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特許7469231デュアルモード陰圧創傷療法装置を制御するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】デュアルモード陰圧創傷療法装置を制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
A61M27/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020556843
(86)(22)【出願日】2019-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 IB2019053508
(87)【国際公開番号】W WO2019211731
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】62/664,688
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519295384
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・アジア・パシフィク・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アダムス、エリック、エドワード
(72)【発明者】
【氏名】アスクム、ベン、アラン
(72)【発明者】
【氏名】ベンデレ、ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ハッズ、アーロン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リー、デビッド、エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ミストリー、ニーシャ
(72)【発明者】
【氏名】ラッシュ、リー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】サイデボットム、ハンナ、ベイリー
(72)【発明者】
【氏名】アプトン、デビッド、ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、ガレス
(72)【発明者】
【氏名】ワード、ウィリアム、ジャコブ
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-528187(JP,A)
【文献】国際公開第2017/027850(WO,A1)
【文献】実開平07-025492(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧創傷療法デバイスであって、
流体流路を介して創傷に陰圧を提供するように構成された陰圧源であって、前記創傷上に位置付けられた創傷被覆材を含む、陰圧源と、
前記陰圧源が直接前記創傷被覆材に流体接続されている場合、または前記陰圧源が、前記陰圧源によって前記創傷から吸引された少なくとも一部の流体を貯蔵するように構成されたキャニスタを介して前記創傷被覆材に流体接続されている場合に、前記陰圧源を動作させて陰圧を前記創傷に提供するように構成されたコントローラと、を備え、前記コントローラが、
前記陰圧源が直接前記創傷被覆材に流体接続されているとの判定に応答して、前記陰圧源を第1のモードで動作させて陰圧を前記創傷に提供することと、
前記陰圧源が前記キャニスタを介して前記創傷被覆材に流体接続されているとの判定に応答して、前記陰圧源を第2のモードで動作させて陰圧を前記創傷に提供することであって、前記第2のモードが、前記第1のモードとは異なる、提供することと、
前記陰圧源の活動のレベルを判定することと、
第1の時間の持続期間にわたる前記陰圧源の前記活動のレベルが、漏れ状況または閉塞状況のうちの少なくとも1つを満たすとの判定に応答して、前記第1の時間の持続期間の満了後に、前記流体流路内の漏れまたは閉塞のうちの少なくとも1つの第1の表示を提供することと、
前記陰圧源の前記活動のレベルが、前記第1の時間の持続期間の後の第2の時間の持続期間にわたって、前記漏れ状況または前記閉塞状況のうちの前記少なくとも1つを満たさないとの判定に応答して、前記第2の時間の持続期間の満了後に、前記流体流路内の前記漏れまたは前記閉塞のうちの前記少なくとも1つの前記第1の表示の提供を中止することと、
前記陰圧源の前記活動のレベルが、前記第1の時間の持続期間の後の、第3の時間の持続期間にわたって、前記漏れ状況または前記閉塞状況のうちの前記少なくとも1つを満たし続けるとの判定に応答して、前記第3の時間の持続期間の満了後に、前記陰圧源を起動解除することと、を行うようにさらに構成されている、陰圧創傷療法デバイス。
【請求項2】
前記第2の時間の持続期間が、前記第1の時間の持続期間よりも短い、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記陰圧源の前記活動のレベルが、前記陰圧源のデューティサイクルを含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記漏れ状況または前記閉塞状況のうちの前記少なくとも1つが、前記第1のモードの第1のデューティサイクル閾値、および前記第2のモードの第2のデューティサイクル閾値を含み、前記第1のデューティサイクル閾値が、前記第2のデューティサイクル閾値とは異なり、
前記コントローラが、前記第1および第2の時間の持続期間にわたる前記活動のレベルを、前記第1または第2のデューティサイクル閾値のうちの1つと比較するようにさらに構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のデューティサイクル閾値が、前記第2のデューティサイクル閾値よりも大きい、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラが、前記第3の時間の持続期間の満了後に前記第1の表示とは異なる第2の表示を提供するようにさらに構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の表示が、第1の色の視覚的表示を含み、前記第2の表示が、前記第1の色とは異なる第2の色の視覚的表示を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第3の時間の持続期間が、前記第2の時間の持続期間の後である、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
陰圧源およびコントローラを備える陰圧創傷療法デバイスを動作させる方法であって、前記方法が、前記コントローラによって、
陰圧を創傷に、前記創傷上に位置付けられた創傷被覆材を備える流体流路を介して、前記陰圧源が直接前記創傷被覆材に流体接続されている場合、または前記陰圧源が、前記陰圧源によって前記創傷から吸引された少なくとも一部の流体を貯蔵するように構成されたキャニスタを介して前記創傷被覆材に流体接続されている場合に、提供するように構成された前記陰圧源を動作させることと、
前記陰圧源が直接前記創傷被覆材に流体接続されているとの判定に応答して、前記陰圧源を第1のモードで動作させて陰圧を前記創傷に提供することと、
前記陰圧源が前記キャニスタを介して前記創傷被覆材に流体接続されているとの判定に応答して、前記陰圧源を第2のモードで動作させて陰圧を前記創傷に提供することであって、前記第2のモードが、前記第1のモードとは異なる、提供することと、
前記陰圧源の活動のレベルを判定することと、
第1の時間の持続期間にわたる前記陰圧源の前記活動のレベルが、漏れ状況または閉塞状況のうちの少なくとも1つを満たすとの判定に応答して、前記第1の時間の持続期間の満了後に、前記流体流路内の漏れまたは閉塞のうちの少なくとも1つの第1の表示を提供することと、
前記陰圧源の前記活動のレベルが、前記第1の時間の持続期間の後の第2の時間の持続期間にわたって、前記漏れ状況または前記閉塞状況のうちの前記少なくとも1つを満たさないとの判定に応答して、前記第2の時間の持続期間の満了後に、前記流体流路内の前記漏れまたは前記閉塞のうちの前記少なくとも1つの前記第1の表示の提供を中止することと、
前記陰圧源の前記活動のレベルが、前記第1の時間の持続期間の後の、第3の時間の持続期間にわたって、前記漏れ状況または前記閉塞状況のうちの前記少なくとも1つを満たし続けるとの判定に応答して、前記第3の時間の持続期間または前記後続の時間の持続期間の満了後に、前記陰圧源を起動解除することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記第2の時間の持続期間が、前記第1の時間の持続期間よりも短い、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記陰圧源の前記活動のレベルが、前記陰圧源のデューティサイクルを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記漏れ状況または前記閉塞状況のうちの前記少なくとも1つが、前記第1のモードの第1のデューティサイクル閾値、および前記第2のモードの第2のデューティサイクル閾値を含み、前記第1のデューティサイクル閾値が、前記第2のデューティサイクル閾値とは異なり、
前記方法が、前記コントローラによって、前記第1および第2の時間の持続期間にわたる前記活動のレベルを、前記第1または第2のデューティサイクル閾値のうちの1つと比較することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のデューティサイクル閾値が、前記第2のデューティサイクル閾値よりも大きい、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コントローラによって、前記第3の時間の持続期間の満了後に前記第1の表示とは異なる第2の表示を提供することをさらに含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の表示が、第1の色の視覚的表示を含み、前記第2の表示が、前記第1の色とは異なる第2の色の視覚的表示を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第3の時間の持続期間が、前記第2の時間の持続期間の後である、請求項9~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される実施形態または構成は、局所陰圧(TNP)療法を用いて、創傷を被覆かつ治療するための方法および装置に関する。例えば、限定されないが、本明細書に開示されるいずれかの実施形態は、減圧で創傷を治療することに関し得る。別の非限定的な例として、本明細書に開示される実施形態のいずれかは、TNPシステムの動作を制御するための装置および方法に関し得る。
【背景技術】
【0002】
多くの異なる種類の創傷被覆材が、ヒトまたは動物の治癒プロセスを援助するものとして知られている。様々な種類の創傷被覆材には、様々な種類の材料および層、例えば、ガーゼパッド、またはフォームパッドといったパッドが含まれる。局所陰圧(「TNP」)療法は、真空補助閉鎖療法、陰圧創傷療法、または減圧創傷療法とも称されることがあり、創傷の治癒率を改善するための有益な機構として広く認識されている。こうした療法は、切開創傷、開放創、および腹部創などの広範な創傷に適用することができる。
【0003】
TNP療法は、組織浮腫を軽減し、血流を促し、肉芽組織の形成を促進させ、過剰な滲出物を除去することによって創傷の閉鎖および治癒を促し、細菌負荷を低減し、さらに創傷への感染の可能性を低減し得る。その上、TNP療法は、創傷の外部障害を減らし、より迅速な治癒を促す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかの実施形態では、陰圧創傷療法デバイスは、陰圧を創傷に、創傷上に位置付けられた創傷被覆材を含む流体流路を介して提供するように構成された陰圧源と、陰圧源が直接創傷被覆材に流体接続されている場合、または陰圧源が、陰圧源によって創傷から吸引された少なくとも一部の流体を貯蔵するように構成されたキャニスタを介して創傷被覆材に流体接続されている場合に、陰圧源を動作させて陰圧を創傷に提供するように構成されたコントローラと、を含む。コントローラは、陰圧源が直接創傷被覆材に流体接続されているとの判定に応答して、陰圧源を第1のモードで動作させて陰圧を創傷に提供することと、陰圧源がキャニスタを介して創傷被覆材に流体接続されているとの判定に応答して、陰圧源を第2のモードで動作させて陰圧を創傷に提供することであって、第2のモードが、第1のモードとは異なる、提供することと、陰圧源の活動のレベルを判定することと、第1の時間の持続期間にわたる陰圧源の活動のレベルが、漏れ状況または閉塞状況のうちの少なくとも1つを満たすとの判定に応答して、第1の時間の持続期間の満了後に、流体流路内の漏れまたは閉塞のうちの少なくとも1つの第1の表示を提供することと、陰圧源の活動のレベルが、第1の時間の持続期間の後の第2の時間の持続期間にわたって、漏れ状況または閉塞状況のうちの少なくとも1つを満たさないとの判定に応答して、第2の時間の持続期間の満了後に、流体流路内の漏れまたは閉塞のうちの少なくとも1つの第1の表示の提供を中止することと、を行うようにさらに構成され得る。
【0005】
ある特定の実施形態では、先行する段落に記載の装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。第2の時間の持続期間は、第1の時間の持続期間よりも短い場合がある。陰圧源の活動のレベルは、陰圧源のデューティサイクルを含み得る。漏れ状況または閉塞状況のうちの少なくとも1つは、第1のモードの第1のデューティサイクル閾値、および第2のモードの第2のデューティサイクル閾値を含むことができ、第1のデューティサイクル閾値は、第2のデューティサイクル閾値とは異なる。コントローラは、第1および第2の時間の持続期間にわたる活動のレベルを、第1または第2のデューティサイクル閾値のうちの1つと比較するようにさらに構成され得る。第1のデューティサイクル閾値は、第2のデューティサイクル閾値よりも大きい場合がある。
【0006】
いくつかの実装例では、先行する段落のいずれかに記載の装置は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。コントローラは、陰圧源を起動解除することなく、流体流路内の漏れまたは閉塞のうちの少なくとも1つの第1の表示を提供するようにさらに構成され得る。コントローラは、陰圧源の活動のレベルが、第1の時間の持続期間の後の第3の時間の持続期間にわたって、漏れ状況または閉塞状況のうちの少なくとも1つを満たし続けるとの判定に応答して、第3の時間の持続期間の満了後に、陰圧源を起動解除するように構成され得る。コントローラは、第3の時間の持続期間の満了後に第1の表示とは異なる第2の表示を提供するようにさらに構成され得る。第1の表示は、第1の色の視覚的表示を含むことができ、第2の表示は、第1の色とは異なる第2の色の視覚的表示を含むことができる。第3の時間の持続期間は、第2の時間の持続期間の後であってもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、1つ以上の先行する段落に記載される特徴の任意の組み合わせを有するデバイスを使用するか、または動作させる方法が提供される。
【0008】
ある特定の実施形態では、陰圧源およびコントローラを含む陰圧創傷療法デバイスを動作させる方法は、コントローラによって、陰圧を創傷に、創傷上に位置付けられた創傷被覆材を備える流体流路を介して、陰圧源が直接創傷被覆材に流体接続されている場合、または陰圧源が、陰圧源によって創傷から吸引された少なくとも一部の流体を貯蔵するように構成されたキャニスタを介して創傷被覆材に流体接続されている場合に、提供するように構成された陰圧源を動作させることと、陰圧源が直接創傷被覆材に流体接続されているとの判定に応答して、陰圧源を第1のモードで動作させて陰圧を創傷に提供することと、陰圧源がキャニスタを介して創傷被覆材に流体接続されているとの判定に応答して、陰圧源を第2のモードで動作させて陰圧を創傷に提供することであって、第2のモードが、第1のモードとは異なる、提供することと、陰圧源の活動のレベルを判定することと、第1の時間の持続期間にわたる陰圧源の活動のレベルが、漏れ状況または閉塞状況のうちの少なくとも1つを満たすとの判定に応答して、第1の時間の持続期間の満了後に、流体流路内の漏れまたは閉塞のうちの少なくとも1つの第1の表示を提供することと、陰圧源の活動のレベルが、第1の時間の持続期間の後の第2の時間の持続期間にわたって、漏れ状況または閉塞状況のうちの少なくとも1つを満たさないとの判定に応答して、第2の時間の持続期間の満了後に、流体流路内の漏れまたは閉塞のうちの少なくとも1つの第1の表示の提供を中止することと、を含む。
【0009】
いくつかの実装例では、先行する段落に記載の方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。第2の時間の持続期間は、第1の時間の持続期間よりも短い場合がある。陰圧源の活動のレベルは、陰圧源のデューティサイクルを含み得る。漏れ状況または閉塞状況のうちの少なくとも1つは、第1のモードの第1のデューティサイクル閾値、および第2のモードの第2のデューティサイクル閾値を含み、第1のデューティサイクル閾値は、第2のデューティサイクル閾値とは異なる。本方法は、コントローラによって、第1および第2の時間の持続期間にわたる活動のレベルを、第1または第2のデューティサイクル閾値のうちの1つと比較することをさらに含み得る。第1のデューティサイクル閾値は、第2のデューティサイクル閾値よりも大きい場合がある。
【0010】
ある特定の実施形態では、先行する段落のいずれかに記載の方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。本方法は、コントローラによって、陰圧源を起動解除することなく、流体流路内の漏れまたは閉塞のうちの少なくとも1つの第1の表示を提供することと、陰圧源の活動のレベルが、第1の時間の持続期間の後の第3の時間の持続期間にわたって、漏れ状況または閉塞状況のうちの少なくとも1つを満たし続けるとの判定に応答して、第3の時間の持続期間の満了後に、陰圧源を起動解除することと、を含み得る。本方法は、コントローラによって、第3の時間の持続期間の満了後に第1の表示とは異なる第2の表示を提供することを含み得る。第1の表示は、第1の色の視覚的表示を含むことができ、第2の表示は、第1の色とは異なる第2の色の視覚的表示を含む。第3の時間の持続期間は、第2の時間の持続期間の後であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の他の特徴および利点は、添付図面と共に下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0012】
図1図1は、いくつかの実施形態による、ポンプアセンブリを含む減圧創傷療法システムを図示している。
図2A図2Aは、いくつかの実施形態による、キャニスタレス動作モードで動作するデュアルモード減圧創傷療法システムを図示している。
図2B図2Bは、いくつかの実施形態による、キャニスタ動作モードで動作するデュアルモード減圧創傷療法システムを図示している。
図3A】および
図3B図3Aおよび図3Bは、いくつかの実施形態によるデュアルモード減圧創傷療法装置を図示している。
図4A】および
図4B図4Aおよび図4Bは、いくつかの実施形態によるデュアルモード減圧創傷療法装置を図示している。
図5図5は、いくつかの実施形態によるデュアルモード減圧創傷療法装置を制御するためのプロセスを図示している。
図6A】~
図6D図6A図6Dは、いくつかの実施形態による、漏れ状況または閉塞状況の検出および表示を図示している。
図7図7は、いくつかの実施形態による、閉塞および漏れの検出および表示のフローチャートを図示している。
図8A】および
図8B図8Aおよび図8Bは、いくつかの実施形態による、閉塞警告および漏れ警告の段階的な上昇を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概要
このセクションまたは本明細書のいずれかの部分に開示された実施形態は、ポンプ、ならびに創傷被覆構成要素および装置を含む、陰圧源を用いて創傷を治療する装置および方法に関する。創傷オーバーレイおよびパッキング材料を含む装置および構成要素がある場合、このセクションまたは本明細書のいずれかの部分では集合的に被覆材として称される場合がある。
【0014】
本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状況または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状況のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、電気火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0015】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(TNP)または減圧療法システムで使用するように適用可能である。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、または、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを支援し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減することができる。加えて、この療法により、創傷の障害を少なくし、より迅速な治癒につなげることができる。TNP療法システムはまた、流体を除去することによって、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援することができる。いくつかの実施形態では、TNP療法は、閉鎖の反対位置の組織を安定化するのに役立つ。TNP療法のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0016】
デュアルモード陰圧システム
図1は、いくつかの実施形態による、陰圧もしくは減圧創傷治療(またはTNP)システム100を図示している。システム100は、創傷腔110の内側に留置される創傷充填物130を備え、創傷腔110は創傷カバー120によってシールされる。いくつかの実施形態では、創傷充填物130、創傷カバー120、または接触層(図示せず)などの任意の他の構成要素のうちの1つ以上が、創傷被覆材を構成する。システム100は、創傷に減圧を提供するように構成された陰圧創傷療法デバイス、装置、またはポンプアセンブリ150を含む。例えば、少なくとも1つの内腔を有する導管140は、ポンプアセンブリ150と創傷との間の流体流路を提供することができる。
【0017】
図2Aおよび図2Bは、いくつかの実施形態による、減圧創傷療法システムがキャニスタありで、およびキャニスタなしで(例えば、キャニスタモードおよびキャニスタレスモードで)動作するように構成され得ることを図示している。図2Aは、直接ポンプアセンブリ150に接続された創傷被覆材を有するTNPシステム200Aの実施形態(例えば、キャニスタレスモード)を示す。図2Bは、創傷被覆材とポンプアセンブリ150との間に介在するキャニスタ230を有するTNPシステム200Bの実施形態(例えば、キャニスタモード)を示す。創傷が治癒過程の初期段階にあり、かなりの量の滲出物が滲出する、創傷への陰圧創傷療法の適用開始時には、減圧創傷療法システムはキャニスタありで動作し得る。この動作モードでは、陰圧創傷療法システムは、Smith&Nephewが販売するフォームもしくはガーゼRENASYS(商標)被覆材または任意の他の好適な被覆材と共に動作し得る。キャニスタありの減圧創傷療法システムの動作は、本明細書では、「RENASYS」、「RENASYSモード」、またはその派生語としてみなされる場合がある。創傷が治癒過程を通して回復し、より少量の滲出物を滲出し始めるにつれ、キャニスタが取り外されてもよく、陰圧創傷療法システムは、被覆材内に創傷滲出物を保持する、Smith&Nephewが販売するPICO(商標)被覆材または任意の他の好適な被覆材などの吸収性被覆材と共に動作してもよい。キャニスタなしの減圧創傷療法システムの動作は、本明細書では、「PICO」、「PICOモード」、またはその派生語としてみなされる場合がある。
【0018】
ポンプアセンブリ150は、1つ以上のスイッチまたはボタン202と、1つ以上のインジケータ204と、制御ボード206と、を含むことができ、制御ボード206は、1つ以上のコントローラ、1つ以上のメモリなどを含み得る。1つ以上のボタン202および1つ以上のインジケータ204(ユーザインターフェースを集合的に構成する)は、1つ以上のコントローラおよびメモリを含むことができる制御ボード206と電気通信することができる。1つ以上のボタン202は、ポンプアセンブリ150の動作を制御するための任意の好適な目的に使用できる。例えば、1つ以上のボタン202は、ポンプシステム150を起動し、ポンプアセンブリ150を一時停止させ、1つ以上の表示204のうちの1つ以上といった、システムインジケータをクリアするのに使用され得る。1つ以上のボタン202は、タッチパッド、タッチスクリーン、キーボードなどの任意のタイプのスイッチまたはボタンであってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のボタン202はプレスボタンであり得る。様々な実装例では、1つ以上のボタン202は、タッチスクリーンインターフェース上に含めることができる。
【0019】
ポンプアセンブリ150は、コネクタ201を受けるように適合されたコネクタポート203を含み得る。コネクタ201は、上に記載されるように、ポンプアセンブリ150に取り付けられたキャニスタまたは創傷被覆材の一部であり得る。コネクタ201は、コネクタポート203に取り外し可能に取り付けられ得る。いくつかの構成では、第1のコネクタ201はポンプアセンブリ150から取り外され、次にポンプアセンブリ150に取り付けられる第2のコネクタ201と交換され得る。例えば、RENASYS(商標)被覆材に接続される第1のコネクタ201は、コネクタポート203から取り外され、PICO(商標)被覆材に接続される第2のコネクタ201と交換され得、それによって、ポンプアセンブリ150をキャニスタ動作モードからキャニスタレス動作モードに切り替えることを可能にする。以下でより詳細に説明するように、コネクタ201および/またはポンプアセンブリ150は、ポンプアセンブリ150がキャニスタまたはキャニスタレスコネクタ201がコネクタポート203に取り付けられているかどうかを検出できるように適合され得る。いくつかの構成では、ポンプアセンブリ150の動作は、ポンプアセンブリ150がキャニスタを検出するかどうか、または、キャニスタレスコネクタ201がコネクタポート203に接続されているかどうかに応じて調節され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、コネクタポート203は、1つ以上のコントローラを含むことができる制御ボード206と電気通信する1つ以上のコネクタスイッチを含み得る。1つ以上のコネクタスイッチは、キャニスタの1つ以上のコネクタまたは被覆材と係合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のコネクタスイッチは、有利なことに、ポンプアセンブリ150(例えば、制御ボード206)がキャニスタ接続と被覆材接続とを区別することを可能にする。いくつかの実施形態では、コネクタ201の1つ以上が、コネクタポート203の1つ以上のコネクタスイッチに加えて、または代わりに、1つ以上のコネクタスイッチを含み得る。本明細書で意図されるコネクタスイッチは、機械的、電気、光学的、および/もしくは磁気、または任意の他の好適なスイッチであってもよく、センサなどを含んでもよい。コネクタスイッチは、電気回路を閉じるかまたは開くように構成されてもよく、それによって、制御ボード206は、コネクタスイッチが係合または係合解除されているかどうかを検出できるようになる。例えば、以下でより詳細に説明するように、コネクタポート203は、キャニスタをコネクタポート203に結合するコネクタ201の一部分によって作動するコネクタスイッチを含み得る。コネクタスイッチは、スイッチが被覆材をコネクタポート203に結合するコネクタ201によって作動されないようにさらに構成されてもよく、それによって、制御ボード206は、キャニスタまたは被覆材がコネクタポート203に取り付けられているかどうかを検出することを可能にする。いくつかの構成では、ポンプアセンブリ150は、コネクタスイッチが被覆材をコネクタポート203に結合するコネクタ201によって起動され、キャニスタをコネクタポート203に結合するコネクタ201によっては起動されないように構成され得る。
【0021】
続いて図2Aを参照して、1つ以上のインジケータ204は、ポンプアセンブリ150の1つ以上の動作状況または故障状況を示し得る。1つ以上のインジケータ204はそれぞれ、異なる動作状況または故障状況に関する表示を提供できる。いくつかの実装例では、1つ以上のインジケータ204の活動中の(例えば、点灯)視覚的インジケータは、ポンプアセンブリ150の特定の動作状況を表し得る。例えば、1つ以上のインジケータ204の被覆材インジケータは、TNPシステム100の漏洩または漏れの有無について表示を提供でき、活動中の被覆材インジケータは漏れを表すことができる。別の例として、1つ以上のインジケータ204の被覆材容量インジケータは、創傷被覆材またはキャニスタの流体残容量についての表示を提供でき、活動中の被覆材容量インジケータは、創傷被覆材またはキャニスタが容量に到達しているか、または近いことを表すことができる。さらに別の例として、1つ以上のインジケータ204の電池インジケータは、1つ以上の電池などの電源208の残量または寿命に関する表示を提供することができ、活動中の電源インジケータは低容量を表すことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のインジケータ204は、ポンプアセンブリ150の上記の動作状況または故障状況またはポンプアセンブリ150のその他の動作状況または故障状況の1つ以上の組み合わせを表すことができる。
【0022】
いくつかの実装例では、1つ以上のインジケータ204はアイコンであってもよい。例えば、1つ以上のインジケータ204は、ポンプアセンブリ150のLED(図示せず)などの照射源を介して起動する(例えば、点灯)ことができる。1つ以上のインジケータ204は、例えば、異なる色、2つの異なる色(例えば、2つのインジケータが同じ色を共有できる)、または同一色であってもよい。いくつかの実施形態では、ポンプアセンブリ150は、ユーザに様々な動作状況を信号で知らせるように構成される、視覚、聴覚、触覚、触知、またはその他のタイプのインジケータもしくは警報を含み得る。こうした状況には、システムオン/オフ、スタンバイ、一時停止、通常動作、被覆材の問題、漏れ、エラーなどが含まれる。インジケータには、スピーカ、ディスプレイ、光源など、またはその組み合わせが含まれてもよい。様々な実装例では、1つ以上のボタンインジケーター204をタッチスクリーンインターフェース上に含めることができる。
【0023】
ポンプアセンブリ150は、1つ以上の電池セルまたは任意の他の好適な電源などの電源208によって電力供給され得る。電池セルは、リチウムイオン、リチウムポリマー、リン酸鉄リチウム、鉛酸、ニッケル系、アルカリ性などのうちの1つ以上の任意の組み合わせを含み得る。ポンプアセンブリ150はまた、電動機などのアクチュエータ214によって電力供給されるポンプ212を含み得る、陰圧源210を含み得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ214はポンプ212に組み込まれる。陰圧源210は、ロータリーダイヤフラムポンプまたは他のダイヤフラムポンプ、圧電ポンプ、蠕動ポンプ、ピストンポンプ、ロータリーベーンポンプ、液封式ポンプ、スクロールポンプ、圧電変換器によって動作するダイヤフラムポンプ、ボイスコイルアクチュエータによって動作するポンプ、または他の任意の好適なポンプもしくはマイクロポンプ、あるいは上記のものの任意の組み合わせであってもよく、ポンプアセンブリ150はまた、流体流路の圧力を計測する1つ以上の圧力センサ216を含み得る。電源208は、陰圧源210、圧力センサ216、制御ボード206、ボタン202、およびインジケータ204のうちの1つ以上を含む、ポンプアセンブリ150の電気機械部品に電力を供給し得る。
【0024】
ポンプアセンブリ150は、ポンプアセンブリ150を創傷被覆材に接続する入口218をさらに含み得る。例えば、入口218は、流体流路を介して創傷被覆材と流体連通するコネクタポート203およびコネクタ201に接続され得る。
【0025】
ポンプアセンブリ150はまた、出口220を含み得る。出口220は、気体を大気に通気または排気することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ(図示せず)は、出口220と大気との間に介在し得る。フィルタは、気体を大気に通気する前に、気体を濾過することができる。フィルタは、細菌フィルタ、臭気フィルタ、またはその任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、雑音減衰構成要素などの減衰構成要素(図示せず)は、出口220と大気との間に介在し得る。減衰構成要素は、動作中にポンプアセンブリ150によって生成される騒音を低減することができる。いくつかの実装例では、ポンプアセンブリ150は、陰圧療法の提供に関連する情報などの情報を1つ以上の遠隔デバイスに伝達できる。こうした通信は、有線または無線インターフェースを使用して実施することができる。
【0026】
図2Bは、キャニスタ230が入口218と創傷被覆材との間の流体流路内に追加で位置付けられた、図2Aのポンプアセンブリ150を図示している。図示される実施形態では、コネクタ201はキャニスタ230をコネクタポート203に流体接続する。以下でさらに考察するように、コネクタ201は、コネクタポート203が創傷被覆材に直接接続されているかどうか、または、キャニスタ230がコネクタ203と創傷被覆材の間に配置されているかどうかについて、ポンプアセンブリ150に信号を送るように構成され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、制御ボード206(例えば、コントローラ)は、ポンプアセンブリがキャニスタまたは被覆材に接続されているかどうかに応じて、陰圧創傷療法の1つ以上の動作パラメータを調節する。例えば、キャニスタレスモードでは、創傷に与えられる陰圧のレベルは、創傷がより少量の流体を滲出しているため、キャニスタモードと比較して低減され得る。別の例として、1つ以上の動作状況の検出を有効、無効、または調節することができる。例えば、キャニスタレスモードでは、キャニスタのフル検出(または閉塞検出)および警報を無効にすることができ、代わりに被覆材のフル検出および警報を有効にすることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、ポンプアセンブリ150は、1つ以上のディスプレイ、インジケータ、ライト、ボタン、スイッチ、スピーカ、振動要素などのユーザインターフェースを含む。ユーザインターフェースは、キャニスタの検出に基づいて調節することができる。例えば、キャニスタモードでは、ユーザインターフェースは、キャニスタが満杯になるとユーザに警告するインジケータを含み得る。キャニスタレスモードでは、このインジケータは、被覆材が満杯になるとユーザに警告するインジケータで置き換えることができる。いくつかの実施形態では、インジケータはアイコンである。
【0029】
図3Aは、いくつかの実施形態による、キャニスタモードにおけるデュアルモードTNPシステムの実施形態の斜視図300Aを描いている。図示されるシステムでは、キャニスタ160Gは、(本明細書に記載のポンプアセンブリ150と同様であり得る)ポンプアセンブリ150Gに取り付けられている。ポンプアセンブリ150Gは、キャニスタ160Gに摺動可能に結合するように適合され得る。キャニスタ160Gは、入口161Gを有することができ、その中を通って創傷滲出物がキャニスタ160Gに入り得る。いくつかの実施形態では、図3Bに関連して図示されるように、ポンプアセンブリ150Gを後ろに摺動させて、ポンプアセンブリ150Gをキャニスタ160Gから係合解除することができる。
【0030】
図3Bは、いくつかの実施形態による、キャニスタ160Gがポンプアセンブリ150Gから係合解放された状態のTNPシステムの実施形態の斜視図300Bを描いている。場合によっては、ポンプアセンブリ150Gは、キャニスタレスモードで動作し得る。上述のように、ポンプアセンブリ150Gは、コネクタ201に接続するように適合されたコネクタポート203Gを有することができる(図2Aおよび図2Bに概略的に示す)。上で考察されるように、コネクタ201は、キャニスタコネクタであっても、キャニスタレスコネクタであってもよい。コネクタポート203Gは、ポンプアセンブリ150G内に収容される陰圧源(真空ポンプなど)に流体接続され得る。コネクタポート203Gは、ポンプアセンブリ150Gの陰圧源とコネクタポート203Gに接続されたコネクタ201との間の流路を確立できる。ポンプアセンブリ150Gは、コネクタポート203Gに取り付けられたキャニスタコネクタ260Gまたはキャニスタレスコネクタに陰圧を提供することができる。キャニスタ160Gは、ポンプアセンブリ150Gがキャニスタ160G上に摺動可能に装着されると、コネクタポート203Gに流体接続するキャニスタコネクタ260Gを有することができる。本明細書に記載されるように、キャニスタ160Gを装着する(摺動可能に装着する)ことにより、キャニスタが接続されていることを示すように構成されたスイッチを起動することができる。逆に、キャニスタ160Gを装着解除することにより、スイッチを起動解除することができる。キャニスタ160Gは、陰圧がキャニスタコネクタ260Gを介してキャニスタ160Gに適用されると、創傷滲出物がキャニスタ160Gに入る入口161Gを有することができる。
【0031】
引き続き図3Aおよび図3Bを参照すると、ポンプアセンブリ150Gは、ポンプアセンブリ150Gの圧力選択を可能にするダイヤル327Gを含み得る(図4Aおよび図4Bにも図示)。ポンプアセンブリ150Gによって供給される陰圧の大きさは、ダイヤル327Gを回転させることによって調節され得る。ダイヤル327Gは、2つ以上の独立した設定に切り換えるように適合され得る。例えば、ダイヤル327Gは、ポンプアセンブリ150Gによって提供される陰圧を3つの設定(例えば、-60mmHg、-80mmHg、および-120mmHg)のうちの1つに設定できる3つの独立した設定を有し得る。ポンプアセンブリ150Gは、ストラップまたは留め金の固着部位として使用できるバー159Gを含み、それによってポンプアセンブリ150Gがバー159Gに取り付けられたストラップから吊り下げられることを可能にする。キャニスタ160Gおよびポンプアセンブリ150Gが共に接続されると、キャニスタ160Gの頂面の傾斜部分は、ポンプアセンブリ150Gの底面の傾斜部分上に支持され、それによって、ポンプアセンブリ150Gがバー159Gから吊り下げられると、ポンプアセンブリ150A上のキャニスタ160Gの保持を強化するオーバーハングを形成し得る。ポンプアセンブリ150Gは、ポンプアセンブリ150Gのハウジング153G上に1つ以上のアイコンを含み得る。アイコンは、ポンプアセンブリ150Gのハウジング153G内に配置された光源によって後ろから照らされ得る。
【0032】
デュアルモード陰圧システムの動作
いくつかの実施形態では、図4Aおよび図4Bに図示されるシステムを含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかのデュアルモードTNPシステムは、臨床医および/または患者などのユーザによって動作されても、使用されてもよい。特に、TNPシステムの使用は、患者および治療される創傷の査定で始めることができる。これに続いて、治療のキャニスタモードまたはキャニスタレスモード、および選択されたモードで使用される被覆材またはキャニスタサイズの最初の選択が行われてもよい。例えば、小さなもしくは中程度のフォームまたは中程度のガーゼ被覆材をキャニスタモードで使用することができる。別の例として、小さな(およそ10×20cm)、中程度の(およそ15×15cm)、または大きな(およそ20×20cm)多層吸収性被覆材をキャニスタレスモードで使用することができる。
【0033】
動作モードは、創傷が十分に治癒した後にキャニスタモードからキャニスタレスモードに切り替えて、より少ない容積の流体を滲出させるなど、臨床的に適切な場合、使用中いつでも変更することができ、これは、吸収性被覆材によって管理され得る。キャニスタモードからキャニスタレスモードへの切り替えには、陰圧源をオフにすること、キャニスタおよび被覆材を取り外すこと、適切な異なる被覆材を適用して陰圧源に接続すること、ならびに療法を再開するために陰圧源をオンにすることが含まれ得る。キャニスタレスモードからキャニスタモードへの切り替えには、陰圧源をオフにすること、被覆材を取り外すこと、適切な異なる被覆材を適用すること、目標陰圧のレベルまたは設定値を選択すること、キャニスタを取り付けて被覆材をキャニスタに接続すること、ならびに療法を再開するために陰圧源をオンにすることが含まれ得る。TNPシステムは、どのモードで動作しているかを自動的に検出することができる。
【0034】
場合によっては、目標陰圧設定値は、キャニスタモードでのみ選択され得る。例えば、キャニスタモードでは、本明細書に記載されるように、-60mmHg、-80mmHg、-120mmHgとして選択され得る。設定値は、本明細書に記載されるように、ダイヤルまたはスイッチを使用して選択することができる。いくつかの実装例では、追加のまたは代替的な設定値の値を使用することができる。キャニスタレスモードでは、設定値は、-80mmHgなどの好適な陰圧にプリセットすることができる。
【0035】
任意選択の運搬ストラップをTNPデバイスに取り付けることができる。例えば、運搬ストラップは、デバイスハウジング内の1つ以上のスロットを通して取り付けられ得る。ストラップの長さは、必要に応じて調節され得る。デバイスは、ストラップから直立または懸吊させて位置付けることができる。
【0036】
キャニスタモードが望ましい場合、キャニスタは、例えば、本明細書に記載されるTNPデバイス上に摺動させることによって設置することができる(これにより、キャニスタ動作モードを示すように構成された電気機械式スイッチを起動することができる)。被覆材は、キャニスタに接続され得る。例えば、被覆材は、クイッククリックコネクタ、ルアーコネクタなどを使用して接続され得る。本明細書に記載されるように、被覆材は、入口161Gなどのキャニスタ入口に接続され得る。
【0037】
キャニスタレスモードでは、被覆材は、TNPデバイスに接続され得る。例えば、被覆材は、コネクタポート203Gなどの、デバイスのコネクタポートに接続され得る。被覆材は、ルアーコネクタ、クイッククリックコネクタなどを使用して接続され得る。
【0038】
被覆材が適切に接続された後、TNP療法の提供を開始することができる。例えば、ユーザは、図4Aおよび図4Bに図示されるスイッチ430などのスイッチを起動し得る。場合によっては、ユーザは、スイッチを摺動させるか、スイッチを押圧するなどして、陰圧源を起動することができる。デバイスは、例えば、図4Aおよび図4Bに図示され、かつ本明細書に記載さえるインジケータ418を点滅させることによって、療法が活動中であるという表示を提供することができる。デバイスは、陰圧設定値に到達したという表示を提供し得る。例えば、インジケータ418は、本明細書に記載されるように、点滅を停止し、無地に変わる場合がある。
【0039】
いつでも、TNP療法の提供を一時停止または停止することができる。本明細書に記載されるように、スイッチを動作させることによって、療法を一時停止することができる。例えば、TNP療法を一時停止してキャニスタを変更することができる。キャニスタが完全にまたはほぼ完全に満たされている場合、キャニスタを少なくとも週に1回、またはそれよりも早く変更することができる。別の例として、被覆材が完全にまたはほぼ完全に満たされている場合、TNP療法を一時停止して被覆材を変更することができる。また別の例として、ユーザがシャワーを浴びることがきるように、TNP療法を一時停止することができる。
【0040】
キャニスタを創傷被覆材から切断してキャニスタを取り外すことによってキャニスタを変更または交換することができ、それらの両方を本明細書に記載されるように実施することができる。取り外されたキャニスタは廃棄されてもよく、本明細書に記載されるように、新しいキャニスタを設置することができる。本明細書に記載されるように、被覆材は、それを取り外すこと、それを廃棄すること、および新しい被覆材を適用することによって、変更または交換することができる。本明細書に記載されるように、キャニスタまたは被覆材の交換に際して療法の提供を再開することができる。
【0041】
電池などの電源は、定期的に再充電する必要がある場合がある。場合によっては、デバイスは、電源が低いかまたは極めて低いということを、図4Aおよび図4Bに図示されるインジケータ412を介して示すことができる。例えば、インジケータ412は、電源が低い場合に無地に変わるか、または電源が極めて低い場合に点滅する場合がある。電源が充電されている間、デバイスを動作させ続けることができる。充電は、インジケータを介して示され得る。充電の完了は、インジケータを介して示され得る。
【0042】
TNPシステムの様々な検査を、TNP療法の提供中に実施することができる。本明細書に記載されるように、キャニスタまたは被覆材を定期的に検査および交換する必要がある場合がある。
【0043】
動作または使用中、TNPシステムはユーザに様々な表示を提供し得る。表示は、電力レベル、充電、療法の提供、流体流路内の1つ以上の漏れの存在、流体流路内の1つ以上の閉塞の存在、寿命の終わり(例えば、30日)への到達などのうちの1つ以上に関連し得る。表示は、1つ以上のLEDなどを介した視覚、聴覚、触知、触覚などのうちの1つ以上であってもよい。例えば、図4Aおよび図4Bは、キャニスタレス動作モード(図4A)およびキャニスタ動作モード(図4B)における412(電池レベル)、414(閉塞)、416(漏れ)、および418(療法の電力または提供)を含む、ポンプアセンブリ150のハウジング上の様々な視覚インジケータを図示している。図4Bは、キャニスタ160に接続されたポンプアセンブリ150も図示している。
【0044】
図示されるインジケータは、本明細書に記載されるような様々な表示を提供するように構成され得る。ある特定の表示は療法の一時停止をもたらさない重大ではない警報であり得る一方、ある特定の表示は療法の一時停止または停止をもたらす重大な警報であり得る。例えば、本明細書に記載されるように、軽度のまたは持続可能な空気の漏れの検出は、療法の一時停止をもたらさない重大ではない警報であり得る一方、重度のまたは持続不可能な空気の漏れの検出は、療法の一時停止をもたらす重大な警報であり得る。
【0045】
以下の表に詳述されるように、様々な表示および対応するユーザアクションを、インジケータ412を介して提供することができる。
【表1】
【0046】
以下の表に詳述されるように、様々な表示および対応するユーザアクションを、インジケータ414を介して提供することができる。
【表2】
【0047】
閉塞/キャニスタ満杯時のトラブルシューティングは、任意のねじれにかんする導管(複数可)の検査、キャニスタの変更、または被覆材の変更のうち1つ以上を伴う場合がある。
【0048】
以下の表に詳述されるように、様々な表示および対応するユーザアクションを、インジケータ416を介して提供することができる。
【表3】
【0049】
漏れのトラブルシューティングは、任意の漏れに関する導管(複数可)の検査、被覆材を取り除くこと、または被覆材の変更のうちの1つ以上を伴う場合がある。
【0050】
以下の表に詳述されるように、様々な表示および対応するユーザアクションを、インジケータ418を介して提供することができる。
【表4】
【0051】
デュアルモード陰圧システムの制御
図5は、いくつかの実施形態によるデュアルモード減圧創傷療法装置を制御するためのプロセス500を図示している。状態機械とも称され得るプロセス500は、システム100などのTNPシステムの1つ以上のコントローラによって実行され得る。プロセス500は、電力オフ状態502、電力オン状態504、およびソフト電力オフ状態522を含む。電力オン状態504は、入力状態506、自己診断状態508、回復不可能なエラー(NRE)状態510、療法活動中状態512、および療法停止状態520を含み得る。療法活動中状態512は、療法初期化状態514、ポンプダウン状態516、および圧力維持状態518をさらに含み得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、TNPシステムの動作は電力オフ状態502で開始し、プロセス500は電力オン状態504に遷移し得る。この遷移は、自動的に、または「オン」ボタン(例えば、ボタン202のうちの1つ)の押圧などのユーザアクションに応答して行われ得る。プロセス500は、システムリセット時に電力オフ状態502から電力オン状態504へと遷移することができ、これは、ボタン202のうちの1つ以上を通じてユーザによって実施され得る。かかるシステムリセットは、1つ以上のコントローラのリセットを伴う場合がある。
【0053】
いくつかの実施形態では、プロセス500は、ソフト電力オフ状態522からのウェイクアップに応答して、電力オン状態504に遷移する。ソフト電力オフ状態522では、プロセス500は、1つ以上のプロセッサをスリープ状態にするか、または別様にほとんど電力を消費しないようにすることなどによって、低電力モードで動作することができる。この遷移は、ある時間の持続期間の経過後など、自動的に実施され得る。あるいはまたはさらに、この遷移は、本明細書に記載されるユーザアクションに応答して実施され得る。プロセス500がソフト電力オフ状態522にあるとき、TNPシステムはオフであり、陰圧を提供し得ない。
【0054】
プロセス500は、図5に図示されるように、入力状態506を経由して電力オン状態504に入ることができる。電力オン状態504は、次の四つのサブ状態を含み得る。自己診断状態508、療法活動中状態512、療法停止状態520、および回復不可能なエラー状態510。
【0055】
電力オン状態504への遷移の際、プロセス500は、電池の電圧または電流などの電源容量を監視するか、または監視を続けることができる。電源容量が、TNPシステムの適切な動作に関連付けられたある特定の閾値未満に下がった場合、プロセスは、ソフト電力オフ状態522へと遷移し得る。プロセス500は、「オフ」ボタン(例えば、ボタン202のうちの1つ)の押圧などのユーザアクションに応答して、電力オン状態504からソフト電力オフ状態522へと遷移し得る。場合によっては、「オン」および「オフ」ボタンとして機能するように単一のボタンが構成されている。
【0056】
電力オン状態504に入ると、プロセス500は、自己診断状態508へと遷移し得る。自己診断状態508では、プロセス500は、電源投入時自己診断(POST)のうちの1つ以上を実施して、TNPシステムが適切に動作していることを立証することができる。例えば、プロセス500は、メモリを検証すること、TNPシステムが(本明細書で説明される)寿命の終わり(EOL)に到達していないことを立証すること、較正値を立証することなどを行うことができる。場合によっては、メモリの検証により、巡回冗長検査(CRC)を利用することができる。例えば、プロセス500は、メモリに記憶されているデータの少なくとも一部のCRC値を計算することと、計算されたCRC値を記憶されているCRC値と比較することと、2つのCRC値が一致するかどうかを判定することと、を行うことができる。この判定は、例えば、TNPシステム100のファームウェアが機能しており、改ざんされていないことを示すことができる。これにより、陰圧療法の適切な投与を確実にすることができる。いくつかの実装例では、システムのEOLステータスまたは較正プロファイルを検査することにより、プロセス500は陰圧療法の品質が損なわれないことを立証することができる。1つ以上の自己診断に失敗した場合、プロセス500は、回復不可能なエラー状態510へと遷移し得る。回復不可能なエラー状態510は、電力をオフに切り替えること以外に放置することができないトラップ状態であってもよい(トラップ状態は、ソフト電力オフ状態522への遷移を引き起こす可能性がある)。回復不可能なエラー状態510はまた、TNPシステムが任意の状態からEOLに到達したかをプロセス500が判定するときに遷移し得る。
【0057】
POSTを通過すると、プロセス500は、療法活動中状態512へと遷移し得る。場合によっては、療法活動中状態512は、療法初期化状態514を介して入力される。療法活動中状態512へと遷移すると、プロセス500は、TNPシステムがキャニスタモードまたはキャニスタレスモードで動作していると判定することができる。例えば、本明細書に記載されるように、プロセスは、TNPシステムがキャニスタモードで動作していると判定するために、キャニスタの取り付けを示すスイッチが起動されていると判定することができる。
【0058】
プロセス500は、動作モードに応じて目標圧力設定値を判定することができる。場合によっては、キャニスタレスモードにおいて、目標圧力設定値がプリセットされている。例えば、キャニスタレスモードにおける目標圧力設定値は、-80mmHgであり得る。場合によっては、キャニスタレスモードにおいて、目標圧力設定値を選択することができる。例えば、目標圧力設定値は、本明細書に記載されるように、ダイヤル327Gを使用して選択され得る。例えば、キャニスタモードにおいて、目標圧力設定値を-60mmHg、-80mmHg、または-120mmHgとして選択することができる。場合によっては、目標圧力設定値は、陰圧療法が適用される前に、プロセス500によって一旦設定することができ、TNPシステムの電源がオフになってから再びオンになるまで設定したままにすることができる。
【0059】
プロセス500は、陰圧創傷療法の提供が開始されるポンプダウン状態516に遷移し得る。プロセス500は、陰圧源を起動または開始して、創傷における圧力を目標圧力設定値まで減少させるように試みることができる。プロセス500は、陰圧源と被覆材とを接続している流体流路内に位置付けられた1つ以上の圧力センサを用いて、創傷における圧力を監視することができる。圧力が目標設定値まで正常に減少した場合、プロセス500は圧力維持状態518に遷移し得る。場合によっては、プロセス500は、目標設定値に到達したか、または目標設定値が達成されたときに、陰圧源を停止または起動解除することができる。場合によっては、プロセス500は、目標設定値に到達したか、または目標設定値が達成されたときに、陰圧源の速度を落とすことができる。
【0060】
圧力維持状態518では、目標圧力は、例えば、創傷における圧力が目標圧力設定値を超えて低下したときに陰圧源ポンプを起動し、目標圧力が復元されたときに陰圧源を起動解除することによって、維持することができる。創傷における圧力は、流体流路内の1つ以上の漏れにより、設定値を超えて低下する(またはより正になる)場合がある。
【0061】
ポンプダウン状態516および圧力維持状態518の両方において、創傷における圧力、陰圧源の活動のレベルなどのような様々なシステムパラメータを監視して、陰圧創傷療法を停止する必要があるかどうか、または追加のもしくは代替的な表示を提供する必要があるかどうかを判定することができる。かかる追加のまたは代替的な表示は、視覚(1つ以上のインジケータ204を使用するなど)、聴覚、触知、触覚などの表示のうちの1つ以上を提供するプロセス500を含み得る。かかる判定は、流体流路内の1つ以上の閉塞または漏れの発見に基づき得る。場合によっては、ある時間の持続期間にわたって陰圧源が活動中である時間の割合を反映し得る、陰圧源のデューティサイクルを判定することによって、陰圧源の活動のレベルを監視することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるように、ヒステリシスを使用するタイムアウト機構(閉塞もしくは漏れの持続期間を監視することなど)または判定スキームを使用して、閉塞または漏れ検出時の偽陽性の可能性を減少させることができる。
【0062】
場合によっては、漏れまたは閉塞の検出により、プロセス500を、ポンプダウン状態516または圧力維持状態518のうちの1つ以上から療法停止状態520へと遷移させることができる。この状態では、陰圧源を停止して療法の提供を一時停止することができる。プロセス500は、(1)ポンプダウン時間がキャニスタモードまたはキャニスタレスモードでの漏れを示すことを検出すること、(2)キャニスタモードで圧力を維持している間に、タイムアウトが閉塞を示すことを検出すること、(3)キャニスタモードまたはキャニスタレスモードで圧力を維持している間に、タイムアウトが漏れを示すことを検出することなどに応答して、療法停止状態520に遷移し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、プロセス500は、本明細書に記載されるような持続可能な漏れまたは閉塞と持続不可能な漏れまたは閉塞とを区別することができる。例えば、持続可能な漏れまたは閉塞は、療法の一時停止または停止を必要としない深刻さがより少ない状況(複数可)に関連付けられ得る。むしろ、プロセス500は、療法を中断する必要なしに、ユーザが漏れまたは閉塞を改善することができるように、本明細書に記載されるような持続可能な漏れまたは閉塞の存在を示すことがある。別の例として、持続不可能な漏れまたは閉塞は、療法の一時停止または停止を必要とするより深刻な状況(複数可)に関連付けられ得る。かかる持続不可能な状況は、療法を提供するために陰圧源の動作を継続させると、電源の容量を排出する可能性があるという点において非常に深刻である場合がる。
【0064】
いくつかの実装例では、目標圧力設定値がある時間の持続期間にわたってポンプダウン状態516で到達することができない場合、プロセス500は、漏れの存在を判定し得る。プロセス500は、設定値に到達するのを防止するかかる漏れが持続不可能な漏れであると判定し、その存在を、陰圧源を停止することによって示すことができる。加えて、プロセス500は、本明細書に記載されるように、持続不可能な漏れの存在を視覚的、聴覚的、触知的、触覚的になどで示すことができる。持続不可能な漏れは、例えば、キャニスタレスモードで動作しているとき、またはキャニスタモードで動作しているときにキャニスタを切断するときに、陰圧源から被覆材を切断することに起因し得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、プロセス500は、流体流路内に漏れまたは閉塞が存在するために、圧力維持状態518で創傷での目標圧力を復元することができない場合がある。プロセス500は、デューティサイクルなどの陰圧源の活動のレベルを、本明細書に記載されるような漏れ閾値または閉塞閾値と比較することによって、漏れまたは閉塞を区別し得る。閉塞が存在する場合、中を通って陰圧源が流体を移動させる流体流路の容積が減少する。その結果、陰圧源の活動のレベルが低下する。漏れが存在する場合、中を通って陰圧源が流体を移動させる流体流路の容積が増加する。その結果、陰圧源の活動のレベルが増加する。異なる漏れ閾値および閉塞閾値を使用することによって、プロセス500は、漏れ状況および閉塞状況を区別し得る。漏れ閾値および閉塞閾値は、キャニスタ動作モードまたはキャニスタレス動作モードを考慮に入れて選択または調節され得る。これは、両方のモードで動作するときに異なる流体流路の容積のために有利である場合がある。例えば、キャニスタモードで動作するときの流体流路の容積は、キャニスタレスモードでは存在しない、キャニスタの追加の容積を含む。
【0066】
いくつかの実装例では、プロセス500は、TNPシステムの寿命または使用時間を監視する。例えば、プロセス500は、療法活動中状態512での寿命のみを更新し得る。寿命は、TNPシステムの初期起動以来、陰圧源が活動中であった合計時間として測定され得る。いくつかの実装例では、プロセス500は、1分、5分、10分、20分、25分など、ある閾値期間にわたって療法が正常に提供された後にのみ寿命の測定または監視を開始し得る。療法を正常に提供することは、目標圧力を達成および維持することができることに対応し得る。
【0067】
プロセス500は、寿命を監視して、TNPシステムがいつ、7日間の動作、10日間の動作、30日間の動作などの寿命の終わりに到達するかを判定することができる。プロセス500は、TNPシステムがいつ、期待される療法の動作寿命またはEOLに到達したか、またはそれらを超えたかを判定し得る。プロセス500が、EOLに到達したことを検出すると、陰圧創傷療法を提供する能力が無効になる。本明細書に記載されるように、視覚、聴覚、触知、触覚などの表示のうちの1つ以上が提供され得る。場合によっては、EOLを検出すると、プロセス500は、療法の提供が無効になる回復不可能なエラー状態510に遷移する。
【0068】
いくつかの実装例では、プロセス500は、リアルタイムクロック(RTC)および累積された使用時間を使用または維持することによって、EOL検査を実施し得る。累積された使用時間は、EEPROMなどの永続的なメモリに記憶され得る。プロセス500は、RTCを使用して、累積された使用時間を定期的に更新し得る。例えば、RTCによって判定される15分ごとに、プロセス500は、累積された使用時間に15分を追加し得る。
【0069】
プロセス500は、療法を開始もしくは再開する際に、または定期的に自己診断状態508でEOL検査を実施し得る。いくつかの実施形態では、EOL検査は、ソフト電力オフ状態522でのプロセッサによる要求に応じて実施され得る。要求は、定期的なEOL検査イベントを待つ代わりに、非同期的にEOL検査をトリガし、EOLに到達したとの判定に応答して、直ちにシステムを回復不可能なエラー状態510へと遷移させる。
【0070】
本明細書に記載されるように、プロセス500は、流体流路内の1つ以上の閉塞または漏れの存在を判定および示すことができる。いくつかの実施形態では、プロセス500は、かかる判定を、流体流路内の圧力および陰圧源の活動のレベルから行うことができる。活動のレベルは、例えば、ある時間の持続期間にわたって陰圧源が活動中である時間の割合に関連付けられる、陰圧源のデューティサイクルを監視することによって判定され得る。例えば、陰圧源が1分の持続期間にわたり50秒間活動中である場合、プロセス500は、デューティサイクルが0.83(50/60)または83%(50/60×100%)であると判定し得る。
【0071】
いくつかの実装例では、デューティサイクルを使用して、閉塞または漏れの存在を判定することができる。概して、陰圧源が作用しすぎないように、またはほとんど作用しないようにする必要があり、これは、それぞれ高いポンプまたは低いデューティサイクルに直接変換され得る。陰圧源が作用しすぎている(高いデューティに対応する)場合、目標圧力設定値に到達しようと試みるために、陰圧源が期待されるよりも多くの流体を移動させるように過度に作用しすぎている場合、漏れの存在が疑われる可能性がある。陰圧源がほとんど作用していない場合、目標圧力設定値に到達しようと試みるために、陰圧源が期待されるよりも少ない流体を移動させるので、陰圧源が十分に作用していない場合、閉塞の存在が疑われる可能性がある。したがって、プロセス500は、計算されたポンプデューティサイクルとの比較のために1つ以上のポンプデューティサイクル閾値を使用して、1つ以上の閾値が満たされているかどうかを判定し、閉塞または漏れを示すことができる。
【0072】
図6Aは、いくつかの実施形態による、システム100などのTNPシステムの通常の動作を図示する図6100である。y軸は、陰圧源、例えば、ポンプのデューティサイクルである。x軸は、分単位で表示される時間である。測定または計算されたポンプデューティサイクル(6106および6108など)は、それらの値に従ってプロットされている。Y軸に沿って、漏れ閾値6102および閉塞限度閾値6104が提示されている。ポンプが期待または所望されるよりも強く作用しており、それに伴って、漏れ閾値6102を超えている場合、漏れ状況が検出される場合がある。逆に、目標圧力設定値を維持するために、ポンプがほとんど作用しておらず、それに伴って、閉塞閾値6104未満に下がった場合、閉塞状況が検出される場合がある。漏れ閾値または閉塞閾値は、キャニスタ動作モードまたはキャニスタレス動作モードによって異なり得る。例えば、漏れ閾値は、それぞれ12%および4%など、キャニスタモードのときのほうがキャニスタレスモードのときよりも高くなる場合がある。これは、TNPシステムがキャニスタモードでより多くの流体を移動させることが期待されることによるものであり得る。いくつかの実施形態では、プロセス500は、キャニスタモードでは閉塞状況および漏れ状況を検出し得るが、キャニスタレスモードでは漏れ状況のみを検出し得る。
【0073】
図6Aでは、ポンプデューティサイクルのいずれも閾値6102超になっていないか、またはポンプデューティサイクルのいずれも閾値6104未満になっていないため、TNPシステムは通常に動作している。プロセス500は、療法活動中状態512のままであってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、プロセス500は、閉塞または漏れを検出するときにヒステリシスを実現し得る。これは、療法停止状態520への不正確な遷移につながり得る偽陽性判定のリスクを減少させるために実施され得る。かかる偽陽性判定は、一時的な漏れまたは閉塞に起因し得る。
【0075】
図6Bは、いくつかの実施形態による、漏れ状況の検出および表示を図示する図6200である。図示されるように、ポンプデューティサイクルは、連続的に増加し、漏れ閾値6102を超えるように開始される。ポンプデューティサイクルが漏れ限度閾値6202を超える場合、プロセス500は、漏れの表示を直ちに提供する代わりに、ヒステリシスを実現し得る。例えば、漏れ閾値6102超の初期デューティサイクル6202の後に、プロセス500は、次のポンプデューティサイクル読み取り値6204を追跡して、それも閾値6102を超えると判定する。プロセス500は、閾値6102を超えるポンプデューティサイクル読み取り値の追跡を続けることができる(閾値6102を超えるかかるポンプデューティサイクル読み取り値のカウントが図6200に示されており、例えば、「2」は、第2のポンプデューティサイクル読み取り値6204に埋め込まれている)。プロセス500は、連続的なまたは非連続的なデューティサイクル読み取り値が閾値6102を超えるたびに漸増するカウンタを保つことができる。プロセス500は、ポンプデューティサイクル6206を伴って図6Bに図示されるように、カウンタが10などの閾値に到達すると、漏れの存在を示すことができる。示されるように、連続的なポンプデューティサイクルを10分間隔でカウントした。
【0076】
プロセス500は、ポンプデューティサイクル6206で閾値に到達すると、漏れの表示、警報、または警告を提供し得る。本明細書に記載されるように、かかる警告は、視覚、聴覚、触知、触覚などの警告のうちの1つ以上を含み得る。警告は、療法を停止する前に漏れに対処するように、表示をユーザに提供し得る。例えば、プロセスは、漏れに対処するための時間の持続期間を提供し得る。この時間の間、プロセス500は、ポンプデューティサイクルサンプルが漏れ状況を示すたびにカウンタを漸増し続けることができる。例えば、図6Bは、ポンプデューティサイクル6208が、漏れ閾値6102を超える11番目のポンプデューティサイクルとしてカウントしていることを図示している。ユーザが漏れに対処するための時間の持続期間は、漏れを検出するための時間の持続期間よりも短い場合がある。例えば、図6Bに図示されるそれぞれの持続期間は、漏れを検出するためには10分であり、漏れに対処するためには5分である。
【0077】
漏れ状況が漏れに対処するための持続期間を超えて持続したとプロセス500が判定する場合、プロセス500は陰療法の提供を停止し得る。これは、電源容量の減少を軽減するため、ユーザの不快感(例えば、陰圧源の動作による騒音)を最小限に抑えるなどのために実施され得る。プロセス500は、療法停止状態520に遷移し得る。図6Bに示されるように、プロセス500は、デューティサイクル6210が漏れ閾値6102を超えると判定した後に療法を停止し得る。プロセス500は、療法が停止されたときに、同じまたは異なる表示もしくは警告を提供し続けることができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、測定されたポンプデューティサイクルが、漏れ閾値6102を大幅に超える場合がある。例えば、1つ以上のポンプデューティサイクルがある時間の持続期間にわたって100%であるか、またはおよそ100%である場合、これは、ポンプが最大限に作用しているが、目標圧力を達成することができない壊滅的な漏れを示し得る。かかる壊滅的な漏れは、持続不可能であり、療法の効果を損なうか、または電源を急速に排出する場合がある。例えば、壊滅的な漏れは、キャニスタレスモードで被覆材が取り外された結果、キャニスタモードでキャニスタが取り外された結果(スイッチを介して検出され得る)、またはいずれかのモードで流体流路から陰圧源を切断した結果として発生する可能性がある。これらのシナリオでは、ポンプは、目標圧力設定値を獲得しようと激しく作用し得る(100%近くのポンプデューティサイクルなど)が、そうすることができない場合がある。本明細書にさらに記載されるように、プロセス500は、ポンプがある時間の持続期間にわたって100%または100%近くのポンプデューティサイクルで動作するとの判定によって壊滅的な漏れを検出し、かつその検出に応答して、陰圧の提供を停止し得る。プロセス500は、本明細書に記載されるように、警告を提供し得る。
【0079】
図6Cは、いくつかの実施形態による、漏れ状況の検出を図示する図6300である。ここでは、図6Bとは異なり、漏れ状況は初期検出後に(例えば、5分以内に)修復される。示されるように、漏れ閾値6102を超えるポンプデューティサイクル6302によって引き起こされた13番目のカウントの後、次のポンプデューティサイクル6304は、漏れが修復されているため閾値6102未満になる。修復は数分前に発生した可能性があり、ポンプは、ポンプデューティサイクル6304が漏れ閾値6102未満になるように、圧力を十分に下げるのにある程度の時間を要した可能性がある。
【0080】
プロセス500は、漏れの検出または表示をクリアすることでヒステリシスを実現し得る。これは、偽陰性を防止するために実施され得る。デューティサイクルが閾値6102未満であることを検出すると、プロセス500は、カウンタを漸減させ得る。図示されるように、10のカウンタは、漏れ警告を初期化するようにプロセス500に指示するため、プロセスはカウンタを9まで漸減させ得る。後続のポンプデューティサイクル6306が漏れ閾値6102未満のままである場合、プロセス500は、漏れの検出または表示をクリアし得る。プロセス500は、カウンタを8まで漸減させ得る。漏れをクリアするための時間の持続期間は、漏れを検出するための時間の持続期間よりも短い場合がある。例えば、図6Cに図示されるそれぞれの持続期間は、漏れを検出するためには10分であり、漏れをクリアするためには2分である。
【0081】
図6Dは、いくつかの実施形態による、漏れ状況の再検出を図示する図6400である。図6Cとは対照的に、図6Dでは漏れ状況が再発生している。ポンプデューティサイクル6402が漏れ閾値6102未満である状態で漏れがクリアされた後、プロセス500は、以前のポンプデューティサイクルの履歴についての知識を用いて、漏れ状況の再発生に関する監視を続けることができる。例えば、カウンタは、本明細書に説明されるように、デューティサイクル6402に対して8にリセットされ得る。閾値6102未満のポンプデューティサイクルの後続の検出により、カウンタを、ポンプデューティサイクル6404で、例えば、7および6までさらに漸減させることができる。かかる漸減は、漏れカウンタが通常の動作状況を示す、0などの数値に到達するまで続けることができる。
【0082】
しかしながら、デューティサイクル6406などの後続の測定されたポンプデューティサイクルが逆戻りして漏れ状況を示す(例えば、漏れ閾値6102を超える)場合、プロセス500は、再び漏れカウンタ6406を漸増させ得る。図6Bに関連して説明されるように、カウンタが閾値(10など)に到達すると、プロセス500は、漏れ表示を再主張し得る。図示されるように、これは、ポンプデューティサイクル6408が漏れ閾値6102を超えていることをプロセス500が検出すると発生し得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、図6A図6Dの手法は、漏れ状況の検出の履歴に基づいて、より応答的な漏れ検出を提供しつつ、1つまたはいくつかのデューティサイクルが、漏れ表示をトリガすることなく、漏れ限度閾値6102超になることを可能にもするため有利である。漏れ表示に注意を払っているユーザは、修復が永続的な修復を提供したかどうかをより容易に、かつ迅速に判定することができる。例えば、ユーザは、漏れ表示を除去するために視覚的な漏れを修復した可能性があるが、プロセス500は、漏れ表示の再主張を引き起こす他の漏れを検出し得る。
【0084】
図6A図6Dは漏れ検出を図示しているが、閉塞閾値6104を使用して閉塞検出を同様に実施することができる。プロセス500は、閾値6104未満に下がったポンプデューティサイクルを検出し得る。
【0085】
図7は、いくつかの実施形態による、閉塞および漏れの検出および表示のフローチャート700を図示している。プロセス700は、システム100などのTNPシステムの1つ以上のコントローラによって実行され得る。プロセス700を、スケジュールされたチックイベント702が行われる場合など、定期的に実行して、閉塞状況または漏れ状況の発生を監視することができる。フローチャート700は、活動710(ポンプデューティサイクルとして図示示される)、閉塞検出730、および漏れ検出760の計算を含む、単一のフローチャート内の実装例のすべての3つの態様を提供するが、これらのうちの1つ以上は別個のフローチャート内に独立して実装され得る。
【0086】
ブロック702において、プロセス700は、システムのチックイベント702を検出する。チックイベント702は、1つ以上の割り込み、クロックなどに基づき得る。プロセス700は、ポンプデューティサイクルの計算710を含み得る、関連付けられた関数の割り込みハンドラまたは関数を呼び出すことによって、チックイベント702に対処し得る。
【0087】
ポンプデューティサイクルの計算710は、ブロック712、714、716、718、および720を含み得る。ブロック712において、プロセス700は、陰圧源またはポンプが活動中であるか否かを判定し得る。ポンプが活動中状態であると判定された場合、プロセス700は、ブロック714においてポンプ活動カウンタ(例えば、「onCount」)を漸増させ得る。そうでない場合、ポンプ活動カウンタは漸増しない。
【0088】
ブロック716では、観察されるチックイベントごとに漸増されるなど、時間の持続期間が更新される。いくつかの実施形態では、プロセス700は、時間の持続期間が、1分などの閾値(例えば、「evalPeriod」)に到達するまで、デューティサイクルの計算を遅延し得る。例えば、1分の閾値で10ミリ秒のチックを仮定すると、プロセス700は、閾値が6,000カウント以上に到達したと判定し得る(10ミリ秒×100×60秒=1分)。ブロック718では、プロセス700は、時間の持続期間を閾値と比較し得る。閾値に到達したと判定された場合、プロセス700は、パーセンテージとして表される、ポンプ活動カウンタ(ブロック714)と時間の持続期間(ブロック716)との割合として、ブロック720においてポンプデューティサイクルを更新し得る。そうでない場合、プロセス700は、検出を実施するには早すぎると判定し、プロセスを終了するためにブロック782へと遷移し得る。
【0089】
プロセス700は、ブロック720で判定されたポンプデューティサイクルを使用して、730または760においてそれぞれ閉塞または漏れを検出するか、または示すことができる。図7は、最初に閉塞検出730を実施し、次に漏れ検出760を実施することを図示しているが、いくつかの実施形態では、漏れ検出が閉塞検出に先行する場合がある。
【0090】
閉塞検出730は、ブロック732、734、736、738、740、742、744、746、および748を含み得る)。ブロック732では、ポンプデューティサイクルが閉塞閾値未満であるかどうかを判定することができる(例えば、図6A図6Dの6104を参照されたい)。例えば、キャニスタモードでは、閉塞閾値は、0.5%のデューティサイクルとすることができる。ポンプデューティサイクルが閉塞閾値未満であるとプロセス700が判定した場合、プロセスは、閉塞カウンタ(例えば、「B_total」)および閉塞ヒステリシスカウンタ(例えば、「B_clamp」)を漸増させることができる、ブロック734へと遷移する。閉塞ヒステリシスカウンタは、本明細書に記載されるように、閉塞警告に関連付けられた天井値(例えば、「MAX_B」)を有し得る。例えば、図6A図6Dを参照すると、閉塞検出の持続期間は10分である。プロセス700が閉塞検出730を毎分実行する場合、閉塞ヒステリシスカウンタは10に設定され得る。ブロック734において、両方のカウンタは、閉塞検出730の実行ごとに最大10まで増加し得るが、10からは、閉塞カウンタのみが11以上に増加し得る。
【0091】
プロセス700は、閉塞ヒステリシスカウンタを閉塞閾値カウンタ(例えば、「B_set_threshold」)と比較して、閉塞状況が、閉塞警告を起動するために十分長く持続したかどうかを判定することができる、ブロック736へと遷移し得る。閉塞ヒステリシスカウンタが閉塞持続期間を超えている場合、ポンプデューティサイクルが閉塞閾値未満である状態で、十分長い時間(例えば、図6Bでは、10分以上)が経過している。本明細書に記載されるように、閉塞警告を起動することができる。プロセス700は、閉塞警告(例えば、「B_Flag」)を真に設定することができる、ブロック738へと遷移し得る。
【0092】
プロセス700は、療法を停止することに関連付けられた閉塞閾値(例えば、「B_timeout」)と閉塞カウンタを比較することができる、ブロック740へと遷移し得る。この判定は、閉塞状況の持続により、療法を停止するかどうかを査定するために行うことができる。図6Bを参照すると、かかる閉塞閾値は、閉塞に対処するために5分とすることができる。ブロック740での比較が真であった場合、プロセス700は、療法を(例えば、「BlockTimeOut」を真に設定することによって)停止する必要があることを示すことができる、ブロック742へと遷移し得る。場合によっては、プロセス500は、システムを療法停止状態520へと遷移させ得る。
【0093】
ブロック732では、ポンプデューティサイクルが閉塞限度閾値(例えば、6104)を超えるとプロセス700が判定した場合、プロセス700はブロック744へと遷移し得る。ブロック744では、プロセス700は、閉塞ヒステリシスカウンタ(例えば、「B_clamp」)を漸減させ、閉塞カウンタ(例えば、「B_total」)を閉塞ヒステリシスカウンタにリセットすることができる。本明細書に記載されるように、閉塞ヒステリシスカウンタは、天井値(例えば、「MAX_B」)に関連付けられ得る。閉塞ヒステリシスカウンタを漸減させると、値が天井値よりも小さくなる場合がある。例えば、図6Cを参照すると、通常のポンプデューティサイクルの検出後に、漏れカウンタは9にリセットされる(例えば、10を1だけ漸減)。同様に、閉塞カウンタは9にリセットされ得る。
【0094】
プロセス700は、閉塞ヒステリシスカウンタを閉塞クリア閾値(例えば、「B_clear_threshold」)と比較して、閉塞警告をクリアするかどうかを判定することができる、ブロック746へと遷移し得る。プロセス700は、クリアする前に、ある特定の数の通常のポンプデューティサイクルを必要とする場合がある。例えば、図6Cは、漏れ警告をクリアする前の通常のデューティサイクルの少なくとも2つのカウントを図示している。同様に、プロセス700は、閉塞ヒステリシスカウンタを8に設定することができる。例えば、閉塞ヒステリシスカウンタを10漸減させるには、ブロック748で閉塞警告をクリアする前に2分かかる。閉塞ヒステリシスカウンタ(例えば、「B_clamp」)の底値は図7には図示されていないが、いくつかの実施形態では、閉塞ヒステリシスカウンタを不確定に低下させないために、かかる底値を使用することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、漏れ検出は、ポンプデューティサイクルが漏れ閾値を超えているかどうかをプロセス700が判定することができることを除いて、閉塞検出と同様に実施され得る。漏れ検出760は、ブロック762、764、766、768、770、772、774、776、および778を含み得る。ブロック762では、プロセス700は、ブロック720で判定されたポンプデューティサイクルが漏れ閾値(例えば、図6A図6Dの6102)を超えているかどうかを判定し得る。例えば、キャニスタモードでは、12%の漏れ閾値を使用することができ、キャニスタレスモードでは、4%の漏れ閾値を使用することができる。ポンプデューティサイクルが漏れ閾値超であるとプロセス700が判定した場合、プロセス700は、ブロック764へと遷移し得る。プロセス700は、漏れカウンタ(例えば、「L_total」)および漏れヒステリシスカウンタ(例えば、「L_clamp」)を漸増させ得る。漏れヒステリシスカウンタは、本明細書に記載されるように、漏れ警告に関連付けられた天井値(例えば、「MAX_L」)を有し得る。
【0096】
プロセスは、漏れヒステリシスカウンタを漏れ閾値カウンタ(例えば、「L_set_threshold」)と比較して、漏れ状況が、漏れ警告を起動するために十分長く持続したかどうかを判定することができる、ブロック766へと遷移し得る。漏れヒステリシスカウンタが漏れ持続期間を超えている場合、ポンプデューティサイクルが漏れ閾値超である状態で、十分長い時間(例えば、図6Bでは、10分)が経過している。本明細書に記載されるように、漏れ警告を起動することができる。プロセスは、閉塞警告(例えば、「L_Flag」)を真に設定することができる、ブロック768へと遷移し得る。
【0097】
プロセス700は、療法を停止することに関連付けられた漏れ閾値(例えば、「L_timeout」)と漏れカウンタを比較することができる、ブロック770へと遷移し得る。この判定は、漏れ状況の持続により、療法を停止するかどうかを査定するために行うことができる。図6Bを参照すると、かかる漏れ閾値は、漏れに対処するために5分とすることができる。ブロック770での比較が真であった場合、プロセス700は、療法を(例えば、「LeakTimeOut」を真に設定することによって)停止する必要があることを示すことができる、ブロック772へと遷移し得る。場合によっては、プロセス500は、システムを療法停止状態520へと遷移させ得る。
【0098】
ブロック762において、ポンプデューティサイクルが、6102などの漏れ閾値を超えていないとプロセス700が判定した場合、プロセス700は、ブロック774へと遷移し得る。ブロック744では、プロセス700は、漏れヒステリシスカウンタ(例えば、「L_clamp」)を漸減させ、漏れカウンタ(例えば、「L_total」)を漏れヒステリシスカウンタにリセットすることができる。本明細書に記載されるように、漏れヒステリシスカウンタは、天井値(例えば、「MAX_L」)に関連付けられ得る。漏れヒステリシスカウンタを漸減させると、値が天井値よりも小さくなる場合がある。例えば、図6Cを参照すると、通常のポンプデューティサイクルの検出後に、漏れカウンタは9にリセットされる(例えば、10を1だけ漸減)。
【0099】
プロセスは、漏れヒステリシスカウンタを漏れクリア閾値(例えば、「L_clear_threshold」)と比較して、漏れ警告をクリアするかどうかを判定することができる、ブロック776へと遷移し得る。プロセス700は、クリアする前に、ある特定の数の通常のポンプデューティサイクルを必要とする場合がある。例えば、図6Cは、漏れ警告をクリアする前の通常のデューティサイクルの少なくとも2つのカウントを図示している。同様に、プロセス700は、漏れヒステリシスカウンタを8に設定することができる。例えば、漏れヒステリシスカウンタを10漸減させるには、ブロック778で漏れ警告をクリアする前に2分かかる。漏れヒステリシスカウンタ(例えば、「L_clamp」)の底値は図7には図示されていないが、いくつかの実施形態では、漏れヒステリシスカウンタを不確定に低下させないために、かかる底値を使用することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、プロセス700は、終了前に、ブロック780において、ポンプ活動カウンタ(例えば、「onCount」)および時間の持続期間(例えば、「totalCount」)をリセットすることができる。これにより、ポンプデューティサイクルの計算710を、次のポンプデューティサイクルの計算のための変数のクリーンなセットを用いて開始することができる。
【0101】
図示される漏れ検出760は持続可能な漏れと持続不可能な漏れとを区別していないが、いくつかの実施形態では、プロセス700は、かかる区別を行う場合がある。例えば、漏れ検出760は、持続不可能な漏れの検出のために、より高い漏れ閾値(本明細書に記載されるように、100%のまたは100%に近いものなど)を使用することができる。
【0102】
警告の段階的な上昇
図8Aおよび図8Bは、いくつかの実施形態による、閉塞警告および漏れ警告の段階的な上昇を図示している。図8Aは、キャニスタモードおよびキャニスタレスモード(またはキャニスタフリーモード)における漏れ警告の段階的な上昇を図示している。図8Bは、キャニスタモードでの閉塞警告の段階的な上昇を図示している。
【0103】
記載されるように、システム100などのTNPシステムは、持続可能な漏れ8102または持続不可能な漏れ8106もしくは8108を検出し得る。この検出は、プロセス500によって実施され得る。持続可能な漏れについては、目標圧力設定値が達成可能である。場合によっては、少なくとも一部のポンプデューティサイクルが、閾値6102などの漏れ閾値を超えている場合、本明細書に記載されるように、漏れを検出することができる。かかる持続可能な漏れは、完全にシールされていない創傷被覆材の結果として発生し得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、持続可能な漏れが検出された場合、療法は完全に損なわれていない可能性があり、患者は療法の提供を続けることにより少なくとも一部の利益を得ることができる。TNPシステム100またはプロセス500は、軽度の漏れ警告8104を提供して、漏れにユーザの注意を引き寄せるが、陰圧創傷療法を引き続き施すことができる。図示されるように、軽度の漏れ警告8104は、視覚的表示または聴覚的警告のうちの1つ以上を提供することを含み得る。本明細書に記載されるように、視覚的表示は、漏れインジケータ8112(インジケータ416に対応し得る)を介して提供され得る。例えば、インジケータは、琥珀色になってもよい。聴覚的表示は、ブザーを起動することによって提供され得る。本明細書に記載されるように、追加のまたは代替的な表示を提供することができる。
【0105】
いくつかの実装例では、時間の経過と共に、持続可能な漏れとして開始されたものが、持続不可能な漏れ8106へと劣化する場合がある。例えば、完全にシールされていない創傷被覆材による小さな空気の漏れが、時間の経過と共に、大きくなり続ける場合がある。最終的に、陰圧源は、その全容量でまたは全容量の近くで動作して、目標圧力設定値を維持することを試みることができる。本明細書に記載されるように、これは、ポンプデューティサイクルが100%であるか、または100%近くであることにより検出され得る。陰圧源が目標圧力設定値を獲得または維持することができないと判定された場合、それは、療法が漏れによって損なわれており、患者が療法からの利益をもはや受けないと判定され得る。
【0106】
持続可能な漏れが持続不可能な漏れへと発展した場合、以前の軽度の漏れ警告8104が重度の漏れ8110へと段階的に上昇される場合がある。TNPシステム100またはプロセス500は、ユーザに警告し続けるが、陰圧源をオフにすることができる。場合によっては、重度の漏れ警告8110は、軽度の漏れ警告8106とは異なるインジケータまたは異なるインジケータの組み合わせを使用して、漏れ状況のより大きな深刻度を区別する。本明細書に記載されるように、例えば、軽度の漏れ警告8104を提供するために、それぞれ漏れインジケータ8112(インジケータ416に対応し得る)が琥珀色であり得、オン/オフインジケータ8114(インジケータ418に対応し得る)が緑色であり得る一方、重度の漏れ警告8110を提供するために、両方のインジケータが琥珀色であってもよい。聴覚的警告を提供することもできる。本明細書に記載されるように、追加のまたは代替的な表示を提供することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、最初に軽度の漏れ警告を検出することなく、直接、持続不可能な漏れを検出することができる。例えば、これは、TNPシステム100がポンプダウン状態516で目標圧力設定値を獲得することができない場合に発生し得る。原因は、キャニスタが取り付けられていない状態でキャニスタモードにおいて動作しているか、創傷被覆材が取り付けられていない状態でキャニスタレスモードにおいて動作している可能性がある。かかる事態では、TNPシステム100またはプロセス500は、療法を停止し、最初に軽度の漏れ警告8104を提供することなく、重度の漏れ警告8110を提供し得る。
【0108】
図8Bは、キャニスタモードでの閉塞警告の段階的な上昇を図示している。図示されていないが、図8Bに図示される流れは、キャニスタレスモードで実施され得る。ブロック8202では、TNPシステム100またはプロセス500は、本明細書に記載されるように閉塞を検出することができる。例えば、少なくともいくつかのポンプデューティサイクルが、閾値6104などの閉塞閾値を満たしていない場合、閉塞は本明細書に記載されるように検出され得る。閉塞は、完全なもしくは実質的に完全なキャニスタ、または流体流路内の閉塞によって引き起こされ得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、閉塞が検出されると、軽度の閉塞警告8204が提供される。TNPシステムは、患者が少なくとも一部の利益を受けることができるように、陰圧創傷療法を施し続けることができる。図示されるように、軽度の閉塞警告8204は、視覚的表示または聴覚的警告のうちの1つ以上を提供することを含み得る。本明細書に記載されるように、視覚的表示は、閉塞インジケータ8210(インジケータ414に対応し得る)を介して提供され得る。例えば、インジケータは、琥珀色になってもよい。聴覚的表示は、ブザーを起動することによって提供され得る。本明細書に記載されるように、追加のまたは代替的な表示を提供することができる。
【0110】
TNPシステム100またはプロセス500は、例えば、閉塞の持続期間を監視することによって、閉塞を監視し続けることができる。閉塞が持続している8206(例えば、1時間以上続く)と判定された場合、患者が療法の提供からいずれの利益も得られない可能性が高い。
【0111】
持続的な閉塞8206が判定された場合、いくつかの実施形態では、TNPシステムまたはプロセス500は、軽度の閉塞警告8204から重度の閉塞警告8208への閉塞警告を段階的に上昇させ得る。いくつかの実装例では、療法の提供が停止され得る。場合によっては、重度の閉塞警告8208は、軽度の閉塞警告8204とは異なるインジケータまたは異なるインジケータの組み合わせを使用して、閉塞状況のより大きな深刻度を区別する。例えば、軽度の閉塞警告8204を提供するために、それぞれ閉塞インジケータ8210(インジケータ414に対応し得る)が琥珀色であり得、オン/オフインジケータ8212(インジケータ418に対応し得る)が緑色であり得る一方、重度の閉塞警告8208を提供するために、両方のインジケータが琥珀色であってもよい。聴覚的警告を提供することもできる。本明細書に記載されるように、追加のまたは代替的な表示を提供することができる。
【0112】
他の変形
本明細書に開示される制御システムおよび方法は、任意のTNPシステムまたは任意の医療デバイスによって実施され得る。本明細書で使用される場合、療法を停止するとは、療法を一時中止または一時停止することを包含する。ある特定の色のインジケータが様々な例に関連して記載され得るが、任意の好適な色を追加としてまたは代替的に使用することができる。本開示はある特定の実施形態を説明しているが、当業者は、本開示で示され説明される方法およびデバイスの多くの態様を、異なる方法で組み合わせ、かつ/または修正して、さらに別の実施形態または容認可能な実施例を形成することができることを理解されよう。こうしたすべての修正および変形は、本開示の範囲内で本明細書に含まれることが意図される。実際に、幅広い設計および手法が実行可能であり、それらは本開示の範囲内である。本明細書に開示される特徴、構造、または工程は本質的であるか、または不可欠である。さらに、例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、同等の要素、修正、省略、(例えば、様々な実施形態にわたる態様の)組み合わせ、置換、応用、および/または変更を有する任意のおよびすべての実施形態の範囲が、本開示に基づいて当業者によって理解されるであろう。特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。
【0113】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特徴、材料、特性、または群は、このセクションまたは本明細書におけるその他の部分に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。(あらゆる特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)本明細書において開示されるすべての特徴、および/またはそのように開示されるあらゆる方法もしくはプロセスのすべての工程は、そのような特徴および/または工程のうち少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされてよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される特性のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせにおよび、または同様に開示される任意の方法またはプロセスの工程のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0114】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、様々な省略、置換、および変形がなされ得る。一部の実施形態では、図示および/または開示されたプロセスにおいて実施される実際の工程は、図に示された工程とは異なり得ることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述した工程のうちの特定の工程が除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際の工程および/または工程の順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述した工程のうちの特定の工程が除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示した様々な構成要素が、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、および/または専用ハードウェア上のソフトウェアおよび/またはファームウェアとして実装されてもよい。プロセッサ、ASIC、FPGAなどのハードウェア構成要素には論理回路が含まれ得る。
【0115】
さらに、別個の実装例の文脈において本開示で説明される特定の特徴を、単一の実装例で組み合わせて実現することもできる。逆に言えば、単一の実装例の文脈で説明される様々な特徴がまた、複数の実装例で別々に、または任意の適切な副組み合わせで実施され得る。さらに、特定の組み合わせに作用するように特徴を上述することができるが、一部の場合に、主張され得る組み合わせからの1つ以上の特徴は、組み合わせから切り離されることができ、組み合わせは、副組み合わせまたは副組み合わせの変形として主張され得る。
【0116】
さらに、動作が図面に示され、または特定の順序で本明細書で記述され得る一方で、こうした動作は、所望の結果を獲得するために、示される特定の順序でまたは連続的な順序で実行される、またはすべての動作が実施される必要はない。示されていない、または説明されていないその他の動作は、例示的な方法およびプロセスに組み込まれ得る。例えば、いずれかの説明された動作の前、後、同時に、またはその間で1つ以上の追加的動作が実施され得る。さらに、動作は、他の実装例で再構成または並べ替えられてもよい。一部の実施形態では、図示および/または開示されたプロセスにおいて実施される実際の工程は、図に示された工程とは異なり得ることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述した工程のうちの特定の工程が除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、そのすべてが本開示の範囲内に収まることになる。また、上述の実装例における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装例においてこうした分離を必要とするものと理解されるべきではなく、記述された構成要素およびシステムが一般的に単一製品で一体化されるか、または複数の製品に包装され得ることが理解されるべきである。
【0117】
本開示の目的のために、特定の態様、利点、および新規の特徴が本明細書に記載される。必ずしもそのような利点はすべて、任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではない。したがって、例えば、当業者であれば、本明細書に教示または示唆され得るものとして必ずしも他の利点を達成することなく、本明細書に教示されるように、本開示が1つの利点または一群の利点を達成する方法で具現化または実施され得ることを認識するであろう。
【0118】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、および/または工程を含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特徴、要素、および/もしくは工程が1つ以上の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特徴、要素、および/もしくは工程が特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力または命令の有無にかかわらず判定するための論理が、1つ以上の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」などの用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で用いられ、追加の要素、特性、行為、および動作などを排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)用いられることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの1つ、一部、またはすべてを意味することになる。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。
【0119】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目、用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを示唆するのに一般的に用いられる文脈によって、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくとも1つのXと、少なくとも1つYと、少なくとも1つのZとを含むことを必要とするという示唆を必ずしも意図するものではない。
【0120】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語などの、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を意味し得る。別の例として、特定の実施形態において、「概して平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、0.1度以下または別途ずれている値、量、または特性を意味する。
【0121】
本開示の範囲は、本節または本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の特定の開示によって制限されることを意図するものではなく、本節または本明細書の他の箇所において提示されているか、またはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7-1】
図7-2】
図8A
図8B