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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】加圧装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20240409BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61M25/10 544
A61M5/315 500
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022536205
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2021023615
(87)【国際公開番号】W WO2022014275
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2020121271
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】393015324
【氏名又は名称】株式会社グッドマン
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【弁理士】
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】原 大起
(72)【発明者】
【氏名】太田 匡彦
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04832692(US,A)
【文献】米国特許第2221739(US,A)
【文献】実開昭61-8055(JP,U)
【文献】特表2010-520003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を収容可能な収容部を内部に有するシリンジと、
前記シリンジに対して第1方向に移動可能であり、前記第1方向の一方に移動した時、前記収容部に収容された前記流体を前記シリンジの外部に放出するプランジャと、
前記シリンジに接続し、前記プランジャが挿通する貫通孔を内部に有するボディと、
前記プランジャから離隔した離隔位置と、前記プランジャに接触した接触位置との間で、前記第1方向と交差する第2方向に移動可能な規制部材と、
回転動作に応じ、前記規制部材を前記接触位置から前記離隔位置に移動させるレバーと、
前記第2方向において前記規制部材と重複する位置に設けられた回転機構であって、
前記規制部材に対して前記レバーを回転可能に支持し、
前記レバーの回転に応じて前記第2方向に移動可能であり、
前記第2方向の一方に移動した時、前記規制部材に力を付与して前記接触位置から前記離隔位置に移動させる
前記回転機構と、
を備え
前記ボディは、
前記貫通孔に連通する第1孔部と、
前記第1孔部の側面から、前記第1方向に沿って延びる第2孔部と、
を備え、
前記規制部材は、
前記ボディに支持され、前記第1孔部に沿って移動することにより、前記貫通孔に挿通した前記プランジャに接触する前記接触位置と前記離隔位置とに移動可能であり、
前記レバーと、前記レバーの一端部に設けられて前記第2孔部に収容される突出部と、前記レバーと前記突出部との間に位置する前記回転機構の一部と、を有するレバー体を更に備え、
前記レバーの回転時、前記突出部は前記第2孔部に沿って前記第1方向に移動し、前記回転機構は前記第1方向に移動せず、
前記レバー体は、前記レバーを力点、前記突出部を支点、及び、前記回転機構の一部を作用点とするてこを形成することを特徴とする加圧装置。
【請求項2】
前記回転機構は、
前記レバー及び前記規制部材の一方に設けられた回転軸と、
前記レバー及び前記規制部材の他方に設けられ、前記回転軸に回転可能に支持される支持部と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の加圧装置。
【請求項3】
前記規制部材を、前記第2方向に沿って前記離隔位置から前記接触位置に向けて付勢する付勢部材を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の加圧装置。
【請求項4】
前記付勢部材はばねであり、
前記ばねは、
前記規制部材が前記離隔位置にある時に収縮し、前記接触位置に向けて前記規制部材を付勢し、
前記規制部材が前記接触位置にある時に伸長する
ことを特徴とする請求項3に記載の加圧装置。
【請求項5】
前記付勢部材の位置ずれを防止する防止機構が前記規制部材に設けられたことを特徴とする請求項3又は4に記載の加圧装置。
【請求項6】
前記プランジャは、歯車を備え、
前記規制部材は、前記接触位置に配置された状態で前記歯車に噛み合う内歯車を備えた
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の加圧装置。
【請求項7】
前記プランジャの前記歯車は、はすば歯車であり、
前記規制部材の前記内歯車は、はすば内歯車であることを特徴とする請求項6に記載の加圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーン等の拡張具を拡張するときに用いられる加圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、生体内の狭窄部をバルーン等の拡張具により治療する手法が知られている。又、拡張具を拡張するための装置として、流体等からなる加圧媒体を拡張具に圧送する加圧装置が知られている。
【0003】
特許文献1は、ハウジング、プランジャ、ナット部材、ノブ等を備えた加圧装置を開示する。ハウジングにはホースが接続される。ハウジングの内部に、ホースに連通する空洞を有するピストンが設けられる。プランジャ及びナット部材は、それぞれねじ部を備える。ナット部材のねじ部にプランジャのねじ部が係合した状態でノブが回転することにより、プランジャは、ハウジング内をホースに近接する向きに移動する。この時、ピストンの空洞内にある流体はホースに向けて流出する。例えばホースにバルーンが接続されている場合、ホースに流出した流体によりバルーンは膨張する。一方、ナット部材は、握り部の操作により変位する。ナット部材のねじ部に対するプランジャのねじ部の係合状態は解除される。この時、プランジャは、ハウジング内をホースから離隔する向きに移動する。例えば、バルーンが膨張した状態の場合、バルーンから流体が排出され、バルーンは急速に収縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2004-525696号公報
【発明の概要】
【0005】
ナット部材のねじ部に対するプランジャのねじ部の係合状態を解除するための機構として、レバーが使用される場合がある。レバーは、回動することによりナット部材に力を付与し、ナット部材のねじ部からプランジャのねじ部を離脱させる。例えば、流体によりバルーンが膨張した状態である場合、プランジャに付勢力が作用するので、プランジャのねじ部はナット部材のねじ部から離脱し難い。従って、使用者がレバーの操作により係合状態を解除する場合、強い力でレバーを操作しなければならず、操作性が低下するという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、操作が容易な加圧装置を提供することである。
【0007】
本発明に係る加圧装置は、流体を収容可能な収容部を内部に有するシリンジと、前記シリンジに対して第1方向に移動可能であり、前記第1方向の一方に移動した時、前記収容部に収容された前記流体を前記シリンジの外部に放出するプランジャと、前記プランジャから離隔した離隔位置と、前記プランジャに接触した接触位置との間で、前記第1方向と交差する第2方向に移動可能な規制部材と、回転動作に応じ、前記規制部材を前記接触位置から前記離隔位置に移動させるレバーと、前記第2方向において前記規制部材と重複する位置に設けられた回転機構であって、前記規制部材に対して前記レバーを回転可能に支持し、前記レバーの回転に応じて前記第2方向に移動可能であり、前記第2方向の一方に移動した時、前記規制部材に力を付与して前記接触位置から前記離隔位置に移動させる前記回転機構と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
レバーが操作されて回転した時、レバーは、第2方向の一方に向けた力を規制部材に付与し、規制部材を接触位置から離隔位置に移動させることができる。この場合、レバーが規制部材に付与する力が第2方向の一方以外の方向に分散される場合と比べて、規制部材を接触位置から離隔位置に移動させるために必要なレバー操作の力は小さくて済む。従って、加圧装置は、使用者の操作性を向上できる。
【0009】
本発明において、前記回転機構は、前記レバー及び前記規制部材の一方に設けられた回転軸と、前記レバー及び前記規制部材の他方に設けられ、前記回転軸に回転可能に支持される支持部とを備えてもよい。加圧装置は、回転機構の剛性を高めることができるので、使用者のレバー操作に応じた規制部材の移動を安定的に行うことができる。
【0010】
本発明において、前記規制部材を、前記第2方向に沿って前記離隔位置から前記接触位置に向けて付勢する付勢部材を備えてもよい。付勢部材は、レバー操作がされていない状態で、規制部材を接触位置に安定的に配置できる。
【0011】
本発明において、前記付勢部材はばねであり、前記ばねは、前記規制部材が前記離隔位置にある時に収縮し、前記接触位置に向けて前記規制部材を付勢し、前記規制部材が前記接触位置にある時に伸長してもよい。加圧装置は、規制部材を接触位置で保持するための機構を、ばねにより容易に実現できる。
【0012】
本発明において、前記付勢部材の位置ずれを防止する防止機構が前記規制部材に設けられてもよい。加圧装置は、付勢部材により規制部材を安定的に付勢できるので、規制部材を接触位置に安定的に配置できる。
【0013】
本発明において、前記プランジャは、歯車を備え、前記規制部材は、前記接触位置に配置された状態で前記歯車に噛み合う内歯車を備えてもよい。規制部材は、接触位置に配置された状態で、プランジャの第1方向への移動を適切に抑制できる。
【0014】
本発明において、前記プランジャの前記歯車は、はすば歯車であり、前記規制部材の前記内歯車は、はすば内歯車であってもよい。使用者は、規制部材が接触位置に配置された状態でプランジャを回転させることにより、プランジャを第1方向に移動させることができる。
【0015】
本発明において、前記シリンジに接続し、前記プランジャが挿通する貫通孔を内部に有するボディを備え、前記規制部材は、前記ボディに支持され、前記貫通孔に挿通した前記プランジャに接触する前記接触位置と前記離隔位置とに移動可能であってもよい。この場合、ボディは、規制部材の位置を安定化できるので、規制部材によるプランジャの移動の規制を適切に実行できる。
【0016】
本発明において、前記ボディは、前記貫通孔に連通する第1孔部を備え、前記規制部材は、前記第1孔部に沿って移動することにより、前記接触位置と前記離隔位置との間で移動可能であってもよい。この場合、加圧装置は、ボディに対する規制部材のがたつきを抑制できるので、レバーに作用する力を規制部材に効率的に伝達できる。
【0017】
本発明において、前記ボディは、前記第1孔部の側面から、前記第1方向に沿って延びる第2孔部を更に有し、前記レバーと、前記レバーの一端部に設けられて前記第2孔部に収容される突出部と、前記レバーと前記突出部との間に位置する前記回転機構の一部と、を有するレバー体を更に備え、前記レバーの回転時、前記突出部は前記第2孔部に沿って前記第1方向に移動し、前記回転機構は前記第1方向に移動せず、前記レバー体は、前記レバーを力点、前記突出部を支点、及び、前記回転機構の一部を作用点とするてこを形成してもよい。この場合、レバー体は、レバーに作用する力を規制部材に効率良く伝達し、規制部材を移動させることができる。
【0018】
又、引用文献1に記載の加圧装置のハウジングが、シリンジと、ナット部等を備えるボディとを組み合わせることにより形成される場合がある。ここで、加圧装置の使用時においてハウジング内には大きな圧力が加わる。このため、シリンジとボディとを強固に連結する為の機構が必要となる。
【0019】
本発明の別の目的は、シリンジとボディとを強固に連結させることが可能な加圧装置を提供することである。
【0020】
本発明の別の態様に係る加圧装置は、
流体を収容可能な収容部を内部に有するシリンジと、
前記シリンジに対して第1方向に移動可能であり、前記第1方向の一方に移動した時、前記収容部に収容された前記流体を前記シリンジの外部に放出するプランジャと、
前記プランジャの移動を規制可能な規制部材と、
前記シリンジに対して前記第1方向の他方に並び、前記規制部材を支持するボディと、
前記シリンジと前記ボディとを連結する連結機構と
を備えた加圧装置であって、
前記連結機構は、
前記シリンジ及び前記ボディのうち一方に設けられ、前記第1方向に沿って前記シリンジ及び前記ボディの他方に向けて延びる基部と、
前記基部の一部であって、前記プランジャに沿って前記第1方向に延びる中心線を中心とした回転方向に沿って基端から先端に向けて延びる弾性部と、
前記弾性部の前記先端を含む一部に設けられ、前記中心線を基準とした径方向に突出し、且つ、前記径方向の高さが、前記基端から前記先端に向かうに従って次第に高くなる第1突出部と、
前記シリンジ及び前記ボディのうち他方に設けられ、前記第1突出部と係合する係合部と
を備え、
前記係合部が前記第1突出部に対して前記基端と同じ側に配置された状態で、前記シリンジ及び前記ボディを前記回転方向に相対的に回転させ、前記係合部が前記第1突出部に対して前記基端と反対側まで移動することで、前記シリンジと前記ボディとを連結する
ことを特徴とする。
【0021】
シリンジとボディとの連結時、弾性部の弾性力に応じて第1突出部が移動し、第1突出部と係合部とが係合する。このため加圧装置は、接着剤等を用いずに連結機構によってシリンジ及びボディを強固に連結できるので、接着剤等が液体内に混入する可能性を軽減できる。又、シリンジとボディとを連結する工程での双方の相対的な移動方向(回転方向)は、シリンジとボディとが配列する方向(第1方向)と直交する。このため加圧装置は、シリンジ及びボディに対し、第1方向において互いに離隔する向きの力が作用しても、シリンジ及びボディが互いに脱離することを効果的に抑制できる。このため、加圧装置は、シリンジ及びボディが強固に連結された状態を長時間維持できる。
【0022】
別の態様において、前記第1突出部のうち前記係合部に近接する側の第1端部、及び、前記係合部のうち前記第1突出部に近接する側の第2端部は、夫々、前記径方向に沿って延びる平面を有し、
前記第1端部及び前記第2端部が接触することで、前記シリンジと前記ボディとの相対的な回転を規制することを特徴とする。
【0023】
この場合、第1端部及び第2端部は平面の広い領域で互いに接触し、シリンジに対するボディの回転を規制する。従って、加圧装置は、シリンジとボディとが連結された状態を安定的に維持できるので、個体毎の寸法誤差の発生を抑制できる。
【0024】
別の態様において、前記連結機構は、
前記基部から前記径方向に突出する第2突出部であって、前記基部と反対側の端部に、前記径方向に突出する突起部を備えた第2突出部と、
前記シリンジ及び前記ボディのうち他方に設けられ、前記第2突出部が嵌る溝部と
を有することを特徴とする。
【0025】
この場合、突起部は、溝部の底部や、第2突出部の先端部等に僅かな凹凸が形成される場合も、溝部内における第2突出部の径方向の位置を安定化できる。このため、加圧装置は、シリンジとボディとの寸法誤差を、突起部により解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】加圧装置1の斜視図である。
図2】加圧装置1の分解斜視図である。
図3】加圧装置1の分解側面図である。
図4】シリンジ2の拡大斜視図である。
図5】ボディ3の拡大斜視図である。
図6図1のA-A線を矢印方向から視た断面図(連結前)である。
図7図1のA-A線を矢印方向から視た断面図(連結後)である。
図8】ボディ3、規制体5A、及びレバー体6の分解斜視図である。
図9】規制体5Aを基端側から見た図である。
図10】規制体5Aの右側面図である。
図11】レバー体6の右側面図である。
図12】接触位置に配置された規制体5Aを含む加圧装置1の断面図である。
図13】離隔位置に配置された規制体5Aを含む加圧装置1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態である加圧装置1について説明する。以下説明において、図1の上側、下側、左斜め上側、右斜め下側、左下側、右上側を、夫々、加圧装置1の上側、下側、左側、右側、先端側、及び基端側と定義する。先端側及び基端側に亘って延びる方向を、延伸方向と定義する。
【0028】
<加圧装置1の概要>
加圧装置1は、例えばインデフレータであり、狭窄部の拡張に使用される非図示のバルーンを拡張/収縮変形するために使用することが可能である。図1図3に示すように、加圧装置1は、シリンジ2、ボディ3、プランジャ4、規制体5A(図3参照)、付勢部材5B(図3参照)、及びレバー体6を備える。加圧装置1は、シリンジ2に収容された流体を、カテーテルを介してバルーン内に圧送し、バルーンを拡張させる。プランジャ4は、シリンジ2から流体を圧送する時に操作される。又、加圧装置1は、ボディ3に支持されたレバー体6に対する操作に応じてバルーン内から流体を放出させ、バルーンを収縮させることができる。
【0029】
<シリンジ2>
シリンジ2は、筒体21、フランジ22、接続口23、圧力ゲージ接続口24、及び連結部26(図2図3参照)を有する。筒体21は、筒状を有する透明の部材である。筒体21の基端部は開放する。筒体21は、流体を収容可能な収容部20を内部に有する。筒体21の中心を通って延伸方向に延びる仮想線を、中心線Cという。筒体21の側面に、収容部20に収容された流体の容積を視認するための目盛りが設けられる。
【0030】
フランジ22は、筒体21の基端部に設けられ、外方に突出する。図2図3に示すように、フランジ22の基端側の面に、シリンジ2とボディ3とを連結するための連結部26が設けられる。連結部26の詳細は後述する。図1図3に示すように、接続口23は、筒体21の先端部に設けられる。接続口23は、筒体21よりも直径が小さい筒状を有する。接続口23は、筒体21の先端部から先端側に向けて、中心線Cに沿って延びる。接続口23には、非図示の樹脂チューブの一端部が接続される。樹脂チューブの他端部には、三方コックが接続され、その先に、バルーンに連結した非図示のカテーテルが接続される。圧力ゲージ接続口24は、筒体21の側面のうち先端部近傍に設けられる。圧力ゲージ接続口24には、収容部20内に収容された流体の圧力を計測するための非図示の圧力ゲージが接続される。
【0031】
<連結部26>
図4に示すように、連結部26は連結体26A、26Bを有する。連結体26A、26Bの形状は、中心線Cを回転中心とした点対称の関係を有する。連結体26Aは、基部81、突出部82、83、84を有する。連結体26Bは、基部86、突出部87、88、89を有する。以下、特に説明のない限り、連結部26を先端側から視た状態(図6図7の状態)を想定し、中心線Cを中心とする回転方向(時計回り方向/反時計回り方向)を定義する。又、連結体26Aについて詳細に説明し、連結体26Bについての説明は簡略化する。
【0032】
基部81は湾曲した板状を有し、シリンジ2のフランジ22の基端側の面から基端側に向けて延びる。基部81は、基端側から視た状態で、中心線Cを中心とした円弧状を有する。基部81の形状は、中心線Cに沿って延伸方向に延びる円筒体を上下方向に分割した夫々の部分のうち、上側部分に対応する。基部81は上側に凸状に湾曲する。基部81の周回方向の両端部を、端部811、812という。図6図7に示すように、基部81に沿って端部811から端部812に向かう方向は、反時計回り方向である。突出部82、83、84は、基部81の外側面に設けられる。突出部82、83、84は、この順で反時計回り方向に並ぶ。突出部84は、基部81の端部812に設けられる。
【0033】
図4に示すように、突出部82は、端部811に対して反時計回り方向に僅かに離隔する。突出部82は、夫々が板状を有する一対の突出体820を有する。一対の突出体820は、基部81の外側面から、中心線Cを中心とした径方向に突出する。一対の突出体820はほぼ同一形状を有し、延伸方向に離隔する。図6に示すように、一対の突出体820のうち回転方向において端部811に近接する側の端部821は、中心線Cを中心とした径方向と並行に延びる。一対の突出体820のうち回転方向において端部812に近接する側の端部822は、中心線Cを中心とした径方向に対して傾斜する。一対の突出体820の高さは、端部822の位置において、時計回り方向に向かうに従って大きくなる。一対の突出体820の夫々のうち径方向の先端部823に、径方向に突出する一対の突起部82Pが設けられる。一対の突起部82Pは、延伸方向に延び、回転方向に離隔する。
【0034】
図4に示すように、突出部83は、端部812に対して時計回り方向に僅かに離隔する。突出部83は、突出部82と同様、夫々が板状を有する一対の突出体830を有する。一対の突出体830は、基部81の外側面から、中心線Cを中心とした径方向に突出する。一対の突出体830はほぼ同一形状を有し、延伸方向に離隔する。図6に示すように、一対の突出体830のうち回転方向において端部812に近接する側の端部832は、中心線Cを中心とした径方向と並行に延びる。一対の突出体830のうち回転方向において端部811に近接する側の端部831は、中心線Cを中心とした径方向に対して傾斜する。一対の突出体830の高さは、端部831の位置において、反時計回り方向に向かうに従って大きくなる。一対の突出体830の夫々の先端部に、突出部82の一対の突起部82Pの形状と同形状の非図示の一対の突起部が設けられる。
【0035】
図4に示すように、突出部84は、基部81の端部812において、中心線Cを中心とした径方向に突出する。端部812は平面状を有し、回転方向と直交する。図6に示すように、突出部84のうち回転方向において端部812と反対側の端部841は、中心線Cを中心とした径方向に対して傾斜する。突出部84の径方向の長さ(高さ)は、端部841の位置において、反時計回り方向に向かうに従って大きくなる。図4に示すように、基部81には、端部812から時計回り方向に延びるスリット813が設けられる。基部81のうちスリット813よりも基端側の部分を、弾性部810という。弾性部810は回転方向に延びる。弾性部810は、中心線Cを中心とする径方向に弾性変形可能である。弾性部810の先端に突出部84が形成される。
【0036】
図4に示すように、基部86は、下側に凸状に湾曲する。基部86の端部861、862、突出部87、88、89は、夫々、基部81の端部811、812、突出部82、83、84に対応する。突出部87の一対の突出体870、端部871、端部872、非図示の一対の突起部は、夫々、突出部82の一対の突出体820、端部821、端部822、一対の突起部82Pに対応する。突出部88の一対の突出体880、端部881、端部882、一対の突起部88Pは、夫々、突出部83の一対の突出体830、端部831、端部832、非図示の一対の突起部に対応する。突出部89の端部891は、突出部84の端部841に対応する。基部86のスリット863及び弾性部860は、夫々、基部81のスリット813及び弾性部810に対応する。
【0037】
<ボディ3>
図1図3に示すように、ボディ3は、シリンジ2の基端側に位置し、基部31、フランジ32、及び連結部36(図2参照)を有する。基部31は略円柱状を有し、中心線Cに沿って延びる。図5に示すように、基部31には、中心線Cに沿って延びる貫通孔30が形成される。貫通孔30は、基部31の基端部と先端部との間に亘って延び、基部31を貫通する。貫通孔30には、後述のプランジャ4(図3参照)が挿通される。
【0038】
基部31の側面のうち先端部近傍に、下方に向けて凹んだ第1孔部33が形成される。第1孔部33の開口は矩形状を有し、基部31の上端部に形成される。第1孔部33は、貫通孔30に連通し、貫通孔30よりも下方まで延びる(図12図13参照)。第1孔部33の底面は、貫通孔30よりも下方に位置する。図8に示すように、第1孔部33には、後述の規制体5A、付勢部材5B、及び、レバー体6の一部が収容される。図5に示すように、第1孔部33の先端側の内側面のうち上端近傍の部分に、先端側に向けて凹んだ第2孔部34が形成される。第2孔部34は先端側に向けて延びる。第2孔部34には、レバー体6(図1図3参照)の一部が収容される。
【0039】
図1図3に示すように、フランジ32は、基部31の先端部に設けられる。図2に示すように、フランジ32は円筒状を有し、先端部は開放する。フランジ32の内側面に、ボディ3とシリンジ2とを連結するための連結部36が設けられる。
【0040】
<連結部36>
図5に示すように、連結部36は、係合部92、93、94、97、98、99を有する。係合部92、93、94、97、98、99は、フランジ32の内側面に設けられる。係合部92、93、94、97、98、99は、この順番で反時計回り方向に並ぶ。
【0041】
図5に示すように、係合部92、93、97、98は、夫々、フランジ32の内側面から内側に突出する。係合部97には、係合部98に近接する端部972から時計回り方向に延びる一対の溝部970が設けられる。一対の溝部970は、延伸方向に離隔して平行に延びる。係合部92には、係合部97と同様、係合部93に近接する端部922から時計回り方向に延びる一対の溝部920が設けられる。一対の溝部920は、延伸方向に離隔して平行に延びる。係合部93には、時計回り方向の両端部に亘って延びる一対の溝部930が設けられる。一対の溝部930は、延伸方向に離隔して平行に延びる。係合部98には、時計回り方向の両端部に亘って延びる一対の溝部980が設けられる。一対の溝部980は、延伸方向に離隔して平行に延びる。
【0042】
係合部94は、係合部93に近接する端部941、及び、係合部97に近接する端部942を有する。端部941は、フランジ32の内側面から中心線Cに向けて、径方向に沿って延びる。端部941は平面状を有し、回転方向と直交する。端部942は、フランジ32の内側面から中心線Cに向けて、径方向に対して傾斜した方向に延びる。係合部94の高さは、端部942の位置において、時計回り方向に向かうに従って大きくなる。係合部99は、係合部98に近接する端部991、及び、係合部92に近接する端部992を有する。端部991は、フランジ32の内側面から中心線Cに向けて、径方向に沿って延びる。端部992は、フランジ32の内側面から中心線Cに向けて、径方向に対して傾斜した方向に延びる。係合部99の高さは、端部992の位置において、時計回り方向に向かうに従って大きくなる。
【0043】
<シリンジ2及びボディ3の連結方法>
シリンジ2及びボディ3は、加圧装置1の組付け工程において連結される。シリンジ2及びボディ3は、連結部26、36により連結される。シリンジ2及びボディ3の連結方法について、以下に説明する。
【0044】
シリンジ2及びボディ3が、延伸方向に離隔した状態で配置される。シリンジ2が先端側に配置され、ボディ3が基端側に配置される。次に、シリンジ2とボディ3が近接される。この時、図6に示すように、ボディ3の係合部92、93間に、シリンジ2の突出部82が入り込む。ボディ3の係合部93、94間に、シリンジ2の突出部83が入り込む。ボディ3の係合部94、97間に、シリンジ2の突出部84が入り込む。ボディ3の係合部97、98間に、シリンジ2の突出部87が入り込む。ボディ3の係合部98、99間に、シリンジ2の突出部88が入り込む。ボディ3の係合部99、92間に、シリンジ2の突出部89が入り込む。
【0045】
この状態で、ボディ3に対してシリンジ2が時計回り方向に回転される。この時、図7に示すように、シリンジ2の突出部82の一対の突出体820は、ボディ3の係合部92の一対の溝部920(図5参照)に進入する。シリンジ2の突出部83の一対の突出体830(図4参照)は、ボディ3の係合部93の一対の溝部930(図5参照)に進入する。シリンジ2の突出部87の一対の突出体870は、ボディ3の係合部97の一対の溝部970(図5参照)に進入する。シリンジ2の突出部88の一対の突出体880(図4参照)は、ボディ3の係合部98の一対の溝部980(図5参照)に進入する。
【0046】
又、シリンジ2の突出部84の端部841は、ボディ3の係合部94の端部942に接触する。シリンジ2の突出部84は、弾性部810が弾性変形することにより内側に移動し、ボディ3の係合部94を時計回り方向に通過する。シリンジ2の突出部84がボディ3の係合部94を通過した後、弾性部810は弾性力により元の状態に戻る。シリンジ2の端部812は、ボディ3の係合部94の端部941に接触する。同様に、シリンジ2の突出部89の端部891は、ボディ3の係合部99の端部992に接触する。シリンジ2の突出部89は、弾性部860が弾性変形することにより内側に移動し、ボディ3の係合部99を時計回り方向に通過する。シリンジ2の突出部89がボディ3の係合部99を通過した後、弾性部860は弾性力により元の状態に戻る。シリンジ2の端部862は、ボディ3の係合部99の端部991に接触する。ここで、シリンジ2の端部812、862、ボディ3の端部941、991は、何れも、中心線Cを中心とした径方向に延びる。このため、シリンジ2の端部812とボディ3の端部941とが接触し、且つ、シリンジ2の端部862とボディ3の端部991とが接触した状態で、ボディ3に対するシリンジ2の反時計回り方向への回転は抑制される。以上により、シリンジ2とボディ3は連結し、脱離不能となる。
【0047】
<規制体5A、付勢部材5B>
図3図8に示すように、規制体5Aは、ボディ3の第1孔部33に収容された状態で、第1孔部33によりボディ3に支持される。規制体5Aは、ボディ3に対して上下方向に移動可能である。図8図9図10に示すように、規制体5Aは、規制部材51、リブ52、及び回転軸53を有する。図9に示すように、規制部材51は略U字状を有する。規制部材51は、上端部から下方に向けて凹んだ凹部54を有する。凹部54の底部は円弧状に湾曲する。凹部54の底部の曲率は、ボディ3の貫通孔30(図8参照)の曲率と等しい。ボディ3の第1孔部33に規制体5Aが収容された状態で、規制体5Aの凹部54の一部とボディ3の貫通孔30とは、延伸方向に重なる(図12図13参照)。凹部54の底部の湾曲部分には、はすば内歯車50が形成される。
【0048】
リブ52は、規制部材51の下端部から下方に突出する。リブ52の下端部には、上方に向けて切り欠かれた切欠部520が設けられる。リブ52の基端側の面には、先端側に向けて凹んだ凹部52Aが形成される(図8参照)。凹部52Aの上端部は、規制部材51の下端部により覆われる。凹部52Aの下端部は開放する。回転軸53は、規制部材51の上端部から上方に突出する一対の突出部51Aの上端部に連結する。回転軸53は円柱状を有し、一対の突出部51Aの間に亘って左右方向に延びる。回転軸53の左右両端部は、一対の突出部51Aに対して外側に突出する。
【0049】
図8に示すように、付勢部材5Bは圧縮コイルばねである。付勢部材5Bは、上下方向に伸縮可能な向きで、規制体5Aのリブ52に形成された凹部52Aに収容される。付勢部材5Bの左右方向の位置ずれは、リブ52によって抑制される。図12図13に示すように、付勢部材5Bの上端部は、規制体5Aの規制部材51に下方から接触する。付勢部材5Bの下端部は、ボディ3の第1孔部33の底面に上方から接触する。付勢部材5Bは、規制体5Aを上方に向けて付勢する。
【0050】
<レバー体6>
図1図2に示すように、レバー体6は、ボディ3の上端部のうち基部31の先端部近傍にて回転可能に支持される。図8図11に示すように、レバー体6は、レバー61、突出部62、及び支持部63を有する。支持部63は、レバー61と突出部62との間に位置する。支持部63には、左右両側面の間に亘って貫通する貫通孔60A、及び、貫通孔60Aから下方に延びる連通部60Bを有する。貫通孔60A及び溝部60は、一体となって、支持部63の下面に溝部60を形成する。突出部62は、支持部63の基端側の側面から基端側に向けて突出する。突出部62の先端部の角は、湾曲する。レバー61は、細長い湾曲した板状を有する。レバー61は、支持部63の上側面から先端側に向けて、上方に傾斜しながら延びる。
【0051】
図12図13に示すように、レバー体6の支持部63は、規制体5Aの回転軸53が溝部60に嵌ることによって、回転軸53に回転可能に支持される。規制体5A、回転軸53、及び支持部63の夫々の位置は、上下方向において重複する。レバー61は、支持部63によって規制体5Aに回転可能に支持される。レバー体6の回転中心は、溝部60の貫通孔60Aに配置された回転軸53と一致する。なお、回転軸53の位置は、規制体5Aが第1孔部33内を上下方向に移動することに応じて移動する。つまり、レバー体6の回転中心は、規制体5Aの移動に応じて上下方向に移動する。レバー体6の回転中心の移動方向と、規制体5Aの移動可能な方向とは、一致する。レバー体6の突出部62は、ボディ3の第2孔部34に先端側から進入する。突出部62の先端の位置は、レバー体6の回転に応じて延伸方向に移動可能である。
【0052】
<プランジャ4>
図3に示すように、プランジャ4は、棒体41、つまみ42、及びガスケット43を有する。棒体41は円柱状を有し、中心線Cに沿って延伸方向に延びる。棒体41の直径は、ボディ3の貫通孔30(図8参照)の直径と略同一である。棒体41の曲率は、規制体5Aの凹部54の底部の曲率と同一である。棒体41の周壁に、はすば歯車40が形成される。
【0053】
つまみ42は、棒体41の基端部に設けられる。図1図2に示すように、つまみ42は板状を有し、延伸方向と直交する。つまみ42の端部は波状に湾曲する。つまみ42は、使用者がプランジャ4を回転させる操作を行う場合に把持される。図2図3に示すように、ガスケット43は、棒体41の先端部に設けられる。ガスケット43はゴム製を有し、棒体41の直径よりも大きい。ガスケット43は、シリンジ2の収容部20との密着性を高めるために設けられる。
【0054】
プランジャ4は、ボディ3の貫通孔30に棒体41が挿通した状態で、ボディ3に支持される。棒体41は、ボディ3の第1孔部33に収容された規制部材51の凹部54の内側を、延伸方向に通過する。つまみ42はボディ3よりも基端側に位置する。ガスケット43はボディ3よりも先端側、且つ、シリンジ2の収容部20内に位置する。プランジャ4は、シリンジ2、ボディ3、及び規制体5Aに対して延伸方向に移動可能である。プランジャ4が先端側に移動した場合、収容部20に収容された流体は、シリンジ2の接続口23を介して外部に放出される。
【0055】
<レバー61の操作による規制部材51の移動>
規制部材51は、上方に向けた付勢力を付勢部材5Bから受ける。図12に示すように、レバー体6のレバー61に対して外力が作用していない場合、規制部材51は、付勢部材5Bから受ける付勢力に応じて上方に移動する。このとき、プランジャ4の棒体41の一部に、規制部材51の凹部54の底部が下側から接触する。棒体41のはすば歯車40の一部とはすば内歯車50とは噛み合う。付勢部材5Bは伸長する。以下、凹部54の底部がプランジャ4の棒体41の一部に接触した状態における規制部材51の位置(図12に示す位置)を、接触位置という。
【0056】
レバー体6のレバー61に対して下向きの外力が作用した場合、レバー体6は、回転軸53を中心として、右側から視た状態で反時計回り方向に回転する。図13に示すように、レバー体6の突出部62は、回転軸53を中心として回転し、ボディ3の第2孔部34内で上向きに移動する。突出部62の上向きの移動は、第2孔部34の内側面の上側に突出部62が下側から接触することによって規制される。このときレバー体6は、レバー61を力点、支持部63を作用点、突出部62を支点とする第2種てこを形成する。従って、レバー61に作用する下向きの力は支持部63に作用し、支持部63及び回転軸53を下方に移動させる。これにより、規制部材51は、付勢部材5Bの付勢力に抗した下向きの力を受ける。規制部材51は、接触位置に対して下方に移動する。
【0057】
なお、レバー体6の突出部62はボディ3に固定されていないので、レバー61が回転した時、突出部62は第2孔部34に沿って基端側に僅かに移動する。しかし、規制体5Aの回転軸53、及び、回転軸53に支持された支持部63の位置は延伸方向に移動せず、上下方向にのみ移動する。このため、レバー61から支持部63及び回転軸53を介して規制部材51に伝達される力は、まっすぐ下向きに作用し、下向きに対して傾斜した向きには作用しない。
【0058】
規制部材51が下方に移動することに応じ、規制部材51の凹部54の底部は、プランジャ4の棒体41の一部に対して下側に離隔する。棒体41のはすば歯車40の一部とはすば内歯車50とが噛み合った状態は解消される。付勢部材5Bは収縮する。以下、凹部54の底部がプランジャ4の棒体41の一部から離隔した状態における規制部材51の位置(図13に示す位置)を、離隔位置という。
【0059】
<使用方法>
使用者は、先端部にバルーンが設けられたカテーテルの基端側の端部を、シリンジ2の接続口23に接続する。シリンジ2の筒体21の収容部20には、バルーンを拡張させるための流体が予め収容される。レバー61に外力が作用していない状態で、規制部材51は付勢部材5Bの付勢力に応じて上方に移動し、接触位置に位置する。プランジャ4の棒体41のはすば歯車40の一部に、規制部材51のはすば内歯車50が噛み合う。このため、プランジャ4の延伸方向の移動は、規制部材51によって規制される。
【0060】
使用者は、プランジャ4のつまみ42を把持して回転させる。棒体41は、はすば歯車40の一部に規制部材51のはすば内歯車50が噛み合った状態で回転することになるので、棒体41は先端側に移動する。プランジャ4のガスケット43は、シリンジ2の収容部20に収容された流体を、接続口23を介して外部に押し出す。シリンジ2から押し出された流体は、カテーテルを介してバルーンに流入する。これによってバルーンは拡張し、患部を治療する。使用者は、プランジャ4のつまみ42の回転量を調整することによって、バルーン内に流入した流体の圧力を制御できる。
【0061】
なお、プランジャ4が先端側に移動して流体の圧力が増加することに応じ、プランジャ4には、基端側に向けた力が作用する。しかし、規制部材51は接触位置にあり、規制部材51のはすば内歯車50は、プランジャ4の棒体41のはすば歯車40の一部に噛み合っている。このため、プランジャ4の基端側への移動は、規制部材51によって規制される。
【0062】
バルーンの拡張による患部の治療が終了した後、使用者はレバー61を握って下向きに外力を作用させる。レバー体6は回転軸53を中心として回転し、支持部63及び回転軸53を下方に移動させる。規制部材51は、付勢部材5Bの付勢力に抗した下向きの力を受け、接触位置から離隔位置に移動する。プランジャ4の棒体41のはすば歯車40の一部とはすば内歯車50とが噛み合った状態は解消される。プランジャ4は、シリンジ2の収容部20内で流体の圧力を受け、基端側に移動する。流体の圧力は低下し、バルーンから流体が放出する。これにより、バルーンは急速に収縮する。
【0063】
<本実施形態の作用、効果>
レバー61は、使用者により操作されてレバー体6が回転した時、下方に向けた力を規制部材51に付与し、規制部材51を接触位置から離隔位置に移動させることができる。ここでレバー体6の突出部62はボディ3に固定されていない。又、レバー体6の支持部63、規制体5Aの規制部材51、及び回転軸53は、上下方向に重複して配置されている。このためレバー61は、回転軸53の延伸方向の位置を変えずに、規制部材51に下方に向かう力を付与できる。この場合、レバー61が規制部材51に付与する力が下方以外の方向に分散される場合と比べて、規制部材51を接触位置から離隔位置に移動させるために必要なレバー61操作の力は小さくて済む。従って、加圧装置1は、使用者の操作性を向上させることができる。
【0064】
プランジャ4のつまみ42を回転させてシリンジ2から流体をバルーンに放出させ、バルーンを拡張させた場合、流体の圧力は増加する。この圧力により、プランジャ4には基端側に向かう方向の力が作用する。このため、プランジャ4の棒体41のはすば歯車40の一部は、接触位置にある規制部材51のはすば内歯車50に強く押し付けられている。このため、規制部材51は、接触位置から離隔位置に向けて移動し難い状態となっている。これに対し、使用者は、この状態でレバー61を操作し、規制部材51を接触位置から離隔位置に移動させることで、プランジャ4を基端側に移動可能とする。このとき、レバー体6は、レバー61に対する下向きの力を効率良く規制部材51に伝達させることができる。従って使用者は、レバー61を操作するために必要となる力を抑制できる。従って使用者は、加圧装置1においてプランジャ4の基端側への移動を規制した状態から、基端側への移動が可能な状態に切り替える操作を、レバー61に対する操作によって容易に行うことができる。
【0065】
加圧装置1において、規制部材51に回転軸53が設けられ、レバー61に支持部63が設けられる。この場合、加圧装置1は、規制部材51と回転軸53とが別体であったり、レバー61と支持部63とが別体であったりする場合と比べて、回転軸53及び支持部63の剛性を高めることができる。従って、加圧装置1は、使用者のレバー61に対する操作に応じた規制部材51の移動を、安定的に行うことができる。
【0066】
加圧装置1は、規制部材51を離隔位置から接触位置に向けて上方に付勢する付勢部材5Bを備える。付勢部材5Bは、レバー61に対する操作がされていない状態で、規制部材51を接触位置に安定的に配置できる。
【0067】
付勢部材5Bは、規制部材51を接触位置で安定的に保持できる。このため、加圧装置1は、接触位置に配置された規制部材51がプランジャ4の基端側への移動を規制した状態を、安定的に維持できる。従って使用者は、プランジャ4が先端側に移動することによってシリンジ2の収容部20から放出された流体によりバルーンが拡張した状態を、容易に維持できる。
【0068】
付勢部材5Bは、圧縮コイルばねである。付勢部材5Bは、規制部材51が離隔位置にある時に収縮し、接触位置に向けて規制部材51を付勢する。一方、付勢部材5Bは、規制部材51が接触位置にある時に伸長する。加圧装置1は、規制部材51を接触位置で保持するための付勢部材を、ばねにより容易に実現できる。
【0069】
規制部材51には、付勢部材5Bの位置ずれを防止するリブ52が設けられる。この場合、加圧装置1は、付勢部材5Bにより規制部材51を安定的に付勢できるので、規制部材51を接触位置に安定的に配置できる。
【0070】
プランジャ4ははすば歯車40を有し、規制部材51はすば内歯車50を有する。この場合、規制部材51は、接触位置に配置された状態で、プランジャ4の基端側への移動を適切に抑制できる。又、使用者は、規制部材51が接触位置に配置された状態でプランジャ4を回転させることにより、プランジャ4を先端側に移動させることができる。
【0071】
加圧装置1のボディ3は、規制体5Aを上下方向に移動可能に支持する。この場合、ボディ3は、規制体5Aの規制部材51の延伸方向の位置を安定化できるので、規制部材51によるプランジャ4の移動の規制を適切に実行できる。又、規制体5Aは、ボディ3の第1孔部33に沿って上下方向に移動することにより、接触位置と離隔位置との間で移動する。この場合、加圧装置1は、ボディ3に対する規制体5Aの延伸方向のがたつきを抑制できるので、レバー61に作用する力を規制体5Aに効率的に伝達できる。
【0072】
レバー体6は、レバー61を力点、突出部62を支点、支持部63を作用点とする第2種てこを形成する。又、レバー体6の回転時、突出部62はボディ3の第2孔部34に沿って基端側に僅かに移動する。一方、規制体5Aの回転軸53、及びレバー体6の支持部63は延伸方向に移動しない。この場合、レバー体6は、レバー61に作用する上下方向の力を規制部材51に効率良く伝達し、規制部材51を上下方向に移動させることができる。
【0073】
シリンジ2の連結部26は、弾性部810に設けられた突出部84、及び、弾性部860に設けられた突出部89を有する。ボディ3の連結部36は、係合部94、99を有する。突出部84は、弾性部810が弾性変形することにより内側に移動し、係合部94を時計回り方向に通過する。その後、弾性部810は弾性力により元の状態に戻り、突出部84の端部812は係合部94の端部941に接触する。又、突出部89は、弾性部860が弾性変形することにより内側に移動し、係合部99を時計回り方向に通過する。その後、弾性部860は弾性力により元の状態に戻り、突出部84の端部862はボディ3の係合部99の端部991に密着する。従って、加圧装置1は、接着剤等を用いずに連結部26、36によってシリンジ2及びボディ3を連結強固に連結できるので、シリンジ内の液体に接着剤等が混入する可能性を軽減できる。
【0074】
収容部20に収容された流体をシリンジ2が外部に押し出す操作が行われる場合、シリンジ2及びボディ3に対し、延伸方向に沿って互いに離隔する方向の力が作用する。これに対し、シリンジ2とボディ3とを連結する工程での双方の相対的な移動方向(中心線Cを中心とする回転方向)は、シリンジ2とボディ3との配列方向である延伸方向と直交する。このため加圧装置1は、シリンジ2及びボディ3に対して互いに離隔する方向に力が繰り返し作用しても、シリンジ2及びボディ3が互いに脱離することを効果的に抑制できる。このため、加圧装置1は、シリンジ2及びボディ3が強固に連結された状態を長時間維持できる。
【0075】
突出部84、89の端部812、862、及び、ボディ3の端部941、991は、何れも平面状を有し、中心線Cを中心とした径方向に延びる。このため、シリンジ2の端部812とボディ3の端部941とが接触し、且つ、シリンジ2の端部862とボディ3の端部991とが接触した状態で、ボディ3に対するシリンジ2の反時計回り方向への回転は抑制される。突出部84、89の端部812、862、及び、ボディ3の端部941、991は、平面状の広い領域で互いに接触し、シリンジ2に対するボディ3の回転を規制できる。従って、加圧装置1は、シリンジ2とボディ3とが連結された状態を安定的に維持できるので、個体毎の寸法誤差の発生を抑制できる。
【0076】
連結部26の突出部82、83、87、88は、夫々、径方向の先端部823、883等に、径方向に突出する一対の突起部82P、88P等を有する。一対の突起部82P、88P等は、突出部82、83、87、88がボディ3の溝部920、930、970、980に進入した状態で、溝部920、930、970、980の底部に接触する。一対の突起部82P、88P等は、溝部920、930、970、980の底部や、突出部82、83、87、88の先端部823、883等に僅かな凹凸が形成される場合も、溝部920、930、970、980内における突出部82、83、87、88の径方向の位置を安定化できる。従って、加圧装置1は、シリンジ2とボディ3との寸法誤差を、一対の突起部82P、88Pにより解消できる。
【0077】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。シリンジ2とボディ3とが分離不能でもよい。つまり、シリンジ2とボディ3とは一体に設けられてもよい。
【0078】
規制体5Aに代えて、レバー体6に回転軸53が含まれていてもよい。例えば、回転軸53は、レバー61に設けられてもよい。レバー体6に代えて、規制体5Aに支持部63が含まれていてもよい。回転軸53及び支持部63を含む回転機構は、規制体5A及びレバー体6とは別に設けられてもよい。
【0079】
規制部材51を接触位置及び離隔位置の夫々で保持するロック機構を有してもよい。例えばロック機構は、規制部材51が接触位置及び離隔位置の夫々に位置した状態でレバー61の位置を保持してもよい。この場合、加圧装置1は付勢部材5Bを有さなくてもよい。
【0080】
付勢部材5Bは圧縮コイルばねに限定されず、弾性を有する他の部材であってもよい。例えば、付勢部材5Bはゴム片等でもよい。リブ52は、ボディ3の第1孔部33の底面に設けられてもよい。リブ52は、付勢部材5Bである圧縮コイルばねの中心を通る棒状に形成されてもよい。
【0081】
プランジャ4及び規制部材51は、歯車を有さなくてもよい。例えば規制部材51は、接触位置にある状態でプランジャ4の棒体41との接触に応じて生ずる摩擦力により、プランジャ4の基端側への移動を規制してもよい。
【0082】
<その他>
延伸方向は、本発明の「第1方向」の一例である。先端側は、本発明の「第1方向の一方」の一例である。基端側は、本発明の「第1方向の他方」の一例である。下側は、本発明の「第2方向の一方」の一例である。支持部63及び回転軸53は、本発明の「回転機構」の一例である。リブ52は、本発明の「防止機構」の一例である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13