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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】医療用洗浄消毒器の注液方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20240409BHJP
   A61L 2/24 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61L2/18
A61L2/24
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022150248
(22)【出願日】2022-09-21
(65)【公開番号】P2023046314
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】21197895.2
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502163340
【氏名又は名称】ゲティンゲ ディスインフェクション アクチボラゲット
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】カール-ヨハン ラーゲルクヴィスト
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-221479(JP,A)
【文献】国際公開第2020/044112(WO,A1)
【文献】特開2008-272114(JP,A)
【文献】特開2010-119592(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0050181(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L2/00-2/28
A61L11/00-12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄/消毒すべき医療品を受け入れるための洗浄チャンバと、前記洗浄チャンバとの間で液体を循環させるための循環ポンプであって、前記洗浄チャンバに接続された導管から液体を吸引し、戻し導管を通して液体を前記洗浄チャンバに戻すことにより液体を循環させるための循環ポンプとを有する医療用洗浄消毒器に注液する方法であって、
プロセスサイクルのフェーズに合わせた所望ポンプ速度を決定することと、
前記所望ポンプ速度に関連する前記洗浄チャンバの所定注液レベルを特定することと、
前記循環ポンプが前記所望ポンプ速度未満で動作している間に、注入ラインを通して前記洗浄チャンバに液体を供給することと、
前記洗浄チャンバに液体を供給し続けて前記液体のレベルが上昇するようにしながら、前記所望ポンプ速度に達するまで、前記液体のレベルの上昇に基づいて前記ポンプ速度を増加させるように制御することと、
前記ポンプが前記所望ポンプ速度で動作しているときに、前記液体が前記洗浄チャンバの前記所定注液レベルまで注液されたことを検出することと、
前記液体が前記所定注液レベルまで注液されたことを検出すると、前記洗浄チャンバへの前記液体の前記供給を中断することと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記洗浄チャンバに液体を供給する前記ステップの前に、
最初に、前記循環ポンプが不作動である間に、前記洗浄チャンバに液体を補給することと、
前記液体が前記洗浄チャンバの所定ポンプ始動レベルに達したことを検出することと、
前記液体が前記所定ポンプ始動レベルに達したときに、前記循環ポンプを前記所望ポンプ速度未満で作動させることと、
のステップが行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体のレベルの上昇に基づいて前記ポンプ速度を増加させるように制御する前記ステップは、
前記洗浄チャンバに一連の特定のレベルまで注液し、達した特定のレベルごとに前記ポンプ速度を段階的に増加させること
を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記液体のレベルの上昇に基づいて前記ポンプ速度を増加させるように制御する前記ステップは、
前記一連の特定のレベルのうちの任意の2つの特定のレベルの間で前記ポンプ速度を連続的に増加させること
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記洗浄チャンバへの前記液体の前記供給を中断する前記ステップは、前記液体が前記所定注液レベルに達したことを検出してから、0.5~10秒後、好適には1~5秒後、例えば1.5~3秒後など、所定期間後に実行され、前記方法は、前記洗浄チャンバへの前記液体の前記供給を中断した後に、
前記循環ポンプが動作している間に、前記洗浄チャンバ内の前記液体のレベルを安定化させることと、
前記安定化させた液体のレベルが前記所定注液レベルを下回る場合、前記所定注液レベルに達するために、より多くの液体を前記洗浄チャンバに供給することと、
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセスサイクルのフェーズに対して、前記洗浄チャンバ内の添加剤の所望化学濃度を決定することと、
流量センサによって、前記洗浄チャンバに供給される前記液体の量を測定することと、
前記測定された量に基づいて、前記所望化学濃度を得るために前記洗浄チャンバに提供すべき前記添加剤の量を決定することと、
前記決定された量の添加剤を前記洗浄チャンバに提供することと、
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記循環ポンプの前記所望ポンプ速度は、前記循環ポンプの最高作動速度未満である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記医療用洗浄消毒器の前記注液後に、洗浄/消毒サイクルを実行することをさらに含み、
前記所望ポンプ速度は、前記洗浄/消毒サイクル中に前記循環ポンプに使用される前記最高速度である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記洗浄消毒器には、複数の異なる洗浄/消毒プログラムが保存されており、少なくとも一部の洗浄/消毒プログラムは、それぞれ、他の洗浄/消毒プログラムとは異なる前記循環ポンプの所望ポンプ速度を有しており、各洗浄/消毒プログラムは、対応する前記所望ポンプ速度での使用に適した所定注液レベルを有しており、
前記方法は、
前記注液プロセスの前に、前記洗浄/消毒プログラムのうちの1つのプログラムの選択を受け付け、前記選択された洗浄/消毒プログラムに基づいて、前記所望ポンプ速度及び前記所定注液レベルを決定すること
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記循環ポンプは第1の循環ポンプであり、前記医療用洗浄消毒器は、前記注液が完了した後で用いる第2の循環ポンプも有しており、前記方法は、
前記洗浄チャンバへの前記液体の供給の間に、前記第2の循環ポンプを不作動にしておくこと
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記洗浄消毒器は、前記洗浄チャンバで洗浄/消毒すべき医療品を保持する洗浄カートを受け入れるようにサイズ決めされ、また、構成され、前記洗浄カートが、1つ以上の洗浄カート噴霧器を含んでおり、
前記洗浄消毒器は、前記洗浄チャンバの天井及び/または壁に1つ以上のチャンバ噴霧器を備えており、
前記洗浄消毒器は、第1の循環ポンプ及び第2の循環ポンプを使用して、存在する場合に、前記チャンバ噴霧器及び/または前記洗浄カート噴霧器に液体を選択的に循環させるように構成され、前記第1の循環ポンプと前記第2の循環ポンプとが別々に制御可能であり、
前記第1の循環ポンプは洗浄カート噴霧器用ポンプであり、前記第2の循環ポンプはチャンバ噴霧器用ポンプであり、前記注液プロセス中に得られる前記液体のレベルは、後続の洗浄/消毒プロセス中に前記洗浄カート噴霧器用ポンプのみが動作している場合の前記液体のレベル要件に基づいている、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
洗浄/消毒すべき医療品を受け入れるための洗浄チャンバと、前記洗浄チャンバとの間で液体を循環させるための循環ポンプとを有する医療用洗浄消毒器を動作させる方法であって、
請求項に記載の方法を実行することにより、前記洗浄チャンバに注液することであって、前記循環ポンプは第1の循環ポンプであり、記医療用洗浄消毒器は第2の循環ポンプをさらに有している、前記注液することを含み、
前前記医療用洗浄消毒器を動作させる前記方法は、
前記洗浄チャンバへの前記液体の供給の間に、前記第2の循環ポンプを不作動にしておくことと、
前記洗浄チャンバでの前記液体の注液が完了した後、前記第2の循環ポンプが動作しているときに、前記第1の循環ポンプが、前記所望ポンプ速度よりも低い速度で動作するように制御されるように、または不作動にされるように制御されるように、前記第2の循環ポンプの作動と不作動とを交互に行うことと、
をさらに含む、前記方法。
【請求項13】
請求項に記載の方法の前記ステップの実行を制御するための制御ユニット。
【請求項14】
洗浄/消毒すべき医療品を受け入れるための洗浄チャンバと、
前記洗浄チャンバとの間で液体を循環させるための1つ以上の循環ポンプと、
請求項13に記載の制御ユニットと、
を備える、医療用洗浄消毒器。
【請求項15】
前記洗浄消毒器は、前記洗浄チャンバで洗浄/消毒すべき医療品を保持する洗浄カートを受け入れるようにサイズ決めされ、また、構成され、前記洗浄カートが、1つ以上の洗浄カート噴霧器を含んでおり、
前記洗浄消毒器は、前記洗浄チャンバの天井及び/または壁に1つ以上のチャンバ噴霧器を備えており、
前記洗浄消毒器は、第1の循環ポンプ及び第2の循環ポンプを使用して、存在する場合に、前記チャンバ噴霧器及び/または前記洗浄カート噴霧器に液体を選択的に循環させるように構成され、前記第1の循環ポンプと前記第2の循環ポンプとが別々に制御可能である、
請求項14に記載の医療用洗浄消毒器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療用洗浄消毒器の注液方法に関する。本開示はまた、同注液方法が用いられる医療用洗浄消毒器を動作させる方法に関する。本開示はさらに、上記の方法の性能を制御するための制御ユニットと、そのような制御ユニットを備える医療用洗浄消毒器とに関する。洗浄消毒機は、例えば、病院の中央滅菌サービス部門(CSSD)で、使用済みの医療物品を処理するために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
医療用洗浄消毒器は、一般に、歯科医院、外科部門、中央滅菌供給部門、及び同様の施設に設置され得る。医療用洗浄消毒器は、再循環物品、管状器具、手術セット、麻酔用品、実験用品、ベッドパンなど、広範囲の異なった医療品の洗浄/消毒に使用することができる。つまり、洗浄消毒器は、多種多様な異なる種類の物品に対処できなくてはならず、すなわち、ある時は少ない負荷を処理することになり、別の時にはより多い負荷を処理することになるということである。医療用洗浄消毒器は、一般に、医療デバイスまたは医療機器から目に見える物理的な汚染物質を除去することと、温水曝露及び/または清浄剤や消毒剤などによる、ある水準の消毒との両方を行うことを目的としている。物品の各バッチの洗浄/消毒プロセスは、通常、複数のフェーズを含む。例えば、それらのフェーズには、予備洗浄サイクル、様々な洗浄剤及び清浄剤による1回以上の洗浄サイクル、1回以上のすすぎ、及び/または消毒のための高温「熱リンス」の一部または全部が含まれ得る。いくつかの用途では、各フェーズの終わりに洗浄チャンバが空にされるようにし、次のフェーズのために新しい液体が追加される。フェーズごとに、異なる種類の液体、及び異なる液循環パターンを用いることができる。
【0003】
従来の医療用洗浄消毒器は、異なる負荷シナリオ(例えば、汚れの軽い物品もしくは汚れのひどい物品、異なる寸法の物品、または異なる数の物品)に対処できるように、設計されている最大負荷を基準にして寸法を決められている。そのため、従来の医療用洗浄消毒器では、処理負荷が比較的小さいときに、満足のいく結果を得るために実際に必要である以上の高い水圧と大きな水流とを使用することになる。したがって、水の消費量と、その結果として洗浄剤及び加熱エネルギーの使用量もまた必要以上に多くなってしまう。このような過剰な消費は、環境の観点からも、エネルギー及び経済の観点からも望ましいことではない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の目的は、上に述べた従来の洗浄消毒器の欠点を軽減することである。この目的及び他の目的は、以下で明らかになるように、請求項1に定義される方法によって達成される。例示的な実施形態は、従属請求項に示される。
【0005】
一般的な発明概念は、負荷が異なれば、必要とされる清浄力の強度は変わり得るという認識に基づいている。例えば、少量または軽度の汚れの負荷は、圧力及び流量を抑えて清浄にすることができる。本発明者は、清浄力を負荷、例えば負荷サイズ及び/または汚れ具合に適合させることにより、水、エネルギー、及び洗浄剤の過剰消費を回避し、したがって、より環境に優しく、エネルギー節約型で経済的なソリューションを提供できることを認識している。特に、本発明者は、ポンプ速度が、医療用洗浄消毒器の洗浄チャンバ内の効果的なポンプ圧送及び循環に必要な水位に影響を与えることを認識している。他の全ての要因が同じであると仮定すると、ポンプ速度が大きいほど、ポンプ速度が小さい場合に比べて、多くの水を「引き」、その結果、洗浄チャンバ内の水位が低くなる。そのため、本発明者は、所望ポンプ速度を大きくするのに伴い所定注液レベルを高くするべきであり、一方、所望ポンプ速度を小さくするのに伴い所定注液レベルを低くするべきだと提唱している。例えば、医療用洗浄消毒器への積載を終えたユーザは、負荷サイズ及び/または汚れ具合に基づいてプログラムを選択することができ、したがって、そのプログラムが所望ポンプ速度に関連付けられ、そのポンプ速度が所定注液レベルに関連付けられてもよい。
【0006】
さらに、本発明者は、洗浄チャンバに水が補給される際に、物品の種類によって、とどめておく水の量、または巻きつける水の量が異なることを認識している。例えば、より大きな負荷、または多くの空洞がある物品(例えば、カテーテルなどの管状器具)を有する負荷は、循環水を他の物品よりも多く引き留め得る。つまり、洗浄チャンバ内の水位は、毎回同じ量の水が洗浄消毒器に補給されることになるにしても、毎回同じポンプ速度が用いられることになるにしても、洗浄チャンバ内にどのような物品があり、それらが集合的にどれだけの水をとどめておくかに左右されることを意味する。
【0007】
ポンプ速度を(すぐに所望ポンプ速度で始動させるのではなく)液体のレベルの上昇に基づいて制御されるように上げることにより、通常は多量の水が物品に付着して洗浄チャンバの底に落ちないために生じる可能性のあるキャビテーション効果及び圧力ストロークを回避することができる。
【0008】
一般的な発明概念に関連する上記のアイデアは、異なる態様及び例示的な実施形態に関して、以下でさらに説明される。
【0009】
本発明概念の第1の態様によれば、洗浄/消毒すべき医療品を受け入れるための洗浄チャンバと、洗浄チャンバとの間で液体を循環させるための循環ポンプとを有する医療用洗浄消毒器に注液する方法であって、本方法は、
プロセスサイクルのフェーズに合わせた所望ポンプ速度を決定することと、
所望ポンプ速度に関連する洗浄チャンバの所定注液レベルを特定することと、
循環ポンプが上記の所望ポンプ速度未満で動作している間に、洗浄チャンバに液体を供給することと、
洗浄チャンバに液体を供給し続けて液体のレベルが上昇するようにしながら、上記の所望ポンプ速度に達するまで、液体のレベルの上昇に基づいてポンプ速度を増加させるように制御することと、
ポンプが上記の所望ポンプ速度で動作しているときに、液体が洗浄チャンバの所定注液レベルまで注液されたことを検出することと、
液体が所定注液レベルまで注液されたことを検出すると、洗浄チャンバへの液体の供給を中断することと、
を含む、方法が提供される。
【0010】
ポンプ速度が、液体のレベルの上昇に基づいて制御されるように、所望ポンプ速度まで上げられる注液方法を提供することにより、かつ所定注液レベルを上記の所望ポンプ速度に関連付けることにより、先行技術の注液方法と比較して、水及び洗浄剤を節約する効率的な注液方法が達成される。
【0011】
プロセスサイクルは、洗浄、消毒、排水、すすぎ、乾燥など、いくつかの異なるフェーズを含み得ることを理解する必要がある。フェーズごとに、異なる所望ポンプ速度が必要とされ得る。したがって、特定のフェーズに応じて、ある所望ポンプ速度を決定することができ、この所望ポンプ速度は、液体が洗浄チャンバにもう一度繰り返して供給される、プロセスサイクルの後フェーズの所望ポンプ速度とは異なる。それに伴って、あるフェーズの所望ポンプ速度に関連する所定注液レベルは、別のフェーズの別の所望ポンプ速度に関連する所定注液レベルとは異なり得る。さらに、異なるプロセスサイクルは、異なる数及びタイプのフェーズを有し得ることを理解されたい。
【0012】
注液の方法に使用される液体は、典型的には、冷水、温水及び/または脱イオン水などの水であり得る。
【0013】
循環ポンプが動作している間に洗浄チャンバに液体を供給するステップの前に、事前の洗浄チャンバへの液体の供給が行われ得ることを理解されたい。例えば、洗浄チャンバに液体が全くない場合、循環ポンプが始動される前に、ある一定レベルまで液体が適切に補給される。循環ポンプが始動されると、ポンプは所望ポンプ速度未満の速度で動作し、同時に液体が洗浄チャンバに供給される。液体のレベルが上昇するにつれて、ポンプ速度が増加し得る。ポンプ速度の増加は、連続的に、もしくは不連続なステップで、またはそれらの組み合わせで行い得る。
【0014】
以上より、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、洗浄チャンバに液体を供給するステップの前に、
最初に、循環ポンプが不作動である間に、洗浄チャンバに液体を補給することと、
液体が洗浄チャンバの所定ポンプ始動レベルに達したことを検出することと、
液体が所定ポンプ始動レベルに達したときに、循環ポンプを上記の所望ポンプ速度未満で作動させることと、
のステップが行われることが理解され得る。
【0015】
循環ポンプの作動を所定ポンプ始動レベルに達するまで延期することにより、ある循環ポンプ始動速度では、キャビテーション効果のリスクが低減し、液体のポンプ圧送が順調に進むのに十分な液体があるようになることを保証できる。具体的には、循環ポンプが始動すると、液体が洗浄チャンバの底からポンプによって引かれ、パイプ内に移されて、例えば、洗浄チャンバ内の噴霧翼、ノズル、または同様の構成要素に分配されるようになる。このようにして、液体が引かれることで液体のレベルが幾分低下し、その後、流体が供給され続けるにつれて液体のレベルは再び上昇する。ポンプ速度と液体のレベルのバランスを適切に取ることで、液体のレベルが下がりすぎるリスクがキャビテーションのリスクを回避する。より多くの液体が洗浄チャンバに供給されるにつれて、ポンプ速度が増加し得る。
【0016】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、液体のレベルの上昇に基づいてポンプ速度を増加させるように制御するステップは、
洗浄チャンバに一連の特定のレベルまで注液し、達した特定のレベルごとにポンプ速度を増加させること
を含む。
【0017】
特定のレベルの形でチェックポイントを設定することにより、ポンプ速度の簡単かつ効率的な制御が実現可能である。それぞれの特定のレベルは、指定された対応するポンプ速度に適切に関連付けることができる。いくつかの例示的な実施形態では、特定のレベル間では速度が上がらないが、次の特定のレベルに達したときのみ速度が上がるということも考えられる。他の例示的な実施形態では、ポンプ速度は、連続する2つの特定のレベルの間でも、比較的緩やかな割合で増加され得る。この割合は、次のレベルの指定されたポンプ速度に時期尚早に達しないように、十分に緩やかにする必要がある。いくつかの例示的な実施形態では、ポンプ速度が増加する割合は、洗浄チャンバに供給される液体の測定された流量に基づいて制御され得る。例えば、ポンプ速度が増加する割合は、液体が洗浄チャンバに供給される流速に比例し得る。
【0018】
以上より、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、液体のレベルの上昇に基づいてポンプ速度を増加させるように制御するステップは、
上記の一連の特定のレベルのうちの任意の2つの特定のレベルの間でポンプ速度を連続的に増加させること
を含むことが理解され得る。
【0019】
前に説明したように、これにより、注液プロセスを簡単かつ効率的に制御することができる。
【0020】
少なくともいくつかの例示的な実施形態では、所定注液レベルに対して安全マージンが適切に存在し得る。その理由は、ひとたび液体の供給が停止して液体のレベルが安定したら、後は、その安定した液体のレベルは、例えばポンプシステムでポンプ圧送された液体が、物品上にとどまり、洗浄チャンバ内の液体バルクに落ちて戻らないために、供給が停止した時点のレベルに比べ、実際には低下している可能性があるためである。したがって、所定注液レベルに達したときに正確に供給を停止した場合、一部の例では液体のレベルが(ポンプ圧送の継続により)所定注液レベルよりも低下する場合もあり、その結果、関連する所望ポンプ速度に対して洗浄チャンバ底部の液体が少なすぎることになる場合があり、したがってキャビテーションや性能低下を引き起こす可能性がある。そのため、少なくともいくつかの例示的な実施形態では、所定注液レベルに達したことが検出されたときに、供給が中断される前に短時間、供給が継続されるように、時間遅延があってもよく、この結果として、安全マージンが作り出される。安全マージンと時間遅延とは、各ケースで必ずしも同じである必要はない。例えば、少なくともいくつかの例示的な実施形態では、時間遅延/安全マージンは、現在決定されている所望ポンプ速度及び/またはそれに関連する所定注液レベルに基づいてもよい。これらの考慮すべき事項は、以下に提示される例示的な実施形態に少なくとも部分的に反映される。
【0021】
したがって、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、洗浄チャンバへの液体の供給を中断する上記のステップは、液体が所定注液レベルに達したことを検出してから、0.5~10秒後、好適には1~5秒後、例えば1.5~3秒後など、所定期間後に実行され、本方法は、洗浄チャンバへの液体の供給を中断した後に、
循環ポンプが動作している間に、洗浄チャンバ内の液体のレベルを安定化させることと、
安定化させた液体のレベルが所定注液レベルを下回る場合、所定注液レベルに達するために、より多くの液体を洗浄チャンバに供給することと、
をさらに含む。
【0022】
レベル低下を補償できるので、安全マージンを大きくしすぎる必要がなく、したがって液体を過剰に使用するのを回避する利点がある。所定期間が洗浄チャンバ内の特定の負荷に対して短すぎる場合は、このようにして、液体のレベルが安定した後に、より多くの液体を洗浄チャンバに供給することによって補償することができる。液体のレベルが安定するために見込まれる時間は、通常、上記の所定期間よりも長い。例えば、液体のレベルが安定するために見込まれる時間は、好適には、15~30秒など、10秒より長くてもよい。
【0023】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本方法は、上記のプロセスサイクルのフェーズに対して、洗浄チャンバ内の添加剤の所望化学濃度を決定することと、
流量センサによって、洗浄チャンバに供給される液体の量を測定することと、
測定された量に基づいて、上記の所望化学濃度を得るために洗浄チャンバに提供すべき上記の添加剤の量を決定することと、
上記の決定された量の添加剤を洗浄チャンバに提供することと、
をさらに含む。
【0024】
上記の説明からすでに理解されているように、液体の注液を制御することにより、液体の過剰消費を回避することができる。洗浄チャンバに補給される液体の量に添加剤の量を適合させることにより、添加剤の過剰消費を回避することもできる。添加剤は、典型的には、洗浄剤またはリンス剤であり得る。添加される洗浄剤の量は、例えば、洗浄剤流量計及び投与ポンプを使用することによって制御され得る。
【0025】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、循環ポンプの上記の所望ポンプ速度は、循環ポンプの最高作動速度未満である。これは、通常、軽い汚れの物品または小さい負荷の場合であり得る。前に説明したように、ポンプ速度を低くするのに伴い所定注液レベルを低くするため、性能を損なうことなく過剰消費を回避することができる。実際には、より大きな負荷の場合にも、所望ポンプ速度は、循環ポンプの最高作動速度未満であり得る。好適には、異なる汚れの程度及び/または異なる負荷サイズに対して選択可能な、複数の異なる利用可能な所望ポンプ速度があってもよい。しかしながら、少なくともいくつかの例示的な実施形態では、所望ポンプ速度は、汚れのひどい負荷及び/または大きな負荷などに対する循環ポンプの最大作動速度に対応し得ることを理解されたい。
【0026】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本方法は、医療用洗浄消毒器の上記の注液後に、洗浄/消毒サイクルを実行することをさらに含み、上記の所望ポンプ速度は、洗浄/消毒サイクル中に循環ポンプに使用される最高速度である。こうすると、実際の液体補給とその後の液体使用とが互いに適切に合わせられるため有利である。
【0027】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、循環ポンプは第1の循環ポンプであり、医療用洗浄消毒器は、注液が完了した後で用いる第2の循環ポンプも有しており、本方法は、
洗浄チャンバへの液体の供給の間に、第2の循環ポンプを不作動にしておくこと
を含む。
【0028】
循環ポンプを2つ設けると、例えば、それらのポンプを、洗浄チャンバの異なる部分に液体をポンプ圧送するために使用することができるので、有利であり得る。また一方、洗浄チャンバへの液体の供給の間に、第2の循環ポンプを不作動にしておくことにより、第2の循環ポンプが第1の循環ポンプから液体を奪うことがないため、キャビテーション及び性能低下が回避される。第1の循環ポンプは、第2の循環ポンプよりも高い最大圧力及び流量を提供するように、適切に構成され寸法決めされ得る。したがって、いくつかの実施形態では、第2の循環ポンプは、第1の循環ポンプよりも低いポンプ圧送性能を有するので、水位は、より大きな第1のポンプのみの性能及び意図された運転速度のために最適化されて、水の使用を最小限に抑える。例えば、最終的な液体のレベルは、第2のポンプが止められている場合、プロセスサイクルのフェーズに合わせた所望の最大速度で第1のポンプを動作させるのに十分であるにすぎず、第2のポンプを動作させるには、第1のポンプを減速させるかまたは止めなければならない。
【0029】
供給が完了した後で、安定化させた液体のレベルが低下しすぎたために液体を補償的に供給した後に、第1の循環ポンプと第2の循環ポンプとを適切に交互に動作させることができる。例えば、一方が動作しているときは、他方は完全に止められる。所望ポンプ速度(第1の循環ポンプの所望ポンプ速度)が、第2の循環ポンプによって達成可能な(すなわち、第2の循環ポンプが全速力で動作するときに達成可能な)最大流速よりも速い流速である、少なくともいくつかの例示的な実施形態では、その場合、第1の循環ポンプは、第2の循環ポンプも動作しているにもかかわらず、所望ポンプ速度よりも遅い速度で適切に動作することができる。そのような第1の循環ポンプの低速化は、結果として得られる総流量が、第1の循環ポンプのみが上記の所望ポンプ速度で動作した場合の流量に一致するか、またはそれよりもわずかに低くなるように適切に計算される。このようにして、洗浄チャンバに不必要に大量の液体を注液することなく、動作中に液体のレベルが低くなりすぎるリスクを回避することができる。以上のことから、循環ポンプの動作を交互に切り替えることにより(または、少なくとも第2の循環ポンプが動作しているときに、第1の循環ポンプの速度を下げることにより)、品質の面で妥協することなく、液体及び添加剤の消費を低く抑え得ることを理解できよう。これらの考慮すべき事項は、以下の例示的な実施形態に少なくとも部分的に反映される。
【0030】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、洗浄消毒器は、洗浄チャンバで洗浄/消毒すべき医療品を保持する洗浄カートを受け入れるようにサイズ決めされ構成、また、され、上記の洗浄カートが、1つ以上の洗浄カート噴霧器を含んでおり、
洗浄消毒器は、洗浄チャンバの天井及び/または壁に1つ以上のチャンバ噴霧器を備えており、
洗浄消毒器は、第1の循環ポンプ及び第2の循環ポンプを使用して、存在する場合に、チャンバ噴霧器及び/または洗浄カート噴霧器に液体を選択的に循環させるように構成され、第1の循環ポンプと第2の循環ポンプとが別々に制御可能であり、
第1の循環ポンプは洗浄カート噴霧器用ポンプであり、第2の循環ポンプはチャンバ噴霧器用ポンプであり、注液プロセス中に得られる液体のレベルは、後続の洗浄/消毒プロセス中に洗浄カート噴霧器用ポンプのみが動作している場合の液体のレベル要件に基づいている。
【0031】
チャンバ噴霧器用ポンプ(第2の循環ポンプ)よりも相応に高性能の洗浄カート噴霧器用ポンプ(第1の循環ポンプ)の想定される使用に基づいて液体消費量を設定することにより、液体消費量を低く抑えることができる。チャンバ噴霧器用ポンプが動作しているときに、洗浄カート噴霧器用ポンプの速度を下げるか、または洗浄カート噴霧器用ポンプを完全に停止することで、キャビテーション及び性能低下のリスクを回避することができる。
【0032】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1の循環ポンプは、その最高速度の0~100%の間で制御可能であるように構成される。好適には、例えば無段変速モータを使用することにより、その範囲内の任意の数値が得られる。また一方、他の例示的な実施形態では、第1の循環ポンプが、その最大速度の0~100%の間を不連続なステップで制御可能であるということも考えられる。第2の循環ポンプは、その最も単純な形態では、ただ2つの状態、すなわちオンまたはオフを有するだけでもよい。ただし、第1の循環ポンプと同様に、その最高速度の0~100%の範囲内で制御可能な第2の循環ポンプを有することも1つの選択肢である。
【0033】
本発明概念の第2の態様によれば、洗浄/消毒すべき医療品を受け入れるための洗浄チャンバと、洗浄チャンバとの間で液体を循環させるための循環ポンプとを有する医療用洗浄消毒器を動作させる方法であって、本方法は、
第1の態様による方法(その任意の実施形態を含む)を実行することにより、洗浄チャンバに注液することを含む、方法であり、
循環ポンプは第1の循環ポンプであり、医療用洗浄消毒器は第2の循環ポンプをさらに有しており、医療用洗浄消毒器を動作させる本方法は、
洗浄チャンバへの液体の供給の間に、第2の循環ポンプを不作動にしておくことと、
洗浄チャンバでの液体の注液が完了した後、第2の循環ポンプが動作しているときに、第1の循環ポンプが、上記の所望ポンプ速度よりも低い速度で動作するように制御されるように、または不作動にされるように制御されるように、第2の循環ポンプの作動と不作動とを交互に行うことと、
をさらに含む、方法が提供される。
【0034】
第2の態様の動作方法の利点は、その任意の実施形態を含む第1の態様の注液方法の利点に大部分対応する。
【0035】
本発明概念の第3の態様によれば、その任意の実施形態を含む第1の態様の注液方法及び/または第2の態様の動作方法のステップの実行を制御するための制御ユニットが提供される。
【0036】
第3の態様の制御ユニットの利点は、その任意の実施形態を含む第1の態様の注液方法及び/または第2の態様の動作方法の利点に大部分対応する。
【0037】
本制御ユニットは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルデジタル信号プロセッサまたは別のプログラマブルデバイスを含むことができる。本制御ユニットはまた、または代わりに、特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイもしくはプログラマブルアレイロジック、プログラマブルロジックデバイス、またはデジタル信号プロセッサを含むことができる。本制御ユニットが、上述のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはプログラマブルデジタル信号プロセッサなどのプログラマブルデバイスを含む場合、プロセッサは、プログラマブルデバイスの動作を制御するコンピュータ実行可能コードをさらに含むことができる。本制御ユニットは、好ましくは、医療用洗浄消毒器と共に使用するために構成され、本明細書に記載されている方法のいずれかを実行し制御するために電子命令を提供される。
【0038】
本発明概念の第4の態様によれば、
洗浄/消毒すべき医療品を受け入れるための洗浄チャンバと、
洗浄チャンバとの間で液体を循環させるための1つ以上の循環ポンプと、
第3の態様による制御ユニット(その任意の実施形態を含む)と、
を備える、医療用洗浄消毒器が提供される。
【0039】
本医療用洗浄消毒器は、洗浄チャンバにアクセスするための少なくとも1つのドアを含むこともできる。
【0040】
第4の態様の医療用洗浄消毒器の利点は、その任意の実施形態を含む第3の態様の制御ユニットの利点に大部分対応する。
【0041】
本医療用洗浄消毒器の少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、本洗浄消毒器は、洗浄チャンバで洗浄/消毒すべき医療品を保持する洗浄カートを受け入れるようにサイズ決めされ、また、構成され、上記の洗浄カートが、1つ以上の洗浄カート噴霧器を含んでおり、
洗浄消毒器は、洗浄チャンバの天井及び/または壁に1つ以上のチャンバ噴霧器を備えており、
洗浄消毒器は、第1の循環ポンプ及び第2の循環ポンプを使用して、存在する場合に、チャンバ噴霧器及び/または洗浄カート噴霧器に液体を選択的に循環させるように構成され、第1の循環ポンプと第2の循環ポンプとが別々に制御可能である。
洗浄カートは通常、車輪を備えており、多数の医療品を保持しながら洗浄チャンバに出し入れすることができる。一部の洗浄カートは、保持する医療品に液体を噴霧するために、洗浄チャンバ内にあるときにポンプ圧送式液体源に接続可能である。
【0042】
上記の第1の態様、第2の態様、第3の態様及び第4の態様は、医療用洗浄消毒器に関連して説明してきたが、対応する発明原理は、家庭用洗浄器などの他のタイプの装置にも実装可能であろうことを理解されたい。
【0043】
したがって、一般的な意味では、本発明概念の第5の態様によれば、洗浄すべき品物を受け入れるための洗浄チャンバと、洗浄チャンバとの間で液体を循環させるための循環ポンプとを有する洗浄器に注液する方法が提供され、本方法は、第1の態様の注液方法について提示された対応するステップを含むことが理解できる。同様に、第5の態様による洗浄器の注液方法においては、第1の態様の注液方法の実施形態における他のステップを自由に実施することができる。
【0044】
上記に加えて、一般的な意味で、第6の態様によれば、特に医療用洗浄消毒器に関連しないことを除けば、第2の態様の方法と同じ特徴及び実施形態を含む、洗浄器を動作させる方法が提供されること、第7の態様によれば、特に医療用洗浄消毒器に関連しないことを除けば、第3の態様の制御ユニットと同じ特徴及び実施形態を含む制御ユニットが提供されること、及び第8の態様によれば、特に医療用洗浄消毒器に関連しないことを除けば、第4の態様の医療用洗浄消毒器と同じ特徴及び実施形態を含む洗浄器が提供されることを理解されたい。
【0045】
本明細書で論じた洗浄消毒器のいずれも、洗浄チャンバにアクセスするためのドアを含むことができる。それらは、任意選択で、具体的には、汚れた医療物品と清潔な医療物品とを(それぞれ)隔壁の両側で積載及び積降するための積載ドア及び積降ドアを含む通過式の洗浄消毒器であってもよい。
【0046】
一般に、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書で別途明確に定義されていない限り、技術分野における通常の意味に従って解釈されるものとする。「ある(a)/ある(an)/その(the)要素、装置、構成要素、手段、ステップなど」への全ての言及は、別途明記されない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの具体例を指すものとしてオープンに解釈されるものとする。本明細書に開示された任意の方法のステップは、明示的に記載されていない限り、開示された正確な順序で実行される必要はない。 本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲及び以下の説明を検討するときに明らかになるであろう。当業者は、本発明の異なる特徴を組み合わせて、本発明概念の範囲から逸脱することなく、以下に説明するもの以外の実施形態を作成できることを認識する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明概念による方法を実施することができる医療用洗浄消毒器の1つのタイプの斜視図である。
図2】本発明概念による方法を実施することができる別タイプの医療用洗浄消毒器部分の斜視図である。
図3】少なくとも1つの例示的な実施形態による注液方法が関連して後述される医療用洗浄消毒器を概略的に示す。
図4】少なくとも一部の例示的な実施形態による注液方法及び動作方法が関連して後述される別の医療用洗浄消毒器を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明概念の特定の態様が示された添付図面を参照しながら、これから本発明概念をより完全に説明する。ただし、本発明概念は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態及び態様に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、本実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明概念の範囲を当業者に十分に伝えるように、例として提供されている。したがって、本発明概念は、本明細書に記載され、図面に例示された実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、当業者は、添付の特許請求の範囲内で、多くの変更及び修正を行い得ることを認識するであろう。同様な参照番号は、本説明の全体を通して同様な要素を示す。
【0049】
図1は、本発明概念による方法を実施することができる医療用洗浄消毒器1の1つのタイプの斜視図である。この実施例は、小型のシングルドア式洗浄消毒器である。医療用洗浄消毒器1は、医療品を受け入れるための洗浄チャンバ2を備える。洗浄チャンバは、スライド式ドア4によって閉じることができる。このドア4は、現在は洗浄チャンバ2へのアクセスを可能にするために下げられた位置にあるが、閉じるために持ち上げることができる。情報を表示し、ユーザがプログラムを選択できるようにするために、コントロールパネルなどのユーザインターフェース6が設けられ得る。
【0050】
図2は本発明概念による方法を実施することができる別タイプの医療用洗浄消毒器10部分の斜視図である。図1に示すタイプと比べると、図2の医療用洗浄消毒器10の方が大きい。具体的には、医療用洗浄消毒器10は、一方の側(「汚れた」側)から洗浄チャンバ12に転がして運び入れ、洗浄/消毒プログラムが完了した後、反対側(「清潔な」側)で転がして運び出すことができる洗浄カートを受け入れるように構成されている大型の洗浄チャンバ12を備える。このように、医療用洗浄消毒器10は、洗浄カート用、または1つ以上の大型処理対象物用の入口及び出口を有する。本実施例における洗浄チャンバ12によって画定された空間は、大きなクローゼットに匹敵し、人が中に入ることができる。プログラム選択及び情報表示のために、コントロールパネルなどのユーザインターフェース14が設けられている。本図では、ユーザインターフェース14は入口の横に設置されている。図面では1つのドア16しか見えないが、出口には、洗浄チャンバ12への入口を閉じるための別のドアも設けられている。入口のドアは、開位置と閉位置との間で適切に横方向にスライドさせることができる。開位置では、ドアは、ユーザインターフェース14が設けられた壁部分の裏側に位置し得る。このタイプの2ドア式洗浄消毒器は、医療中央滅菌サービス部門(CSSD)の異なる部屋またはエリアを分ける壁、一般的には「汚れた」側と「清潔な」側とを分ける壁を通して配置され得る。いくつかの実施形態では、このタイプの洗浄消毒器は、2つの循環ポンプを含み、1つは循環液を天井及び/または壁の噴霧器に補給するためのものであり、もう1つは循環液を、1つ以上のカート噴霧器を有する洗浄カートに補給するためのものである。洗浄チャンバ12の内面には、循環用のポンプ圧送される液体の補給を洗浄チャンバ内の洗浄カートへ一時的に接続するためのインターフェースがあってもよい。
【0051】
図3は、少なくとも1つの例示的な実施形態による注液方法が関連して実行され得る医療用洗浄消毒器100を概略的に示す。例えば、概略的に図示された医療用洗浄消毒器は、図1及び図2に図示されたタイプのもの、または異なるタイプのものであってよい。医療用洗浄消毒器100は、洗浄/消毒すべき医療品を受け入れるための内部洗浄チャンバ104を画定するハウジング102を備える。液体は、1つ以上の供給源106から1つ以上の液体注入ライン108を通って洗浄チャンバ104に供給され得る。図示の実施例では、3つの液体供給源106、例えば冷水、温水及び脱イオン水の供給源を示す。液体流量計110が、各供給源106からの流量を測定するために設けられており、弁112が、それぞれの供給源106からの流量を調整するために設けられている。図示の実施例では、3つの供給源106からの液体の流れは、洗浄チャンバ104に液体を供給するための1つの共通液体注入ライン108で合流される。しかしながら、供給源106ごとに個別の液体注入ラインを有することも考えられるだろう。
【0052】
洗浄チャンバ104との間で液体を循環させるために、循環ポンプ120が設けられている。循環ポンプ120は、洗浄チャンバ104の底部122から液体を吸引し、様々な戻し導管124、128、132を通して液体を移動させるように構成される。図示の実施例では、上部噴霧翼126に通じる1つの戻し導管124があり、上部噴霧翼126は回転可能であり、再循環液体を分配するためのノズルを有する。同様に、下部噴霧翼130に通じる別の戻し導管128があり、上部噴霧翼126と対応する機能を有する。上部噴霧翼及び下部噴霧翼126、130が図示されているが、他の例示的な実施形態では、噴霧翼の数は、場所があり得る限り、異なっていてもよいことを理解されたい。例えば、ハウジング102の側面壁に噴霧器を有することも考えられるだろう。洗浄チャンバ104は、洗浄カートを受け入れるように適切に構成され寸法決めされてもよく、この場合、残りの戻し導管132の少なくとも1つは、洗浄カートのマニホールドに通じ、これに接続可能であってもよい。他の考えられるオプションは、ハウジング壁または天井のノズルに通じる戻し導管を設けることである。
【0053】
医療用洗浄消毒器100は、循環ポンプ120を出る流体の圧力を測定するための圧力センサ134を設けられていてもよい。圧力センサ134は、感知した圧力を制御ユニット140に適切に伝達することができ、制御ユニット140は、不意の圧力損失の場合に備えて、アラームを設定するか、または警報信号を提供してもよく、及び/または進行中の処理サイクルを中断してもよい。
【0054】
図面の視認性を不明瞭にしないために、制御ユニット140は単に別個の構成要素として図示している。しかしながら、制御ユニットは、有線または無線の通信手段などによって、以前に言及した流量計110、弁112及び圧力センサ134を含む医療用洗浄消毒器100の他の様々な構成要素に適切に動作可能なように接続され得ることを理解されたい。
【0055】
さらに、制御ユニット140は、循環ポンプ120とも通信する。具体的には、制御ユニット140は、循環ポンプ120のポンプ速度を制御するように構成される。制御ユニット140は、1つ以上の分散処理回路、電子メモリなどを含むことができ、必ずしも医療用洗浄消毒器100内の1つの共通の場所に限られる必要はないことを理解されたい。
【0056】
医療用洗浄消毒器100は、デジタルまたはアナログであり得る1つ以上のレベルセンサ142を備える。そのようなレベルセンサ142は、洗浄チャンバ104内の液体のレベルを測定するために設けられる。レベルセンサ142は、上昇レベルを連続的に測定するか、または洗浄チャンバ104に沿ったある特定の高さで局所的に上昇レベルを検出することができる。1つ以上のレベルセンサ142は、感知されたレベルを制御ユニット140に伝達するように構成される。
【0057】
医療用洗浄消毒器100はまた、洗浄剤などの添加剤の供給源144と、添加剤注入ライン148を介して洗浄チャンバ104に添加剤を投与するための投与ポンプ146とを適切に備えることができる。洗浄チャンバ104に補給される添加剤の量を測定するために、1つ以上の添加剤流量計150、152を適切に設けることができる。図示の実施例では、一方の添加剤流量計150は、洗浄チャンバ104に補給される添加剤の量の情報を制御ユニット140に提供するために制御ユニット140と通信する標準制御流量計であってもよい。他方の添加剤流量計152は、任意選択の冗長/監視流量計であってもよく、2つの添加剤流量計150、152の測定値に(ある許容差範囲を外れた)相違がある場合に、アラームまたは警報信号を作動させることができ、及び/または制御ユニット140が現在の処理サイクルを中断させることができる。
【0058】
本発明概念の態様は、図3に図示される医療用洗浄消毒器100などの医療用洗浄消毒器を注液する方法を提供する。本方法は、プロセスサイクルのフェーズに合わせた所望ポンプ速度を決定することを含む。これは、例えば、1つ以上のプロセスサイクルを含む特定のプログラムをオペレータが選択することによって達成され得る。各プロセスサイクルには、いくつかのフェーズが含まれる場合がある。先に医療用洗浄消毒器100を注液することが行われる任意のフェーズでは、制御ユニット140が、その特定のフェーズに合わせた所望ポンプ速度を決定してもよい。制御ユニット140は、例えば、循環ポンプ120が上記のフェーズ中に有するべき所望ポンプ速度を決定するために、ルックアップテーブルにアクセスするか、または(例えば、オペレータによって与えられ、及び/または負荷センサなどのセンサによって感知される)様々な入力パラメータに基づいて計算を行うことができる。
【0059】
本方法はまた、所望ポンプ速度に関連する洗浄チャンバ104の所定注液レベルを特定することを含む。これは、制御ユニット140及び/または1つ以上のレベルセンサ142によって適切に行うことができ、この場合もやはり、ルックアップテーブルにアクセスすることにより、または計算を行うことにより、または他の任意の適切な方法で達成され得る。一方では、所定注液レベルは、循環ポンプ120が上記のフェーズ中に上記の所望ポンプ速度で動作しているときに発生するキャビテーションのリスクを回避するのに十分高くあるべきである。他方では、所定レベルは、液体(及び通常は使用される液体の量に基づく添加剤)の極端な過剰消費を避けるために、十分に低く抑えられ得る。
【0060】
本方法はまた、循環ポンプ120が上記の所望ポンプ速度未満で動作している間に、洗浄チャンバ104に液体を供給することを含む。用途によっては、循環ポンプ120が始動する前に、液体が(上記の液体供給源106の1つ以上から液体注入ライン108を通って)洗浄チャンバ104にすでに供給されている。制御ユニット140は、例えば、洗浄チャンバ104に液体を補給するために、種々の弁112を調整することができる。さらに、洗浄チャンバ104内の液体のレベルは、循環ポンプ120が始動されたときにその後でキャビテーションを発生させないような適切な高さにある。このことは、上記の1つ以上のレベルセンサ142によって適切にチェックされ得る。したがって、循環ポンプ120の始動速度は、典型的には、上記の所望ポンプ速度よりも遅い速度である。上記によれば、循環ポンプ120がこの遅い速度で動作している間に、液体が洗浄チャンバ104に供給され、それによって液体のレベルが上昇する。
【0061】
本方法はまた、洗浄チャンバ104に液体を供給し続けて液体のレベルが上昇するようにしながら、上記の所望ポンプ速度に達するまで、液体のレベルの上昇に基づいてポンプ速度を増加させるように制御することを含む。したがって、1つ以上のレベルセンサ142が連続的にまたはチェックポイントでレベルの上昇を検出するので、循環ポンプ120のポンプ速度を制御的に増加させることができる。注液を制御するために、洗浄チャンバ104内に補給された液体の量を示す液体流量計110からの情報に依存するのではなく、1つ以上のレベルセンサ142に依拠する方が、物品の特定の負荷ごとに所望ポンプ速度をサポートするために実際に必要な液体の量のみを提供する目的では、より正確であることに留意されたい。より具体的には、(例えば噴霧翼から)分配される再循環液は、洗浄チャンバ104内の負荷に落ちるので、すぐに洗浄チャンバ104の底部122に落ちて戻らない液体の量は、負荷の特性、例えば負荷の種類やサイズによって変化することになる。したがって、2つの異なる機会に同じ量の液体が洗浄チャンバ104に補給されたとしても、その結果得られる液体のレベルは、それぞれの機会における負荷(及びポンプ速度)に応じて異なる場合がある。
【0062】
本方法はまた、液体が所定注液レベルまで注液されたことを検出すると、洗浄チャンバ104への液体の供給を中断することを含む。したがって、所定注液レベルに達したことを1つ以上のレベルセンサ142が示した後で、循環ポンプが動作し続けている間に、液体供給が停止し得る。いくつかの実施形態では、液体の注液が続くときに、所定注液レベルに最初に達した後で、短時間の遅延が生じることもある。この使用時の(注液継続のための)遅延は、ある量の再循環液が洗浄チャンバ104の底部122に速やかに落ちて戻らない場合、循環ポンプが動作している状態で液体のレベルが安定すると、液体のレベルが所定注液レベルを下回る可能性がある場合に、液体のわずかな余剰分、すなわち安全マージンを提供することが可能である。それにもかかわらず、安定した液体のレベルが所定注液レベルを下回る場合、制御ユニット140は、所定注液レベルに達するために洗浄チャンバ104に供給すべきより多くの液体を制御するように適切に構成されてもよい。
【0063】
次に、本発明概念の理解を容易にするために、実施例について説明する。本実施例では、簡単にするために、オペレータが3つの異なるプログラム(軽度の汚れの負荷、中程度の汚れの負荷、及び重度の汚れの負荷)から選択できることを想定している。軽度の汚れの負荷のためのプログラムは、比較的低速の所望ポンプ速度を含み、中程度の汚れの負荷のためのプログラムは、中程度の速さの所望ポンプ速度を含み、重度の汚れの負荷のためのプログラムは、比較的高速の所望ポンプ速度を含む。低速の所望ポンプ速度は、低い所定注液レベルであるレベル1に関連付けられている。中程度の速さの所望ポンプ速度は、中程度の所定注液レベルであるレベル2に関連付けられている。高速の所望ポンプ速度は、高い所定注液レベルであるレベル3に関連付けられている。ポンプ速度が速いほど、洗浄チャンバ104の底部122からより多くの液体を「引く」ことになるので、キャビテーション効果を回避するために、より多くの液体が洗浄チャンバ104の底部122に必要とされる。
【0064】
循環ポンプ120の所望ポンプ速度は、循環ポンプ120の最高作動速度未満であってよいことを理解されたい。本実施例では、少なくとも軽度の汚れ及び中程度の汚れのシナリオ(レベル1及びレベル2)には当てはまる。また一方、重度の汚れのシナリオ(レベル3)に使用される高速の所望ポンプ速度は、少なくともいくつかの例示的な実施形態では、循環ポンプ120の最高作動速度に対応する場合がある(しかしまた、その速度が最高作動速度よりも小さいことも想定できる)。
【0065】
本実施例では、軽度の汚れの負荷のためのプログラムの場合、所定注液レベルとしてレベル1が特定されることになる。最初に、液体がレベル1まで注液され得、その後、循環ポンプ120が、上記の低速の所望ポンプ速度よりもさらに遅い速度で始動される。循環ポンプ120が液体の循環を開始するので、液体は洗浄チャンバ104の底部122から吸引され、戻し導管124、128、132を通して汲み上げられる。この結果として、液体のレベルがレベル1を下回るようになる。プロセスサイクルのフェーズに必要な液体の総量は、洗浄チャンバ104の底部122においてレベル1に達する液体の量よりも多いことを理解されたい。必要とされる総量は、戻し導管124、128、132内の液体、循環ポンプ120内の液体、及び負荷に付着した液体の量を含む。したがって、循環ポンプ120が始動されると、現在、医療用洗浄消毒器100の他の部分に分配されている液体を補償するために、洗浄チャンバ104に液体が供給される必要がある。
【0066】
そのため、本発明概念によれば、循環ポンプ120が所望ポンプ速度未満、この場合は上記の低速の所望ポンプ速度で動作している間に、液体が洗浄チャンバ104に直ちに供給される。最初のさらに低速の速度により、キャビテーション効果が回避される。液体が洗浄チャンバ104に供給され続け、ポンプ速度が所望ポンプ速度に達するように増加され得る。レベル1に達したことが検出されると、液体の供給が中断され、循環ポンプ120は所望ポンプ速度、すなわち軽度の汚れの負荷に対して決定された上記の低速の所望ポンプ速度で動作し続けることができる。
【0067】
同様に、重度の汚れの負荷の場合、その場合には所定注液レベルとしてレベル3が特定されることになり、最初の手順は同じであり得る。好適には、レベル1及びレベル2はチェックポイントとして機能して、液体がレベル1に達したことを1つ以上の液体センサ142が検出したときに、ポンプ速度がそのレベルに関連する比較的低い速度にまだ達していない場合、制御ユニット140がポンプ速度をその速度まで増加させることができるようにしてもよい。同様に、液体がレベル2に達したときに、ポンプ速度がそのレベルに関連する中速にまだ達していない場合、ポンプ速度がその中速に増加するように制御され得る。ポンプ速度は、異なるレベル間で適切に連続的に増加させることができ、または断続的に増加させることができる。レベル3に達したことが検出されると、液体の供給が(すぐに、またはその後設定された時間のいずれかで)中断され、循環ポンプは比較的高速の所望ポンプ速度で動作し続けることができる。
【0068】
以上より、洗浄チャンバ104に液体を供給するステップの前に、最初に、循環ポンプ120が不作動である間に、洗浄チャンバ104に液体を補給することと、液体が洗浄チャンバ104の所定ポンプ始動レベルに達したことを検出することと、液体が所定ポンプ始動レベルに達したときに、循環ポンプ120を作動させることとが行われ得ることが理解され得る。上記の実施例では、軽度の汚れのシナリオと重度の汚れのシナリオとの両方で、レベル1が適切にポンプ始動レベルであり得る。
【0069】
上記の説明からさらに理解できるように、液体のレベルの上昇に基づくポンプ速度の増加は、洗浄チャンバ104に一連の特定のレベルまで注液し、達した特定のレベルごとにポンプ速度を増加させることを適切に含み得る。レベル3が所定注液レベルであった上記の実施例では、ポンプ速度は、循環ポンプ120が始動された後、液体がレベル1に達したときに増加され、次に液体がレベル2に達したときに、より速いポンプ速度に増加され、最後に液体がレベル3に達したときに比較的高速の所望ポンプ速度に増加されてもよい。しかしながら、液体のレベルの上昇に基づいてポンプ速度を増加させるように制御することは、上記の一連の特定のレベルのうちの任意の2つの特定のレベルの間でポンプ速度を連続的に増加させることを含むこともできることを理解されたい。
【0070】
上記の説明は、例として3つの液体のレベルに関して行われたが、本発明概念は、レベルの数が少ないか多いかに関係なく、他のレベルの数に対応するようにして実施できることを理解されたい。
【0071】
一般化すると、いくつかの実施形態では、洗浄消毒器には、複数の異なる洗浄/消毒プログラムが保存されており、少なくとも一部の洗浄/消毒プログラムは、それぞれ、他の洗浄/消毒プログラムとは異なる循環ポンプ120の所望ポンプ速度を有しており、各洗浄/消毒プログラムは、対応する所望ポンプ速度での使用に適した所定注液レベルを有する。いくつかの用途では、洗浄/消毒プログラムのうちの1つのプログラムの選択は、注液プロセスの前に受け付けられ、所望ポンプ速度及び/または所定注液レベルを決定するために使用される。洗浄/消毒プログラムの選択は、人間のユーザによる選択であってもよく、または例えば、処理すべき物品の固有性に基づく自動選択であってもよい。
【0072】
本注液方法が使用されるプロセスサイクルのフェーズが、洗浄剤などの添加剤を必要とする場合、本方法は、上記のフェーズに対して、洗浄チャンバ104内の添加剤の所望化学濃度を決定することを含んでもよい。制御ユニット140は、この決定をルックアップテーブルに基づいて適切に行うことができる。液体流量計110が、洗浄チャンバ104に供給される液体の量に関する情報を制御ユニット140に提供する。したがって、制御ユニット140は、その測定された量に基づいて、上記の所望化学濃度を得るために添加剤の供給源144から提供すべき添加剤の量を決定することができる。次に、制御ユニット140は、投与ポンプ146を制御し、添加剤流量計150、152をチェックして、正しい量の添加剤が洗浄チャンバ104に供給されることを確認することができる。したがって、適切な添加剤の量は、最初に洗浄チャンバに加えられる(水などの)液体の量を最適化する他の箇所で説明されている注液方法によって間接的に最適化される。
【0073】
図4は、少なくとも一部の例示的な実施形態による注液方法及び動作方法が関連して後述される別の医療用洗浄消毒器200を概略的に示す。医療用洗浄消毒器200は、適切に、いくつかの実施形態で洗浄カート300を受け入れ洗浄カート300に流体を補給する図2に示されたタイプとなり、または別のタイプとなり得る。
【0074】
図4の医療用洗浄消毒器200は、大部分は図3の医療用洗浄消毒器100と同様であるが、追加で循環ポンプ220が設けられている。したがって、図4の医療用洗浄消毒器200は、図3に示す循環ポンプ120に対応する第1の循環ポンプ120と、第2の循環ポンプ220とを備える。第1の循環ポンプ120のポンプ速度は、図3に関連して説明した対応する方法で制御される。ただし、図4に示されるように、第1の循環ポンプ120によってポンプ圧送される流体は、洗浄カート300のマニホールドに接続可能な戻し導管132、またはハウジング102の壁または天井のノズルに接続された戻し導管132など、戻し導管132の一部のみを介して適切に再循環され得る。第2の循環ポンプ220は、戻し導管224、228を通して上部噴霧翼及び下部噴霧翼126、130に流体を再循環させるように配置され得る。このように、第1の循環ポンプ120は洗浄カート噴霧器用ポンプであり得、第2の循環ポンプ220はチャンバ噴霧器用ポンプであり得る。より一般的には、第1の循環ポンプ及び第2の循環ポンプはそれぞれ、洗浄消毒器用噴霧器の異なる個別のサブセットに液体を補給してもよい。第1の循環ポンプ120及び第2の循環ポンプ220は、制御ユニット140によって別々に制御可能であってもよい。
【0075】
第2の循環ポンプ220は、洗浄チャンバ104への液体の供給中に、不作動に保つことができる。したがって、第2の循環ポンプ220は、所定注液レベルまでの注液中に必要とされない。その注液プロセス中に得られる液体のレベルは、後続の洗浄/消毒プロセス中に第1の循環ポンプ120(例えば、洗浄カート噴霧器用ポンプ)のみが動作している場合の液体のレベル要件に基づいている。
【0076】
図4の医療用洗浄消毒器200を動作させる方法は、第1の循環ポンプ120のみを使用して前述の注液方法を実行することによって洗浄チャンバ104に注液し、注液中は第2の循環ポンプ220を不作動に維持することを含む。医療用洗浄消毒器200を動作させる方法はまた、洗浄チャンバ104での液体の注液が完了した後、第2の循環ポンプ220が動作しているときに、第1の循環ポンプ120が、上記の所望ポンプ速度よりも低い速度で動作するように制御されるように、または不作動にされるように制御されるように、第2の循環ポンプ220の作動と不作動とを交互に行うことを含む。したがって、本動作方法により、洗浄チャンバ104の底部122から吸引される液体の総流量が、上記の所望ポンプ速度で動作する第1の循環ポンプ120のみで達成される流量を超えないことが保証され得る。このようにして、所望の流量を維持し、それによってキャビテーション効果を回避することができる。
【0077】
図4はまた、圧力スイッチ234が設けられていることを示す。圧力スイッチ234は、第2の循環ポンプ220からの液体の出力圧力が設定限界値を下回る場合に作動する。好適には、これによりアラームを出し、及び/または医療用洗浄消毒器200が、その現在のプロセスサイクルを停止する。圧力スイッチ234の代わりに、第1の循環ポンプ120と結合された圧力センサ134と同様の圧力センサを有することも考えられるだろう。しかし、第1の循環ポンプ120は、異なるポンプ速度で動作することができ、したがって、それらの異なるポンプ速度で異なる圧力が見込まれるが、第2の循環ポンプ220は、好適には、ただオン/オフの2つの状態を有するだけでよいので、より安価なポンプスイッチ234で十分であり得る。
【0078】
本開示は、1ドア及び2ドアの両方のシステムならびに洗浄カートと共に使用するためのシステムを含む医療用洗浄消毒器を含む。本開示はまた、本明細書に記載されている洗浄消毒器を制御するための(電子機器及び電子命令を含む)コントローラを含む。本開示はさらに、洗浄消毒器の動作方法及び制御方法、洗浄/消毒及びすすぎサイクルの前に洗浄消毒器に効率的に注液する方法、ならびに医療物品の洗浄及び消毒の方法を含む。本明細書に開示される様々な特徴及び方法は、それらの様々な組み合わせ及びサブコンビネーションにおいて企図され、開示されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4