(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】空気圧式の制動システム用の非常制動弁システム
(51)【国際特許分類】
B60T 13/66 20060101AFI20240409BHJP
B60T 15/04 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B60T13/66 A
B60T15/04 C
(21)【出願番号】P 2021569535
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2020063460
(87)【国際公開番号】W WO2020234109
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-11-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】102019113753.5
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503159597
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80,D-80809 Muenchen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ロウカ
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン シュミット
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】小川 恭司
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-131267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00 - 17/22
B60T 7/12 - 8/1769
B60T 8/32 - 8/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧式の制動システム用の非常制動弁システム(10)であって、
第1の弁(11)と第2の弁(12)とを有し、前記第1の弁(11)は、補助圧(p
hilf)を前記第2の弁(12)に導くかまたは前記第2の弁(2)から遮断するように構成されており、
前記第2の弁(12)は、第1の圧力入口(1A)および第2の圧力入口(2A)を有し、
前記第1の弁(11)から前記補助圧(p
hilf)
が導かれるか否かに応じて、前記第1の圧力入口(1A)に加えられる静圧(p
stat)または前記第2の圧力入口(2A)に加えられる調整された圧力(p
ger)を提供するように構成されており、
前記第1の弁(11)は、常用運転時に前記補助圧(p
hilf)を前記第2の弁(12)から遮断するように構成されており、これによって、前記第2の弁(12)は、前記調整された圧力(p
ger)を提供し、前記第1の弁(11)は、さらに、非常運転時に前記補助圧(p
hilf)を前記第2の弁(12)に導くように構成されており、これによって、前記第2の弁(12)は、前記静圧(p
stat)を提供し、
前記第2の弁(12)によって提供された圧力は、前記非常制動弁システム(10)の出口圧(p
Aus)であり、
前記非常制動弁システム(10)の前記出口圧(p
Aus)は、前記空気圧式の制動システムの制動圧(p
br)であ
り、
前記第2の弁(12)は、前記第1の弁(11)によって提供された前記補助圧(p
hilf
)によって制御されるピストン弁である、
非常制動弁システム(10)。
【請求項2】
前記第1の弁(11)に第3の圧力入口(3A)が設けられている、請求項1記載の非常制動弁システム(10)。
【請求項3】
前記第2の弁(12)に圧力出口(4A)が設けられている、請求項1または2記載の非常制動弁システム(10)。
【請求項4】
前記第1の弁(11)は電磁弁である、請求項1から3までのいずれか1項記載の非常制動弁システム(10)。
【請求項5】
前記電磁弁(11)は、前記非常運転時に通電されておらず、前記圧力入口(3A)に加えられた圧力を前記第2の弁(12)に導くように構成されている、請求項4記載の非常制動弁システム(10)。
【請求項6】
前記電磁弁(11)は、前記常用運転時に通電されていて、前記圧力入口(3A)に加えられた圧力を前記第2の弁(12)から遮断するように構成されている、請求項4および5記載の非常制動弁システム(10)。
【請求項7】
前記第1の弁(11)は、前記非常運転時に前記第2の弁(12)に加えられた前記補助圧(p
hilf)を前記常用運転への移行時に放出するように構成されている、請求項1から
6までのいずれか1項記載の非常制動弁システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特にレール車両における空気圧式の制動システム用の非常制動弁システムに関する。非常制動弁システムによって、非常状況において、制動のために必要な制動圧を代替経路への切換によって確実に提供し、次いで、再びコントロール可能な制動圧に変えることが可能である。
【0002】
レール車両の今日の制動システムでは、非常制動の場合に、調整された圧力から静圧への切換が行われ、これによって、静圧を確実な制動圧としてブレーキシリンダに導入し、迅速かつ確実な制動を保証することができる。この目的のために、通常、一般的に電磁弁が設けられている非常制動弁システムが電気的に切り換えられる。
【0003】
常用運転時に制動圧として使用することができる調整された圧力は、制動を実施する必要がない限り、コントロールしてブリードする、つまり、放出することができる。この調整された圧力は、例えば電子式の調圧器または空気圧式の制御弁を用いて形成される。
【0004】
これに対して、非常制動の場合にブレーキシリンダに導かれる静圧は、通常、非常制動の必要な制動圧レベルに固定されており、これによって、非常時に適切な高さの確実な制動圧を提供することができる。したがって、通常、静圧が放出されることはない。
【0005】
非常時に、調整された圧力から静圧に切り換えることができるようにするために、一般的に、すでに上述した非常制動弁システムが使用される。この非常制動弁システムは、一般的に、システムを制御するために、電磁弁を備えており、この電磁弁は、常用運転時に通電されていて(「ロー・アクティブ」)、この状態で別のピストン弁を介して、調整された圧力をブレーキシリンダに導く。非常制動の場合には、電磁弁への給電が中断され、これによって、電磁弁がその無通電の出発位置へと切り換わる。このとき、電磁弁は、調整された圧力が遮断され、静圧が制動圧としてブレーキシリンダに導かれるように構成されている。
【0006】
非常制動を再び解除するためには、電磁弁に再び給電することが必要であり、これによって、電磁弁はその無通電の出発位置から離れることができ、調整された圧力を再び制動圧としてブレーキシリンダ内に導くことができる。非常状況において、電磁弁の通電が不可能である場合には、常に静圧が制動圧としてブレーキシリンダに加えられている。しかしながら、この静圧は、例えば車両を牽引するために、制御することができないかまたは解除もしくは放出することができない。したがって、静圧は遮断して放出することしかできない。しかしながら、これによって、制動圧がもはやブレーキシリンダに加えられなくなり、ひいては、制動のコントロールされた制御がもはや不可能になってしまう。
【0007】
したがって、本発明の課題は、非常制動後、静圧が遮断されて放出されたときに、調整された圧力を制動圧として再び使用することができる、空気圧式の制動システム用の非常制動弁システムを提供することである。
【0008】
この課題は、独立請求項に記載の非常制動弁システムによって解決される。本発明の好適な発展形態は従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明に係る非常制動弁システムは、車両のブレーキ制御装置の一部であり、2つの弁を有している。第1の弁は、補助圧を第2の弁に導くかまたは補助圧を第2の弁から遮断するように構成されている。これに対して、第2の弁は、補助圧に応じて、静圧または調整された圧力を提供するように構成されている。さらに、第1の弁は、常用運転時に補助圧を第2の弁から遮断し、これによって、第2の弁を、この第2の弁が調整された圧力を提供するように切り換えるように構成されている。これに対して、第1の弁は、非常運転時に補助圧を第2の弁に導くように構成されており、これによって、第2の弁は静圧を圧力出口に提供する。これによって、非常制動時に静圧を制動圧として提供することができる。
【0010】
本発明に係る非常制動弁システムは、静圧による非常制動後、例えば機械式の弁による補助圧の簡単な遮断と放出とによって、調整された圧力を再び制動圧として提供することを可能にする。これによって、非常制動後に制動を第1の弁の操作なしに解除することができ、車両を牽引することができ、設定可能な制動圧を調整された圧力によって提供することができる。
【0011】
本発明の1つの有利な実施形態では、第2の弁によって提供された圧力は、非常制動弁システムの出口圧である。
【0012】
さらに好ましい実施形態では、非常制動弁システムの、第2の弁によって提供された出口圧は、空気圧式の制動システムのブレーキシリンダに加えられている制動圧である。
【0013】
本発明の別の有利な実施形態では、第1の圧力入口および第2の圧力入口が、第2の弁に設けられている。同様に、本発明の有利な実施形態では、圧力出口は第2の弁に設けられている。このような実施形態には、第2の弁の位置によって、静圧が圧力出口に加えられているかまたは調整された圧力が圧力出口に加えられているかに直接的な影響を及ぼすことができるという利点がある。
【0014】
本発明の別の有利な実施形態では、第3の圧力入口が、第1の弁に設けられている。
【0015】
本発明の有利な実施形態では、第1の弁は電磁弁である。第1の弁の、補助圧を通過させるかまたは遮断するという役割は、電磁弁によって特に簡単にかつ効果的に引き受けることができる。それというのは、電磁弁は、通電に応じて開閉させることができるからである。さらに電磁弁は、一般的に好適かつローメンテナンスな単純な種類の弁である。
【0016】
さらに有利な実施形態では、電磁弁は、常用運転時に通電されていて、圧力入口に加えられている圧力を第2の弁に導くように構成されている。
【0017】
同様に有利な実施形態では、電磁弁は、非常運転時に通電されておらず、圧力入口に加えられている圧力を第2の弁から遮断するように構成されている。
【0018】
本発明の別の有利な実施形態では、第2の弁は、第1の弁によって提供された補助圧によって制御されるピストン弁である。ピストン弁もまた、好適かつローメンテナンスな単純な種類の弁である。
【0019】
本発明の別の有利な実施形態では、第1の弁は、非常運転時に第2の弁に加えられている補助圧(philf)を常用運転への戻り移行時に放出するように構成されている。このように構成されていると、第1の弁がまず常用運転にあり、次に非常運転になり、次いで再び常用運転に移動させられる場合に、第2の弁に加えられている補助圧を放出することができ、常用運転を更なる介入なしに継続することができる。このような事例は、例えば、第1の弁が電気式に運転される電磁弁であり、電磁石への給電の一時的な欠如が非常運転を生じさせ、次いで、再び常用運転を生じさせる場合に発生する可能性がある。
【0020】
次に、本発明について添付の図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】先行技術による非常制動弁システムを示す図である。
【
図2】先行技術による出口圧の提供を示す表である。
【
図3】本発明に係る非常制動弁システムを示す図である。
【
図4】本発明に係る非常制動弁による出口圧の提供を示す表である。
【
図5】非常制動弁システムが組み込まれているシステム構造の一部を示す図である。
【0022】
図1には、先行技術による非常制動弁システム10が示してある。
図1には、1つの圧力出口4Aと3つの圧力入口1A,2A,3Aとが示してある。圧力出口4Aでは、非常制動弁システム10によって設定された出口圧p
Ausが提供される。圧力入口1Aには、調整された圧力p
gerが加えられ、圧力入口2Aには、静圧p
statが加えられ、圧力入口3Aには、補助圧p
hilfが加えられる。出口圧p
Ausは、非常制動弁システムの内部に位置している電磁弁11とピストン弁12とによって設定される。
【0023】
常用の状態では、電磁弁11が通電され、これによって、電磁弁11が、補助圧philfをピストン弁12に導く。そこで、補助圧philfはピストン弁12を、このピストン弁が静圧pstatを遮断し、調整された圧力pgerを圧力出口4Aに導くように操作する。これによって、常用の状態では、圧力出口4Aに、調整された圧力pgerが加えられ、これによって、出口圧pAusを形成する。
【0024】
電磁弁11への給電が中断され、これにより、非常制動が必要である場合には、補助圧philfはピストン弁12によって遮断されている。この状態では、ピストン弁12が静圧pstatを圧力出口4Aに導き、これによって、いまや静圧pstatが出力圧として提供されている。これによって、非常制動が得られる。
【0025】
電磁弁11が通電され、同時に圧力入口3Aに補助圧philfが加えられなくなると、ピストン弁12も同様に操作されなくなり、静圧pstatが出口圧pAusとして圧力出口4Aに提供される。したがって、この場合にも非常制動は存在する。
【0026】
非常制動弁の記載した配置形態は、
図2に示した制動ロジックを生じさせる。電磁弁の通電が保証されていて、補助圧p
hilfが圧力入口3Aに加えられている場合には、調整された圧力p
gerが出口圧p
Ausとして提供される。しかしながら、電磁弁11の通電が欠如している場合または補助圧p
hilfが圧力入口3Aに加えられていない場合または上に述べた両方の事例が生じている場合には、静圧p
statが、圧力出口4Aにおける出口圧p
Ausとして提供され、非常制動が導入される。
【0027】
図3には、列車の一部としてのブレーキ制御装置の本発明に係る非常制動弁システム10の一実施形態が示してある。付言しておくと、本実施形態では列車内に複数のこのようなブレーキ制御装置ひいては非常制動弁システムが位置している。本発明に係る非常制動弁システムも、出口圧p
Ausが提供される圧力出口4Aを有している。さらに、本発明に係る非常制動弁システムもまた、電磁弁11と、ピストン弁12と、3つの圧力入口1A,2A,3Aとを同様に含んでいる。しかしながら、これらの入口には、先行技術と比較して入れ替えられた圧力が加えられている。圧力入口3Aには引き続き補助圧p
hilfが加えられるのに対して、本発明に係る非常制動弁システムでは、圧力入口1Aに静圧p
statが加えられ、圧力入口2Aに、調整された圧力p
gerが加えられる。これによって、先行技術と比較して、静圧p
statと、調整された圧力p
gerとが、それぞれの圧力入口で入れ替えられている。
【0028】
電磁弁11は、本発明に係る非常制動弁システムでは、この非常制動弁システムが、通電時に補助圧philfをピストン弁12から遮断するように構成されている。これによって、ピストン弁12は操作されず、調整された圧力pgerが、圧力入口2Aから圧力出口4Aに導かれ、出口圧pAusとして提供される。
【0029】
電磁弁11が通電されない場合には、補助圧philfがピストン弁12に導かれ、これによって、調整された圧力pgerが遮断され、その代わりに、静圧pstatが圧力出口4Aに導かれ、出口圧pAusとして提供される。
【0030】
補助圧philfが圧力出口4Aに加えられていない場合には、ピストン弁12は操作されず、調整された圧力pgerが出口圧pAusとして提供される。
【0031】
図3に示し上に記載した配置形態は、
図4に示した出口圧p
Ausのためのロジックを生じさせる。補助圧p
hilfが提供されかつ電磁弁11が通電される場合、つまり、常用運転時には、調整された圧力p
gerが出口圧p
Ausとして加えられる。
【0032】
補助圧philfが圧力入口3Aに加えられていない場合には、それにもかかわらず、調整された圧力pgerが出口圧pAusを形成している。これについて言えることは、補助圧の欠如は局所的にしか、つまり、列車の複数のブレーキ制御装置のうちの1つのブレーキ制御装置でしか、同じ時点で発生しないということである。それというのは、補助圧は、中央の主空気管路を介して全ての制動システムに提供されないからである。この場合には、列車の制動は、他の台車における制動システムによって保証することができ、これによって、補助圧の欠如時に非常制動を導入する必要がない。
【0033】
補助圧philfを提供することができるが、電磁弁11の通電が保証されていない場合には、静圧pstatが出口圧pAusとして提供され、非常制動が導入される。
【0034】
静圧pstatが出口圧として提供された非常制動の後に、補助圧philfの除去(遮断)によって、静圧pstatを圧力出口4Aから遮断し、これによって、より長くブレーキシリンダに加えるのではなく、調整された圧力pgerと交換することを達成することができる。このとき、調整された圧力pgerが出口圧pAusとして提供される。このようにして、非常制動後における制動を簡単に解除することができると共に車両を牽引することができるものの、制動圧pbrは、調整された圧力pgerが加えられている限り、調整された圧力pgerを介してさらにコントロールすることができる。
【0035】
図5には、非常制動弁システム10が組み込まれているシステム構造の一部が示してある。静圧p
statは、圧力容器30によって提供され、調圧器20と、圧力入口1A,3Aを介して非常制動弁システム10とに導かれる。つまり、補助圧p
hilf(
図3)は、静圧p
stat(
図3)と同じである。常用運転時には、調整された圧力p
gerが出口圧p
Ausとして提供され、調圧器20へとさらに導かれる。調圧器の内部には、圧力容器30からの静圧p
statを調整する調整回路21が位置している。常用運転時には、調整回路21によって調整された圧力と、非常制動弁の出口圧p
Ausとを、制動圧p
brとしてブレーキシリンダ40(図示せず)にさらに導くことができる。安全上の理由から両圧力は重畳され、それぞれ、より高い圧力がブレーキシリンダ40にさらに導かれる。さらに、圧力容器30には遮断コック31が設けられており、この遮断コック31を介して、制動システムへの静圧p
statの供給を遮断することができ、遮断コック31と調圧器20もしくは非常制動弁10との間の管路内にある圧力を放出することができる。
【0036】
非常制動の場合、つまり、圧力出口4Aに静圧pstatが加えられている場合には、この静圧pstatが、調圧器20によって制動圧pbrとしてブレーキシリンダ40にさらに導かれる。しかしながら、車両の停止後、調整された圧力pgerは、この調整された圧力pgerが加えられている限り、制動圧pbrとしてブレーキシリンダ40に加えられていることが望ましく、これによって、例えば車両を牽引することができる。好ましい事例では、このことは、電磁弁が非常制動後に再び通電され、ピストン弁12に加えられている補助圧philfが電磁弁11における経路を介して放出され、これによって、ピストン弁12が、調整された圧力pgerを再び圧力出口4Aに導くことによって達成される。しかしながら、電磁弁11の通電が不可能である場合には、調整された圧力pgerは、遮断コック31と非常制動弁10との間の管路における静圧pstatが、遮断コック31によって遮断されて放出されることによって、圧力出口4Aに導くことができる。これによって、ピストン弁12が操作され、調整された圧力が、圧力出口4Aにおける出口圧pAusとして加えられることになる。これによって、設定可能な制動圧pbrを調圧器によって提供することができ、この調圧器を介して、調整された制動が、例えば非常制動後の牽引時に可能となる。このことは、静圧の放出と、非常制動弁からの静圧の遮断とによって実現され、これによって、本発明に係る非常制動弁に基づいて、調整された圧力を制動圧として再び提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 非常制動弁システム
11 第1の弁(電磁弁)
12 第2の弁(ピストン弁)
20 調圧器
21 調整回路
30 圧力容器
31 遮断コック
40 ブレーキシリンダ
1A 第1の圧力入口
2A 第2の圧力入口
3A 第3の圧力入口
4A 圧力出口
pger 調整された圧力
pstat 静圧
philf 補助圧
pAus 出口圧
pbr 制動圧