(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】エアロゾル生成デバイス
(51)【国際特許分類】
A24F 40/57 20200101AFI20240409BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240409BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/465
(21)【出願番号】P 2022542705
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2021050819
(87)【国際公開番号】W WO2021144429
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-09-12
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】フォースター, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ザイヌディン, ベンジャミン
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/227381(WO,A1)
【文献】特表2019-526237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成デバイスであって、
使用時に前記エアロゾル生成材料を加熱するが燃焼させないように構成された1つ以上の加熱ユニットと、
前記1つ以上の加熱ユニットを制御するためのコントローラと
を含む加熱アセンブリを備え、
使用セッション中、前記1つ以上の加熱ユニットのうちの少なくとも1つが、複数の異なる温度に順次加熱されるように電力を与えられ、前記加熱ユニットが前の温度よりも高い新しい温度に加熱されるときはいつも、
前記新しい温度が前記前の温度よりも120℃未満高く、
前記加熱ユニットが前記新しい温度で少なくとも0.5秒間保持される
ように前記コントローラがプログラムされた、エアロゾル生成デバイス。
【請求項2】
前記前の温度が80℃以上のとき、前記新しい温度が、前記前の温度より70℃未満高い、請求項1に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項3】
前記複数の異なる温度が、少なくとも3つの異なる温度を含む、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも3つの異なる温度が、第1の温度と、前記第1の温度で保持された後に、前記加熱ユニットが到達する第2の温度と、前記第2の温度で保持された後に、前記加熱ユニットが到達する第3の温度とを含み、前記第2の温度が前記第1の温度より高い、
請求項3に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項5】
前記加熱ユニットが、加熱されて、少なくとも0.5秒間保持される前記第1の温度が120℃より低い、
請求項4に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項6】
前記第2の温度が、前記第1の温度より60℃未満高い、
請求項4に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項7】
前記第3の温度が前記第2の温度より高い、
請求項4又は6に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項8】
前記第3の温度が、前記第2の温度より60℃未満高い、
請求項7に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項9】
前記第1の温度が40℃~130℃である、
請求項4~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項10】
前記1つ以上の加熱ユニットのうちの前記少なくとも1つが、前記新しい温度に加熱されるときはいつも、前記加熱ユニットがその最高動作温度に到達するまで、前記新しい温度が前記前の温度よりも高い、
請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項11】
前記1つ以上の加熱ユニットが、第1の加熱ユニット及び第2の加熱ユニットを含む、
請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項12】
前記加熱アセンブリが口側端部及び遠位端を有し、前記第1の加熱ユニットが、前記第2
の加熱ユニットより前記口側端部の近くに配置され、前記1つ以上の加熱ユニットのうちの前記少なくとも1つが前記第2の加熱ユニットを含む、
請求項11に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項13】
前記第2の加熱ユニットが80℃以上の温度に加熱されるが、それは、前記使用セッションの開始から20秒経つ前ではないように、前記加熱アセンブリが構成された、
請求項12に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項14】
前記第1の加熱ユニットが、使用セッションの開始から20秒以内に200℃~300℃の温度に到達するように前記加熱アセンブリが構成された、
請求項11~13のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項15】
前記加熱アセンブリの各加熱ユニットがコイルを備える、
請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項16】
前記加熱アセンブリの各加熱ユニットが、サセプタ加熱要素へ変動磁場を供給するためのインダクタ要素であるように構成されたコイルを備えた誘導加熱ユニットである、
請求項15に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項17】
前記加熱アセンブリの各加熱ユニットが抵抗加熱ユニットである、
請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項18】
前記エアロゾル生成デバイスがタバコ加熱製品である、
請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項19】
エアロゾル生成材料を備えるエアロゾル生成品と組み合わせて
請求項1~18のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイスを具備するエアロゾル生成システム。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイスを使用してエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法であって、
複数の異なる温度に順次到達し、新しい温度が前の温度より高いときはいつも、前記新しい温度が、前記前の温度より120℃未満高く、
少なくとも0.5秒間前記新しい温度を保持する
ようにデバイス加熱ユニットの1つ以上の加熱ユニットのうちの少なくとも1つに命令するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成デバイス、エアロゾル生成デバイスを用いてエアロゾルを生成する方法、及びエアロゾル生成デバイスを備えるエアロゾル生成システムに関する。
【背景】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの物品は、使用中、タバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創出することによって、タバコを燃焼させるこれらのタイプの物品に代わるものを提供する試みがなされている。喫煙材を燃やさずに又は燃焼させずに、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させて、典型的には、吸引することができるエアロゾルを形成する装置が知られている。このような装置は、ときどき、「非燃焼加熱式」装置、又は「タバコ加熱製品」(THP:tobacco heating product)、又は「タバコ加熱デバイス」などと記述される。喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための様々な異なる構成体が知られている。
【0003】
喫煙材は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよいし、ブレンドされた混合物などの組合せでもよく、それらは、ニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい。
【概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成デバイスが提供される。エアロゾル生成デバイスは、使用時にエアロゾル生成材料を加熱するが燃焼させないように構成された1つ以上の加熱ユニットと、1つ以上の加熱ユニットを制御するためのコントローラとを含む加熱アセンブリを備える。コントローラは、使用セッション中、1つ以上の加熱ユニットのうちの少なくとも1つが、複数の異なる温度に順次加熱されるように電力を与えられ、加熱ユニットが前の温度よりも高い新しい温度に加熱されるときはいつも、新しい温度が前の温度よりも120℃未満高く、加熱ユニットが新しい温度で少なくとも0.5秒間保持されるようにプログラムされる。いくつかの実施形態では、加熱ユニットは、新しい温度で少なくとも1秒、1.5秒、2秒、3秒、4秒、又は5秒間保持される。いくつかの実施形態では、新しい温度は、前の温度よりも110℃又は100℃未満高い。
【0005】
いくつかの実施形態では、前の温度は80℃以上のとき、新しい温度は、前の温度より70℃未満、60℃未満、又は55℃未満高い。
【0006】
いくつかの実施形態では、加熱ユニットが、加熱されて、少なくとも0.5秒間保持される第1の温度は、120℃より低い、110℃より低い、又は100℃より低い。
【0007】
いくつかの実施形態では、複数の異なる温度は、少なくとも3つの異なる温度、少なくとも4つの異なる温度、又は少なくとも5つの異なる温度を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも3つの異なる温度は、第1の温度と、第1の温度で保持された後に、加熱ユニットが到達する第2の温度と、第2の温度で保持された後に、加熱ユニットが到達する第3の温度とを含む。これらの実施形態では、第2の温度は第1の温度より高い。任意選択で、第2の温度は、第1の温度より60℃未満高い。
【0009】
いくつかの実施形態では、第3の温度は第2の温度より高い。任意選択で、第3の温度は、第2の温度より60℃未満高い。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の温度は40℃~120℃、又は50℃~115℃、又は60℃~110℃である。
【0011】
いくつかの実施形態では、1つ以上の加熱ユニットのうちの少なくとも1つは、新しい温度に加熱されるときはいつも、加熱ユニットがその最高動作温度に到達するまで、新しい温度が前の温度よりも高い。
【0012】
いくつかの実施形態では、1つ以上の加熱ユニットは、第1の加熱ユニット及び第2の加熱ユニットを含む。これらの実施形態では、1つ以上の加熱ユニットのうちの少なくとも1つは第2の加熱ユニットを含んでもよい。加熱アセンブリは、第2の加熱ユニットが80℃、90℃、又は100℃以上の温度に加熱されるが、それは、使用セッションの開始から20秒経つ前ではないように、又は使用セッションの開始から30秒経つ前ではないように構成されてもよい。
【0013】
これらの実施形態では、加熱アセンブリは、第1の加熱ユニットが、使用セッションの開始から20秒以内、又は10秒以内、又は5秒以内に200℃~300℃、又は210℃~280℃、又は220℃~260℃の温度に到達するように構成されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、加熱アセンブリの各加熱ユニットはコイルを備える。これらの実施形態では、加熱アセンブリの各加熱ユニットは、サセプタ加熱要素を備える誘導加熱ユニットであってもよく、コイルは、サセプタ加熱要素へ変動磁場を供給するためのインダクタ要素であるように構成される。
【0015】
他の実施形態では、加熱アセンブリの各加熱ユニットは抵抗加熱ユニットである。
【0016】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成デバイスはタバコ加熱製品である。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル生成デバイスが提供される。エアロゾル生成デバイスは、使用時にエアロゾル生成材料を加熱するが燃焼させないように構成された1つ以上の加熱ユニットと、1つ以上の加熱ユニットを制御するためのコントローラとを含む加熱アセンブリを備える。コントローラは、使用セッション中、1つ以上の加熱ユニットのうちの少なくとも1つが少なくとも3つの異なる温度に順次加熱され、少なくとも3つの異なる温度のそれぞれで少なくとも0.5秒間保持されるようにプログラムされる。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、エアロゾル生成品と組み合わせて請求項1~19のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイスを具備するエアロゾル生成システムが提供される。
【0019】
本発明の第4の態様によれば、第1又は第2の態様によるエアロゾル生成デバイスを使用してエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法が提供される。本方法は、複数の異なる温度に順次到達し、新しい温度が前の温度より高いときはいつも、新しい温度が、前の温度より120℃未満高くなるように加熱ユニットに命令するステップを含む。本方法はまた、少なくとも0.5秒間それぞれの新しい温度を保持するように加熱ユニットに命令するステップを含む。
【0020】
本発明の一態様に関連して本明細書で説明する特徴は、適合している範囲において、他の態様と組み合わせて明示的に開示される。
【0021】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して例示のみを目的として与えられる本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】本発明の実施形態によるエアロゾル生成デバイスの加熱アセンブリの概略図である。
【
図1B】エアロゾル生成品が配置された状態の、
図1Aに示した加熱アセンブリの断面図である。
【
図2A】本発明のエアロゾル生成デバイスとともに使用するためのエアロゾル生成品の概略断面図である。
【
図3】例示的な使用セッション中の、本発明の例によるエアロゾル生成デバイスの加熱要素の概略的なプログラムされた加熱プロファイルを示すグラフである。
【
図4】参照例における、第1及び第2の誘導加熱要素のプログラムされた加熱プロファイルを示すグラフである。
【
図5】本発明の例における、第1及び第2の誘導加熱要素のプログラムされた加熱プロファイルを示すグラフである。
【詳細な説明】
【0023】
本明細書で使用するとき、「前記(the)」は、必要に応じて、「前記(the)」又は「前記又は各(the or each)」を意味するために使用されることがある。特に、「前記少なくとも1つの加熱ユニット」に関連して説明される特徴は、前記第1の、第2の、又はさらなる加熱ユニット(存在する場合)に適用可能なことがある。さらに、「第1の」又は「第2の」の整数に関して説明される特徴は、等しく適用可能な整数であることがある。例えば、「第1の」又は「第2の」加熱ユニットに関して説明される特徴は、異なる実施形態における他の加熱ユニットに等しく適用可能なことがある。同様に、「第1の」又は「第2の」動作モードに関して説明される特徴は、他の構成された動作モードに等しく適用可能なことがある。
【0024】
概して、加熱アセンブリの「第1の」加熱ユニットへの言及は、別段の指定がない限り、加熱アセンブリが2つ以上の加熱ユニットを含むことを示しているのではなく、むしろ、「第1の」加熱ユニットを備える加熱アセンブリが、単に、少なくとも1つの加熱ユニットを備えなければならないだけである。したがって、加熱ユニットを1つだけ含む加熱アセンブリは、明らかに、「第1の」加熱ユニットを備える加熱アセンブリの定義内に入る。
【0025】
同様に、加熱アセンブリの「第1の」及び「第2の」加熱ユニットへの言及は、加熱アセンブリが加熱ユニットを2つしか含まないことを必ずしも示しているのではなく、さらなる加熱ユニットが存在することもある。むしろ、この例では、加熱アセンブリは、単に、少なくとも第1及び第2の加熱ユニットを備えなければならないだけである。
【0026】
最高動作温度に到達するなどの事象が所与の期間「内」で生じると言及される場合、その事象は、その期間の開始と終了との間の任意の時点で生じてもよい。
【0027】
単一の加熱ユニットに関して「異なる温度」を説明するとき、単一の加熱ユニットが、1つの温度が別の温度に順次続くように、異なる温度を時間的に通過することを言っている。これは、単一の加熱ユニットが、加熱ユニットの異なる空間領域において同時に異なる温度を有することを言っているのではない。
【0028】
本明細書で使用するとき、「エアロゾル生成材料」とう用語は、加熱されると、典型的にはエアロゾルの形態の揮発成分を供する材料を含む。エアロゾル生成材料は、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでもよい。エアロゾル生成材料はまた、他の非タバコ製品を含んでもよく、非タバコ製品は、製品によっては、ニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体、ゲル、又は蝋などの形態であってもよい。エアロゾル生成材料はまた、例えば、いくつかの材料を組み合わせたもの、又はブレンドしたものであってもよい。エアロゾル生成材料はまた、「喫煙材」としても知られている場合がある。好ましい実施形態では、エアロゾル生成材料は、非液体エアロゾル生成材料である。特に好ましい実施形態では、非液体エアロゾル生成材料は、タバコを含む。
【0029】
エアロゾル生成材料を燃やさずに又は燃焼させずに、エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させて、典型的には、吸引することができるエアロゾルを形成する装置が知られている。このような装置は、ときどき、「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品」、「タバコ加熱製品デバイス」、又は「タバコ加熱デバイス」などとも記述される。本発明の好ましい実施形態では、本発明のエアロゾル生成デバイスはタバコ加熱製品である。タバコ加熱製品とともに使用するための非液体エアロゾル生成材料はタバコを含む。
【0030】
同様に、いわゆる「e-シガレット」デバイスもあり、これは、典型的には、液体の形態のエアロゾル生成材料(ニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい)を気化するエアロゾル生成デバイスである。エアロゾル生成材料は、装置に挿入することができるロッド、カートリッジ、又はカセットなどの形態であってもよいし、又はその一部として提供されてもよい。エアロゾル生成材料を加熱して揮発させるためのヒーターが、装置の「恒久的」部分として設けられてもよい。
【0031】
エアロゾル生成デバイスは、加熱用のエアロゾル生成材料を含む物品(「喫煙品」とも呼ばれる)を受け入れることができる。この文脈における「物品」、「エアロゾル生成品」又は「喫煙品」は、使用時にエアロゾル生成材料を含む、又はそれが入っている構成要素であり、この構成要素は、使用時に、加熱されてエアロゾル生成材料、及び、任意選択で、他の成分を揮発させる。使用者は、物品を加熱してエアロゾルを発生させる前に、物品をエアロゾル生成デバイスに挿入することができ、その後、使用者はエアロゾルを吸引する。物品は、例えば、物品を受け入れる大きさのデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように構成された、予め定められた、又は特定の大きさのものであってもよい。
【0032】
本発明のエアロゾル生成デバイスは、加熱アセンブリを備える。加熱アセンブリは、1つ以上の加熱ユニットを備え、各加熱ユニットは、使用時にエアロゾル生成材料を加熱するが燃焼させないように構成される。
【0033】
加熱ユニットは、典型的には、電気エネルギー源から電気エネルギーを受け取り、エアロゾル生成材料に熱エネルギーを供給するように構成された構成要素を指す。加熱ユニットは、加熱要素を備える。加熱要素は、典型的には、使用時にエアロゾル生成材料に熱を供給するように構成された材料である。加熱要素を備える加熱ユニットは、加熱ユニットによって受け取られた電気エネルギーを変換するための構成要素など、必要とされる任意の他の構成要素を備えてもよい。他の例では、加熱要素自体が、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するように構成されてもよい。
【0034】
加熱ユニットは、コイルを備えてもよい。いくつかの例では、コイルは、使用時に、少なくとも1つの導電性加熱要素の加熱を引き起こすように構成され、その結果、熱エネルギーは、少なくとも1つの導電性加熱要素からエアロゾル生成材料に伝導可能となり、以て、エアロゾル生成材料の加熱を引き起こす。
【0035】
いくつかの例では、コイルは、使用時に、少なくとも1つの加熱要素に侵入する変動磁場を生成し、以て、少なくとも1つの加熱要素の誘導加熱及び/又は磁気ヒステリシス加熱を引き起こすように構成される。このような構成体では、前記又は各加熱要素は「サセプタ」と呼ばれることがある。使用時に、少なくとも1つの導電性加熱要素に侵入する変動磁場を生成し、以て、少なくとも1つの導電性加熱要素の誘導加熱を引き起こすように構成されたコイルは、「誘導コイル」又は「インダクタコイル」と呼ばれることがある。
【0036】
デバイスは、加熱要素(複数可)、例えば、導電性加熱要素(複数可)を含んでもよく、加熱要素(複数可)は、加熱要素(複数可)のそのような加熱を可能にするように、コイルに対して好適に配置されてもよく、又は配置可能であってもよい。加熱要素(複数可)は、コイルに対して固定された位置であってもよい。これに代えて、少なくとも1つの加熱要素、例えば、少なくとも1つの導電性加熱要素は、デバイスの加熱区間に挿入されるように物品内に含まれてもよく、物品はまた、エアロゾル生成材料を備えており、使用後に加熱区間から取外し可能である。これに代えて、デバイス及びそのような物品の両方は、それぞれ少なくとも1つの加熱要素、例えば、少なくとも1つの導電性加熱要素を備えてもよく、コイルは、物品が加熱区間内にあるとき、デバイス及び物品のそれぞれの加熱要素(複数可)の加熱を引き起こすようなものであってもよい。
【0037】
いくつかの例では、コイルは螺旋形である。いくつかの例では、コイルは、エアロゾル生成材料を受け入れるように構成されたデバイスの加熱区間の少なくとも一部分を取り囲む。いくつかの例では、コイルは、加熱区間の少なくとも一部分を取り囲む螺旋形コイルである。
【0038】
いくつかの例では、デバイスは、加熱区間を少なくとも部分的に囲む導電性加熱要素を備え、コイルは、導電性加熱要素の少なくとも一部分を取り囲む螺旋形コイルである。いくつかの例では、導電性加熱要素は管状である。いくつかの例では、コイルはインダクタコイルである。
【0039】
いくつかの例では、加熱ユニットは誘導加熱ユニットである。驚くべきことに、エアロゾル生成デバイスの誘導加熱ユニットは、それに相当する抵抗加熱要素よりはるかに急速に最高動作温度に到達することが、本発明者らによって見出された。好ましい実施形態では、加熱アセンブリは、第1の誘導加熱ユニットが、少なくとも毎秒100℃の速度でその最高動作温度に到達するように構成される。特に好ましい実施形態では、加熱アセンブリは、第1の誘導加熱ユニットが、少なくとも毎秒150℃の速度で最高動作温度に到達するように構成される。
【0040】
誘導加熱システムはまた、加熱ユニットへ供給される電力を制御することによって、変動磁場の大きさを容易に制御することができるため、有利になることがある。さらに、誘導加熱は、変動磁場源と熱源との間に物理的な接続部を設けることを必要としないため、加熱プロファイルに対する設計自由度及び制御を高めることができ、コストを下げることができる。
【0041】
他の例では、加熱ユニットは抵抗加熱ユニットである。抵抗加熱ユニットは、抵抗加熱要素から構成することができる。すなわち、抵抗加熱要素自体が電気エネルギーを熱エネルギーに変換するので、抵抗加熱ユニットが、加熱ユニットによって受け取られた電気エネルギーを変換するための別個の構成要素を含むことを不要にすることができる。
【0042】
熱生成のために燃焼を使用する場合と比較して、電気抵抗加熱システムを使用すると、熱生成の速度をより容易に制御することができ、より低レベルの熱をより容易に生成することができるため、有利になることがある。したがって、電気加熱システムを使用することによって、タバコ組成物からのエアロゾルの生成に対する制御をより高めることができる。
【0043】
本明細書全体にわたって、加熱要素の温度について言及する。加熱要素の温度はまた、加熱要素を備える加熱ユニットの温度と呼ぶことができることが便利である。これは、加熱ユニット全体が所与の温度であることを必ずしも意味するものではない。例えば、誘導加熱ユニットの温度について言及する場合、これは、誘導要素及びサセプタの両方がそのような温度を有することを必ずしも意味するものではない。むしろ、この例では、誘導加熱ユニットの温度は、誘導加熱ユニット内に構成された加熱要素の温度に相当する。誤解を避けるために、加熱要素の温度と加熱ユニットの温度は互換的に使用することができる。
【0044】
本明細書で使用するとき、「温度プロファイル」は、材料の温度の経時的な変動を指す。例えば、喫煙セッションの継続時間にわたって加熱要素において測定される加熱要素の変動温度は、その加熱要素の温度プロファイルと呼ぶことができる。加熱要素は、使用中にエアロゾル生成材料へ熱を供給して、エアロゾルを生成する。したがって、加熱要素の温度プロファイルは、加熱要素の近くに配置されたエアロゾル生成材料の温度プロファイルを引き起こす。
【0045】
本発明のエアロゾル生成デバイスでは、加熱アセンブリの各加熱要素は、エアロゾル生成材料を加熱するが燃焼させないように構成される。各加熱要素の温度プロファイルは、エアロゾル生成材料の各関連部分の温度プロファイルを引き起こすが、加熱要素の温度プロファイルとエアロゾル生成材料の関連部分の温度プロファイルは、厳密には対応しないことがある。例えば、エアロゾル生成材料の1つの部分から別の部分へ、熱エネルギーの伝導、対流、及び/又はふく射の形態で「ブリード(bleed)」が生じる可能性があり、加熱要素からエアロゾル生成材料への熱エネルギーの伝導、対流、及び/又はふく射に変動が生じる可能性があり、エアロゾル生成材料の熱容量に応じて、加熱要素の温度プロファイルの変化とエアロゾル生成材料の温度プロファイルの変化との間に遅れが生じる可能性がある。
【0046】
加熱アセンブリはまた、加熱アセンブリ内に存在する各加熱ユニットを制御するためのコントローラを備える。コントローラは、PCBであってもよい。コントローラは、各加熱ユニットへ供給される電力を制御するように構成されており、加熱アセンブリ内に存在する各加熱ユニットの「プログラムされた加熱プロファイル」を制御する。例えば、コントローラは、複数のインダクタへ供給される電流を制御して、その結果得られる、対応する誘導加熱要素の温度プロファイルを制御するようにプログラムされてもよい。上記の加熱要素の温度プロファイルとエアロゾル生成材料の温度プロファイルとの間と同じように、加熱要素のプログラムされた加熱プロファイルは、上記と同じ理由で、観察される加熱要素の温度プロファイルに厳密には対応しないことがある。コントローラが加熱ユニットを加熱するためにプログラムされた温度は、「プログラムされた温度」と呼ばれることがある。
【0047】
いくつかの実施形態では、デバイスは、加熱アセンブリに配置された1つ以上の加熱要素の熱を検出するために1つ以上の温度センサを備える。好適な温度センサには、熱電対、サーモパイル、又は抵抗温度検出器(RTD:resistance temperature detector、抵抗温度計とも呼ばれる)が含まれる。特定の実施形態では、デバイスは、少なくとも1つのRTDを備える。一実施形態では、デバイスは、エアロゾル生成デバイス内に存在する各加熱要素に配置された熱電対を備える。前記又は各温度センサによって測定された温度データは、コントローラへ伝達することができる。さらに、加熱要素が所定の温度に到達したとき、温度データをコントローラへ伝達することができ、その結果、コントローラは、それに応じてエアロゾル生成デバイス内の要素への電力の供給を変化させることができる。コントローラは、制御ループフィードバック機構を使用して、デバイス内に配置された1つ以上の温度センサから供給されたデータに基づいて加熱要素の温度を制御するPIDコントローラを備えることが好ましい。好ましい実施形態では、コントローラは、加熱要素のそれぞれに配置された熱電対から供給された温度データに基づいて各加熱要素の温度を制御するように構成されたPIDコントローラを備える。
【0048】
本明細書で使用するとき、「パフ」は、エアロゾル生成デバイスによって生成される、エアロゾルの使用者による単一の吸引を指す。
【0049】
使用時、本発明のデバイスは、エアロゾル生成材料を加熱して、吸引可能なエアロゾルを供給する。エアロゾル生成材料の少なくとも一部分が最低動作温度に到達したとき、デバイスは、「使用する準備ができた状態である」と称することができ、使用者は、満足のいく量のエアロゾルを含むパフを行うことができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、第1の加熱ユニットへ電力を供給してから約20秒以内に、又は15秒以内に、又は10秒以内に、使用する準備ができた状態になることができる。デバイスは、デバイスの起動から約20秒以内に、又は15秒以内に、又は10秒以内に、使用する準備ができた状態になることが好ましい。デバイスは、デバイスが起動されたときに第1の加熱ユニットなどの加熱ユニットへの電力の供給を開始してもよいし、デバイスが起動された後に加熱ユニットへの電力の供給を開始してもよい。デバイスは、デバイスの起動から少なくとも1秒、2秒、又は3秒後など、デバイスの起動からしばらくした後に、第1の加熱ユニットへの電力の供給を開始するように構成されることが好ましい。デバイスは、デバイスの起動から少なくとも2.5秒後まで、第1の加熱ユニット、又は加熱アセンブリ内に存在するすべての加熱ユニットへ電力が供給されないように構成されることが好ましい。これは、加熱ユニット(複数可)の意図しない起動を回避することによって、バッテリー寿命を長くすることができることで有利である。
【0050】
本発明のエアロゾル生成デバイスは、当技術分野で知られている、これに相当するエアロゾル生成デバイスよりも使用する準備ができた状態に迅速になり、使用者体験を改善することができる。概して、エアロゾルを生成するのに十分な熱エネルギーを加熱ユニットからエアロゾル生成材料へ伝達するにはある程度の時間量がかかるため、デバイスが使用する準備ができた状態になる時点は、第1の加熱ユニットがその最高動作温度に到達してからしばらくした後である。デバイスは、第1の加熱ユニットがその最高動作温度に到達してから20秒以内に、又は15秒以内に、又は10秒以内に、使用する準備ができた状態になることが好ましい。
【0051】
さらに、驚くべきことに、エアロゾル生成材料から生成されるエアロゾルの特性が、エアロゾル生成材料が加熱される速度に依存することがあることが見出された。例えば、温度を急速に変えるように構成された加熱ユニットからの加熱を受けたエアロゾル生成材料から生成されるエアロゾルは、使用者体験を改善することがある。エアロゾル生成材料がメンソールを含む一実施形態では、加熱ユニットの温度をすばやく上昇させることで、エアロゾル中でメンソールが使用者へ送達される速度を上昇させることができ、以て、静的な加熱から廃棄される(すなわち、使用者によって吸引されるエアロゾルの一部を形成しない)メンソール成分の量を低減させることができることが見出された。
【0052】
いくつかの実施形態では、本デバイスによって生成されるエアロゾルから生じる使用者の知覚体験は、工場製紙巻タバコなどの燃焼性紙巻タバコを喫煙する体験に似ている。
【0053】
デバイスは、インジケータによって、使用する準備ができた状態であることを表示してもよい。好ましい実施形態では、デバイスは、第1の加熱ユニットへ電力が供給されてから約20秒以内に、又は15秒以内に、又は10秒以内にデバイスが使用する準備ができた状態であることをインジケータが表示するように構成されてもよい。特に好ましい実施形態では、デバイスは、デバイスの起動から約20秒以内に、又は15秒以内に、又は10秒以内にデバイスが使用する準備ができた状態であることをインジケータが表示するように構成される。別の好ましい実施形態では、デバイスは、第1の加熱ユニットがその最高動作温度に到達してから約20秒以内に、又は15秒以内に、又は10秒以内にデバイスが使用する準備ができた状態であることをインジケータが表示するように構成される。
【0054】
本明細書で使用するとき、「使用セッション」は、使用者によるエアロゾル生成デバイスの単一の使用期間を指す。使用セッションは、加熱アセンブリ内に存在する少なくとも1つの加熱ユニットへ最初に電力が供給された時点で開始する。デバイスは、使用セッションの開始からある期間が経過した後、使用する準備ができた状態になる。使用セッションは、エアロゾル生成デバイス内の加熱ユニットのいずれにも電力が供給されなくなった時点で終了する。使用セッションの終了は、エアロゾル生成品が使い尽くされた時点(各パフにおける総粒子状物質発生量(mg)が使用者によって容認できないほど低いと考えられる時点)に一致することがある。セッションは、一継続時間の複数のパフを有する。前記セッションは、7分、又は6分、又は5分、又は4分30秒、又は4分、又は3分30秒より短い継続時間を有してもよい。いくつかの実施形態では、使用セッションは、2~5分、又は3~4.5分、又は3.5~4.5分の継続時間を有してもよく、又は4分の継続時間を有することが好適である。セッションは、使用者がデバイスのボタン又はスイッチを作動させることによって開始させてもよく、それによって、起動時又は起動からしばらくした後に、少なくとも1つの加熱ユニットの温度の上昇が開始する。
【0055】
デバイスは、使用セッションの開始からある期間が経過した後、使用する準備ができた状態になる。デバイスは、使用者がデバイスからのエアロゾルを吸引し始めるべきときであることを表示するためのインジケータを含んでもよい。本明細書で使用するとき、「吸引セッション」は、デバイスが使用する準備ができた状態になった時点、及び/又は、デバイスが使用する準備ができた状態であることをインジケータが使用者に表示した時点で開始し、使用セッションの終了時に終了する期間を指す。吸引セッションは本質的に、総使用セッションより短い継続時間を有する。「指示吸引セッション」は、デバイスが使用する準備ができた状態であることをインジケータが使用者に表示する時点として開始点が定義された吸引セッションを指す。「動作温度吸引セッション」は、エアロゾル生成材料の少なくとも一部分が最低動作温度に到達し、使用者が満足のいく量のエアロゾルを含むパフを行うことができる時点として開始点が定義された吸引セッションを指す。指示吸引セッションは、動作温度吸引セッションと同じであってもよいし、同じでなくてもよい。誤解を避けるために、「吸引セッション」という一般用語は、これらのセッションの定義の両方を含む。本明細書では、吸引セッションについての言及は、別途示されない限り、指示吸引セッション又は動作温度吸引セッションのいずれかを指すと考えることができる。
【0056】
加熱要素に関連して本明細書で使用するとき、「動作温度」は、要素が、エアロゾル生成材料を燃焼させずに、エアロゾル生成材料を加熱して、満足のいくパフのための十分なエアロゾルを生じさせることができる任意の加熱要素温度を指す。加熱要素の最高動作温度は、喫煙セッション中に要素が到達する最高温度である。加熱要素の最低動作温度は、加熱要素が、満足のいくパフのための十分なエアロゾルをエアロゾル生成材料から生成することができる最も低い加熱要素温度を指す。複数の加熱要素がエアロゾル生成デバイス内に存在する場合、各加熱要素は、関連する最高動作温度を有する。各加熱要素の最高動作温度は、同じであってもよいし、各加熱要素に対して異なっていてもよい。
【0057】
本発明の加熱アセンブリは、第1の加熱ユニットなどの少なくとも1つの加熱ユニットが使用時に200℃~340℃の最高動作温度に到達するように構成されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、最高動作温度は、約200℃~300℃、又は210℃~290℃であり、220℃~280℃が好ましく、230℃~270℃がより好ましい。
【0059】
いくつかの実施形態では、最高動作温度は、約245℃~340℃、又は245℃~300℃であり、250℃~280℃が好ましい。
【0060】
いくつかの実施形態では、最高動作温度は、約340℃、330℃、320℃、310℃、300℃、又は290℃、又は280℃、又は270℃、又は260℃、又は250℃より低い。
【0061】
「動作温度」という用語はまた、エアロゾル生成材料に関連して使用することができる。この場合、この用語は、エアロゾル生成材料から満足のいくパフのための十分なエアロゾルが生成されるエアロゾル生成材料自体の任意の温度を指す。エアロゾル生成材料の最高動作温度は、喫煙セッション中にエアロゾル生成材料の任意の部分が到達する最高温度である。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料の最高動作温度は、200℃、210℃、220℃、230℃、240℃、250℃、260℃、又は270℃より高い。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料の最高動作温度は、300℃、290℃、280℃、270℃、260℃、250℃、又は240℃より低い。最低動作温度は、満足のいく「パフ」のための十分なエアロゾルを生じさせるように、エアロゾル生成材料から十分なエアロゾルが生成されるエアロゾル生成材料の最も低い温度である。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料の最低動作温度は、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、又は150℃より高い。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料の最低動作温度は、150℃、140℃、130℃、又は120℃より低い。
【0062】
加熱アセンブリは、本明細書で説明するように動作するように構成される。本開示のデバイスは、加熱アセンブリのコントローラが、複数のモードでデバイスを動作させるようにプログラムされることによって、このように動作するように少なくとも部分的に構成されてもよい。したがって、本発明のデバイス又はその構成要素の構成についての本明細書での言及は、他の特徴(加熱アセンブリ内の構成要素の空間的配置など)の中でも、本明細書に開示するようなデバイスを動作させるようにプログラムされた加熱アセンブリのコントローラを指す場合がある。
【0063】
エアロゾル生成デバイス用のエアロゾル生成品(タバコ加熱製品など)は通常、使用時にエアロゾルの形成を促進するために、燃焼性喫煙品よりも多くの水分及び/又はエアロゾル生成剤を含む。水分及び/又はエアロゾル生成剤含有量がこのようにより高いことによって、使用中にエアロゾル生成デバイス内で、特に加熱ユニット(複数可)から離れた場所で、凝縮物が溜まる危険性が増大し得る。この問題は、内部ヒーター(「ブレード」ヒーターなど)を備えたデバイスよりも、囲まれた加熱チャンバを有するデバイス、及び、特に、外部ヒーターを有するデバイスにおいて大きくなる場合がある。理論によって拘束されることを望むものではないが、外部加熱式の加熱アセンブリによってエアロゾル生成材料のより大きい割合/表面積が加熱されるため、エアロゾル生成材料を内部で加熱するデバイスよりも多くのエアロゾルが放出され、それがデバイス内でエアロゾルのより多くの凝縮をもたらすと考えられる。本発明の目的は、このようなデバイス内に溜まる凝縮物の量を低減することである。
【0064】
本発明者らは、デバイス内で凝縮するエアロゾルの量を低く抑えながら、望ましい量のエアロゾルを使用者に提供するために、エアロゾル生成材料を外部から加熱するように構成されたデバイスに本開示のプログラムされた加熱プロファイルを用いることができることが有利であることを見出した。特に、少なくとも1つの加熱ユニットのプログラムされた加熱プロファイルを一連の「ステップ」で基材を加熱するように構成することは、デバイス内に留まる凝縮物の量を低減するのに役立つことがある。さらに、加熱ユニットの最高動作温度は、形成される凝縮物の量に影響を与えることがあり、最高動作温度が低いほど、望ましくない凝縮物が少なくなることがある。加熱アセンブリ内の加熱ユニットの最高動作温度間の差も、形成される凝縮物の量に影響を与えることがある。さらに、加熱アセンブリ内に存在する各加熱ユニットがその最高動作温度に到達する、使用セッションにおける時点が、形成される凝縮物の量に影響を与えることがある。
【0065】
本発明の一態様によれば、コントローラは、使用セッション中、1つ以上の加熱ユニットのうちの少なくとも1つが複数の異なる温度に順次加熱され、加熱ユニットが前の温度よりも高い新しい温度に加熱されるときはいつも、新しい温度が前の温度よりも130℃未満高く、加熱ユニットが新しい温度で少なくとも0.5秒間保持されるようにプログラムされる。本明細書で使用するとき、加熱ユニットが新しい温度で「保持」されるとは、加熱ユニットが、少なくとも0.5秒間、所与の温度の15%、10%、5%、2%、1%、又は0.1%の範囲内に測定温度を有することを意味する。
【0066】
いくつかの実施形態では、新しい温度は、前の温度よりも120℃、110℃、100℃、90℃、80℃、70℃、又は60℃未満高い。
【0067】
いくつかの実施形態では、加熱ユニットは、少なくとも1秒、1.5秒、2秒、3秒、4秒、又は5秒間、新しい温度で保持される。本明細書で使用するとき、加熱ユニットを所与の継続時間の間、所与の温度で「保持する」とは、その継続時間の間を通して、加熱ユニットが一定のプログラムされた温度を有するように加熱ユニットに電力を供給するようにコントローラがプログラムされることを意味する。加熱ユニットが一定のプログラムされた温度で保持される期間は、便宜上「滞留時間」と呼ばれることがある。滞留時間の前の温度の変化は、「ステップ」と呼ばれることがある。
【0068】
小さな温度変化とそれに続く新しい温度での滞留時間は、デバイスに溜まる凝縮物の量を低減するのに役立つことがある。特に、一連の小さな温度上昇とそれに続くそれぞれの新しい温度での滞留時間は、全体の上昇度が同じ単一の温度上昇で生じるよりも望ましくない凝縮を少なくすることがある。理論によって拘束されることを望むものではないが、この「ステップ状」手法は、より長い期間にわたって凝縮物の生成を延ばし、したがって、デバイスで吸っている使用者によってその除去を可能にすると考えられる。逆に、大きな急激な温度上昇は、短期間に大量の凝縮をもたらすことがあり、それは、そのような期間に使用者が吸引することができるよりもはるかに多くの凝縮が存在する程度の場合がある。
【0069】
いくつかの実施形態では、前の温度が80℃以上のとき、新しい温度は前の温度より70℃未満高い、又は60℃未満高い、又は55℃未満高い。特定の実施形態では、前の温度が80℃以上のとき、新しい温度は55℃未満高い。高温での温度変化を小さくすることで、不要な凝縮を低減するのに役立つことがある。
【0070】
いくつかの実施形態では、プログラムされた加熱プロファイルの2つの温度は、50℃、40℃、30℃、20℃、又は10℃未満だけ異なってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、加熱ユニットが加熱され、少なくとも0.5秒間保持される第1の温度は、120℃未満、110℃未満、又は100℃より低い。いくつかの実施形態では、第1の温度は、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、又は90℃より高い。いくつかの実施形態では、第1の温度は、40℃~120℃、又は50℃~115℃、又は60℃~110℃、又は70℃~105℃である。理論によって拘束されることを望むものではないが、120℃より高い温度など、高い第1の温度は、基材中の水分の急速な揮発に部分的に起因して、短期間に大量の望ましくない凝縮を生成することがあると考えられる。
【0072】
上記のように、より漸進的な加熱は、望ましくない凝縮を低減するのに役立つことがある。特定の実施形態では、加熱ユニットがその最高動作温度に到達するまで、加熱ユニットが加熱される新しい温度のそれぞれは、前の温度より高い。これは、便宜上、「ステップ状の上昇」と呼ばれることがある。
【0073】
本発明の別の態様によれば、コントローラは、使用セッション中、1つ以上の加熱ユニットのうちの少なくとも1つが少なくとも3つの異なる温度に順次加熱され、少なくとも3つの異なる温度のそれぞれで少なくとも0.5秒間保持されるようにプログラムされる。誤解を避けるために、3つの異なる温度とは、互いに時間的に(すなわち、順次)続くことを言っている。これは、加熱ユニットが、加熱ユニットの異なる空間領域において3つの異なる温度に加熱されることを言っているのではない。
【0074】
いくつかの実施形態では、加熱ユニットは、3つより多い異なる温度、例えば、4つの異なる温度、5つの異なる温度、又は5つより多くの異なる温度に加熱され、少なくとも0.5秒間、それぞれの温度で保持されてもよい。異なる温度の数が多くなると、より漸進的な上昇になり、以て、望ましくない凝縮物はより少なくなる。
【0075】
プログラムされたプロファイルは、第1の温度、第2の温度、第3の温度、第4の温度、及び第5の温度などを含んでもよい。いくつかの実施形態では、各温度は、それに先行する温度よりも高い。例えば、第2の温度は第1の温度より高く、第3の温度は第2の温度より高い。
【0076】
これらの温度間の差は、比較的小さいことが好ましい。温度の少なくともいくつか、又は温度のすべての間の差は、60℃、55℃、又は50℃より小さくてもよい。
【0077】
加熱アセンブリは、第1のモード及び第2のモードなど、複数のモードで動作可能であってもよい。加熱アセンブリは、最大2つのモードで動作可能であってもよいし、3つのモード、4つのモード、又は5つのモードなど、2つより多くのモードで動作可能であってもよい。各モードは、プログラムされた加熱プロファイルなど、加熱アセンブリ内の各加熱ユニットに対する予め定められた加熱プロファイルと関連付けられてもよい。プログラムされた加熱プロファイルの1つ以上は、使用者によってプログラムされてもよい。これに加えて、又はこれに代えて、プログラムされた加熱プロファイルの1つ以上は、製造者によってプログラムされてもよい。これらの例では、1つ以上のプログラムされた加熱プロファイルは、最終使用者が1つ以上のプログラムされた加熱プロファイルを変更することができないように固定されてもよい。
【0078】
各動作モードは、使用セッションに対する予め定められた継続時間と関連付けられてもよい。少なくともいくつかの動作モードは、互いに異なる予め定められた継続時間と関連付けられる。例えば、加熱アセンブリが第1のモード及び第2のモードで動作可能である場合、第1のモードと関連付けられた継続時間(第1のモードの使用セッションの第1の予め定められた継続時間)は、第2のモードと関連付けられた継続時間(第2のモードの使用セッションの第2の予め定められた継続時間)とは異なる。第1のモードの使用セッションの第1の予め定められた継続時間は、第2のモードの使用セッションの第2の予め定められた継続時間より長くてもよいし、短くてもよい。第1のモードの使用セッションの第1の予め定められた継続時間は、第2のモードの使用セッションの第2の予め定められた継続時間より長いことが好ましい。
【0079】
複数のモードで動作可能な加熱アセンブリを有するタバコ加熱製品などのエアロゾル生成デバイスを提供することは、特に各モードが、異なる使用セッションの継続時間と関連付けられる場合、消費者により多くの選択を与えることで有利となる。さらに、そのようなデバイスは、エアロゾル生成材料中の揮発成分が、異なるセッション長さにわたって異なる速度及び濃度で揮発するため、異なる特性を有する異なるエアロゾルを提供することができる。これにより、使用者は、タバコの香味の程度、ニコチン濃度、及びエアロゾル温度などの吸引可能なエアロゾルの所望の特性に基づいて、特定のモードを選択することができる。例えば、使用セッションが比較的短い継続時間を有するモードは、より迅速な第1のパフ、又はより多くのパフ当たりのニコチン含有量、又はより高い濃度のパフ当たりの香味を提供するように構成されてもよい。逆に、前記又は各加熱ユニットがより低い温度へ上昇するモードは、より少ないパフ当たりのニコチン含有量、又はより持続する香味の送達を提供するように構成されてもよい。
【0080】
各モードはまた、加熱アセンブリ内の前記又は各加熱ユニットが使用時に上昇する最高温度と関連付けられてもよい。加熱アセンブリは、各加熱ユニットが、第1のモードで第1のモードの最高動作温度に到達し、第2のモードで第2のモードの最高動作温度に到達するように構成されてもよい。加熱アセンブリの少なくとも1つの加熱ユニットの第1のモードにおける最高動作温度は、その加熱ユニットの第2のモードにおける最高動作温度と異なってもよい。例えば、第1の加熱ユニットの第1のモードにおける最高動作温度(本明細書では、第1の加熱ユニットの「第1のモードの最高動作温度」と呼ぶ)は、第1の加熱ユニットの第2のモードにおける最高動作温度(本明細書では、第1の加熱ユニットの「第2のモードの最高動作温度」と呼ぶ)と異なってもよい。いくつかの例では、第1のモードの最高動作温度は第2のモードの最高動作温度より高く、他の例では、第1のモードの最高動作温度は第2のモードの最高動作温度より低い。第1の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、第1の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度より高いことが好ましい。
【0081】
前記又は各加熱ユニットが、第2のモードにおいてより高い温度へ上昇する実施形態では、第2のモードは「ブースト」モードと呼ばれることがある。初めて、本発明の態様は、第1の「ノーマル」モード及び第2の「ブースト」モードで動作可能なエアロゾル生成デバイスを提供する。「ブースト」モードは、より迅速な第1のパフ、又はより多くのパフ当たりのニコチン含有量、又はより高い濃度のパフ当たりの香味を提供することができることが有利である。好ましい実施形態では、加熱アセンブリは、第2のモードがより短い継続時間の使用セッション及びより高い最高動作温度と関連付けられるように構成される。これにより、使用セッションにわたって使用者への一貫した量の揮発成分の送達が可能になることがあり、より高温の最高動作温度の結果、エアロゾル生成材料からの揮発成分をより迅速に使い尽くす可能性があり、したがって短い継続時間の使用セッションが好ましい。
【0082】
第1の使用セッション継続時間は、第2の使用セッション継続時間より長いことが好ましい。いくつかの例では、第1及び/又は第2の使用セッションは、少なくとも2分、2分30秒、3分、3分30秒、4分、4分30秒、5分、5分30秒、又は6分の継続時間を有してもよい。いくつかの例では、第1及び/又は第2の使用セッションは、7分、6分、5分30秒、5分、4分30秒、又は4分未満の継続時間を有してもよい。第1の使用セッション継続時間は3分~5分が好ましく、3分30秒~4分30秒がより好ましい。第2の使用セッション継続時間は2分~4分が好ましく、2分30秒~3分30秒がより好ましい。
【0083】
各動作モードはまた、各モードにおける吸引セッションに対する予め定められた継続時間と関連付けられる。第1の吸引セッション継続時間は、第2の吸引セッション継続時間より長いことが好ましい。いくつかの例では、第1及び/又は第2の吸引セッションは、少なくとも2分、2分30秒、3分、3分30秒、4分、4分30秒、5分、5分30秒、又は6分の継続時間を有してもよい。いくつかの例では、第1及び/又は第2の吸引セッションは、7分、6分、5分30秒、5分、4分30秒、又は4分未満の継続時間を有してもよい。第1の吸引セッション継続時間は3分~5分が好ましく、3分30秒~4分30秒がより好ましい。第2の吸引セッション継続時間は2分~4分が好ましく、2分30秒~3分30秒がより好ましい。
【0084】
デバイスが使用する準備ができた状態になるまでの時間は、動作モード間で異なることがある。例えば、第2のモードがより高い最高動作温度を有する実施形態では、デバイスは、第1のモードよりも使用セッションのより早い時点で使用する準備ができた状態になることがある。好ましい実施形態では、デバイスは、第1のモードよりも第2のモードで動作させられるときに、デバイスがより迅速に使用する準備ができた状態になるように構成される。
【0085】
特定の実施形態では、デバイスは、インジケータを備えており、デバイスが、使用する準備ができた状態になったとき、使用者に表示するように構成される。一実施形態では、デバイスが使用する準備ができた状態であることをインジケータが使用者に表示する使用セッションの時点が、少なくとも2つのモード間で異なるようにデバイスは構成される。デバイスは、インジケータが使用者に表示する時点が、第1のモードより第2のモードで早くなるように構成されることが好ましい。例えば、デバイスは、第1のモードでは使用セッションの開始から約20秒後にデバイスからのエアロゾルの吸引を開始すべきであることを使用者に表示することができるが、第2のモードでは使用セッションの開始から約10秒後に表示することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、加熱アセンブリは、複数の加熱ユニットを備える。例えば、加熱アセンブリは、上記の第1の加熱ユニット及び第2の加熱ユニットの2つの加熱ユニットを備えてもよい。第2の加熱ユニットは、使用時にエアロゾル生成材料を加熱するが燃焼させないように構成される。第2の加熱ユニットは、加熱アセンブリのコントローラによって制御可能である。第2の加熱ユニットは、第1の加熱ユニットから独立して制御可能である。
【0087】
加熱アセンブリは、最大で2つの加熱ユニットを備えることができる。他の例では、加熱アセンブリは、独立して制御可能な加熱ユニットを3つ、4つ、又は5つなど、独立して制御可能な加熱ユニットを2つより多く備える。
【0088】
これらの実施形態では、加熱ユニットの1つ以上は、上記のようなステップ状のプログラムされた加熱プロファイルを有するようにプログラムされてもよい。特定の実施形態では、加熱アセンブリは、第1の加熱ユニット及び第2の加熱ユニットを備え、第2の加熱ユニットは、上記のようなステップ状のプログラムされた加熱プロファイルを有する。
いくつかの実施形態では、第1の加熱ユニットは、セッションの開始時に電力が供給される。例えば、加熱アセンブリは、第1の加熱ユニットが、使用セッションを開始してから20秒以内に、又は10秒以内に、又は5秒以内に、200℃~300℃、又は210℃~280℃、又は220℃~260℃の温度に到達するように構成されてもよい。
【0089】
好ましい実施形態では、加熱アセンブリに設けられた加熱ユニットのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのモードで使用セッション全体に対して電力が供給される。特に、第1の加熱ユニットは、第1のモードの使用セッション全体に対して、及び/又は第2のモードの使用セッション全体に対して電力が供給されることが好ましい。特に好ましい実施形態では、第1の加熱ユニットは、デバイスの各動作モードで使用セッション全体に対して電力が供給される。
【0090】
好ましい実施形態では、加熱アセンブリに設けられた加熱ユニットのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのモードで使用セッション全体より短い間、電力が供給される。これにより、許容可能なエアロゾルを使用者へ送達することを維持しながら、より経済的な電力使用が可能になり得ることが有利である。特に、第2の加熱ユニットは、第1のモードの使用セッション全体及び/又は第2のモードの使用セッション全体より短い間、電力が供給されることが好ましい。特に好ましい実施形態では、第2の加熱ユニットは、デバイスの各動作モードで使用セッション全体より短い間、電力が供給される。第2の加熱ユニットは、各モードにおける使用セッションの少なくとも半分の間であるが、各モードにおける使用セッション全体より短い間、電力が供給されることがさらにより好ましい。
【0091】
いくつかの実施形態では、電力はまず、使用セッションの開始後、少なくとも10秒、115秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、50秒、又は60秒が経過した後に第2の加熱ユニットに供給される。遅い開始時間とステップ状のプログラムされた加熱プロファイルは、第2のヒーターがセッションに「フェードイン」するのを助け、例えば、凝縮物が生成される期間を延ばすことによって、望ましくない凝縮物の生成を低減することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、加熱アセンブリは、少なくとも第1の加熱ユニット及び第2の加熱ユニットを備え、加熱アセンブリは、第1のモード及び第2のモードで動作可能である。この実施形態では、第1の動作モードは、第1のモードの予め定められた継続時間の間、第1の加熱ユニットへエネルギーを供給することを含んでもよく、第2のモードは、第2のモードの予め定められた継続時間の間、第1の加熱ユニットへエネルギーを供給することを含んでもよい。第1のモードはまた、第1のモードの予め定められた継続時間の間、第2の加熱ユニットへエネルギーを供給することを含んでもよく、第2のモードはまた、第2のモードの予め定められた継続時間の間、第2の加熱ユニットへエネルギーを供給することを含んでもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの加熱ユニットの予め定められた継続時間は、各モードで同じである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの加熱ユニットの予め定められた継続時間は、モード間で異なる。好ましい実施形態では、各加熱ユニットへエネルギーを供給する予め定められた継続時間は、各モード間で異なる。
【0094】
使用セッションの継続時間が異なる少なくとも2つのモードで動作するように構成された加熱アセンブリは、両方のモードで同じ時間量の間、アセンブリ内の少なくとも1つの加熱ユニットにエネルギーが供給されるように構成されてもよいことは明らかに考えられる。例えば、アセンブリは、4分間継続する第1のモードの吸引セッションと、3分間継続する第2のモードの吸引セッションとを提供するように構成されてもよい。この例では、アセンブリが2つの加熱ユニットを含む場合、第1の加熱ユニットは、各使用セッション全体にわたってエネルギーが供給されてもよい。第2の加熱ユニットは、各使用セッションの最後の瞬間だけエネルギーが供給されてもよい。したがって、この実施形態では、第1のモードの使用セッションが、第2のモードの使用セッションとは異なる継続時間を有するとしても、アセンブリは、両方のモードで同じ時間量にわたって第2の加熱ユニットに電力が供給されるように構成される。
【0095】
いくつかの実施形態では、第1の加熱ユニットへエネルギーを供給する第1のモードの予め定められた継続時間は、約3分~5分であり、3分30秒~4分30秒がより好ましい。この第1のモードの予め定められた継続時間は、4分30秒、4分、又は3分30秒より短くてもよい。この第1のモードの予め定められた継続時間は、3分、3分30秒、又は4分より長くてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、第2の加熱ユニットへエネルギーを供給する第1のモードの予め定められた継続時間は、約2分~4分であり、2分30秒~3分30秒がより好ましい。この第1のモードの予め定められた継続時間は、4分、3分30秒、又は3分より短くてもよい。この第1のモードの予め定められた継続時間は、2分、2分30秒、又は3分より長くてもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1の加熱ユニットへエネルギーを供給する第2のモードの予め定められた継続時間は、約2分~4分であり、2分30秒~3分30秒がより好ましく、約3分が最も好ましい。この第2のモードの予め定められた継続時間は、4分又は3分30秒より短くてもよい。この第1のモードの予め定められた継続時間は、2分又は2分30秒より長くてもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、第2の加熱ユニットへエネルギーを供給する第2のモードの予め定められた継続時間は、約1分30秒~3分であり、2分~3分がより好ましく、約2分30秒が最も好ましい。この第2のモードの予め定められた継続時間は、3分又は2分30秒より短くてもよい。この第1のモードの予め定められた継続時間は、1分90秒、2分、又は2分30秒より長くてもよい。
【0099】
加熱アセンブリは、加熱アセンブリ内に存在する各加熱ユニットが、第1のモードで第1のモードの最高動作温度に到達し、第2のモードで第2のモードの最高動作温度に到達するように構成されることが好ましい。例えば、第2の加熱ユニットは、第1のモードで第1のモードの最高動作温度に到達することができ、第2のモードで第2のモードの最高動作温度に到達することができる。各モードにおける各加熱ユニットの最高動作温度は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、各モードにおける第2の加熱ユニットの最高動作温度は、各モードにおける第1の加熱ユニットの最高動作温度と同じであってもよいし、同じでなくてもよい。
【0100】
第1の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度は、第1の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度と異なっていてもよい。例えば、第1のモードの最高動作温度は、第2のモードの最高動作温度より高くてもよく、それに代えて、第1のモードの最高動作温度は、第2のモードの最高動作温度より低くてもよい。第1の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、第1の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度より高いことが好ましい。
【0101】
第2の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度は、第2の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度と異なっていてもよい。例えば、第1のモードの最高動作温度は、第2のモードの最高動作温度より高くてもよく、それに代えて、第1のモードの最高動作温度は、第2のモードの最高動作温度より低くてもよい。第2の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、第2の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度より高いことが好ましい。
【0102】
いくつかの実施形態では、加熱アセンブリの各加熱ユニットは、第1のモードより第2のモードでより高い最高動作温度を有する。
【0103】
上述したように、第1の加熱ユニットの最高動作温度は、第2の加熱ユニットの最高動作温度と同じであってもよいし、同じでなくてもよい。一実施形態では、第1の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度は、第2の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度と実質的に同じである。別の実施形態では、第1の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度は、第2のユニットの第1のモードの最高動作温度とは異なる。例えば、第1の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度は、第2の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度より高くてもよいし、第1の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度は、第2の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度より低くてもよい。第1の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度は、第2の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度と実質的に同じであることが好ましい。本発明者らは、第1の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度が第2の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度と実質的に同じであるように加熱アセンブリを構成することで、使用中にデバイス内に溜まる凝縮物の量を低減させながら、それでもなお許容可能なパフを使用者へ提供することができることを見出した。
【0104】
いくつかの例では、第1の加熱ユニット及び/又は第2の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度は、300℃、290℃、280℃、270℃、260℃、250℃、又は240℃より低い。いくつかの例では、第1の加熱ユニット及び/又は第2の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度は、220℃、230℃、240℃、245℃、250℃、255℃、260℃、265℃、又は270℃より高い。いくつかの例では、第1の加熱ユニット及び/又は第2の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度は、240℃~300℃、又は240℃~280℃、又は245℃~270℃である。一実施形態では、第1の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度及び第2の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度は、245℃~270℃である。別の実施形態では、第1の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度及び第2の加熱ユニットの第1のモードの最高動作温度は、220℃~250℃である。最高動作温度を低くすると、使用時にデバイス内に供給される望ましくない凝縮物の量を低減することができる。
【0105】
一実施形態では、第1の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、第2の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度と実質的に同じである。別の実施形態では、第1の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、第2の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度とは異なる。例えば、第1の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、第2の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度より高くてもよいし、第1の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、第2の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度より低くてもよい。第1の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、第2のユニットの第2のモードの最高動作温度より高いことが好ましい。本発明者らは、第1の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度が第2の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度と実質的に同じであるように加熱アセンブリを構成することで、使用中にデバイス内に溜まる凝縮物の量を低減させながら、それでもなお許容可能なパフを使用者へ提供することができることを見出した。
【0106】
いくつかの例では、第1の加熱ユニット及び/又は第2の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、330℃、320℃、310℃、300℃、290℃、280℃、270℃、又は260℃より低い。いくつかの例では、第1の加熱ユニット及び/又は第2の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、200℃、220℃、230℃、245℃、250℃、255℃、260℃、265℃、又は270℃より高い。いくつかの例では、第1の加熱ユニット及び/又は第2の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、250℃~300℃、又は260℃~290℃である。一実施形態では、第1の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、260℃~300℃、又は270℃~290℃であってもよい。別の実施形態では、第1の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、250℃~280℃であってもよい。一実施形態では、第2の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、240℃~280℃、又は250℃~270℃であってもよい。別の実施形態では、第2の加熱ユニットの第2のモードの最高動作温度は、220℃~260℃であってもよい。最高動作温度を低くすると、使用時にデバイス内に供給される望ましくない凝縮物の量を低減することができる。本発明者らは、第2の加熱ユニットの最高動作温度を低くすると、特に、使用時にデバイス内に溜まる望ましくない凝縮物の量を低減することに役立つことができることを確認した。
【0107】
いくつかの実施形態では、第1の動作モードでの第1及び第2の加熱ユニットの最高温度は実質的に同じであり、第2の動作モードでの第1及び第2の加熱ユニットの最高温度は実質的に同じである。このように加熱アセンブリを構成することで、外部加熱式デバイス内に溜まる凝縮物の量を低減することにさらに役立つことができる。
【0108】
さらなる実施形態では、加熱アセンブリ内に存在する各加熱ユニットのそれぞれの最高温度は、第1の動作モードで同じであり、第2の動作モードで同じである。
【0109】
本発明のエアロゾル生成デバイスは、第1の加熱ユニット、及び任意選択的なさらなる加熱ユニットを備え、それぞれ、加熱要素を備える。一実施形態では、前記又は各加熱要素は、変動磁場の侵入によって加熱可能な材料であってもよい。すなわち、エアロゾル生成材料は、誘導加熱によって加熱されてもよい。この実施形態では、加熱ユニットは、インダクタ(例えば、1つ以上のインダクタコイル)を備え、デバイスは、交流電流などの変動電流をインダクタに通すための構成要素を備える。インダクタ内の変動電流は、変動磁場を生じさせる。インダクタと加熱要素が、インダクタによって生じる変動磁場が加熱要素に侵入するように相対的に好適に配置されると、加熱要素内に1つ以上の渦電流が生成される。加熱要素は、電流の流れに対する抵抗を有し、したがって物体内にそのような渦電流が生成されると、物体の電気抵抗に逆らって渦電流が流れることにより、物体がジュール加熱によって加熱される。サセプタへ変動磁場を供給することが、サセプタへエネルギーを供給することを指すことができることが好都合である。
【0110】
誘導加熱することが可能な物体は、サセプタとして知られている。サセプタが、鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合、サセプタの磁気ヒステリシス損失によっても、すなわち、磁性材料内の磁気双極子の向きが、変動磁場と向きを合わせる結果として変動することによっても、熱を発生させることができる。誘導加熱では、例えば、伝導による加熱と比較すると、熱はサセプタ内部で発生し、それによって急速な加熱が可能になる。さらに、誘導ヒーターとサセプタとの間にいかなる物理的な接触も必要なく、それによって、構造及び用途の自由度を大きくすることができる。
【0111】
加熱要素は、サセプタであってもよい。好ましい実施形態では、サセプタは、複数の加熱要素(少なくとも第1の誘導加熱要素及び第2の誘導加熱要素)を備える。
【0112】
他の実施形態では、加熱ユニットは、誘導加熱ユニットに限定されるものではない。例えば、第1の加熱ユニットは、抵抗加熱要素からなることができる電気抵抗加熱ユニットであってもよい。第2の加熱ユニットは、これに加えて、又はこれに代えて、抵抗加熱要素からなることができる電気抵抗加熱ユニットであってもよい。「抵抗加熱要素」とは、要素に電流を流すと、要素内の抵抗が電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーがエアロゾル生成基材を加熱することを意味する。加熱要素は、抵抗ワイヤ、メッシュ、コイル、及び/又は複数のワイヤの形態であってもよい。熱源は、薄膜ヒーターであってもよい。
【0113】
加熱要素は、金属又は合金を含んでもよい。金属は、電気及び熱エネルギーの優れた導体である。好適な金属には、限定するものではないが、銅、アルミニウム、白金、タングステン、金、銀、及びチタンが含まれる。好適な合金には、限定するものではないが、ニクロム及びステンレス鋼が含まれる。
【0114】
本発明の別の態様は、喫煙品と組み合わさった、本明細書で説明するようなエアロゾル生成デバイスを備えるエアロゾル生成システムである。好ましい実施形態では、エアロゾル生成システムは、タバコを含む喫煙品と組み合わせてタバコ加熱製品を備える。好適な実施形態では、タバコ加熱製品は、本明細書に以下で図に関連して説明する加熱アセンブリ及びエアロゾル生成品を備えてもよい。
【0115】
本発明の別の態様は、本開示のエアロゾル生成デバイスでエアロゾルを供給する方法である。本方法は、本明細書で説明するように加熱アセンブリ内の前記又は各加熱ユニットを制御するステップを含む。
【0116】
次に、図を詳細に参照して本発明を説明する。
【0117】
図1は、本発明によるエアロゾル生成デバイスの誘導加熱アセンブリ100を示し、
図1Bは、デバイスの誘導加熱アセンブリ100の断面を示す。
【0118】
加熱アセンブリ100は、第1の端部又は近位端又は口側端部102、及び第2の端部又は遠位端104を有する。使用時、使用者は、形成されたエアロゾルをエアロゾル生成デバイスの口側端部から吸引する。口側端部は、開放端とすることができる。
【0119】
加熱アセンブリ100は、第1の誘導加熱ユニット110及び第2の誘導加熱ユニット120を備える。第1の誘導加熱ユニット110は、第1のインダクタコイル112及び第1の加熱要素114を備える。第2の誘導加熱ユニット120は、第2のインダクタコイル122及び第2の加熱要素124を備える。
【0120】
図1A及び
図1Bは、サセプタ140内に受け入れられた喫煙品130を示す。サセプタ140は、第1の誘導加熱要素114及び第2の誘導加熱要素124を形成する。サセプタ140は、誘導加熱に好適な任意の材料から形成することができる。例えば、サセプタ140は、金属を含んでもよい。いくつかの実施形態では、サセプタ140は、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム、スズ、若しくは亜鉛などの非鉄金属、及び/又は、鉄、ニッケル、若しくはコバルトなどの鉄材料を含んでもよい。これに加えて、又はこれに代えて、サセプタ140は、炭化ケイ素、炭素、又はグラファイトなどの半導体を含んでもよい。
【0121】
エアロゾル生成デバイス内に存在する各誘導加熱要素は、任意の好適な形状を有してもよい。
図1Bに示す実施形態では、誘導加熱要素114、124は、エアロゾル生成品を取り囲んでエアロゾル生成品を外部から加熱する受入部を画定する。他の実施形態(図示せず)では、1つ以上の誘導加熱要素は、エアロゾル生成品に突き刺さってエアロゾル生成品を内部から加熱するように配置された、実質的に細長いものであってもよい。
【0122】
図1Bに示すように、第1の誘導加熱要素114と第2の誘導加熱要素124は、一体の要素140として一緒に設けられてもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、第1の加熱要素114と第2の加熱要素124との間には物理的な区別がない。むしろ、第1の加熱ユニット110と第2の加熱ユニット120との間の異なる特性は、各誘導加熱要素114、124を取り囲む別個のインダクタコイル112、122によって定まり、その結果、互いから独立して制御することができる。他の実施形態(図示せず)では、物理的に異なる誘導加熱要素が用いられてもよい。
【0123】
第1のインダクタコイル112及び第2のインダクタコイル122は、導電性材料から作られる。この例では、第1のインダクタコイル112及び第2のインダクタコイル122は、螺旋インダクタコイル112、122を提供するように螺旋状に巻かれたリッツワイヤ/ケーブルから作られている。リッツワイヤは、複数の個別のワイヤを備えており、これらのワイヤが個々に絶縁されて互いに撚り合わされて単一のワイヤを形成する。リッツワイヤは、導体の表皮効果損失を低減するように設計されている。例示的な誘導加熱アセンブリ100では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、円形の断面を有する銅のリッツワイヤから作られる。他の例では、リッツワイヤは、矩形などの他の形状の断面を有することができる。
【0124】
第1のインダクタコイル112は、第1の誘導加熱要素114を加熱するための第1の変動磁場を生成するように構成され、第2のインダクタコイル122は、サセプタ124の第2の部分を加熱するための第2の変動磁場を生成するように構成される。第1のインダクタコイル112と第1の誘導加熱要素114とが一緒になって第1の誘導加熱ユニット110を形成する。同様に、第2のインダクタコイル122と第2の誘導加熱要素124とが一緒になって第2の誘導加熱ユニット120を形成する。
【0125】
この例では、第1のインダクタコイル112は、デバイス加熱アセンブリ100の長手方向軸線に沿った方向に、第2のインダクタコイル122と隣り合う(すなわち、第1のインダクタコイル112と第2のインダクタコイル122は重なっていない)。サセプタ構成体140は、単一のサセプタを備えてもよい。第1のインダクタコイル112の端部150及び第2のインダクタコイル122の端部150は、PCB(図示せず)などのコントローラに接続することができる。好ましい実施形態では、コントローラは、PIDコントローラ(比例積分微分コントローラ)を備える。
【0126】
変動磁場は、第1の誘導加熱要素114内に渦電流を生成し、以てコイル112へ交流電流を供給してから短い時間内に、例えば20、15、12、10、5、又は2秒以内に、第1の誘導加熱要素114を最高動作温度まで急速に加熱する。最高動作温度に急速に到達するように構成された第1の誘導加熱ユニット110を、第2の誘導加熱ユニット120より加熱アセンブリ100の口側端部102の近くに配置することは、使用セッションの開始後できるだけ早く、許容可能なエアロゾルが使用者へ供給されることを意味することができる。
【0127】
いくつかの例では、第1のインダクタコイル112と第2のインダクタコイル122が互いに異なる少なくとも1つの特性を有してもよいことが理解されよう。例えば、第1のインダクタコイル112は、第2のインダクタコイル122とは異なる少なくとも1つの特性を有してもよい。より詳細には、一例では、第1のインダクタコイル112は、第2のインダクタコイル122とは異なる値のインダクタンスを有してもよい。
図1A及び
図1Bでは、第1のインダクタコイル112と第2のインダクタコイル122は異なる長さのコイルであり、その結果、第1のインダクタコイル112は、第2のインダクタコイル122よりもサセプタ140の小さな部分に巻かれている。したがって、(個々の巻きの間の間隔が実質的に同じであると仮定すると)第1のインダクタコイル112は、第2のインダクタコイル122とは異なる巻き数を含んでもよい。さらに別の例では、第1のインダクタコイル112は、第2のインダクタコイル122とは異なる材料から作られてもよい。いくつかの例では、第1のインダクタコイル112と第2のインダクタコイル122は実質的に同一であってもよい。
【0128】
この例では、第1のインダクタコイル112と第2のインダクタコイル122は、同じ方向に巻かれている。しかしながら、別の実施形態では、インダクタコイル112とインダクタコイル122は、反対方向に巻かれてもよい。これは、インダクタコイルが異なるときに動作しているとき、有用になり得る。例えば、最初、第1のインダクタコイル112が、第1の誘導加熱要素114を加熱するように動作しており、その後、第2のインダクタコイル122が、第2の誘導加熱要素124を加熱するように動作していることがある。コイルを反対方向に巻くと、特定のタイプの制御回路とともに使用されるとき、動作していないコイルに誘導される電流を低減する助けになる。一例では、第1のインダクタコイル112は右巻き螺旋で、第2のインダクタコイル122は左巻き螺旋であってもよい。別の例では、第1のインダクタコイル112は左巻き螺旋で、第2のインダクタコイル122は右巻き螺旋であってもよい。
【0129】
コイル112、122は、任意の好適な幾何形状を有してもよい。理論によって拘束されることを望むものではないが、誘導加熱要素をより小さく構成する(例えば、螺旋のピッチを小さくする、螺旋の巻き数を少なくする、螺旋の全長を短くする)と、誘導加熱要素が最高動作温度に到達することができる速度を増大させることができる。いくつかの実施形態では、第1のコイル112は、加熱アセンブリ100の長手方向に約20mm未満、18mm未満、16mm未満の長さ、又は約14mmの長さを有してもよい。第1のコイル112は、加熱アセンブリ100の長手方向に第2のコイル124より短い長さを有することができることが好ましい。このような構成によって、エアロゾル生成品をエアロゾル生成品の長さに沿って非対称に加熱することができる。
【0130】
この例のサセプタ140は中空であり、したがって、エアロゾル生成材料が受け入れられる受入部を画定する。例えば、物品130は、サセプタ140に挿入することができる。この例では、サセプタ140は、断面が円形の管状である。
【0131】
誘導加熱要素114及び誘導加熱要素124は、喫煙品130を取り囲み、喫煙品130を外部から加熱するように配置される。エアロゾル生成デバイスは、喫煙品130がサセプタ140内に受け入れられたとき、物品130の外面がサセプタ140の内面に当接するように構成される。これは、確実に加熱を最も効率的にする。この例の物品130は、エアロゾル生成材料を備える。エアロゾル生成材料は、サセプタ140内に配置される。物品130はまた、フィルター、包装材料、及び/又は冷却構造体などの他の構成要素を備えてもよい。
【0132】
加熱アセンブリ100は、2つの加熱ユニットに限定されるものではない。いくつかの例では、加熱アセンブリ100は、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ以上の加熱ユニットを備えてもよい。これらの加熱ユニットはそれぞれ、加熱アセンブリ100内に存在する他の加熱ユニットから独立して制御可能であってもよい。
【0133】
図2A及び
図2Bを参照すると、エアロゾル生成品200の例の部分切断断面図及び斜視図が示されている。
図2A及び
図2Bに示すエアロゾル生成品200は、
図1に示すエアロゾル生成品130に対応する。
【0134】
エアロゾル生成品200は、エアロゾル生成デバイスとともに使用するために好適な任意の形状であってもよい。喫煙品130は、装置に挿入することができるカートリッジ若しくはカセット若しくはロッドの形態であってもよく、又はその一部として提供されてもよい。
図1A及び
図1B及び
図2に示す実施形態では、喫煙品130は、実質的に円筒形のロッドの形態であり、喫煙材の本体202と、ロッドの形態のフィルターアセンブリ204とを含む。フィルターアセンブリ204は、3つのセグメント、すなわち冷却セグメント206、フィルターセグメント208、及び口側端部セグメント210を含む。物品200は、口側端部又は近位端としても知られる第1の端部212と、遠位端としても知られる第2の端部214とを有する。エアロゾル生成材料の本体202は、物品200の遠位端214の方に配置される。一例では、冷却セグメント206は、エアロゾル生成材料の本体202とフィルターセグメント208との間でエアロゾル生成材料の本体202と隣り合って配置され、その結果、冷却セグメント206は、エアロゾル生成材料202及びフィルターセグメント208と当接関係にある。他の例では、エアロゾル生成材料の本体202と冷却セグメント206との間、及びエアロゾル生成材料の本体202とフィルターセグメント208との間は離れていてもよい。フィルターセグメント208は、冷却セグメント206と口側端部セグメント210との間に配置される。口側端部セグメント210は、物品200の近位端212の方に配置され、フィルターセグメント208と隣り合う。一例では、フィルターセグメント208は、口側端部セグメント210と当接関係にある。一実施形態では、フィルターアセンブリ204の全長は37mm~45mmであり、フィルターアセンブリ204の全長は41mmがより好ましい。
【0135】
使用時、エアロゾル生成材料の本体202の部分202a及び202bは、それぞれ
図1Bに示す部分100の第1の誘導加熱要素114及び第2の誘導加熱要素124に対応することができる。
【0136】
喫煙材の本体は、エアロゾル生成デバイス内に存在する複数の誘導加熱要素に対応する複数の部分202a、202bを有することができる。例えば、エアロゾル生成品200は、第1の誘導加熱要素114に対応する第1の部分202aと、第2の誘導加熱要素124に対応する第2の部分202bとを有することができる。これらの部分202a、202bは、使用セッション中に互いに異なる温度プロファイルを呈することができ、部分202a、202bの温度プロファイルは、それぞれ第1の誘導加熱要素114及び第2の誘導加熱要素124の温度プロファイルから生じることができる。
【0137】
エアロゾル生成材料の本体202の複数の部分202a、202bが存在する場合、任意の数の基材部分202a、202bは、実質的に同じ組成を有してもよい。特定の例では、基材の部分202a、202bはすべて、実質的に同じ組成を有する。一実施形態では、エアロゾル生成材料の本体202は単体の連続体であり、第1の部分202aと第2の部分202bとの間は物理的に分離されておらず、第1の部分と第2の部分は実質的に同じ組成を有する。
【0138】
一実施形態では、エアロゾル生成材料の本体202はタバコを含む。しかしながら、他のそれぞれの実施形態では、喫煙材の本体202は、タバコのみから構成されてもよく、実質的に完全にタバコから構成されてもよく、タバコとタバコ以外のエアロゾル生成材料とを含んでもよく、タバコ以外のエアロゾル生成材料を含んでもよく、又はタバコがなくてもよい。エアロゾル生成材料は、グリセロールなどのエアロゾル生成剤を含んでもよい。
【0139】
特定の実施形態では、エアロゾル生成材料は、1つ以上のタバコ成分、充填剤成分、結合剤、及びエアロゾル生成剤を含んでもよい。
【0140】
充填剤成分は、任意の好適な無機充填剤材料であってもよい。好適な無機充填剤材料には、限定するものではないが、炭酸カルシウム(すなわち、チョーク)、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドケイ酸、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、及びモレキュラーシーブなどの好適な無機吸着剤が含まれる。炭酸カルシウムは特に好適である。いくつかの場合、充填剤は、木材パルプ、セルロース、及びセルロース誘導体などの有機材料を含む。
【0141】
結合剤は、任意の好適な結合剤であってもよい。いくつかの実施形態では、結合剤は、アルギン酸、セルロース又は変性セルロース、多糖類、デンプン又は加工デンプン、及び天然ガムのうちの1つ以上を含む。
【0142】
好適な結合剤には、限定するものではないが、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、及びアルギン酸カリウムなどの任意の好適なカチオンを含むアルギン酸塩、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロースなどのセルロース又は変性セルロース、デンプン又は加工デンプン、ペクチン酸ナトリウム、カリウム、カルシウム、又はマグネシウムなどの任意の好適なカチオンを含むペクチン塩などの多糖類、キサンタンガム、グアーガム、並びに任意の他の好適な天然ガムが含まれる。
【0143】
結合剤は、エアロゾル生成材料内に任意の好適な量及び濃度で含まれてもよい。
【0144】
「エアロゾル生成剤」は、エアロゾルの生成を促進する作用剤である。エアロゾル生成剤は、最初の気化、並びに/或いは吸引可能な固体及び/又は液体エアロゾルへのガスの凝縮を促進することによって、エアロゾルの生成を促進することができる。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成剤は、喫煙品からの香料の送達を改善することができる。
概して、任意の好適な1つ以上のエアロゾル生成剤はエアロゾル生成材料内に含まれてもよい。好適なエアロゾル生成剤には、限定するものではないが、ソルビトール、グリセロール、及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールのようなグリコールなどのポリオール、1価アルコールなどの非ポリオール、高沸点炭化水素、乳酸などの酸、グリセロール誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチルシトレート、又はミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸などのエステル、並びにステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、及びテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステルが含まれる。
【0145】
特定の実施形態では、エアロゾル生成材料は、タバコ組成物の60~90重量%の量のタバコ成分と、タバコ組成物の0~20重量%の量の充填剤成分と、タバコ組成物の10~20重量%の量のエアロゾル生成剤とを含む。タバコ成分は、タバコ成分の70~100重量%の量の紙再生タバコを含んでもよい。
【0146】
一例では、エアロゾル生成材料の本体202の長さは34mm~50mmであり、エアロゾル生成材料の本体202の長さは38mm~46mmがより好ましく、エアロゾル生成材料の本体202の長さは42mmがさらにより好ましい。
【0147】
一例では、物品200の全長は71mm~95mmであり、物品200の全長は79mm~87mmがより好ましく、物品200の全長は83mmがさらにより好ましい。
【0148】
エアロゾル生成材料の本体202の軸線方向端部は、物品200の遠位端214に見ることができる。しかしながら、他の実施形態では、物品200の遠位端214は、エアロゾル生成材料の本体202の軸線方向端部を覆う端部部材(図示せず)を備えてもよい。
【0149】
エアロゾル生成材料の本体202は、環状のチップペーパー(図示せず)によってフィルターアセンブリ204に接合されており、チップペーパーは、実質的に、フィルターアセンブリ204の周囲に配置されてフィルターアセンブリ204を取り囲み、エアロゾル生成材料の本体202の長さに沿って部分的に延在する。一例では、チップペーパーは、58GSMの標準的なチップ原紙から作られる。一例では、チップペーパーの長さは42mm~50mmであり、46mmの長さがより好ましい。
【0150】
一例では、冷却セグメント206は環状の管であり、冷却セグメント内の空隙の周りに配置され、冷却セグメント内の空隙を画定する。空隙は、エアロゾル生成材料の本体202から生成される加熱された揮発した成分が流れるためのチャンバを提供する。冷却セグメント206は、エアロゾルを貯めるためのチャンバを提供するために中空であるが、製造中、及び、物品200がデバイス100に挿入されている間に使用されるときに生じることがある軸方向の圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのになお十分な剛性がある。一例では、冷却セグメント206の壁の厚さは約0.29mmである。
【0151】
冷却セグメント206は、エアロゾル生成材料202とフィルターセグメント208との間に物理的な間隔を提供する。冷却セグメント206によって提供されるこの物理的な間隔によって、冷却セグメント206の長さにわたって熱勾配が生じる。一例では、冷却セグメント206は、冷却セグメント206の第1の端部に入る加熱された揮発した成分と冷却セグメント206の第2の端部を出る加熱された揮発した成分との間に少なくとも40℃の温度差を与えるように構成される。一例では、冷却セグメント206は、冷却セグメント206の第1の端部に入る加熱された揮発した成分と冷却セグメント206の第2の端部を出る加熱された揮発した成分との間に少なくとも60℃の温度差を与えるように構成される。デバイスエアロゾル生成デバイスの加熱アセンブリ100によって加熱されたときに、冷却要素206の長さにわたってできるこの温度差によって、温度に敏感なフィルターセグメント208はエアロゾル生成材料202の高温を受けないように守られる。フィルターセグメント208と、エアロゾル生成材料の本体202及び加熱アセンブリ100の加熱要素114、124との間に物理的な間隔が与えられていなければ、温度に敏感なフィルターセグメント208は使用時に損傷を受ける可能性があり、したがって、必要な機能を効果的に果たさないおそれがある。
【0152】
一例では、冷却セグメント206の長さは少なくとも15mmである。一例では、冷却セグメント206の長さは、20mm~30mmであり、より詳細には23mm~27mm、より詳細には25mm~27mm、より詳細には25mmである。
【0153】
冷却セグメント206は紙で作られており、これは、使用時にエアロゾル生成デバイスのヒーターアセンブリ100と隣り合うときに、問題のある化合物、例えば、有毒な化合物を生成しない材料から構成されていることを意味する。一例では、冷却セグメント206は、螺旋状に巻かれた紙管から製造され、これは、中空の内部チャンバを有するが、それでも機械的剛性を維持する。螺旋状に巻かれた紙管は、管の長さ、外径、真円度、及び真直度に関して、高速製造プロセスの厳しい寸法精度要件を満たすことができる。
【0154】
別の例では、冷却セグメント206は、堅いプラグ巻取紙又はチップペーパーから作られた凹所である。堅いプラグ巻取紙又はチップペーパーは、製造中、及び、物品200がデバイス100に挿入されている間に使用されるときに生じることがある軸方向の圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性を有するように製造される。
【0155】
冷却セグメント206の例のそれぞれに対して、冷却セグメントの寸法精度は、高速製造プロセスの寸法精度要件を満たすのに十分である。
【0156】
フィルターセグメント208は、喫煙材からの加熱された揮発した成分から1つ以上の揮発した化合物を除去するのに十分な任意のフィルター材料から形成されてもよい。一例では、フィルターセグメント208は、酢酸セルロースなどのモノ酢酸材料から作られる。フィルターセグメント208は、加熱された揮発した成分の量を使用者にとって満足できないレベルにまで減らすことなく、加熱された揮発した成分を冷却し、それらから刺激を低減する。
【0157】
フィルターセグメント208の酢酸セルローストウ材料の密度によって、フィルターセグメント208の両端間の圧力降下が制御され、ひいては物品200の吸引抵抗が制御される。したがって、フィルターセグメント208の材料の選択は、物品200の吸引抵抗を制御するのに重要である。加えて、フィルターセグメント208は物品200における濾過機能を果たす。
【0158】
一例では、フィルターセグメント208は、8Y15グレードのフィルタートウ材料から作られ、これは、加熱された揮発した材料に対して濾過効果を発揮し、一方ではまた、加熱された揮発した材料から生じる凝縮したエアロゾル液滴のサイズを小さくし、その結果、加熱された揮発した材料の刺激及び喉への影響を満足のいくレベルに低減する。
【0159】
フィルターセグメント208が存在することで、冷却セグメント206を出る加熱された揮発した成分をさらに冷却することによる断熱効果が得られる。このさらなる冷却効果によって、使用者の唇が接触するフィルターセグメント208の表面の温度が下がる。
【0160】
加香された液体をフィルターセグメント208に直接注入する形態で、或いは1つ以上の加香された易壊性カプセル又は他の香料キャリアをフィルターセグメント208の酢酸セルローストウ内に埋め込む又は配置することによって、1つ以上の香料をフィルターセグメント208に加えてもよい。
【0161】
一例では、フィルターセグメント208の長さは6mm~10mmであり、8mmがより好ましい。
【0162】
口側端部セグメント210は環状の管であり、口側端部セグメント210内の空隙の周りに配置され、口側端部セグメント210内の空隙を画定する。空隙は、フィルターセグメント208から流れる加熱された揮発した成分のためのチャンバを提供する。口側端部セグメント210は、エアロゾルを貯めるためのチャンバを提供するために中空であるが、製造中、及び、物品がデバイス100に挿入されている間に使用されるときに生じることがある軸方向の圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのになお十分な剛性がある。一例では、口側端部セグメント210の壁の厚さは約0.29mmである。
【0163】
一例では、口側端部セグメント210の長さは6mm~10mmであり、8mmがより好ましい。一例では、口側端部セグメントの厚さは、0.29mmである。
【0164】
口側端部セグメント210は、螺旋状に巻かれた紙管から製造されてもよいが、これは、中空の内部チャンバを有するが、それでも最終的な機械的剛性を維持する。螺旋状に巻かれた紙管は、管の長さ、外径、真円度、及び真直度に関して、高速製造プロセスの厳しい寸法精度要件を満たすことができる。
【0165】
口側端部セグメント210は、フィルターセグメント208の出口に溜まるいかなる液体凝縮物も使用者と直接接触するのを防ぐ機能を提供する。
【0166】
一例では、口側端部セグメント210と冷却セグメント206は単一の管から形成されてもよく、フィルターセグメント208がその管の中に配置されて、口側端部セグメント210と冷却セグメント206とを分離することは理解されるべきである。
【0167】
物品200には、空気が物品200の外部から物品200の内部に流れることを可能にするように、通気領域216が設けられる。一例では、通気領域216は、物品200の外層を貫通して形成された1つ以上の通気孔216の形態をとる。通気孔は、物品200の冷却を助けるために冷却セグメント206に配置されてもよい。一例では、通気領域216は、1つ以上の列の孔を備え、各列の孔は、物品200の長手方向軸線に対して実質的に垂直な断面で物品200の全周にわたって配置されることが好ましい。
【0168】
一例では、物品200に対して通気するために1列~4列の通気孔がある。通気孔の各列は、12個~36個の通気孔216を有してもよい。通気孔216の直径は、例えば、100~500μmであってもよい。一例では、通気孔216の軸方向の列間の間隔は、0.25mm~0.75mmであり、通気孔216の軸方向の列間の間隔は0.5mmがより好ましい。
【0169】
一例では、通気孔216は均一な大きさの孔である。別の例では、通気孔216は大きさが異なる。通気孔は、任意の好適な技法、例えば、レーザ技術、冷却セグメント206の機械的穿孔、又は冷却セグメント206を物品200に形成する前の事前穿孔などの技法のうちの1つ以上を使って作ることができる。通気孔216は、物品200を効果的に冷却するように配置される。
【0170】
一例では、通気孔216の列は、物品の近位端212から少なくとも11mmに配置され、通気孔は、物品200の近位端212から17mm~20mmに配置されることがより好ましい。通気孔216の位置は、物品200の使用時に使用者が通気孔216を塞がないように配置される。
【0171】
図1からわかるように、物品200の近位端212から17mm~20mmに通気孔の列を設けることによって、物品200がデバイス100内に完全に挿入されたときに、通気孔216をデバイス100の外側に配置することができることが有利である。装置の外側に通気孔を配置することによって、加熱されていない空気が、デバイス100の外側から通気孔を通って物品200に入って、物品200の冷却を助けることができる。
【0172】
冷却セグメント206の長さは、物品200がデバイス100に完全に挿入されたときに、冷却セグメント206がデバイス100内に部分的に挿入されているような長さである。冷却セグメント206のこの長さは、デバイス100のヒーター構成体と、熱に敏感なフィルター構成体208との間に物理的な間隙を設けるという第1の機能と、物品200がデバイス100内に完全に挿入されたときに、通気孔216が冷却セグメント内に位置するが、デバイス100の外側にも位置することも可能にするという第2の機能とを提供する。
図1からわかるように、冷却要素206の大部分はデバイス100内に位置する。しかしながら、冷却要素206の一部分はデバイス100の外へ延在する。デバイス100から外へ延在する冷却要素206のこの部分に通気孔216が配置される。
【0173】
図3は、例示的な使用セッション302中でのエアロゾル生成デバイスの加熱ユニットのプログラムされた温度プロファイル300を示す。温度プロファイル300は、好適には、加熱アセンブリの任意の動作モードにおける任意の加熱ユニットのステップ状の加熱プロファイルを指す。
【0174】
プログラムされた加熱プロファイル300は、第1の温度302を含み、第1の温度302は、加熱ユニットが所与の使用セッション中に第1の時点304で到達するようにプログラムされた第1の温度である。第1の時点304は、使用セッションの開始から、すなわち、加熱アセンブリ内に存在する少なくとも1つの加熱ユニットに電力が最初に供給された時点から経過した秒数によって定めることができることが便利である。
【0175】
プログラムされた加熱プロファイル300は、第1の温度302とは異なる第2の温度306を含む。加熱ユニットは、所与の使用セッション中に第2の時点308で第2の温度306に到達するようにプログラムされる。第2の時点308は、第1の時点304より時間的に後にくる。
第1の時点304から第2の時点308まで、加熱ユニットは、実質的に同じ温度を有するようにプログラムされ、加熱ユニットは第1の温度302で保持される。一実施形態では、第2の温度306は第1の温度302より高い。
【0176】
プログラムされた加熱プロファイル300は、第2の温度とは異なる第3の温度310を含む。加熱ユニットは、所与の使用セッション中に第3の時点312で第3の温度310に到達するようにプログラムされる。第3の時点312は、第2の時点308、したがって第1の時点302より時間的に後にくる。一実施形態では、第3の温度310は第2の温度306より高い。
【0177】
プログラムされた加熱プロファイル300は、最終の時点314を含み、この時点で、使用セッションの残り部分に対して加熱ユニットへのエネルギーの供給を停止する。最終の時点314は、使用セッションの終了と同時であってもよい。
【実施例】
【0178】
参照例
図4は、第1の動作モードで動作させられている、
図1に示したような加熱アセンブリ100の第1の加熱ユニット110(実線)及び第2の加熱ユニット120(破線)のプログラムされた加熱プロファイルを示す。
【0179】
加熱アセンブリ100は、第1の加熱ユニット110が、可能な限り迅速に235℃の最高動作温度に到達するようにプログラムされた。加熱アセンブリ100は、第1の加熱ユニット110が、使用セッションの最初の190秒の間、235℃の温度に留まり、次いで、使用セッションの残り部分の間、220℃の温度まで下降するようにプログラムされた。
【0180】
加熱アセンブリ100は、第2の加熱ユニット120が、使用セッションの開始後約87秒で160℃の第1の温度に到達するようにプログラムされた。加熱アセンブリ100は、第2の加熱ユニット120が、続いて、使用セッションの開始後約175秒で220℃の最高加熱温度まで上昇し、使用セッションの開始後265秒の使用セッションの終了までその温度で留まるようにプログラムされた。
【0181】
上記のように構成されたデバイスを使用して、デバイス内に溜まった凝縮物の量を決定するために標準凝縮実験を実行した。
【0182】
標準凝縮実験
デバイスの質量は、使用セッションを行う前に測定された。次いで、デバイスから凝縮物を取り除かないで、使用セッションが12回行われた。各使用セッションに対して、新しいタバコロッドがデバイスに供給された。
【0183】
デバイスの質量は、4回、8回、及び12回の使用セッションの後で測定された。各段階で、質量は使用セッションの終了後すぐに測定され、また、使用セッションの終了から約25分の休憩時間後にも測定された。
【0184】
12回のセッション後、デバイスの質量が測定された。実験前のデバイスの質量が、実験後のデバイスの質量から差し引かれて、12回の使用セッションでデバイスに溜まった凝縮物の質量が得られた。実験は2回繰り返して行われた。
【0185】
参照例1の標準凝縮実験の結果を表1に示す。
【表1】
【0186】
12回の使用セッション後にデバイス内に留まった凝縮物の総質量の平均は約61mgであった。
【0187】
実施例
図5は、別の第1の動作モードで動作させられている、
図1に示したような加熱アセンブリ100の第1の加熱ユニット110(実線)及び第2の加熱ユニット120(破線)のプログラムされた加熱プロファイルを示す。
【0188】
加熱アセンブリ100は、第1の加熱ユニット110が、可能な限り迅速に235℃の第1の動作温度に到達するようにプログラムされた。加熱アセンブリ100は、第1の加熱ユニット110が、使用セッションの最初の120秒の間、235℃の温度に留まり、次いで、使用セッションの開始から225秒経過するまで245℃の最高動作温度まで上昇し、次いで、使用セッションの残り部分の間、220℃の温度まで下降するようにプログラムされた。
【0189】
加熱アセンブリ100は、第2の加熱ユニット120が、
a)使用セッションの開始後約100秒で100℃の第1の温度に到達し、
b)使用セッションの開始後約120秒で140℃の第2の温度まで上昇し、次いで、
c)使用セッションの開始後約140秒で160℃の第3の温度まで上昇し、次いで、
d)使用セッションの開始後約180秒で200℃の第4の温度まで上昇し、次いで、
e)使用セッションの開始後約225秒で220℃の第5の最高動作温度まで上昇し、使用セッションの開始後265秒の使用セッションの終了までその温度に留まるようにプログラムされた。
【0190】
上記のように構成されたデバイスが、参照例で述べた標準凝縮実験に従って解析された。この実験の結果を表2に示す。
【表2】
【0191】
12回の使用セッション後にデバイスに留まった凝縮物の総質量の平均は約50mgであった。これは、参照例と比較して、18%より多い凝縮物の減少を表す。
【0192】
上記の実施形態は、本発明を説明するための例として理解されたい。本発明のさらなる実施形態も想定される。任意の1つの実施形態に関連して説明したいかなる特徴も、単独で、又は説明した他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、任意の他の実施形態又は任意の他の実施形態の任意の組合せの1つ以上の特徴と組み合わせて使用されてもよいことを理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、上述していない均等物及び修正物を用いられてもよい。