(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】チェック・バルブ・システム
(51)【国際特許分類】
F16K 15/02 20060101AFI20240409BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F16K15/02
F16K27/02
(21)【出願番号】P 2020572877
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2019067226
(87)【国際公開番号】W WO2020002536
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-01-14
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510199605
【氏名又は名称】メドミクス スウィッツァランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、ヘイデン
(72)【発明者】
【氏名】ファイノ、ギャレット
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0288158(US,A1)
【文献】国際公開第2017/115866(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0196703(US,A1)
【文献】特開2003-305351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/02
F16K 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェック・バルブ・システムであって、
貫通する通路を有し、前記通路は第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分は、段差部を形成するために前記第2の部分の径よりも小さい径を有する、ハウジングと、
前記通路の前記第2の部分内に配設された遮断要素と、
前記通路の前記第2の部分内に配設され、圧縮下で、前記遮断要素を前記段差部に接触させ続けるよう構成された、付勢部材と
を備え、
前記ハウジング、前記遮断要素、及び前記付勢部材は、3D印刷可能な1つ又は複数の材料から形成されるよう、実質的に同時に3D印刷することによって実現でき、
前記付勢部材は、ゼロ応力下で形成されたばねであり、
前記ばねは、混合器が少なくとも部分的に前記通路の前記第2の部分に配設されたとき、初めに圧縮されるよう構成される
、チェック・バルブ・システム。
【請求項2】
前記ハウジング、前記遮断要素、及び前記付勢部材は、同じ材料から形成される、請求項1に記載のチェック・バルブ・システム。
【請求項3】
前記通路は、内面に保持クリップを含む、請求項1又は2に記載のチェック・バルブ・システム。
【請求項4】
前記保持クリップは、前記付勢部材を部分的に圧縮状態に保持するよう構成される、請求項3に記載のチェック・バルブ・システム。
【請求項5】
前記付勢部材は、
供給デバイスが前記チェック・バルブ・システムに連結されたときに圧縮されるよう構成される、請求項1から4までのいずれか一項に記載のチェック・バルブ・システム。
【請求項6】
前記ハウジング、前記遮断要素、及び前記付勢部材は、PA12、ポリプロピレン、ポリアミドを充填したガラスのうちの少なくとも1つから形成される、請求項1から5までのいずれか一項に記載のチェック・バルブ・システム。
【請求項7】
前記通路は第1の通路であり、前記ハウジングは第2の通路を含み、前記遮断要素は第1の遮断要素であり、第2の遮断要素は前記第2の通路に配設され、前記付勢部材は第1の付勢部材であり、第2の付勢部材は前記第2の通路に配設され、前記第1及び第2の通路は、互いに実質的に平行である、請求項1から6までのいずれか一項に記載のチェック・バルブ・システム。
【請求項8】
チェック・バルブ・システムを形成する方法であって、
貫通する通路を有し、前記通路は第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分は、段差部を形成するために前記第2の部分の径よりも小さい径を有する、ハウジングと、前記通路の前記第2の部分内に配設された遮断要素と、前記通路の前記第2の部分内に配設され、圧縮下で、前記遮断要素を前記段差部に接触させ続けるよう構成された、ゼロ応力下で形成されたばねである付勢部材と、を実質的に同時に3D印刷するステップを含み、混合器が、少なくとも部分的に前記通路の前記第2の部分に配設されたとき、初めに前記付勢部材を圧縮するステップをさらに含む、方法。
【請求項9】
前記3D印刷するステップの間に、前記通路の内面に保持クリップを形成するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記付勢部材を、前記保持クリップを用いて部分的に圧縮された状態に保持するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
供給デバイスが前記チェック・バルブ・システムに連結されたとき、前記付勢部材を圧縮するステップをさらに含む、請求項8から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ハウジング、前記遮断要素、及び前記付勢部材を、PA12、ポリプロピレン、ポリアミドを充填したガラスのうちの少なくとも1つから形成するステップをさらに含む、請求項8から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記通路は第1の通路であり、前記遮断要素は第1の遮断要素であり、前記付勢部材は第1の付勢部材であり、
前記実質的に同時に3D印刷するステップは、第2の通路と、前記第2の通路に配設された第2の遮断要素と、前記第2の通路に配設された第2の付勢部材と、を印刷するステップを含み、前記第1及び第2の通路は互いに実質的に平行である、請求項8から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
化合物を供給する供給器であって、
前記化合物のための貯蔵デバイスと、
前記化合物を供給するための出口と、
前記貯蔵デバイスと前記出口との間に配設された、請求項1から7までのいずれか一項に記載のチェック・バルブ・システムと
を備える、供給器。
【請求項15】
前記化合物を供給するために、前記チェック・バルブ・システムを介して押される前記化合物の力が、前記遮断要素を開ける、プランジャ・システムをさらに備える、請求項14に記載の供給器。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の供給器を、船舶、パイプライン、橋梁、タンク、風、レール、及び閉鎖空間への適用のうちの少なくとも1つにおいて操作するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にチェック・バルブ・システムに関する。詳細には、本発明は、ハウジング、遮断要素、及び付勢部材が3D印刷されるチェック・バルブ・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチェック・バルブ・デバイスが公知である。従来のチェック・バルブ・デバイスは、入口開口部及び出口開口部を伴う通路を含むことができる。チェック・バルブはこの通路に配置され、通路がチェック・バルブによって閉鎖することができるように構成される。さらに、いくつかのチェック・バルブは、供給デバイスと共に使用することができる。これらのチェック・バルブにおいて、チェック・バルブの入口開口部は、貯蔵デバイスなど別のデバイスの開口部と整合させることができ、チェック・バルブの出口開口部は、供給デバイスと整合させることができる。チェック・バルブの通路は、チェック・バルブが開位置にある場合、成分を貯蔵デバイスから供給デバイスへ搬送できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のチェック・バルブ・デバイスは、複数のモールドを使用して形成されることが判っている。本開示の1つの目的は、効率的に形成されるチェック・バルブ・システムを提供すること、及びチェック・バルブ・システムを効率的に形成可能な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
公知の技術の状態の観点において、本開示の1つの態様は、ハウジング、遮断要素、及び付勢部材を備えるチェック・バルブ・システムを提供することである。ハウジングは、ハウジングを貫通する通路を有する。この通路は第1の部分及び第2の部分を含み、第1の部分は、段差部を形成するために第2の部分の径よりも小さい径を有する。遮断要素は、通路の第2の部分内に配設される。付勢部材は、通路の第2の部分内に配設され、圧縮下で、遮断要素を段差部に接触させ続けるよう構成される。ハウジング、遮断要素、及び付勢部材は、3D印刷可能な1つ又は複数の材料から形成されるよう、実質的に同時に3D印刷することによって実現できる。
【0005】
公知の技術の状態の観点において、本開示の別の態様は、チェック・バルブ・システムを形成する方法を提供することである。この方法は、貫通する通路を有し、通路は第1の部分及び第2の部分を含み、第1の部分は、段差部を形成するために第2の部分の径よりも小さい径を有する、ハウジングと、通路の第2の部分内に配設された遮断要素と、通路の第2の部分内に配設され、圧縮下で、遮断要素を段差部に接触させ続けるよう構成された、付勢部材と、を実質的に同時に3D印刷するステップを含む。
【0006】
次に、この新規の開示の一部を形成する、添付の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施例による、チェック・バルブ・システムを3D印刷する正面斜視図である。
【
図2】本発明の実施例による、3D印刷を完了したチェック・バルブ・システムの斜視図である。
【
図3】混合器及び供給器に接続された、
図2のチェック・バルブ・システムの斜視図である。
【
図4】混合器に接続する前の、
図2のチェック・バルブ・システムを示す図である。
【
図5】混合器に接続する前の、
図2のチェック・バルブ・システムの断面図である。
【
図6】混合器に接続する前の、
図2のチェック・バルブ・システムの断面斜視図である。
【
図7】
図2のチェック・バルブ・システムの、一方の通路の拡大部分断面図である。
【
図8】混合器に装着する前の、
図2のチェック・バルブ・システムにおける一方の通路の拡大部分断面図である。
【
図9】混合器が装着された、
図2のチェック・バルブ・システムにおける一方の通路の拡大部分断面図である。
【
図10】装着された混合器、及び混合器とチェック・バルブ・システムとを接続する係止機構を伴う、
図2のチェック・バルブ・システムにおける一方の通路の拡大部分断面図である。
【
図11】混合器が取り外された、又は未装着の、
図2のチェック・バルブ・システムにおける一方の通路の拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、選択された実施例を図面を参照して説明する。実施例の以下の説明は例示のみのために提供され、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物によって定義される本発明を、限定する目的ではないことを、本開示から当業者には明白となろう。
【0009】
初めに
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施例によるチェック・バルブ・システム10が示される。
図1は、3D印刷機Pによって印刷されているチェック・バルブ・システム10を示す。
図2は、3D印刷を完了した後のチェック・バルブ・システム10を示す。
【0010】
図3に示されるように、チェック・バルブ・システム10は、混合器12及び供給器(供給デバイス)Dに連結するよう構成され、少なくとも2つの成分を混合し、供給するバルブ・システムである。供給器Dは、任意の供給器とすることができ、一般的にプランジャ・システムPSを含む。化合物を貯蔵するためのカートリッジ又は貯蔵デバイスSを、供給器D内に位置付けることができる。混合器12は、チューブT(又は任意の好適な方法)を使用して貯蔵デバイスSと流体連結することができ、係止部材14を使用してチェック・バルブ・システム10に堅固に連結することができる。一般的に係止部材14は、混合器12への第1の端部18における開口部16、及びチェック・バルブ・システム10への第2の端部22における開口部20を伴う、円筒形のデバイスである。理解され得るように、係止部材14は、任意の好適な方法で、チェック・バルブ・システム10を混合器12に連結することができる。例えば係止部材14は、ねじ、スナップフィット、又は任意で所望の取り外し可能システム若しくは取り外し不可システムを使用して、チェック・バルブ・システム10に連結することができる。次に係止部材14は、開口部16内で混合器を締め付ける。係止部材14は、任意で所望の方法で混合器12を係止できることに留意されたい。
【0011】
一般的に、チェック・バルブ・システム10は、中間デバイス、すなわち混合される2つの別個の材料を包含する貯蔵デバイスSと、混合器12との間に配設される要素とすることができる。しかし、チェック・バルブ・システム10は、単純に、1つの材料のための貯蔵デバイスSと供給器Dとの間のチェック・バルブとすることができるか、又はチェック・バルブ・システム10は、1つ若しくは複数の材料を供給する単一のデバイスとして実装することができることに留意されたい。複数の材料及び材料の混合、複数の通路、並びに任意のデバイスへの接続に対する任意の説明は、単に1つの実施例の表現に過ぎない。
【0012】
図3から
図7に示されるように、チェック・バルブ・システム10は、第1の成分を貯蔵デバイスSから混合器12へ搬送するための第1の通路26、及び第2の成分を貯蔵デバイスSから混合器12へ搬送するための第2の通路28を有する、ハウジング24を含む。第1の通路26及び第2の通路28は、互いから分離され、それによって第1の成分及び第2の成分を別々に誘導することができるよう構成される。本発明によると、遮断要素29、31は、第1及び第2の通路26、28にそれぞれ配置され、第1及び第2の通路26、28を閉鎖するよう構成される。
【0013】
第1及び第2の通路26、28の各々は、材料又は流体のための、入口(第1の入口30a/第2の入口30b)、及び出口(第1の出口32a/第2の出口32b)を含む。入口30a/30bは、第1及び第2の化合物を含包する貯蔵デバイスSに連結するよう構成される。好ましくは、これらの化合物は、分離し、混ざらないように貯蔵デバイスSに貯蔵される。理解され得るように、チェック・バルブ・システム10における第1及び第2の通路26、28の入口30a/30bは、貯蔵デバイスSの出口開口部Oと整合するよう構成される。したがって、所望の場合は、貯蔵デバイスSからの一方の化合物は、チェック・バルブ・システム10における第1の通路26の第1の入口30aに入ることができ、貯蔵デバイスSからの他方の化合物は、チェック・バルブ・システム10における第2の通路28の第2の入口30bに入ることができる。
【0014】
第1及び第2の通路26、28の出口32a/32bは、混合器12に連結するよう構成される。理解され得るように、チェック・バルブ・システム10における第1及び第2の通路26、28の出口32a/32bは、混合器12の入口開口部34と整合するよう構成される。好ましくは、化合物がチェック・バルブ・システム10を通過するときに、化合物は混合されない。好ましくは、化合物は、チェック・バルブ・システム10を出て混合器12に入った後に混合され、そこで化合物は混合要素36によって混合され、次に混合された化合物は混合器12の出口38を通りながら供給される。
【0015】
第1及び第2の通路26、28の各々は、第1の部分40a/40b、及び第2の部分42a/42bを含む。通路26、28の第1及び第2の部分40a/40bの各々は、一般的に円筒形であり、供給方向に所定の長さを画定する。第1及び第2の通路26、28の入口30a/30bは、第1の部分40a/40bの開口部44a/44bに配設され、第1及び第2の通路26、28の各々のための出口32a/32bは、第2の部分42a/42bの開口部48a/48bに配設される。
【0016】
第1及び第2の通路26、28の各々における第1の部分40a/40bは、段差部50a/50bを形成するために第2の部分42a/42bの径よりも小さい径を有する。好ましくは、段差部50a/50bは、径方向内側、且つ供給方向又は長手方向Lに対して横断方向に(すなわち実質的に垂直に)延びた棚部若しくは突起部52a/52bを画定する、突起部又は接合部である。
【0017】
この実施例において、第1の通路26のみを説明するが、第1の通路26の任意の説明は、第2の通路28にも適用できることに留意されたい。
図7に示されるように、出口48aに隣接した第2の部分42aは、周囲を取り巻く溝54を含む。すなわち溝54は、通路26の第2の部分42aを画定する内壁56内に配設される。溝54は、径方向内側に延びた突出部58を含む。1つの実施例において、突出部58は、長手方向Lに対して角度が付けられる。突出部58は、溝54の壁62に装着された近位端60、及び溝54の壁62から離れるよう配設された遠位端64を有する。近位端60と遠位端64との間で角度を付けられた面66は、長手方向Lの反対方向で内向きに傾斜する。遠位端64は、好ましくは長手方向Lに対して横断方向、又は概ね垂直である面68を含む。溝54は、単に1つの実施例であり、突出部58は任意の所望の方法で配設することができることに留意されたい。例えば突出部58は、(溝内ではなく)壁56に直接、又は任意の好適な方法で配設することができる。
【0018】
第1及び第2の通路26、28の各々における第2の部分42a/42bはそれぞれ、遮断要素29及び31、並びに付勢部材又はばね72及び73を含む。好ましくは、遮断要素29及び31の各々は概ね円形で、弧状面74、及び弧状面74の反対側の平坦面76を含む。弧状面74は、遮断要素29及び31の各々の周縁部78において平坦面76とぶつかり、ドーム形状を形成する。好ましくは、遮断要素29及び31の各々は、第1及び第2の通路26、28の第1の部分40a/40bそれぞれの径よりも大きいが、第1及び第2の通路26、28の第2の部分42a/42bそれぞれの径よりも小さい径を有する。そのため遮断要素29及び31の弧状面74は、突起部52a/52bと係合し、第1及び第2の通路26、28における第1の部分40a/40bを、第1及び第2の通路26、28における第2の部分42a/42bから分離することができる。それによって、遮断要素29及び31の弧状面74が突起部52a/52bと係合するとき、チェック・バルブ・システム10は、閉位置又は閉状態にあり、遮断要素29及び31の弧状面74が突起部52a/52bと係合解除しているか、又は突起部52a/52bから離されて配設されるとき、チェック・バルブ・システム10は、開位置又は開状態にある。遮断要素29及び31の、この構成は、単なる例であり、遮断要素29及び31は、第1及び第2の通路26、28を閉鎖することが可能な、任意の好適な構成とすることができることに留意されたい。
【0019】
付勢部材72及び73は、第1及び第2の通路26、28の第2の部分42a/42b内に配設される。したがって好ましくは、付勢部材72及び73は、第1及び第2の通路26、28における第2の部分42a/42bの径よりも小さい径を有する。1つの実施例において、付勢部材72及び73はばねであるが、付勢部材72及び73は、遮断要素29及び31を通路26、28それぞれに沿って付勢することができる、任意の好適な付勢部材とすることができる。
【0020】
図5で確認できるように、本実施例の付勢部材72及び73の各々は、コイルばねである。付勢部材72を説明するが、その任意の説明が、付勢部材73に適用可能であることに留意されたい。付勢部材72は、第1の端部80、第2の端部82、及びそれらの間に配設された複数のコイル84を含む。理解され得るように、付勢部材72の端部80、82が相対的に圧縮されるとき、コイル84は、付勢部材72の端部80、82に向けて加えられる力を生じさせるエネルギーを貯蓄する。好ましくは、付勢部材72の第1の端部80は、遮断要素29及び31の平坦面76に当接するよう構成された、付勢部材72の平坦部である。1つの実施例において、付勢部材72の第1の端部80は、遮断要素29及び31の平坦面76に対して、概ね密着される。
【0021】
付勢部材72の第2の端部82は、混合器12に当接するよう構成された、付勢部材72の平坦部である。追加として、
図5から
図9に示されるように、付勢部材72の第2の端部82における平坦部は、複数の突出部86を有する。1つの実施例において、付勢部材72の第2の端部82における平坦部は、4つの突出部86を有し、それらは付勢部材72の径を越えて、径方向外側に延びる。付勢部材72は、第2の部分42aの壁56の径を越えるよう延び、それによって溝54に入るよう構成される。突出部86は、付勢部材72における第2の端部82の周りに90°間隔で配設することができ、4つの所定の間隔の領域で溝54に入る。しかし、任意の所望の配置で配設された任意の数の突出部86が存在することができることに留意されたい。さらに、突出部86は、付勢部材72における第2の端部82の全ての部分、又は任意の部分を囲む、単一の突出部とすることができる。
【0022】
さらに溝54及び突出部86は、1つ又は複数の突出部が1つ又は複数の溝に入るのを可能にする、任意の数及び構成とすることができることを理解されたい。本明細書で説明するように、チェック・バルブ・システム10は、3D印刷機Pを使用して3D印刷することができる。3D印刷は、材料が、コンピュータ制御下で接合又は凝固され、材料を所望の対象物に形成するよう従わせて、三次元対象物を作り出るプロセスを指す。いくつかの実施例において、コンピュータは、スマートフォン、タブレット、印刷機マザーボード、印刷機内のプロセッサ/コンピュータ、又はプロセッサ若しくは電子制御器を伴う任意の他のデバイスを指すことができる。チェック・バルブ・システム10の各要素(例えばハウジング24、遮断要素29及び31、並びに付勢部材72及び73)のための材料は、液体分子又は融合した粉粒体などの、任意の材料とすることができる。いくつかの実施例において、チェック・バルブ・システム10は、PA12、ポリプロピレン、及び/又はポリアミドで充填したガラスなど、1つ又は複数の材料から印刷することができる。しかし、材料は任意の好適な材料とすることができる。1つの実施例において、3D印刷機Pは、同じ材料から実質的に同時に全ての構成要素(例えばハウジング24、遮断要素29及び31、並びに付勢部材72及び73)を印刷する。これに関して、実質的に同時に印刷されることは、チェック・バルブ・システムの要素が単一の印刷プロセスで印刷されることを意味する。したがって、例えば印刷プロセス中に、3D印刷機は、特定の時間において、1つの要素(例えばハウジング24)を印刷し、別の要素(例えば遮断要素29及び31、並びに/又は付勢部材72及び73)は印刷しない。なぜなら全ての要素の3D印刷は、同じ印刷プロセス中に生じ、要素の各々は、3D印刷機によって実質的に同時に印刷されると考えられるからである。しかし、構成要素の各々(例えばハウジング24、遮断要素29及び31、並びに付勢部材72及び73)を、同じ若しくは異なる3D印刷機を使用して、異なる材料から同時に印刷すること、又は異なる時間に、異なる材料若しくは同じ材料から印刷すること、ができることに留意されたい。したがって、理解され得るように、1つの実施例において、ハウジング24、遮断要素29及び31、並びに付勢部材72及び73を、同じ又は異なる3D印刷機を使用して、3D印刷可能な1つ又は複数の材料から形成することができる。当業者は、構成要素の表面処理に基づいて、構成要素が(例えば射出成形するのではなく)3D印刷されることを判断することができる。さらに、デバイスが複数の部品から形成され、次に組み立てられるかどうかは、当業者には明白であろう。
【0023】
チェック・バルブ・システム10は、付勢部材72及び73がゼロ応力下にあるよう印刷される。理解され得るように、ばね(すなわち付勢部材)は、最小荷重と最大荷重との間に存在する固有応力範囲を有する。ばねがいかなる力又は応力も受けていないとき、固有応力範囲はその範囲における最小にある。すなわち、ばねが変形されないとき、ばねはゼロ応力下にある。さらに、ばねを捩じり、圧縮させ、又は引っ張るとき、ばねは「最小」応力位置(すなわちゼロ応力)に戻ろうとする傾向にある。
【0024】
したがって、この実施例において、付勢部材72及び73は圧縮されておらず、したがっていかなるエネルギーも蓄積していない。一旦チェック・バルブ・システム10が印刷されると、混合器12を装着することができる。
図4及び
図5に示されるように、第1及び第2の通路26、28の出口32a/32bは、混合器12のそれぞれの開口部34と整合される。混合器12は、チェック・バルブ・システム10に向けて動かされ、混合器12の開口部34は、第1及び第2の通路26、28の出口32a/32bの中に挿入される。
【0025】
図8に示されるように、混合器12の端部は、付勢部材72を開口部44a/44bから離れるよう付勢し、付勢部材72を圧縮する。したがって、混合器12がチェック・バルブ・システム10に接続されるとき、混合器12が第1の通路26における第2の部分42aに少なくとも部分的に配設されると、初めに付勢部材72は圧縮される。すなわち、付勢部材72は初めに圧縮され、そのとき混合器12は、チェック・バルブ・システム10に接続される。この構成は、使用されないときに、付勢部材72を、ゼロ応力又はゼロ圧縮状態に維持するのを可能にする。それによって、付勢部材72の耐用期間を延ばすことができる。
【0026】
混合器12がチェック・バルブ・システム10に接続されたとき、付勢部材72における第2の端部82の突出部86は、溝54の突出部58と係合する。溝54の突出部58は、供給方向から離れるよう(すなわち出口32aから離れるよう)角度が付けられ、付勢部材72における第2の端部82の突出部86は、溝54の突出部58を外側に曲げることができ、
図9に示されるように、付勢部材72の第2の端部が、供給方向の反対方向に通路の第2の部分を越えるのを可能にする。付勢部材72における第2の端部82の突出部86は、溝54における突出部58の遠位端を通過し、溝54における突出部58は、径方向内側に曲がって戻ることができる。溝54における突出部58は、好ましくは径方向内側に曲がって、付勢部材72における第2の端部82の突出部86の径方向位置内側である、径方向位置に戻る。換言すると、付勢部材72における第2の端部82の突出部86は、溝54における突出部58よりも大きい半径を有する。さらに好ましくは、少なくとも2つの突出部86は、付勢部材72における第2の端部82に180°離して配設され、それによって溝54における突出部58の径よりも大きい径を画定する。
【0027】
したがって
図10に示されるように、付勢部材72は、第1の通路26の第2の部分42a内に、部分的に圧縮された位置に係止される。この圧縮された位置、すなわち圧力を加えた位置は、付勢部材72に負荷をかけ、付勢部材72に、付勢部材72の端部80、82に向けて外側に力を加える。したがって、付勢部材72の第1の端部80は、力を遮断要素29の平坦面76に加え、それが次に遮断要素29の湾曲面74を、第1の通路26における第1の部分40aと第2の部分42aとの間の突起部52aに係合させる。一般的にこの力は、第1の通路26を封止し、材料又は流体が、第1の通路26の第1の部分40aを通り第1の通路26の第2の部分42aに至るのを制止するのに十分である。
【0028】
さらに
図11に示されるように、混合器12が外されたときでも、付勢部材72は圧縮(又は部分的な圧縮)状態に保たれる。なぜなら付勢部材72における第2の端部82の突出部86が、溝54の突出部58に係合するためである。
【0029】
第1の通路26及びその構成要素の任意の説明は、第2の通路28及びその構成要素に適用可能であることに留意されたい。
【0030】
理解され得るように、遮断要素29及び31は、第1及び第2の通路26、28を、通過する流体から封止する。したがって、チェック・バルブ・システム10が貯蔵デバイスSに連結されると、化合物又は流体は、望まれるまではチェック・バルブ・システム10を通過して混合器12の中に入らない。
【0031】
好ましくは、付勢部材72及び73は、貯蔵デバイスSの中の化合物に加えられた十分な圧力によって超えられる所定のばね定数を有する。1つの実施例において、化合物は、プランジャ・システムPSを使用して、貯蔵デバイスSからチェック・バルブ・システム10の中に強制的に移動させることができる。したがって、上述のように貯蔵デバイスSがチェック・バルブ・システム10に連結され、化合物を貯蔵デバイスSからチェック・バルブ・システム10へ、そして混合器12の中に動かすことが望まれるとき、圧力が、プランジャ・システムPSを介してプランジャ(図示せず)に加えられ、それが化合物を貯蔵デバイスSから出して、第1及び第2の通路26、28の第1の部分40a/40bの中に入れるよう強いる。化合物の力が付勢部材72及び73のばね定数に勝り、遮断要素29及び31の湾曲面74を突起部52a/52bから離すように動かす。遮断要素29及び31は開位置に入り、化合物が、第1及び第2の通路26、28の第1の部分40a/40bから第1及び第2の通路26、28の第2の部分42a/42bに移動し、混合器12の中に入るのを可能にする。
【0032】
理解され得るように、供給プロセスは、船舶、パイプライン、橋梁、タンク、風、レール、及び閉鎖空間への適用、若しくは任意の他の好適な適用においてコーティングするための、1つ、2つ、若しくはそれより多い成分(材料)を使用するプロセスなどの、成分を必要とする任意の好適なプロセスで操作され、又は任意の好適なプロセスに適用され得る。
【0033】
本明細書で説明するチェック・バルブ・システムは、コストを軽減し、複数のモールドを使用してシステムを形成する必要性を排除する。さらに、チェック・バルブ・システムを効率的に形成する方法が提供される。
【0034】
用語の一般的解釈
本発明の範囲を理解するにあたり、用語「備えている(comprising)」及びその派生語は、本明細書で使用されるとき、記載された特徴、要素、構成要素、グループ、整数、及び/又はステップの存在を規定するが、他の記載されない特徴、要素、構成要素、グループ、整数、及び/又はステップを排除しない、オープンエンドの用語として意図される。前述は、用語「含んでいる(including)」、「有している(having)」、及びそれらの派生語などと類似の意味を有する単語にも適用する。さらに、用語「部分(part)」、「セクション(section)」、「一部(portion)」、「部材(member)」、又は「要素(element)」が単数形で使用されるとき、単一の部分又は複数の部分の二重の意味を有することができる。さらに、上記の実施例を説明するために本明細書で使用されるとき、横断方向などの方向を示す用語、並びに任意の他の類似の方向を示す用語は、チェック・バルブ・システムの方向を指す。したがって、これらの用語は、本発明を説明するために利用されるとき、チェック・バルブ・システムに対するものと解釈されるべきである。
【0035】
用語「構成された(configured)」が、デバイスの構成要素、セクション、又は部分を説明するために本明細書で使用されるとき、所望の機能を実行するために構築された構造を含む。
【0036】
「実質的に(substantially)」などの程度を表わす用語は、本明細書で使用されるとき、修飾された用語の妥当な偏差量を意味し、そのために最終結果は大幅に変化しない。選択した実施例のみを選んで本発明を例示したが、当業者には、この開示から様々な変形及び変更が、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の範囲を逸脱することなく、成され得ることは明らかであろう。例えば、様々な構成要素のサイズ、形状、位置、若しくは向きを、必要に応じて及び/又は所望のように、変化させることができる。互いに直接接続されるか、又は接触するよう示される構成要素は、それらの間に配設される中間構造を有する場合がある。1つの要素の機能は2つによって、及びその逆で実施することができる。1つの実施例の構造及び機能は、別の実施例に適合させることができる。全ての利点を、特定の実施例に同時に示す必要はない。従来技術とは異なる固有の全ての特徴は、単独で又は他の特徴と組み合わせて、このような特徴によって具現化される構造及び/又は機能的概念を含む、出願人によるさらなる発明の別個の説明としても考慮されるべきである。したがって、本発明による実施例の上述の説明は例示のみのために提供され、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物によって定義される本発明を限定する目的ではない。