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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】新規の医薬製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/5377 20060101AFI20240409BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240409BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240409BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61K47/18
A61K47/12
A61K47/20
A61K47/26
A61K47/40
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/10
A61K9/14
A61K9/19
A61P43/00 111
A61P37/02
A61P37/08
A61P29/00
A61P31/00
A61P31/14
A61P31/20
A61P31/16
A61P31/18
A61P35/00
A61P17/00
A61P25/00
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021531948
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2019060437
(87)【国際公開番号】W WO2020115676
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】62/776,102
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513032275
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ディベロップメント、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY DEVELOPMENT LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニクラ,アナンド ベイブ
(72)【発明者】
【氏名】マックイーン,リサ
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/175147(WO,A1)
【文献】特表2008-526907(JP,A)
【文献】特表2009-517481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
47/00-47/69
9/00-9/72
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)構造
【化1】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;
c)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤、並びに場合により
d)水
を含む、医薬製剤。
【請求項2】
アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸又はグルクロン酸の量が、約2~約4の間のpHをもたらすのに有効である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:125から選択される、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:30から選択される;又は
化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:100から選択される;又は
化合物A:可溶化剤のモル比が約1:10~1:30から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記可溶化が、1.0mgの化合物Aあたり約0.5mg~約10mgの量である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記可溶化剤がアスパラギン酸である、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記充填剤又は充填剤の組合せが、乾燥粉末又は凍結乾燥粉末若しくはケーキを形成するのに有効な量である、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記充填剤又は充填剤の組合せが1.0mgの化合物Aあたり約20mg~約200mgの量である、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記充填剤が、マンニトール、マンノース、メリビオース、オクツロース、フルクトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、ソルビトール、グルコース、ガラクトース、グリシン、デキストロース、ラフィノース、リボース、キシリトール、キシロース、シクロデキストリン、デキストラン、セルロース、ポビドン、PEG300、PEG400、PEG3350、PEG6000、PEG8000、ポリガラクツロン酸、ガラクツロン酸、リジン、アルギニン、グリシン若しくはガラクトース又はそれらの組合せを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記充填剤がマンニトールから本質的になる、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
約0.1mg~約4mgの化合物Aを含む;又は
約0.5mg~約1.5mgの化合物Aを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
化合物Aが遊離塩基の形態である、請求項1から11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
構造
【化2】
を有する化合物A
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩
を含む医薬製剤を製造する方法であって、
a)
i)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される少なくとも1つの可溶化剤;
ii)pHが約3.0~3.5の間に維持されている化合物A又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩;
iii)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
Iv)水
を含む溶液を形成するステップ;
b)場合により前記溶液を濾過するステップ;
c)場合により前記濾過した溶液を凍結乾燥バイアル中に充填し、約-45℃で凍結するステップ;並びに
d)前記凍結した溶液をフリーズドライする、又は前記凍結されていない溶液を蒸発させるステップ
を含む、方法。
【請求項14】
a)前記充填剤が、約20mg~約200mgの量のマンニトールであり;
b)前記可溶化剤が、約0.5~3.0mgのL-アスパラギン酸であり;
c)化合物A又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩が、約0.1mg~約2mgから選択される量である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
a)前記溶液を濾過し、凍結乾燥バイアル中に充填し;
b)前記溶液を約-45℃で凍結し;
c)前記凍結された溶液をフリーズドライする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
医薬製剤を製造する方法であって、
1)
a)構造
【化3】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;
c)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤;及び
d)水
を合わせて混合物とするステップ;並びに
2)場合により前記混合物を蒸発又は凍結乾燥させて、粉末又はケーキを形成するステップ
を含む、方法。
【請求項17】
構造
【化4】
を有する化合物A
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩
を含む医薬製剤を製造する方法であって、
a)
i)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される少なくとも1つの可溶化剤;
ii)pHが約3.0~3.5の間に維持されている化合物A又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩;
iii)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
Iv)水
を含む溶液を形成するステップ;
b)場合により前記溶液を濾過するステップ;
c)場合により前記濾過した溶液を凍結乾燥バイアル中に充填し、約-45℃で凍結するステップ;
d)前記凍結した溶液をフリーズドライする、又は前記凍結されていない溶液を蒸発させるステップ;並びに
(e)水を添加して、注射用液剤を形成するステップ
を含む、方法。
【請求項18】
STING(インターフェロン遺伝子刺激因子)の調節が有益である疾患の処置における使用のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項19】
STINGの調節が有益である前記疾患が、炎症、アレルギー及び自己免疫疾患、感染症、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、インフルエンザ、皮膚疣贅、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、AIDS、がん並びに前がん症候群から選択される、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記使用が、前記疾患を有する患者に、約0.1mg/mL~約2mg/mLの化合物A、約20mg/mL~約200mg/mLの量のマンニトール、約0.5~3.0mg/mLの量のアスパラギン酸、及び水を含む、請求項1に定義されている製剤の有効量を静脈内投与するステップを含む、請求項18又は19に記載の使用のための医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の構造:
【化1】
により表され、以下、化合物Aと称される、(E)-1-(4-(5-カルバモイル-2-(1-エチル-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド)-7-(3-モルホリノプロポキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)ブタ-2-エン-1-イル)-2-(1-エチル-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド)-7-メトキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボキサミド、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩
を含む、製剤、及び注射用剤形を製造する方法に関する。
【0002】
本発明は特に、水性、粉末、又は凍結乾燥医薬製剤を製造する方法に関する。水性製剤は注射できる状態にあり、一方で粉末及び凍結乾燥製剤は、投与前に好適な媒体中での再構成を必要とする。
【背景技術】
【0003】
(E)-1-(4-(5-カルバモイル-2-(1-エチル-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド)-7-(3-モルホリノプロポキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)ブタ-2-エン-1-イル)-2-(1-エチル-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド)-7-メトキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボキサミドは、その互変異性体、薬学的に許容される塩、及び水和物を含む溶媒和物と共に、STING(インターフェロン遺伝子刺激因子(Stimulator of Interferon Genes))としても公知である膜貫通型タンパク質173(TMEM173)の調節剤として、特に炎症、アレルギー及び自己免疫疾患、感染症、様々ながん、前がん症候群(pre-cancerous syndromes)の処置において、並びにワクチンアジュバントとして有用なものとして、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月5日に国際出願された国際特許出願番号PCT/IB2017/051945であって、2017年10月12日に国際公開された国際特許出願公開番号WO2017/175147に開示及び特許請求される化合物である。
【0004】
STING(インターフェロン遺伝子刺激因子)の調節が有益である疾患、例えば炎症、アレルギー及び自己免疫疾患、感染症、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、インフルエンザ、皮膚疣贅、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、AIDS、がん、前がん症候群の処置のための、並びに免疫原性組成物又はワクチンアジュバントとしての化合物Aの全身投与は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年10月4日に国際出願された国際特許出願番号PCT/IB2018/057738であって、2019年4月11日に国際公開された国際特許出願公開番号WO2019/069275に開示されている。
【0005】
医薬剤形は、薬学的に活性な化合物を調剤するための、一般的且つ有用な薬物の形態である。多様なそのような形態が公知であり、錠剤、カプセル剤、ペレット、ロゼンジ及び散剤が挙げられる。
【0006】
しかし、許容される医薬剤形の商業規模での製剤化は、必ずしも容易ではない。処方及び製造の方法は、使用されるまでその完全性を維持する完全な剤形を提供するようなものでなければならない。高分子量、低い溶解度及び不良な経口バイオアベイラビリティーを有する薬学的に活性な化合物は、薬物の物理的特性が剤形の特性に影響を与えるため、高品質の剤形の調製において特定の課題をもたらすことがある。製剤者(formulator)は、安全、有効且つ使用が容易な医薬剤形を調製するために、薬物の独自の特性と各賦形剤の特性とを比較考量しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO2017/175147
【文献】WO2019/069275
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
化合物Aは高分子量化合物(MW849.937)であり、この化合物を、全身投与に好適であり、所望の薬物動態学プロファイルを有する好適な剤形に製剤化することを試みる場合に、製剤者に独自の懸念をもたらす。そのような懸念には、限定されるものではないが、化合物Aの塩及び溶媒和物が非常に吸湿性であるという傾向、化合物Aが不良なバイオアベイラビリティーを有し、水への可溶性が極めて低いこと(溶解度は0.01mg/mL未満である)が挙げられる。これらの懸念がかなり現実化すると、化合物Aの製剤化における困難が生じる。
【0009】
化合物Aを所望の薬物動態学プロファイルを有する医薬剤形で、商業規模で提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
a)構造
【化2】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;並びに
c)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤
を含む医薬製剤に関する。
【0011】
本発明の特定の実施形態では、製剤は、2mgの化合物A、96mgのマンニトール、及び5.32mgのL-アスパラギン酸を含む水溶液として調製される。溶液は、続いてバイアル中に充填され、粉末又はケーキへと凍結乾燥される。凍結乾燥粉末又はケーキは、次に希釈剤、好適には水での希釈により、使用のために再構成される。
【0012】
本発明の特定の実施形態では、製剤は、1mgの化合物A、48mgのマンニトール、及び2.66mgのL-アスパラギン酸を含む水溶液として調製される。溶液は、続いてバイアル中に充填され、粉末又はケーキに凍結乾燥される。凍結乾燥粉末又はケーキは、次に希釈剤、好適には水での希釈により、使用のために再構成される。
【0013】
本発明の特定の実施形態では、製剤は、約0.5mgの化合物A、約48mgのマンニトール、及び1.3mgのL-アスパラギン酸を含む水溶液として調製される。溶液は、続いてバイアル中に充填され、粉末又はケーキに凍結乾燥される。凍結乾燥粉末又はケーキは、次に希釈剤、好適には水での希釈により、使用のために再構成される。
【0014】
本発明の別の態様は、等張性のために、好適な濃度のアスパラギン及びマンニトールでpHを調整することにより、薬物濃度を水中0.1mg/mLから4mg/mLへと変更するステップに関する。溶液は、続いてバイアル中に充填し、再構成のために粉末又はケーキへと凍結乾燥することができる。さらに、再構成媒体中の薬物の濃度は、凍結乾燥粉末又はケーキに添加される再構成媒体の容量により変更することができる。
【0015】
本発明の別の態様は、炎症、アレルギー及び自己免疫疾患、感染症、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、インフルエンザ、皮膚疣贅、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、AIDS、がん並びに前がん症候群から選択される疾患状態を処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者に治療有効量の本発明の医薬剤形を投与するステップを含む方法に関する。
【0016】
本発明の別の態様は、がんを処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者に治療有効量の本発明の医薬剤形を投与するステップを含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、安全且つ安定であり、必要とする患者に化合物Aを送達するのに特に有用である、注射用の、好適には凍結乾燥された医薬組成物を対象とする。
【0018】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化3】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;
c)約2~4の間のpHをもたらすのに有効な量の、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤;並びに場合により
d)水
を含む医薬製剤に関する。
【0019】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化4】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;
c)約2.7~3.6の間のpHをもたらすのに有効な量の、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤;並びに場合により
d)水
を含む医薬製剤に関する。
【0020】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化5】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;
c)約2.9~3.5の間のpHをもたらすのに有効な量の、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤;並びに場合により
d)水
を含む医薬製剤に関する。
【0021】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化6】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;
c)約3.0~3.5の間のpHをもたらすのに有効な量の、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤;並びに場合により
d)水
を含む医薬製剤に関する。
【0022】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化7】
を有する薬学的有効量の化合物A;
b)約2~4の間のpHをもたらすのに有効な、薬学的に許容される量の可溶化剤;並びに
c)薬学的に許容され、場合により凍結乾燥ケーキを形成する量の充填剤、例えばマンニトール
を含む医薬製剤に関する。
【0023】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化8】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;並びに
c)化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:125である、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤;並びに場合により
d)水
を含む医薬製剤に関する。
【0024】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化9】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;並びに
c)化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:30である、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤;並びに場合により
d)水
を含む医薬製剤に関する。
【0025】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化10】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;並びに
c)化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:100である、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤;並びに場合により
d)水
を含む医薬製剤に関する。
【0026】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化11】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;並びに
c)化合物A:可溶化剤のモル比が約1:10~1:30である、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤;並びに場合により
d)水
を含む医薬製剤に関する。
【0027】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化12】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;並びに
c)1.0mgの化合物Aあたり約0.3mg~約4mgの量の、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤
を含む医薬製剤に関する。
【0028】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化13】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)1.0mgの化合物Aあたり約1mg~約4mgの量のアスパラギン酸
を含む医薬製剤に関する。
【0029】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化14】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)1.0mgの化合物Aあたり約0.5mg~約10mgの量のアスパラギン酸
を含む医薬製剤に関する。
【0030】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化15】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)1.0mgの化合物Aあたり約0.5mg~約6mgの量のアスパラギン酸
を含む医薬製剤に関する。
【0031】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化16】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)1.0mgの化合物Aあたり約1mg~約4mgの量のアスパラギン酸
を含む、医薬製剤に関する。
【0032】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化17】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)1.0mgの化合物Aあたり約1.5mg~約3.5mgの量のアスパラギン酸
を含む医薬製剤に関する。
【0033】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化18】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)1.0mgの化合物Aあたり約2mg~約3mgの量のアスパラギン酸
を含む、医薬製剤に関する。
【0034】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化19】
を有する約0.1mg~約4mgの化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)1.0mgの化合物Aあたり約2mg~約3mgの量のアスパラギン酸
を含む、医薬製剤に関する。
【0035】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化20】
を有する約0.1mg~約4mgの化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;並びに
c)化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:25である、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤;並びに場合により
d)水
を含む医薬製剤に関する。
【0036】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化21】
を有する約0.5mg~約1.5mgの化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;並びに
c)化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:25である、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤;並びに場合により
d)水
を含む医薬製剤に関する。
【0037】
一実施形態では、本発明は、
a)構造
【化22】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)1.0mgの化合物Aあたり約2.66mgの量のアスパラギン酸
を含む医薬製剤に関する。
【0038】
一実施形態では、本発明は、医薬製剤を製造する方法であって、
1)
a)構造
【化23】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;
c)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤; 及び
d)水
を合わせて混合物とするステップ;並びに
2)場合により混合物を蒸発又は凍結乾燥させて、粉末又はケーキを形成するステップ
を含む方法に関する。
【0039】
一実施形態では、本発明は、医薬製剤を製造する方法であって、
1)
a)構造
【化24】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)約2~4の間のpHをもたらすのに有効な量の、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤
を合わせて混合物とするステップ、
2)水を添加して混合物を可溶化するステップ、並びに
3)混合物を蒸発させて、粉末を形成するステップ
を含む方法に関する。
【0040】
一実施形態では、本発明は、医薬製剤を製造する方法であって、
1)
a)構造
【化25】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)約2~4の間のpHをもたらすのに有効な量の、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤
を合わせて混合物とするステップ、
2)水を添加して混合物を可溶化するステップ、並びに
3)混合物を凍結乾燥させて、粉末又はケーキを形成するステップ
を含む方法に関する。
【0041】
一実施形態では、本発明は、医薬製剤を製造する方法であって、
1)
a)構造
【化26】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)約2~4の間のpHをもたらすのに有効な量の、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤
を合わせて混合物とするステップ、
2)水を添加して混合物を可溶化するステップ、
3)混合物を凍結乾燥させて、粉末又はケーキを形成するステップ、並びに
4)場合により水を添加して、注射用液剤を形成するステップ
を含む方法に関する。
【0042】
一実施形態では、本発明は、医薬製剤を製造する方法であって、
1)
a)構造
【化27】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)1.0mgの化合物Aあたり約0.3mg~約4mgの量の、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤
を合わせて混合物とするステップ、
2)水を添加して混合物を可溶化するステップ、並びに
3)混合物を蒸発させて、粉末を形成するステップ、並びに
4)場合により水を添加して、注射用液剤を形成するステップ
を含む方法に関する。
【0043】
一実施形態では、本発明は、医薬製剤を製造する方法であって、
1)
a)構造
【化28】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)化合物A:可溶化剤のモル比が約1:10~1:25である、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤
を合わせて混合物とするステップ、
2)水を添加して混合物を可溶化するステップ、
3)混合物を凍結乾燥させて、粉末又はケーキを形成するステップ、並びに
4)場合により水を添加して、注射用液剤を形成するステップ
を含む方法に関する。
【0044】
一実施形態では、本発明は、医薬製剤を製造する方法であって、
1)
a)構造
【化29】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
c)1.0mgの化合物Aあたり約1mg~約4mgの量のアスパラギン酸
を合わせて混合物とするステップ、
2)水を添加して混合物を可溶化するステップ、
3)混合物を凍結乾燥させて、粉末又はケーキを形成するステップ、並びに
4)場合により水を添加して、注射用液剤を形成するステップ
を含む方法に関する。
【0045】
一実施形態では、本発明は、
必要とする患者への静脈内投与のための医薬製剤であって、
a)構造
【化30】
を有する薬学的有効量の化合物A
b)薬学的に許容される量の充填剤又は充填剤の組合せ;
c)薬学的に許容されるpHをもたらすのに有効な、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸及びグルクロン酸から選択される、薬学的に許容される量の可溶化剤;並びに場合により
d)水
を含む医薬製剤に関する。
【0046】
一実施形態では、本発明は、構造
【化31】
を有する化合物Aを含む医薬製剤を作製する方法であって、
a)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤を水に添加して、溶液を形成するステップ;
b)化合物Aを添加して、pHを約3.0~3.3の間に維持しながら溶解するステップ;
c)充填剤又は充填剤の組合せを溶液中に溶解するステップ;
d)そのように調製した溶液を濾過するステップ;
e)場合により濾過した溶液を凍結乾燥バイアル中に充填し、約-45℃で凍結させるステップ;並びに
f)場合により凍結した溶液をフリーズドライするステップ
を含む方法に関する。
【0047】
一実施形態では、本発明は、処置を必要とする患者において、STING(インターフェロン遺伝子刺激因子)の調節が有益である疾患を処置する方法であって、前記患者に、約0.5mg/ml~約6mg/mlの化合物A、約20mg/ml~約200mg/mlの量のマンニトール、1.0mgの化合物Aあたり約2.66mgの量のアスパラギン酸、及び水を含む製剤の有効量を静脈内投与するステップを含む、方法に関する。
【0048】
一実施形態では、本発明は、STINGの調節が有益である疾患の処置における使用のための、本発明の医薬製剤を提供する。
【0049】
一実施形態では、本発明は、構造
【化32】
を有する化合物A
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩を含む医薬製剤を作製する方法であって、
a)
i)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される少なくとも1つの可溶化剤;
ii)pHが約3.0~3.5の間に維持されている化合物A又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩;
iii)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
Iv)水
を含む溶液を形成するステップ;
b)場合により溶液を濾過するステップ;
c)場合により濾過した溶液を凍結乾燥バイアル中に充填し、約-45℃で凍結するステップ;並びに
d)凍結した溶液をフリーズドライする、又は凍結されていない溶液を蒸発させるステップ
を含む、方法に関する。
【0050】
一実施形態では、本発明は、構造
【化33】
を有する化合物A
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩を含む医薬製剤を作製する方法であって;
a)
i)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される少なくとも1つの可溶化剤;
ii)pHが約3.0~3.5の間に維持されている化合物A又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩;
iii)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
Iv)水
を含む溶液を形成するステップ;
b)場合により溶液を濾過するステップ;
c)場合により濾過した溶液を凍結乾燥バイアル中に充填し、約-45℃で凍結するステップ;
d)凍結した溶液をフリーズドライする、又は凍結されていない溶液を蒸発させるステップ;並びに
(e)場合により水を添加して、注射用液剤を形成するステップ
を含む方法に関する。
【0051】
一実施形態では、本発明は、構造
【化34】
を有する化合物A
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩を含む医薬製剤を作製する方法であって;
a)
i)化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:125である、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される少なくとも1つの可溶化剤;
ii)pHが約3.0~3.5の間に維持されている、約0.1~約4mgの化合物A又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩;
iii)1.0mgの化合物Aあたり約20mg~約200mgの量の、充填剤又は充填剤の組合せ;及び
Iv)水
を含む溶液を形成するステップ;
b)場合により溶液を濾過するステップ;
c)場合により濾過した溶液を凍結乾燥バイアル中に充填し、約-45℃で凍結するステップ;
d)凍結した溶液をフリーズドライする、又は凍結されていない溶液を蒸発させるステップ;並びに
(e)場合により水を添加して、注射用液剤を形成するステップ
を含む方法に関する。
【0052】
一実施形態では、本発明は、構造
【化35】
を有する化合物A
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩を含む医薬製剤を作製する方法であって;
a)
i)化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:100である、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される少なくとも1つの可溶化剤;
ii)pHが約3.0~3.5の間に維持されている、約0.5~約1.5mgの化合物A又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩;
iii)1.0mgの化合物Aあたり約20mg~約200mgの量の充填剤又は充填剤の組合せ;及び
Iv)水
を含む溶液を形成するステップ;
b)場合により溶液を濾過するステップ;
c)場合により濾過した溶液を凍結乾燥バイアル中に充填し、約-45℃で凍結するステップ;
d)凍結した溶液をフリーズドライする、又は凍結されていない溶液を蒸発させるステップ;並びに
(e)場合により水を添加して、注射用液剤を形成するステップ
を含む方法に関する。
【0053】
一実施形態では、本発明は、構造
【化36】
を有する化合物A
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩を含む医薬製剤を作製する方法であって;
a)
i)1.0mgの化合物Aあたり約2mg~約3mgの量のアスパラギン酸;
ii)pHが約3.0~3.5の間に維持されている、約0.5~約1.5mgの化合物A又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩;
iii)1.0mgの化合物Aあたり80mg~約100mgの量の充填剤又は充填剤の組合せ;及び
Iv)水
を含む溶液を形成するステップ;
b)場合により溶液を濾過するステップ;
c)場合により濾過した溶液を凍結乾燥バイアル中に充填し、約-45℃で凍結するステップ;
d)凍結した溶液をフリーズドライする、又は凍結されていない溶液を蒸発させるステップ;並びに
(e)場合により水を添加して、注射用液剤を形成するステップ
を含む方法に関する。
【0054】
化合物Aの不良な経口バイオアベイラビリティーに起因して、例えば錠剤、カプセル剤、ペレット、ロゼンジ又は散剤による経口投与は利用可能ではなかった。結果として、非経口投与のための好適な製剤が求められた。化合物Aを非経口投与により投与するためには、化合物は好適なビヒクル中への溶解形態で利用可能とされなければならない。この必要性を満たすためには≧0.1mg/mL、好適には≧0.5mg/mL、好適には≧1.0mg/mLの製剤濃度が望ましいが、化合物Aの低い溶解度のため、このことは困難である。好適には、濃度は0.1mg/mL~4mg/mLの範囲内である。本発明の製剤組成物は、「そのまま」静脈内ボーラスを介して注射することができ、又は静注のために好適な媒体、例えばデキストロース(D5W)でさらに希釈することができ、それにより不良なバイオアベイラビリティー及び低い溶解度を有する化合物である化合物Aの許容される医薬剤形への製剤化の課題を解決するように、可溶/生体利用可能であり、pH及び重量オスモル濃度を満たすよう設計される。
【0055】
非経口投与のための化合物Aの製剤化における1つの選択肢は、製剤中に、十分な溶解度を示す、化合物の結晶化した塩、水和物又は溶媒和物を形成することである。安定な結晶形態の化合物Aを塩、水和物、又は溶媒和物として調製する試みは困難であることが示された。化合物Aのこれらの代替的な形態は、一般的に非常に吸湿性であり、これは投薬量の変動及び分解生成物の増大をもたらす傾向があるため、医薬製剤に好適でない。
【0056】
IV(静脈内)製剤が試みられた。4~9のpH範囲内の製剤が、一般的にIV投与用に検討される。このpH範囲の極値、特に低い極値に近い製剤は、注射部位の重度の刺激及び血栓性静脈炎を含む合併症に起因して特に懸念される。投与の際の刺激を最小化するために、製剤の医薬賦形剤、特に対イオン及び緩衝能が重要である。生理学的pH外の製剤は、7.4の正常のヒトpHでの溶解度の低減に起因して、注射後に血中で沈殿する傾向を有し、血栓性静脈炎を引き起こすことがある(S. H. YALKOWSKY Journal of Pharmaceutical Sciences 87巻、7号、787~796頁、1998年7月)。化合物AのIV製剤を、直接又は好適な媒体中の希釈に続けてのいずれかで提供し、投与の際の注射部位の刺激を避けることが、本発明の目的である。化合物Aの製剤の、直接又は好適な媒体中の希釈に続けてのいずれかでの注射の際に、血栓性静脈炎を予防することも、本発明の目的である。実施例17により示されるように、本発明の製剤は、IVボーラス投与について安全であることが判明している。
【0057】
驚くべきことに、化合物AについてのpHmax(最大溶解度のpH)は対イオンに依存し、ここでイオン化形態の濃度により物理的に安定な溶液を維持するのに十分な溶解度が獲得されることが判明した。
【0058】
本発明の製剤は、強化された化学安定性及び溶解度を医薬組成物にもたらす。化合物Aの注射用用量及び乾燥粉末、好適には凍結乾燥された乾燥粉末の製剤を調製するための選択された可溶化剤の使用は、非経口投与に好適である安定且つ可溶の製剤の生成をもたらす。より安定な製剤は、著しい経済的利益を生じる、延長された薬学的貯蔵寿命をもたらす。
【0059】
化合物A、特に遊離塩基は、選択された可溶化剤を有する水性製剤中にある場合、又は選択された可溶化剤を用いて調製された凍結乾燥製剤から再構成され、好適には可溶化剤が有機酸である場合、有意により水溶性であり、より安定であることが判明している。好ましい一実施形態では、可溶化剤は、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸又はグルクロン酸から選択される。これらの酸の組合せも本発明において有用であることが理解される。好適には、可溶化剤は酢酸である。好適には、可溶化剤はグルタミン酸である。好適には、可溶化剤はメタンスルホン酸である。好適には、可溶化剤は乳酸である。好適には、可溶化剤はグルクロン酸である。最も好適には、可溶化剤はアスパラギン酸である。好適には、可溶化剤は、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸及びグルクロン酸から選択される。
【0060】
本明細書において使用される場合、アスパラギン酸という用語は、D-アスパラギン酸、L-アスパラギン酸及びそれらの組合せを含む全ての形態のアスパラギン酸を含み、これらは本発明における使用について等価であると考えられる。
【0061】
本明細書において使用される場合、他に定義されない限り、pHの表示及び範囲は、全て室温(RT)で測定されるものと考えられる。好適には、RTは約23℃である。
【0062】
本明細書において使用される場合、化合物Aは、任意の形態、すなわち任意の互変異性体形態、任意の異性体形態、任意の塩又は非塩形態(例えば、遊離酸若しくは塩基形態、又は塩、特にその薬学的に許容される塩)、並びに任意のその物理的形態(例えば、非固体形態(例えば液体又は半固体形態)、及び固体形態(例えば、アモルファス又は結晶形態)、特定の多形体形態、水和物形態(例えばモノ、ジ、及びヘミ水和物)を含む溶媒和物形態を含む)の化合物、並びに様々な形態の混合物を含む。
【0063】
化合物A又はその薬学的に許容される塩又はその溶媒和物(特に水和物)は、結晶形態、非結晶形態又はそれらの混合物で存在し得ることが理解される。化合物又はその塩若しくは溶媒和物(特に水和物)は、多形(すなわち、異なる結晶形態で生じる能力)も示し得る。これらの異なる結晶形態は、典型的に「多形体」として公知である。本発明は、任意のその塩及び/又は溶媒和物(特に水和物)及びそれらの混合物を含む、化合物Aの全ての多形体を含むことが理解されることとなる。
【0064】
選択された可溶化剤を利用することにより、製品はより安定となり、所望されない分解生成物をより少なく含有し、非常に可溶性となり、組成物の貯蔵寿命を延長する。
【0065】
本発明は、化合物A及びIV投与に好適な賦形剤を含む製剤を対象とする。特に断りのない限り、製剤は、注射できる状態にある水性製剤、又は投与前に再構成を必要とする乾燥固体製剤、例えば粉末製剤、好適には凍結乾燥製剤であることができることが理解される。本発明の製剤に使用される化合物A又は賦形剤の量を特定する場合、量は、重量、例えばmgにより、又は濃度、例えばmg/mLにより、又は賦形剤が製剤に対して有する効果、例えば特定のpH又は範囲を生じるために必要な量により、特定することができる。量が示される方法にかかわらず、量はmg/mLの濃度に基づくことが理解される。例えば、アスパラギン酸の量が2mg/mLとして示される場合、これは1mLに再構成されることが意図されるバイアル中の固体としての2mgのアスパラギン酸と等しく、又は水1mL毎に2mgのアスパラギン酸を含有する水性製剤と等しいであろう。必要な場合、製剤は、輸注のために続けて希釈することができる。本発明の製剤は、2~4、好適には約2.5~約3.8、好適には約2.7~約3.6、好適には約2.9~約3.5、好適には約3.0~約3.5、好適には約3、好適には約3.1、好適には約3.2、好適には約3.3、好適には約3.4、好適には約3.5の範囲のpH環境をもたらすのに有効な量の、選択された可溶化剤、好適にはアスパラギン酸、好適には酢酸、好適にはグルタミン酸、好適にはグルクロン酸、好適にはメタンスルホン酸、好適には乳酸を含む。アスパラギン酸は、意外なことに他の無機及び有機酸と比較して化合物Aを高い濃度で可溶化することが判明したため、特に有利である。化合物Aに対する量に依存して、アスパラギン酸は、化合物Aを製剤中最大約6mg/mL;好適には最大約4mg/mL、好適には約0.1mg/mL~約6mg/mL;好適には約0.5mg/mL~約4mg/mL;好適には約1mg/mL~約4mg/mL;好適には約2mg/mL~約4mg/mL;好適には約2mg/mL;好適には約3mg/mLで、可溶化する。
【0066】
好適には、化合物Aは、剤形中約0.1mg~約6mg;好適には約0.1mg~約4mg;好適には約1mg~約5mg;好適には約0.5mg~約2mg;好適には約2mg~約4mg;好適には約0.1mg;好適には約0.2mg;好適には約0.3mg;好適には約0.4mg;好適には約0.5mg;好適には約0.6mg;好適には約0.7mg;好適には約0.8mg;好適には約0.9mg;好適には約1mg;好適には約1.25mg;好適には約1.5mg;好適には約2mg;好適には約3mg;好適には約4mgの量で存在する。
【0067】
当業者は、凍結乾燥の方法、及びこの方法が粉末又はケーキの形成をもたらすことを理解するであろう。当技術分野において、及び本明細書において使用される場合、粉末及びケーキの両方は等価であると考えられる。
【0068】
好適には、化合物Aは、製剤中約0.5mg~約6mg;好適には約1mg~約5mg;好適には約2mg~約4mg;好適には約0.5mg;好適には約1mg;好適には約2mg;好適には約3mg;好適には約4mgの量で存在する。
【0069】
必要とされる可溶化剤、好適にはL-アスパラギン酸の量は、製剤中の化合物Aの量に依存し、典型的に約0.5mg/mL~約4mg/mL、好適には約1mg/mL~約3.5mg/mL、好適には約1.5mg/mL~約3mg/mL、好適には約2mg/mL~約3mg/mL、好適には約2.66mg/mLの範囲で存在する。
【0070】
必要とされる可溶化剤、好適にはL-アスパラギン酸の量は、製剤中の化合物Aの量に依存し、典型的に約0.5mg/mL~約3mg/mL、好適には約1mg/mL~約3mg/mLの範囲で存在する。
【0071】
好適には、製剤中の可溶化剤、好適にはL-アスパラギン酸の量は、1.0mgの化合物Aあたり約2.66mg、好適には1.0mgの化合物Aあたり約0.1mg~約10mg、好適には1.0mgの化合物Aあたり約0.5mg~約10mg、好適には1.0mgの化合物Aあたり約0.5mg~約6mg、好適には1.0mgの化合物Aあたり約1mg~約4mg、好適には1.0mgの化合物Aあたり約1.5mg~約3.5mg、好適には1.0mgの化合物Aあたり約2mg~約3mgである。
【0072】
本明細書において使用される場合、可溶化剤、例えばアスパラギン酸の量が、特定のpHをもたらすために有効等の用語で表される場合、意図される可溶化剤の量は、例えば1mLの水を用いる室温での再構成の際に、特定のpHをもたらす量であることが理解される。一実施形態では、「特定のpHをもたらすために有効な量」という句は、水を0.5mL、1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、6mL、7mL、8mL、9mL、10mL、15mL、20mL、30mL、40mL、50mL又は100mLの量で、室温で本発明の乾燥粉末又は凍結乾燥ケーキに添加する際に、特定のpHをもたらす量を意味する。
【0073】
好適には、本発明の製剤は、密閉バイアル中に乾燥粉末として提供される。一実施形態では、乾燥粉末は化合物Aを含む凍結乾燥粉末若しくはケーキであり;又は静脈内ボーラスを介しての「そのまま」の注射、若しくは静注のための好適な媒体、例えばデキストロース(D5W)でのさらなる希釈に好適な化合物Aを含むIV製剤である。
【0074】
本明細書において使用される場合、充填剤は、化合物Aを用いて製剤化する場合に好適な乾燥粉末を提供するのに使用される賦形剤、例えば賦形剤の糖類である。一実施形態では、乾燥粉末は凍結乾燥粉末又はケーキである。本発明における使用のための好適な充填剤には、マンニトール、マンノース、メリビオース、オクツロース、フルクトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、ソルビトール、グルコース、ガラクトース、グリシン、デキストロース、ラフィノース、リボース、キシリトール、キシロース、シクロデキストリン、デキストラン、セルロース、ポビドン、PEG(例えば、PEG300、PEG400、PEG3350、PEG6000、PEG8000等)、ポリガラクツロン酸、ガラクツロン酸、アミノ酸(アミノ酸塩を含む)、例えばリジン、アルギニン、グリシン及びガラクトースが、単独又は組合せで挙げられる。一実施形態では、乾燥粉末は、粉末及び最終製剤を通して、活性成分の希釈を提供する。本発明において有用な好適な充填剤は、スクロース、ラクトース、マンニトール、デキストロース又はそれらの組合せから本質的になる。好適には、充填剤は、マンニトール、好適にはD-マンニトールである。本発明において有用な好適な充填剤には、スクロース、ラクトース、マンニトール、デキストロース又はそれらの組合せが挙げられる。本発明において有用な好適な充填剤には、スクロース、ラクトース、マンニトール又はそれらの組合せが挙げられる。充填剤は、一般的に、約20~約200mg/mL;好適には約40~約150mg/mL;好適には約80mg/mL~約100mg/mL、好適には約48mg/mLの量で存在する。充填剤は、一般的に、1.0mgの化合物Aあたり約20~約200mg、好適には約40~約150mg;好適には約80mg~約100mg、好適には約48mgの量で存在する。好適には、充填剤はマンニトールであり、製剤中のマンニトールの量は、1.0mgの化合物Aあたり約48mgである。一実施形態では、示されている充填剤の量は、凍結乾燥粉末又はケーキを形成するのに十分である。
【0075】
組成物は、他の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体も含むことができる。製剤は、製薬業界において一般的に使用されるガラス容器、例えば標準USPタイプIホウケイ酸ガラス容器中での長期の保管に好適である。
【0076】
化合物A(又は本明細書において使用される場合、薬物)の水性の注射用組成物は、可溶化剤、例えばアスパラギン酸、好適にはL-アスパラギン酸を含む賦形剤と薬物とを水中に好適な温度で合わせることにより、製造することができる。本発明の一態様は、製剤中、必要とされる薬物の溶解度及びpHを達成するための、薬物:可溶化剤の比、好適には薬物:アスパラギン酸の比を調整するステップに関する。この化合物A:可溶化剤のモル比は、一般的に、約1:1~1:125、好適には1:1~1:100、好適には1:1~1:30、好適には約1:10~1:30、好適には約1:10~1:25、好適には約1:15~1:25の範囲、好ましくは1:20前後の比であることができる。化合物Aの水性の注射用組成物は、最初に可溶化剤、好適にはアスパラギン酸を水中に溶解し、続けて化合物Aを酸媒体中に好適な温度で溶解することにより、製造することができる。充填剤、好適にはマンニトールは、重量オスモル濃度を調節するために上記溶液に添加され、バッチは、注射用水を用いて必要とされる容量へと適量化される。溶液は滅菌フィルターを通して無菌で濾過され、密封用の、予洗され予め滅菌/脱パイロジェンされたUSPタイプI透明ガラスバイアルに無菌で充填される。凍結乾燥剤形を製造するために、充填されたバイアルは、次に凍結乾燥され、例えば予洗され予め滅菌された20mmの灰色ストッパーを用いて、窒素フラッシュ下で栓をされ、密封されることができる。
【0077】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、一般的に以下のように製造される:
1.選択された可溶化剤、好適にはアスパラギン酸、好適には酢酸、好適にはグルタミン酸、好適にはグルクロン酸、好適にはメタンスルホン酸、好適には乳酸を水に添加して、溶液を形成する;
2.化合物Aを添加し、pHを約2.0~4.0の間、例えば3.0~3.5の間に維持して溶解する;
3.充填剤、好適にはマンニトールを溶液に添加する;
4.溶液を濾過し、凍結乾燥バイアル中に充填し、約-45℃で凍結する;
5.凍結した製剤を約-20℃でフリーズドライし、約25~45℃の間で二次的に乾燥させる;及び
6.凍結乾燥バイアルに栓をし、約25℃で保管する。
【0078】
製造した凍結乾燥製剤は、投与時に、好適な希釈剤、例えば水を使用して再構成して、例えば約1.0mg/mL、例えば約2.0mg/mL、例えば約4mg/mL、例えば約0.5mg/mL、例えば約0.1mg/mL、例えば約0.2mg/mL、例えば約0.3mg/mL、例えば約0.4mg/mL、例えば約0.6mg/mL、例えば約0.7mg/mL、例えば約0.8mg/mL、例えば約0.9mg/mL、例えば約1.25mg/mL、例えば約1.5mg/mLの最終濃度の化合物A又は互変異性体若しくは水和物又はその薬学的に許容される塩を得ることができ、これは化合物Aを必要とする患者への静脈内投与に好適である。
【0079】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、一般的に以下のように製造される:
1.選択された可溶化剤、好適にはアスパラギン酸、好適には酢酸、好適にはグルタミン酸、好適にはグルクロン酸、好適にはメタンスルホン酸、好適には乳酸を水に添加して、溶液を形成する;
2.化合物Aを添加し、pHを約2.0~4.0の間、例えば3.0~3.5の間に維持して溶解する;
3.充填剤、好適にはマンニトールを溶液に添加する;
4.溶液を濾過し、好適な容器に移す;
5.製剤を蒸発させて、乾燥粉末を得る;及び
6.乾燥粉末をバイアル中に入れ、栓をする。
【0080】
製造した乾燥粉末製剤は、投与時に、好適な希釈剤、例えば水を使用して再構成して、例えば約1.0mg/mL、例えば約2.0mg/mL、例えば約4mg/mL、例えば約0.5mg/mL、例えば約0.1mg/mL、例えば約0.2mg/mL、例えば約0.3mg/mL、例えば約0.4mg/mL、例えば約0.6mg/mL、例えば約0.7mg/mL、例えば約0.8mg/mL、例えば約0.9mg/mL、例えば約1.25mg/mL、例えば約1.5mg/mLの最終濃度の化合物A又はその互変異性体若しくは水和物又は薬学的に許容される塩を得ることができ、これは化合物Aを必要とする患者への静脈内投与に好適である。
【0081】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、一般的に以下のように製造される:
1.選択された可溶化剤、好適にはアスパラギン酸、好適には酢酸、好適にはグルタミン酸、好適にはグルクロン酸、好適にはメタンスルホン酸、好適には乳酸を水に添加して、溶液を形成する;
2.化合物Aを添加し、pHを約2.0~4.0の間、例えば3.0~3.5の間に維持して溶解する;
3.充填剤、好適にはマンニトールを溶液に添加する;及び
4.溶液を濾過し、IV投与に好適な容器に移す。
【0082】
非経口投与は、任意の注射用剤形の一関連態様を構成し、この目的のために利用可能な幾つかの種類のIV輸液が存在する。IV溶液は多くの場合、IV製剤と、相溶性のIV輸液とを混合することにより調製される。IV溶液の特性は、無菌状態が損なわれることのないようなもの、及び薬物が溶液中で物理的且つ化学的に安定のままであり、製剤/再構成溶液とIV輸液との混合後、患者への投与までの好適な使用期間をカバーするようなものであるべきである。代わりに、溶液剤形は、投与に適切な用量への希釈のために、好適なIV混合媒体、例えば5%デキストロース、5%マンニトール中に希釈することができる。化合物Aの凍結乾燥剤形は、注射用滅菌水を用いて再構成して、溶液剤形について記載したものと類似の方法を使用して、IV投与前に透明溶液を得ることができる。
【0083】
活性成分の「薬学的有効量」という用語は、研究者又は臨床家により求められている組織、系又は動物、好適にはヒトの生物学的又は医学的反応を誘発する量を意味する。
【0084】
好適には、本明細書において使用される場合、「患者」はヒト患者を指す。
【0085】
本発明の組成物は、がん、前がん症候群、感染症、インフルエンザ、HIV、HCV、HPV及びHBV感染を含むWO2017/175147において;並びに炎症、アレルギー及び自己免疫疾患、皮膚疣贅、多発性硬化症及びAIDSを含むWO2019/069275において開示されているような疾患及び障害の処置のために患者に投与することができる。
【0086】
好適には、本発明の組成物は、脳(神経膠腫)、神経膠芽腫、星状細胞腫、多形神経膠芽腫、Bannayan-Zonana症候群、カウデン病、レルミットーダクロス病、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣腫、髄芽腫、頭頸部、腎臓、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、腺癌、管状腺癌、腺扁平上皮癌、膵腺房細胞癌、グルカゴン産生腫瘍、膵島細胞腫、前立腺、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺、T細胞リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性T細胞リンパ芽球性白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病(Immunoblastic large cell leukemia)、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、T細胞リンパ芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱がん、尿路上皮がん、外陰部がん、子宮頚部がん、子宮内膜がん、腎がん、中皮腫、食道がん、唾液腺がん、肝細胞がん、胃がん、鼻咽頭がん(nasopharangeal cancer)、口腔がん(buccal cancer)、口腔がん(cancer of the mouth)、GIST(消化管間質腫瘍)及び精巣がんから選択されるがんの処置のために、患者に投与される。
【0087】
好適には、本発明の組成物は、非小細胞肺がん(NSCLC)、膀胱、頭頸部の扁平上皮癌、子宮頸部、子宮内膜、卵巣、膵臓、マイクロサテライト安定性大腸がん、高頻度マイクロサテライト不安定性大腸がん、胃、食道内(esophageal endo)、食道胃接合部、食道、扁平上皮、急性白血病及びトリプルネガティブ乳がんから選択されるがんの処置のために、患者に投与される。
【0088】
好適には、本発明の組成物は、子宮頸部上皮内腫瘍、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、子宮頸部病変、皮膚母斑(前黒色腫)、前立腺上皮内(管内)腫瘍(PIN)、非浸潤性乳管癌(DCIS)、結腸ポリープ及び重度肝炎又は肝硬変から選択される前がん症候群の処置のために、患者に投与される。
【0089】
本発明の化合物を利用する投薬レジメンは、患者の年齢、体重、性別及び医学的状態;処置される状態の重症度;投与経路;並びに患者の腎臓及び肝臓の機能を含む、様々な因子に従って選択される。通常の熟練した医師は、状態を予防し、対抗し、又は進行を停止させるために必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0090】
静脈内では、化合物Aの好ましい用量は、約0.1mg/mL~約6mg/mL;好適には0.5mg/mL~約6mg/mL;好適には0.5mg/mL~約4mg/mL;好適には0.5mg/mL~約2mg/mL;好適には0.5mg/mL~約1.5mg/mL;好適には0.5mg/mL~約1mg/mL;好適には約1mg/mL~約5mg/mL;好適には約2mg/mL~約4mg/ml;好適には2mg/mL;好適には4mg/mLの範囲である。例えば、本発明の製剤は、50kgの患者への投与のために、約0.5mg/mL~約6mg/mLの化合物Aを有するべきである。
【0091】
静脈内では、化合物Aの最も好ましい用量は、約0.1mg/mL~約4mg/mL;好適には約0.1mg/mL~約3mg/mL;好適には約2mg/mL~約4mg/mL;好適には2mg/mL;好適には1mg/mL;好適には0.1mg/mL;好適には0.2mg/mL;好適には0.3mg/mL;好適には0.4mg/mL;好適には0.5mg/mL;好適には0.6mg/mL;好適には0.7mg/mL;好適には0.8mg/mL、好適には0.9mg/mL;好適には1.25mg/mL;好適には1.5mg/mLの範囲である。例えば、本発明の製剤は、50kgの患者への投与のために、約0.1mg/mL~約4mg/mLの化合物Aを有するべきである。
【0092】
活性成分である化合物Aは、WO2017/175147の実施例14に記載されているように調製することができる。
【0093】
WO2017/175147号に開示されているように、化合物Aは、互変異性体又は異性体形態、例えば
(E)-1-((E)-4-((E)-5-カルバモイル-2-((1-エチル-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボニル)イミノ)-7-(3-モルホリノプロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)ブタ-2-エン-1-イル)-2-((1-エチル-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボニル)イミノ)-7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボキサミド
【化37】
又は(Z)-1-((E)-4-((Z)-5-カルバモイル-2-((1-エチル-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボニル)イミノ)-7-(3-モルホリノプロポキシ)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)ブタ-2-エン-1-イル)-2-((1-エチル-3-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボニル)イミノ)-7-メトキシ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボキサミド
【化38】
として存在することができる。
【0094】
その混合物を含め、全てのそのような互変異性体及び異性体形態、並びにその薬学的に許容される塩、溶媒和物及び水和物は、化合物Aに含まれる。
【0095】
本明細書において使用される場合、「製剤」という用語及びその派生物は、他に定義されない限り、化合物Aを含む乾燥粉末、好適には凍結乾燥粉末若しくはケーキ、乾燥粉末、好適には凍結乾燥粉末若しくはケーキから再構成された化合物Aを含む溶液、化合物Aを含む注射できる状態にある溶液、又は賦形剤と化合物Aとの乾燥混合物を指す。
【0096】
本発明の別の実施形態では、化合物Aの水性注射用剤形の製剤及びそれを製造する方法が提供される。処方を、以下の表Aに列挙する。表Aに示す、化合物Aの滅菌溶液剤形組成物は、注射部位の疼痛を避けるために製剤のpH及び重量オスモル濃度が調整されているため、注射できる状態にある。
【0097】
【表1】
【0098】
本発明の別の実施形態では、化合物Aの注射用凍結乾燥物組成物、及び組成物を製造する方法が提供される。組成物を、以下の表Bに列挙する。
【0099】
【表2】
【0100】
本発明の別の実施形態では、表Bの組成物は、好適な薬学的特性、例えば安定性及び貯蔵寿命を有する凍結乾燥剤形を得るために、調合され、凍結乾燥のためにバイアル中に充填される。本発明の別の実施形態では、アスパラギン酸は、製剤の特性、例えば安定性及び貯蔵寿命を最適化するために、他の酸、例えば酢酸、グルクロン酸、乳酸、メタンスルホン酸又は少なくとも1つのpKa≦4を有するアミノ酸、例えばグルタミン酸と共に使用される。
【0101】
本発明の別の実施形態では、化合物Aを、静脈内、皮下又は腹腔内経路を含む非経口経路により送達する方法又はそのための製剤が提供される。
【0102】
本発明の別の実施形態では、化合物Aを、溶液又は再構成のための凍結乾燥物若しくは粉末として製剤化された剤形の非経口投与により送達する方法又はそのための製剤が提供される。
【0103】
本発明の別の実施形態では、好適な「可溶化剤」を用いる薬物の遊離塩基のpH-溶解度強化(pH-solubility enhancement)の原理を利用する化合物Aを可溶化する方法、又は化合物Aを含む可溶化された組成物が提供される。好適な可溶化剤は、化合物Aの所望の製剤に対する溶解度強化を可能とするものである。
【0104】
本発明の別の実施形態では、非経口製剤のための、2~4、好適には3.0~3.5のpH範囲内の化合物Aの溶解度を達成する方法、又は化合物Aを含む可溶化された組成物が提供される。所望の溶解度は、非経口投与の際に生理学的反応を達成するために、特定の投与経路についての用量の要件に基づく。
【0105】
本発明の別の実施形態では、好ましいpHmaxに起因する、非経口製剤のための、製剤のpHが2~4、好適には3.0~3.5のpH範囲内にあるように適切な可溶化剤を使用して調製された化合物Aの溶解度を達成する方法、又は化合物Aを含む可溶化された組成物が提供される。
【0106】
本発明の別の実施形態では、化合物Aを、pHmaxの領域内で、2~4、好適には3.0~3.5、好適には3.0~3.2、好適には3.2、好適には3.5の範囲のpHを維持しながら、過剰の可溶化剤を使用して製剤化する方法、又は化合物Aを含む製剤化された組成物が提供される。
【0107】
本発明の別の実施形態では、化合物Aを、対イオンとしてのその主な役割に加えて、遊離塩基の不均化を予防するために、適切な過剰の可溶化剤を緩衝剤として使用して製剤化する方法、又は化合物Aを含む製剤化された組成物が提供される。
【0108】
本発明の別の実施形態では、薬物化合物との分子間相互作用を介した双性イオン可溶化剤の水素結合傾向を利用する、化合物Aを製剤化する方法又は化合物Aを含む製剤化された組成物であって、双性イオン可溶化剤が好ましくはアスパラギン酸、好適にはD-アスパラギン酸、好適にはL-アスパラギン酸である、方法又は組成物が提供される。
【0109】
意図される均等物
本明細書において利用される場合、化合物Aは、遊離又は非塩形態であることができる。化合物Aの塩、好適には化合物Aの薬学的に許容される塩、好適には化合物Aの非吸湿性の薬学的に許容される塩は、本発明の製剤に類似して働くことが意図される。そうであるため、化合物Aの塩、好適には化合物Aの薬学的に許容される塩は、本発明の製剤における等価物と意図される。
【0110】
本発明の水性製剤のpHは、アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、乳酸若しくはグルクロン酸以外の少量の有機若しくは無機酸、又は塩基、例えば水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、エチレンジアミン、トロメタミン、トリエタノールアミン、好適には水酸化ナトリウムの添加により、製剤の均一性又は本発明の性質を変化させることなく、2~4の間に調節されるであろうと意図される。
【0111】
さらなる詳述なしに、当業者は、先行する記載を使用して本発明を最大限に利用することができると考えられる。以下の実施例は、したがって単に例示的なものとして解釈され、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0112】
遊離塩基としての化合物Aを、様々な可溶化剤を用いて試験して、好適な作用剤が化合物を水中に可溶化すると特定できるかどうかを確認した。
【0113】
[実施例1~6]
溶解度のスクリーニング
(室温で最大5mg/mL)
化合物Aの溶解度を、既知の量の薬物を特定の量の水性媒体に添加し、その後24時間室温(RT)で撹拌することにより、実行した。結果を以下に示す。
【0114】
【表3】
【0115】
表1は、異なる水性媒体中の化合物Aの溶解度を示し、標的となる溶解度は最大5mg/mLである。300mMのリン酸及び115.7mMのマレイン酸媒体は、1mg/mLの化合物Aを可溶化することができなかった。50mMのクエン酸は、<2mg/mLの溶解度を示した。9.5mMの乳酸、170mMの酢酸及び72.8mMのメタンスルホン酸は、>3.5mg/mLの溶解度を示した。
【0116】
[実施例7~13]
溶解度のスクリーニング
(室温で最大2mg/mL)
【0117】
【表4】
【0118】
表2は、異なる水性媒体中の化合物Aの溶解度を示し、標的となる溶解度は最大2mg/mLである。10mMの塩酸及び25mMの酒石酸媒体は、1mg/mLの化合物Aを可溶化することができなかった。10mMの酢酸、10mMのメタンスルホン酸、25mMの乳酸、25mMのクエン酸、25mMのアスパラギン酸は、>1mg/mLの溶解度を示した。上記のデータは、驚くべきことに、酸性可溶化剤のpKaと化合物Aの溶解度との間に相関がないことを示す。
【0119】
酢酸、クエン酸及びアスパラギン酸を、実施例14においてさらに調査した。
【0120】
[実施例14]
【0121】
【表5】
【0122】
表3中の溶解度データのように、溶解度強化についての対イオンの順位は、L-アスパラギン酸>酢酸>クエン酸である。pH4.0では、どの対イオンも>0.5mg/mLの溶解度を示さなかった。L-アスパラギン酸は、3~3.5のpH範囲内で、最も大きな溶解度を生じた。驚くべきことに、酢酸及びL-アスパラギン酸のみが、pH領域3において十分な溶解度を示した。
【0123】
[実施例15]
グルタミン酸及びグルクロン酸を用いた化合物Aの水溶解度を、実施例15において調査した。結果を表4中に報告する。
【0124】
【表6】
【0125】
実施例1~15からの溶解度のスクリーニングの概要
無機及び有機の可溶化剤を、化合物Aの水中への溶解度を促進するこれらの能力についてスクリーニングした。無機酸、例えば塩酸及びリン酸に由来する対イオンは、有機対イオンと比較して十分な溶解度の強化を生じなかった。検査された有機可溶化剤は、メタンスルホン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸及びアスパラギン酸であった。検査された追加の有機可溶化剤は、グルタミン酸及びグルクロン酸であった。
【0126】
このデータは、驚くべきことに、溶解度がpHの関数であるだけでなく、酸対イオンの性質にも依存することを実証した。表3中の平衡溶解度データは、アスパラギン酸及び酢酸が、pH3で有意により良好な溶解度をもたらすことを示した。アスパラギン酸は、pH<3で、4mg/mLの最も高い溶解度をもたらすことが判明した。
【0127】
[実施例16]
化合物Aの溶解度を、実施例16において、薬物に対するL-アスパラギン酸のモル比を調整することにより別個に決定した。薬物及び対イオンの濃度を上清中で測定し、Ksp(溶解度積)を算出した(表5)。
【0128】
【表7】
【0129】
表5中のKspの測定値は、化合物AについてのpHmaxがL-アスパラギン酸中で(3.5~3.6)であることを示す。pH3.0~3.5の間の製剤は、pHを注射剤について一般的に許容されるpH範囲(4~9)に近いpHに維持しながら、いかなるpHシフトに対しても安全域をもたらす。
【0130】
[実施例17]
注射部位反応
カニクイザルにおいてインビボ試験を実施し、注射用滅菌水中の30mM L-アスパラギン酸及び3.7%マンニトール、pHおよそ3.0のビヒクル中の化合物AのIV用量を投与した。これらの試験について、化合物Aを、表6による不定比水和物の形態で使用した。
【0131】
【表8】
【0132】
驚くべきことに、週1回の肘正中静脈への化合物AのIVボーラス投薬に続く生理食塩水洗浄後に、化合物Aに関連する注射部位反応はサルにおいて観察されなかった。これらの結果は、化合物A及びアスパラギン酸を含有するおよそpH3のIV製剤が、ヒトIV投与について安全であったという結論を裏付ける。
【0133】
本発明の好ましい実施形態が上記により例示されているが、本発明は本明細書に開示されている詳細な説明に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲内に入る全ての修正物に対する権利が保たれることが理解されることとなる。
本発明は、以下の実施形態を包含する。
(実施形態1)
a)構造
【化39】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;
c)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤、並びに場合により
d)水
を含む、医薬製剤。
(実施形態2)
アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸又はグルクロン酸の量が、約2~約4の間のpHをもたらすのに有効である、実施形態1に記載の医薬製剤。
(実施形態3)
アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸又はグルクロン酸の量が、約2.7~約3.6の間のpHをもたらすのに有効である、実施形態1又は2に記載の医薬製剤。
(実施形態4)
アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸又はグルクロン酸の量が、約2.9~約3.5の間のpHをもたらすのに有効である、実施形態1から3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態5)
アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸又はグルクロン酸の量が、約3.0~約3.5の間のpHをもたらすのに有効である、実施形態1から4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態6)
化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:125から選択される、実施形態1から5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態7)
化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:30から選択される、実施形態1から5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態8)
化合物A:可溶化剤のモル比が約1:1~1:100から選択される、実施形態1から5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態9)
化合物A:可溶化剤のモル比が約1:10~1:30から選択される、実施形態1から5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態10)
前記可溶化する酸が、1.0mgの化合物Aあたり約0.5mg~約10mgの量である、実施形態1から5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態11)
前記可溶化剤がアスパラギン酸である、実施形態1から10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態12)
前記充填剤又は充填剤の組合せが、乾燥粉末又は凍結乾燥粉末若しくはケーキを形成するのに有効な量である、実施形態1から11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態13)
前記充填剤又は充填剤の組合せが1.0mgの化合物Aあたり約20mg~約200mgの量である、実施形態1から11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態14)
前記充填剤が、マンニトール、マンノース、メリビオース、オクツロース、フルクトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、ソルビトール、グルコース、ガラクトース、グリシン、デキストロース、ラフィノース、リボース、キシリトール、キシロース、シクロデキストリン、デキストラン、セルロース、ポビドン、PEG300、PEG400、PEG3350、PEG6000、PEG8000、ポリガラクツロン酸、ガラクツロン酸、リジン、アルギニン、グリシン若しくはガラクトース又はそれらの組合せを含む、実施形態1から11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態15)
前記充填剤がマンニトールから本質的になる、実施形態1から14のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態16)
約0.1mg~約4mgの化合物Aを含む、実施形態1から15のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態17)
約0.5mg~約1.5mgの化合物Aを含む、実施形態1から15のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態18)
水を含有しない、実施形態1から17のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態19)
水を含有する、実施形態1から17のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態20)
化合物Aが遊離塩基の形態である、実施形態1から19のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態21)
構造
【化40】
を有する化合物A
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩
を含む医薬製剤を製造する方法であって、
a)
i)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される少なくとも1つの可溶化剤;
ii)pHが約3.0~3.5の間に維持されている化合物A又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩;
iii)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
Iv)水
を含む溶液を形成するステップ;
b)場合により前記溶液を濾過するステップ;
c)場合により前記濾過した溶液を凍結乾燥バイアル中に充填し、約-45℃で凍結するステップ;並びに
d)前記凍結した溶液をフリーズドライする、又は前記凍結されていない溶液を蒸発させるステップ
を含む、方法。
(実施形態22)
a)前記充填剤が、約20mg~約200mgの量のマンニトールであり;
b)前記可溶化剤が、約0.5~3.0mgのL-アスパラギン酸であり;
c)化合物A又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩が、約0.1mg~約2mgから選択される量である、実施形態21に記載の方法。
(実施形態23)
a)前記溶液を濾過し、凍結乾燥バイアル中に充填し;
b)前記溶液を約-45℃で凍結し;
c)前記凍結された溶液をフリーズドライする、実施形態21又は22に記載の方法。
(実施形態24)
医薬製剤を製造する方法であって、
1)
a)構造
【化41】
を有する薬学的有効量の化合物A、
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩;
b)充填剤又は充填剤の組合せ;
c)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される可溶化剤;及び
d)水
を合わせて混合物とするステップ;並びに
2)場合により前記混合物を蒸発又は凍結乾燥させて、粉末又はケーキを形成するステップ
を含む、方法。
(実施形態25)
構造
【化42】
を有する化合物A
又はその互変異性体、
又はその薬学的に許容される塩
を含む医薬製剤を製造する方法であって、
a)
i)アスパラギン酸、酢酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、乳酸及びグルクロン酸から選択される少なくとも1つの可溶化剤;
ii)pHが約3.0~3.5の間に維持されている化合物A又はその互変異性体若しくは薬学的に許容される塩;
iii)充填剤又は充填剤の組合せ;及び
Iv)水
を含む溶液を形成するステップ;
b)場合により前記溶液を濾過するステップ;
c)場合により前記濾過した溶液を凍結乾燥バイアル中に充填し、約-45℃で凍結するステップ;
d)前記凍結した溶液をフリーズドライする、又は前記凍結されていない溶液を蒸発させるステップ;並びに
(e)水を添加して、注射用液剤を形成するステップ
を含む、方法。
(実施形態26)
実施形態21から25のいずれか一項に記載の方法により作製される製剤。
(実施形態27)
処置を必要とする患者において、STING(インターフェロン遺伝子刺激因子)の調節が有益である疾患を処置する方法であって、前記患者に、約0.1mg/mL~約2mg/mLの化合物A、約20mg/mL~約200mg/mLの量のマンニトール、約0.5~3.0mg/mLの量のアスパラギン酸、及び水を含む、実施形態1に定義されている製剤の有効量を静脈内投与するステップを含む、方法。
(実施形態28)
STINGの調節が有益である前記疾患が、炎症、アレルギー及び自己免疫疾患、感染症、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、インフルエンザ、皮膚疣贅、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、AIDS、がん並びに前がん症候群から選択される、実施形態27に記載の方法。
(実施形態29)
処置を必要とする患者において、STING(インターフェロン遺伝子刺激因子)の調節が有益である疾患を処置する方法であって、前記患者に、実施形態1から20のいずれか一項に記載の医薬製剤の有効量を静脈内投与するステップを含む、方法。
(実施形態30)
STINGの調節が有益である前記疾患が、炎症、アレルギー及び自己免疫疾患、感染症、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、インフルエンザ、皮膚疣贅、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、AIDS、がん並びに前がん症候群から選択される、実施形態29に記載の方法。
(実施形態31)
STING(インターフェロン遺伝子刺激因子)の調節が有益である疾患の処置における使用のための、実施形態1から20のいずれか一項に記載の医薬製剤。
(実施形態32)
STINGの調節が有益である前記疾患が、炎症、アレルギー及び自己免疫疾患、感染症、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、インフルエンザ、皮膚疣贅、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、AIDS、がん並びに前がん症候群から選択される、実施形態31に記載の医薬製剤。
(実施形態33)
STING(インターフェロン遺伝子刺激因子)の調節が有益である疾患の処置のための、実施形態1から20のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
(実施形態34)
STINGの調節が有益である前記疾患が、炎症、アレルギー及び自己免疫疾患、感染症、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、インフルエンザ、皮膚疣贅、多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、AIDS、がん並びに前がん症候群から選択される、実施形態33に記載の使用。