(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】コネクタ組立方法、車載機器組立方法、コネクタ組立体、車載機器
(51)【国際特許分類】
H01R 12/91 20110101AFI20240409BHJP
H01R 13/533 20060101ALI20240409BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H01R12/91
H01R13/533 D
H01R13/631
(21)【出願番号】P 2023063335
(22)【出願日】2023-04-10
(62)【分割の表示】P 2019188556の分割
【原出願日】2019-10-15
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】土井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】坪井 秋男
(72)【発明者】
【氏名】清水 翼
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-072046(JP,A)
【文献】特開2015-133204(JP,A)
【文献】特開2018-015072(JP,A)
【文献】特開2012-079413(JP,A)
【文献】特開2014-154256(JP,A)
【文献】特開2002-373730(JP,A)
【文献】特開平2-024983(JP,A)
【文献】特開平9-283228(JP,A)
【文献】中国実用新案第202617547(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R9/28
H01R12/00-12/91
H01R13/533
H01R13/631
H01R13/73
H01R24/00-24/86
H01R31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のケースに固定される外部コネクタと、当該ケースの内側の内部基板上の内部コネクタとを接続するコネクタ組立方法であって、
前記外部コネクタの後端部には複数の支持部が設けられ、前記複数の支持部の後端からストレート状の複数のバスバーが延出し、
前記複数の支持部が前記外部コネクタの後端部から前記複数のバスバーに沿って延びており、
前記内部コネクタに形成された複数のソケット開口の内側に接触端子が設けられ、前記複数のソケット開口が前記ケースの貫通穴から側方に露出し、
前記内部コネクタの前記複数のソケット開口に前記外部コネクタの前記複数のバスバーの先端を近づけて、前記複数のソケット開口に前記複数のバスバーの先端側を差し込ませることを特徴とするコネクタ組立方法。
【請求項2】
前記内部コネクタがフローティングコネクタであり、前記内部基板に固定された固定ハウジングの内側に、フローティングバネを介して可動ハウジングが浮動状態で支持されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ組立方法。
【請求項3】
前記複数のソケット開口の内側には、一対の前記接触端子によってクリップ状の端子が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコネクタ組立方法。
【請求項4】
前記内部コネクタには、前記複数のソケット開口に向けて前記複数のバスバーの先端側をガイドする複数のガイド面が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ組立方法。
【請求項5】
ケースに外部コネクタが固定され、前記ケースの内側に内部基板が設置された車載機器組立方法であって、
前記外部コネクタの後端部には複数の支持部が設けられ、前記複数の支持部の後端からストレート状の複数のバスバーが延出し、
前記複数の支持部が前記外部コネクタの後端部から前記複数のバスバーに沿って延びており、
前記内部基板には内部コネクタが設けられ、当該内部コネクタに形成された複数のソケット開口の内側に接触端子が設けられ、前記複数のソケット開口が前記ケースの貫通穴から側方に露出し、
前記内部コネクタの前記複数のソケット開口に前記外部コネクタの前記複数のバスバーの先端を近づけて、前記複数のソケット開口に前記複数のバスバーの先端側を差し込ませて、前記ケースに前記外部コネクタを固定することを特徴とする車載機器組立方法。
【請求項6】
機器のケースに固定された外部コネクタと、前記ケースの内側の内部基板上の内部コネクタとを備えたコネクタ組立体であって、
前記外部コネクタの後端部には複数の支持部が設けられ、前記複数の支持部の後端からストレート状の複数のバスバーが延出し、
前記複数の支持部が前記外部コネクタの後端部から前記複数のバスバーに沿って延びており、
前記内部コネクタに形成された複数のソケット開口の内側に接触端子が設けられ、前記複数のソケット開口が前記ケースの貫通穴から側方に露出し、
前記複数のソケット開口が前記複数のバスバーの先端側を差し込み可能に形成されていることを特徴とするコネクタ組立体。
【請求項7】
ケースと、前記ケースに固定された外部コネクタと、前記ケースの内側に設置された内部基板と、前記内部基板上に設けられた内部コネクタとを備えた車載機器であって、
前記外部コネクタの後端部には複数の支持部が設けられ、前記複数の支持部の後端からストレート状の複数のバスバーが延出し、
前記複数の支持部が前記外部コネクタの後端部から前記複数のバスバーに沿って延びており、
前記内部コネクタに形成された複数のソケット開口の内側に接触端子が設けられ、前記複数のソケット開口が前記ケースの貫通穴から側方に露出し、
前記複数のソケット開口が前記複数のバスバーの先端側を差し込み可能に形成されていることを特徴とする車載機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ組立方法、車載機器組立方法、コネクタ組立体、車載機器に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ等の車載機器は、一般的な機器に比べて、強度、防水性、耐熱性、防塵性が求められる過酷な環境下で使用される。車載機器のケースには外部コネクタが固定され、この外部コネクタにケース内の内部基板が接続される。外部コネクタと内部基板の接続は、内部基板への外部コネクタのリードのネジ止め、内部基板のスルーホールへの外部コネクタのリードの半田付け、内部基板上の内部コネクタと外部コネクタのケーブル接続によって実施される。また、組み立て性を考慮して、外部コネクタの単芯の端子を、内部基板上のクリップ状の端子で挟み込む方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、車載機器のみならず、産業機器等の他の機器においても、機器の小型化と共に、外部コネクタと内部基板の接続作業の簡略化が望まれている。しかしながら、リードのネジ止め及び半田付けでは、外部コネクタと内部基板の接続作業が煩雑になる。ケーブル接続は、部品コストが増加すると共にケースにケーブルの設置スペースが必要になる。特許文献1の記載の方法では、内部基板に対して垂直な方向から外部コネクタが接続されている。このため、内部基板上の電子部品の高さ寸法等を考慮して単芯の端子が長くなり、全体的に機器が大型化してしまっていた。また、端子同士が剥き出した状態で接続しているため、防塵性を確保することができず、過酷な環境で使用することができない。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、過酷な環境下で使用され、機器の小型化を図ると共に接続作業の簡略化を実現するコネクタ組立方法、車載機器組立方法、コネクタ組立体、車載機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のコネクタ組立方法は、機器のケースに固定される外部コネクタと、当該ケースの内側の内部基板上の内部コネクタとを接続するコネクタ組立方法であって、前記外部コネクタの後端部には複数の支持部が設けられ、前記複数の支持部の後端からストレート状の複数のバスバーが延出し、前記複数の支持部が前記外部コネクタの後端部から前記複数のバスバーに沿って延びており、前記内部コネクタに形成された複数のソケット開口の内側に接触端子が設けられ、前記複数のソケット開口が前記ケースの貫通穴から側方に露出し、前記内部コネクタの前記複数のソケット開口に前記外部コネクタの前記複数のバスバーの先端を近づけて、前記複数のソケット開口に前記複数のバスバーの先端側を差し込ませることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様のコネクタ組立方法は、外部コネクタの複数のバスバーの先端側を内部コネクタの一対のソケット開口に差し込ませることで、バスバーと接触端子の接触によって外部コネクタと内部基板が電気的に接続される。これにより、機器の小型化に対応すると共に外部コネクタと内部基板の接続が簡略化される。さらに、接触端子とバスバーの先端側がソケット開口の内側に収容されて防塵性が確保される。よって、機器が過酷な環境下で使用されても、外部コネクタと内部基板の接続が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の外部コネクタ及び内部コネクタの斜視図である。
【
図3】本実施形態の内部コネクタを上方から見た斜視図である。
【
図4】本実施形態の内部コネクタを下方から見た斜視図である。
【
図5A】本実施形態のコネクタ組立方法を示す斜視図である。
【
図5B】本実施形態のコネクタ組立方法を示す斜視図である。
【
図6】比較例1の外部コネクタと内部基板の接続方式を示す斜視図である。
【
図7】比較例2の外部コネクタと内部基板の接続方式を示す斜視図である。
【
図8】比較例3の外部コネクタと内部基板の接続方式を示す斜視図である。
【
図11A】変形例のコネクタ組立方法を示す斜視図である。
【
図11B】変形例のコネクタ組立方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の外部コネクタ及び内部コネクタの斜視図である。以下の説明では、FR、RE、U、D、L、Rはそれぞれ前方向、後方向、上方向、下方向、左方向、右方向を示している。なお、
図1においては、説明の便宜上、ケースと内部基板の一部のみを図示している。
【0010】
図1に示すように、外部コネクタ20は、車載機器のケース10の側壁11に固定されたI/Fコネクタであり、バッテリ等の外部機器から延びるケーブルコネクタ15が接続されている。外部コネクタ20のハウジング21はケース10の側壁11に一対の固定ボルト19によってネジ止めされている。ケース10の側壁11には貫通穴12が形成されており、ハウジング21の後端部から一対の支持部26が貫通穴12を通じてケース10の内側に突出している。各支持部26にはライトアングル型のバスバー(リード)27が支持されており、外部コネクタ20がバスバー27を介して内部基板17上の内部コネクタ30に接続されている。
【0011】
内部コネクタ30は、フローティング構造を持ったソケットコネクタ(フローティングコネクタ)であり、矩形枠状の固定ハウジング32の内側に一対の可動ハウジング33が移動可能に収容されている。一対の可動ハウジング33の上面にはソケット開口34(
図3参照)が形成されており、各ソケット開口34の内側には一対のバスバー27に接触する複数の接触端子44(
図3参照)が設けられている。内部コネクタ30のソケット開口34に外部コネクタ20のバスバー27が差し込まれることによって、ネジ止めや半田付け等の作業が不要になって内部コネクタ30と外部コネクタ20の接続作業が簡略化されている。
【0012】
ケース10の内側に内部基板17を組み付ける際には、ケース10の壁面やガイドピン等によって内部基板17の組み付け位置が調整されるが、ケース10と内部基板17の間の位置ズレを完全に無くすことは難しい。また、外部コネクタ20をケース10に固定する際や、内部コネクタ30を内部基板17に実装する際にも僅かな位置ズレが生じる。この場合、バスバー27とソケット開口34に位置ズレが生じるが、本実施形態の内部コネクタ30がフローティング構造を有しているため、可動ハウジング33がバスバー27に追従して、ソケット開口34にバスバー27を容易に差し込むことができる。
【0013】
以下、
図2から
図4を参照して、外部コネクタ及び内部コネクタについて説明する。
図2は、本実施形態の外部コネクタの斜視図である。
図3は、本実施形態の内部コネクタを上方から見た斜視図である。
図4は、本実施形態の内部コネクタを下方から見た斜視図である。
【0014】
図2に示すように、外部コネクタ20は、ケース10の側壁11(
図1参照)に取り付けられる高耐熱・高強度樹脂製のハウジング21を備えている。ハウジング21は、ケーブルコネクタ15(
図1参照)が装着される筒状部22と、筒状部22の後端部から径方向外側に張り出したフランジ部23とを有している。筒状部22は、前後方向に延在し、広い左右幅を持った断面視角丸長方形状に形成されている。筒状部22の内側には、ケーブルコネクタ15のハウジング形状に対向した嵌合口が形成されている。フランジ部23は、前面視略平行四辺形状であり、一対の対角部分にネジ止め用の挿通穴24が形成されている。
【0015】
ハウジング21の後端部には、一対のバスバー27を支持する一対の支持部26が設けられている。一対の支持部26は、左右方向で隣接しており、ハウジング21の後端部から後方に突出している。一対の支持部26の後端から一対のバスバー27が延出しており、一対のバスバー27の基端側に対して一対のバスバー27の先端側が垂直に屈曲している。なお、垂直とは完全な垂直に限らず、垂直と見做せる程度の略垂直な状態も含んでいる。一対の支持部26の周囲には、ケース10の側壁11とハウジング21の間を液密に封止する防水シール25が設けられている。
【0016】
図3及び
図4に示すように、内部コネクタ30は、ケース10の内側に収容される内部基板17(
図1参照)に取り付けられる高耐熱・高強度樹脂製のソケットハウジング31を備えている。ソケットハウジング31は、内部基板17に固定される固定ハウジング32と、固定ハウジング32の内側に設置された一対の可動ハウジング33とを有している。固定ハウジング32は、広い左右幅を持った矩形枠状に形成されている。固定ハウジング32の左右方向(長手方向)の両端には一対の固定金具36が設けられている。固定ハウジング32は、一対の固定金具36を介して内部基板17(
図1参照)に半田付けによって固定される。
【0017】
一対の可動ハウジング33は、上面視矩形のブロック状に形成されており、固定ハウジング32の内側に左右に並んで設置されている。各可動ハウジング33の上面は角錐台状に窪んでおり、窪みの中央に可動ハウジング33を上下に貫くソケット開口34が形成されている。可動ハウジング33の上面の窪みによって、ソケット開口34に向けてバスバー27の先端側をガイドするガイド面37が形成されている。各可動ハウジング33は一対のフローティングバネ41を介して固定ハウジング32に連結され、一対のフローティングバネ41によって各可動ハウジング33が浮動状態で支持されている。
【0018】
フローティングバネ41は、金属片を折り曲げることで形成されており、可動ハウジング33を下側から支持している。フローティングバネ41は、固定ハウジング32と可動ハウジング33の隙間に入り込むようにU字状に屈曲している。フローティングバネ41の屈曲部分42から固定ハウジング32の外側に実装部43が延出し、フローティングバネ41の屈曲部分42からソケット開口34の内側に接触端子44が突出している。これにより、固定ハウジング32の周囲に4つの実装部43が設けられ、各可動ハウジング33のソケット開口34の内側に一対の接触端子44によってクリップ状の端子が形成される。
【0019】
各実装部43は、内部基板17の電極パッド(不図示)に半田付けによって固定されて、内部コネクタ30が内部基板17の処理回路に電気的に接続される。ソケット開口34にバスバー27(
図2参照)が差し込まれることで、ソケット開口34の内側の一対の接触端子44にバスバー27が挟み込まれる。車載機器が過酷な環境下で使用されても、接触端子44とバスバー27の多点接触によって接触信頼性が向上される。また、フローティングバネ41によって、バスバー27とソケット開口34に位置ズレが吸収される。さらに、フローティングバネ41によって車載機器に伝わる振動が吸収されて、バスバー27と接触端子44の接触不良が抑えられる。
【0020】
図5A及び
図5Bを参照して、コネクタ組立方法について説明する。
図5A及び
図5Bは、本実施形態のコネクタ組立方法を示す斜視図である。なお、
図5A及び
図5Bにおいては、説明の便宜上、ケースと内部基板の一部のみを図示している。
【0021】
図5Aに示すように、車載機器のケース10の側壁11には外部コネクタ20が固定されている。この場合、ケース10の側壁11には、外部コネクタ20のフランジ部23の一対の挿通穴24(
図2参照)に対応する位置に一対のネジ穴13が形成されている。この一対のネジ穴13に対して一対の挿通穴24を介して一対の固定ボルト19(
図1参照)がネジ止めされることで、外部コネクタ20がケース10の側壁11に固定される。側壁11の貫通穴12を通じて外部コネクタ20からケース10の内側に一対のバスバー27が延出している。ケース10は上下反転された状態で設置されており、一対のバスバー27の先端側が上方に向けられている。
【0022】
外部コネクタ20がケース10の側壁11に固定された後に、一対のバスバー27の上方に内部基板17の内部コネクタ30が位置付けられる。内部基板17も上下反転されており、内部基板17の上面の内部コネクタ30が下方に向けられている。ケース10の上方において、内部コネクタ30の上面の一対のソケット開口34(
図3参照)が外部コネクタ20の一対のバスバー27の先端に対して位置合わせされる。そして、内部基板17がケース10に向かって下されて、内部コネクタ30の一対のソケット開口34が外部コネクタ20の一対のバスバー27の先端に近づけられる。
【0023】
ケース10の壁面に沿って内部基板17が下ろされるが、ケース10と内部基板17の位置決め精度が十分ではない。このため、外部コネクタ20の一対のバスバー27に対して内部コネクタ30の一対のソケット開口34を位置合わせすることが難しい。外部コネクタ20の一対のバスバー27の先端が、内部コネクタ30の一対のソケット開口34の周囲のガイド面37に突き当たることで、一対のバスバー27の先端がガイド面37によって一対のソケット開口34までガイドされる。よって、バスバー27とソケット開口34に位置ズレが生じていても、一対のバスバー27の先端側が一対のソケット開口34に容易に差し込まれる。
【0024】
また、
図5Bに示すように、外部コネクタ20の一対のバスバー27の先端位置に追従して内部コネクタ30の可動ハウジング33(
図3参照)が動かされる。固定ハウジング32に対する可動ハウジング33の移動によって、ケース10に対する外部コネクタ20の位置ズレ、内部基板17に対する内部コネクタ30の位置ズレ、ケース10に対する内部基板17の位置ズレが吸収される。外部コネクタ20の一対のバスバー27の先端側が内部コネクタ30の一対のソケット開口34に差し込まれると、一対のソケット開口34の内側の接触端子44(
図3参照)と一対のバスバー27が接触する。外部コネクタ20と内部コネクタ30の接続によってコネクタ組立体が形成される。その後、内部基板17がケース10にネジ止め等によって設置されて車載機器が組み立てられる。
【0025】
このように、本実施形態のコネクタ組立方法は、内部コネクタ30の一対のソケット開口34に、外部コネクタ20の一対のバスバー27の先端側を差し込ませるだけで、外部コネクタ20と内部基板17を容易に接続することができる。また、ケース10が上下反転された状態で、ケース10に対して内部基板17が上方から組み付けられている。よって、車載機器の生産ライン等においてケース10に対する内部基板17の組み付け作業の作業性を向上させることができると共に、自動機によるケース10に対する内部基板17の組み付け作業の自動化を実現することができる。
【0026】
続いて、比較例1-3の外部コネクタと内部基板の接続方式と、本実施形態の外部コネクタと内部基板の接続方式を比較しながら説明する。
図6は、比較例1の外部コネクタと内部基板の接続方式を示す斜視図である。
図7は、比較例2の外部コネクタと内部基板の接続方式を示す斜視図である。
図8は、比較例3の外部コネクタと内部基板の接続方式を示す斜視図である。
【0027】
図6に示す比較例1の接続方式は、外部コネクタ51の一対のバスバー52を内部基板53にネジ止めする方式である。この接続方式では、一対のバスバー52は側面視クランク状に屈曲しており、一対のバスバー52の先端部の貫通穴を通じて一対の固定ネジ54が内部基板53のネジ穴にネジ止めされる。
図7に示す比較例2の接続方式は、外部コネクタ61の一対のバスバー62を内部基板63に半田付けする方式である。この接続方式では、一対のバスバー62がライトアングル状に屈曲しており、内部基板63のスルーホールに差し込まれた一対のバスバー62の先端部が内部基板63に半田付けされる。
【0028】
図8に示す比較例3の接続方式は、外部コネクタ71と内部基板73上の内部コネクタ74をケーブル接続する方式である。この接続方式では、ケーブル75の一端が外部コネクタ71に装着され、ケーブル75の他端が内部コネクタ74に装着される。これら比較例1-3の接続方式と本実施形態の接続方式を、組み付け性、自動化、リペア(交換容易性)、省スペース、接触信頼性、耐振性の観点から評価したところ、以下の表1に示す評価結果が得られた。表1の二重丸印は最も高い評価、丸印は高評価、三角印は中評価、バツ印は低評価をそれぞれ示している。
【表1】
【0029】
組み付け性については、比較例1、2の接続方式が低評価、比較例3の接続方式が中評価、本実施形態の接続方式が最も高い評価である。比較例1の接続方式は、内部基板53の組み付け時に負荷が大きなネジ止め作業が必要である。比較例2の接続方式は、内部基板63の組み付け時に負荷が大きな半田付け作業が必要である。比較例3の接続方式は、内部基板73の組み付け時に負荷が中程度のケーブル接続が必要である。本実施形態の接続方式は、内部コネクタ30のソケット開口34に外部コネクタ20のバスバー27の先端を差し込ませるという、最も負荷が小さな作業で内部基板17を組み付けることができる。
【0030】
自動化については、比較例1、3の接続方式が低評価、比較例2の接続方式が中評価、本実施形態の接続方式が最も高い評価である。比較例1の接続方式のネジ止め作業及び比較例3のケーブル接続作業は自動化に適さない。比較例2の接続方式の半田付け作業は自動化できるが、半田量等を適切に調整することが難しい。本実施形態の接続方式は、ケース10に対して上方から内部基板17を近づけることで、外部コネクタ20に内部基板17が接続される。このため、ロボットアーム等の自動機によって組み付け作業の自動化を容易に実現することができる。
【0031】
リペアについては、比較例1の接続方式が中評価、比較例2の接続方式が低評価、比較例3の接続方式が高評価、本実施形態の接続方式が最も高い評価である。比較例1の接続方式は、内部基板53の交換時に負荷が中程度のネジ外し作業が必要である。比較例2の接続方式は、外部コネクタ61のバスバー62に半田付けされた内部基板63を交換することはできない。比較例3の接続方式は、負荷が小さなケーブル外し作業によって内部基板17を交換することができる。本実施形態の接続方式は、ケース10から内部基板17を引き上げるという、最も負荷が小さな作業で内部基板17を交換することができる。
【0032】
省スペースについては、比較例1、2の接続方式が高評価、比較例3の接続方式が低評価、本実施形態の接続方式が高評価である。比較例1の接続方式はバスバー52がクランク状に屈曲し、比較例2のバスバー62はライトアングル状に屈曲しているため、省スペース化を図ることができる。比較例3の接続方式は、ケーブル75の設置スペースを確保しなければならないため、省スペース化を図ることができない。本実施形態の接続方式は、バスバー27がライトアングル状に屈曲しているため、比較例1、2と同様に省スペース化を図ることができる。
【0033】
接触信頼性については、比較例1の接続方式が中評価、比較例2の接続方式が低評価、比較例3の接続方式が高評価、本実施形態の接続方式が最も高い評価である。比較例1の接続方式は、ネジの緩みによって接触不良が生じるおそれがある。比較例2の接続方式は、半田付け部に疲労破壊によって接触不良が比較的生じやすい。比較例3の接続方式は、ケーブル接続であるため、接触不良が生じる可能性は低い。本実施形態の接続方式は、一対の接触端子44でバスバー27を挟み込んだ多点接触であるため、接触不良のリスクを最も減らすことができる。
【0034】
耐振性については、比較例1、2の接続方式が低評価、比較例3の接続方式が高評価、本実施形態の接続方式が最も高い評価である。比較例1の接続方式は、ネジ止め箇所に振動が伝わってネジの緩みが生じるおそれがある。比較例2の接続方式は、半田付け部に振動が伝わって半田付け部が破壊されるおそれがある。比較例3の接続方式は、ケーブル接続であるため、振動による影響は小さい。本実施形態の接続方式は、内部コネクタ30にフローティング構造を採用しているため、振動を吸収して内部基板17と外部コネクタ20の接続を良好に維持することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態によれば、外部コネクタ20のバスバー27の先端側を内部コネクタ30のソケット開口34に差し込ませることで、バスバー27と接触端子44の接触によって外部コネクタ20と内部基板17が電気的に接続される。これにより、車載機器の小型化に対応すると共に外部コネクタ20と内部基板17の接続が簡略化される。また、外部コネクタ20の一対のバスバー27に内部コネクタ30が接続される前に、ケース10に外部コネクタ20が固定されていることで、外部コネクタ20周りに事前に防水対策を施すことができる。さらに、接触端子44とバスバー27の先端側がソケット開口34の内側に収容されて防塵性が確保される。よって、車載機器が過酷な環境下で使用されても、外部コネクタ20と内部基板17の接続が維持される。
【0036】
なお、本実施形態では、ケース10に外部コネクタ20を固定した後に、内部基板17をケース10に設置しつつ、内部コネクタ30のソケット開口34に外部コネクタ20のバスバー27の先端を差し込ませる構成にしたが、この構成に限定されない。
図9から
図11の変形例に示すように、ケース10に内部基板17を設置した後に、外部コネクタ80をケース10に固定しつつ、内部コネクタ90のソケット開口94に外部コネクタ80のバスバー87の先端を差し込ませてもよい。
【0037】
以下、変形例について説明する。
図9は、変形例の外部コネクタの斜視図である。
図10は、変形例の内部コネクタの斜視図である。
図11Aは、変形例のコネクタ組立方法を示す斜視図である。
図11Bは、変形例のコネクタ組立方法を示す斜視図である。なお、変形例については、本実施形態と同様な構成については極力説明を省略する。
【0038】
図9に示すように、変形例の外部コネクタ80は、本実施形態の外部コネクタ20とは、バスバー87がストレート状に形成している点で相違している。すなわち、外部コネクタ80のハウジング81は、嵌合口が形成された筒状部82とネジ止め用の挿通穴84が形成されたフランジ部83を有している。ハウジング81の後端部には一対の支持部86が設けられ、各支持部86の後端からストレート状のバスバー87が延出している。また、一対の支持部86の周囲には、ケース10の側壁11とハウジング81の間を液密に封止する防水シール85が設けられている。
【0039】
図10に示すように、変形例の内部コネクタ90は、本実施形態の内部コネクタ30とは、固定ハウジング92に対して一対の可動ハウジング93が横向き状態で支持されている点で相違している。すなわち、ソケットハウジング91は、一側面を開口した矩形枠状の固定ハウジング92と、固定ハウジング92の一側面の開口からソケット開口94を露出した一対の可動ハウジング93とを有している。固定ハウジング92の左右方向の両端には、内部基板17に固定される一対の固定金具96が設けられている。可動ハウジング93の側面には、ソケット開口94に向けてバスバー87をガイドするガイド面97が形成されている。また、詳述しないが、各可動ハウジング93は、L字状の一対のフローティングバネ99によって浮動状態で支持されている。
【0040】
図11Aに示すように、変形例のコネクタ組立方法では、ケース10の内側に内部基板17がネジ止め等によって設置される。このとき、内部基板17上の内部コネクタ90の一対のソケット開口94(
図10参照)が、ケース10の貫通穴12から側方に露出している。内部基板17がケース10に固定された後に、一対のソケット開口94の前方に外部コネクタ80の一対のバスバー87が位置付けられる。ケース10の側方において、外部コネクタ80の一対のバスバー87の先端が内部コネクタ90の側面の一対のソケット開口94に対して位置合わせされる。そして、外部コネクタ80がケース10に向けて動かされて、外部コネクタ80の一対のバスバー87の先端が内部コネクタ90の一対のソケット開口94に近づけられる。このとき、外部コネクタ80の一対のバスバー87の先端が、内部コネクタ90のガイド面97(
図10参照)によって一対のソケット開口94までガイドされる。
【0041】
また、
図11Bに示すように、外部コネクタ80の一対のバスバー87の先端位置に追従して内部コネクタ90の可動ハウジング93(
図10参照)が動かされて、ケース10に対する内部基板17の位置ズレ等が吸収される。また、一対のソケット開口94の内側の接触端子(不図示)と一対のバスバー87が接触して、コネクタ組立体が形成される。その後、ケース10の側壁11に対して外部コネクタ80がネジ止め等によって固定されて車載機器が組み立てられる。このように、変形例のコネクタ組立方法も、本実施形態のコネクタ組立方法と同様に、内部コネクタ90の一対のソケット開口94に、外部コネクタ80の一対のバスバー87の先端側を差し込ませるだけで、外部コネクタ80と内部基板17を容易に接続することができる。
【0042】
また、本実施形態及び変形例では、内部コネクタとしてフローティングコネクタである構成を例示したが、内部コネクタはフローティングコネクタに限定されない。内部コネクタがフローティングコネクタではなくても、組み付け性、自動化、リペア、省スペース、接触信頼性の5つの観点で高い評価が得られる。
【0043】
また、本実施形態及び変形例では、外部コネクタ及び内部コネクタは、外部電源からの電力を受け付ける電源コネクタ、外部機器からの信号を受け付ける信号コネクタのいずれであってもよい。
【0044】
また、本実施形態及び変形例では、ソケット開口の内側にクリップ状の端子が設けられる構成にしたが、ソケット開口の内側の接触端子はクリップ状の端子でなくてもよい。
【0045】
また、本実施形態及び変形例では、内部コネクタにガイド面が形成される構成を例示したが、内部コネクタにガイド面が形成されていなくてもよい。
【0046】
また、本実施形態及び変形例では、外部コネクタに対して上方から内部基板が接続される構成にしたが、外部コネクタに対して下方から内部基板が接続されてもよい。
【0047】
また、本実施形態及び変形例では、外部コネクタからリードとして一対のバスバーが延出する構成にしたが、外部コネクタから1本のリードが延出してもよいし、外部コネクタから3本以上のリードが延出してもよい。
【0048】
また、本実施形態及び変形例では、機器として車載機器を例示したが、機器は産業機器等の他の機器でもよい。
【0049】
以上の通り、本実施形態のコネクタ組立方法は、機器のケース(10)に固定される外部コネクタ(80)と、当該ケースの内側の内部基板(17)上の内部コネクタ(90)とを接続するコネクタ組立方法であって、前記外部コネクタの後端部には複数の支持部(86)が設けられ、前記複数の支持部の後端からストレート状の複数のバスバー(87)が延出し、前記内部コネクタに形成された複数のソケット開口(94)の内側に接触端子(44)が設けられ、前記複数のソケット開口が前記ケースの貫通穴から側方に露出し、前記内部コネクタの前記複数のソケット開口に前記外部コネクタの前記複数のバスバーの先端を近づけて、前記複数のソケット開口に前記複数のバスバーの先端側を差し込ませる。この構成によれば、外部コネクタの複数のバスバーの先端側を内部コネクタの一対のソケット開口に差し込ませることで、バスバーと接触端子の接触によって外部コネクタと内部基板が電気的に接続される。これにより、機器の小型化に対応すると共に外部コネクタと内部基板の接続が簡略化される。さらに、接触端子とバスバーの先端側がソケット開口の内側に収容されて防塵性が確保される。よって、機器が過酷な環境下で使用されても、外部コネクタと内部基板の接続が維持される。
【0050】
本実施形態のコネクタ組立方法において、内部コネクタがフローティングコネクタであり、内部基板に固定された固定ハウジング(92)の内側に、フローティングバネ(99)を介して可動ハウジング(93)が浮動状態で支持されている。この構成によれば、ケースに対する外部コネクタの位置ズレ、内部基板に対する内部コネクタの位置ズレ、ケースに対する内部基板の位置ズレが、固定ハウジングに対する可動ハウジングの移動によって吸収される。また、フローティングバネによって車載機器に伝わる振動が吸収されて、外部コネクタのバスバーと内部コネクタの接触端子の接続が維持される。
【0051】
本実施形態のコネクタ組立方法において、複数のソケット開口の内側には、一対の接触端子によってクリップ状の端子が形成されている。この構成によれば、一対の接触端子によってバスバーが挟み込まれ、車載機器が過酷な環境下で使用されても、接触端子とバスバーの多点接触によって接触信頼性が向上されている。
【0052】
本実施形態のコネクタ組立方法において、前記内部コネクタには、前記複数のソケット開口に向けて前記複数のバスバーの先端側をガイドする複数のガイド面(97)が形成されている。この構成によれば、内部コネクタのガイド面にバスバーの先端が接触することで、ガイド面によってバスバーの先端がソケット開口までガイドされて、バスバーの先端側がソケット開口に容易に差し込まれる。
【0053】
本実施形態の車載機器組立方法は、ケースに外部コネクタが固定され、前記ケースの内側に内部基板が設置された車載機器組立方法であって、前記外部コネクタの後端部には複数の支持部が設けられ、前記複数の支持部の後端からストレート状の複数のバスバーが延出し、前記内部基板には内部コネクタが設けられ、当該内部コネクタに形成された複数のソケット開口の内側に接触端子が設けられ、前記複数のソケット開口が前記ケースの貫通穴から側方に露出し、前記内部コネクタの前記複数のソケット開口に前記外部コネクタの前記複数のバスバーの先端を近づけて、前記複数のソケット開口に前記複数のバスバーの先端側を差し込ませて、前記ケースに前記外部コネクタを固定する。この構成によれば、車載機器の小型化に対応すると共に、外部コネクタと内部基板の接続が簡略化される。また、車載機器が過酷な環境下で使用されても、外部コネクタと内部基板の接続が維持される。
【0054】
本実施形態のコネクタ組立体は、機器のケースに固定された外部コネクタと、前記ケースの内側の内部基板上の内部コネクタとを備えたコネクタ組立体であって、前記外部コネクタの後端部には複数の支持部が設けられ、前記複数の支持部の後端からストレート状の複数のバスバーが延出し、前記内部コネクタに形成された複数のソケット開口の内側に接触端子が設けられ、前記複数のソケット開口が前記ケースの貫通穴から側方に露出し、前記複数のソケット開口が前記複数のバスバーの先端側を差し込み可能に形成されている。この構成によれば、機器の小型化に対応すると共に、外部コネクタと内部基板の接続が簡略化される。機器が過酷な環境下で使用されても、外部コネクタと内部基板の接続が維持される。
【0055】
本実施形態の車載機器は、ケースと、前記ケースに固定された外部コネクタと、前記ケースの内側に設置された内部基板と、前記内部基板上に設けられた内部コネクタとを備えた車載機器であって、前記外部コネクタの後端部には複数の支持部が設けられ、前記複数の支持部の後端からストレート状の複数のバスバーが延出し、前記内部コネクタに形成された複数のソケット開口の内側に接触端子が設けられ、前記複数のソケット開口が前記ケースの貫通穴から側方に露出し、前記複数のソケット開口が前記複数のバスバーの先端側を差し込み可能に形成されている。この構成によれば、車載機器の小型化に対応すると共に、外部コネクタと内部基板の接続が簡略化される。また、車載機器が過酷な環境下で使用されても、外部コネクタと内部基板の接続が維持される。
【0056】
なお、本実施形態及び変形例を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0057】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0058】
10 :ケース
11 :側壁
17 :内部基板
20、80:外部コネクタ
27、87:バスバー(リード)
30、90:内部コネクタ
32、92:固定ハウジング
33、93:可動ハウジング
34、94:ソケット開口
37、97:ガイド面
41、99:フローティングバネ
44 :接触端子