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特許7469263車載除菌制御装置及び車載除菌制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】車載除菌制御装置及び車載除菌制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60H 3/00 20060101AFI20240409BHJP
   F24F 8/22 20210101ALI20240409BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20240409BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B60H3/00 Z
F24F8/22
F24F8/80 155
A61L9/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021121842
(22)【出願日】2021-07-26
(65)【公開番号】P2023017516
(43)【公開日】2023-02-07
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和也
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-140087(JP,A)
【文献】特開2004-000413(JP,A)
【文献】特開2010-095227(JP,A)
【文献】特開2017-225629(JP,A)
【文献】特開2020-121598(JP,A)
【文献】特開2021-041015(JP,A)
【文献】国際公開第2017/204774(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第113082238(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-2249536(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 - 3/06
F24F 8/22
F24F 8/80
A61L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能な内部電源と、
1つ以上の深紫外線光源と、
前記深紫外線光源の作動状態を表示するための第1の表示光源と、
前記内部電源の充電状態を表示するための第2の表示光源と、
前記深紫外線光源への電源電力供給と、前記内部電源の充電動作と、前記第1の表示光源および前記第2の表示光源の表示とをそれぞれ制御可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、無線リモコンユニットとの間で無線通信するための無線通信部を有し、且つ、車両に搭載された車内スイッチ部との間で通信可能であり、
前記制御部は、前記車両の利用者が自車両に乗車中か否かを識別し、前記利用者が自車両に乗車中の場合には、前記車内スイッチ部の操作状況に応じて前記深紫外線光源への電源電力供給動作を制御し、前記利用者が自車両に乗車中でない場合には、前記無線リモコンユニットの状態変化に反応して前記深紫外線光源への電源電力供給動作を制御
複数の前記深紫外線光源は、前記車両の各座席の天井及び各ドアの部位にそれぞれ、可視光の光源と隣接する状態で設置されている、
車載除菌制御装置。
【請求項2】
車両に搭載されたソーラーパネルを備え、
前記ソーラーパネルの出力が前記内部電源の充電回路と接続可能に構成されている、
請求項1に記載の車載除菌制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、車両のイグニッションのオンオフに連動して、前記深紫外線光源へ供給する電源供給元を切り替える、
請求項1又は2に記載の車載除菌制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、除菌動作の時間の長さを制限するタイマを有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の車載除菌制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車載除菌制御装置と、
車両に搭載された車載バッテリと、
前記車両に搭載されたソーラーパネルと、を備え、
前記制御部は、前記車両のイグニッションがオンの場合には、前記深紫外線光源へ供給する電源供給元を前記車載バッテリに切り替え、前記車両のイグニッションがオフの場合には、前記深紫外線光源へ供給する電源供給元を前記ソーラーパネルに切り替える、
車載除菌制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載除菌制御装置及び車載除菌制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車が利用される環境においては、カーシェアリングのような新しい利用形態が導入されつつある。このような利用形態では、共通の1台の車両に不特定の或いは特定の多数の利用者が代わる代わる乗車することになる。
【0003】
上記の場合のように1台の車両を多数の利用者が共有する状況においては、車内環境の清潔維持が必要になる。また、車内環境が清潔であれば、各利用者はこの車両を利用しやすくなり、カーシェアリングの促進に繋がる。しかし、車内環境を常時清潔に維持するためには、一般的には車内クリーニングの作業が必要であり、維持管理のためのランニングコストの上昇が見込まれる。更に、車内クリーニングのためにその車両を使用できない時間帯が発生する。
【0004】
一方、特許文献1は、車室内が効果的に除菌されるように除菌イオンを吹き出すことができる車両用除菌装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-341759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば特許文献1のような除菌技術を利用する場合には、車両を利用しつつ同時に除菌することもできるので、カーシェアリングのように様々な利用者が共通の車両を代わる代わる使用するような利用形態では、車内クリーニングのために必要な時間を節約できる可能性がある。また、カーシェアリングだけでなく、例えばタクシー車両を利用する場合も同様である。
【0007】
しかしながら、イオンなどを用いた除菌技術の場合は、例えばコロナウィルスを不活化する能力が乏しかったり、除菌に時間がかかる可能性があるので、実際に十分な効果が得られるか否かは不明である。
【0008】
また、特許文献1のような除菌技術の場合は、装置が消費する電源電力を車両側から供給する必要がある。そのため、例えば車両の駐車中など車両が使用されていない時間帯に除菌を行おうとすると、車両のバッテリ上がりが発生する可能性が懸念される。
【0009】
また、車両に除菌装置が1台しか搭載されていない場合には、車室内の隅々まで除菌するのは困難である。また、車両に複数台の除菌装置が搭載されている場合には、これらの除菌装置を同時に稼働させると消費電力が増えるので、車両のバッテリ上がりの可能性が更に増大する。
【0010】
また、カーシェアリングなどの場合に、車両を利用しようとする各ユーザは、その車両が清潔な状態に維持されているのか否かを把握できないので、乗車する際に安心感を得ることが難しい。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、様々な利用者が利用する可能性のある車両を常時清潔な状態に維持することを容易にすると共に、車両のバッテリ上がりが生じにくい車載除菌制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載除菌制御装置及び車載除菌制御システムは、それぞれ下記を特徴としている。
【0013】
充電可能な内部電源と、
1つ以上の深紫外線光源と、
前記深紫外線光源の作動状態を表示するための第1の表示光源と、
前記内部電源の充電状態を表示するための第2の表示光源と、
前記深紫外線光源への電源電力供給と、前記内部電源の充電動作と、前記第1の表示光源および前記第2の表示光源の表示とをそれぞれ制御可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、無線リモコンユニットとの間で無線通信するための無線通信部を有し、且つ、車両に搭載された車内スイッチ部との間で通信可能であり、
前記制御部は、前記車両の利用者が自車両に乗車中か否かを識別し、前記利用者が自車両に乗車中の場合には、前記車内スイッチ部の操作状況に応じて前記深紫外線光源への電源電力供給動作を制御し、前記利用者が自車両に乗車中でない場合には、前記無線リモコンユニットの状態変化に反応して前記深紫外線光源への電源電力供給動作を制御
複数の前記深紫外線光源は、前記車両の各座席の天井及び各ドアの部位にそれぞれ、可視光の光源と隣接する状態で設置されている、
車載除菌制御装置。
【0014】
上記の車載除菌制御装置と、
車両に搭載された車載バッテリと、
前記車両に搭載されたソーラーパネルと、を備え、
前記制御部は、前記車両のイグニッションがオンの場合には、前記深紫外線光源へ供給する電源供給元を前記車載バッテリに切り替え、前記車両のイグニッションがオフの場合には、前記深紫外線光源へ供給する電源供給元を前記ソーラーパネルに切り替える、
車載除菌制御システム。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車載除菌制御装置及び車載除菌制御システムによれば、様々な利用者が利用する可能性のある車両を除菌により常時清潔な状態に維持することが容易になる。また、内部電源の電源電力を利用できるので、車両のバッテリ上がりが生じにくい。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車載除菌制御装置の構成例を示す電気回路図である。
図2図2は、車載除菌制御装置の主要な動作を示すフローチャートである。
図3図3は、図2に示した動作の一部分の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る車載除菌制御装置100の構成例を示す電気回路図である。
図1に示した車載除菌制御装置100は、例えばカーシェアリングを目的とする車両やタクシー車両のように、不特定多数の利用者が利用する車両に搭載された場合に特に好適な除菌機能を実現するものであり、車両に搭載された車載バッテリ23、ECU25及び車内スイッチ部26とともに車載除菌制御システム1を構成している。
【0020】
図1に示した車載除菌制御装置100は、除菌部15を備えている。除菌部15は、多数の深紫外線LED(発光ダイオード)15aにより構成されている。各深紫外線LED15aは、例えば波長が222[nm]の深紫外線を放射可能な発光特性を有する光源である。このような波長の深紫外線は、例えば数分間程度の照射でウイルスや細菌の不活化が可能であり、しかも人体に照射しても影響がほとんどないことが知られている。したがって、この深紫外線は車室内の除菌を目的とした利用に好適である。
【0021】
例えばカーシェアリングを目的とする車両の場合には、車室内の領域を全体に亘りくまなく除菌することが望ましい。しかし、1個の深紫外線LED15aにより深紫外線が照射される範囲は、車室内の一部の領域だけに限られる。したがって、多数の深紫外線LED15aを車両内の様々な部位に分散配置して、それぞれの深紫外線LED15aが異なる領域に深紫外線を照射するように構成することが重要である。
【0022】
そのため、例えば車室内の各座席の上方の天井位置にそれぞれ深紫外線LED15aを設置して、座席の方向に向けて深紫外線を照射することが想定される。また、車両の各ドアの位置にそれぞれ深紫外線LED15aを設置して、座席の方向に向けて深紫外線を照射することも想定される。更に、荷室の天井等の部位に深紫外線LED15aを設置することも想定される。
【0023】
実際の車両においては、通常、各座席の天井やドア等の部位に可視光で照明するためのLED等のランプが設置されている。また、装飾照明のために可視光を発光可能なLED等のランプが設置されている場合も多い。したがって、これらの部位にそれぞれ、可視光の光源と隣接する状態で深紫外線LED15aを設置する。これにより、深紫外線LED15aの設置スペースを新たに確保する必要がなくなり、しかも車室内の領域全体に亘り除菌することが容易になる。
【0024】
また、車載除菌制御装置100は、除菌表示LED16及び充電表示LED17を備えている。除菌表示LED16は、除菌部15の作動状況を利用者が視認可能な状態で表示するようになっている。また、充電表示LED17は、内蔵充電池13の充電状況を利用者が視認可能な状態で表示するようになっている。
【0025】
なお、除菌表示LED16及び充電表示LED17のそれぞれの機能については、事前に車両に搭載されている一般の照明装置や、装飾照明装置の光源の制御を変更するだけで実現できる。これらの光源を利用する場合は、除菌表示LED16及び充電表示LED17のLEDを新たに追加する必要はない。
【0026】
また、本実施形態では、除菌表示LED16として青色の発光が可能なデバイスを採用してあり、充電表示LED17として緑色、黄色、及び赤色の発光が選択的に可能なフルカラー表示デバイスを採用している。
【0027】
図1に示した例では、車載除菌制御装置100は、コネクタ部10を備えている。コネクタ部10には、ワイヤハーネス18を経由して除菌部15の各深紫外線LED15a、除菌表示LED16、及び充電表示LED17が接続されている。コネクタ部10は、制御部11、無線通信部12、及び内蔵充電池13を含んでいる。また、コネクタCN2のハウジング内にコネクタ部10が収容されている。
図1中のコネクタCN1、CN2は対をなし、互いに嵌合可能な形状に構成され、着脱可能に構成されている。
【0028】
制御部11は、例えばマイクロコンピュータを主体とする電子回路により構成され、有線通信機能を備えている。また、制御部11は、無線通信部12を利用することで無線通信も可能である。制御部11のマイクロコンピュータは、予め組み込まれているプログラムを実行することにより、後述する様々な制御を実行できる。
【0029】
無線通信部12は、例えばWi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)のような標準の通信規格に対応した無線通信を可能にする通信モジュールであり、比較的近距離の無線通信が可能である。本実施形態では、スマートキー30との間の通信を可能にするために無線通信部12を利用している。
【0030】
内蔵充電池13は、取り外しが可能な状態でコネクタCN2のハウジング内に収容されている。内蔵充電池13は、例えばリチウムイオン電池により構成されている。内蔵充電池13の出力は、制御部11、除菌部15、除菌表示LED16、及び充電表示LED17に対して電源電力を供給可能な状態で接続されている。また、内蔵充電池13の充電回路にワイヤハーネス19を介してソーラーパネル14が接続されている。
【0031】
ソーラーパネル14は、通常の状態で太陽光が当たりやすい車両上の部位、例えば車体のルーフ上、ダッシュボードの上部、各ドアの上部などに設置されている。ソーラーパネル14は、内蔵充電池13を充電するのに十分な発電能力を有している。
【0032】
互いに接続されるコネクタCN1、CN2は、電源、グランド(GND)、及び通信のそれぞれに割り当てられた電線を収容している。
【0033】
図1に示した例では、車両には、主電源として車載バッテリ23が搭載されている。また、車載バッテリ23の入力側には、オルタネータ24が接続されている。なお、電気自動車やプラグインハイブリッド車などのように高圧電源を内蔵する車両の場合には、オルタネータ24の代わりに高圧電源の出力が所定のDC/DCコンバータを介して車載バッテリ23と接続される。
【0034】
車載バッテリ23により出力される車両側の電源電力は、電源線21、コネクタCN1、及びCN2を介してコネクタ部10に供給される。
【0035】
この車両の車内には、運転者等の利用者が操作可能な位置に様々なスイッチ(SW)が設置されている。これらのスイッチは、図1中に示した車内スイッチ部26に含まれている。
また、この車両に搭載されているECU(電子制御ユニット)25は、車内スイッチ部26の各スイッチの状態を読み取ることができる。このECU25の電源入力には、車載バッテリ23の出力から電力が供給される。
【0036】
ECU25は、例えばCAN (Controller Area Network)のような車両用の通信規格に対応した通信機能を有し、通信線22を介して他のECU等との間で通信を行うことができる。ECU25の通信線22は、コネクタCN1、CN2を介して制御部11と有線接続される。
【0037】
スマートキー30は、一般的な車両用のスマートキーと同様に、ドアロックの施錠/解錠などを無線通信で行うための機能を有している。また、図1に示したスマートキー30は、車載除菌制御装置100における除菌動作のオンオフを切り替える機能を割り当てたスイッチも含んでいる。
【0038】
また、スマートキー30は、Wi-Fi、Bluetoothなどの規格に対応した無線通信を可能にする通信モジュールを内蔵し、車載除菌制御装置100の無線通信部12との間で無線通信が可能である。なお、スマートキー30の代わりに除菌動作のオンオフ操作機能のみに特化した専用のリモコンスイッチを利用してもよい。
【0039】
図2は、車載除菌制御装置100の主要な動作を示すフローチャートである。すなわち、制御部11が図2に示した制御を実施する。図2の動作について以下に説明する。
【0040】
制御部11は、車両のイグニッション(IG)の状態をS11で識別する。制御部11は、通信線22を介してECU25との間で通信することにより、IGオンオフの状態を識別できる。
【0041】
IGオフの場合は、制御部11はS11からS12に進み、制御部11自身と、無線通信部12、除菌部15、除菌表示LED16、及び充電表示LED17の電源入力を内蔵充電池13の出力に切り替える。
【0042】
IGオンの場合は、制御部11はS11からS13に進み、制御部11自身と、無線通信部12、除菌部15、除菌表示LED16、及び充電表示LED17の電源入力を車両側、すなわち電源線21側に切り替える。
【0043】
制御部11は、内蔵充電池13の充電状態や蓄電状態をS14で管理する。例えば、内蔵充電池13における充電電流、放電電流、出力電圧などの値やその変化を監視することにより、内蔵充電池13の実際の状態を把握する。また、制御部11は、次のS15で内蔵充電池13の充電状態や蓄電状態を充電表示LED17の表示に反映する。本実施形態では、充電表示LED17の発光色の違いにより充電状態や蓄電状態の違いを表現する。
【0044】
制御部11は、S16で通信線22を介してECU25との間で通信を行い、車内スイッチ部26の各スイッチの状態を読み取る。また、制御部11は、次のS17で無線通信部12を利用してスマートキー30との間で比較的近距離の無線通信を実施する。
【0045】
制御部11は、運転者等の利用者が自車両に乗車中か否かをS18で識別する。例えば、各座席における着座の有無を検知したり、スマートキー30が運転席の近傍に存在するか否かを検知することで、利用者が自車両に乗車中か否かを識別できる。
【0046】
利用者が自車両に乗車中の場合には、制御部11は、車内スイッチ部26に含まれる車内スイッチの操作状況に応じて、除菌機能のオンオフを切り替える(S19)。すなわち、除菌機能をオンにする場合は、除菌部15の各深紫外線LED15aに電源電力を供給して深紫外線が放射される状態にする。また、除菌機能をオフにする場合は、除菌部15の全ての深紫外線LED15aに対する電源電力供給を遮断する。
【0047】
一方、利用者が自車両の車外に存在する場合には、制御部11は、スマートキー30におけるスイッチ操作状況に応じて、除菌機能のオンオフを切り替える(S20)。
また、制御部11は、自車両の駐車後にドアロックされた状態を検知したかどうかを次のS21で識別する。例えば、駐車ブレーキがオン状態で、IGオフになり、更にドアが施錠された場合に21からS22に進む。
【0048】
制御部11は、S22で除菌動作のタイマ動作を開始する。すなわち、制御部11は、除菌部15の除菌機能をオンに切り替えると共に、これを自動停止するための除菌タイマの時間計数動作を開始する。この後、予め前記除菌タイマに割り当てた一定時間が経過すると、除菌部15の除菌機能はオフに切り替わる。
【0049】
したがって、いずれかの利用者が車両を使用した後の駐車状態では、上記タイマ動作により除菌動作が一定時間だけ確実に実施されることになる。そのため、次の利用者がこの車両を使用する場合には、車内が除菌された清浄な状態で利用者を招き入れることが可能になる。
【0050】
制御部11は、除菌部15の作動状態をS23で把握して、その状態を除菌表示LED16の表示に反映する。すなわち、除菌部15の各深紫外線LED15aが発光状態であっても、利用者は深紫外線を視認できないので、除菌部15を作動させるだけではその状態を利用者が知ることはできない。しかし、除菌動作と連動した状態で除菌表示LED16を表示することで、利用者は除菌機能が作動しているか否かを確認できる。
【0051】
図3は、図2に示した動作の一部分の詳細を示すフローチャートである。すなわち、図3は、図2に示した各ステップS15、S23に相当する動作の詳細を示す。図3に示した動作について以下に説明する。
【0052】
制御部11は、内蔵充電池13が蓄電している電力の残量Rb(%)を予め定めた閾値10、90とそれぞれ比較する。「90<Rb」の場合はS32に進み、「10<Rb≦90」の場合はS33に進み、「10≧Rb」の場合はS34に進む。
【0053】
なお、電力の残量Rbについては、例えば内蔵充電池13が満充電の状態(100%)を基準にして、その基準状態から消費した電力量や電圧の変化などに基づき計算で推定できる。
【0054】
制御部11は、「90<Rb」の場合は、充電表示LED17が緑色で点灯するように表示制御する。また、「10<Rb≦90」の場合は、充電表示LED17が黄色で点灯するように表示制御する。また、「10≧Rb」の場合は、充電表示LED17が赤色で点灯するように表示制御する。
【0055】
一方、S35では、制御部11は、除菌部15が作動中か否かを識別する。1つ以上の深紫外線LED15aが点灯中(通電中)であれば、除菌機能が作動中とみなしてS36に進み、除菌表示LED16が青色で点灯するように制御する。つまり、除菌表示LED16に電力を供給する。
【0056】
また、除菌部15の全ての深紫外線LED15aが消灯中(非通電状態)であれば、制御部11は、除菌機能が非作動状態とみなしてS37に進み、除菌表示LED16を消灯する。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る車載除菌制御装置100によれば、深紫外線LED15aを利用して除菌を行うので、ウイルスなども含めて効率よく車内を除菌することが可能である。しかも、人体に影響のない特定波長の深紫外線を利用すれば、利用者が乗車中であっても除菌を実施できる。したがって、カーシェアリングにより一般的な車両を不特定多数の利用者が共有して使用する場合や、タクシーを利用するような場合に、各利用者が車両に乗り込む際に常に清浄な状態で利用者をもてなすことが可能であり、特別なクリーニングの作業は不要になる。
【0058】
また、深紫外線は視認できないが、車載除菌制御装置100の除菌機能が作動しているときには除菌表示LED16によりそれが表示されるので、車両の利用者は除菌機能の作動を容易に認識できる。
【0059】
また、内蔵充電池13の電力を利用して除菌できるので、駐車中のようにエンジンを停止した状態であっても車載バッテリ23のバッテリ上がりを生じることなく除菌を実施できる。また、ソーラーパネル14を利用することで、車載バッテリ23の蓄電量に影響を与えることなく内蔵充電池13を充電できる。
【0060】
また、スマートキー30などの無線リモコン装置と連携することで、車両の利用者が車両の外側にいる場合でも、除菌機能のためのオンオフ等の操作が可能になる。また、制御部11や内蔵充電池13をコネクタCN2のハウジング内に収容することで、一般的な車両に車載除菌制御装置100の機能をオプションとして後付けで装着することが容易になる。
【0061】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0062】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る車載除菌制御装置及び車載除菌制御システムの特徴をそれぞれ以下[1]~[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 充電可能な内部電源(内蔵充電池13)と、
1つ以上の深紫外線光源(深紫外線LED15a)と、
前記深紫外線光源の作動状態を表示するための第1の表示光源(除菌表示LED16)と、
前記内部電源の充電状態を表示するための第2の表示光源(充電表示LED17)と、
前記深紫外線光源への電源電力供給と、前記内部電源の充電動作と、前記第1の表示光源および前記第2の表示光源の表示とをそれぞれ制御可能な制御部(11)と、
を備えた車載除菌制御装置(100)。
【0063】
上記[1]の構成の車載除菌制御装置によれば、深紫外線光源に電源電力を供給することで、車室内で深紫外線を発生し、除菌を実施することができる。特に、深紫外線を用いることにより、人体に悪影響を及ぼすことなく比較的短時間でウイルス等を不活化することが可能になる。また、内部電源から深紫外線光源に電源電力を供給できるので、車両が駐車している間に除菌を実施する場合でも、車両のバッテリ上がりが生じることを防止できる。また、深紫外線は目に見えない状態で発生するが、第1の表示光源を用いて深紫外線光源の作動状態を表示することで、除菌により清浄な環境が維持されていることを車両の利用者に知らせることができる。したがって、特に不特定多数の利用者が1台の車両を代わる代わる利用するような状況であっても、車室内が清浄であることを各利用者が認知できるので、車両の利用者をもてなす有用な機能を実現できる。また、第2の表示光源により内部電源の状態を利用者に知らせる事ができる。
【0064】
[2] 車両に搭載されたソーラーパネル(14)を備え、
前記ソーラーパネルの出力が前記内部電源の充電回路と接続可能に構成されている、
上記[1]に記載の車載除菌制御装置。
【0065】
上記[2]の構成の車載除菌制御装置によれば、内部電源の蓄積している電力が少なくなった場合でも、車両に太陽光等の光が外部から照射されている状況であれば、いつでも充電を行うことができる。したがって、例えば長時間に亘って車両が駐車している状況で除菌機能を作動させる場合でも、内部電源の蓄積している電力が不足することを防止できる。
【0066】
[3] 前記制御部は、無線リモコンユニット(スマートキー30)との間で無線通信するための無線通信部(12)を有し、
前記無線リモコンユニットの状態変化に反応して、前記制御部が前記深紫外線光源への電源電力供給動作を制御する(S20)、
上記[1]又は[2]に記載の車載除菌制御装置。
【0067】
上記[3]の構成の車載除菌制御装置によれば、利用者が前記無線リモコンユニットを利用することで、利用者が車両の外にいる場合でも、除菌機能のオンオフ等を切り替えることが可能になる。
【0068】
[4] 前記制御部は、車両のイグニッションのオンオフに連動して、前記深紫外線光源へ供給する電源供給元を切り替える(S11~S13)、
上記[1]~[3]のいずれかに記載の車載除菌制御装置。
【0069】
上記[4]の構成の車載除菌制御装置によれば、例えば車両のエンジンが停止しているときに、深紫外線光源へ供給する電源供給元を前記内部電源に切り替えることで、車載バッテリのバッテリ上がりを防止できる。また、例えば車両のエンジンが作動して車載発電機等が利用できる状態では、電源供給元を能力に余裕のある車載バッテリ等の出力に切り替えることで、内部電源からの電源電力消費を抑制できる。
【0070】
[5] 前記制御部は、除菌動作の時間の長さを制限するタイマを有する(S22)、
上記[1]~[4]のいずれかに記載の車載除菌制御装置。
【0071】
上記[5]の構成の車載除菌制御装置によれば、車両が長時間に亘って駐車しているときに除菌機能の作動による無駄な電力消費を防止できる。
【0072】
[6] 上記[1]に記載の車載除菌制御装置と、
車両に搭載された車載バッテリと、
前記車両に搭載されたソーラーパネルと、を備え、
前記制御部は、前記車両のイグニッションがオンの場合には、前記深紫外線光源へ供給する電源供給元を前記車載バッテリに切り替え(S12)、前記車両のイグニッションがオフの場合には、前記深紫外線光源へ供給する電源供給元を前記ソーラーパネルに切り替える(S13)、
車載除菌制御システム。
【0073】
上記[6]の構成の車載除菌制御システムによれば、車両のエンジンが停止しているときに、深紫外線光源へ供給する電源供給元を内部電源に切り替えることで、車載バッテリのバッテリ上がりを防止できる。また、車両のエンジンが作動して車載発電機等が利用できる状態では、電源供給元を能力に余裕のある車載バッテリ等の出力に切り替えることで、内部電源からの電源電力消費を抑制できる。
【符号の説明】
【0074】
1 車載除菌制御システム
10 コネクタ部
11 制御部
12 無線通信部
13 内蔵充電池
14 ソーラーパネル
15 除菌部
15a 深紫外線LED
16 除菌表示LED
17 充電表示LED
18,19 ワイヤハーネス
21 電源線
22 通信線
23 車載バッテリ
24 オルタネータ
25 ECU
26 車内スイッチ部
30 スマートキー
100 車載除菌制御装置
CN1,CN2 コネクタ
図1
図2
図3