(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
F16D 11/14 20060101AFI20240409BHJP
F16D 28/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F16D11/14
F16D28/00 Z
(21)【出願番号】P 2022576318
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2021002178
(87)【国際公開番号】W WO2022157910
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】517175611
【氏名又は名称】ジーケーエヌ オートモーティブ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】廣田 功
(72)【発明者】
【氏名】堀口 奨斗
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 学
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-193696(JP,A)
【文献】特開2007-278316(JP,A)
【文献】特開2013-245733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 28/00
F16D 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動する動力伝達装置を、モータを利用して制御するクラッチ機構であって、
軸方向に双方向に可動なクラッチ部材と、
軸の周りに回り止めされたベースメンバと、
前記ベースメンバから軸方向に離れて対向し、周方向および軸方向に移動を規制されたカウンタメンバと、
前記ベースメンバと前記カウンタメンバとの間に介在し、軸方向に可動であって前記クラッチ部材に駆動的に結合し、前記モータに結合して前記軸の周りに回転運動を生ずるアクションメンバと、
前記回転運動を前記アクションメンバの軸方向の運動に変換するべく、周方向に沿い前記ベースメンバから前記カウンタメンバに向かって傾いて前記アクションメンバを案内するカム斜面と、
を備えたクラッチ機構。
【請求項2】
前記カウンタメンバと前記アクションメンバとの間に介在して前記アクションメンバを前記ベースメンバに向けて押圧するスプリングを、
さらに備えた請求項1のクラッチ機構。
【請求項3】
前記カム斜面は前記ベースメンバと一体である、請求項1のクラッチ機構。
【請求項4】
前記アクションメンバと前記クラッチ部材とに結合して前記軸方向の運動を前記クラッチ部材に伝えるトランスファメンバを、
さらに備えた請求項1のクラッチ機構。
【請求項5】
前記カウンタメンバは前記アクションメンバに接して案内する第2のカム斜面を一体的に備える、請求項1のクラッチ機構。
【請求項6】
前記アクションメンバは前記カム斜面と前記第2のカム斜面との両方に面接触する斜面を備える、請求項5のクラッチ機構。
【請求項7】
前記アクションメンバは、前記モータとギア噛合するギアを備え、または、前記モータのロータとスプライン結合するロータリメンバを備え、以って前記モータに駆動されて前記回転運動を生ずる、請求項1のクラッチ機構。
【請求項8】
請求項1のクラッチ機構と、
トルクを差動的に出力する一対のサイドギアを備えたデファレンシャルギア組と、を備え、
前記一対のサイドギアの一方または前記デファレンシャルギア組を支持するインナケーシングは、前記クラッチ部材と噛合するクラッチ歯を備えて前記クラッチ部材と共にクラッチを構成する、動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、車両を駆動する動力伝達装置を、モータを利用して制御するクラッチ機構に関し、特にモータの回転角に応じて双方向にクラッチ部材を操作可能なクラッチ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に使用される回転機械は、その機能を選択的に稼動および休止するために、しばしばクラッチを利用する。例えば所謂ロックアップデファレンシャルはドッグクラッチを内蔵し、通常時にはドッグクラッチは脱連結しており出力軸間の差動を許容し、外部のアクチュエータによりドッグクラッチを連結させると差動をロックする。
【0003】
クラッチは回転する回転機械に内包されており、これを静止側である外部から操作するには、特別な機構を必要とする。これまでにモータを利用したカム機構やソレノイドアクチュエータ等のアクチュエータが提案されている。特許文献1ないし3は、関連する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際特許出願公開WO2017/060963A1
【文献】国際特許出願公開WO2016/035129A1
【文献】国際特許出願公開WO2018/109874A1
【発明の概要】
【0005】
従来のアクチュエータには多くの利点があるものの、その動作とクラッチの状態とが必ずしも対応しない問題がある。すなわち、モータないしソレノイドに電力を投入しても、カム機構にはヒステリシスがあるし、またたまたまクラッチ歯同士が噛み合いに適当でない位置関係にある等の稀な条件において、クラッチが連結し損なうことがありうる。また電力を切断しても、潤滑油の粘性や磁化などによりクラッチ歯同士が一時的に固着して脱連結が滞りかねない。そこで不測の動作を防止するべく、クラッチが連結しているか否かを検出する装置がしばしば追加的に必要である。
【0006】
以下に開示する装置は、上述の問題に鑑みて工夫されたものであって、モータの回転角がクラッチ部材の移動長を正しく反映し、以って回転角を測定するだけでクラッチが連結しているか脱連結しているかを判断することを可能にしている。
【0007】
一局面によれば、車両を駆動する動力伝達装置を、モータを利用して制御するクラッチ機構は、軸方向に双方向に可動なクラッチ部材と、軸の周りに回り止めされたベースメンバと、前記ベースメンバから軸方向に離れて対向し、周方向および軸方向に移動を規制されたカウンタメンバと、前記ベースメンバと前記カウンタメンバとの間に介在し、軸方向に可動であって前記クラッチ部材に駆動的に結合し、前記モータに結合して前記軸の周りに回転運動を生ずるアクションメンバと、前記回転運動を前記アクションメンバの軸方向の運動に変換するべく、周方向に沿い前記ベースメンバから前記カウンタメンバに向かって傾いて前記アクションメンバを案内するカム斜面と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態によるクラッチ機構を含むデファレンシャル装置の部分断面立面図である。
【
図2】
図2は、他の実施形態によるクラッチ機構を含むデファレンシャル装置の部分断面立面図である。
【
図3A】
図3Aは、モータおよびクラッチ機構の分解斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、モータおよびクラッチ機構を特に詳しく示す部分断面立面図である。
【
図5】
図5は、アクションメンバの動作を説明する周方向に沿うクラッチ機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照して以下に幾つかの例示的な実施形態を説明する。以下の説明および添付の請求の範囲において、特段の説明がなければ軸はクラッチ機構の中心軸を意味し、通常には動力伝達装置の回転軸とも一致する。図面は必ずしも正確な縮尺により示されておらず、従って相互の寸法関係は図示されたものに限られないことに特に注意を要する。
【0010】
以下に開示するクラッチ機構とモータの組み合わせは、デファレンシャルのごとき回転機械と好適に組み合わせて車両を駆動する動力伝達装置を構成することができ、特に、回転機械の外部からクラッチを連結および脱連結してその機能を制御する目的で利用することができる。以下の説明より理解されるはずだが、モータを正転また逆転してクラッチを連結また脱連結することができ、その過程において常にモータの回転角はクラッチ部材の位置に正しく反映する。
【0011】
以下に説明する実施形態はデファレンシャルに関するが、あるいはトランスミッション、パワートランスファユニット(PTU)、またカップリング装置等の他の回転機械に適用することができる。またクラッチは例えばドッグ歯を備えた所謂ドッグクラッチだが、クロークラッチ等の他の形式、より一般的には、摩擦ではなく互いに噛合する構造によりトルクを伝達する形式のクラッチには概して利用可能であるし、あるいは多板クラッチのごとき摩擦クラッチにも利用可能だろう。
【0012】
主に
図1,2を参照するに、クラッチ機構1はデファレンシャル3の動作を制御するべく、モータ5と組み合わせて利用されてクラッチ7を駆動する。
【0013】
デファレンシャル3は、例えばそのケーシング31から径方向に延びるフランジに固定されたリングギアを介してエンジンからトルクを受容し、矢印Tで示すように軸X周りに回転する。図示された例ではデファレンシャル3はベベルギア式のデファレンシャルギア組を備え、ケーシング31にピニオンギア33が回転可能に支持されており、一対のサイドギア35,37がこれらに噛合することによりトルクを両車軸に差動的に分配する。クラッチ7が脱連結しているときにはサイドギア35,37間の差動が許されるが、連結すると差動がロックされる。もちろんベベルギア式に代えてフェースギア式やプラネタリギア式等の他の形式であってもよい。また
図1,2に示す例は所謂ロックアップデファレンシャルに関するが、これに代えて所謂フリーランニングデフにクラッチ機構1が組み合わされてもよい。
【0014】
ケーシング31は、少なくとも2つに分割できる2ピース型であってもよく、もちろん分割されない1ピース型であってもよい。2ピース型では、例えばフランジの側においてケースが分割される。何れの型かに関わらず、クラッチ機構1,モータ5およびクラッチ7は、
図1に示すごとくフランジとは反対側に配置することもできるし、
図2に示すごとくフランジの側に配置することもできる。
【0015】
図3A,3Bを参照するに、クラッチ機構1は、概して、ベースメンバ13と、軸方向に離れてこれに対向するカウンタメンバ15と、これらに挟まれたアクションメンバ11と、よりなる。アクションメンバ11、ベースメンバ13およびカウンタメンバ15は軸X周りの円環状の板材であって軸方向に突出した幾つかの構造を有する。円環状であること、板材よりなることは必須ではないが、例えば機構用鋼よりなる板材を打ち抜き、切削加工し、プレス加工することにより容易に製作できる点では、これらの要素は有利だろう。これらの構成要素はケーシング31に隣接するがその外部に配置され、また軸Xをケーシング31と共有する。
【0016】
ベースメンバ13は車体に対して、特に例えばキャリアに対して、回り止めされる。カウンタメンバ15は、ベースメンバ13と互いに係合しており、以って軸方向と周方向の両方に移動が規制されており、あるいは固定されていてもよい。アクションメンバ15はこれらの間に挟まれて軸方向と周方向に可動である。アクションメンバ15を当初位置に復帰せしめるべく、例えばカウンタメンバ15とアクションメンバ11との間には、アクションメンバ15をベースメンバ13に向けて押圧するスプリング25が介在してもよい。
【0017】
アクションメンバ11は、モータ5とギア噛合するべく、ギア歯11Gを備える。例えばアクションメンバ11の外周が部分的に径方向に外方に突出し、その外周にギア歯11Gが刻まれていてもよい。これはモータ5をクラッチ機構1より径方向に外方に配置してギアシャフト15Gをこれに噛合させるのに都合がよい配置である。可能ならばモータ5を他の位置に配置するべくギア歯11Gは他の箇所に刻まれていてもよい。
図3A,3Bに
図4Aを組み合わせて参照するに、ギア歯11Gとギアシャフト15Gとが噛合してモータ5の回転を受けることにより、アクションメンバ11は軸X周りに回転運動を起こす。言うまでもなく、正転と逆転の両方がありうる。
【0018】
モータ5は、
図4Aに例示するようにロータの回転を直接にギアシャフト5Gに出力するものとすることができるが、ギア機構を介する構造であってもよい。例えば
図4Bは、モータ5がウォームギア機構41を介して回転を出力する例である。ウォームギア機構41が介在すると、それ自体のギア抵抗により外力に対して抵抗するので、ギア歯11Gの位置が保持される。あるいはモータ5がウォームギア機構41を備えるのに代えて、ギアシャフト5Gとギア歯11Gとがウォームギア組を構成していてもよい。いずれの場合にも、アクションメンバ11の位置を保持するためにモータ5に電力を供給し続ける必要がないので、かかる構成は省電力に有利である。
【0019】
あるいは
図4Cに例示するように、モータ5とアクションメンバ11との結合は、ギア歯11Gによらなくてもよい。モータ5が中空軸のロータ51を有するアキシャルギャップまたはラジアルギャップモータであれば、モータ5もデファレンシャル3およびクラッチ機構1と同軸にすることができる。ロータ51とアクションメンバ11との結合は、例えばロータ51とスプライン結合したロータリメンバ53を介してもよい。ロータリメンバ53は、例えば外面にロータ51とスプライン結合するためのキー溝を有する概して円筒状であり、さらにボルト結合のためのフランジを有するが、形状は必ずしもこれに限られない。ロータリメンバ53は、また、後述の固定プレート19に代えてボールベアリング21の固定の用に供されてもよい。さらにあるいは、アクションメンバ11とロータリメンバ53とは一体であってもよい。
【0020】
なおモータ5は回り止めされる必要があり、回り止めは例えばキャリアに固定されたブラケット43によることができる。ベースメンバ13の回り止めもかかるブラケット43によることもでき、あるいはベースメンバ13とブラケット43とが一体であってもよい。
【0021】
図3A,3Bに戻って参照するに、クラッチ部材9は、クラッチ機構1の最も端に配置され、通常はケーシング31内に配置される。クラッチ部材9はその端面にクラッチ歯9Tのごとき噛合構造を備える。デファレンシャル3がロックアップデファレンシャルの場合には、一方のサイドギア35が対応する噛合構造を備え、クラッチ部材9との組み合わせはクラッチ7を構成する。既に述べた通り、フリーランニングデフの場合には、インナケーシングが噛合構造を備えてクラッチ7を構成する。クラッチ部材9はケーシング31内において軸方向に双方向に移動ができるようにされており、サイドギア35(ないしインナケーシング)から離れたときにはクラッチ7は脱連結し、その反対方向に移動したときにはクラッチ7は連結する。必須ではないが、クラッチ7の脱連結を促すべく、リターンスプリング27を利用することができる。
【0022】
アクションメンバ11はクラッチ部材9に直接に結合してもよいが、その軸方向運動をクラッチ部材9に伝えるべく、これらの間にトランスファメンバ17が介在してもよい。クラッチ部材9とトランスファメンバ17との結合は、例えばボルトによることができ、ボルト結合のためにクラッチ部材9から延びた脚9Lおよびアクションメンバ11から延びたタブ17Tの一方または両方を利用することができる。例えば
図1に示す通り、ケーシング31の端に比較的大きく開いた開口31Hを通ってタブ17Tが外部に露出し、かかる箇所においてボルト結合してもよい。あるいは
図2に例示する通り、開口31Hはごく細い貫通孔であり、タブ17Tがかかる貫通孔を通ってケーシング31内に貫入し、内部のクラッチ部材9に結合してもよい。後に詳しく述べるが、何れの場合においても、開口31Hはクラッチ部材9の噛合を補助するためのカム構造を備える必要がなく、その製作は容易であり、またケーシング31の強度および剛性を損なうことがない。
図2のごとき細い貫通孔であれば、強度および剛性の維持にはより有利である。
【0023】
図3A,3Bに戻って参照するに、トランスファメンバ17とアクションメンバ11とは、例えばボールベアリング21を介して結合し、以ってトランスファメンバ17がアクションメンバ11に対して相対的に回転することができる。ボールベアリング21に代えて、他の形式のベアリングであってもよく、あるいは滑らかな回転が保証される限りアクションメンバ11がトランスファメンバ17に摺動可能に結合していてもよい。ボールベアリング21による場合、それが嵌入して互いに係合するに適した構造をアクションメンバ11の内周は備えることができる。さらに例えば固定プレート19を利用し、固定プレート19とアクションメンバ11とがボールベアリング21を挟むことにより、これらが一体に軸方向に移動するようにしてもよい。ボールベアリング21はトランスファメンバ17に固定され、固定のために例えばスナップリング23を利用することができる。以ってトランスファメンバ17はアクションメンバ11に対して相対的に回転することができる一方、アクションメンバ11の軸方向に双方向の運動は、クラッチ部材9に伝えられる。
【0024】
図3A,3Bに組み合わせて
図5を参照するに、メンバ11,13,15の組み合わせは、モータ5によるアクションメンバ11の回転運動を軸方向の運動に変換するための構造を備える。その一例は、ベースメンバ13からカウンタメンバ15に向けて傾いたカム斜面13Cである。アクションメンバ11に周方向の回転運動Rが生じると、カム斜面13Cは、アクションメンバ11を案内してこれに軸方向の運動Mを生じさせる。既に述べた通り、かかる構造はプレス加工により容易に形成することができる。あるいは図示されていないが、カム斜面13Cはベースメンバ13とは別体であってもよい。
【0025】
アクションメンバ11は、カム斜面13Cに関連した構造を備え、その一例はカム斜面13Cに対応した斜面11Cである。より好ましくはかかる斜面11Cは常にカム斜面13Cに面接触するよう寸法づけられる。さらにこれらに対応して、カウンタメンバ15も第2のカム斜面15Cを備えることができる。アクションメンバ11の斜面11Cは、常にカム斜面13C,15Cの両方と接触を維持しながら運動する。これは回転運動Rに対して軸方向の運動Mにヒステリシスが生ずるのを防ぐ。すなわちモータ5の回転角はクラッチ部材9の軸方向の運動を正確に反映する。
【0026】
カム斜面13Cに関連するアクションメンバ11の構造として、斜面11Cに代えて、カム斜面13Cを受容する開口であってもよい。アクションメンバ11に開けられた開口にカム斜面13Cが部分的に嵌入し、摺り当たることにより、アクションメンバ11を案内する。この場合に第2のカム斜面15Cは、
図5とは反対に、ベースメンバ13に向けて傾いた斜面であってもよく、何れにせよカム斜面11C,15Cの両方が常にアクションメンバ11に接してこれを案内することができる。かかる構造も、回転運動Rを軸方向の運動Mに変換するだけでなく、ヒステリシスの発生を防ぐ。
【0027】
これまでの説明より理解される通り、モータ5がアクションメンバ11を軸X周りに回転させると、回転に応じてアクションメンバ11は軸方向に運動してクラッチ部材9を駆動する。モータ5のロータの回転角はクラッチ部材9の軸方向の移動長に一対一に対応するので、回転角を検出するだけでクラッチ7が連結しているか脱連結しているかを判断することができる。また回転角は、例えばモータのインダクタンス変化を読み取ることにより検出できるし、あるいはロータにエンコーダのごとき構造を取り付ければ電気的に検出することができる。クラッチが連結しているか脱連結しているかを判断するに、追加的な装置を必要としない。またクラッチ部材9に外力が加わっても、カム構造はこれに対する十分な抵抗を発揮する。すなわちクラッチ7の連結を維持するための特段の構造を必要としない。これはケーシング31の製造を容易にするし、またその強度および剛性が犠牲になることがない。
【0028】
幾つかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正ないし変形をすることが可能である。