(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】補助吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/56 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
A61F13/56 110
(21)【出願番号】P 2021152610
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 基文
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-259923(JP,A)
【文献】特開2011-072451(JP,A)
【文献】特開2009-028139(JP,A)
【文献】特開2003-159268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートと吸収体とバックシートとが積層され、パンツ型の使い捨ておむつの内面側に装着して使用される補助吸収性物品であって、
長手方向の、少なくとも着用者の背側に対応する領域において、前記背側の端部から曲げに対する剛性が相対的に高くなる領域との境界線に、前記剛性が相対的に高い領域に設けられた、前記パンツ型の使い捨ておむつに止着される止着部材の端縁が一致するように配置さ
れ、
前記吸収体が、厚さ方向において、第1吸収体と第2吸収体との少なくとも2つの層が積層して形成されたものであり、前記第1吸収体は、前記第2吸収体よりも長手方向において長く形成され、
前記境界線が、前記第1吸収体のみが配置された領域と前記第1吸収体及び前記第2吸収体が配置された領域との前記長手方向における境界線である、補助吸収性物品。
【請求項2】
前記第1吸収体及び前記第2吸収体のうち、前記長手方向に相対的に長い方の前記第1吸収体が相対的に短い方の前記第2吸収体よりも、前記着用者の肌に近い側に配置されている、請求
項1に記載の補助吸収性物品。
【請求項3】
トップシートと吸収体とバックシートとが積層され、パンツ型の使い捨ておむつの内面側に装着して使用される補助吸収性物品であって、
長手方向の、少なくとも着用者の背側に対応する領域において、前記背側の端部から曲げに対する剛性が相対的に高くなる領域との境界線に、前記剛性が相対的に高い領域に設けられた、前記パンツ型の使い捨ておむつに止着される止着部材の端縁が一致するように配置さ
れ、
前記吸収体が、前記長手方向において、目付量が相対的に小さい部分と大きい部分とに区分けされたものであり、前記目付量の小さい部分が前記背側の端部に近い側に形成され、前記目付量の大きい部分が前記長手方向の中心側に形成され、
前記境界線が、前記目付量の小さい部分と前記目付量の大きい部分とを区分けした境界線である、補助吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に使い捨ておむつに装着される補助吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ(以下、単に、おむつという。)の内面側に重ねて使用される補助吸収性物品(インナーパッド)が知られている。インナーパッドは、その外面における前側及び後側の各端部付近に、インナーパッドをおむつの内面の所定位置に止めておくための止着テープが設けられている。止着テープは、おむつの内面シートである不織布と係合する、例えば面ファスナのオス側の部材で形成されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-072451号公報
【文献】特許第5134391号公報
【文献】特開2007-190178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インナーパッドが装着されたおむつがパンツ型の場合、着用者がトイレで排泄を行うときやインナーパッドを交換するとき、おむつを膝下あたりまで下げ、事後、おむつを元の着用位置まで引き上げる。このおむつを引き上げる動作の際に、インナーパッドの例えば後側の上端縁が臀部に触れながら引き上げられることで、インナーパッドの上端部が臀部側に曲げられて臀部との間に巻き込まれてめくれる。つまり、インナーパッドの上端部は、おむつの内面に向いているべき外面が臀部側に接する裏返しの状態となる。
【0005】
そして、インナーパッドのめくれた上端部が臀部側に接触したままでおむつが引き上げられることで、臀部側に巻き込まれる範囲が広がってインナーパッドの止着テープがおむつの内面から剥がれ、インナーパッドの後側は部分的に表裏裏返しになった状態となり得る。
【0006】
このように、インナーパッドが部分的に裏返された状態では、インナーパッドの本来の吸収性能を十分に発揮させることができない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、パンツ型の使い捨ておむつの着用の際に身体と接触しても、装着状態が変化するのを防止又は抑制することができる補助吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トップシートと吸収体とバックシートとが積層され、パンツ型の使い捨ておむつの内面側に装着して使用される補助吸収性物品であって、長手方向の、少なくとも着用者の背側に対応する領域において、前記背側の端部から曲げに対する剛性が相対的に高くなる領域との境界線に、前記剛性が相対的に高い領域に設けられた、前記パンツ型の使い捨ておむつに止着される止着部材の端縁が一致するように配置されている、補助吸収性物品である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る補助吸収性物品によれば、パンツ型の使い捨ておむつの着用の際に身体と接触しても、装着状態が変化するのを防止又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】着用者が、インナーパッドの装着されたパンツ型の使い捨ておむつを着用している状態を示す模式図である。
【
図2】
図1に示したパンツ型使い捨ておむつに装着されたインナーパッドを、バックシートの側から見た平面図である。
【
図3】
図2のA-A線に沿った面による断面図である。
【
図4】パンツ型おむつに装着された状態のインナーパッドを示す模式図である。
【
図5】パンツ型おむつの引き上げの際に、インナーパッドの背側端部の端縁が、着用者の臀部に触れながら引き上げられる様子を示す模式図である。
【
図6】
図5に示す状態から、インナーパッドの背側端部が臀部側にめくれた状態を示す模式図である。
【
図7】本発明が適用されないインナーパッドにおいて、吸収体が配置されている内側領域が臀部側にめくれた状態を示す模式図である図。
【
図8】実施形態の変形例1であるインナーパッドの背側端部を含む一部を示す、
図3相当の断面図である。
【
図9】実施形態の変形例2であるインナーパッドの背側端部を含む一部を示す、
図3相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る補助吸収性物品の一実施形態であるインナーパッド100について、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、着用者300が、インナーパッド100の装着されたパンツ型の使い捨ておむつ200(以下、パンツ型おむつ200という。)を着用している状態を示す模式図、
図2は、
図1に示したパンツ型おむつ200に装着されたインナーパッド100を、バックシート12(パンツ型おむつ200のトップシート(最内面のシート)210に最も近いい、外面側のシート)の側から見た平面図、
図3は
図2のA-A線に沿った面による断面図である。
【0013】
<構成>
図示のインナーパッド100は、本発明に係る補助吸収性物品の一実施形態である。インナーパッド100は、
図1に示すように、パンツ型おむつ200の厚さ方向に重ねた状態で使用される。具体的には、インナーパッド100は、パンツ型おむつ200の、着用者300の肌に最も近い内面側のシート(トップシート210)に重ねて配置される。インナーパッド100は、例えば、尿取りパッドや軟便パッドとして適用することができる。
【0014】
インナーパッド100は、
図2に示すように、長手方向Lの一方の側が着用者300の腹側に対応し、他方の側が着用者300の背側に対応する。インナーパッド100は、
図3に示すように、トップシート11と吸収体13とバックシート12とが、これらの順で厚さ方向に積層されて形成されている。トップシート11は着用者300の肌に最も近い内面側のシートであり、バックシート12は着用者の肌から最も遠い外側のシートである。
【0015】
トップシート11と吸収体13、吸収体13とバックシート12は、それぞれ、ホットメルト等の接合剤によって少なくとも一部分同士が接合されて、インナーパッド100は一体とされている。
【0016】
なお、インナーパッド100は、トップシート11と吸収体13との間にセカンドシートをさらに備えていても良い。トップシート11及びセカンドシートは親水性の不織布で形成され、バックシート12は疎水性のシートで形成されている。吸収体13は、トップシート11及びセカンドシートを通して移行した水分を吸収する。
【0017】
トップシート11及びバックシート12は、
図2に示すように、平面視で、吸収体13よりもひと回り大きく形成されていて、それぞれ、吸収体13の外周縁よりも外側に広がった周囲部分を有している。そして、トップシート11の周囲部分とバックシート12の周囲部分とはホットメルト等の接合剤で接合されている。
【0018】
したがって、周囲部分には、トップシート11とバックシート12とが接合されて吸収体13が設けられていない。なお、周囲部分のうち、
図2に示したインナーパッド100の長手方向Lの腹側の部分を腹側端部21、長手方向Lの背側の部分を背側端部22という。
【0019】
インナーパッド100は、周囲部分よりも内側の領域(内側領域23)において、トップシート11とバックシート12との間に吸収体13が配置されている。
【0020】
インナーパッド100のバックシート12には、
図2に示すように、長手方向Lの腹側と背側とにそれぞれ止着テープ50が固定されている。止着テープ50は、インナーパッド100をパンツ型おむつ200に装着するものである。止着テープ50は、例えば面ファスナのフック部材で形成されている。止着テープ50のフック部材がトップシート210の不織布と係合することで、止着テープ50がトップシート210に接合されて、インナーパッド100はパンツ型おむつ200に装着される。
【0021】
なお、止着テープ50はトップシート210のどこにでも接合することができるため、パンツ型おむつ200の前後方向におけるインナーパッド100の装着位置を、着用者300の体格等に応じて調整することができる。
【0022】
止着テープ50は、
図2に示すように、トップシート11とバックシート12とでのみで形成された腹側端部21や背側端部22ではなく、トップシート11とバックシート12の間に吸収体13が配置されている内側領域23のバックシート12に固定されている。
【0023】
しかも、止着テープ50は、長手方向Lにおける腹側端部21に近い側の端縁51が、腹側端部21と内側領域23との境界線L1に沿うように配置され、長手方向Lにおける背側端部22に近い側の端縁51が、背側端部22と内側領域23との境界線L1に沿うように配置されている。
【0024】
ここで、内側領域23は、トップシート11と吸収体13とバックシート12とで形成されているため、トップシート11とバックシート12とでのみで形成されている腹側端部21及び背側端部22に比べて、曲げに対する剛性が高い。つまり、内側領域23と腹側端部21、背側端部22との各境界線L1は、曲げに対する剛性が切り替わる境界線となっている。
【0025】
図4はパンツ型おむつ200に装着された状態のインナーパッド100を示す模式図、
図5はパンツ型おむつ200の引き上げの際に、インナーパッド100の背側端部22の端縁22aが、着用者300の臀部310に触れながら引き上げられる様子を示す模式図。
図6は
図5に示す状態から、インナーパッド100の背側端部22が臀部310側にめくれた状態を示す模式図、
図7は本発明が適用されないインナーパッド400において、吸収体13が配置されている内側領域23が臀部310側にめくれた状態を示す模式図である。
【0026】
次に、本実施形態のインナーパッド100の作用について説明する。インナーパッド100は、
図4に示すように、パンツ型おむつ200の内面側に重ねて装着された状態で使用される。
【0027】
インナーパッド100が装着されたパンツ型おむつ200の着用者300が、トイレで排泄を行う場合や使用済みのインナーパッド100を交換する場合、パンツ型おむつ200を膝下あたりまで下げ、事後、パンツ型おむつ200を着用位置まで引き上げる。
【0028】
このパンツ型おむつ200の引き上げの際に、
図5に示すように、インナーパッド100の背側端部22の端縁22aが、着用者300の臀部310に触れながら引き上げられる。これにより、
図6に示すように、インナーパッド100の背側端部22が臀部310側に曲がって臀部310との間に巻き込まれて裏返しにめくれる。
【0029】
臀部310側にめくれた背側端部22と臀部310とが接した状態で、そのままパンツ型おむつ200が引き上げられると、臀部310とめくれた背側端部22との間で生じる摩擦力により、背側端部22に連なる内側領域23も、臀部310側に巻き込まれてめくれ易くなる。
【0030】
しかし、本実施形態のインナーパッド100は、上述したように、背側端部22よりも剛性の高い内側領域23に固定された止着テープ50が、その端縁51が曲げに対する剛性の切り替わる境界線L1に一致するように配置されている。
【0031】
これにより、臀部310側に曲がっている位置が、曲げに対する剛性が相対的に低い背側端部22から相対的に高い内側領域23に移行する際に、境界線L1を境界にして曲げに対する剛性が高く切り替わると同時に、止着テープ50自体の曲げに対する剛性と、止着テープ50とパンツ型おむつ200のトップシート210との接合力による曲げに対する剛性とが加わる。
【0032】
この結果、境界線L1を境にした内側領域23では、背側端部22に比べて、インナーパッド100の曲げに対する剛性が大幅に増大する。したがって、パンツ型おむつ200が着用位置まで引き上げられても、インナーパッド100は、
図6に示すように、背側端部22だけがめくれた状態のままで、背側端部22が臀部310との間で滑りが生じて、臀部310側に曲がる位置が内側領域23にまで移行するのを防止又は抑制することができる。つまり、本実施形態のインナーパッド100は、パンツ型おむつ200における装着状態が変化するのを防止することができる。
【0033】
これに対して、本発明が適用されないインナーパッド400は、
図7に示すように、内側領域23に固定された止着テープ50は、端縁51が、曲げに対する剛性が切り替わる境界線L1に一致しないで、内側領域23に存在している。
【0034】
このインナーパッド400が装着されたパンツ型おむつ200では、背側端部22が臀部310側にめくれて背側端部22と臀部310とが接した状態で、パンツ型おむつ200が引き上げられると、背側端部22に連なる内側領域23は、境界線L1においては、吸収体13の存在だけが曲げに対する剛性を増大するに過ぎず、止着テープ50自体の曲げに対する剛性や止着テープ50とトップシート210との接合力による曲げに対する剛性の増大がない。
【0035】
したがって、パンツ型おむつ200が引き上げられた勢いで、臀部310側に曲げられた位置が内側領域23にまで移行して臀部310側に曲がって裏返しにめくれる。そして、パンツ型おむつ200が引き上げられた勢いで、止着テープ50の設けられている部分にまで移行して、止着テープ50はトップシート210から剥離して、臀部310側に巻き込まれる。この結果、パンツ型おむつ200における装着状態が変化し、吸収体13の吸収性能を低下させる。
【0036】
本実施形態のインナーパッド100は、止着テープ50の端縁51を、剛性が低い領域から高い領域に切り替わる境界線L1に一致させて配置した構成により、境界線L1において曲げに対する剛性を大幅に増大させて、インナーパッド100の、パンツ型おむつ200への装着状態が変化するのを防止し、吸収体13の吸収性能が低下するのを防止することができる。
【0037】
上述したインナーパッド100の説明は、インナーパッド100の背側端部22を含む背側についてのみであったが、腹側端部21を含む腹側についても同様であり、腹側端部21よりも曲げに対する剛性の高い内側領域23に固定された止着テープ50の端縁51が、曲げに対する剛性の切り替わる境界線L1に沿って設けられている。
【0038】
したがって、下腹部側に曲がった部分が、曲げに対する剛性が相対的に低い腹側端部21から相対的に高い内側領域23に移行する際に、境界線L1を境界にして曲げに対する剛性が高く切り替わると同時に、止着テープ50自体の曲げに対する剛性の増大と、止着テープ50によるパンツ型おむつ200のトップシート210との接合力による曲げに対する剛性の増大が加わることで、曲げに対する剛性を大幅に増大させることができる。
【0039】
これにより、パンツ型おむつ200が着用位置まで引き上げられても、インナーパッド100は、
図6に示すように、腹側端部21だけがめくれた状態のままで、下腹部との間で滑りが生じて、内側領域23が下腹部側に曲がるのを防止又は抑制することができ、パンツ型おむつ200における装着状態が変化するのを防止することができる。
【0040】
なお、本発明に係る補助吸収性物品は、着用者の臀部に対応する背側の領域について、上述した構成を有するものであればよく、着用者の腹側に対応する腹側の領域については、上述した構成を有するものでなくてもよい。
【0041】
本実施形態のインナーパッド100は、止着テープ50の端縁51を、吸収体13が配置されている内側領域23と配置されていない背側端部22、腹側端部21との境界線L1に一致させて止着テープ50を設けたものであるが、本発明に係る補助吸収性物品は、この実施形態に限定されるものではない。
【0042】
すなわち、本発明に係る補助吸収性物品は、長手方向における、曲げに対する剛性が相対的に低い領域から高い領域に切り替わる境界線に、相対的に曲げに対する剛性が高い側に設けられた止着部材の端縁が一致するように配置されていればよい。
【0043】
つまり、本発明に係る補助吸収性物品は、補助吸収性物品の本体(止着テープ50を除いた、トップシート11,吸収体13及びバックシート12からなる吸収物品として機能する部分)の曲げに対する剛性が増大する位置(境界線L1)に、止着テープ50によって曲げに対する剛性が増大(止着テープ50自体の曲げに対する剛性の増大及び止着テープ50がパンツ型おむつ200のトップシート210に接合していることによる曲げに対する剛性の増大)する位置を一致させた構成により、境界線L1において曲げに対する剛性を大幅に増大させるものであればよい。
【0044】
(変形例1)
図8は、実施形態の変形例の一つ(変形例1)であるインナーパッド500の背側端部22を含む一部を示す、
図3相当の断面図である。図示のインナーパッド500は、吸収体13がインナーパッド500の厚さ方向において、第1吸収体13cと第2吸収体13dとの2つの層が積層して形成されたものである。
【0045】
第1吸収体13cは、第2吸収体13dよりも長手方向Lにおいて長く形成され、背側端部22との境界線L1よりも内側で隣接する領域では第1吸収体13cのみが配置され、境界線L1よりも内側の境界線L2よりも内側の領域において、第1吸収体13c及び第2吸収体13dの2層が配置されている。
【0046】
第1吸収体13cと第2吸収体13dとは、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。また、第1吸収体13cと第2吸収体13dとは、同一の厚さであってもよいし、異なる厚さであってもよい。
【0047】
また、インナーパッド500は、止着テープ50が、第1吸収体13c及び第2吸収体13dの2層が配置されている2層領域25に設けられ、かつ、背側端部22側の端縁51が、第1吸収体13cのみが配置された領域と2層領域25との境界線L2に一致するように配置されている。
【0048】
ここで、境界線L2は、長手方向Lにおける、曲げに対する剛性が相対的に低い領域24から高い領域(2層領域24)に切り替わる境界線である。
【0049】
このように構成された変形例1のインナーパッド500は、曲げに対する剛性が相対的に高い領域25に固定された止着テープ50の端縁51が、曲げに対する剛性が相対的に低い領域24から高い領域25に切り替わる境界線L2に一致するように配置されている。
【0050】
これにより、臀部310側に曲げられた位置が、曲げに対する剛性が相対的に領域24から高い領域25に移行する際に、境界線L2を境界にして曲げに対する剛性が高く切り替わると同時に、止着テープ50自体の曲げに対する剛性と、止着テープ50とパンツ型おむつ200のトップシート210との接合力による剛性とが加わる。
【0051】
この結果、境界線L2より長手方向Lの中心側の領域25では、長手方向Lの端部側の領域24に比べて、インナーパッド500の曲げに対する剛性が大幅に増大する。したがって、パンツ型おむつ200が着用位置まで引き上げられても、インナーパッド500は、領域24だけがめくれた状態のままで、領域25が臀部310側にめくれるのを防止又は抑制することができ、パンツ型おむつ200における装着状態が変化するのを防止することができる。
【0052】
変形例1は、2層の吸収体のうち、長い方の第1吸収体13cがトップシート11に近い側に配置され、短い方の第2吸収体13dがバックシート12に近い側に配置された構成であるが、長い方の第1吸収体13cがバックシート12に近い側に配置され、短い方の第2吸収体13dがトップシート11に近い側に配置された構成であってもよい。
【0053】
ただし、長い方の第1吸収体13cがトップシート11に近い側に配置されたインナーパッドの方が、境界線L2において曲げに対する剛性差が大きくなるため、本発明の補助吸収性物品としては、より好ましい。
【0054】
変形例1は、吸収体13が、長さの異なる第1吸収体13c及び第2吸収体13dの2層で構成されたものであるが、吸収体13が3層以上で構成されたものであっても、同様に適用可能である。
【0055】
(変形例2)
図9は、実施形態の変形例の他の一つ(変形例2)であるインナーパッド600の背側端部22を含む一部を示す、
図3相当の断面図である。図示のインナーパッド600は、吸収体13がインナーパッド600の厚さ方向においては1層で形成されているが、長手方向Lにおいて、目付量が相対的に小さい部分(低目付部13g)と大きい部分(高目付部13h)とに区分けされている。
【0056】
具体的には、吸収体13のうち、長手方向Lの背側端部22に近い端部寄りの部分に低目付部13gが形成され、低目付部13gよりも長手方向Lの中心側の領域に高目付部13hが形成されている。
【0057】
なお、低目付部13gの吸収体の材料と高目付部13hの吸収体の材料とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0058】
また、インナーパッド600は、止着テープ50が、高目付部13hの領域に設けられ、かつ、背側端部22側の端縁51が、低目付部13gと高目付部13hとの境界線L3に一致するように配置されている。
【0059】
ここで、高目付部13hは低目付部13gに比べて目付量が多いため、曲げに対する剛性が相対的に高い。したがって、低目付部13gと高目付部13hとを長手方向Lにおいて区分けした境界線L3は、曲げに対する剛性が切り替わる境界線となる。
【0060】
このように構成された変形例2のインナーパッド600は、曲げに対する剛性が相対的に高い領域27に固定された止着テープ50の端縁51が、曲げに対する剛性が相対的に低い領域26から高い領域27に切り替わる境界線L3に一致するように配置されている。
【0061】
これにより、臀部310側に曲げられた位置が、曲げに対する剛性が相対的に領域26から高い領域27に移行する際に、境界線L3を境界にして曲げに対する剛性が高く切り替わると同時に、止着テープ50自体の曲げに対する剛性と、止着テープ50とパンツ型おむつ200のトップシート210との接合力による曲げに対する剛性とが加わる。
【0062】
この結果、境界線L3を境にした領域27では、領域26に比べて、インナーパッド600の曲げに対する剛性が大幅に増大する。したがって、パンツ型おむつ200が着用位置まで引き上げられても、インナーパッド600は、領域26だけがめくれた状態のままで、領域27が臀部310側にめくれるのを防止又は抑制することができ、パンツ型おむつ200における装着状態が変化するのを防止することができる。
【0063】
なお、上述した実施形態及び各変形例において、曲げに対する剛性が相対的高い領域(部分)と相対的に低い領域(部分)との、曲げに対する剛性の差異としては、一例として、相対的に高い方の曲げに対する剛性が、相対的に低い方の曲げに対する剛性の1.2倍以上であることが好ましい。ただし、本発明に係る補助吸収性物品は、この剛性の差異のものに限定されるものではない。
【0064】
ここで、変形例1に示した2層の吸収体13c,13dを有するインナーパッド500を例にして、上述した曲げに対する剛性の計測方法の一例を、下記に説明する。
【0065】
曲げに対する剛性の計測方法は、下記のねじり試験機を用いて、下記の試験条件により、インナーパッド500の長手方向Lの端部に外力を掛けて、インナーパッド500が所定の角度に曲げられたときのインナーパッド500に作用する応力を計測して、曲げられた任意の角度に対する計測された応力の比の値(下記表1のB値)により、曲げに対する剛性の評価を行った。したがって、評価としては、比の値(B値)が大きくなるにしたがって、曲げに対する剛性が高い。
【0066】
(ねじり試験機)大型ねじり試験機KES-YN-1-B(Kato Tech社製)
(試験条件)
・SENS:2
・ねじれ角:70[度]
・CONTROL:7
・SPEED:12
・試験片形状:MD×CD=225[mm]×65[mm]
【0067】
上記試験による評価の結果を下記表1に示す。
【0068】
【0069】
表1において、「上層のみ」は変形例1における第1吸収体13cのみが存在する領域24であり、「上下層現行」は変形例1における第1吸収体13c及び第2吸収体13dが存在する領域25である。評価の結果、第1吸収体13cのみが存在する領域24でのB値の平均値11.4であり、第1吸収体13c及び第2吸収体13dが存在する領域25でのB値の平均値13.7であった。
【0070】
この評価によれば、領域25でのB値(平均値)は領域24でのB値(平均値)の1.2018[倍]であった。したがって、1.2[倍]以上の曲げに対する剛性差(比)を有するインナーパッド500では、領域25が臀部310側に巻き込まれない、と評価することができる。
【0071】
なお、上述した剛性差の評価は一例であり、本発明に係る補助吸収性物品においては、剛性差として上記評価で評価したもの限定されるものではなく、また、剛性差(比)としても、1.2[倍]以上に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
11 トップシート
12 バックシート
13 吸収体
22 背側端部
23 内側領域
50 止着テープ
51 端縁
100 インナーパッド
200 パンツ型使い捨ておむつ(パンツ型おむつ)
300 着用者
L 長手方向
L1 境界線