(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】バッテリーユニット保管用倉庫
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240409BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240409BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20240409BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
B65G1/00 537Z
B65G1/04 551A
H02J7/34 B
(21)【出願番号】P 2022555961
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2022020928
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004411
【氏名又は名称】日揮ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】寺久保 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】井戸 真嗣
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 智浩
(72)【発明者】
【氏名】谷川 圭史
(72)【発明者】
【氏名】高石 紘佑
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特許第6912125(JP,B1)
【文献】特開2002-087516(JP,A)
【文献】特開2017-085763(JP,A)
【文献】特開2015-015827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B65G 1/00 - 1/133
B65G 1/14 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーユニット保管用倉庫であって、
バッテリーユニットと接続可能な端子を有し、前記バッテリーユニットを保持するスキッドと、
前記スキッドを積み上げて前記バッテリーユニットを保管する際、前記端子を介して前記バッテリーユニットと電気的に接続可能となる導電体と、
前記スキッドの積み上げ、および前記スキッドの取り出しを行う天井クレーンと、
前記天井クレーンを制御する制御機器と、
を備え
、前記天井クレーンにより吊り下げた前記スキッドを前記導電体に向けて下降させるときは、前記端子が前記導電体と接触して電気的に接続可能となり、前記スキッドを取り出すときは、前記導電体に対する前記端子の接続が解除されることを特徴とするバッテリーユニット保管用倉庫。
【請求項2】
前記スキッドに保持された前記バッテリーユニットに電力を貯蔵することが可能であり、前記導電体を通じて前記バッテリーユニットから電力を供給することが可能であることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーユニット保管用倉庫。
【請求項3】
前記導電体と接続されたパワーコンディショナーおよび変圧器を備えることを特徴とする請求項2に記載のバッテリーユニット保管用倉庫。
【請求項4】
前記制御機器は、容量の低下したバッテリーユニットを前記天井クレーンにより取り出すように制御することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のバッテリーユニット保管用倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーユニット保管用倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
電力消費量の拡大と共に、太陽光発電、風力発電等の再生可能エネルギーによる発電量が増加することにより、電力需給バランスの安定化が求められている。その一方で、電気自動車(EV)等のバッテリー(蓄電池)を使用する機器が普及することにより、バッテリーの供給量が増加している。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の容器の積み重ねの上方に格子パターンで配置される複数のレールまたは軌道を備える保管システムが記載されている。
特許文献2には、複数のバッテリーを収納したトレイがクレーンにより棚に保管された状態でバッテリー電圧を測定する倉庫が記載されている。
特許文献3には、ラックに含まれるバッテリー収納部のうちにバッテリーの充電が可能な充電用収納部を備えた倉庫が記載されている。
特許文献4には、中古バッテリーユニットの保管装置に接続部を設け、電池状態を認識して充放電を管理する保管システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2020-186133号公報
【文献】日本国特許第3435749号公報
【文献】日本国特開2011-193690号公報
【文献】日本国特許第6912125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存のバッテリー保管方法では無駄なスペースがあり、高密度化が難しかった。
【0006】
本発明の課題は、複数のバッテリーユニットを高密度に保管することが可能なバッテリーユニット保管用倉庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、バッテリーユニット保管用倉庫であって、バッテリーユニットと接続可能な端子を有し、前記バッテリーユニットを保持するスキッドと、前記スキッドを積み上げて前記バッテリーユニットを保管する際、前記端子を介して前記バッテリーユニットと電気的に接続可能となる導電体と、前記スキッドの積み上げ、および前記スキッドの取り出しを行う天井クレーンと、前記天井クレーンを制御する制御機器と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記スキッドに保持された前記バッテリーユニットに電力を貯蔵することが可能であり、前記導電体を通じて前記バッテリーユニットから電力を供給することが可能であることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記導電体と接続されたパワーコンディショナーおよび変圧器を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の態様は、第1~3のいずれか1の態様において、前記制御機器は、容量の低下したバッテリーユニットを前記天井クレーンにより取り出すように制御することを特徴とする。
【0011】
本発明の第5の態様は、積み上げてバッテリーユニットを保管することが可能なスキッドであって、バッテリーユニットを保持する機能と、バッテリーユニットと外部の導電体とを電気的に接続可能な端子と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の態様によれば、複数のバッテリーユニットを高密度に保管することが可能になる。
【0013】
第2の態様によれば、複数のバッテリーユニットを用いて、電力の貯蔵と供給が可能になる。
【0014】
第3の態様によれば、バッテリーユニットを他の電力システムに接続する際に必要な調整が容易になる。
【0015】
第4の態様によれば、容量の低下したバッテリーユニットの取り出しが容易になる。
【0016】
第5の態様によれば、複数のバッテリーユニットを高密度に保管することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態のバッテリーユニット保管用倉庫を例示する正面図である。
【
図2】バッテリーユニット保管用倉庫の付属機器を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0019】
図1に、実施形態のバッテリーユニット保管用倉庫10を例示する。バッテリーユニット保管用倉庫10は、スキッド20を積み上げてバッテリーユニット23を保管する際、スキッド20の端子22を介してバッテリーユニット23と電気的に接続可能となる導電体30を備える。
【0020】
図示例の導電体30は、倉庫の床11から天井12に向けて上下方向に設置されている。倉庫の天井12には、天井クレーン13が設置されている。天井クレーン13を用いて、スキッド20の積み上げ、およびスキッド20の取り出しを行うことができる。
【0021】
スキッド20は、バッテリーユニット23を保持する機能と、バッテリーユニット23と接続可能な端子22とを有する。図示例のスキッド20は、バッテリーユニット23を保持する保持部21と、バッテリーユニット23のケーブル24を接続可能な端子22とを有する。
【0022】
スキッド20は、積み上げてバッテリーユニット23を保管することが可能である。また、端子22を介して、バッテリーユニット23と、スキッド20の外部の導電体30とを電気的に接続することが可能である。
【0023】
実施形態のバッテリーユニット保管用倉庫10によれば、バッテリーユニット23を保持したスキッド20を積み上げることにより、スキッド20で荷重を支えることができる。上下のバッテリーユニット23が相互に負荷を及ぼすことなく、複数のバッテリーユニット23を高密度に保管することが可能になる。
【0024】
スキッド20に保持されたバッテリーユニット23の周囲には、空冷用の気流が通過可能な隙間を有することが好ましい。バッテリーユニット保管用倉庫10は、送風機、空調設備などの冷却用機器(図示せず)を備えてもよい。
【0025】
図示例のバッテリーユニット保管用倉庫10は、導電体30ごとにスキッド20を積み上げた積層部41,42と、導電体30なしでスキッド20を積み上げることのできるステーション50とを備える。
【0026】
積層部41,42に積み上げられるスキッド20は、各バッテリーユニット23を導電体30に接続している。これらのスキッド20に保持されたバッテリーユニット23には電力を貯蔵することが可能である。また、導電体30を通じてバッテリーユニット23から電力を供給することが可能である。これにより、複数のバッテリーユニット23を用いて、電力の貯蔵と供給が可能になる。
【0027】
ステーション50に積み上げられるスキッド20は、バッテリーユニット23を保持しているが、バッテリーユニット23を導電体30に接続していない。このため、ステーション50におけるバッテリーユニット23は、電力の貯蔵と供給に利用されず、積層部41,42のスキッド20と交換可能な予備として保管される。積層部41,42に積み上げられるスキッド20の交換等の作業スペースとして、ステーション50を利用することができる。
【0028】
バッテリーユニット23を保持したスキッド20を積層部41,42に設置したときは、端子22が導電体30に接続されることが好ましい。例えば、天井クレーン13により吊り下げたスキッド20を導電体30に向けて下降させるとき、端子22が導電体30と接触し、電気的に接続を可能としてもよい。
【0029】
バッテリーユニット23を保持したスキッド20を積層部41,42から取り出すときは、導電体30に対する端子22の接続が解除されることが好ましい。例えば、積層部41,42に設置したスキッド20を天井クレーン13により吊り挙げたとき、端子22が導電体30から離れて、接続解除を可能としてもよい。
【0030】
バッテリーユニット23を保持したスキッド20の上下移動に際して、端子22と導電体30との接触状態が維持されることが好ましい。これにより、積層部41,42における端子22の高さに依存することなく、バッテリーユニット23を導電体30と接続させることができる。
【0031】
各スキッド20が2以上のバッテリーユニット23を保持してもよいが、スキッド20ごとに異なるバッテリーユニット23を保持してもよい。バッテリーユニット23の設置および取り出しの単位ごとに異なるスキッド20を用いることにより、バッテリーユニット23の管理が容易になる。
【0032】
バッテリーユニット23は、機能的または物理的に分離可能なバッテリー構造体のまとまりを表す単位である。バッテリーユニット23が内部に複数のバッテリーを含んでもよい。
【0033】
図2に、バッテリーユニット保管用倉庫10の付属機器を例示する。バッテリーユニット保管用倉庫10は、天井クレーン13を制御する制御機器14を備える。制御機器14は、例えばプログラムを有する電子回路を含んでもよい。制御機器14は、必要に応じて、記憶装置を持ってよい。記憶装置は、例えば、半導体メモリー、磁気ハードディスク等を用いて実現することができる。
【0034】
制御機器14は、いずれかの積層部41,42において、容量の低下したバッテリーユニット23を検知した場合、容量の低下したバッテリーユニット23を保持したスキッド20を積層部41,42から取り出すように天井クレーン13を制御する。これにより、容量の低下したバッテリーユニット23の取り出しが容易になる。さらに制御機器14は、積層部41,42に積み上げられるスキッド20の個数が少ない場合、ステーション50からスキッド20を取り出し、適宜の積層部41,42に積み上げるように天井クレーン13を制御することができる。
【0035】
制御機器14と天井クレーン13との間の接続方法は、特に限定ないが、ケーブル等の有線でもよく、電波等の無線でもよい。天井12には、天井クレーン13が移動可能なレール(図示せず)を適宜の位置に配置してもよい。
【0036】
バッテリーユニット保管用倉庫10は、導電体30と接続されたパワーコンディショナー31および変圧器32を備えてもよい。これにより、導電体30に接続されたバッテリーユニット23を他の電力システムに接続する際に必要な調整が可能になる。
【0037】
パワーコンディショナー31は、バッテリーユニット23における直流と、外部の電力システムにおける交流とを変換する機能を有してもよい。変圧器32は、バッテリーユニット23における電圧と、外部の電力システムにおける電圧とを変圧する機能を有してもよい。
【0038】
導電体30とパワーコンディショナー31および変圧器32との間は、例えば接続ケーブル33により接続することができる。接続ケーブル33は可撓性を有するので、導電体30とパワーコンディショナー31および変圧器32との間で任意の向きに敷設することができる。
【0039】
上述した電力需給バランスの安定化においては、電力の需要量と供給量の調整が必要になる。電力需給調整は、送電または配電に関与する事業者(送配電事業者)と、調整用の電力(調整力)を供給する事業者との間で適宜のタイミングによりなされる。
【0040】
一般的な調整力は、周波数を制御する一次調整力、周波数を基準に回復させる二次調整力、需給バランスを調整する三次調整力に区分されている。調整速度は送配電事業者から調整力の供給が依頼されてから調整力が供給されるまでの応動時間により設定される。高速な調整速度を要する場合は、通信回線を要せずに自端で検知した情報に基づき、調整力が供給される場合もある。
【0041】
一次調整力では、例えば、10秒以内の応動時間が求められる場合がある。二次調整力では、例えば、5分以内の応動時間が求められる場合がある。三次調整力では、例えば比較的高速な設定では15分以内、比較的低速な設定では45分以内の応動時間が求められる場合がある。
【0042】
実施形態のバッテリーユニット保管用倉庫10によれば、あらかじめバッテリーユニット23に電力を貯蔵しておき、調整力が必要になったときにバッテリーユニット23から電力を供給するので、応動時間の高速化が可能になる。調整力の供給先は特に限定されないが、例えば電力系統の送電網、配電網等が挙げられる。
【0043】
バッテリーユニット保管用倉庫10に保管されるバッテリーユニット23は、特に限定されないが、例えば電気自動車(EV)に使用されるバッテリーユニット23または中古のバッテリーユニット23であってもよい。例えば、中古のバッテリーユニット23の販売、貸与、リサイクル等の過程で保管が必要となるバッテリーユニット23をバッテリーユニット保管用倉庫10に保管し、電力の供給用に利用してもよい。
【0044】
バッテリーユニット保管用倉庫10に複数のバッテリーユニット23が保管されている場合、そこから特定のバッテリーユニット23を取り出すタイミングは、適宜設定することができる。
【0045】
例えば、バッテリーユニット23の老朽化等による性能の低下を検知したときに、バッテリーユニット23を積層部41,42またはスキッド20から取り出してもよい。バッテリーユニット23の譲渡、貸与等の需要が発生する等の人為的な原因により、バッテリーユニット23を積層部41,42またはスキッド20から取り出してもよい。
【0046】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、各実施形態における構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、バッテリーユニットを用いた電力の貯蔵および供給に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10…バッテリーユニット保管用倉庫、11…床、12…天井、13…天井クレーン、14…制御機器、20…スキッド、21…保持部、22…端子、23…バッテリーユニット、24…ケーブル、30…導電体、31…パワーコンディショナー、32…変圧器、33…接続ケーブル、41,42…積層部、50…ステーション。
【要約】
バッテリーユニット保管用倉庫であって、バッテリーユニットと接続可能な端子を有し、前記バッテリーユニットを保持するスキッドと、前記スキッドを積み上げて前記バッテリーユニットを保管する際、前記端子を介して前記バッテリーユニットと電気的に接続可能となる導電体と、前記スキッドの積み上げ、および前記スキッドの取り出しを行う天井クレーンと、前記天井クレーンを制御する制御機器と、を備えることを特徴とするバッテリーユニット保管用倉庫。