(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】駆動機構及びロボット
(51)【国際特許分類】
F16H 25/14 20060101AFI20240409BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20240409BHJP
A63H 11/00 20060101ALI20240409BHJP
F16H 25/12 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F16H25/14
B25J19/00 A
A63H11/00 Z
F16H25/12 A
(21)【出願番号】P 2022132193
(22)【出願日】2022-08-23
【審査請求日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】202210409929.4
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】張 保衛
(72)【発明者】
【氏名】朱 喜旺
(72)【発明者】
【氏名】羅 剛
(72)【発明者】
【氏名】劉 兆峰
(72)【発明者】
【氏名】王 欣
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-072256(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112648345(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/14
B25J 19/00
A63H 11/00
F16H 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部材(30)と、
前記駆動部材(30)の出力端に接続される伝動部材(40)であって、前記伝動部材(40)の周方向に沿って延在する駆動スロット(40b)を有する伝動部材(40)と、
ロボットの胴体(10)に移動可能に接続される揺動部材(70)であって、前記揺動部材(70)の一部は、前記駆動スロット(40b)に移動可能に接続され、前記伝動部材(40)を介して前記駆動スロット(40b)に沿って移動することで前記揺動部材(70)を駆動して揺動させる揺動部材(70)と、を含
み、
前記揺動部材(70)は、
前記胴体(10)に接続される揺動部(50)と、
2つの反対側の端を有する連動部(60)であって、一端が前記揺動部(50)に接続され、他端が駆動スロット(40b)内に位置する連動部(60)と、を含み、
前記揺動部(50)は、少なくとも、
2つの反対側の端を有し、一端が前記胴体(10)に移動可能に接続される第1の部分(51)と、
2つの反対側の端を有し、一端が前記第1の部分(51)の他端に接続される第2の部分(52)であって、前記第2の部分(52)が前記連動部(60)に接続される第2の部分(52)と、
前記第2の部分(52)の他端に接続される第3の部分(53)と、を含む、
ことを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
前記第1の部分(51)の中心線と前記第2の部分(52)の中心線は同一平面上にあり、第1の予め設定された夾角をなし、
及び/又は、前記第3の部分(53)の中心線と前記第2の部分(52)の中心線は同一平面上にあり、第2の予め設定された夾角をなす、
ことを特徴とする請求項
1に記載の駆動機構。
【請求項3】
前記第1の部分(51)の一端にはヒンジ部(511)が設けられる、
ことを特徴とする請求項
1に記載の駆動機構。
【請求項4】
前記連動部(60)は、
2つの反対側の端を有し、一端が前記揺動部(50)に接続される接続部(61)と、
前記接続部(61)の他端に接続され、前記駆動スロット(40b)内に位置する摺動部(62)と、を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の駆動機構。
【請求項5】
前記伝動部材(40)はカムであり、前記駆動スロット(40b)は前記カムの外周壁(40a)に周回して設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動機構。
【請求項6】
前記駆動スロット(40b)は第1のセグメント(401)を含み、前記第1のセグメント(401)は前記外周壁(40a)の展開面上で正弦波状になる、
ことを特徴とする請求項
5に記載の駆動機構。
【請求項7】
前記伝動部材(40)の回転軸線(m)に垂直な平面上で、前記伝動部材(40)
の外側の輪郭は、第1のサイドエッジ(41)、第2のサイドエッジ(42)及び第3のサイドエッジ(43)を含み、前記第2のサイドエッジ(42)の一端は、前記第1のサイドエッジ(41)の一端に過渡的に接続され、前記第2のサイドエッジ(42)の他端は、前記第3のサイドエッジ(43)の一端に過渡的に接続され、前記第3のサイドエッジ(43)の他端は前記第1のサイドエッジ(41)の他端に過渡的に接続され、前記第1のサイドエッジ(41)は円弧エッジであり、前記第1のサイドエッジ(41)の円心は、前記伝動部材(40)の回転軸線(m)にある、
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動機構。
【請求項8】
前記伝動部材(40)は、対向して設けられる第1の伝動部(410)と第2の伝動部(420)とを含み、前記第1の伝動部(410)が第2の伝動部(420)に接続されて前記駆動スロット(40b)を形成する、
ことを特徴とする請求項
5に記載の駆動機構。
【請求項9】
前記第1の伝動部(410)は第1のガイド溝(410a)を有し、前記第2の伝動部(420)は第2のガイド溝(420a)を有し、前記第1のガイド溝(410a)と前記第2のガイド溝(420a)が前記駆動スロット(40b)を形成する、
ことを特徴とする請求項
8に記載の駆動機構。
【請求項10】
前記駆動スロット(40b)は、
前記外周壁(40a)の展開面上で、少なくとも一部の領域の延在方向が前記伝動部材(40)の回転軸線(m)と第3の予め設定された夾角をなす第1のセグメント(401)、及び/又は、
前記外周壁(40a)の展開面上で、延在方向が前記伝動部材(40)の回転軸線(m)と第4の予め設定された夾角をなす第2のセグメント(402)を含む、
ことを特徴とする請求項
5に記載の駆動機構。
【請求項11】
ロボットであって、
胴体(10)と請求項の1~
10のいずれかに記載の駆動機構とを含み、
前記駆動機構の駆動部材(30)が前記胴体(10)に接続され、前記揺動部材(70)が前記胴体(10)に移動可能に接続される、
ことを特徴とするロボット。
【請求項12】
前記胴体(10)の外壁にはヒンジサポート(101)が接続され、前記揺動部材(70)が前記ヒンジサポート(101)に接続される、
ことを特徴とする請求項
11に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット分野に関し、特に駆動機構及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展に伴い、ロボットは、工業生産に応用されるほか、人々の日常生活にも徐々に進出し始めている。
【0003】
ロボットの胴体には通常、猫型ロボット、犬型ロボット、魚型ロボットなどのロボットの尻尾や、猫型ロボットや犬型ロボットの耳など、何らかの可動部材が接続されている。簡易なロボット内において、尻尾や耳のような可動部は通常、装飾として胴体にぶら下がっているだけで、それ自体は動くことができず、ユーザのみが手で動かすことができる。
【0004】
現在、これらの可動部材が実際に動くことを可能にするために、通常、胴体に1つまたは2つのアクチュエータが設けられ、2つのアクチュエータがそれぞれ2方向における可動部材の移動を制御する。このタイプの構造は、多くのスペースを占有し、コストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施例は、スペースを節約し、製造コストを削減できる駆動機構及びロボットを提供する。前記技術案は以下の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本開示の実施例は、駆動機構を提供し、
駆動部材と、
前記駆動部材の出力端に接続される伝動部材であって、前記伝動部材の周方向に沿って延在する駆動スロットを有する伝動部材と、
ロボットの胴体に移動可能に接続される揺動部材であって、前記揺動部材の一部は、前記駆動スロットに移動可能に接続され、前記伝動部材を介して前記駆動スロットに沿って移動することで前記揺動部材を駆動して揺動させる揺動部材と、を含む。
【0007】
本開示の実施例の可能な一実現形態では、前記揺動部材は、
前記胴体に接続される揺動部と、
2つの反対側の端を有する連動部であって、一端が前記揺動部に接続され、他端が前記駆動スロット内に位置する連動部と、を含む。
【0008】
本開示の実施例の可能な一実現形態では、前記揺動部は、少なくとも、
2つの反対側の端を有し、一端が前記胴体に移動可能に接続される第1の部分と、
2つの反対側の端を有し、一端が前記第1の部分の他端に接続される第2の部分であって、前記第2の部分が前記連動部に接続される第2の部分と、
前記第2の部分の他端に接続される第3の部分と、を含む。
【0009】
本開示の実施例の可能な一実現形態では、前記第1の部分の中心線と前記第2の部分の中心線は同一平面上にあり、第1の予め設定された夾角をなし、
及び/又は、前記第3の部分の中心線と前記第2の部分の中心線は同一平面上にあり、第2の予め設定された夾角をなす。
【0010】
本開示の実施例の可能な一実現形態では、前記第1の部分の一端にはヒンジ部が設けられている。
【0011】
本開示の実施例の可能な一実現形態では、前記連動部は、
2つの反対側の端を有し、一端が前記揺動部に接続される接続部と、
前記接続部の他端に接続され、前記駆動スロット内に位置する摺動部と、を含む。
【0012】
本開示の実施例の可能な一実現形態では、前記伝動部材はカムであり、前記駆動スロットは前記カムの外周壁に周回して設けられる。
【0013】
選択的に、前記駆動スロットは第1のセグメントを含み、前記第1のセグメントは、前記外周壁の展開面上で正弦波状になる。
【0014】
本開示の実施例の可能な一実現形態では、前記伝動部材の回転軸線に垂直な平面上で、前記伝動部材の外側の輪郭は、第1のサイドエッジ、第2のサイドエッジ及び第3のサイドエッジを含み、前記第2のサイドエッジの一端が前記第1のサイドエッジの一端に過渡的に接続され、前記第2のサイドエッジの他端が前記第3のサイドエッジの一端に過渡的に接続され、前記第3のサイドエッジの他端が前記第1のサイドエッジの他端に過渡的に接続され、前記第1のサイドエッジは円弧エッジであり、前記第1のサイドエッジの円心が前記伝動部材の回転軸線にある。
【0015】
選択的に、前記伝動部材は、対向して設けられる第1の伝動部と第2の伝動部とを含み、前記第1の伝動部が第2の伝動部に接続されて前記駆動スロットを形成する。
【0016】
選択的に、前記第1の伝動部は第1のガイド溝を有し、前記第2の伝動部は第2のガイド溝を有し、前記第1のガイド溝と前記第2のガイドは前記駆動スロットを形成する。
【0017】
選択的に、前記駆動スロットは、
前記外周壁の展開面上で、少なくとも一部の領域の延在方向が前記伝動部材の回転軸線と第3の予め設定された夾角をなす第1のセグメント、及び/又は、
前記外周壁の展開面上で、延在方向が前記伝動部材の回転軸線と第4の予め設定された夾角をなす第2のセグメントと、を含む。
【0018】
別の態様では、本開示の実施例は、胴体と、前記一態様に記載の駆動機構と、を含むロボットをさらに提供し、
前記駆動機構の駆動部材が前記胴体に接続され、前記揺動部材が前記胴体に移動可能に接続される。
【0019】
選択的に、前記胴体の外壁にヒンジサポートが接続され、前記揺動部材は前記ヒンジサポートに接続される。
【発明の効果】
【0020】
本開示の実施例によって提供される技術案がもたらす有益な効果は少なくとも以下を含む。
本開示の実施例における伝動部材は周方向に延在する駆動スロットを有し、揺動部材の一部が駆動スロットに移動可能に接続され、駆動部材が伝動部材を駆動して移動させる場合、駆動スロットと揺動部材との嵌合により、揺動部材と駆動スロットとの移動可能に接続された部分が駆動スロットに沿って移動し、揺動部材を駆動して揺動させる。当該駆動機構は、構造が簡単で、体積が小さく、スペースを節約し、コストも低く、製造コストの低減に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明において使用する必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明の図面は本開示の一部の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を払わない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本開示の実施例によって提供されるロボットの概略構成図である。
【
図2】本開示の実施例によって提供される駆動機構の概略構成図である。
【
図4】本開示の実施例によって提供される揺動部材の概略構成図である。
【
図5】本開示の実施例によって提供されるカムの外周壁の概略展開図である。
【
図6】本開示の実施例によって提供されるカムの概略構成図である。
【
図7】本開示の実施例によって提供されるカムの概略構成図である。
【
図8】本開示の実施例によって提供される第1の伝動部と第2の伝動部との接続の概略図である。
【
図9】本開示の実施例によって提供されるロボットの概略部分構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の目的、技術案および利点をより明確にするために、以下、添付図面と併せて本開示の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0023】
別途定義しない限り、ここで使用される技術用語または科学用語は、本開示の属する分野において一般的な技能を有する者に理解される通常の意味であるべきである。本出願の明細書及び請求項の範囲で使用される「第1」、「第2」、「第3」及び類似の語は、任意の順序、数量または重要性を表すのではなく、異なる構成部分を区別するためにのみ使用される。同様に、「1つ」又は「一」などの類似語も数量制限を表さず、少なくとも1つの存在を表す。「含む」または「含まれる」などの類似語は、「含む」または「含まれる」の前に現れる要素または物件が、「含む」または「含む」の後に列挙される要素または物件及びその同等物をカバーすることを意味し、他の要素や物件を除外するものではない。「接続」または「連結」などの類似語は物理的または機械的な接続に限定されず、直接または間接を問わず、電気的な接続を含むことができる。「上」、「下」、「左」、「右」などは相対位置関係を表すためにのみ使用され、説明されたオブジェクトの絶対位置が変化すると、前記相対位置関係もそれに応じて変化する可能性がある。
【0024】
図1は、本開示の実施例によって提供されるロボットの概略構成図である。当該ロボットは、犬型ロボット、猫型ロボット、魚型ロボットなどの自動化ロボットであってもよいが、これらに限定されない。なお、本開示はロボットの種類を限定しない。
【0025】
図1に示すように、当該ロボットは、胴体10と可動部材20とを含む。可動部材20は、尻尾、耳、翼などであってもよい。一例として、本開示の実施例は、犬型ロボットを例として、当該可動部材20が尻尾である。当該可動部材20は、駆動機構を介して胴体10に接続されて、駆動機構の駆動下で移動するか、または駆動機構の一部を可動部材として設けてもよい。なお、駆動機構は、ロボットにおける揺動機能を有する可動部材に使用することができ、上記に説明された例に加えて、駆動機構は、他の可動部材にも適用することができ、上記の説明はただ例に過ぎず、限定するものではない。
【0026】
図2は、本開示の実施例によって提供される駆動機構の概略構成図である。
図2では、駆動機構と胴体10との関係を容易に説明するために、胴体10も示される。
図2に示すように、当該駆動機構は、駆動部材30、伝動部材40及び揺動部材70を含む。
【0027】
伝動部材40は駆動部材30の出力端に接続される。伝動部材40は、伝動部材40の周方向に沿って延在する駆動スロット40bを有する。
【0028】
揺動部材70は、ロボットの胴体10に移動可能に接続される。揺動部材70の一部は駆動スロット40bに移動可能に接続され、この部分は、伝動部材40を介して駆動スロット40bに沿って移動することで揺動部材70を駆動して揺動させる。すなわち、駆動部材30が伝動部材40を駆動して移動させて、伝動部材40が移動する時、揺動部材70と駆動スロット40bとの可動可能に接続された部分が駆動スロット40bに沿って移動することにより、揺動部材70全体を揺動させる。
【0029】
本開示の実施例では、伝動部材40は駆動スロット40bを有し、揺動部材70の一部は駆動スロット40bに移動可能に接続され、駆動部材30が伝動部材40を駆動して移動させる時、駆動スロット40bと揺動部材70との嵌合により、揺動部材70と駆動スロット40bとの移動可能に接続された部分が駆動スロット40bに沿って移動することで、揺動部材70を駆動して揺動させる。可動部材20を揺動部材70に接続するか、または揺動部材70の一部を可動部材20として直接設けることにより、ロボットの可動部材20を駆動して移動させることができる。当該駆動機構は、構造が簡単で、体積が小さく、スペースを節約し、コストも低く、製造コストの低減に有利である。
【0030】
図3は、
図2の駆動機構の概略拡大図である。
図3に示すように、当該揺動部材70は、揺動部50と連動部60とを含む。
【0031】
揺動部50は胴体10に接続される。連動部60は、2つの反対側の端を有し、一端が揺動部50に接続され、他端が駆動スロット40b内に位置する。
【0032】
揺動部50はロボットの胴体10に移動可能に接続され、伝動部材40が移動している中に、伝動部材40は駆動スロット40bを介して連動部60を駆動して、連動部60を駆動スロット40bに沿って移動させ、連動部60によって揺動部50を駆動して移動させることで、揺動部50をロボットの胴体10に対して揺動可能にする。
【0033】
図4は、本開示の実施例によって提供される揺動部材の概略構成図である。
図4に示すように、当該揺動部材70の揺動部50は、少なくとも第1の部分51、第2の部分52及び第3の部分53を含む。第1の部分51は2つの反対側の端を有し、第1の部分51の一端が胴体10に移動可能に接続される。第2の部分52は2つの反対側の端を有し、第2の部分52の一端が第1の部分51の他端に接続され、第2の部分52は連動部60に接続される。第3の部分53は第2の部分52の他端に接続される。
【0034】
本開示の実施例では、揺動部50は棒状である。第1の部分51、第2の部分52及び第3の部分53は順に接続され、第1の部分51の一端が胴体10に移動可能に接続され、連動部60は中央部に位置する第2の部分52に接続され、揺動部50を比較的スムーズに駆動することができる。第3の部分53は、可動部材20に接続されるか、または、可動部材として設けられ、例えば、第3の部分53の表面に装飾物を設けて、尻尾、耳などの形を形成する。揺動部50を順に接続された3つの部分に設け、この3つの部分の間の夾角を調整することにより、可動部材20の移動軌跡が設計要件に近づくように、第3の部分53の移動軌跡を調整することができる。
【0035】
選択的に、第1の部分51の中心線と第2の部分52の中心線は同一平面上にあり、第1の予め設定された夾角をなし、第1の予め設定された夾角は0°より大きく180°より小さい。例えば、第1の予め設定された夾角は120°であってもよい。
【0036】
第3の部分53の中心線と第2の部分52の中心線は同一平面上にあり、第2の予め設定された夾角をなす。第2の予め設定された夾角は0°より大きく180°より小さく、例えば、第2の予め設定された夾角は120°であってもよい。
【0037】
第1の予め設定された夾角と第2の予め設定された夾角は等しくても等しくなくてもよく、第1の予め設定された夾角及び第2の予め設定された夾角の具体的な値は、可動部材20の移動軌跡が設計要件に近づくように、必要に応じて設定することができる。なお、本開示は、第1の予め設定された夾角及び第2の予め設定された夾角の値の範囲を限定しなく、上記の第1の予め設定された夾角及び第2の予め設定された夾角の値の範囲に関する説明は、例にすぎず、限定ではない。
【0038】
いくつかの実施例では、揺動部50は一定の弾性を有することができ、例えば、揺動部50がゴム棒であるか、または揺動部50の第3の部分53がゴムロッドであり、これにより、揺動部50が移動中に自体の弾性により揺れることができ、ロボットをよりリアルにする。
【0039】
ロボットを設定するとき、揺動部50の第1の部分51と第2の部分52、伝動部材40及び駆動部材30は、いずれもバッフル、シェルなどのロボットの他の構造によって遮蔽され、第3の部分53のみを露出して可動部材20に接続され、ロボットをよりリアルにすることができる。
【0040】
図4に示すように、揺動部50の第1の部分51の一端にはヒンジ部511が設けられている。
【0041】
ロボットの胴体とヒンジで接続するための揺動部50の一端がヒンジ部511を有する。揺動部50とロボットの胴体10とをヒンジ部511を使用してヒンジで接続することを容易にする。
【0042】
例示的に、ヒンジ部511は、ボールジョイントやカップジョイントなどのヒンジ機能を有する構造であってもよく、ボールジョイントを介してヒンジで接続することにより、揺動部50がより高い自由度を有し、移動範囲がより広く、可動部材20の移動範囲を広げるのに有利である。
【0043】
図4に示すように、当該揺動部材70では、連動部60は、接続部61と摺動部62とを含む。接続部61は、2つの反対側の端を有し、一端が揺動部50に接続され、摺動部62が接続部61の他端に接続され、摺動部62が駆動スロット40b内に位置する。
【0044】
摺動部62が駆動スロット40bに嵌合され、伝動部材40が移動する時、摺動部62が駆動スロット40bに沿って摺動することで、接続部61を介して揺動部50を駆動して移動させる。
【0045】
本開示の実施例では、接続部61は棒状や板状などであり、摺動部62は、ボールジョイントやローラーなどであってもよい。接続部61の一端が揺動部50に接続され、他端がボールジョイントに接続される。駆動スロット40bでのボールジョイントの移動抵抗が小さいため、揺動部材70の移動範囲をより大きくすることができる。
【0046】
図3に示すように、本開示の実施例では、伝動部材40はカムであり、駆動スロット40bはカムの外周壁40aに周回して設けられる。
【0047】
本開示の実施例では、当該駆動機構は駆動部材30、カム及び揺動部材70を含む。揺動部材70が揺動部50と連動部60とを含む。駆動部材30がロボットの胴体10に接続される。駆動部材30は、モータであってもよく、モータの回転軸である駆動部材30の出力端がカムに接続され、カムの回転軸線mがモータの回転軸と同軸である。
【0048】
連動部60は揺動部50の中央部に接続され、連動部60の摺動部62が駆動スロット40b内に位置する。摺動部62は、カムの回転で、駆動スロット40bに沿って移動し、揺動部50を駆動して揺動させる。
【0049】
図5は本開示の実施例によって提供されるカムの外周壁の概略展開図である。
図5に示すように、駆動スロット40bは第1のセグメント401を含む。
【0050】
いくつかの実施例では、外周壁40aの展開面上で、第1のセグメント401の少なくとも一部の領域の延在方向は、伝動部材40の回転軸線mと第3の予め設定された夾角をなす。
【0051】
カムの外周壁40aは円筒面であり、外周壁40aの展開面とは、外周壁40aの1本の母線に沿って外周壁40aを切断し、切断された外周壁40aを展開した平面を指す。
【0052】
カムの回転中に、連動部60の移動は、カムの形状と駆動スロット40bの形状という2つの要素によって影響される。
【0053】
カムの形状とは、カムの外周壁40aの起伏、すなわちカムの外周壁40aからカムの回転軸線mまでの距離の変化を指す。
【0054】
カムの外周壁40aの起伏は、連動部60とカムの回転軸線mとの間の距離に影響して、連動部60をカムの径方向に移動させる。カムの径方向とは、カムの回転軸線mに垂直で、カムの回転軸線mからカムの外側に向かう方向、又はカムの外側からカムの回転軸線に向かう方向を指す。
【0055】
第1のセグメント401の少なくとも一部の領域の延在方向が、伝動部材40の回転軸線mと第3の予め設定された夾角をなすため、第3の予め設定された夾角が90°に等しくなくなるように第3の予め設定された夾角の大きさを調整する場合、連動部60が第1のセグメント401内で移動する間、駆動スロット40bの側壁によって押され、カムの回転軸線mに平行な移動成分を有する。したがって、第1のセグメント401を設け、適切な第3の予め設定された夾角を設けることにより、連動部60がカムの径方向に移動するほか、カムの軸方向、すなわちカムの回転軸線mに平行な方向に移動することを可能にする。
【0056】
カムの形状及び第1のセグメント401の形状を変更することにより、連動部60の移動軌跡を変更することができ、それによって、揺動部50の移動規則が変更され、尻尾のような可動部材20が所望の態様で移動する。
【0057】
可動部材20を駆動して移動させる中に、駆動部材30の回転方向及び/又は回転速度を変更することにより、可動部材20の移動が設計要件をもっと満たすように可動部材20の移動を調整することもできる。
【0058】
いくつかの実施例では、カムの外周壁40aの展開面上で、第1のセグメント401はカーブ形状であり、駆動スロット40bでの連動部60の移動軌跡はより複雑であるため、ロボットの可動部材20がより複雑な移動軌跡を生成することを可能にする。
【0059】
選択的に、外周壁40aの展開面上で、第1のセグメント401は、正弦波状である。すなわち、第1のセグメント401は、正弦波状に湾曲している。
【0060】
第1のセグメント401を正弦波状に設けることで、連動部60の移動は、特にカムの回転軸線mに平行な方向において比較的緩やかであり、連動部60の移動方向が変化する時、速度変化が緩やかであるため、可動部材20の移動が滑らかで自然である。
【0061】
図5に示すように、駆動スロット40bは第2のセグメント402を含む。外周壁40aの展開面上で、第2のセグメント402の延在方向は、伝動部材40の回転軸線mと第4の予め設定された夾角をなす。ここで、第4の予め設定された夾角が0°ではない。
【0062】
外周壁40aの展開面上で、第2セグメント402は直線に沿って延在する。カムの回転中、相互に垂直な2つの方向における連動部60の移動、すなわち、伝動部材40の回転軸線mに平行な方向における移動、及び伝動部材40の回転軸線mに垂直な方向における移動は、第4の予め設定された夾角に関連する。第4の予め設定された夾角が90°である場合、すなわち、第2のセグメント402が回転軸線mに垂直であり、カムの回転中に連動部60が第2のセグメント402に位置する場合、連動部60はカムの回転軸線mに平行な方向に変位がない。このとき、連動部60の移動はカムの外周壁の起伏による影響のみを受け、連動部60はカムの径方向に移動する。これによって、揺動部50が可動部材20を駆動して異なる方式で移動することができ、可動部材20の移動方式を豊かにする。
【0063】
なお、駆動スロットは、揺動部材の移動軌跡を限定するために使用することができ、すなわち、実際のニーズに応じて、駆動スロットの形状を調整することによって揺動部材の移動軌跡を調整することができる。なお、予め設定された規則に従って、駆動スロットの第1のセグメント401と第2のセグメント402をスプライスして、揺動部材の移動軌跡を調整することができる。例えば、第1のセグメント401と第2のセグメント402は、アレイに順にスプライスされる。
【0064】
いくつかの実施例では、駆動スロット40bは、第1のセグメント401と第2のセグメント402とを含むことができる。第2のセグメント402の端部は、第1のセグメント401の端部に接続される。外周壁40aの展開面上で、第2のセグメント402は直線であり、カムの回転軸線mに垂直であり、揺動部材70がより複雑な移動を形成することを可能にする。
【0065】
本開示の実施例では、駆動スロット40bは環状スロットである。すなわち、駆動スロット40bの両端が接続されている。これにより、駆動部材30を介してカムを駆動して一定の方向に沿って360°以上連続的に回転させ、カムの回転に伴って、連動部60が駆動して周期的に移動させることができる。
【0066】
別の実施例では、駆動スロット40bの両端は接続されていなくてもよい。駆動部材30が連動部60が駆動スロット40bの端部までに移動するようにカムを駆動して回転させる場合、駆動部材30が回転方向が変化し、カムを駆動して引き続き回転させる。駆動部材30は、カムを駆動して往復移動させることにより、連動部60を駆動スロット40bで往復移動させ、これによって揺動部50を介して可動部材20を駆動して周期的に移動させる。
【0067】
図6は、本開示の実施例によって提供されるカムの概略構成図である。
図6に示すように、駆動部材30の回転軸に垂直な平面、すなわちカムの回転軸線mに垂直な平面上で、カムの正投影は異常な形状を有する。当該伝動部材40の外側の輪郭は、第1のサイドエッジ41、第2のサイドエッジ42及び第3のサイドエッジ43を含む。第2のサイドエッジ42の一端は第1のサイドエッジ41の一端に過渡的に接続され、第2のサイドエッジ42の他端は第3のサイドエッジ43の一端に過渡的に接続され、第3のサイドエッジ43の他端は第1のサイドエッジ41の他端に過渡的に接続される。第1のサイドエッジ41の円心は、伝動部材40の回転軸線mにある。
【0068】
第1のサイドエッジ41の円心がカムの回転軸線mにあるため、第1のサイドエッジ41において、カムの外周壁40aの起伏は0であり、カムの回転中で、連動部60が第1のサイドエッジ41に位置する場合、連動部60からカムの回転軸線mまでの距離は変わらず、カムの径方向における連動部60の変位は0であり、連動部60の移動は駆動スロット40bの形状による影響のみを受け、可動部材20の移動が設計要件を満たすように、駆動スロット40bの形状を設計し、連動部60の移動軌跡を制御することを容易にする。
【0069】
第2のサイドエッジ42と第3のサイドエッジ43の長さは、駆動部材30の回転軸に垂直な平面上でカムの正投影が対称形状になるように、等しくてもよい。
【0070】
本開示の実施例では、駆動スロット40bの第2のセグメント402は、第2のサイドエッジ42及び第3のサイドエッジ43に位置し、第1のセグメント401は第1のサイドエッジ41に位置する。
【0071】
第2のサイドエッジ42及び第3のサイドエッジ43が円弧を介して第1のサイドエッジ41に過渡的に接続され、第2のサイドエッジ42が円弧を介して第3のサイドエッジ43に過渡的に接続されるため、駆動スロット40bの設置に有利であり、駆動スロット40bの移行をよりスムーズにし、連動部60のスムーズな移動に有利である。
【0072】
図7は、本開示の実施例によって提供されるカムの概略構成図である。
図7に示すように、当該伝動部材40は、第1の伝動部410と第2の伝動部420とを含む。第1の伝動部410が第2の伝動部420に接続されて駆動スロット40bを形成する。
【0073】
伝動部材40を2つの部分に分け、2つの部分が接続されて駆動スロット40bを形成することにより、摺動部62を駆動スロット40bに容易に取り付けることを可能にする。
【0074】
図7に示すように、第1の伝動部410の一面は第1のガイド溝410aを有し、第2の伝動部420の一面は第2のガイド溝420aを有する。
図8は、本開示の実施例によって提供される第1の伝動部と第2の伝動部との接続の概略図である。
図8に示すように、第1の伝動部410と第2の伝動部420とは、対向して配置されて互いに接続され、第1のガイド溝410aと第2のガイド溝420aは駆動スロット40bを形成する。
【0075】
第1の伝動部410の表面に第1のガイド溝410aを設け、第2の伝動部420の表面に第2のガイド溝420aを設け、第1のガイド溝410a及び第2のガイド溝420aによって連動部60の両側からそれぞれ連動部60を位置規制することにより、連動部60の移動を第1のガイド溝410aと第2のガイド溝420aの延在方向に規制する。連動部60が駆動スロット40bに沿って移動する中に、第1のガイド溝410aの溝底及び第2のガイド溝420aの溝底は、連動部60に力を加えて、連動部60を押すことにより、連動部60がカムの回転軸線mに平行な方向に変位可能となる。
【0076】
図7に示すように、第1のガイド溝410aを有する第1の伝動部410の表面の中央部と、第2のガイド溝420aを有する第2の伝動部420の表面の中央部は、それぞれボス430を有し、第1のガイド溝410aは、第1の伝動部410のエッジに沿って延在することができ、第2のガイド溝420aは第2の伝動部420のエッジに沿って延在することができる。第1のガイド溝410aと第2のガイド溝420aはそれぞれボス430を囲んで設けられる。第1の伝動部410のボス430は第2の伝動部420のボス430に接続される。
【0077】
第1の伝動部410と第2の伝動部420にそれぞれボス430を設け、ボス430を接続することにより、第1のガイド溝410aと第2のガイド溝420aとは一定の距離で間隔をあけて、駆動スロット40bを形成する。
【0078】
いくつかの実施例では、第1の伝動部410は第2の伝動部420に着脱可能に接続され、例えば、ねじで接続され、または接着される。別の実施例では、第1の伝動部410と第2の伝動部420は一体構造であってもよく、例えば、射出成形で一体化される。
【0079】
摺動部62は、第1のガイド溝410aと第2のガイド溝420a内に位置し、第1のガイド溝410aと第2のガイド溝420aとに嵌合され、カムが回転するとき、摺動部62は第1のガイド溝410aと第2のガイド溝420aで移動する。摺動部62が駆動スロット40bの第1のセグメント401に移動したとき、第1のガイド溝410aの内壁または第2のガイド溝420aの内壁が摺動部62に押し力を加えて、摺動部62を押してカムの回転軸線mに平行な方向に移動させる。
【0080】
第1のガイド溝410aの内壁及び第2のガイド溝420aの内壁はそれぞれ円弧状の凹面であってもよく、摺動部62が駆動スロット40b内でよりスムーズに移動するように摺動部62の表面と嵌合することができる。
【0081】
第1の伝動部410及び第2の伝動部420は、連動部60が駆動スロット40b内で移動するときに受ける抵抗を減少させ、連動部60の移動をより安定させ、カム及び摺動部62の摩耗を減少させるために、自己潤滑材で作成することができる。
【0082】
本開示の実施例によって提供されるロボットは、胴体10と
図2~
図8に示される駆動機構とを含む。駆動機構の駆動部材30は胴体10に接続され、揺動部材70の一端は胴体10に移動可能に接続される。
【0083】
本例では、当該ロボットは、揺動部材70の他端に接続される可動部材20をさらに含む。別の実施例では、揺動部材70の他端をロボットの尻尾や耳などの可動部材20として直接設けてもよい。
【0084】
可動部材20を設けるとき、可動部材20は、揺動部50の第3の部分53に接続されることができ、揺動部50の外側に嵌められるか、または揺動部50の先端に接続されてもよく、ロボットの特定の構造に基づいて接続することができる。
【0085】
本開示の実施例では、伝動部材40は駆動スロット40bを有し、揺動部材70の一部が駆動スロット40bに移動可能に接続され、駆動部材30が伝動部材40を駆動して移動させる時、駆動スロット40bと揺動部材70との嵌合により、揺動部材70と駆動スロット40bとの移動可能に接続された部分が駆動スロット40bに沿って移動し、揺動部材70を駆動して揺動させる。可動部材20を揺動部材70に接続するか、または揺動部材70の一部を可動部材20として直接設けることにより、ロボットの可動部材20を駆動して移動させることができる。当該駆動機構は、構造が簡単で、体積が小さく、スペースを節約し、コストも低く、製造コストの低減に有利である。
【0086】
図9は、本開示の実施例によって提供されるロボットの概略部分構造図である。
図9に示すように、胴体10の外壁にヒンジサポート101が接続され、揺動部材70はヒンジサポート101に接続される。
【0087】
胴体10の外部にヒンジサポート101を設け、揺動部材70のヒンジ部511とヒンジで接続することにより、揺動部材70に大きな自由度を持たせ、移動範囲をより広くする。
【0088】
上記内容は本開示の選択可能な実施例に過ぎず、本開示を限定するものではなく、本開示の精神及び原則を逸脱しない限り、行われる修正、同等の置換、改善等は、いずれも本開示の保護範囲内に含まれなければならない。