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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】コーティング
(51)【国際特許分類】
   A61L 29/08 20060101AFI20240409BHJP
   A61L 29/12 20060101ALI20240409BHJP
   A61L 29/14 20060101ALI20240409BHJP
   A61L 29/04 20060101ALI20240409BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20240409BHJP
   C09D 133/14 20060101ALI20240409BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61L29/08 100
A61L29/12 100
A61L29/14 500
A61L29/14
A61L29/04 100
C09D5/00 D
C09D133/14
C09D201/00
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2021543378
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 US2020015240
(87)【国際公開番号】W WO2020159881
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】62/797,853
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517416374
【氏名又は名称】マイクロベンション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROVENTION, INC.
【住所又は居所原語表記】35 Enterprise, Aliso Viejo, California 92656 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】クルーズ、グレゴリー エム
(72)【発明者】
【氏名】プロットキン、スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】スウ、エミリー
【審査官】井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503767(JP,A)
【文献】特表2018-521588(JP,A)
【文献】国際公開第2018/209306(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 29/08
A61L 29/12
A61L 29/14
A61L 29/04
C09D 5/00
C09D 133/14
C09D 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のテトラヒドロフルフリルアクリレートモノマーと、さらなる誘導体化に適した官能基および複数の反応性部分を含む第2のモノマーとのコポリマーを含むベースコートと、
親水性ポリマー1分子あたり平均2つ未満のエチレン性不飽和部分で官能化された複数の親水性ポリマーを含むトップコートと、
を含む、コーティング配合物。
【請求項2】
前記ベースコートが、テトラヒドロフルフリルアクリレートモノマーとヒドロキシブチルアクリレートモノマーとのコポリマーを含み、前記トップコートが、ポリエチレングリコールジ-アクリレート若しくはポリエチレングリコールアクリレート、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のコーティング配合物。
【請求項3】
前記コポリマーは、分子量が、約15,000g/モルから約150,000g/モルの間である、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項4】
前記トップコートは、前記ベースコートの上にある、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項5】
前記親水性ポリマーは、タンパク質、コラーゲン、アルブミン、フィブリン、エラスチン、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、多糖類、ヒアルロン酸、ゼラチン、キトサン、アルギネート、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、ポリ(エーテル)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ラクタム)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリレート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(無水物)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(カルボン酸)、ポリ(アミド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ホスファゼン)、またはこれらの組み合わせである、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項6】
前記親水性ポリマーは、分子量が、約500amuから約100,000amuの間である、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項7】
前記コーティング配合物でコーティングされた器具に、前記コーティング配合物でコーティングされる前の前記器具と比較して約50%以上増加した潤滑性を与える、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項8】
前記器具は、カテーテルまたはマイクロカテーテルである、請求項に記載のコーティング配合物。
【請求項9】
前記トップコートは、親水性ポリマー1分子あたり1つ未満のエチレン性不飽和部分で官能化された複数の親水性ポリマーを含む、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項10】
前記第2のモノマーは、4-ヒドロキシブチルアクリレートであり、かつ前記親水性ポリマー1分子あたり平均2つ未満のエチレン性不飽和部分で官能化された複数の親水性ポリマーは、1分子あたり平均2つ未満のエチレン性不飽和部分で官能化された複数のポリ(エチレングリコール)である、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項11】
前記トップコートは、本質的に親水性ポリマー1分子あたり平均2つ未満のエチレン性不飽和部分で官能化された複数の親水性ポリマーまたはそれらの組み合わせからなる、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項12】
前記器具は、医療器具である、請求項に記載のコーティング配合物。
【請求項13】
前記コーティング配合物でコーティングされた表面上の最大動的摩擦力を、前記コーティング配合物でコーティングされる前の表面と比較して約50%以上減少させる、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項14】
前記コーティング配合物でコーティングされた熱可塑性表面上の最大動的摩擦力を、前記コーティング配合物でコーティングされる前の熱可塑性表面と比較して、約75%から約99%減少させる、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項15】
前記コーティング配合物でコーティングされた熱可塑性表面上の最大動的摩擦力を、前記コーティング配合物でコーティングされる前の熱可塑性表面と比較して、約50%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%減少させる、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項16】
前記コポリマーは、分子量が、約25,000g/モルから約100,000g/モルの間である、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項17】
前記親水性ポリマーは、分子量が、約1,000amuから約40,000amuの間である、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項18】
前記トップコートは、重量平均分子量が約4,000であるポリエチレングリコールジ-アクリレート、界面活性剤、ベンゾフェノン、および1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを含む混合物の反応生成物を含む、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項19】
前記トップコートは、重量平均分子量が約20,000であるポリエチレングリコールアクリレート、界面活性剤、ベンゾフェノン、および1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを含む混合物の反応生成物を含む、請求項1又は2に記載のコーティング配合物。
【請求項20】
コーティング配合物であって、
第1のテトラヒドロフルフリルアクリレートモノマーと、さらなる誘導体化に適した官能基および複数の反応性部分を含む第2のモノマーとのコポリマーを含むベースコートと、
親水性ポリマー1分子あたり平均2つ未満のエチレン性不飽和部分で官能化された複数の親水性ポリマーを含むトップコートと、を含み、
前記親水性ポリマーは、分子量が、約1,000amuから約40,000amuの間であり、
前記コーティング配合物は、前記コーティング配合物でコーティングされた表面上の最大動的摩擦力を、前記コーティング配合物でコーティングされる前の表面と比較して約50%以上減少させる、コーティング配合物。
【請求項21】
熱可塑性表面を請求項1~20のいずれか1項に記載のコーティング配合物でコーティングする方法であって、
前記ベースコートを前記熱可塑性表面に塗布する工程と、
前記ベースコートに前記トップコートを塗布する工程と、
を含む、方法。
【請求項22】
前記熱可塑性表面は、前記ベースコートを塗布する前に浄化される、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記熱可塑性表面は、前記ベースコートを塗布する前にプラズマ処理される、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記ベースコートは、浸漬によって塗布される、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記ベースコートは、紫外線放射に暴露される、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記紫外線放射は、波長が約10nmから約400nmの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記ベースコートは、約0.5から約10分間硬化する、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記トップコートは、浸漬によって塗布される、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記トップコートは、紫外線放射に暴露される、請求項2に記載の方法。
【請求項30】
前記紫外線放射は、波長が約10nmから約400nmの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項31】
前記トップコートは、約0.5から約10分間硬化する、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年1月28日に出願された米国仮特許出願第62/797853号の優先権を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本明細書に記載されるのは、医療器具用のコーティングおよびそれらのコーティングを適用する方法である。
【背景技術】
【0003】
カテーテルおよびマイクロカテーテルは、診断および治療の脈管内介入を行うために使用される管状器具である。カテーテルは、摩擦力の高い熱可塑性ポリマーで形成されることが多い。これらの摩擦力の高さは、脈管ナビゲーションを困難にする。本明細書に記載されるような潤滑性コーティングでコーティングされたカテーテルまたはマイクロカテーテルを提供することは、有用、有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に記載されるコーティングは、ヒト組織に供され得る医療器具のような医療器具に塗布できる。いくつかの実施形態では、コーティングは、管内または他の管腔内で使用され得る医療器具に適用できる。いくつかの実施形態では、管は血管でありうる。いくつかの実施形態では、医療器具は、カテーテルまたはマイクロカテーテルでありうる。
【0005】
コーティングは、合成性で、耐久性で、かつ潤滑性でありうる。いくつかの実施形態では、コーティングは紫外線(UV)硬化されうる。潤滑性コーティングは、カテーテルまたはマイクロカテーテルなどの医療器具と管壁と間の摩擦力を低減および/または最小限にすることができ、それによって脈管構造全体にわたって医療器具の追従性を高めることができる。カテーテルの表面は、摩擦力を減少させ、曲がりくねった末梢部の脈管構造を通って前進させるカテーテルの能力を高めるために、潤滑性コーティングで修飾される。
【0006】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるコーティングは、2つの層、ベースコートおよびトップコート、を含むことができる。ベースコートは、カテーテルの熱可塑性ポリマーの表面とトップコートとの間の結合層として機能する。ベースコートは、カテーテルに付着し、トップコートの付着のための結合部位を提供するように設計されている。トップコートは、ベースコートに付着するように、そしてカテーテルが脈管構造内で動かされるときの摩擦力を減少させるための潤滑性を提供するように設計される。
【0007】
コーティングは、一般に、第1のテトラヒドロフルフリルアクリレートモノマーと、さらなる誘導体化に適した官能基および複数の反応性部分を含む第2のモノマーとのコポリマーを含むベースコートと、1分子当たり2つより多い反応性部分を含む親水性ポリマーを含むトップコートとを含むことができる。
【0008】
コーティングは、一般に、第1のテトラヒドロフルフリルアクリレートモノマーと、さらなる誘導体化に適した官能基および複数の反応性部分を含む第2のモノマーとのコポリマーを含むベースコートと、1分子当たり2つ以下(例えば、2、1または0、または2未満)の反応性部分を含む親水性ポリマーを含むトップコートとを含むことができる。
【0009】
カテーテルまたはマイクロカテーテル表面のような熱可塑性表面をコーティングする方法も記載されている。この方法は、第1のテトラヒドロフルフリルアクリレートモノマーと第2のモノマーとのコポリマーを含むベースコートを、熱可塑性表面に塗布し、トップコートをベースコートに塗布することを含むことができ、ここで、トップコートは親水性ポリマーを含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、医療器具用のコーティングが記載されている。いくつかの実施形態では、コーティングは、医療器具の潤滑性を増加させることができる。これらの医療器具は、少なくとも部分的に熱可塑性ポリマー/材料で形成されたカテーテルおよびマイクロカテーテルを含むことができる。熱可塑性ポリマーは、ポリ(オレフィン)、ポリ(アミド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(塩化ビニル)、それらのコポリマー、およびそれらの誘導体を含みうるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、ポリ(アミド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(塩化ビニル)、それらのコポリマー、およびそれらの誘導体を含みうるが、これらに限定されない。
【0011】
これらの熱可塑性ポリマーは、高い摩擦力を有することができる。これらの高い摩擦力は、脈管ナビゲーションを困難にする。従って、本明細書に記載のコーティングは、熱可塑性ポリマー表面の潤滑性を高めることができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、ベースコートおよびトップコートを含むことができる。ベースコートは、カテーテルの熱可塑性ポリマーとトップコートとの間の結合層として機能する。ベースコートは、カテーテルに接着し、トップコートの付着のための結合部位を提供するように設計されている。トップコートは、ベースコートに接着し、カテーテルが脈管構造内で動かされるときの摩擦力を減少させるための潤滑性を提供するように設計されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、ベースコートは、第1のテトラヒドロフルフリルアクリレートモノマーと、ヒドロキシル、アミン、およびカルボン酸基のようなさらなる化学反応が可能な官能基を有する少なくとも1つの他のモノマーとのコポリマーであるポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル基を含む少なくとも1つの他のモノマーは、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、それらの組み合わせ、およびそれらの誘導体でありうる。いくつかの実施形態では、アミン基を含む少なくとも1つの他のモノマーは、N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミド、2-アミノエチルメタクリレート、2-アミノエチルメタクリルアミド、それらの組み合わせ、およびそれらの誘導体でありうる。いくつかの実施形態では、カルボン酸を含む少なくとも1つの他のモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、ベーター-カルボキシエチルアクリレート、それらの組み合わせ、およびそれらの誘導体でありうる。
【0013】
ベースコートコポリマーを準備するために、2以上のモノマーおよび任意の開始剤を溶媒に溶解させることができる。溶媒は、2以上のモノマーおよび任意の開始剤を溶解する任意の溶媒でありうる。溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン、アニソール、ベンゾニトリル、塩素化芳香族溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジグリム、ブタノール、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0014】
開始剤を使用して、溶液中のモノマーの重合を開始することができる。重合は、還元-酸化、放射線、熱、または当該技術分野で公知の任意の他の方法によって開始することができる。溶液中のモノマーの放射線架橋は、開始剤を含まない適切な開始剤またはイオン化放射線(例えば、電子ビームまたはガンマ線)で紫外線または可視光で達成することができる。重合は、従来の加熱ウェルのような熱源を使用して溶液を加熱するか、または溶液中のモノマーに赤外光を適用して、熱を加えることによって達成することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、開始剤はアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)または水溶性AIBN誘導体(2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド)または4、4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)である。他の開始剤は、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、およびアゾビスイソブチロニトリルを含む、それらの組み合わせを含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、開始剤濃度は、溶液中のモノマーの質量の約0.25%w/wから約2%w/wでありうる。
【0017】
いくつかの実施形態では、重合反応は、約65℃から約85℃の範囲のような昇温下で行うことができる。
【0018】
重合が完了した後、コポリマーを非溶媒中で沈殿させて回収し、真空下で乾燥させることができる。
【0019】
得られたコポリマーは、分子量を約15,000g/モルと約150,000g/モルとの間または25,000g/モルと100,000g/モルとの間にすることができる。この分子量は、ポリ(スチレン)またはポリ(メチルメタクリレート)分子量標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーによって得ることができる。
【0020】
重合後、アクリレートおよび/またはメタクリレートのような反応基が、第2以降のモノマーのヒドロキシル、アミン、および/またはカルボン酸基を介してコポリマーに加えられる。一般に、誘導体化化合物はヘテロ二官能性化合物である。1つの部分は、コポリマーのヒドロキシル、アミン、および/またはカルボン酸基と反応する。他の部分はアクリレートまたはメタクリレート基である。好適な誘導体化化合物は、2-イソシアネートエチルアクリレート、2-イソシアネートエチルメタクリレート、アクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、メタクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、アクリレートおよびイソシアネート基を有するヘテロ二官能性ポリ(エチレングリコール)、それらの組み合わせ、およびそれらの誘導体を含む。
【0021】
誘導体化コポリマーを調製するために、コポリマー、および誘導体化化合物、および場合により任意の触媒を、溶媒に溶解することができる。一般に、成分を溶解する任意の溶媒を使用することができる。溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、アセトン、アセトニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0022】
ベースコートコポリマーの求核基と誘導体化反応させる場合、誘導体化剤のモル当量は、利用可能な求核基の約5%から約80%または約10%から約50%の範囲でありうる。この誘導体化のレベルは、1分子当たり4から50の反応基の範囲に対応する。さらに、いくつかの実施形態では、ルイス塩基を触媒として添加することができる。ルイス塩基は、トリエチルアミンおよびピリジンを含むことができる。ルイス塩基は、添加された誘導体化化合物のモル量の約1%から約10%の濃度で提供することができる。
【0023】
反応は、ベースコートを形成するために、約45℃のような昇温下で進行することができる。誘導体化が完了した後、完了し、修飾されたコポリマーを非溶媒中で沈殿させることにより回収し、真空下で乾燥させることができる。いくつかの実施形態では、反応は、周囲温度(例えば、15-25、例えば、20℃)で進行することができる。
【0024】
トップコートは、ベースコートの上に形成することができる。トップコートポリマーは、重合性基で誘導体化されたコア親水性ポリマーを含むことができる。コア親水性ポリマーは、天然または合成ポリマー、それらの誘導体およびそれらの組み合わせでありうる。いくつかの実施形態では、コア親水性ポリマーは、少なくともある程度、水に可溶である。
【0025】
コア親水性ポリマーの構造は、直鎖、またはグラフト、星、櫛、ブラシ、およびデンドリマー構造を含む分枝鎖でありうる。
【0026】
いくつかの実施形態では、コア親水性ポリマーは、例えば、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、それらの組み合わせ、およびそれらの誘導体を含むエチレン性不飽和基を含む、追加の部分のための付着点として機能を果たすことができる、2つ以上のヒドロキシル部分を含む、式(I)を含む。いくつかの実施形態では、コア親水性ポリマーは、追加の部分のための付着点として機能を果たすことができる、4つのヒドロキシル部分を含む、式(I)を含む。いくつかの実施形態では、コア親水性ポリマーは、追加の部分のための付着点として機能を果たすことができる、8つのヒドロキシル部分を含む、式(I)を含む。いくつかの実施形態では、コア親水性ポリマーのヒドロキシルの各々は、エチレン性不飽和部分で官能化されうる。いくつかの実施形態では、得られる分子(式II)は、複数のこのような分子が存在する場合、1分子当たり平均2つ未満のエチレン性不飽和部分を含む。いくつかの実施形態では、複数の分子は、1分子当たり平均約1.2から1.6の反応性部分を含む。いくつかの実施形態では、複数の分子は、1分子あたり2以下のエチレン性不飽和部分を含み、複数の分子としては、1分子あたり平均約1.0から1.9のエチレン性不飽和部分を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数の分子中の各分子は、2以下のエチレン性不飽和部分を含み、複数の分子は、複数の分子としては、1分子当たり平均約0.01から2未満のエチレン性不飽和部分を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数の分子中の各分子は、2つ以下のエチレン性不飽和部分を含み、複数の分子は、複数分子としては、1分子当たり平均約0.1から2つ未満のエチレン性不飽和部分を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、複数の分子中の各分子は、2つ以下のエチレン性不飽和部分を含み、複数の分子は、複数分子としては、1分子当たり平均約0.3から2つ未満のエチレン性不飽和部分を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、複数の分子中の各分子は、2つ以下のエチレン性不飽和部分を含み、複数の分子は、複数分子としては、1分子当たり平均約0.6から2つ未満のエチレン性不飽和部分を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、複数の分子中の各分子は、2つ以下のエチレン性不飽和部分を含み、複数の分子は、複数分子としては、1分子当たり平均約0.9から2つ未満のエチレン性不飽和部分を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、複数の分子中の各分子は、2つ以下のエチレン性不飽和部分を含み、複数の分子は、複数分子としては、1分子当たり平均約1から2つ未満のエチレン性不飽和部分を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、複数の分子中の各分子は、2つ以下のエチレン性不飽和部分を含み、複数の分子は、複数分子としては、1分子当たり平均約0.1から約1つのエチレン性不飽和部分を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、複数の分子中の各分子は、2つ以下のエチレン性不飽和部分を含み、複数の分子は、複数分子としては、1分子当たり平均約1.0から約1.8つのエチレン性不飽和部分を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、複数の分子中の各分子は、2つ以下のエチレン性不飽和部分を含み、複数の分子は、複数分子としては、1分子当たり平均約1.2から約1.8つのエチレン性不飽和部分を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、複数の分子中の各分子は、2つ以下のエチレン性不飽和部分を含み、複数の分子は、複数分子としては、1分子当たり平均約1.2から約1.6つのエチレン性不飽和部分を含む。
【0037】
したがって、いくつかの実施形態では、得られる分子は、2つ以上の腕を有する分枝親水性ポリマーを含み、各腕は線状ポリマーであり、分子が平均2つ未満のエチレン性不飽和部分を含むように、0、1、または2つのエチレン性不飽和部分を有し、複数のそのような分子が存在する場合、1分子あたり平均約1.2から1.6(例えば、約0.1-1.9、例えば、約0.5-1.8、例えば、約1.0-1.7、例えば、約1.5-1.7)のエチレン性不飽和部分を含む。
【0038】
したがって、いくつかの実施形態では、式Iは構造Z-(OH)を有し、ここで、nは2以上であり、ZはC5-188-300-5部分である。いくつかの実施形態では、nは2-8である。いくつかの実施形態では、nは4-8である。いくつかの実施形態では、nは4である。いくつかの実施形態では、nは8である。いくつかの実施形態では、ZはC15-1824-302-5部分である。いくつかの実施形態では、ZはC5-68-100-1部分である。いくつかの実施形態では、ZはC1830部分であり、nは8である。いくつかの実施形態では、ZはC1524部分であり、nは8である。いくつかの実施形態では、ZはC10O部分であり、nは4である。いくつかの実施形態では、ZはC部分であり、nは4である。
【0039】
いくつかの実施形態では、式Iは、ヘキサグリセロール、トリペンタエリスリトール、3、3’-オキシビス(プロパン-1、2-ジオール)、または2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール部分である。
【0040】
いくつかの実施形態では、式Iは、以下から選択される部分である:
【化1】
【0041】
いくつかの実施形態において、式IIは、構造(Z-((OCHCHOH)n-j)-((OCHCHX))を有し、ここで、Zは式Iのように定義され、jは0より大きく2より小さく、Xはエチレン性不飽和基である。いくつかの実施形態では、jは約0.01から2未満である。いくつかの実施形態では、jは約0.1から2未満である。いくつかの実施形態では、jは約0.3から2未満である。いくつかの実施形態では、jは約0.6から2未満である。いくつかの実施形態では、jは約0.9から2未満である。いくつかの実施形態では、jは約1.0から2未満である。いくつかの実施形態では、jは約0.01から約1.0である。いくつかの実施形態では、jは約0.1から約1.0である。いくつかの実施形態では、jは約1.2から約1.8である。いくつかの実施形態では、jは約1.2から約1.6である。いくつかの実施形態では、jは約1.4から約1.5である。いくつかの実施形態において、エチレン性不飽和基は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、それらの組み合わせ、またはそれらの誘導体から独立して選択される。いくつかの実施形態において、エチレン性不飽和基は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、またはメタクリルアミドから独立して選択される。
【0042】
トップコートに使用されるポリマーは、タンパク質、コラーゲン、アルブミン、フィブリン、エラスチン、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、多糖類、ヒアルロン酸、ゼラチン、キトサン、アルギネート、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびデキストランのような天然ポリマーを含むことができるが、これらに限定されない。
【0043】
トップコートに使用されるポリマーは、ポリ(エーテル)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ラクタム)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリレート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(無水物)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(カルボン酸)、ポリ(アミド)、ポリ(ビニルアルコール)、およびポリ(ホスファゼン)のような合成ポリマーを含むことができるが、これらに限定されない。
【0044】
親水性ポリマーの分子量は、約500amuから約100,000amuまたは約1、000amuから約40,000amuの範囲でありうる。
【0045】
反応性基(例えば、限定されないがアクリレートおよび/またはメタクリレートなど)は、誘導体化化合物とともに、ヒドロキシル、アミンまたはカルボン酸のような任意の便利な反応性部分を介してポリマーに加えられることができる。いくつかの実施形態では、誘導体化化合物はヘテロ二官能性化合物でありうる。1つの部分は、コポリマーのヒドロキシル、アミン、および/またはカルボン酸基と反応することができる。他の部分はアクリレートまたはメタクリレート基でありうる。
【0046】
いくつかの実施形態では、誘導体化化合物は、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル、2-イソシアネートエチルアクリレート、2-イソシアネートエチルメタクリレート、アクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、メタクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、アクリレートおよびイソシアネート基を有するヘテロ二官能性ポリ(エチレングリコール)、それらの組み合わせ、およびそれらの誘導体を含むことができる。
【0047】
誘導体化ポリマーを調製するために、ポリマー、誘導体化化合物、および任意の触媒を溶媒に溶解する。一般に、トップコートポリマー、誘導体化剤、および任意の触媒を溶解する任意の溶媒を使用することができる。溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルムを含む、芳香族および塩素化溶媒、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0048】
誘導体化剤をトップコートポリマーの反応性部分と反応させる場合、標的誘導体化は、1分子当たり2つ未満の基に対応する。さらに、いくつかの実施形態では、誘導体化は、触媒としてのルイス塩基の添加を含むことができる。いくつかの実施形態では、ルイス塩基は、添加された誘導体化化合物のモル量の約1%から約10%の濃度でのトリエチルアミンおよびピリジンでありうる。
【0049】
いくつかの実施形態では、誘導体化反応は室温で進行する。
【0050】
誘導体化が完了した後、活性化したポリマーを非溶媒中で沈殿させることにより回収し、真空下で乾燥させることができる。
【0051】
ベースコートは、医療器具表面、例えば熱可塑性材料に適用することができる。カテーテルを、最初に溶媒拭き取りで浄化して、その表面からひどい汚れを除去する。いくつかの実施形態では、カテーテルは溶媒で拭き取られる。いくつかの実施形態では、カテーテルの熱可塑性材料を溶解または分解しないものであれば、任意の溶媒を使用することができる。溶媒は、グリコールエーテル、メチルエチルケトン、塩素化溶媒、テトラヒドロフラン、ヘキサン、酢酸エチルおよびアセトンを含むことができる。
【0052】
溶媒浄化に続いて、いくつかの実施形態では、カテーテルシャフトは、その表面をさらに浄化するためにプラズマ処理されうる。いくつかの実施形態では、カテーテルをプラズマ処理しない。種々のガスに由来するプラズマを使用することができる。いくつかの実施形態では、プラズマガスは、アルゴンおよび酸素でありうる。いくつかの実施形態では、アルゴンおよび酸素プラズマの両方を使用することができる。
【0053】
ベースコート溶液は、溶媒、ベースコートコポリマー、任意の開始剤、および任意の界面活性剤を含むことができる。一般に、任意の溶媒または溶媒混合物を、成分をその溶媒または溶媒混合物に溶解することができる限り、利用することができる。溶媒は、水、アルコール、グリコールエーテル、芳香族、極性非プロトン性溶媒、およびそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0054】
ベースコートコポリマーは、ベースコート溶液の望ましい粘度に応じて、約0.2%w/wから約35%w/w、約0.2%w/wから約40%w/w、約0.2%w/wから約50%w/w、約0.5%w/wから約35%w/w、約0.5%w/wから約40%w/w、約0.5%w/wから約50%w/w、約1%w/wから約35%w/w、約1%w/wから約40%w/w、または約1%w/wから約50%w/wの範囲の濃度で溶媒に溶解することができる。あるいくつかの実施形態では、ベースコートコポリマー濃度は、約15%w/wである。
【0055】
いくつかの実施形態では、含まれる場合には、開始剤は、ノリッシュI型開始剤、ノリッシュII型開始剤、およびそれらの組み合わせを含むことができる。ノリッシュI型またはフリーラジカル光開始剤は、ベンゾイン誘導体、メチロールベンゾイン、および4-ベンゾイル-1,3-ジオキソラン誘導体、ベンジルケタール、α,α-ジアルコキシアセトフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、α-アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、アシルホスフィンスルフィド、ハロゲン化アセトフェノン誘導体、またはこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、ノリッシュI型光開始剤は、イルガキュア2995(2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン)、イルガキュア651(ベンジルジメチルケタールまたは2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタノン、チバガイギー)、イルガキュア184(有効成分として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、チバガイギー)、ダロキュア1173(有効成分として2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、チバガイギー)、イルガキュア907(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、チバガイギー)、イルガキュア369(有効成分として2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、チバガイギー)、エサキュアKIP150(ポリ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オン}、Fratelli Lamberti)、エサキュアKIP100F(ポリ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オン}および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンのブレンド、Fratelli Lamberti)、エサキュアKTO46(ポリ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オン}、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニル-ホスフィンオキシドおよびメチルベンゾフェノン誘導体のブレンド、Fratelli Lamberti)、ルシリンTPO(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、BASF)などのアシルホスフィンオキシド、イルガキュア819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキシド、チバガイギー)、イルガキュア1700(ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンの25:75%ブレンド、チバガイギー)、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、I型光開始剤の混合物を使用することができる。
【0057】
ノリッシュII型光開始剤は、ベースコート配合物にも使用できる。これらの開始剤には、ベンゾフェノン、キサントン、ベンゾフェノンの誘導体(例えばクロロベンゾフェノン)、ベンゾフェノンとベンゾフェノン誘導体とのブレンド(例えばフォトキュア81、4-メチル-ベンゾフェノンとベンゾフェノンとの50/50ブレンド)、ミヒラーケトン、エチルミヒラーケトン、チオキサントンおよびクアンタキュアITX(イソプロピルチオキサントン)などの他のキサントン誘導体、ベンジル、アントラキノン(例えば2-エチルアントラキノン)、クマリン、または化学誘導体またはこれらの光開始剤の組み合わせ、などの芳香族ケトンを含むことができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、ベースコート配合物は、ノリッシュI型およびノリッシュII型開始剤の組み合わせを含むことができる。
【0059】
溶媒中の開始剤濃度は、約0.1%から約6%w/wの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、溶媒中の開始剤濃度は、約0.6%w/wとすることができる。
【0060】
ベースコート溶液はまた、任意に界面活性剤を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、任意の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ツイーン20、スパン80、トリトンX-100、プルロニックF68、プルロニックL-81、これらの組み合わせ、およびこれらの誘導体を含むことができる。任意の界面活性剤は、約0.1%w/wから約15%w/wの範囲の濃度で選択された溶媒に溶解することができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤濃度は約0.8%w/wである。
【0061】
いくつかの実施形態では、ベースコートをカテーテルに塗布するために、コーティングしたいカテーテルの範囲をベースコート溶液に入れる。浸漬時間、またはカテーテルがベースコート溶液中にある時間は、約0.2から約10分間、約0.5から約10分間、約2から約8分間、約3から約6分間、または約0.5から約8分間の範囲である。いくつかの実施形態では、浸漬時間は約5分間とすることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、ベースコートをカテーテルに塗布するために、コーティングしたいカテーテルの範囲をベースコート溶液に入れる。浸漬時間、またはカテーテルがベースコート溶液中にある時間は、約0.2秒間から約10分間、約1秒間から約10分間、約2秒間から約8分間、約3秒間から約6分間、または約0.5秒間から約8分間の範囲である。
【0063】
いくつかの実施形態では、ベースコートをカテーテルに塗布するために、コーティングしたいカテーテルの範囲をベースコート溶液に入れる。浸漬時間、またはカテーテルがベースコート溶液中にある時間は、約0.2秒間から約10秒間、約1秒間から約10秒間、約2秒間から約8秒間、約3秒間から約6秒間、または約0.5秒間から約8秒間の範囲である。いくつかの実施形態では、浸漬時間は約5秒間とすることができる。
【0064】
他の実施形態では、ベースコートは、スプレー、はけ塗り、スピンコーティングなど、または浸漬コーティングを含むまたは含まない、それらの組み合わせによって塗布することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、カテーテルの一部のみをコーティングする。そこでカテーテルの一部をマスクして、マスクした領域にベースコートが塗布されないようにすることができる。
【0066】
浸漬コーティングまたは他の方法でベースコートを塗布した後、カテーテルを、約10nmから約400nm、約100nmから約400nm、約200nmから約400nm、約200nmから約300nm、または約300nmから約400nmの範囲の波長の紫外線に暴露する。この範囲の波長の組み合わせはまた、適切なベースコートを提供することができる。一実施形態では、紫外線は、約200nmから約300nmの間の第1の波長および約300nmから約400nmの間の第2の波長によって適用されうる。一実施形態では、波長は254および365nmを含むことができる。
【0067】
硬化時間、またはカテーテルを紫外線に暴露する時間は、約0.5から約10分、約1から約10分、約1から約8分、約0.5から約6分、約1から約6分、約1から約3分、または約0.5から約30分の範囲である。一実施形態では、硬化時間は約2分である。
【0068】
硬化時間、またはカテーテルを紫外線に暴露する時間は、約0.5秒間から約10分間、約1秒間から約10分間、約1秒間から約8分間、約0.5秒間から約6分間、約1秒間から約6分間、約1秒間から約3分間、または約0.5秒間から約30分間の範囲である。
【0069】
硬化時間、またはカテーテルを紫外線に暴露する時間は、約0.5秒間から約10秒間、約1秒間から約10秒間、約1秒間から約8秒間、約0.5秒間から約6秒間、約1秒間から約6秒間、約1秒間から約3秒間、または約0.5秒間から約30秒間の範囲である。一実施形態では、硬化時間は約30秒間である。
【0070】
いくつかの実施形態では、ベースコート塗布プロセスは、硬化時間の終了後に完了する。
【0071】
トップコートは、完成したベースコートに塗布することができる。トップコート溶液は、溶媒、トップコートポリマー、任意の開始剤、および任意の界面活性剤を含むことができる。一般に、任意の溶媒または溶媒混合物を、成分がその溶媒または溶媒混合物に溶解されることができる限り、使用することができる。適切な溶媒は、水、アルコール、グリコールエーテル、芳香族、極性非プロトン性溶媒、およびそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0072】
トップコートポリマーを、トップコート溶液の所望の粘度に応じて、約5%w/wから約75%w/w、約5%w/wから約80%w/w、約5%w/wから約90%w/w、約10%w/wから約80%w/w、約10%w/wから約75%w/w、約5%w/wから約50%w/w、約5%w/wから約40%w/w、約5%w/wから約40%w/w、約20%w/wから約40%w/w、約20%w/wから約30%w/wの範囲の濃度で、選択された溶媒に溶解することができる。一実施形態では、トップコートポリマー濃度は約25%w/wである。
【0073】
開始剤は、ノリッシュI型開始剤、ノリッシュII型開始剤、およびそれらの組み合わせを含むことができる。ノリッシュI型またはフリーラジカル光開始剤は、ベンゾイン誘導体、メチロールベンゾインおよび4-ベンゾイル-1,3-ジオキソラン誘導体、ベンジルケタール、α,α-ジアルコキシアセトフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、α-アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、アシルホスフィンスルフィド、ハロゲン化アセトフェノン誘導体などを含むことができる。ノリッシュI型光開始剤は、イルガキュア2959(2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン)、イルガキュア651(ベンジルジメチルケタールまたは2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタノン、チバガイギー)、イルガキュア184(有効成分として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、チバガイギー)、ダロキュア1173(有効成分として2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、チバガイギー)、イルガキュア907(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、チバガイギー)、イルガキュア369(有効成分として2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、チバガイギー)、エサキュアKIP150(ポリ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オン}、Fratelli Lamberti)、エサキュアKIP100F(ポリ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オン}と2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンのブレンド、Fratelli Lamberti)、エサキュアKTO46(ポリ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オン}、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニル-ホスフィンオキシドおよびメチルベンゾフェノン誘導体のブレンド、Fratelli Lamberti)、ルシリンTPO(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、BASF)などのアシルホスフィンオキシド、イルガキュア819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキシド、チバガイギー)、イルガキュア1700(ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンの25:75%ブレンド、チバガイギー)などを含むことができる。また、I型光開始剤の混合物を使用することもできる。
【0074】
使用可能なノリッシュII型光開始剤には、ベンゾフェノン、キサントン、ベンゾフェノンの誘導体(例えばクロロベンゾフェノン)、ベンゾフェノンとベンゾフェノン誘導体とのブレンド(例えばフォトキュア81、4-メチル-ベンゾフェノンとベンゾフェノンとの50/50ブレンド)、ミヒラーケトン、エチルミヒラーケトン、チオキサントンおよびクアンタキュアITX(イソプロピルチオキサントン)などの他のキサントン誘導体、ベンジル、アントラキノン(例えば2-エチルアントラキノン)、クマリン、または化学誘導体またはそれらの組み合わせ、などの芳香族ケトンを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、トップコート配合物は、ノリッシュI型開始剤およびノリッシュII型開始剤の組み合わせを含むことができる。
【0076】
溶媒中の開始剤濃度は、約0.1%から約6%w/wの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、、溶媒中の開始剤濃度は、約0.5%w/wとすることができる。
【0077】
トップコート溶液はまた、界面活性剤を含んでいてもよい。一般に、任意の界面活性剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ツイーン20、スパン80、トリトンX-100、プルロニックF68、プルロニックL-81、それらの組み合わせ、およびそれらの誘導体を含むことができる。任意の界面活性剤は、約0.1%w/wから約5%w/wの範囲の濃度で選択された溶媒に溶解することができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤濃度は約0.6%w/wである。
【0078】
いくつかの実施形態では、トップコートをベースコーティングされたカテーテルに適用するために、コーティングしようとするカテーテルの範囲をトップコート溶液に入れる。浸漬時間、またはカテーテルがトップコート溶液中にある時間は、約0.2から約20分間、約0.5から約20分間、約2から約15分間、約3から約15分間、または約8から約12分間の範囲である。いくつかの実施形態では、浸漬時間は約10分でありうる。
【0079】
いくつかの実施形態では、浸漬時間、またはカテーテルがトップコート溶液中で費やす時間は、約0.2秒間から約20分間、約0.5秒間から約20分間、約2秒間から約15分間、約3秒間から約15分間、または約8秒間から約12分間の範囲である。
【0080】
いくつかの実施形態では、浸漬時間、またはカテーテルがトップコート溶液中で費やす時間は、約0.2秒間から約20秒間、約0.5秒間から約20秒間、約2秒間から約15秒間、約3秒間から約15秒間、または約8秒間から約12秒間の範囲である。いくつかの実施形態では、浸漬時間は約5秒間でありうる。
【0081】
他の実施形態では、トップコートは、スプレー、はけ塗り、スピンコーティングなど、または浸漬コーティングを含むまたは含まないそれらの組み合わせによって塗布することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、カテーテルの一部のみがトップコートで被覆される。その点で、マスクされた領域下の表面にトップコートが塗布されないように、カテーテルの一部分をマスクすることができる。
【0083】
浸漬コーティングまたは他の方法でトップコートを塗布した後、カテーテルは、約10nmから約400nm、約100nmから約400nm、約200nmから約400nm、約200nmから約300nm、または約300nmから約400nmの範囲の波長を有する紫外線に暴露される。この範囲の波長の組み合わせはまた、適切なベースコートを提供することができる。一実施形態では、紫外線は、約200nmから約300nmの間の第1の波長と、約300nmから約400nmの間の第2の波長とによって適用されうる。一実施形態では、波長は254および365nmを含むことができる。
【0084】
トップコート硬化時間、またはカテーテルが紫外線に暴露される時間は、約0.5から約4分間、約1から約4分間、約1から約3分間、約0.5から約3分間、約1から約5分間、約0.5から約3分間、または約0.5から約50分間の範囲である。一実施形態では、硬化時間は約2分間である。
【0085】
いくつかの実施形態では、トップコート硬化時間、またはカテーテルが紫外線に暴露される時間は、約0.5から約10分間、約1から約10分間、約1から約8分間、約0.5から約8分間、約1から約8分間、約0.5から約8分間、または約0.5から約50分間の範囲である。一実施形態では、硬化時間は約5分間である。
【0086】
本明細書に記載されたコーティングは、未コーティングの器具と比較した場合に、最大動的摩擦力[gf]を減少させることができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、最大動的摩擦力を約50%以上減少させることができる。他の実施形態では、コーティングは、最大動的摩擦力を約75%以上減少させることができる。他の実施形態では、コーティングは、最大動的摩擦力を約95%以上減少させることができる。他の実施形態では、コーティングは、最大動的摩擦力を約75%から約99%、例えば、約80%-99%、約85%-99%、約90%-99%、約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%減少させることができる。
【0087】
本明細書に記載されたコーティングは、未コーティングの器具と比較した場合、100サイクルでの60mm変位における平均動的摩擦力[gf]の減少を提供することができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、最大動的摩擦力を約50%減少させることができる。他の実施形態では、コーティングは、最大動的摩擦力を約75%減少させることができる。他の実施形態では、コーティングは、最大動的摩擦力を約95%以上減少させることができる。他の実施形態では、コーティングは、最大動的摩擦力を約75%から約99%、例えば、約80%-99%、約85%-99%、約90%-99%、約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%減少させることができる。
【0088】
本明細書に記載のコーティングは、未コーティングの器具と比較した場合に、潤滑性の増加を提供することができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、潤滑性を約50%増加させることができる。他の実施形態では、コーティングは、潤滑性を約75%増加させることができる。他の実施形態では、コーティングは、潤滑性を約95%以上増加させることができる。他の実施形態では、コーティングは、約75%から約99%、例えば、約80%-99%、約85%-99%、約90%-99%、約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の潤滑性を増加させることができる。
【0089】
実施例1
ベースコートポリマーの調製
1リットルの丸底フラスコに、80.0gのテトラヒドロフルフリルアクリレート、185gの4-ヒドロキシブチルアクリレートおよび250mlのトルエンを加える。30分間アルゴンガスを通してパージすることにより溶液を脱気する。次に、1.0グラムのAIBN開始剤を添加し、混合物をアルゴンで更に10分間パージする。フラスコを80℃のオイルバスに浸漬し、アルゴン吸気口を取り付けた還流凝縮器で還流させる。混合物をアルゴン下で16時間加熱する。反応を冷却し、1.2Lの低温MTBEで沈殿させ、沈殿した生成物-粘性ポリマーを集め、真空下で乾燥させる。典型的な収率は85-95%である。
【0090】
乾燥したポリマーを乾燥DMF(200mL、約0.5g/mL)に溶解し、0.84mLのトリエチルアミンおよび3.0mLのイソシアネートエチルアクリレートで処理する。混合物を周囲条件で16時間攪拌する。ポリマーを0.8Lの水で沈殿させる。ポリマーを0.2Lのアセトンに再溶解し、0.8Lの水中に沈殿させ、2×300mLの水で洗浄し、高真空下で乾燥させる。
【0091】
実施例2
液体ベースコート溶液の調製
適切な容器中で、実施例1からの300gのポリマーを、2,000mLのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解する。次に、15gのプルロニックL-81、6gの1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および6gのベンゾフェノンを添加する。完全な溶解は、30分間振盪することで達成され、透明で均質な溶液を生成する。
【0092】
実施例3
トップコートマクロマーの調製
50グラムのPEG(Mw4,000)を、トルエンとの共沸蒸留によって乾燥させる。250mLのトルエン中のPEGの溶液を30mLのジクロロメタンで処理し、続いて、7.0mLのトリエチルアミンおよび4.04mLの塩化アクリロイルを添加する。反応混合物を5時間攪拌し、次いで沈殿した塩を濾過し、そしてトップコートマクロマーを1Lの低温MTBEから沈殿させることにより単離する。固形物を濾過により分離し、追加の200mLのMTBEで洗浄し、高真空下で一晩乾燥させる。
【0093】
実施例4
トップコートマクロマーの調製
50グラムの8-Arm PEG(Mw 20,000)をトルエンとの共沸蒸留によって乾燥させる。250mLのトルエン中のPEGの溶液を30mLのジクロロメタンで処理し、続いて0.46mLのトリエチルアミンおよび0.25mLの塩化アクリロイルを添加する。反応混合物を16時間攪拌し、次いで沈殿した塩を濾過し、そして1.2Lの低温MTBEからの沈殿によってトップコートマクロマーを単離する。固形物を濾過により分離し、追加の200mLのMTBEで洗浄し、高真空下で一晩乾燥させる。
【0094】
実施例5
トップコート溶液の調製
容器内で、実施例3で調製した9.0gのポリエチレングリコールジ-アクリレート(4,000Mw)を、45.0mLのメタノールに振盪しながら溶解する。次いで、0.23gのプルロニック(登録商標)L-81界面活性剤、90mgのベンゾフェノン、および90mgの1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを添加する。55℃で2分間加熱しながら完全に溶解すると、透明で均質な溶液になる。
実施例6
トップコート溶液の調製
容器内で、実施例4で調製した400gのポリエチレングリコールアクリレート(20kMw)を、2,000mLのメタノールに振盪しながら溶解する。次いで、10gのツイーン80界面活性剤、4gのベンゾフェノン、および4gの1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを添加する。完全な溶解は、30分間振盪することで達成され、透明で均質な溶液を生成する。
【0095】
実施例7
マイクロカテーテルのコーティング
ハーランドPCX175コーティング機に、それぞれ[0091]および[0094]で調製されたベースコートおよびトップコート溶液を充填する。GRILAID L25およびPEBAX 35D-72Dデュロメータを含む外側表面の長さを有するカテーテルを、最初に外側表面をアセトンで拭くことによってコーティングするために調製する。次いで、カテーテルをアルゴンプラズマ(365sccm、300ワット、500mtorr)、続いて酸素プラズマ(120sccm、150ワット、400mtorr)で、プラズマ処理する。次いで、カテーテルは、コーティング機に固定されて、自動化され、予めプログラムされたレシピを使用してコーティングされる。順次段階的プロセスで、カテーテルをベースコート溶液に浸漬し、それを5cm/秒で引き出し、UVはベースコートを30秒(365nm λ、mJ/cm2 83.7UV 線量)で硬化させ、カテーテルをトップコート溶液中に浸漬し、0.6cm/秒でそれを引き出し、最後にトップコートを300秒(365nm λ、837.0mJ UV 線量)で硬化させる。
【0096】
実施例8
潤滑性
実施例7で調製したマイクロカテーテルサンプルを、5N静的ロードセルを備えたインストロン5943材料試験機を用いて試験して潤滑性を評価する。機械的クランプ固定具をロードセルに取り付け、マイクロカテーテルサンプルの頂部を、その長さが油圧クランプ固定具(1lbのクランプ力)を介して引っ張られるように保持し、加熱(37℃)した、蒸留水が入ったウォーターバス中に浸漬する。試験方法は、油圧クランプをサンプル上で閉じた状態で、0mm変位で開始するように測定した1サイクルを100mmについて254mm/分の引張速度で、20回の反復を、各サンプルで繰り返した。次いで、サンプルを油圧クランプを介して100mm変位で引き、最後に油圧クランプを開き、サンプルを0mmの変位に戻す。最大動的摩擦力および60mm変位点における平均動摩擦力を測定し、以下の表1に示す。表には、比較として、20サイクル実行された、未コーティングサンプルの潤滑性測定結果が含まれる。
【表1】
【0097】
未コーティングサンプルと比較した実施例8のコーティングは、潤滑性の増加を示している。
【0098】
好ましい実施形態が本明細書および添付図面に記載されているが、多くの変形および修正が、当業者には示唆されうることが理解されるであろう。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載の特定の実施形態および実施例に限定されるものではなく、代替の実施形態および均等物を包含するとみなされるべきである。
【0099】
別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される、成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表す全ての数字は、全ての場合において、用語「約(about)」によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、明細書および添付の特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化しうる近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数を考慮して、通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広い範囲を明記する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例に明記される数値は、可能な限り正確に報告される。任意の数値は、しかしながら、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から生じる一定の誤差を本質的に含む。
【0100】
本発明を説明する文脈で(特に以下の特許請求の範囲で)使用される用語「a」、「an」、「the」および同様の指示対象は、特に明記しない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方をカバーすると解釈されるべきである。ここでの値の範囲の列挙は、範囲内にある個々の値を個別に参照する簡単な方法として機能することを目的としている。本明細書に別段の記載がない限り、個々の値は、本明細書に個別に記載されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例、または例示的な言語(例えば、「など(such as)」)の使用は、単に本発明をよりよく明らかにすることを意図しており、別の方法で請求される本発明の範囲の限定を提起するものではない。本明細書のいかなる文言も、本発明の実施に不可欠な、請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0101】
本明細書に開示される本発明の代替要素または実施形態のグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各グループの要素は、個別に、またはグループの他の要素または本明細書に見られる他の要素との任意の組み合わせで、参照および請求することができる。グループの1つまたは複数の要素が、利便性および/または特許性の理由でグループに含まれる、またはグループから削除されることが見込まれる。そのような包含または削除が起きた場合、明細書は、変更されたグループが含まれていると見なされ、それ故に、添付の特許請求の範囲で使用される全てのマーカッシュグループの書面による説明を満たす。
【0102】
本発明を実施するために発明者に知られている最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態が本明細書に記載されている。当然、これらの説明された実施形態の変形は、前述の記載を読むと、当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者が必要に応じてそのような変形を用いることを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で本発明を実施することを意図する。したがって、本発明は、適用法により許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題の全ての修正および均等物を含む。さらに、その全ての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0103】
さらに、本明細書全体を通して、特許および印刷された刊行物について多くの言及がなされてきた。上記の参考文献および印刷された刊行物の各々は、その全体が参照により本明細書に個別に組み込まれる。
【0104】
最後に、本明細書に開示される本発明の実施形態は、本発明の原理の例示であることが理解されるべきである。使用することができる他の修正は、本発明の範囲内である。従って、例として、限定するものではないが、本発明の代替の構成を、本明細書の教示に従って利用することができる。従って、本発明は、正確に、示され記載されたようには限定されない。
【0105】
(付記)
(付記1)
第1のテトラヒドロフルフリルアクリレートモノマーと、さらなる誘導体化に適した官能基および複数の反応性部分を含む第2のモノマーとのコポリマーを含むベースコートと、
1分子あたり2つ未満の反応性部分を含む親水性ポリマーを含むトップコートと、
を含む、コーティング配合物。
【0106】
(付記2)
前記コポリマーは、分子量が、約15,000g/モルと約150,000g/モルの間である、付記1に記載のコーティング配合物。
【0107】
(付記3)
前記トップコートは、前記ベースコートの上にある、付記1に記載のコーティング配合物。
【0108】
(付記4)
前記親水性ポリマーは、タンパク質、コラーゲン、アルブミン、フィブリン、エラスチン、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、多糖類、ヒアルロン酸、ゼラチン、キトサン、アルギネート、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、ポリ(エーテル)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ラクタム)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリレート)、ポリ(ウレタン)、ポリ(無水物)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(カルボン酸)、ポリ(アミド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ホスファゼン)、またはこれらの組み合わせである、付記1に記載のコーティング配合物。
【0109】
(付記5)
前記親水性ポリマーは、分子量が、約500amuから約100,000amuの間である、付記1に記載のコーティング配合物。
【0110】
(付記6)
医療器具に増加した潤滑性を与える、付記1に記載のコーティング配合物。
【0111】
(付記7)
前記医療器具は、カテーテルまたはマイクロカテーテルである、付記6に記載のコーティング配合物。
【0112】
(付記8)
熱可塑性表面をコーティングする方法であって、
第1のテトラヒドロフルフリルアクリレートモノマーと第2のモノマーとのコポリマーを含むベースコートを前記熱可塑性表面に塗布する工程と、
前記ベースコートにトップコートを塗布する工程と、
を含み、
前記トップコートは親水性ポリマーを含む、方法。
【0113】
(付記9)
前記熱可塑性表面は、前記ベースコートを塗布する前に浄化される、付記8に記載の方法。
【0114】
(付記10)
前記熱可塑性表面は、前記ベースコートを塗布する前にプラズマ処理される、付記8に記載の方法。
【0115】
(付記11)
前記ベースコートは、浸漬によって塗布される、付記8に記載の方法。
【0116】
(付記12)
前記ベースコートは、紫外線放射に暴露される、付記8に記載の方法。
【0117】
(付記13)
前記紫外線放射は、波長が約10nmから約400nmの範囲である、付記12に記載の方法。
【0118】
(付記14)
前記ベースコートは、約0.5から約10分間硬化する、付記13に記載の方法。
【0119】
(付記15)
前記トップコートは、浸漬によって塗布される、付記8に記載の方法。
【0120】
(付記16)
前記トップコートは、紫外線放射に暴露される、付記8に記載の方法。
【0121】
(付記17)
前記紫外線放射は、波長が約10nmから約400nmの範囲である、付記16に記載の方法。
【0122】
(付記18)
前記トップコートは、約0.5から約10分間硬化する、付記16に記載の方法。