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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】寛骨臼ライナ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/46 20060101AFI20240409BHJP
   A61F 2/34 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61F2/46
A61F2/34
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021547504
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 US2020016994
(87)【国際公開番号】W WO2020167579
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】62/806,589
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/782,721
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519307827
【氏名又は名称】エンコア・メディカル・エル・ピー・(ディー/ビー/エー・ディージェーオー・サージカル)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・マイケル・ウィルス
(72)【発明者】
【氏名】アダム・シャレンバーグ
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】特公平04-058339(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0161072(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00498685(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0185059(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第02684544(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/00
A61F 2/02-2/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直角をなす半径方向および軸方向を画定する試験用寛骨臼ライナであって、
閉じた第1の端部と、
開いた第2の端部と、
前記閉じた第1の端部と前記開いた第2の端部の間で延び、前記開いた第2の端部の外周部を画定する遠位周辺縁部を有するライナ壁であって、
大腿骨頭構成要素を受け入れるためのチャンバを画定する内側面と、
寛骨臼シェル内に受け入れられるように構成された外側面と、
少なくとも1組の切抜き部であって、
前記ライナ壁の一部を通る第1の切抜き部、
前記第1の切抜き部に平行であり、前記ライナ壁を通る第2の切抜き部であって、前記第1および第2の切抜き部が前記遠位周辺縁部から前記ライナの前記内側面の中へと延びる、第2の切抜き部、ならびに
前記ライナの前記内側面にあり、かつ前記ライナ壁を部分的に通る第3の切抜き部であって、前記第3の切抜き部は、前記第1の切抜き部の近位端部から前記第2の切抜き部の近位端部まで延び、前記第1の切抜き部の近位端部および前記第2の切抜き部の近位端部は、前記ライナ壁の前記遠位周辺縁部よりも前記ライナの中心軸に近い、第3の切抜き部
を含む、少なくとも1組の切抜き部と、
を備えるライナ壁と、
前記遠位周辺縁部から前記ライナの前記中心軸に向けて延びる少なくとも1つの可動なタブであって、前記少なくとも1つの可動なブは、前記少なくとも1組の切抜き部のうちの1つによって供されるとともに、当該組の切抜き部により画定される側壁、ならびに当該組の切抜き部の前記第3の切抜き部により画定される遠位壁および近位壁を有し、前記タブの前記遠位壁は、前記ライナの軸に向かって内側を向き、かつ前記タブは、寛骨臼シェルの一部に取外し可能に固定されるように構成された、前記タブの外側面上の少なくとも1つの突起を備え、前記タブは、前記遠位壁が前記近位壁に向かって変形するとともに寛骨臼シェルから前記少なくとも1つの突起を外すように、前記第3の切抜き部を通って弾性的に変形可能である、少なくとも1つの可動なタブと
を備える試験用寛骨臼ライナ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの突起は、第1の突起および第2の突起を備える、請求項1に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのタブは、前記タブの前記遠位周辺縁部に第1の窪みをさらに備え、前記第1の窪みは、前記遠位周辺縁部上の前記第1の窪みの第1の端部から、前記第1および第2の突起の近くの前記第1の窪みの第2の端部へと前記閉じた第1の端部に向けて前記軸方向に延びる、請求項2に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項4】
前記第1の窪みは、前記第1の突起の側部、および前記第2の突起の側部を画定する、請求項3に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのタブは、第1の可動なタブおよび第2の可動なタブを含み、前記第1の可動なタブおよび前記第2の可動なタブは、互いに対向するように位置合わせされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項6】
前記少なくとも1組の切抜き部は、前記第1の可動なタブを供する第1の組の切抜き部、および前記第2の可動なタブを供する第2の組の切抜き部を備える、請求項5に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのタブは、前記第1の窪みの前記第2の端部の近くで開始し、前記ライナの前記閉じた第1の端部に向けて延びるライナ壁の溝をさらに備える、請求項3に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項8】
前記ライナ壁の溝は、前記第1の窪みからは分離されている、請求項7に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項9】
前記ライナ壁の溝は、前記第1の窪みの前記第2の端部における縁部により、前記第1の窪みから分離される、請求項8に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのタブは、前記第1の窪みの前記第2の端部の近くから前記ライナの前記閉じた第1の端部に向けて軸方向に延びる第2の窪みをさらに含み、前記第2の窪みは、前記第1の窪みよりも少ない量、または同じ量だけ窪んでいる、請求項3に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項11】
前記第1の窪みは、前記少なくとも1つの突起を過ぎて延びる、請求項3に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項12】
前記第1の窪みは、工具の表面を受け入れるような構造をしており、また前記タブは、前記工具により前記第1の窪みに力が加えられたとき、前記ライナの軸に向けた方向に、内方向に移動するように構成される、請求項3に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項13】
前記第1の窪みは、指の表面を受け入れるような構造をしており、また前記タブは、前記指により前記第1の窪みに力が加えられたとき、前記ライナの軸に向けた方向に、内方向に移動するように構成される、請求項3に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項14】
前記第3の切抜き部は、前記第1および第2の切抜き部に対して直角に位置合わせされる、請求項1~13のいずれか一項に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項15】
股関節の置換に使用するための植え込み可能なライナを決定するために使用される試験用寛骨臼ライナであって、
閉じた第1の端部と、
開いた第2の端部と、
前記閉じた第1の端部と前記開いた第2の端部の間で延びるライナ壁であって、内側面および外側面を備えるライナ壁と、
第1の組の切抜き部であって、
前記ライナ壁を通る第1の切抜き部、
前記ライナ壁を通る第2の切抜き部、および
前記ライナ壁の前記内側面にあり、前記ライナ壁を部分的に通り、前記第1の切抜き部の近位端から前記第2の切抜き部の近位端へと延び、前記第1の切抜き部および前記第2の切抜き部と直角に位置合わせされた第3の切抜き部
を含む、第1の組の切抜き部と、
周辺縁部から前記ライナの軸中心に向けて内方向に延び、かつ切抜き部の組により画定される側壁を有する可動な第1のタブであって、前記第1のタブは、前記第3の切抜き部により画定される遠位壁および近位壁を有し、前記遠位壁は、前記ライナの軸に向かって内側を向き、前記第1のタブは、寛骨臼シェルの窪みに取外し可能に固定されるように構成された、前記第1のタブの外側面上の少なくとも1つの突起を備え、前記第1のタブは、前記遠位壁が前記近位壁に向かって前記第3の切抜き部の空間を通って変形して寛骨臼シェルから前記少なくとも1つの突起を外すように、弾性的に変形可能である、可動な第1のタブと
を備える、試験用寛骨臼ライナ。
【請求項16】
前記少なくとも1つの突起は、第1の突起および第2の突起を備える、請求項15に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項17】
前記第1のタブは、前記第1のタブの遠位周辺縁部に第1の窪みをさらに備え、前記窪みは、前記遠位周辺縁部上の前記第1の窪みの第1の端部から、前記第1および第2の突起の近くの前記第1の窪みの第2の端部まで、前記閉じた第1の端部に向けて軸方向に延びる、請求項16に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項18】
前記ライナの、前記第1のタブが備えられている側の反対側に配置された第2の可動なタブをさらに備える、請求項17に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項19】
前記第2の可動なタブを供する第2の組の切抜き部をさらに備え、前記第2の組の切抜き部は、前記ライナ壁を通る第1の切抜き部、前記ライナ壁を通る第2の切抜き部、および、前記ライナ壁の前記内側面にあり、かつ前記ライナ壁を部分的に通り、前記第1の切抜き部の近位端部から前記第2の切抜き部の近位端部まで延びる第3の切抜き部を含み、前記第3の切抜き部は、前記第1の切抜き部および前記第2の切抜き部と直角に位置合わせされている、請求項18に記載の寛骨臼ライナ。
【請求項20】
直角をなす半径方向および軸方向を画定する試験用寛骨臼ライナ組立体であって、
寛骨臼シェルと、
ライナとを備え、前記ライナは、
閉じた第1の端部と、
開いた第2の端部と、
閉じた第1の端部と開いた第2の端部と間で延び、前記開いた第2の端部の外周部を画定する遠位周辺縁部を有するライナ壁であって、
大腿骨頭構成要素を受け入れるためのチャンバを画定する内側面と、
寛骨臼シェル内に受け入れられるように構成された外側面と、
少なくとも1組の切抜き部であって、
前記ライナ壁の一部を通る第1の切抜き部、
前記第1の切抜き部に平行であり、かつ前記ライナ壁を通る第2の切抜き部であって、前記第1および第2の切抜き部が前記遠位周辺縁部から前記ライナの前記内側面の中へと延びる、第2の切抜き部、ならびに
前記ライナの前記内側面にあり、かつ前記ライナ壁を部分的に通る第3の切抜き部であって、前記第3の切抜き部が、前記第1の切抜き部の近位端部から前記第2の切抜き部の近位端部まで延び、前記第1の切抜き部の前記近位端部および前記第2の切抜き部の前記近位端部は、前記遠位周辺縁部よりも前記ライナの中心軸に近い、第3の切抜き部
を含む少なくとも1組の切抜き部と、
を備えるライナ壁と、
前記遠位周辺縁部から前記ライナの前記中心軸に向けて延びる少なくとも1つの可動なタブであって、前記タブは、前記少なくとも1組の切抜き部のうちの1つにより画定される側壁、ならびに、前記第3の切抜き部により画定され、前記第3の切抜き部の両側にある遠位壁および近位壁を有し、かつ前記タブは、寛骨臼シェルの一部に取外し可能に固定されるように構成された、前記タブの外側面上の少なくとも1つの突起を備え、前記タブは、前記遠位壁が前記近位壁に向かって前記第3の切抜き部を通って変形して寛骨臼シェルから前記少なくとも1つの突起を外すように、弾性的に変形可能である、少なくとも1つの可動なタブと
を備える、試験用寛骨臼ライナ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願の参照
本出願は、2019年2月15日に出願された「ACETABULAR LINER」と題する米国特許仮出願第62/806,589号、および2020年2月5日に出願された「ACETABULAR LINER」と題する米国特許非仮出願第16/782,721号の利益を主張するものである。上記の項目のそれぞれの開示全体が、本明細書に完全に記載された場合と同様に本明細書の一部となり、含まれるすべてがすべての目的で参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、試験用寛骨臼ライナに関する。より詳細には、本開示は、試験用寛骨臼ライナの構造的な特徴を含む。
【背景技術】
【0003】
背景は、導入目的で提供され、読者が詳細な説明を理解するのを助けるためのものである。背景は、特許請求の範囲に対する何らかの従来技術を認めるものと解釈すべきではない。
【0004】
股関節全置換手術において、股関節の寛骨臼および大腿骨頭を置換するために、プロテーゼインプラントが使用される。寛骨臼は、寛骨臼カップで置換することができる。寛骨臼カップは、外側の寛骨臼シェルと、プロテーゼ大腿骨構成要素を受け入れるように構成された寛骨臼ライナとを含むことができる。最終的なライナを植え込む前に、1つまたは複数の試験用ライナをその試験用、または最終的なカップの中に挿入して、体に対する適合性を試験することができる。
【0005】
従来の試験用ライナは、最終的なライナの形状を模倣しているが、最終的なライナを最終的なシェルに固定するために使用されるロック機構を含まないプラスチックの構成要素を含むことが多い。試験用ライナは、概して、閉じた端部、開いた端部、および閉じた端部と開いた端部の間で延びるライナ壁を有するカップ状のライナを含む。ライナ壁の内側面は、プロテーゼ大腿骨構成要素を受け入れるように構成されたチャンバを画定することができる。ライナ壁の試験用ライナ外側面は、シェル内に受け入れられるように構成される。試験用ライナがカップの中に適正に挿入された後、きつい嵌め合い、および制限のある作業環境に起因して取り外すのが困難になり得る。したがって、嵌合させるためにカップの中にしっかりと、適正に嵌めることができるが、カップから取り外すことも容易である試験用ライナを有することは有利になるはずである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、試験用寛骨臼ライナの様々な実施形態、および様々な実施形態に含まれ得る様々な特徴の例を述べる。
【0007】
1つの革新性は、試験用寛骨臼ライナを含む。試験用寛骨臼ライナは、直角をなす半径方向および軸方向を有する(または画定する)ものとして特徴付けることができる。試験用寛骨臼ライナは、閉じた第1の端部、開いた第2の端部、および閉じた第1の端部と開いた第2の端部の間で延びるライナ壁を含むことができ、ライナ壁は、開いた第2の端部の外周部を画定する遠位周辺縁部を有する。ライナ壁は、大腿骨頭構成要素を受け入れるためのチャンバを画定する内側面と、寛骨臼シェル内に受け入れられるように構成された外側面と、少なくとも1組の切抜き部であって、ライナ壁の一部を通る第1の切抜き部、第1の切抜き部に平行であり、ライナ壁を通る第2の切抜き部であって、第1および第2の切抜き部が遠位周辺縁部からライナの内側面へと延びる、第2の切抜き部、およびライナの内側面にあり、かつライナ壁を部分的に通って延びる第3の切抜き部であって、第3の切抜き部は、第1の切抜き部の近位縁部から、第2の切抜き部の近位縁部まで延び、第1および第2の切抜き部の近位縁部は、遠位周辺縁部よりもライナの中心軸の近い、第3の切抜き部を含む、少なくとも1組の切抜き部とを含むことができる。試験用寛骨臼ライナは、遠位周辺縁部からライナの中心軸に向けて延びる少なくとも1つの移動可能なタブをさらに含むことができ、各タブは、少なくとも1組の切抜き部の1つにより画定される側壁を有し、また各タブは、寛骨臼シェルの一部に取外し可能に固定されるように構成された、タブの外側面上に少なくとも1つの突起を備える。
【0008】
実装形態の様々な態様は、本明細書で述べられる他の特徴の1つまたは複数のものを含むことができる。寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、少なくとも1つの突起は、第1の突起および第2の突起を含む。寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、少なくとも1つのタブは、タブ上の遠位周辺縁部に第1の窪みをさらに備え、第1の窪みは、遠位周辺縁部上の第1の窪みの第1の端部から、第1および第2の突起に近い第1の窪みの第2の端部へと、閉じた第1の端部に向けて軸方向に延びる。いくつかのこのような実装形態において、第1の窪みは、第1の突起の側部と、第2の突起の側部を画定する。寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、ライナは、第1の移動可能なタブおよび第2の移動可能なタブを含み、第1の移動可能なタブおよび第2の移動可能なタブは、互いに対向して位置合わせされる。いくつかのこのような実装形態では、少なくとも1組の切抜き部は、第1の移動可能なタブに関連付けられた第1の組の切抜き部、および第2の移動可能なタブに関連付けられた第2の組の切抜き部を備える。いくつかのこのような実装形態では、少なくとも1つのタブは、第1の窪みの第2の端部の近くで開始し、ライナの閉じた第1の端部に向けて延びるライナ壁の溝をさらに備える。いくつかの実装形態では、ライナ壁の溝は、第1の窪みから分離されている。いくつかの実装形態では、ライナ壁の溝は、第1の窪みの第2の端部における縁部により、第1の窪みから分離される。寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、少なくとも1つのタブは、第1の窪みの第2の端部の近くから、ライナの第1の閉じた端部に向けて軸方向に延びる第2窪みをさらに含み、第2の窪みは、第1の窪みよりも少ない量、または同じ量だけ窪みが付けられる。寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、第1の窪みは、少なくとも1つの突起を過ぎて延びる。寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、第1の窪みは、工具の表面を受け入れるような構造であり、タブは、工具により第1の窪みに力が加えられたとき、ライナの軸に向けた方向に内側に移動するように構成される。寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、第1の窪みは、指の表面を受け入れるような構造をしており、またタブは、指により第1の窪みに力が加えられたとき、ライナの軸に向いた方向に内側に移動するように構成される。寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、第3の切抜き部は、第1および第2の切抜き部に対して直角に位置合わせされる。
【0009】
別の革新性は、股関節の交換に使用するための植え込み可能なライナを決定するのに使用される試験用寛骨臼ライナであり、それは、閉じた第1の端部、開いた第2の端部、および閉じた第1の端部と開いた第2の端部の間で延びるライナ壁を含む。ライナ壁は、内側面および外側面を含むことができ、少なくとも1組の切抜き部は、ライナ壁を通る第1の切抜き部、ライナ壁を通る第2の切抜き部、および第1の切抜き部から第2の切抜き部へと延びる、ライナ壁を部分的に通る、ライナ壁の内側面における第3の切抜き部を含む。試験用寛骨臼ライナは、ライナの軸中心に向けて内方向に周辺縁部から延び、かつ少なくとも1組の切抜き部の1つにより画定される側壁を有する少なくとも1つの移動可能なタブをさらに含むことができ、タブは、寛骨臼シェルの窪みに取外し可能に固定されるように構成された、タブの外側面上に少なくとも1つの突起を備える。
【0010】
実装形態の様々な態様は、本明細書で述べられる他の特徴の1つまたは複数のものを含むことができる。試験用寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、少なくとも1つの突起は、第1の突起および第2の突起を備える。試験用寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、少なくとも1つのタブは、タブ上の遠位周辺縁部に第1の窪みをさらに備え、窪みは、遠位周辺縁部上の第1の窪みに第1の端部から、第1および第2の突起の近くの第1の窪みの第2の端部へと、閉じた第1の端部に向けて軸方向に延びる。試験用寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、第1の窪みは、第1の突起の側部、および第2の突起の側部を画定する。試験用寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、少なくとも1つの移動可能なタブは、互いに対向して配置された第1の移動可能なタブおよび第2の移動可能なタブを備える。試験用寛骨臼ライナの実装形態では、少なくとも1組の切抜き部は、第1の移動可能なタブに関連付けられた第1の組の切抜き部、および第2の移動可能なタブに関連付けられた第2の組の切抜き部を備える。試験用寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、少なくとも1つのタブは、第1の窪みの第2の端部の近くから開始し、ライナの閉じた第1の端部に向けて延びるライナ壁の溝をさらに備える。いくつかの実装形態では、ライナ壁の溝は、第1の窪みから分離される。いくつかの実装形態では、ライナ壁の溝は、第1の窪みの第2の端部における縁部により、第1の窪みから分離される。いくつかの実装形態では、少なくとも1つのタブは、第1の窪みの第2の端部の近くから、ライナの第1の閉じた端部に向けて軸方向に延びる第2の窪みをさらに含み、第2窪みは、第1の窪みよりも少ない量、または同じ量だけ窪みが付けられる。いくつかの実装形態では、第1の窪みは、少なくとも1つの突起を過ぎて延びる。試験用寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、第1の切抜き部は、第2の切抜き部に対して平行である。試験用寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、第3の切抜き部は、第1の切抜き部および第2の切抜き部に対して直角である。試験用寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、第3の切抜き部は湾曲している。試験用寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、第1の切抜き部および第2の切抜き部は湾曲している。試験用寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、第1の切抜き部は、第2の切抜き部に対して平行ではない。試験用寛骨臼ライナのいくつかの実装形態では、第3の切抜き部は、第1の切抜き部に対して直角ではない。
【0011】
別の革新性は、直角をなす半径方法および軸方向を画定する試験用寛骨臼ライナ組立体であり、試験用寛骨臼ライナ組立体は、寛骨臼シェルおよびライナを含む。ライナは、閉じた第1の端部、開いた第2の端部、および閉じた第1の端部と開いた第2の端部の間で延びるライナ壁を含むことができ、ライナ壁は、開いた第2の端部の外周部を画定する遠位周辺縁部を有する。ライナは、大腿骨頭構成要素を受け入れるためのチャンバを画定する内側面と、寛骨臼シェル内に受け入れられるように構成された外側面と、少なくとも1組の切抜き部とを含み、少なくとも1組の切抜き部は、ライナ壁の一部を通る第1の切抜き部、第1の切抜き部に平行であり、かつライナ壁を通る第2の切抜き部であって、第1および第2の切抜き部は遠位周辺縁部からライナの内側面の中へと延びる、第2の切抜き部、またライナの内側面にあり、かつライナ壁を部分的に通る第3の切抜き部であって、第3の切抜き部が、第1の切抜き部の近位縁部から第2の切抜き部の近位縁部まで延び、第1および第2の切抜き部の近位縁部は、遠位周辺縁部よりもライナの中心軸に近い、第3の切抜き部を含み、ライナは、遠位周辺縁部から、ライナの中心軸に向けて延びる少なくとも1つの移動可能なタブをさらに含み、各タブは、少なくとも1組の切抜き部のうちの1つにより画定される側壁を有し、また各タブは、寛骨臼シェルの一部に取外し可能に固定されるように構成されたタブの外側面上に少なくとも1つの突起を備える。
【0012】
試験用寛骨臼ライナ組立体の実装形態の様々な態様は、本明細書で述べられる他の特徴の1つまたは複数のものを含むことができる。例えば、試験用寛骨臼ライナは、寛骨臼シェルをさらに含むことができ、寛骨臼シェルは、少なくとも1つの突起を受け入れるように構成された溝を有する内側面を備える。いくつかの実装形態では、寛骨臼シェルの内側面は、植え込み可能な寛骨臼ライナのロック部分を受け入れるための少なくとも1つの窪みをさらに備える。いくつかの実装形態では、押下可能なタブの外側面上の少なくとも1つの突起は、寛骨臼シェルの溝にスナップ嵌めされるように構成される。いくつかの実装形態では、少なくとも1つの突起は、第1の突起および第2の突起を備え、押下可能なタブの外側面上の第1および第2の突起は、寛骨臼シェルの内側面上の溝にスナップ嵌めされるように構成される。
【0013】
本明細書で述べられるデバイスの特徴および利点は、添付図面と併せて、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになろう。これらの図面は、本開示によるいくつかの実施形態だけを示しており、その範囲を限定するものと見なすべきではない。図面において、同様の参照番号または記号は、文脈がその他の形を指定しない限り、通常、同様の構成要素を識別する。いくつかの例では、図面は、縮尺を合わせて描かれていない可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】植え込まれた股関節置換システムの例を示す図である。
図2】試験用寛骨臼ライナおよび寛骨臼シェルを含む寛骨臼カップ組立体の実施形態を示す分解図である。
図3】寛骨臼ライナおよびカップ組立体の実施形態の開いた端部の平面図である。
図4】線L1-L1に沿った図3の寛骨臼ライナおよびカップ組立体の例の横断面図である。
図5】タブの外壁上に少なくとも1つ(この例では2つ)の突起を有するライナ壁の一部を示す移動可能なタブの例を示す斜視図であり、突起は、突起の間で軸方向に延びる窪みにより分離されている。
図6】タブの外壁上に少なくとも1つ(この例では2つ)の突起を有するライナ壁の一部を示す移動可能なタブの例を示す斜視図であり、突起は、突起の間で軸方向に延びる窪みにより分離され、タブは、突起に近いタブの一部から、ライナの閉じた端部に向けて延びる溝をさらに含む。
図7】互いに対向して配置された2つのタブを有する試験用寛骨臼ライナの別の実施形態の例を示す斜視図である。
図8図7における寛骨臼ライナの例の開いた端部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明は、本発明のいくつかの態様および例を対象とする。しかし、本発明は、多くの異なる方法で実施することができる。本明細書の諸態様は、多くの様々な形態で実施できること、また本明細書で開示される任意の特定の構造、機能、またはその両方は、単に本発明の1つまたは複数の実施形態を表しているに過ぎないことは明らかである。本明細書で開示される態様は、いずれの他の態様からも独立して実施することができ、またこれらの態様のその2つ以上のものは、様々な方法で組み合わせることができる。例えば、本明細書で開示された任意の数の態様/特徴を用いて、寛骨臼の試験用ライナの様々な実施形態を実装することができる。さらに、本明細書に記載された諸態様のうちの1つまたは複数のものに加えて、もしくはそれ以外の他の構造、機能、または構造および機能性を用いて、このようなデバイスを実装する、またこのような方法を実施することができる。
【0016】
股関節全置換手術において、股関節の寛骨臼および大腿骨頭を置換するために、プロテーゼインプラントが使用される。寛骨臼は、寛骨臼カップで置換することができる。寛骨臼カップは、プロテーゼ大腿骨構成要素を受け入れるように構成された外側の寛骨臼シェルおよび寛骨臼ライナを含むことができる。最終的なライナを植え込む前に、1つまたは複数の試験用ライナを、その試験用または最終的なカップの中に挿入して、体への適合性を試験することができる。
【0017】
従来の試験用ライナは、最終的なライナの形状を模倣しているが、植え込み可能なライナを寛骨臼シェルに固定するために使用されるロック機構を含まないプラスチックの構成要素を含むことが多い。試験用ライナの例は、閉じた第1の端部、開いた第2の端部を画定する縁部、および閉じた第1の端部と開いた第2の端部の間で延びるライナ壁を含むことができる。ライナ壁の内側面は、プロテーゼ大腿骨構成要素を受け入れるように構成されたチャンバを画定することができる。ライナ壁の外側面は、シェル内に受け入れられるように構成される。ライナ壁は、内側面、外側面、少なくとも1つの移動可能なタブの一部を画定する少なくとも1組の切抜き部を含むことができる。
【0018】
少なくとも1つの移動可能なタブは、さらなる締結具(ねじ、または植え込み可能なライナで一般的な、他の同様なタイプの機械的な締結具など)を使用することなく、試験用ライナをシェルに取外し可能に固定する構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、各タブは、例えば、スナップ嵌めにより試験用ライナを定位置に固定すべくシェルに係合するように構成された、関節をなす構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、タブの縁部はライナの外側縁部からある距離だけ中に入るように構成され、ユーザがタブに接触して内側に移動させるための場所を提供し、タブの突起をライナが中にロックされたシェルから解放する。異なる実施形態では、試験用ライナの側面に形成された1つまたは複数の移動可能なタブがあり得る。試験用寛骨臼ライナの諸実施形態に含まれ得るいくつかの特徴の例が、図1から図8を参照して以下で述べられる。
【0019】
以下のものは、上記でリストアップされた図を参照して、本開示において述べられ、かつ列挙されるいくつかの構成要素のリストである。しかし、本明細書で別々に指定されるかどうかにかかわらず、諸図で示されたいずれの態様も、本発明の様々な実施形態の一部を形成することができ、かつさらなる記述があるかどうかにかかわらず、このような態様に関する特許請求の範囲の限定に対するベースを提供することができる。列挙される構成要素は、以下のものを含む、すなわち、
1 寛骨臼
2 大腿骨
6 寛骨臼構成要素
8 大腿骨構成要素
10 寛骨臼シェル
12 寛骨臼ライナ
14 大腿骨頭
18 ライナの開いた第2の端部
19 ライナの閉じた第1の端部
22 タブ
24 ライナの遠位周辺縁部
26 ライナの内側面
28 突起
29 突起
30 ライナの上面
32 窪み
33 ライナの内側周辺縁部
34 タブに沿った切抜き部
36 側方壁
38 第3の切抜き部
39 第2の窪み
40 近位端の窪み
42 遠位端の窪み
44 窪みの縁部
46 ライナにおける溝
48 シェルにおける溝
50 位置合わせ突起
52 位置合わせ凹部
54 ライナ壁
55 ライナの内部
56 シェルの内側面
57 外側面のライナ壁
58 シェルの外側面
60 近位端の切抜き部
61 遠位端の切抜き部
62 第3の切抜き部により画定されるタブの遠位壁
66 シェルの開いた端部
68 シェルの閉じた端部
70 第3の切抜き部により画定される近位壁
71 ロック機構
80 タブの外側縁部
82 タブの内側縁部
【0020】
図1は、患者の大腿骨2および寛骨臼1の中に植え込まれたシステムの例の概略図を示す。股関節置換手術において、股関節の寛骨臼および大腿骨頭を置換するために、プロテーゼインプラントを使用することができる。寛骨臼は、寛骨臼構成要素6を用いて置き換えることができる。寛骨臼構成要素6(または「カップ」)は、外側の寛骨臼シェル10(本明細書では「シェル」と呼ぶこともある)、および寛骨臼ライナ12(本明細書では「ライナ」と呼ぶこともある)を含むことができる。ライナ12は、大腿骨構成要素8のプロテーゼ大腿骨頭14を受け入れるように構成される。寛骨臼構成要素6を植え込む前に、1つまたは複数の試験用寛骨臼シェル10を患者の中に挿入して、患者の寛骨臼1への適合性を試験することができる。最終的な寛骨臼シェルおよび最終的な寛骨臼ライナが挿入される前であって、試験用寛骨臼シェル10が寛骨臼1内に配置されている間に、1つまたは複数の試験用ライナ12を試験用寛骨臼シェルの中に挿入して、継手の動作範囲など、患者の寛骨臼1に対する適合性を試験することができる。試験用寛骨臼ライナ12は、寛骨臼1に配置されるシェル10内で使用することができ、試験用寛骨臼ライナ、および対応する構成要素を用いて動作範囲および安定性を評価することができる。試験用寛骨臼ライナ12および対応する構成要素が、望ましい動作範囲および安定性を提供する場合、最終的な構成要素を植え込むことができる。試験用寛骨臼ライナ12および対応する構成要素が、望ましい動作範囲および安定性を提供しない場合、試験用寛骨臼ライナおよび/または別の構成要素は取り外されて、望ましい構成要素が見つかるまで、さらなる試験用構成要素本体と置き換えることができる。
【0021】
試験用寛骨臼ライナ12は、最終的な寛骨臼ライナ(すなわち、最終的に患者に植え込まれるもの)の形状および構造と同様な構成要素とすることができるが、試験用ライナ12は、患者において長期間使用する最終的な寛骨臼ライナを最終的な寛骨臼シェルに固定するために使用することのできる比較的「恒久的な」ロック機構を含まない。そうではなくて、試験用寛骨臼ライナは、適合性を見るために短い時間期間の間、試験用寛骨臼ライナ12をシェル10の中にロックし、かつ試験用寛骨臼ライナ12の容易かつ迅速な取外しを可能にする「一時的な」ロック機構を含む。
【0022】
図2は、試験用寛骨臼ライナ12および寛骨臼シェル10を含む寛骨臼カップ組立体の実施形態の図である。ライナ12の示された実施形態は、閉じた第1の端部19、開いた第2の端部18の縁部を画定する遠位周辺縁部24、および閉じた第1の端部19と開いた第2の端部18の間で延びる外側のライナ壁54を含む。ライナ12は内部55を有する。外側のライナ壁54の反対側に配置されたライナ12の内側面26は、ライナ12の内側部分55(例えば、チャンバまたは空洞部)を画定し、それは、プロテーゼ大腿骨構成要素を受け入れるように構成され、かつこのような構成要素に対応する形状をしている。例えば、様々な対応するプロテーゼ大腿骨構成要素は、様々な問題に対処するために様々な形状を有することができ、また内側面26は、使用される特定の大腿骨頭構成要素に一致するような構造とすることができる。いくつかの例では、ライナ12の内側面26は、概して半球の形状とすることができる。例えば、内側面56により画定されるシェル10の内部は、ライナ12を受け入れるように構成される。外側のライナ壁54は、シェル10内に受け入れられるように構成され、したがって、シェル10の内側面56は、外側のライナ壁54のすぐ近くに配置される。シェル10は、開いた端部66および閉じた端部68を含む。シェル10の外側面58は、シェル10を寛骨臼に固定するために骨の内部成長を行うように構成されることが多い。
【0023】
図2は、シェル10およびライナ12の例示された実施形態のいくつかのさらなる態様を示す。ライナ12は、ライナ12の開いた端部18の外周に沿った遠位周辺縁部24を含む。ライナ12の開いた端部18における上面30は、概して平面内で内方向に、遠位周辺縁部24から内側面26の上の部分に隣接する内側周辺縁部33へと延びる。ライナ壁54は、上面30(例えば、開いた端部18)から閉じた端部19へと延びる。ライナ壁54は、内側面26および外側面57を含む。
【0024】
ライナ壁54の内側面26と外側面57の両方は、ライナ12を使用しやすくする様々な構造を含む。内側面26は、例えば、大腿骨頭など、大腿骨構成要素を収容するように、概して滑らかである。1組の3つの切抜き部が、移動可能な1つまたは複数のタブ22の部分を画定し、タブ22は、シェル10の対応する構造に結合し、かつライナ12をシェル10内に保持できる構造をそこに有する。タブ22における構造、およびシェル10の対応する構造は、様々な構成の寸法および形状とすることができ、図2で示される実施形態は、一例である。別の例では、タブ22は、シェル10における対応する開口部もしくは孔の中に嵌合する1つまたは複数の突起を含むことができる。
【0025】
図2で示されたライナ12のタブ22は、タブ22Aおよびタブ22Bの2つのタブを含む。両方のタブ22A、22Bは、本明細書において、参照しやすくするために、タブ22と呼ぶこともある。ライナ12は、タブの一部を画定する切抜き部を含む。例えば、別個の組の3つの切抜き部を、各タブ22に関連付けることができ、その3つの切抜き部が、例えば、図2で示されたタブ22のいくつかの側方壁/面など、各タブ22の部分を画定することができる。図2で示された2つのタブ22Aおよび22Bの場合、2組の切抜き部が存在し、1組の切抜き部が2つのタブ22A、22Bのそれぞれに関連付けられる。例として、1組の切抜き部34A、34B、および38が、タブ22Aの側部を画定し、かつ内側面26の一部を通って延びる。
【0026】
示された実施形態では、切抜き部34A、34Bはそれぞれ、平坦な、または実質的に平坦な形状をしており、開いた上面30から、閉じた端部19に向けて軸方向に平行に延びる。切抜き部34A、34Bは、例えば、遠位周辺縁部24から、ライナ12の内部へと内方向に、ライナ壁54の一部を完全に貫通する。このように、切抜き部34A、34Bは、平面内で、概して軸方向に延びるタブ22の側方壁を画定する。
【0027】
切抜き部34A、34Bはまた、ライナ壁54の側方壁36を画定する。切抜き部34にライナ材料がないため、切抜き部34Aはタブ22の側部における側方壁、およびライナ壁54の(平行な)側方壁を画定する。切抜き部34Bは、切抜き部34にライナ材料がない結果として、タブ22の側部における側方壁を画定し、かつタブ22における側方壁に平行なライナ壁54の側方壁を画定する。切抜き部34A、34Bは、遠位周辺縁部24における切抜き部の遠位端61から、ライナ内側面26の点(および縁部)における切抜き部の近位端60へとライナの中に延びる。
【0028】
タブ22Aに関連付けられた1組の切抜き部における第3の切抜き部38は、ライナ壁54の一部を貫通して延び、内側面26において切抜き部を形成する。切抜き部38は、切抜き部34Aおよび34Bの近位端60の間で、すなわち、ライナ12の中心軸に最も近い、切抜き部34Aおよび34Bの端部の間で延びる。切抜き部34A、34Bは、ライナ壁54の一部を完全に通って延びるライナ12の切抜き部分を画定しており、切抜き部38は、内側面26からライナ壁54へと部分的に延びるが、ライナ壁54を完全に貫通するわけではない。
【0029】
示された実施形態を含むいくつかの実施形態では、切抜き部38の方向は、切抜き部34Aおよび34Bに対して直角に位置合わせされる。いくつかの実施形態では、切抜き部38は、切抜き部34A、34Bに対してある角度で(例えば、切抜き部34A、34Bに対して直角ではなく)位置合わせされる。いくつかの実施形態では、切抜き部38は真っ直ぐではない。例えば、切抜き部38は湾曲することができる。いくつかの実施形態では、切抜き部38は、2つ以上のセクションを含み、各セクションは湾曲する、または真っ直ぐである。いくつかの実施形態では、切抜き部38は、切抜き部34Bの近位端60から切抜き部34Aの近位端60まで延びる。
【0030】
切抜き部38は、タブ22の遠位壁62を画定する、遠位壁62は、ライナ12の軸に向けて、かつ切抜き部38によりこれも画定されるライナ12の反対側の近位壁70に向けて内側に面する。切抜き部38がライナ壁54を部分的に通って延びるようにライナ12を構成することにより、切抜き部38に隣接したライナ壁54の一部(取り外せない)は、タブ22に取り付けられ、タブ22が動く(または撓む)ことができるようにし、したがって、タブ22の上側部分(例えば、開いた上面30に隣接する)が、試験用ライナ12をシェル10から外せるように、ライナ12の軸に向けて移動できるようにする。すなわち、タブ22は、遠位壁62が、反対側の近位側方壁70に向けて移動するように動くことができる。
【0031】
切抜き部38は、このように、タブ22の一部が中に移動して、試験用ライナ12をシェル10から外すことができる空洞部を提供する。こうすることは、タブを有することができるが、このようなタブは、間隙(切抜き部38)が欠けているため、動かすのがより困難であり、試験用ライナをシェルから解放するために、タブを動作させる工具に対して十分強度のある座を得るようにタブ上の空洞部に係合することになる工具を必要とすることの多い従来の試験用ライナに対する、試験用ライナ12の例示された実施形態の1つの改良点である。
【0032】
図2で示されるように、ライナ12は、ライナ壁54の外側57に沿って、平面内に配置された複数の位置合わせ突起50をさらに含む。シェル10は、複数の位置合わせ突起50に配置が対応し、かつライナ12がシェル10の中の配置されたとき、複数の位置合わせ突起50を受け入れるような形状および寸法である位置合わせ凹部52を含む。
【0033】
図2をさらに参照すると、様々な実施形態では、ライナ12は、1つのタブ22、2つのタブ、3つのタブ、または3を超えるタブを含むことができる。図2で示された実施形態は、2つのタブを含み、第1のタブ22Aおよび第2のタブ22Bである。各タブ22は、ライナ壁54の一部として形成され、3つの切抜き部により、少なくとも部分的に画定される。例えば、タブ22Aは、切抜き部34A、34B、および38により部分的に画定される。タブ22は、シェル10の内側面56上に配置される溝48に受け入れられる1つまたは複数の突起(例えば、タブ22B上に示された突起28、29)を含むことができる。溝48は、シェル10の軸に対して直角に位置合わせされた平面内にあり得る。ライナ12がシェル10の中に配置されたとき、タブ22のそれぞれの突起28、29は、溝48内に受け入れられて、ライナ12をシェル10の中にロックする。ライナ12は、突起28、29を溝48から外すようにタブ22を移動させることにより、シェル10から外すことができ、ライナ12を、シェル10の開いた端部66の外に移動させることができる。
【0034】
図2で示された実施形態では、軸方向にライナ12の閉じた端部19に向けて、遠位周辺縁部24に沿った窪みの近位端40から、窪みの遠位端42へと延びる窪み32を含む。いくつかの実施形態では、窪み32は、タブ22上で、2つの突起(例えば、突起28、29)の間で延びることができる。図2で示される実施形態に含まれるいくつかの実施形態では、窪みの遠位端42は、突起28、29に隣接している。他の実施形態では、窪みの遠位端42は、突起28、29を通って延びる。示された実施形態では、窪みの遠位端42におけるタブ22上の窪みの縁部44は窪み32の端部である。言い換えると、窪み32は、窪みの縁部44を過ぎて延びることはない。
【0035】
いくつかの実施形態では、タブ22は溝46を含み、溝46は、例えば、構造を欠いているライナ壁54の一部など、開いた領域である。いくつかの実施形態では、溝46は、シェル10における対応する構造の中に嵌合するように構成される。いくつかの実施形態では、溝46は、タブ22/ライナ壁54の一部を形成するために必要な材料の量を最小化するように設計される。タブ22は、第3の切抜き部38を含めることから、より少ない材料を有するように構成することができ、それは、タブ22を、シェル10の中にしっかりと固定できるようにし、かつ容易に移動して(第3の切抜き部38により生成される間隙により)ライナ12をシェル10におけるロック位置から解放できるようにする。このような構成は、タブ22を容易に撓むようにする、または移動させ、したがって、タブ22に結合されたライナ12の材料に対してより少ない応力を生じさせることができ、またそれに応じて、ライナ12は、タブ22部分には少ない材料でよく、タブ22が動くとき、破損することのないように、十分な支持および強度を提供することができる。
【0036】
図3は、シェル10に取り付けられた、図2で示された寛骨臼ライナ12の例の開いた端部の平面図を示す。この図において、対向して配置された2つのタブ22が示されており、各タブ22は、1組の切抜き部により部分的に画定され、1組の切抜き部は、第1の切抜き部34Aと、第1の切抜き部34Aに平行に並べられた第2の切抜き部34Bと、第1の切抜き部34Aおよび第2の切抜き部34Bに直角に位置合わせされた第3の切抜き部38とを有する。第1および第2の切抜き部34A、34Bは、ライナ壁54を貫通して延びる。第3の切抜き部38は、ライナの内側面26からライナ12を部分的に通って延びる。第3の切抜き部38は、タブ22の遠位壁62、およびライナの平行な近位壁70を画定する。
【0037】
図3はまた、2つのタブ22のそれぞれにおける窪み32を示す。窪み32は、例えば、窪み32上に置かれたユーザの指または工具により、タブ22を動かす(または押下する)ために使用できる構造的な機構である。ライナ12をシェル10から外すために、(対向して配置された)窪み32の一方または両方に工具を配置することができ、またタブ22を移動させて、タブ22上の突起28、29を、シェル10の突起28、29受入れ溝48から解放することができる(図2)。例えば、工具(または指)は、タブ22上の突起28、29をシェル10の突起28、29受入れ溝48から解放するために、タブ22の上側部分を互いの方向に(例えば、ライナ12の中心に向けて内方向に)移動させることができる。
【0038】
図2および図3に示された構成を含むいくつかの構成では、第3の切抜き部38は、タブ22が、受入れ溝から突起がより容易に解放されるように移動できる間隙を提供する。こうすることは、平板構造(すなわち、突起)の解放を、平板構造をシェルにおけるロック機構から解放するために十分移動させるように平板構造の材料を撓ませることによって実施することができ、第3の切抜き部38を有しない別の構成に対して大幅な改良である。例示された設計を用いると、指または簡単な工具を窪み32と共に使用して、タブ22をシェル10のロック機構から解放することができ、またこれは、タブを解放するために十分な力を提供するために、タブの上部を通って延び、タブ上のさらなる構造に固定される必要のある工具を用いる必要性をなくす。ここで、例えば、工具またはユーザの指を使用して、タブの一方だけであっても容易に移動させて、タブ22上のロック機構(例えば、突起28、29)を、シェル10の内側のロック機構機能(例えば、突起受入れ溝48)から解放することができ、それにより、ライナ12をシェル10から外すことができる。
【0039】
図4は、線L1-L1に沿った、図3の寛骨臼ライナの例の横断面図を示す。本明細書で使用される「軸」、「軸方向」、「内方向」、「内側」、「外側」、および「外方向」という用語を参照すると、図4は、ライナ12とシェル10の両方の軸Aで示しており、軸Aは、ライナ12およびシェル10の中心点を通って延び、ライナ12の開いた上面30に対して直角であり、また図4は、「内側への」半径方向Rおよび「外側への」の半径方向Rを示している。
【0040】
図4では、ライナ12の閉じた端部が、シェル10の開いた端部の中に配置されて示され、またライナ12は、シェル10の内部に座している。上記で述べたように、シェル10は、シェル10の内壁上に突起受入れ溝48を含む。いくつかの実施形態では、シェル10は、ライナ12をシェル10の中に一時的にロックするために、ライナ12をシェル10の中に恒久的に(例えば、嵌合プロセス中よりも長い時間の間)ロックするために、かつ/またはライナ12をシェル10と位置合わせするために、ライナ12の外側のライナ壁54上の突起を受け入れるための突起受入れ溝に代えて、またはそれに加えて、1つまたは複数の突起受入れ窪み(または凹部)を含む。シェル10は、寛骨臼カップ組立体が「恒久的に」患者に植え込まれるとき、寛骨臼インプラントライナを寛骨臼シェル10の中にロックするために使用できる1つまたは複数のロック構造71(例えば、溝または凹部)を有することができる。
【0041】
図4で示されるように、突起受入れ溝48は、シェル10の一方の側の第1のタブ22に関連付けられた突起28、およびシェル10の反対側の第2のタブ22に関連付けられた突起29を受け入れている。ライナ12におけるシェル10のこの構成において、突起28、29は、それらが突起受入れ溝48の中への「スナップ嵌め」を有するように、突起受入れ溝48の中に入る。すなわち、ライナ12がシェル10の中に配置されると、ライナ12の両側のタブ22は、突起28、29がシェル10の内壁に触れたとき、わずかな量だけ内側に移動する。タブ22の内側の移動は、切抜き部34A、34B、38によって容易に行われ、特に、切抜き部38によって容易に行われるが、これは、タブ22が内側に移動するための間隙を提供するからである。ライナ12が、シェル10内に正しく位置している場合、突起28、29は、外方向に移動して、突起受入れ溝48の中に入り、一時的にライナ12をシェルの中にロックする。
【0042】
この実施形態では、また図2でも示されるように、各タブ22は、2つの突起28、29を含む。他の実施形態では、タブ22は、ライナ12をシェル10の中にロックする単一の突起、または2つ以上の突起を有するように構成することができる。例示された構成では、各タブ22は、窪み32によって分離された2つの突起28、29を有する。この構成(第3の切抜き部38を含む)、簡単な工具またはヒトの指も用いて、タブ22の容易な移動を可能にする。他の試験用寛骨臼ライナは、窪みの下にさらなる構造(例えば、工具受入れ空洞部など)を有する必要のある可能性があり、それは、頑丈な工具を、タブに取り付けるために、かつタブの一部を構成するライナ壁を撓ませるための十分な力を加えるために使用できるようにし、タブを内方向に移動させてシェル10から解放できるようにする。示された構成は、この要件の必要性をなくし、かつ試験用寛骨臼ライナ12をシェル10に対して、容易に、かつ迅速な組込み、また取出しを行えるようにする。これが手術中に行われるので、試験用寛骨臼ライナの取外しの効率および速度は重要であり、それは、最適な適合性を決定するために複数のライナを試験することを容易にするからである。例示された実施形態は、このプロセスの効率および速度を促進する。
【0043】
図5は、タブ22の外壁上に少なくとも1つの突起28、29(この例では2つ)を有するライナ壁54の一部を示す移動可能なタブ22の例を示す斜視図であり、ここで、突起28、29は、突起28、29の間で軸方向に窪み近位端40から、遠位端42へと延びる窪み32により分離される。切抜き部34A、34Bは、タブ22の両側にある。この実施形態では、タブ22は、遠位の窪み端部42において、縁部44から概して軸方向に延びる第2の窪み39を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、第2の窪み39は、ライナ12の中に、窪み32と同じ量、またはそれ未満の量だけ内方向に窪んでいる。窪みの縁部44は、窪み32と第2の窪み39を分離することができる。図5で示される実施形態における第2の窪み39により占められたタブ22の部分は、例えば、製作の容易化に基づいて、またはライナ12を形成するのに必要なライナ材料を最小化するために、様々な方法で構成することができる。すなわち、概して、第2の窪み39、および第2の窪み39によって占められるスペースは、タブ22が動作するのに必要な機能を提供しない。そうではなくて、それは、いくつかの実施形態において、必要ではない、または望ましくもない(いずれかの材料が行う)何らかの構造的なサポートを提供することができる。
【0045】
図6は、別の実施形態の例を示す斜視図であり、タブ22の外壁上に少なくとも1つ(この例では2つ)の突起28、29を有するライナ壁54の一部を示す移動可能なタブ22を示している。突起28、29は、突起28、29の間で軸方向に延びる窪み32により分離される。この実施形態では、第2の窪み39(図5で示される)に代えて、この実施形態では、タブ22は、窪みの縁部44から軸方向に、ライナ12の閉じた端部に向けて延びる溝46を含む。溝46にはライナ材料がなく、それは、例えば、試験用ライナ12を製作するのに必要な材料の量を最小化するための方法として含まれている。
【0046】
さらにいくつかの実施形態では、溝46は、位置合わせまたは嵌合させる目的で、シェルの内側の対応する構造を受け入れるように構成することができる。いくつかの実施形態では、このような溝46は、窪みの縁部44の下で開始し、したがって、窪み32からは分離し、かつ別個のものであり、また溝46は空間的に、かつ構造的に窪み32と通じていない。例えば、様々な実施形態では、窪み32内のいずれかの点で開始し、窪みの近位端40から離れて軸方向に移動する線は、溝46に入ることはない、または交差しない。
【0047】
図7および図8は、試験用寛骨臼ライナ12の実施形態の別の例を示す。図7は、試験用寛骨臼ライナ12実施形態の斜視図である。図8は、図7で示された試験用寛骨臼ライナ12の開いた端部18の平面図を示す。この実施形態では、ライナ12は、例えば、ライナ12の両側に配置された第1および第2のタブ22、開いた端部18、閉じた端部19、開いた端部の上面30、遠位周辺縁部24、ならびに内側周辺縁部33など、図2図5で示されたライナと同じ機構のいくつかを含む。タブ22のそれぞれは、1組の切抜き部に関連付けられる。この実施形態では、切抜き部の各組は、軸方向にライナを通って完全に延び、タブ22の側方縁部を画定し、タブ22を移動できるようにする第1の切抜き部34A、および第2の切抜き部34Bを含む。図2から図5で示された実施形態とは異なり、図7および図8における実施形態は、第3の切抜き部38(図2)を含まない。さらに、各タブは、タブ22の外側面に沿って延びる単一の突起28を含むが、図7および図8で示された試験用寛骨臼ライナのいくつかの実施形態では、タブ22は、複数の突起を有することができ、またさらに、例えば、窪み32、溝46などの、図2で例示された実施形態で示された他の機構を有することもできる。
【0048】
図7および図8における実施形態をさらに参照すると、タブ22の外側縁部80は、図7で示されるように、ライナ12の遠位周辺縁部24から距離「d」だけ中に入っている。すなわち、タブ22の外側縁部80は、ライナ12の遠位周辺縁部24が、タブ22に沿って同じカーブで連続した場合にあるはずの場所から距離「d」だけ中に入っている。いくつかの実施形態では、距離dは、約(例えば、プラスまたはマイナス0.5mm)1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、または10mmとすることができる。いくつかの実施形態では、距離dは、10mmを超えることができる。いくつかの実施形態では、また図8で見ることができるように、タブ22の内側縁部82は、ライナ12の内側周辺縁部33と位置合わせされた曲線に相当し、したがって、ライナ12の開いた端部18に受け入れられた大腿骨頭構成要素が、ライナ12の内壁上の表面26と接触することになる。いくつかの実施形態では、表面26は、表面間で滑らかな相互作用を行うように、表面26と接触する大腿骨頭構成要素の湾曲した外側表面に適合するように湾曲している。外側縁部80の凹みは、工具またはユーザの指がタブ22に係合できるようにし、かつタブ22を移動して突起28を、シェルの対応する溝または窪みにおけるロック位置から解放できるようにする。
【0049】
本明細書で述べられる特徴の1つまたは複数のものを用いて、試験用寛骨臼ライナの様々な実施形態を実装することができる。例えば、実施形態Aの様々の例では、画定された直角をなす半径方向および軸方向を有するものとして特徴付けられた試験用寛骨臼ライナは、閉じた第1の端部、開いた第2の端部、および閉じた第1の端部と開いた第2の端部の間で延びるライナ壁を含むことができ、ライナ壁は、開いた第2の端部の外周部を画定する遠位周辺縁部を有する。ライナ壁は、大腿骨頭構成要素を受け入れるためのチャンバを画定する内側面と、寛骨臼シェル内に受け入れられるように構成された外側面と、少なくとも1組の切抜き部を含むことができる。切抜き部の各組は、ライナ壁の一部を通る第1の切抜き部、第1の切抜き部に位置合わせされ、かつライナ壁を通る第2の切抜き部であって、第1および第2の切抜き部が、遠位周辺縁部からライナの内側面の中へと延びる、第2の切抜き部、およびライナの内側面にあり、ライナ壁を部分的に通る第3の切抜き部であって、第3の切抜き部は、第1の切抜き部の近位縁部から、第2の切抜き部の近位縁部へと延び、第1および第2の切抜き部の近位縁部は、遠位周辺縁部よりもライナの中心軸に近い、第3の切抜き部を含むことができる。試験用寛骨臼ライナは、遠位周辺縁部から、ライナの中心軸に向けて延びる少なくとも1つの移動可能なタブをさらに含むことができ、各タブは、少なくとも1組の切抜き部の1つにより画定される側壁を有し、また各タブは、寛骨臼シェルの一部に取外し可能に固定されるように構成された、タブの外側面上に少なくとも1つの突起を備える。試験用寛骨臼ライナの実施形態Aのいくつかの例では、第1の切抜き部は、第2の切抜き部に対して平行である。試験用寛骨臼ライナの実施形態Aのいくつかの例では、第1の切抜き部は、第2の切抜き部に対して平行ではないが、それに代えて、第1および第2の切抜き部は共に、第3の切抜き部の近くにあり、遠位周辺縁部(例えば、それは、開いた第2の端部の周辺部を画定する)においてさらに離れるように、非平行に位置合わせされる。
【0050】
試験用寛骨臼ライナの実施形態Aのいくつかの例では、少なくとも1つの突起は、第1の突起および第2の突起を備える。第1の突起および第2の突起を備える実施形態Aのいくつかの例では、少なくとも1つのタブは、タブ上の遠位周辺縁部に第1の窪みをさらに備え、第1の窪みは、遠位周辺縁部上の第1窪みの第1の端部から、第1および第2の突起に近い第1の窪みの第2の端部へと、閉じた第1の端部に向けて軸方向に延びる。さらに、いくつかのこのような例では、第1の窪みは、第1突起の側部、および第2突起の側部を画定する。試験用寛骨臼ライナの実施形態Aのいくつかの例では、ライナは、第1の移動可能なタブおよび第2の移動可能なタブを含み、第1の移動可能なタブおよび第2の移動可能なタブは、互いに対向して位置合わせされる。このような例のいくつかでは、少なくとも1組の切抜き部は、第1の移動可能なタブに関連付けられた第1の組の切抜き部、および第2の移動可能なタブに関連付けられた第2の組の切抜き部を備える。第1の窪みを有する実施形態Aのいくつかの例では、少なくとも1つのタブは、第1の窪みの第2の端部の近くで開始し、ライナの閉じた第1の端部に向けて延びるライナ壁の溝をさらに備える。このような実施形態のいくつかのさらなる例では、ライナ壁の溝は、窪みから分離される。このような実施形態のいくつかのさらなる例では、ライナ壁の溝は、第1の窪みの第2の端部における縁部によって第1の窪みから分離される。第1の窪みを有する実施形態Aのいくつかの例では、少なくとも1つのタブは、第1の窪みの第2の端部の近くから、ライナの第1の閉じた端部に向けて、軸方向に延びる第2の窪みをさらに含み、第2の窪みは、第1の窪みよりも少ない量、または同じ量だけ窪みが付けられる。第1の窪みを有する実施形態のいくつかの例では、第1の窪みは、少なくとも1つの突起を過ぎて延びる。第1の窪みを有する実施形態のいくつかの例では、第1の窪みは、工具の表面を受け入れるような構造をしており、またタブは、工具によって第1の窪みに力が加えられたとき、ライナの軸に向けた方向に、内側に移動するように構成される。第1の窪みを有する実施形態のいくつかの例では、第1の窪みは、指の表面を受け入れるような構造をしており、タブは、指によって第1の窪みに力が加えられたとき、ライナの軸に向けた方向に、内側に移動するように構成される。試験用寛骨臼ライナの実施形態Aのいくつかの実施形態では、第3の切抜き部が、第1および第2の切抜き部に対して直角に位置合わせされる。試験用寛骨臼ライナの実施形態Aのいくつかの実施形態では、第3の切抜き部は湾曲している。
【0051】
他の特徴を有する他の実施形態が企図される。例えば、実施形態Bでは、画定された直角をなす半径方向および軸方向を有するものとして特徴付けられた、股関節の置換用に使用するための植え込み可能なライナを決定するのに使用される試験用寛骨臼ライナは、閉じた第1の端部、開いた第2の端部、閉じた第1の端部と開いた第2の端部の間で延びるライナ壁を含むことができ、ライナ壁は、内側面および外側面、ならびに少なくとも1組の切抜き部を備える。少なくとも1組の切抜き部は、ライナ壁を通る第1の切抜き部と、ライナ壁を通る第2の切抜き部と、ライナ壁の内側面にあり、第1の切抜き部から第2の切抜き部まで延びてライナを部分的に通る第3の切抜き部とを含むことができる。実施形態Bの例はまた、ライナの軸中心に向けて内側に周辺縁部から延び、少なくとも1組の切抜き部の1つにより画定される側壁を有する少なくとも1つの移動可能なタブを含むことができ、タブは、寛骨臼シェルの窪みに取外し可能に固定されるように構成された、タブの外側面上に少なくとも1つの突起を備える。試験用寛骨臼ライナの実施形態Bのいくつかの例では、少なくとも1つの突起は、第1の突起および第2の突起を備える。試験用寛骨臼ライナの実施形態Bのいくつかの例では、少なくとも1つのタブは、タブの遠位周辺縁部に第1の窪みをさらに備え、窪みは、遠位周辺縁部上の第1の窪みの第1の端部から、第1および第2の突起の近くの第1の窪みの第2の端部へと、閉じた第1の端部に向けて軸方向に延びる。第1の窪みを有する実施形態Bのいくつかの例では、第1の窪みは、第1の突起の側部、および第2の突起の側部を画定する。実施形態Bのいくつかの例では、少なくとも1つの移動可能なタブは、互いに対向して配置された第1の移動可能なタブおよび第2の移動可能なタブを備える。実施形態Bのいくつかの例では、少なくとも1組の切抜き部は、第1の移動可能なタブに関連付けられた第1の組の切抜き部、および第2の移動可能なタブに関連付けられた第2の組の切抜き部を備える。実施形態Bのいくつかの例では、少なくとも1つのタブは、第1の窪みの第2の端部の近くで開始し、ライナの閉じた第1の端部に向けて延びるライナ壁の溝をさらに備える。ライナ壁の溝を備える実施形態Bのいくつかの例では、ライナ壁の溝は、第1の窪みから分離される。このような例では、ライナ壁の溝は、第1の窪みの第2の端部において、縁部により第1の窪みから分離され得る。実施形態Bのいくつかの例では、少なくとも1つのタブは、第1の窪みの第2の端部の近くから、ライナの第1の閉じた端部に向けて、軸方向に延びる第2の窪みをさらに含み、第2の窪みは、第1の窪みよりも少ない量、または同じ量だけ窪みが付けられる。試験用寛骨臼ライナのいくつかのこのような例では、第1の窪みは、少なくとも1つの突起を過ぎて延びる。試験用寛骨臼ライナの実施形態Bのいくつかの例では、第1の切抜き部は、第2の切抜き部に対して平行である。試験用寛骨臼ライナの実施形態Bのいくつかの例では、第3の切抜き部は、第1の切抜き部および第2の切抜き部に対して直角である。試験用寛骨臼ライナの実施形態Bのいくつかの例では、第3の切抜き部は、第1の切抜き部および第2の切抜き部に対して直角ではない。試験用寛骨臼ライナの実施形態Bのいくつかの例では、第3の切抜き部は、湾曲している。試験用寛骨臼ライナの実施形態AまたはBのいくつかの例では、第1の切抜き部および第2の切抜き部は、湾曲している。試験用寛骨臼ライナの実施形態Bのいくつかの例では、第1の切抜き部は、第2の切抜き部に対して平行ではない。試験用寛骨臼ライナの実施形態Bのいくつかの例では、第3の切抜き部は、第1の切抜き部に対して直角ではない。
【0052】
試験用寛骨臼ライナ組立体の実施形態Cは、画定された直角をなす半径方向および軸方向を有するものとして特徴付けることができ、また寛骨臼シェルおよびライナを含むことができる。実施形態Cのライナの例は、閉じた第1の端部、開いた第2の端部、および閉じた第1の端部と開いた第2の端部の間で延びるライナ壁を含むことができ、ライナ壁は、開いた第2の端部の外周部を画定する遠位周辺縁部を有する。ライナ壁は、大腿骨頭構成要素を受け入れるためのチャンバを画定する内側面と、寛骨臼シェル内に受け入れられるように構成された外側面と、少なくとも1組の切抜き部であって、ライナ壁の一部を通る第1の切抜き部、第1の切抜き部に位置合わせされ、かつライナ壁を通る第2の切抜き部であって、第1および第2の切抜き部は、遠位周辺縁部からライナの内側面の中へと延びる、第2の切抜き部、およびライナの内側面にあり、ライナ壁を部分的に通る第3の切抜き部であって、第1の切抜き部の近位縁部から第2の切抜き部の近位縁部へと延びる、第3の切抜き部を含むことができ、第1および第2の切抜き部の近位縁部は、遠位周辺縁部よりもライナの中心軸に近い、少なくとも1組の切抜き部と、ライナの中心軸に向けて遠位周辺縁部から延びる少なくとも1つの移動可能なタブであって、各タブは、少なくとも1組の切抜き部の1つにより画定される側壁を有し、各タブは、寛骨臼シェルの一部に取外し可能に固定されるように構成されたタブの外側面上に少なくとも1つの突起を備える、移動可能なタブとを含むことができる。いくつかの例では、第1および第2の切抜き部は、平行に整列させることができる。いくつかの例では、第1および第2の切抜き部は、互いに対してある角度で位置合わせすることができる。実施形態A、B、またはCのいずれかのいくつかの例では、第1および第2の切抜き部は共に、第3の切抜き部の近くで接近するように、または第3の切抜き部の近くでさらに離れるように位置合わせする、または平行になるように位置合わせすることができる。実施形態Cのいくつかの例では、寛骨臼シェルは、少なくとも1つの突起を受け入れるように構成された溝を有する内側面を含む。実施形態Cのいくつかの例では、寛骨臼シェルの内側面は、植え込み可能な寛骨臼ライナのロック部分を受け入れるための少なくとも1つの窪みをさらに備える。実施形態Cの試験用寛骨臼ライナ組立体のいくつかの例では、押下可能なタブの外側面上の少なくとも1つの突起は、寛骨臼シェルの溝とスナップ嵌めを行うように構成される。実施形態Cの試験用寛骨臼ライナ組立体のいくつかの例では、少なくとも1つの突起は、第1の突起および第2の突起を備え、ここで、押下可能なタブの外側面上の第1および第2の突起は、寛骨臼シェルの内側面の溝とスナップ嵌めをするように構成される。
【0053】
前述の説明は、本明細書で開示されるシステム、デバイス、および方法のいくつかの実施形態の細部を説明している。しかし、前述のものがどれだけ詳しくテキストに記載されていようとも、システム、デバイス、および方法は、多くの方法で実施できることが理解されよう。上記ですでに述べたように、本発明のいくつかの特徴または態様を述べるときに特定の専門用語を使用することは、その専門用語が、本明細書で再定義されて、その専門用語が関係する技術の特徴または態様の何らかの特定の特性を含めるように制限されることを示唆するものと解釈すべきではないことに留意されたい。
【0054】
いくつかある中で特に、「できる(can)」、「できる可能性もある(could)」、「かもしれない(might)」、または「あり得る(may)」などの条件付き言語は、特段の指定がない限り、普通であれば、一般に、いくつかの特徴、要素、および/またはステップを、いくつかの実施形態は含むが、他の実施形態は含まないことを伝えるためにコンテキスト内で使用されるものと理解される。したがって、このような条件付き言語は、一般に、特徴、要素、および/またはステップが、いずれにしても1つまたは複数の実施形態で必要であること、または1つまたは複数の実施形態が、ユーザ入力もしくは指示の有無にかかわらず、これらの特徴、要素、および/またはステップがいずれかの特定の実施形態に含まれる、または実施されるかどうかを決定するための論理を必ず含むことを示唆するように意図されるものではない。
【0055】
見出しが、参照用として、また様々なセクションを特定するのを助けるために本明細書に含まれる。これらの見出しは、それに対して述べられた概念の範囲を限定することを意図するものではない。このような概念は、明細書全体を通して適用可能性を有することができる。
【0056】
「X、Y、またはZのうちの少なくとも1つ」というフレーズなどの選言的言語は、コンテキストにおいて、普通であれば、特段の指定がない限り、項目、用語などは、X、Y、もしくはZのいずれか、またはそれらの任意の組合せ(例えば、X、Y、および/またはZ)とすることができることを一般に提示するために使用されるものと理解される。したがって、このような選言的言語は、概して、いくつかの実施形態が、少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、または少なくとも1つのZがそれぞれ存在することを必要としていることを示唆するように意図されておらず、示唆すべきものではない。
【0057】
「に基づく」というフレーズは、その他の形で明示的に指定されない限り、「にだけ基づく」ことを意味しない。言い換えると、「に基づく」というフレーズは、「にだけ基づく」と、「に少なくとも基づく」の両方を述べる。明示的に他の形で述べられない限り、「1つの(a)」または「1つの(an)」などの冠詞は、概して、1つまたは複数の述べられた項目を含むように解釈されるべきである。したがって、「ように構成されたデバイス(a device)」などのフレーズは、1つまたは複数の記載されたデバイスを含むように意図される。
【0058】
述べられた技術の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を実施できることが、当業者であれば理解されよう。このような修正および変更は、実施形態の範囲に含まれるように意図される。1つの実施形態に含まれる部品は、他の実施形態と相互に交換可能であり、示された実施形態からの1つまたは複数の部品は、任意の組合せで他の示された実施形態に含まれ得ることが当業者であればさらに理解されよう。例えば、本明細書で述べられ、かつ/または諸図で示された様々な構成要素のいずれも、組み合わせることができ、相互に交換可能であり、または他の実施形態から除外することができる。
【0059】
上記の記述は、本発明のいくつかの方法、および材料を開示する。本発明は、方法および材料における修正、ならびに製作方法および機器における改変が可能である。このような修正は、本開示を考慮し、または本明細書に開示された本発明を実施することにより、当業者には明らかになるであろう。したがって、本発明は、本明細書で開示された特定の実施形態に限定されるようには意図されておらず、それは、添付の特許請求の範囲で具体化される本発明の真の範囲および趣旨に含まれるすべての修正形態および代替形態を包含するように意図される。出願人は、新規であり、かつ非自明であると考えられる開示された本発明の組合せおよび下位の組合せを対象とする特許請求の範囲を提出する権利を留保する。特徴、機能、要素、および/または特性の他の組合せおよび下位の組合せで実施される発明は、現在の出願において、または関連出願において、これらの特許請求の範囲の補正により、または新しい特許請求の範囲を提示することにより、特許請求することができる。このように補正された、または新しい請求項は、それらが、同じ発明を対象としているか、それとも異なる発明を対象としているかどうか、またそれらが、原請求項に対して、範囲が異なる、より広い、より狭い、または等しいかどうかは、本明細書で述べられた本発明の主題の範囲内で考慮されるべきである。
【符号の説明】
【0060】
1 寛骨臼
2 大腿骨
6 寛骨臼構成要素
8 大腿骨構成要素
10 寛骨臼シェル
12 寛骨臼ライナ
14 大腿骨頭
18 ライナの開いた第2の端部
19 ライナの閉じた第1の端部
22 タブ
24 ライナの遠位周辺縁部
26 ライナの内側面
28 突起
29 突起
30 ライナの上面
32 窪み
33 ライナの内側周辺縁部
34 タブに沿った切抜き部
36 側方壁
38 第3の切抜き部
39 第2の窪み
40 窪みの近位端
42 窪みの遠位端
44 窪みの縁部
46 ライナにおける溝
48 シェルにおける溝
50 位置合わせ突起
52 位置合わせ凹部
54 ライナ壁
55 ライナの内部
56 シェルの内側面
57 ライナ壁の外側面
58 シェルの外側面
60 切抜き部の近位端
61 切抜き部の遠位端
62 第3の切抜き部により画定されるタブの遠位壁
66 シェルの開いた端部
68 シェルの閉じた端部
70 第3の切抜き部により画定される近位壁
71 ロック機構
80 タブの外側縁部
82 タブの内側縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8