(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】時刻調整システム、端末装置、およびサーバ装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/44 20110101AFI20240409BHJP
H04N 21/439 20110101ALI20240409BHJP
H04N 21/242 20110101ALI20240409BHJP
G10K 15/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H04N21/44
H04N21/439
H04N21/242
G10K15/02
(21)【出願番号】P 2023001820
(22)【出願日】2023-01-10
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】佐田 実季
(72)【発明者】
【氏名】平林 一輝
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-010863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0091959(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0215535(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0141699(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第114339302(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 ー 21/858
G10K 15/00 ー 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して音波出力装置に接続されるサーバ装置と同期するためのメッセージであって、予め設定された周波数の音波である参照音波が出力される時刻を示すメッセージを
、前記サーバ装置から受信するメッセージ受信部と、
前記音波出力装置に前記参照音波を出力させるための制御信号であって、前記メッセージが示す時刻において前記サーバ装置から送信された制御信号に基づいて、
前記音波出力装置
が出力
した前記参照音波を受信したか否かを判定する音波受信判定部と、
前記参照音波を受信したと判定された場合、前記メッセージに示された時刻と前記参照音波を受信した時刻との差分により遅延時間を算出する遅延計算部とを備える
を備える端末装置。
【請求項2】
前記メッセージを受信する前にNTP同期する
請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記メッセージは、前記参照音波を出力する複数の時刻をそれぞれ示し、
前記サーバ装置は、前記メッセージが示す時刻のそれぞれにおいて、前記音波出力装置に前記参照音波を出力させるための制御信号を送信する
請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記音波出力装置が、複数回前記参照音波を出力し、
第n(nは2以上の自然数)回目に出力される前記参照音波の周波数が、第n-1回目に出力される前記参照音波の周波数と異なる
請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記メッセージが示す複数の時刻のそれぞれと、前記参照音波のそれぞれを受信した時刻との差分に対して所定の演算を行い、
前記演算により得られた値を、前記メッセージが示す時刻に加算することにより修正時刻を算出する時刻修正部をさらに備える
請求項3に記載の端末装置。
【請求項6】
前記サーバ装置は、前記制御信号を送信した後、所定の時間が経過したとき、コンテンツの配信を開始する
請求項3に記載の端末装置。
【請求項7】
前記コンテンツは、オンラインリズムゲームである
請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
ネットワークを介して音波出力装置に接続されるサーバ装置であって、
予め設定された周波数の音波である参照音波を出力する時刻を示すメッセージを
前記メッセージに示された時刻と前記参照音波を受信した時刻との差分により遅延時間を算出する端末装置に送信するメッセージ送信部と、
音波出力装置に前記参照音波を出力させるための制御信号を、前記メッセージが示す時刻に送信する音波出力制御部と
を備えるサーバ装置。
【請求項9】
サーバ装置と、前記サーバ装置とネットワークを介して接続される音波出力装置と、端末装置とを有する時刻調整システムであって、
前記サーバ装置は、
予め設定された周波数の音波である参照音波を出力する時刻を示すメッセージを送信するメッセージ送信部と、
前記音波出力装置に前記参照音波を出力させるための制御信号を、前記メッセージが示す時刻に送信する音波出力制御部とを備え、
前記端末装置は、
前記サーバ装置から送信されたメッセージを受信するメッセージ受信部と、
前記メッセージが示す時刻において前記サーバ装置から送信された前記制御信号に基づいて前記音波出力装置が出力した前記参照音波を受信したか否かを判定する音波受信判定部と、
前記参照音波を受信したと判定された場合、前記メッセージに示された時刻と前記参照音波を受信した時刻との差分により遅延時間を算出する遅延計算部とを備える
を備える時刻調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻調整システム、端末装置、およびサーバ装置に関し、ネットワークを介して送信されるコンテンツと、送信されたコンテンツが受信されて表示される場所にある端末との間で時刻を正確に同期させることができるようにする時刻調整システム、端末装置、およびサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の装置がお互いに無線通信で交信する際に正確に時刻を同期させる技術が提案されている。
【0003】
特許文献1では、時刻の基準となる装置が定期的に時刻同期用信号を発信し、各装置において、信号を受信した際の無線信号の到着時刻を共通サーバへ送信し、共通サーバにおいて、各装置から受信した時刻情報と、発信者と受信者の距離を無線伝播速度で割った無線伝播時間とに基づいて各装置の基準時刻からのずれが計算される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、会場のコンテンツ処理装置とネットワークを介して接続されたサーバ装置からコンテンツを送信し、音楽とともに会場のスクリーンに映像を投影して、会場内の観客がコンテンツを見ながら、各自の端末を使って一緒にゲームをするイベントを検討している。
【0006】
会場のスクリーンに投影されるコンテンツがリズムゲームである場合(以下、「オンラインリズムゲーム」と称する。)、スクリーンに投影されている映像と端末の時刻が正確に同期している必要がある。オンラインリズムゲームでは、映像や音楽とタイミング合わせて端末を操作するので、スクリーンの映像と端末の同期していないと、ゲームをする観客の体感にずれが生じてしまうからである。
【0007】
これを解消するため本発明者らは、いくつかの解決策を検討した。まず、映像を配信しているサーバ装置と端末をそれぞれNTP(Network Time Protocol)同期させ、サーバ装置から端末に予めスタート時刻を送信する方法を検討した。サーバ装置のタイマと端末のタイマはNTP同期により同じ時刻になっているはずなので、正確に判定ができるようにも思える。しかし、実際には、コンテンツがネットワークを経由して会場で受信されることにより、ネットワーク遅延が発生するため、正確に同期させることができない。
【0008】
また、ネットワーク遅延を考慮して時刻を同期させる方式として、画像処理による同期方式についても検討した。この方式では、予め定められた特定の画像をスクリーンに映像を投影し、端末がその映像を読み取ることで、映像と端末を同期させる方式である。しかしながら、スクリーンに特定の映像を投影する方式は、端末が映像を読み取る角度により(例えば、会場内の座席の位置により)同期の精度に大きく差がでることが検証により分かっている。
【0009】
また、特許文献1に記載の方式では、発信者と受信者の距離を測定する必要があり、ネットワークを介してコンテンツが送信される構成(例えば、上述のオンラインリズムゲーム)には適していない。
【0010】
本発明の一態様は、ネットワークを介して送信されるコンテンツと、送信されたコンテンツが受信されて表示される場所にある端末との間で時刻を正確に同期させることができるようにする技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る端末装置は、ネットワークを介して音波出力装置に接続されるサーバ装置と同期するためのメッセージであって、予め設定された周波数の音波である参照音波が出力される時刻を示すメッセージを受信するメッセージ受信部と、前記音波出力装置から出力された前記参照音波を受信したか否かを判定する音波受信判定部と、前記参照音波を受信したと判定された場合、前記メッセージに示された時刻と前記参照音波を受信した時刻との差分により遅延時間を算出する遅延計算部とを備える。
【0012】
本発明の一態様に係るサーバ装置は、ネットワークを介して音波出力装置に接続されるサーバ装置であって、予め設定された周波数の音波である参照音波を出力する時刻を示すメッセージを送信するメッセージ送信部と、前記音波出力装置に前記参照音波を出力させるための制御信号を、前記メッセージが示す時刻に送信する音波出力制御部とを備える。
【0013】
サーバ装置と、前記サーバ装置とネットワークを介して接続される音波出力装置と、端末装置とを有する時刻調整システムであって、前記サーバ装置は、予め設定された周波数の音波である参照音波を出力する時刻を示すメッセージを送信するメッセージ送信部と、前記音波出力装置に前記参照音波を出力させるための制御信号を、前記メッセージが示す時刻に送信する音波出力制御部とを備え、前記端末装置は、前記サーバ装置から送信されたメッセージを受信するメッセージ受信部と、前記参照音波を受信したか否かを判定する音波受信判定部と、前記参照音波を受信したと判定された場合、前記メッセージに示された時刻と前記参照音波を受信した時刻との差分により遅延時間を算出する遅延計算部とを備える。
【0014】
本発明の各態様は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることによりシステムをコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、ネットワークを介して送信されるコンテンツと、送信されたコンテンツが受信されて表示される場所にある端末との間で時刻を正確に同期させることができるようにする技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】オンラインリズムゲームが開催される会場の例を示す図である。
【
図2】オンラインリズムゲームにおける端末の操作を説明する図である。
【
図3】オンラインリズムゲームにおける端末の画面の表示例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る時刻調整システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5】サーバの機能的構成例を示すブロック図である。
【
図6】メッセージ送信部により生成されるメッセージの例を示す図である。
【
図7】端末の機能的構成例を示すブロック図である。
【
図8】サーバによる時刻合わせ処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【
図9】端末による時刻合わせ処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【
図10】遅延時間計算処理の詳細な例について説明するフローチャートである。
【
図11】サーバ及び端末の各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第一実施形態>
図1は、オンラインリズムゲームが開催される会場の例を示す図である。同図に示される会場10には、多数の観客が集まっており、観客のそれぞれが自身の端末を使ってリズムゲームを行っている。なお、観客のそれぞれが使う端末は、例えば、スマートフォンなどにより構成される。また、会場10には、スクリーン11およびスピーカ(図示せず)が設置されており、スクリーン11には、オンラインリズムゲームのコンテンツの画像が表示されている。スピーカからは、オンラインリズムゲームのコンテンツの音声が出力されている。
【0018】
会場10には、例えば、コンテンツの画像の表示、および/または、音声の出力などを制御する画像音声制御装置が設置され、画像音声制御装置とネットワークによって接続されたサーバなどからオンラインリズムゲームのコンテンツが送信される。オンラインリズムゲームのコンテンツは、例えば、動画像が音楽とともに再生されるコンテンツである。
【0019】
オンラインリズムゲームに参加する観客は、例えば、自身のスマートフォンである端末21に予めオンラインリズムゲーム用のアプリケーションをダウンロードしてインストールしておく。そして観客は、会場10に入場したときに、端末21でオンラインリズムゲーム用のアプリケーションを起動させてゲームに参加する。この際、例えば、スクリーン11にカウントダウン用の画像が表示されるなどして、会場10内の観客が同時にゲームを開始する。
【0020】
オンラインリズムゲームのコンテンツの画像は、動画として表示され、例えば、
図1に示される円形のオブジェクトが図中の右から左に向かって、音楽に合わせて移動する。
図1の例では、複数のサッカーボール状の円形のオブジェクトが表示されており、これらのオブジェクトがスクリーン11の右から左に向かって移動する。これらの複数のサッカーボール状の円形のオブジェクトは、ノーツとも称される。スクリーンの左端に到達したノーツは、画面から消える。また、スクリーンの右側からは、音楽に合わせて新たなノーツが現れる。
【0021】
ゲームに参加者する観客は、例えば、移動するノーツがスクリーン11の所定の位置に到達したときに、
図2に示されるように、端末21の画面を指でタップする。所定の位置は、例えば、
図1のスクリーン11の左端付近に表示された二重円の位置に対応する。
【0022】
ノーツのそれぞれは、音楽に合わせて移動するので、例えば、画面をタップすることによって音楽のリズムと同じリズムが奏でられることになる。
【0023】
そして、タップされたタイミングの適否の判定が行われ、判定結果が観客の端末21のディスプレイに表示される。
【0024】
図3は、判定結果の表示例を示す図である。この例では、タップされたタイミングが適切であったことを示す判定結果が、スマートフォンである端末21のディスプレイに表示されている。
【0025】
なお、タップされたタイミングの適否の判定は、観客各自の端末21によって行われる。すなわち、アプリケーションがダウンロードされた端末21は、オンラインリズムゲームにおいて、各オブジェクトが所定の位置に到達するタイミングを示す情報を有している。各オブジェクトが所定の位置に到達するタイミングを示す情報は、例えば、ゲームが開始されてから経過した時間によって表される。
【0026】
すなわち、観客がオンラインリズムゲームを楽しむためには、コンテンツの画像の表示および音楽の演奏が開始される時刻と、端末21においてゲームが開始される時刻が正確に一致する必要がある。オンラインリズムゲームでは、動画像や音楽とタイミング合わせて端末を操作するので、コンテンツと端末21が正確に同期していないと、ゲームをする観客の体感にずれが生じてしまうからである。
【0027】
例えば、コンテンツを送信しているサーバ装置と端末21をそれぞれNTP(Network Time Protocol)同期させ、サーバ装置から端末21に予めスタート時刻を送信することで、ゲームが開始される時刻を一致させることができるようにも思える。しかし、実際には、コンテンツがネットワークを経由して会場で受信されることにより、ネットワーク遅延が発生するため、ゲームが開始される時刻を正確に同期させることができない。
【0028】
すなわち、サーバ装置のタイマと端末21のタイマはNTP同期により同期させるだけでは、コンテンツと端末21が正確に同期したことにはならない。コンテンツと端末21を正確に同期させるためには、ネットワーク遅延を考慮して、サーバ装置と端末21とが同期するように調整する必要がある。
【0029】
(時刻調整システムの構成)
図4は、本実施形態に係る時刻調整システムの構成例を示すブロック図である。この例では、時刻調整システム1が、オンラインリズムゲームを実行するためのシステムとして構成されている。
図4の例において、時刻調整システム1は、サーバ31と、サーバ31とネットワーク71を介して接続される会場10によって構成されている。ネットワーク71は、例えば、インターネットなどのネットワークである。
【0030】
会場10には、ネットワーク接続装置41が設置されており、画像音声制御装置51、および端末21-1乃至端末21-3のそれぞれがネットワーク接続装置41に、優先または無線により接続される。この例では、端末21-1乃至端末21-3は、無線によりネットワーク接続装置41に接続されるものとする。
【0031】
画像音声制御装置51には、スクリーン(またはディスプレイ)11、並びにスピーカ12-1およびスピーカ12-2が接続されている。なお、スピーカ12-1およびスピーカ12-2は、スクリーン11に内蔵されていてもよい。また、スピーカの数は、2つに限られるものではない。
【0032】
サーバ31には、オンラインリズムゲームのコンテンツのデータが記憶されている。サーバ31は、コンテンツのデータを再生して得られる画像および音声の信号をストリーミング配信する。すなわち、オンラインリズムゲームのコンテンツの画像および音声が、ネットワーク71を介して会場10のネットワーク接続装置41に送信される。
【0033】
また、サーバ31は、会場10のスピーカ12-1およびスピーカ12-2から、所定の周波数の音波を出力させるための制御信号を、ネットワーク71を介して会場10のネットワーク接続装置41に送信する。
【0034】
なお、サーバ31は、必ずしも1台のコンピュータによって構成されるものに限られない。例えば、クラウドサービスなどを利用することにより、複数のコンピュータによってサーバ31が構成されるようにしてもよい。
【0035】
画像音声制御装置51は、ネットワーク接続装置41から供給されるコンテンツの画像をスクリーン11に表示させ、ネットワーク接続装置41から供給されるコンテンツの画像をスピーカ12-1およびスピーカ12-2から出力させる。
【0036】
また、画像音声制御装置51は、ネットワーク接続装置41から供給される制御信号に対応して、スピーカ12-1およびスピーカ12-2から所定の周波数の音波を出力させる。この場合、画像音声制御装置51並びにスピーカ12-1およびスピーカ12-2は、所定の周波数の音波を出力する音波出力装置として機能する。
【0037】
例えば、スピーカ12-1およびスピーカ12-2から所定の周波数の音波が出力されてから、所定の時間(例えば、1秒)が経過した時にオンラインリズムゲームが開始される。オンラインリズムゲームの開始時刻に係る情報は、予めサーバ31と端末21とで共有されているものとする。例えば、制御信号が送信されてから、所定の時間が経過した時点がオンラインリズムゲームの開始時刻となる。
【0038】
なお、画像音声制御装置51自身が、ネットワーク71に接続する機能を有して構成されるようにしてもよい。この場合、画像音声制御装置51は、ネットワーク接続装置41に接続される必要はない。さらに、画像音声制御装置51がスクリーン11、スピーカ12-1およびスピーカ12-2に組み込まれて構成されるようにしてもよい。
【0039】
端末21-1乃至端末21-3のそれぞれは、オンラインリズムゲームに参加する観客のそれぞれが使用する端末であり、例えば、スマートフォンにより構成される。なお、上述したように、観客は、例えば、会場10に入場する前に、または会場10に入場すると同時に、自身のスマートフォンである端末21に予めオンラインリズムゲーム用のアプリケーションをダウンロードする。
【0040】
なお、端末21は、タブレット、ノートPCなどによって構成されるようにしてもよい。また、端末21は、例えば、オンラインリズムゲームの主催者が用意し、会場10に入場する観客に配布されるものであってもよい。
【0041】
このように、時刻調整システム1は、サーバ31と、サーバ31とネットワーク71を介して接続される音波出力装置と、端末21とを有する。
【0042】
会場10内において、端末21-1乃至端末21-3のそれぞれは、ネットワーク接続装置41を介してネットワーク71にアクセスすることができ、また、ネットワーク71を介してサーバ31にアクセスすることができる。この例では、会場10内の端末は、端末21-1乃至端末21-3によって示されているが、実際にはもっと多くの(例えば、観客と同じ数の)端末が存在する。端末21-1乃至端末21-3を個々に区別する必要がない場合、まとめて端末21と称することにする。
【0043】
また、上述したように、観客は、移動するオブジェクトがスクリーン11の所定の位置に到達したときに、端末21の画面を指でタップし、タップされたタイミングの適否の判定が行われ、判定結果が観客の端末21のディスプレイに表示される。この判定結果は、必要に応じてネットワーク71を介してサーバ31に送信される。
【0044】
例えば、サーバ31において、各端末の判定結果を集計して観客のゲームの得点を算出してよい。また、全観客の得点から観客の得点ランキングを決定し、高得点者を示す情報を生成して、各端末に送信するようにしてもよい。あるいは、ゲーム終了後に、高得点者を示す情報がスクリーン11に表示されるようにしてもよい。
【0045】
(サーバの構成)
図5は、サーバ31の機能的構成例を示すブロック図である。同図に示されるように、サーバ31は、コンテンツ再生処理部111、メッセージ送信部112、音波出力制御部113、および計時制御部114を有している。
【0046】
(コンテンツ再生処理部)
コンテンツ再生処理部111は、記憶部115に記憶されているオンラインリズムゲームのコンテンツのデータを再生し、コンテンツのデータを再生して得られる画像および音声の信号をストリーミング配信する処理を実行する。
【0047】
(メッセージ送信部)
メッセージ送信部112は、音波の出力に係るメッセージを生成して端末21に送信する。ここで、音波の出力に係るメッセージは、所定の周波数の音波がスピーカ12-1およびスピーカ12-2から出力される時刻を示す。詳細は、後述するが、端末21は、スピーカ12-1およびスピーカ12-2から所定の周波数の音波が出力された時刻を参照して、遅延時間を計算する。
【0048】
この所定の周波数の音波は、参照音波とも称される。一例として、参照音波の周波数は、不可聴周波数帯域であるものとされ、例えば、20kHz以上の周波数である。オンラインリズムゲームが開始される前に会場10において発生する音は、通常、人の声や人が歩く音などであり、不可聴周波数帯域の雑音が生じることはごく稀であると考えられる。このため、参照音波の周波数を、不可聴周波数帯域とすることで、会場10内の端末21による参照音波の受信の判定において、誤りが発生する可能性を低くすることができる。
【0049】
(音波出力制御部)
音波出力制御部113は、スピーカ12-1およびスピーカ12-2から参照音波を出力させるための制御信号を生成してネットワーク接続装置41に送信する。
【0050】
このように、サーバ31は、予め設定された周波数の音波である参照音波を出力する時刻を示すメッセージを送信するメッセージ送信部112と、音波出力装置(スピーカ12-1およびスピーカ12-2)に参照音波を出力させるための制御信号を、メッセージが示す時刻に送信する音波出力制御部113とを備える。
【0051】
(計時制御部)
計時制御部114は、サーバ31のタイマに係る制御を行う。計時制御部114は、例えば、サーバ31のタイマをNTP同期させる。
【0052】
(記憶部)
記憶部115は、コンテンツのデータなど、サーバ31が保存するべきデータを記憶する。
【0053】
(メッセージの記述例)
図6は、メッセージ送信部112により生成されるメッセージの例を示す図である。この例では、メッセージ200において、「“target”:“audience”」と記述されており、このメッセージが、会場10の観客の端末21にブロードキャストされることが示されている。
【0054】
また、メッセージ200では、「“game”:“game001”」と記述されており、このメッセージが識別子001のゲームにおいて用いられるメッセージであることが示されている。
【0055】
さらに、メッセージ200では、「“firstTX”:“1661836717000”,“secondTX”:“1661836718000”,“thirdTX”:“1661836719000“」と記述されており、参照音波が出力される時刻(参照音波出力時刻と称することにする)がUNIX(登録商標)時間で表示されている。
【0056】
なお、この例では、参照音波が3回出力されることになり、第1回目の参照音波出力時刻は、「firstTX」であり、第2回目の参照音波出力時刻は、「secondTX」であり、第3回目の参照音波出力時刻は、「thirdTX」である。この例では、第1回目の参照音波の出力と第2回目の参照音波の出力との間に1秒間、第2回目の参照音波の出力と第3回目の参照音波の出力との間に1秒間の間隔がある。
【0057】
このように、メッセージ200は、参照音波を出力する複数の時刻をそれぞれ示し、音波出力制御部113は、メッセージ200が示す時刻のそれぞれにおいて、制御信号を送信する。
【0058】
参照音波の周波数は、一例として、第1回目の参照音波が20kHzであり、第2回目の参照音波が21kHzであり、第3回目の参照音波が22kHzである。なお、参照音波の周波数はメッセージ200に記述されるようにしてもよい。
【0059】
このように、スピーカ12-1およびスピーカ12-2は、記制御信号に基づいて複数回参照音波を出力し、第n(nは2以上の自然数)回目に出力される参照音波の周波数が、第n-1回目に出力される前記参照音波の周波数と異なる。
【0060】
また、この例では、参照音波が3回出力されることとしているが、もっと多くの参照音波が出力されるようにしてもよい。あるいは、参照音波は1回だけ出力されるようにしてもよい。また、この例では、参照音波が出力される間隔は1秒間であるが、参照音波は任意の間隔で出力されてよい。
【0061】
コンテンツ再生処理部111は、コンテンツのデータを再生して得られる画像および音声の信号のストリーミング配信を、例えば、最後の参照音波が出力されてから、所定の時間(例えば、1秒)が経過した時に開始する。ここで、ストリーミング配信の開始は、オンラインリズムゲームの開始に対応する。
【0062】
オンラインリズムゲームの開始時刻に係る情報がメッセージ200に記述されるようにしてもよい。この場合、例えば、オンラインリズムゲームの開始時刻が「thirdTX」の1秒後である旨がメッセージ200に記述される。
【0063】
(端末の構成)
図7は、端末21の機能的構成例を示すブロック図である。同図に示されるように、端末21は、メッセージ受信部151、音波受信判定部152、遅延計算部153、計時制御部154、およびゲーム実行処理部155を有している。
【0064】
(メッセージ受信部)
メッセージ受信部151は、サーバ31から送信されたメッセージ200を受信する。このように、端末21は、サーバ31から送信されたメッセージを受信するメッセージ受信部151を備える。
【0065】
(音波受信判定部)
音波受信判定部152は、メッセージ受信部151がメッセージを受信すると、参照音波を受信したか否かを判定する処理を実行する。音波受信判定部152は、例えば、端末21に内蔵されているマイクによって収集された音声の信号をフーリエ変換し、所定の周波数の音波に対応する音声がマイクを介して受信されたか否かを判定する。音波受信判定部152は、例えば、フーリエ変換後のパワースペクトルにおける参照音波の周波数のパワーを閾値と比較することにより、参照音波を受信したか否かを判定する。
【0066】
このように、端末21は、参照音波を受信したか否かを判定する音波受信判定部152を備える。
【0067】
(遅延計算部)
遅延計算部153は、メッセージ200に記述されている参照音波の出力時刻と、音波受信判定部152により参照音波を受信したと判定された時刻との差分によって遅延を算出する。また、遅延計算部153は、参照音波が複数回受信された場合、それぞれの回において遅延の平均値を算出する。
【0068】
メッセージ200に記述されている参照音波の出力時刻は、参照音波を出力させるための制御信号がサーバ31から送信された時刻とほぼ等しい。また、音波受信判定部152により参照音波を受信したと判定された時刻は、サーバ31から送信された制御信号がネットワーク接続装置41により受信された時刻とほぼ等しい。従って、遅延計算部153が算出する遅延は、ネットワーク71を介することによる遅延(すなわち、ネットワーク遅延)ということができる。
【0069】
このように、端末21は、参照音波を受信したと判定された場合、前記メッセージに示された時刻と前記参照音波を受信した時刻との差分により遅延時間を算出する遅延計算部とを備える。これにより、本発明の一態様は、送信されたコンテンツによって生じ得る観客の体感のずれを具現化し得る。
【0070】
(計時制御部)
計時制御部154は、端末21のタイマに係る制御を行う。計時制御部154は、例えば、端末21のタイマをNTP同期させる。また、計時制御部154は、遅延計算部153により計算された遅延時間だけメッセージ200に記述されている参照音波の出力時刻を遅らせた修正時刻を算出する。
【0071】
(ゲーム実行処理部)
ゲーム実行処理部155は、オンラインリズムゲームの実行を制御する。ゲーム実行処理部155は、例えば、端末21にインストールされたオンラインリズムゲーム用のアプリケーションによる処理を実行し、ゲームに係る画像、音声などを端末21に表示、出力させる。
【0072】
ゲーム実行処理部155は、計時制御部154が、遅延時間に基づいて修正した時刻をもとに処理を実行する。ゲーム実行処理部155は、例えば、メッセージ200に記述された情報を参照して、オンラインリズムゲームの開始時刻を特定する。あるいは、オンラインリズムゲーム用のアプリケーションに記録された情報によりオンラインリズムゲームの開始時刻が特定されるようにしてもよい。
【0073】
ゲーム実行処理部155は、上述のようにして特定された開始時刻にゲームを開始する。このようにすることで、スクリーン11に表示される画像を見ながらゲームをする観客の体感にずれが生じないようにすることができる。
【0074】
(サーバによる時刻合わせ処理)
次に、本実施形態に係る時刻調整システム1においてサーバ31が実行する時刻合わせ処理の例について説明する。
図8は、サーバ31による時刻合わせ処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【0075】
ステップS11において、サーバ31のコンテンツ再生処理部111は、記憶部115に記憶されたコンテンツのデータを読み出す。
【0076】
ステップS12において、サーバ31の計時制御部114は、NTP同期の処理を実行する。これにより、サーバ31のタイマはNTP同期する。
【0077】
このように、サーバ31は、メッセージ200を送信する前にNTP同期する。
【0078】
ステップS13において、サーバ31のメッセージ送信部112は、会場10の端末21の時刻を同期させるためのメッセージを送信する。このとき、例えば、
図6を参照して上述したメッセージ200がサーバ31から、ネットワーク71を介して会場10のネットワーク接続装置41に送信される。ネットワーク接続装置41は、例えば、メッセージ200を会場10内の端末21-1、端末21-2、端末21-3、・・・にブロードキャストする。
【0079】
ステップS14において、音波出力制御部113は、メッセージ200に記述された第1回目の参照音波出力時刻になったか否かを判定し、参照音波出力時刻になったと判定されるまで待機する。ステップS14において、参照音波出力時刻になったと判定された場合、ステップS15の処理が実行される。
【0080】
ステップS15において、音波出力制御部113は、参照音波の出力を指示する制御信号を送信する。これにより、制御信号が、サーバ31から、ネットワーク71を介して会場10のネットワーク接続装置41に送信される。制御信号は、画像音声制御装置51に供給され、スピーカ12-1およびスピーカ12-2から第1回目の参照音波が出力される。
【0081】
ステップS16において、音波出力制御部113は、メッセージ200に記述された第2回目の参照音波出力時刻になったか否かを判定し、参照音波出力時刻になったと判定されるまで待機する。ステップS16において、参照音波出力時刻になったと判定された場合、ステップS17の処理が実行される。
【0082】
ステップS17において、音波出力制御部113は、参照音波の出力を指示する制御信号を送信する。これにより、制御信号が、サーバ31から、ネットワーク71を介して会場10のネットワーク接続装置41に送信される。制御信号は、画像音声制御装置51に供給され、スピーカ12-1およびスピーカ12-2から第2回目の参照音波が出力される。
【0083】
ステップS18において、音波出力制御部113は、メッセージ200に記述された第3回目の参照音波出力時刻になったか否かを判定し、参照音波出力時刻になったと判定されるまで待機する。ステップS18において、参照音波出力時刻になったと判定された場合、ステップS19の処理が実行される。
【0084】
ステップS19において、音波出力制御部113は、参照音波の出力を指示する制御信号を送信する。これにより、制御信号が、サーバ31から、ネットワーク71を介して会場10のネットワーク接続装置41に送信される。制御信号は、画像音声制御装置51に供給され、スピーカ12-1およびスピーカ12-2から第3回目の参照音波が出力される。
【0085】
ステップS20において、コンテンツ再生処理部111は、所定の時間が経過したか否かを判定し、所定の時間が経過したと判定されるまで待機する。ここで、所定の時間は、最後の参照音波が出力されてから、ゲームが開示されるまでの時間であり、例えば、1秒とされる。ステップS20において、所定の時間が経過したと判定された場合、ステップS21の処理が実行される。
【0086】
ステップS21において、ゲームが開始される。これにより、コンテンツ再生処理部111がコンテンツのデータを再生し、コンテンツのデータを再生して得られる画像および音声の信号をストリーミング配信する処理を実行する。すなわち、制御信号が送信された後、所定の時間が経過したとき、コンテンツの配信が開始される。これにより、ネットワークを介して送信されるコンテンツと、送信されたコンテンツが受信されて表示される場所にある端末との間で時刻を正確に同期させることができる。すなわち、本発明の一態様は、ネットワーク遅延に基づくコンテンツに対する観客の体感のずれを軽減し得る。
【0087】
ストリーミング配信されたコンテンツの画像および音声の信号は、ネットワーク71を介して会場10のネットワーク接続装置41によって受信され、画像音声制御装置51に供給される。そして、スクリーン11にコンテンツの画像が表示され、スピーカ12-1およびスピーカ12-2から音声が出力されることになる。
【0088】
ここでは、ゲームの開始の際にコンテンツのデータが再生されると説明したが、ステップS11において、コンテンツのデータが再生されるようにしてもよい。この場合、例えば、ステップS12乃至ステップS21の処理が、ステップS11の処理で読み出されたコンテンツのデータを再生することによって自動的に実行されるようにしてもよい。
【0089】
このようにして、サーバ31による時刻合わせ処理が実行される。
【0090】
(端末による時刻合わせ処理)
次に、本実施形態に係る時刻調整システム1において端末21が実行する時刻合わせ処理の例について説明する。
図9は、端末21による時刻合わせ処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【0091】
ステップS41において、ゲーム実行処理部155は、アプリケーションを起動する。このとき、例えば、予めインストールされたオンラインリズムゲーム用のアプリケーションが起動される。
【0092】
ステップS42において、計時制御部154は、NTP同期の処理を実行する。これにより、端末21のタイマはNTP同期する。
【0093】
このように、端末21は、端末装置は、メッセージ200を受信する前にNTP同期する。
【0094】
ステップS43において、メッセージ受信部151は、サーバ31から送信された会場10の端末21の時刻を同期させるためのメッセージを受信したか否かを判定し、メッセージを受信したと判定されるまで待機する。
【0095】
上述したように、
図8のステップS13において、サーバ31のメッセージ送信部112が送信したメッセージ200は、ネットワーク接続装置41で受信される。そして、例えば、会場10内の端末21-1、端末21-2、端末21-3、・・・にメッセージ200がブロードキャストされる。ステップS43では、このメッセージ200が端末21によって受信されたか否かが判定される。ステップS43において、メッセージを受信したと判定された場合、ステップS44の処理が実行される。
【0096】
ステップS44において、音波受信判定部152および遅延計算部153は、遅延時間計算処理を実行する。これにより、ネットワーク遅延が計算される。なお、ステップS44の遅延時間計算処理の詳細については、
図10のフローチャートを参照して後述する。
【0097】
ステップS45において、計時制御部154は、ステップS44の処理で計算されたネットワーク遅延に基づいて時刻を修正する。このとき、例えば、ステップS44で計算された遅延時間だけ、メッセージ200に示される時刻“thirdTX”を遅らせた修正時刻が算出される。
【0098】
ステップS46において、ゲーム実行処理部155は、修正時刻から所定の時間が経過したか否かを判定し、所定の時間が経過したと判定されるまで待機する。このとき、例えば、修正時刻から1秒が経過したか否かが判定される。ステップS46において、所定の時間が経過したと判定された場合、ステップS47の処理が実行される。
【0099】
ステップS47において、ゲーム実行処理部155は、ゲームを開始する。すなわち、メッセージ200において、“thirdTX”として記述された時刻に、ステップS44の処理によって計算された遅延を加算した時刻の1秒後になったとき、ゲームが開始される。
【0100】
このようにして、端末21による時刻合わせ処理が実行される。
【0101】
なお、ステップS41乃至ステップS47の処理は、例えば、ステップS41の処理で起動されたアプリケーションによって自動的に実行されるようにしてもよい。
【0102】
(遅延時間計算処理)
次に、
図10のフローチャートを参照して、
図9のステップS44の遅延時間計算処理の詳細な例について説明する。
【0103】
ステップS71において、音波受信判定部152は、マイクを介して入力される音声信号の周波数の特定を開始する。このとき、例えば、音声信号のフーリエ変換を行う処理が実行される。なお、マイクを介して入力される音声信号の周波数を特定する処理の実行は、ステップS71において開始され、開始後予め設定された時間(例えば、3.5秒)が経過した時に終了する。
【0104】
ステップS72において、音波受信判定部152は、第1周波数の音波を受信したか否かを判定する。ここで、第1周波数は、第1回目に出力される参照音波の周波数を意味する。第1周波数は、一例として、20kHzであってもよい。
【0105】
ステップS72において、第1周波数の音波を受信していないと判定された場合、ステップS73において、所定の時間が経過したか否かが判定される。ここで、所定の時間は、第1回目の参照音波が受信できないと判断するのに要する時間であり、例えば、1.3秒である。ステップSS73において、所定の時間が経過していないと判定された場合、ステップS72に戻る。
【0106】
ステップS72において、第1周波数の音波を受信したと判定された場合、ステップS74の処理が実行される。ステップS74において、遅延計算部153は、
図9のステップS43で受信したと判定されたメッセージに記述された第1回目の参照音波出力時刻と現在時刻との差分Diff1を特定する。
【0107】
一方、ステップS73において、所定の時間が経過していないと判定された場合、ステップS74の処理はスキップされて、ステップS75の処理が実行される。この場合、第1回目の参照音波は受信できなかったことになる。
【0108】
ステップS75において、音波受信判定部152は、第2周波数の音波を受信したか否かを判定する。ここで、第2周波数は、第2回目に出力される参照音波の周波数を意味する。第2周波数は、一例として、21kHzであってもよい。
【0109】
ステップS75において、第2周波数の音波を受信していないと判定された場合、ステップS76において、所定の時間が経過したか否かが判定される。ここで、所定の時間は、第2回目の参照音波が受信できないと判断するのに要する時間である。ステップS76において、所定の時間が経過していないと判定された場合、ステップS75に戻る。
【0110】
ステップS75において、第2周波数の音波を受信したと判定された場合、ステップS77の処理が実行される。ステップS77において、遅延計算部153は、
図9のステップS43で受信したと判定されたメッセージに記述された第2回目の参照音波出力時刻と現在時刻との差分Diff2を特定する。
【0111】
一方、ステップS76において、所定の時間が経過していないと判定された場合、ステップS77の処理はスキップされて、ステップS78の処理が実行される。この場合、第2回目の参照音波は受信できなかったことになる。
【0112】
ステップS78において、音波受信判定部152は、第3周波数の音波を受信したか否かを判定する。ここで、第3周波数は、第3回目に出力される参照音波の周波数を意味する。第3周波数は、一例として、22kHzであってもよい。
【0113】
ステップS78において、第3周波数の音波を受信していないと判定された場合、ステップS79において、所定の時間が経過したか否かが判定される。ここで、所定の時間は、第3回目の参照音波が受信できないと判断するのに要する時間である。ステップS79において、所定の時間が経過していないと判定された場合、ステップS78に戻る。
【0114】
ステップS78において、第3周波数の音波を受信したと判定された場合、ステップS80の処理が実行される。ステップS80において、遅延計算部153は、
図9のステップS43で受信したと判定されたメッセージに記述された第3回目の参照音波出力時刻と現在時刻との差分Diff3を特定する。
【0115】
一方、ステップS79において、所定の時間が経過していないと判定された場合、ステップS80の処理はスキップされて、ステップS81の処理が実行される。この場合、第3回目の参照音波は受信できなかったことになる。
【0116】
ステップS81において、遅延計算部153は、特定した差分の平均を算出する。なお、受信できなかった参照音波に対応する差分は特定できないため、差分Diff1乃至差分Diff3のうち、特定できたものについての平均が算出される。なお、例えば、3回出力される参照音波のうち、2回以上、参照音波を受信できなかった場合、平均の算出は省略されるようにしてもよい。
【0117】
このようにして、遅延時間計算処理が実行される。
【0118】
ここでは、スピーカ12-1およびスピーカ12-2から参照音波が3回出力される例について説明したが、参照音波の出力回数は任意でよい。例えば、参照音波が数十回出力され、メッセージが示す複数の時刻のそれぞれと、それらの参照音波を受信した時刻との差分の平均値が算出されるようにしてもよい。
【0119】
また、ここでは、時刻の修正において、メッセージが示す複数の時刻のそれぞれと、参照音波のそれぞれを受信した時刻との差分の平均値が用いられることとしたが、他の値が用いられるようにしてもよい。
【0120】
一例として、参照音波の出力回数が充分に多い場合、参照音波のそれぞれを受信した時刻との差分の中で、中央値または最頻値を特定する演算が行われ、その中央値または最頻値が用いられるようにしてもよい。あるいは、中央値または最頻値にさらに所定の演算を行うことにより得られた値が用いられるようにしてもよい。
【0121】
すなわち、メッセージが示す複数の時刻のそれぞれと、参照音波のそれぞれを受信した時刻との差分に対して所定の演算を行い、演算により得られた値を、メッセージが示す時刻に加算することにより修正時刻が算出されるようにしてもよい。
【0122】
なお、
図8および
図9を参照して説明した処理においては、サーバ31および端末21のそれぞれにおいてNTP同期の処理が実行される例について説明したが、必ずしもNTP同期の処理が実行される必要はない。例えば、サーバ31のタイマがインターネットなどの時刻とほぼ正確に同期している可能性が高い場合、サーバ31において、NTP同期の処理が実行されないようにしてもよい。同様に、端末21においても、NTP同期の処理が実行されないようにしてもよい。
【0123】
また、上述した例では、遅延時間をメッセージが示す時刻に加算することにより修正時刻が算出されるようにしたが、端末21のタイマを遅延時間だけ遅らせることで端末21のタイマが修正されるようにしてもよい。メッセージが示す複数の時刻のそれぞれと、参照音波のそれぞれを受信した時刻との差分に対して所定の演算を行い、演算により得られた値を、端末21のタイマに加算することにより修正時刻が算出されるようにしてもよい。
【0124】
(第一実施形態の効果)
上述したように、本実施形態に係る時刻調整システムにおいては、時刻を修正するためのメッセージと参照音波とに基づく時刻の修正が行われる。このようにすることで、ネットワーク遅延を考慮したコンテンツと端末との正確な同期が可能となる。
【0125】
観客がオンラインリズムゲームを楽しむためには、コンテンツの画像の表示および音楽の演奏が開始される時刻と、端末21においてゲームが開始される時刻が正確に一致する必要がある。オンラインリズムゲームでは、動画像や音楽とタイミング合わせて端末を操作するので、コンテンツと端末21が正確に同期していないと、ゲームをする観客の体感にずれが生じてしまうからである。
【0126】
本実施形態によれば、ネットワーク遅延を考慮したコンテンツと端末との正確な同期が可能なので、観客は違和感なくゲームを楽しむことができる。
【0127】
このように、本実施形態によれば、ネットワークを介して送信されるコンテンツと、送信されたコンテンツが受信されて表示される会場にある端末との間で時刻を正確に同期させることができる。
【0128】
<第二実施形態>
第一実施形態においては、参照音波の周波数が不可聴周波数帯域となるように設定され、例えば、20kHz以上の周波数が設定された。オンラインリズムゲームが開始される前に会場10において発生する音は、通常、人の声や人が歩く音などであり、不可聴周波数帯域の雑音が生じることはごく稀であると考えられるからである。
【0129】
しかし、可聴周波数帯域であっても、充分に高い周波数または低い周波数の音波であれば、やはりオンラインリズムゲームが開始される前に会場10において発生することは稀であると考えられる。このため、参照音波の周波数は、特定の周波数に限られるものではない。要は、端末21が参照音波の受信を検知することができればよい。
【0130】
<その他の実施形態>
上述した実施形態においては、各実施形態の時刻調整システムをオンラインリズムゲームにおいて利用する例について説明したが、各実施形態の時刻調整システムの用途は、オンラインリズムゲームに限られるものではない。ネットワーク遅延を考慮したコンテンツと端末との同期が必要となる場合、やはり各実施形態の時刻調整システムを利用することができる。
【0131】
例えば、特にXRライブのように、観客が端末を使ってコンテンツの演出を変えたりすることができるイベント(インタラクションライブと称される)がある。このようなインタラクションライブにおいて、各実施形態の時刻調整システムを利用することにより、やはり、ネットワーク遅延によって観客が感じる違和感を除去することが可能となる。
【0132】
また、上述した実施形態においては、サーバ31がネットワーク71を介して会場10のネットワーク接続装置41および画像音声制御装置51と接続される例について説明した。しかし、ネットワーク接続装置41および画像音声制御装置51が設置される場所は、会場10に限られない。例えば、ネットワーク接続装置41および画像音声制御装置51が店舗に設置されるようにしてもよいし、家庭に設置されるようにしてもよい。
【0133】
<ソフトウェアによる実現例>
上述したサーバ31および端末21は、コンピュータを機能させるためのプログラムであって、サーバ31および端末21としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。この場合、サーバ31および端末21は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。このようなコンピュータの一例を
図10に示す。
【0134】
コンピュータ500は、少なくとも1つのプロセッサ501と、少なくとも1つのメモリ502と、を備えている。メモリ502には、コンピュータ500をサーバ31および端末21として動作させるためのプログラム520が記録されている。コンピュータ500において、プロセッサ501は、このプログラム520をメモリ502から読み取って実行することにより、サーバ31および端末21の各機能が実現される。
【0135】
プロセッサ501としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0136】
メモリ502としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0137】
なお、コンピュータ500は、プログラム520を実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータ500は、他の装置との間でデータを送受信するための通信インターフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータ500は、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インターフェースを更に備えていてもよい。
【0138】
また、コンピュータ500をサーバ31および端末21として動作させるためのプログラム520は、コンピュータ500が読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体530に記録することができる。このような記録媒体530としては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータ500は、このような記録媒体530を介してプログラム520を取得することができる。
【0139】
また、コンピュータ500をサーバ31および端末21として動作させるためのプログラム520は、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータ500は、このような伝送媒体を介してプログラム520を取得することもできる。
【0140】
また、サーバ31および端末21の各機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0141】
以上説明してきた本発明の各態様によれば、上述した作用効果を奏することにより、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と具術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0142】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0143】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る端末装置は、ネットワークを介して音波出力装置に接続されるサーバ装置と同期するためのメッセージであって、予め設定された周波数の音波である参照音波が出力される時刻を示すメッセージを受信するメッセージ受信部と、前記音波出力装置から出力された前記参照音波を受信したか否かを判定する音波受信判定部と、前記参照音波を受信したと判定された場合、前記メッセージに示された時刻と前記参照音波を受信した時刻との差分により遅延時間を算出する遅延計算部とを備える。
【0144】
本発明の態様2に係る端末装置は、上記の態様1において、前記メッセージを受信する前にNTP同期する。
【0145】
本発明の態様3に係る端末装置は、上記の態様1または2において、前記メッセージは、前記参照音波を出力する複数の時刻をそれぞれ示し、前記サーバ装置は、前記メッセージが示す時刻のそれぞれにおいて、前記音波出力装置に前記参照音波を出力させるための制御信号を送信する。
【0146】
本発明の態様4に係る端末装置は、上記の態様3において、前記音波出力装置が、複数回前記参照音波を出力し、第n(nは2以上の自然数)回目に出力される前記参照音波の周波数が、第n-1回目に出力される前記参照音波の周波数と異なる。
【0147】
本発明の態様5に係る端末装置は、上記の態様3または4において、前記メッセージが示す複数の時刻のそれぞれと、前記参照音波のそれぞれを受信した時刻との差分に対して所定の演算を行い、前記演算により得られた値を、前記メッセージが示す時刻に加算することにより修正時刻を算出する時刻修正部をさらに備える。
【0148】
本発明の態様6に係る端末装置は、上記の態様3~5のいずれかにおいて、前記サーバ装置が、前記制御信号を送信した後、所定の時間が経過したとき、コンテンツの配信を開始する。
【0149】
本発明の態様7に係る端末装置は、上記の態様6において、前記コンテンツは、オンラインリズムゲームである。
【0150】
本発明の態様8に係るサーバ装置は、ネットワークを介して音波出力装置に接続されるサーバ装置であって、予め設定された周波数の音波である参照音波を出力する時刻を示すメッセージを送信するメッセージ送信部と、前記音波出力装置に前記参照音波を出力させるための制御信号を、前記メッセージが示す時刻に送信する音波出力制御部とを備える。
【0151】
本発明の態様9に係る時刻調整システムは、サーバ装置と、前記サーバ装置とネットワークを介して接続される音波出力装置と、端末装置とを有する時刻調整システムであって、前記サーバ装置は、予め設定された周波数の音波である参照音波を出力する時刻を示すメッセージを送信するメッセージ送信部と、前記音波出力装置に前記参照音波を出力させるための制御信号を、前記メッセージが示す時刻に送信する音波出力制御部とを備え、前記端末装置は、前記サーバ装置から送信されたメッセージを受信するメッセージ受信部と、前記参照音波を受信したか否かを判定する音波受信判定部と、前記参照音波を受信したと判定された場合、前記メッセージに示された時刻と前記参照音波を受信した時刻との差分により遅延時間を算出する遅延計算部とを備える。
【符号の説明】
【0152】
1 時刻調整システム
11 スクリーン
12 スピーカ
21 端末
41 ネットワーク接続装置
51 画像音声制御装置
71 ネットワーク
111 コンテンツ再生処理部
112 メッセージ送信部
113 音波出力制御部
114 計時制御部
115 記憶部
151 メッセージ受信部
152 音波受信判定部
153 遅延計算部
154 計時制御部
155 ゲーム実行処理部
【要約】
【課題】ネットワークを介して送信されるコンテンツと、送信されたコンテンツが受信されて表示される場所にある端末との間で時刻を正確に同期させることができるようにする。
【解決手段】ネットワークを介して音波出力装置に接続されるサーバ装置と同期するためのメッセージであって、予め設定された周波数の音波である参照音波が出力される時刻を示すメッセージを受信するメッセージ受信部と、音波出力装置から出力された参照音波を受信したか否かを判定する音波受信判定部と、参照音波を受信したと判定された場合、メッセージに示された時刻と参照音波を受信した時刻との差分により自分のタイマの時刻を修正した修正時刻を算出する時刻修正部とを備える。
【選択図】
図7