Cの全てが認識されるように、カメラ20の位置を変更する。そして、ステップS20に戻る。
【0033】
ステップS40において、判定部75は、カメラ20によって撮影されている器具収容ケース30が適切であるかを判定する。即ち、判定部75は、取得情報と確認対象情報とが同じであるかを判定する。取得情報と確認対象情報とが異なると判定された場合には、ステップS50に進む。一方、取得情報と確認対象情報とが同じと判定された場合には、ステップS60に進む。
【0034】
ステップS50において、表示部79は、表示装置65に器具15の情報が異なること(即ち取得情報と確認対象情報とが異なること)を表示する。これにより、作業者は、誤った器具収容ケース30の器具15の有無を検出しようとしていること認識することができる。これにより、器具15の検出処理を終了する。
【0035】
ステップS60において、判断部77は、カメラ20によって取得された第1識別標識37A~第3識別標識37Cのカメラ座標系のXYZ座標値に基づいて、カメラ20と器具収容ケース30との相対的な位置関係が所定の条件を満たすかを判断する。所定の条件を満たさない場合には、ステップS70に進む。一方、所定の条件を満たす場合には、ステップS80に進む。
【0036】
ステップS70において、表示部79は、表示装置65に撮影不可能であること(ここでは「撮影NG」)を表示する。撮影不可能であることを認識した作業者は、カメラ20と器具収容ケース30との距離が所定の距離以下かつカメラ20の光軸OAと器具収容ケース30とのなす角度θが所定の角度以上となるように、カメラ20の位置を変更する。そして、ステップS60に戻る。
【0037】
ステップS80において、撮影部81は、カメラ20によって器具収容ケース30を撮影する。そして、ステップS90に進む。
【0038】
ステップS90において、計数部83は、撮影された器具収容ケース30の撮影画像において、第1の色(例えば赤色)のピクセルを計数する。計数部83は、例えば、計数対象矩形領域40(
図3参照)に含まれる第1の色のピクセルを計数する。
そして、ステップS100に進む。
【0039】
ステップS100において、検出部85は、計数された第1の色(例えば赤色)のピクセル数に基づいて、器具15の有無を検出する。ここでは、検出部85は、第1の色のピクセル数が所定の第1閾値未満のときに器具収容ケース30に器具15が収容されていることを検出し、第1の色のピクセル数が所定の第1閾値以上のときに器具収容ケース30に器具15が収容されていないことを検出する。第1の色のピクセル数が所定の第1閾値以上の場合には、ステップS110に進む。一方、第1の色のピクセル数が所定の第1閾値未満の場合には、ステップS120に進む。
【0040】
ステップS110において、表示部79は、表示装置65に収容が未完了であること(ここでは「収容NG」)を表示する。収容が未完了であることを認識した作業者は、器具収容ケース30に全ての器具15が収容されていないことを確認することができる。これにより、器具15の検出処理を終了する。
【0041】
ステップS120において、表示部79は、表示装置65に収容が完了していること(ここでは「収容OK」)を表示する。収容が完了していることを認識した作業者は、器具収容ケース30に全ての器具15が収容されていることを確認することができる。これにより、器具15の検出処理を終了する。
【0042】
以上のように、本実施形態の器具検出方法によると、計数された第1の色のピクセル数に基づいて、器具15の有無を検出することができる。例えば、器具保持部材33の収容部35に器具15が収容されていない場合には、収容部35を通して第1の色から構成された表面領域32が露出するため、撮影画像における第1の色のピクセル数は多くなる。一方、器具保持部材33の収容部35に器具15が収容されている場合には、器具15によって第1の色から構成された表面領域32が隠れるため、撮影画像における第1の色のピクセル数は少なくなる。このように、第1の色のピクセル数の大小によって、器具15の有無を検出することができる。ここで、カメラ20によって器具収容ケース30を撮影するときに、例えば、カメラ20が器具収容ケース30から遠く離れている場合とカメラ20が器具収容ケース30に近い場合とでは、第1のピクセル数が大きく変わる。このため、カメラ20と器具収容ケース30との相対的な位置関係をある程度限定する必要がある。ここでは、器具保持部材33の表面に設けられた識別標識37のカメラ座標系のXYZ座標値を取得することができるため、カメラ20の位置を適宜変更することによって、カメラ20と器具収容ケース30との相対的な位置関係を所定の条件にすることができる。これにより、撮影画像において第1のピクセル数を同等の条件で計数することができる。即ち、器具15の有無の検出を高い精度で行うことができる。
【0043】
本実施形態の器具検出方法は、カメラ20によって撮影されたライブビュー画像を表示装置65に表示し、所定の条件を満たす場合には表示装置65に撮影可能であることを表示すること、を包含する。即ち、器具検出システム10は、カメラ20によって撮影されたライブビュー画像が表示される表示装置65を備え、制御装置70は、所定の条件を満たす場合には表示装置65に撮影可能であることを表示する表示部79を備えている。これにより、作業者は表示装置65に表示されたライブビュー画像を確認しながらカメラ20の位置を適宜変更することで、所定の条件を満たす位置にカメラ20を移動させることができる。
【0044】
本実施形態の器具検出方法は、カメラ20と器具収容ケース30との距離が所定の距離より離れている場合には、表示装置65に撮影不可能であることを表示すること、を包含する。即ち、器具検出システム10によると、表示部79は、カメラ20と器具収容ケース30との距離が所定の距離より離れている場合には、表示装置65に撮影不可能であることを表示する。これにより、作業者はカメラ20を器具収容ケース30に近づける方向に移動させて、所定の条件を満たす位置にカメラ20を移動させることができる。
【0045】
本実施形態の器具検出方法は、カメラ20の光軸OAと器具収容ケース30とのなす角度θが所定の角度より小さい場合には、表示装置65に撮影不可能であることを表示すること、を包含する。即ち、器具検出システム10によると、表示部79は、カメラ20の光軸OAと器具収容ケース30とのなす角度θが所定の角度より小さい場合には、表示装置65に撮影不可能であることを表示する。収容部35は、器具15の外形に沿って型抜きされているため所定の厚みを有する。ここで、器具収容ケース30に対してカメラ20がほとんど傾いていないときには撮影することができる表面領域32は、カメラ20が大きく傾いている場合には器具保持部材33に隠れてしまう。即ち、撮影画像において第1の色のピクセル数を正確に計数することができなくなる。そこで、作業者は表示装置65に表示されたライブビュー画像を確認しながらカメラ20の位置を適宜変更することで、所定の条件を満たす位置にカメラ20を移動させることができる。
【0046】
本実施形態の器具検出方法は、ピクセル数が所定の第1閾値以上の場合には、器具収容ケース30に器具15が収容されていないことを検出すること、を包含する。即ち、器具検出システム10によると、検出部85は、ピクセル数が所定の第1閾値以上の場合には、器具収容ケース30に器具15が収容されていないことを検出する。第1閾値を適宜設定することで、器具収容ケース30に器具が収容されていないことを容易に検出することができる。
【0047】
本実施形態の器具検出方法は、ピクセル数が0より大きくかつ第1閾値より小さい場合には、器具収容ケース30に収容された器具15に位置ずれが生じていることを検出すること、を包含してもよい。即ち、器具検出システム10によると、検出部85は、ピクセル数が0より大きくかつ第1閾値より小さい場合には、器具収容ケース30に収容された器具15に位置ずれが生じていることを検出してもよい。これにより、器具15が器具収容ケース30に収容されているが、適切に収容されていない(即ち位置ずれが生じている)ことを容易に検出することができる。
【0048】
本実施形態の器具検出方法によると、識別標識37には、カメラ20によって取得可能な収容部35に収容される器具15の情報が記憶されている。即ち、器具検出システム10によると、第1識別標識37Aまたは第2識別標識37Bには、カメラ20によって取得可能な収容部35に収容される器具15の情報が記憶されている。これにより、例えば、誤った器具15を検出することを未然に防ぐことができる。
【0049】
本実施形態の器具検出方法によると、計数される第1の色のピクセルは、撮影画像のうち第1識別標識37Aおよび第2識別標識37Bによって規定される計数対象矩形領域40に含まれるピクセルである。即ち、器具検出システム10によると、計数部83は、撮影画像のうち第1識別標識37Aおよび第2識別標識37Bによって規定される計数対象矩形領域40に含まれる第1の色のピクセルを計数する。これにより、撮影画像において仮に器具収容ケース30の外部に第1の色を含む部材が存在していたとしても、当該部分のピクセルは計数されない。即ち、誤検出を防止することができる。
【0050】
本実施形態の器具検出システム10によると、制御装置70の検出部85は、計数された第1の色のピクセル数に基づいて、器具15の有無を検出することができる。上述のように、第1の色のピクセル数の大小によって、器具15の有無を検出することができる。また、カメラ20によって器具保持部材33の表面に設けられた第1識別標識37Aおよび第2識別標識37Bのカメラ座標系のXYZ座標値を取得することができるため、カメラ20の位置を適宜変更することによって、カメラ20と器具収容ケース30との相対的な位置関係を所定の条件にすることができる。これにより、計数部83は、撮影画像において第1のピクセル数を同等の条件で計数することができる。
【0051】
本実施形態の器具検出システム10によると、器具保持部材33は、四隅のうちの他の一つの隅である第3の隅34Cに配置された第3識別標識37Cを備え、カメラ20は、第3識別標識37Cのカメラ座標系のXYZ座標値を取得可能に構成されている。これにより、カメラ20によって器具収容ケース30を撮影するときの器具収容ケース30の配置および器具収容ケース30に対するカメラ20の位置の自由度が高くなる。
【0052】
本実施形態の器具検出システム10によると、第1識別標識37Aおよび第3識別標識37Cの第2識別標識37B側の端部を通る直線L1は、平面視で収容部35と重なる。これにより、器具収容ケース30のコンパクト化を実現することができる。
【0053】
本実施形態の器具検出システム10によると、第1識別標識37Aの原点37APは、第1識別標識37Aの中心に対して直線L1と反対側の領域に設けられている。これにより、計数対象矩形領域40のサイズを確保しつつ器具収容ケース30のコンパクト化を実現することができる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0055】
上述した実施形態では、検出部85は、ピクセル数が所定の第1閾値以上の場合には、器具収容ケース30に器具15が収容されていないことを検出するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、検出部85は、ピクセル数が所定の第2閾値以下の場合には、器具収容ケース30に器具15が収容されていることを検出してもよい。即ち、器具検出方法は、ピクセル数が所定の第2閾値以下の場合には、器具収容ケース30に器具15が収容されていることを検出すること、を包含してもよい。第2閾値は、上述した第1閾値と同じであってもよいし、異なっていてもよい。上述した実施形態では、切削加工機等の製造工程において使用された器具15が器具収容ケース30に確実に戻されたことを確認するために用いられるが、ここでは、器具収容ケース30に収容された器具15が、切削加工機等の製造工程において確実に使用されたこと(取り付けられたこと)を確認するために用いられる。このように、第2閾値を適宜設定することで、器具収容ケース30に器具15が収容されていることを容易に検出することができる。
【0056】
上述した実施形態では、制御装置70の表示部79は上述した所定の条件を満たす場合には、表示装置65に撮影可能であることを表示するように構成されていたが、撮影可能であることを表示しなくてもよい。この場合でも、所定の条件を満たす場合には、撮影部81は、カメラ20によって器具収容ケース30を撮影することを許可する。
【0057】
上述した実施形態では、制御装置70の表示部79は、カメラ20によって第1識別標識37A~第3識別標識37Cの全てが認識されない場合や、カメラ20と器具収容ケース30との距離が所定の距離より離れている場合や、カメラ20の光軸OAと器具収容ケース30とのなす角度θが所定の角度より小さい場合には、表示装置65に撮影不可能であることを表示するように構成されていたが、撮影不可能であることを表示しなくてもよい。この場合でも、所定の条件を満たさない場合には、撮影部81は、カメラ20によって器具収容ケース30を撮影することを禁止する。
【符号の説明】
【0058】
10 器具検出システム
15 器具
20 カメラ
30 器具収容ケース
32 表面領域
35 収容部、35A~35D 第1収容部~第4収容部
37 識別標識
65 表示装置
70 制御装置
77 判断部
79 表示部
81 撮影部
83 計数部
85 検出部