(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/27 20110101AFI20240409BHJP
H04N 21/2662 20110101ALI20240409BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20240409BHJP
H04N 23/661 20230101ALI20240409BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H04N21/27
H04N21/2662
H04N5/222
H04N23/661
H04N7/18 A
(21)【出願番号】P 2023117783
(22)【出願日】2023-07-19
【審査請求日】2023-10-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】鶴崎 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】星川 豊希
(72)【発明者】
【氏名】境 直人
(72)【発明者】
【氏名】宮内 勇介
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/019546(WO,A1)
【文献】特開2015-015594(JP,A)
【文献】特開2023-030784(JP,A)
【文献】国際公開第2012/081170(WO,A1)
【文献】特開2005-072879(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0107029(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/661
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮影側装置のそれぞれから、各撮影側装置がエンコードした撮影データであるエンコード済データを受信する受信部と、
複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するデコード部と、
前記デコード部が復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択する選択部と、
前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、
前記選択部が撮影データを選択したタイミングで、当該撮影データに対応する撮影側装置が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、
前記選択部が撮影データを選択したタイミングから第1時間の経過後に、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定する設定部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
複数の撮影側装置のそれぞれから、各撮影側装置がエンコードした撮影データであるエンコード済データを受信する受信部と、
複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するデコード部と、
前記デコード部が復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択する選択部と、
前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定する設定部と、
前記選択部が選択した撮影データを、テレビ放送に用いる放送用撮影データ又はデータ配信に用いる配信用撮影データとして外部装置に出力する出力部であって、前記選択部が撮影データを選択してから、当該撮影データに対応する撮影側装置から第1品質のエンコード済データを受信し、当該エンコード済データから前記デコード部が復元した撮影データを出力可能になるまでの時間以降に、復元された当該撮影データを前記外部装置に出力する出力部と、
を有する情報処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記選択部が選択した撮影データに対応する撮影側装置から受信した第1品質のエンコード済データから前記デコード部が撮影データを復元したことを条件として、復元された当該撮影データを前記外部装置に出力する、
請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記デコード部が、前記選択部が選択した撮影データに対応する撮影側装置から受信したエンコード済データから、撮影データとして前記第1品質に対応するIフレームを復元したことを検出すると、復元された当該撮影データを前記外部装置に出力する、
請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の撮影側装置のそれぞれから、各撮影側装置がエンコードした撮影データであるエンコード済データを受信する受信部と、
複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するデコード部と、
前記デコード部が復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択する選択部と、
前記複数の撮影側装置からの撮影データの伝送に対して所定の通信帯域を占有できる場合に、占有帯域を前記複数の撮影側装置の台数で分割して得られる部分帯域に基づいて、前記選択部が選択した撮影データに対応する撮影側装置が生成するエンコード済データの品質である第1品質としてのデータ転送レートと、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が生成するエンコード済データの品質である前記第1品質よりも低い第2品質としてのデータ転送レートを設定し、前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置が
前記第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が
前記第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定する設定部と、
を有する情報処理装置。
【請求項6】
複数の撮影側装置のそれぞれから、各撮影側装置がエンコードした撮影データであるエンコード済データを受信する受信部と、
複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するデコード部と、
前記デコード部が復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択する選択部と、
前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定する設定部
であって、前記複数の撮影側装置からの撮影データの伝送に対して所定の通信帯域を占有できる場合には、前記複数の撮影側装置のすべての撮影側装置が前記第1品質のエンコード済データを生成するように前記複数の撮影側装置のすべての撮影側装置を設定する設定部と、
前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、前記選択部が撮影データを選択したタイミングで、選択された撮影データをテレビ放送に用いる放送用撮影データ又はデータ配信に用いる配信用撮影データとして外部装置に出力する出力部と、
を有する情報処理装置。
【請求項7】
前記設定部は、複数の前記撮影側装置に、自身が前記選択部により選択された撮影データに対応する撮影側装置であるか否かを通知する通知信号を用いて、前記選択部により選択された撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定する、
請求項1
から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数の前記撮影側装置それぞれには、自身が生成した撮影データが前記選択部により選択されていることを示すタリーランプが設けられており、
前記設定部は、複数の前記撮影側装置それぞれの前記タリーランプの点灯状態を変化させるためのタリー信号を用いて、前記選択部により選択された撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定する、
請求項
7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記受信部は、撮影側装置から無線通信によりデータを受信し、
前記設定部は、前記無線通信に対応する電波の受信強度に応じて第1品質としてのデータ転送レートと、第2品質としてのデータ転送レートを決定する、
請求項1
から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記受信強度は、撮影側装置で取得した電波の品質を示す情報に基づくものである、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記選択部は、特定の撮影側装置からの応答がなくなった場合には、当該撮影側装置に対応する撮影データを選択しないように制御する、
請求項1
から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、
複数の撮影側装置のそれぞれから、各撮影側装置がエンコードした撮影データであるエンコード済データを受信するステップと、
複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するステップと、
復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択するステップと、
撮影データを選択したことに応じて、
前記選択するステップにおいて撮影データを選択したタイミングで、当該撮影データに対応する撮影側装置が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、
前記選択するステップにおいて撮影データを選択したタイミングから第1時間の経過後に、前記選択するステップにおいて選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータが実行する、
複数の撮影側装置のそれぞれから、各撮影側装置がエンコードした撮影データであるエンコード済データを受信するステップと、
複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するステップと、
復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択するステップと、
撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するステップと、
選択した撮影データを、テレビ放送に用いる放送用撮影データ又はデータ配信に用いる配信用撮影データとして外部装置に出力するステップであって、撮影データを選択してから、当該撮影データに対応する撮影側装置から第1品質のエンコード済データを受信し、当該エンコード済データから前記復元するステップにおいて復元した撮影データを出力可能になるまでの時間以降に、復元された当該撮影データを前記外部装置に出力するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータが実行する、
複数の撮影側装置のそれぞれから、各撮影側装置がエンコードした撮影データであるエンコード済データを受信するステップと、
複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するステップと、
復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択するステップと、
前記複数の撮影側装置からの撮影データの伝送に対して所定の通信帯域を占有できる場合に、占有帯域を前記複数の撮影側装置の台数で分割して得られる部分帯域に基づいて、前記選択するステップにおいて選択された撮影データに対応する撮影側装置が生成するエンコード済データの品質である第1品質としてのデータ転送レートと、前記選択するステップにおいて選択されていない撮影データに対応する撮影側装置が生成するエンコード済データの品質である前記第1品質よりも低い第2品質としてのデータ転送レートを設定するステップと、
撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置が
前記第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、選択していない撮影データに対応する撮影側装置が
前記第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータが実行する、
複数の撮影側装置のそれぞれから、各撮影側装置がエンコードした撮影データであるエンコード済データを受信するステップと、
複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するステップと、
復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択するステップと、
撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するステップ
であって、前記複数の撮影側装置からの撮影データの伝送に対して所定の通信帯域を占有できる場合には、前記複数の撮影側装置のすべての撮影側装置が前記第1品質のエンコード済データを生成するように前記複数の撮影側装置のすべての撮影側装置を設定するステップと、
撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データを選択したタイミングで、選択された撮影データをテレビ放送に用いる放送用撮影データ又はデータ配信に用いる配信用撮影データとして外部装置に出力するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項16】
情報処理装置と、複数の撮影側装置とを有する情報処理システムであって、
複数の前記撮影側装置それぞれは、
撮影を行うことにより撮影データを生成する撮影部と、
前記撮影部が生成した撮影データをエンコードするエンコード部と、
エンコードされた撮影データであるエンコード済データを送信する送信部と、
を有し、
前記情報処理装置は、
複数の前記撮影側装置のそれぞれから、エンコード済データを受信する受信部と、
複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するデコード部と、
前記デコード部が復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択する選択部と、
前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、
前記選択部が撮影データを選択したタイミングで、当該撮影データに対応する撮影側装置が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、
前記選択部が撮影データを選択したタイミングから第1時間の経過後に、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定する設定部と、
を有する、
情報処理システム。
【請求項17】
情報処理装置と、複数の撮影側装置とを有する情報処理システムであって、
複数の前記撮影側装置それぞれは、
撮影を行うことにより撮影データを生成する撮影部と、
前記撮影部が生成した撮影データをエンコードするエンコード部と、
エンコードされた撮影データであるエンコード済データを送信する送信部と、
を有し、
前記情報処理装置は、
複数の前記撮影側装置のそれぞれから、エンコード済データを受信する受信部と、
複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するデコード部と、
前記デコード部が復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択する選択部と、
前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定する設定部と、
前記選択部が選択した撮影データを、テレビ放送に用いる放送用撮影データ又はデータ配信に用いる配信用撮影データとして外部装置に出力する出力部であって、前記選択部が撮影データを選択してから、当該撮影データに対応する撮影側装置から第1品質のエンコード済データを受信し、当該エンコード済データから前記デコード部が復元した撮影データを出力可能になるまでの時間以降に、復元された当該撮影データを前記外部装置に出力する出力部と、
を有する、
情報処理システム。
【請求項18】
情報処理装置と、複数の撮影側装置とを有する情報処理システムであって、
複数の前記撮影側装置それぞれは、
撮影を行うことにより撮影データを生成する撮影部と、
前記撮影部が生成した撮影データをエンコードするエンコード部と、
エンコードされた撮影データであるエンコード済データを送信する送信部と、
を有し、
前記情報処理装置は、
複数の前記撮影側装置のそれぞれから、エンコード済データを受信する受信部と、
複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するデコード部と、
前記デコード部が復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択する選択部と、
前記複数の撮影側装置からの撮影データの伝送に対して所定の通信帯域を占有できる場合に、占有帯域を前記複数の撮影側装置の台数で分割して得られる部分帯域に基づいて、前記選択部が選択した撮影データに対応する撮影側装置が生成するエンコード済データの品質である第1品質としてのデータ転送レートと、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が生成するエンコード済データの品質である前記第1品質よりも低い第2品質としてのデータ転送レートを設定し、前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置が
前記第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が
前記第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定する設定部と、
を有する、
情報処理システム。
【請求項19】
情報処理装置と、複数の撮影側装置とを有する情報処理システムであって、
複数の前記撮影側装置それぞれは、
撮影を行うことにより撮影データを生成する撮影部と、
前記撮影部が生成した撮影データをエンコードするエンコード部と、
エンコードされた撮影データであるエンコード済データを送信する送信部と、
を有し、
前記情報処理装置は、
複数の前記撮影側装置のそれぞれから、エンコード済データを受信する受信部と、
複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するデコード部と、
前記デコード部が復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択する選択部と、
前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定する設定部
であって、前記複数の撮影側装置からの撮影データの伝送に対して所定の通信帯域を占有できる場合には、前記複数の撮影側装置のすべての撮影側装置が前記第1品質のエンコード済データを生成するように前記複数の撮影側装置のすべての撮影側装置を設定する設定部と、
前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、前記選択部が撮影データを選択したタイミングで、選択された撮影データをテレビ放送に用いる放送用撮影データ又はデータ配信に用いる配信用撮影データとして外部装置に出力する出力部と、
を有する、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビ放送の番組制作において、複数の撮影装置により撮影を行い、複数の撮影装置それぞれが撮影することにより生成した撮影データをスイッチャに送信し、スイッチャにおいて、複数の撮影データのいずれかの撮影データをオンエア用の撮影データとして選択することが行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の撮影装置のそれぞれが撮影データを無線通信によりスイッチャに送信する場合、撮影データの送信により無線通信の帯域を逼迫してしまうという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、複数の撮影装置のそれぞれが撮影データを無線で送信する場合において帯域を逼迫してしまうことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、複数の撮影側装置のそれぞれから、各撮影側装置がエンコードした撮影データであるエンコード済データを受信する受信部と、複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するデコード部と、前記デコード部が復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択する選択部と、前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定する設定部と、を有する。
【0007】
前記設定部は、複数の前記撮影側装置に、自身が前記選択部により選択された撮影データに対応する撮影側装置であるか否かを通知する通知信号を用いて、前記選択部により選択された撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定してもよい。
【0008】
複数の前記撮影側装置それぞれには、自身が生成した撮影データが前記選択部により選択されていることを示すタリーランプが設けられており、前記設定部は、複数の前記撮影側装置それぞれの前記タリーランプの点灯状態を変化させるためのタリー信号を用いて、前記選択部により選択された撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定してもよい。
【0009】
前記設定部は、前記選択部が撮影データを選択したタイミングで、前記選択部により選択された撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が撮影データを選択したタイミングから第1時間の経過後に、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定してもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、前記選択部が選択した撮影データを、テレビ放送に用いる放送用撮影データ又はデータ配信に用いる配信用撮影データとして外部装置に出力する出力部をさらに有してもよい。
【0011】
前記出力部は、前記選択部が撮影データを選択してから、当該撮影データに対応する撮影側装置から第1品質のエンコード済データを受信し、当該エンコード済データから前記デコード部が復元した撮影データを出力可能になるまでの時間以降に、復元された当該撮影データを前記外部装置に出力してもよい。
【0012】
前記出力部は、前記選択部が選択した撮影データに対応する撮影側装置から受信した第1品質のエンコード済データから前記デコード部が撮影データを復元したことを条件として、復元された当該撮影データを前記外部装置に出力してもよい。
【0013】
前記出力部は、前記デコード部が、前記選択部が選択した撮影データに対応する撮影側装置から受信したエンコード済データから、撮影データとして前記第1品質に対応するIフレームを復元したことを検出すると、復元された当該撮影データを前記外部装置に出力してもよい。
【0014】
前記受信部は、撮影側装置から無線通信によりデータを受信し、前記設定部は、前記無線通信に対応する電波の受信強度に応じて第1品質としてのデータ転送レートと、第2品質としてのデータ転送レートを決定してもよい。
前記受信強度は、撮影側装置で取得した電波の品質を示す情報に基づくものであってもよい。
【0015】
前記選択部は、特定の撮影側装置からの応答がなくなった場合には、当該撮影側装置に対応する撮影データを選択しないように制御してもよい。
前記設定部は、複数の撮影側装置からの撮影データの伝送に対して所定の通信帯域を占有できる場合には、占有帯域を撮影側装置で分割して得られる部分帯域に基づいて、第1品質としてのデータ転送レートと、第2品質としてのデータ転送レートを設定してもよい。
【0016】
前記設定部は、複数の撮影側装置からの撮影データの伝送に対して所定の通信帯域を占有できる場合には、すべての撮影側装置が前記第1品質のエンコード済データを生成するようにすべての撮影側装置を設定し、前記情報処理装置は、前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、前記選択部が撮影データを選択したタイミングで、選択された撮影データをテレビ放送に用いる放送用撮影データ又はデータ配信に用いる配信用撮影データとして外部装置に出力する出力部を有してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、複数の撮影側装置のそれぞれから、各撮影側装置がエンコードした撮影データであるエンコード済データを受信するステップと、複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するステップと、復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択するステップと、撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するステップと、を有する。
【0018】
本発明の第3の態様に係る情報処理システムは、情報処理装置と、複数の撮影側装置とを有する情報処理システムであって、複数の前記撮影側装置それぞれは、撮影を行うことにより撮影データを生成する撮影部と、前記撮影部が生成した撮影データをエンコードするエンコード部と、エンコードされた撮影データであるエンコード済データを送信する送信部と、を有し、前記情報処理装置は、複数の前記撮影側装置のそれぞれから、エンコード済データを受信する受信部と、複数の前記撮影側装置それぞれから受信した複数の前記エンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するデコード部と、前記デコード部が復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択する選択部と、前記選択部が撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定するとともに、前記選択部が選択していない撮影データに対応する撮影側装置が前記第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置を設定する設定部と、を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の撮影装置のそれぞれが撮影データを無線で送信する場合において帯域を逼迫してしまうことを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】情報処理システムの概要を説明する図である。
【
図4】情報処理装置による撮影側装置の設定に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明する図である。情報処理システムSは、撮影を行う複数の撮影側装置1と、情報処理装置2とを有し、複数の撮影側装置1において生成された撮影データのいずれかを選択し、選択した撮影データを例えばテレビ放送に用いる放送用撮影データとして出力するシステムである。なお、
図1では、複数の撮影側装置1として2台の撮影側装置1を示しているが、これに限らず、3台以上の撮影側装置1が設けられていてもよい。
【0022】
情報処理装置2は、複数の撮影側装置1それぞれと、携帯電話回線等の無線通信ネットワークNを介して通信可能に接続されている。情報処理装置2は、複数の撮影側装置1それぞれから、撮影データをエンコードしたデータであるエンコード済データを受信する。情報処理装置2は、受信した複数のエンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元する。
【0023】
情報処理装置2は、復元した複数の撮影データのうち、放送用撮影データとして出力する撮影データを選択する。情報処理装置2は、選択した撮影データを、例えばテレビ放送を行うための外部装置に出力する。
【0024】
ところで、情報処理装置2が、複数の撮影側装置1のそれぞれから撮影データを無線通信により受信する場合、無線通信の帯域を逼迫してしまうという問題が生じる。これに対し、情報処理装置2は、選択した撮影データに対応するエンコード済データを送信する撮影側装置1が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定するとともに、選択していない撮影データに対応するエンコード済データを送信する撮影側装置1が第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定する。このようにすることで、情報処理システムSは、複数の撮影側装置1のそれぞれが撮影データを無線で送信する場合において帯域を逼迫してしまうことを抑制することができる。
【0025】
[撮影側装置1の機能構成]
続いて、情報処理システムSの機能構成について説明する。まず、撮影側装置1の機能構成について説明する。
図2は、撮影側装置1の機能構成を示す図である。なお、複数の撮影側装置1は、いずれも
図2に示す構成を有しているものとする。また、撮影側装置1は、
図2に示すように1台の装置により実現されているが、これに限らず、複数の装置により実現されていてもよい。
【0026】
図2に示すように、撮影側装置1は、撮影部11と、通信部12と、通知部13と、記憶部14と、制御部15とを有する。
撮影部11は、周囲の撮影を行うことにより撮影データを生成する。撮影部11は、生成した撮影データを制御部15に出力する。
通信部12は、情報処理装置2等と無線通信ネットワークNを介してデータを送受信するための通信インターフェースである。
【0027】
通知部13は、例えば、タリーランプであり、自身に対応する撮影側装置1である自装置が生成した撮影データが、例えばテレビ放送に用いる放送用撮影データとして選択されていることを周囲に通知する。通知部13は、点灯状態を変化させることにより、自装置が撮影した撮影データがテレビ放送に用いる放送用撮影データとして選択されているか否かを周囲に通知する。例えば、タリーランプが赤色に点灯している場合、自装置が撮影した撮影データが放送用撮影データとして選択されていることを示し、緑色に点灯している場合、自装置が撮影した撮影データが放送用撮影データとして選択されていないことを示す。
【0028】
記憶部14は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、及びフラッシュメモリ等を有する。記憶部14は、制御部15が実行するプログラムを記憶する。記憶部14は、制御部15を、設定部151、エンコード部152、送信部153、受信部154及び通知制御部155として機能させるプログラムを記憶する。
【0029】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部15は、記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより、設定部151、エンコード部152、送信部153、受信部154及び通知制御部155として機能する。
【0030】
設定部151は、情報処理装置2の指示により、エンコード部152が生成するエンコード済データの品質を設定する。設定部151は、情報処理装置2から、設定指示信号を受信すると、当該設定指示信号に基づいてエンコード部152がエンコードを行う際に参照するエンコードパラメータを設定することにより、エンコード部152が、第1品質のエンコード済データ、又は第2品質のエンコード済データを生成するようにする。
【0031】
設定部151は、情報処理装置2から、エンコード部152に第1品質のエンコード済データを生成させる第1設定指示信号を受信すると、エンコードパラメータを、第1品質のエンコード済データを生成させるエンコードパラメータに設定する。また、設定部151は、情報処理装置2から、エンコード部152に第2品質のエンコード済データを生成させる第2設定指示信号を受信すると、エンコードパラメータを、第2品質のエンコード済データを生成させるエンコードパラメータに設定する。
【0032】
ここで、エンコード済データの品質は、例えば、データ転送レートを変化させることにより変更される。例えば、第1品質のエンコード済データのデータ転送レートは、第2品質のエンコード済データのデータ転送レートに比べて高いものとする。なお、エンコード済データの品質は、データ転送レートを変化させることにより変更されることとしたが、これに限らず、撮影データの解像度、フレームレート、又はコーデックを変化させることにより変更されることとしてもよい。
【0033】
エンコード部152は、撮影部11が生成した撮影データをエンコードして、エンコード済データを生成する。エンコード部152は、例えば、動画圧縮規格であるH.265のエンコーダを用いて撮影データをエンコードして、エンコード済データを生成する。エンコード部152は、設定部151により設定されたエンコードパラメータに対応する品質のエンコード済データを生成する。なお、エンコード済データの生成に用いる動画圧縮規格をH.265としたが、これに限らず、mpeg-ts、H.264、VC-1、VC-2、V-PCC(Video-based point cloud compression)等の各種の動画圧縮規格を用いてもよい。
【0034】
送信部153は、エンコード部152が生成したエンコード済データを、通信部12を介して情報処理装置2に送信する。
受信部154は、放送用撮影データを選択するための装置であるスイッチャ(不図示)が放送用撮影データを選択したことに応じて、自装置が撮影した撮影データが放送用データとして選択されているか否かを示す通知信号を受信する。通知信号は、例えば、タリーランプの点灯色を変化させるためのタリー信号である。受信部154は、タリー信号として、タリーランプを赤色に点灯させる赤色点灯指示信号、又は、タリーランプを緑色に点灯させる緑色点灯指示信号を受信する。ここで、受信部154は、タリー信号をスイッチャから受信するものとするが、これに限らず、情報処理装置2から受信してもよい。
【0035】
通知制御部155は、受信部154が受信したタリー信号に基づいて、通知部13の点灯状態を制御することにより、撮影部11が撮影した撮影データがテレビ放送に用いる放送用撮影データとして選択されているか否かを周囲に通知する。例えば、通知制御部155は、受信部154がタリー信号として赤色点灯指示信号を受信すると、通知部13としてのタリーランプを赤色に点灯させる。また、通知制御部155は、受信部154がタリー信号として緑色点灯指示信号を受信すると、通知部13としてのタリーランプを緑色に点灯させる。
【0036】
[情報処理装置2の機能構成]
続いて、情報処理装置2の機能構成について説明する。
図3は、情報処理装置2の機能構成を示す図である。情報処理装置2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。
【0037】
通信部21は、複数の撮影側装置1それぞれとデータを送受信するための通信インターフェースである。
記憶部22は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM、RAM、ハードディスク、SSD、及びフラッシュメモリ等を有する。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを記憶する。記憶部22は、制御部23を、受信部231、デコード部232、表示制御部233、選択部234、設定部235、及び出力部236として機能させるプログラムを記憶する。
【0038】
制御部23は、例えばCPUである。制御部23は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部231、デコード部232、表示制御部233、選択部234、設定部235、及び出力部236として機能する。
【0039】
受信部231は、撮影側装置1から無線通信によりエンコード済データを受信する。具体的には、受信部231は、複数の撮影側装置1のそれぞれから、各撮影側装置1がエンコードした撮影データであるエンコード済データを、無線通信ネットワークNを介して受信する。
【0040】
デコード部232は、受信部231が複数の撮影側装置1それぞれから受信した複数のエンコード済データをデコードして、複数の撮影データを復元する。デコード部232は、例えば、H.265のデコーダを用いて複数のエンコード済データをデコードして、複数の撮影データを復元する。
【0041】
表示制御部233は、通信部21を介して、デコード部232が復元した複数の撮影データを一以上の表示装置(不図示)に表示させる。ここで、表示装置は、テレビ放送に用いる放送用撮影データを選択する担当者が複数の撮影データを確認するために用いられる。なお、情報処理装置2が表示部を有していてもよく、表示制御部233は、情報処理装置2が有する表示部に複数の撮影データを表示させてもよい。
【0042】
選択部234は、デコード部232が復元した複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択する。例えば、情報処理装置2は、複数の撮影データの中からテレビ放送に用いる放送用撮影データを選択するための装置であるスイッチャと通信可能に接続されている。選択部234は、スイッチャから、選択された撮影データを識別するための撮影データ識別情報を受信することにより、複数の撮影データの中から、受信した撮影データ識別情報に対応する一つの撮影データを選択する。
【0043】
選択部234は、一つの撮影データを選択したことに応じて、撮影側装置1に対して自身が撮影した撮影データが放送用データとして選択されているか否かを示す通知信号としてのタリー信号を送信する。例えば、選択部234は、選択した撮影データに対応する撮影側装置1に、タリー信号として、当該撮影データがテレビ放送に用いる放送用撮影データとして選択されたことを示す赤色点灯指示信号を送信する。また、選択部234は、一つの撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データを選択する直前に選択されていた撮影データに対応する撮影側装置1に、タリー信号として、当該撮影データがテレビ放送に用いる放送用撮影データとして選択されていないことを示す緑色点灯指示信号を送信する。
【0044】
なお、選択部234は、特定の撮影側装置1からの応答がなくなった場合には、不図示のスイッチャや、表示制御部233等を通じて、当該撮影側装置1に対応する撮影データを選択しないように制御してもよい。このようにすることで、テレビ放送中に、応答がない撮影側装置1に対応する撮影データが選択されてしまうことを防止することができる。
【0045】
設定部235は、選択部234が撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置1が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定する。また、設定部235は、選択部234が選択していない撮影データに対応する撮影側装置1が第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定する。
【0046】
まず、テレビ放送に用いる放送用撮影データとして選択されている撮影データに対応する撮影側装置1は、第1品質のエンコード済データを生成するように設定されており、放送用撮影データとして選択されていない撮影データに対応する撮影側装置1は、第2品質のエンコード済データを生成するように設定されている。
【0047】
そして、設定部235は、選択部234が撮影データを選択したことに応じて、複数の撮影側装置1のうち、選択された撮影データに対応する撮影側装置1に対し、当該撮影側装置1に第1品質のエンコード済データの生成を指示する第1設定指示信号を送信することで、当該撮影側装置1を設定する。また、設定部235は、選択部234が撮影データを選択したことに応じて、複数の撮影側装置1のうち、選択部234が当該撮影データを選択する直前に選択されていた撮影データに対応する撮影側装置1に対し、当該撮影側装置1に第2品質のエンコード済データの生成を指示する第2設定指示信号を送信することで、当該撮影側装置1を設定する。
【0048】
ここで、設定部235は、選択部234が選択した撮影データに対応する撮影側装置1が第1品質のエンコード済データの生成を開始するタイミングと、選択部234が当該撮影データを選択する直前に選択されていた撮影データに対応する撮影側装置1が、第1品質のエンコード済データの生成から、第2品質のエンコード済データの生成に切り換えるタイミングとを異ならせるようにしてもよい。
【0049】
例えば、設定部235は、選択部234が撮影データを選択したタイミングで、選択部234により選択された撮影データに対応する撮影側装置1が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定する。また、設定部235は、選択部234が撮影データを選択したタイミングから第1時間の経過後に、選択部234が選択していない撮影データに対応する撮影側装置1、すなわち、選択部234が撮影データを選択する直前に選択されていた撮影データに対応する撮影側装置1が第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定する。
【0050】
ここで、第1時間は、選択部234が撮影データを選択してから、当該撮影データに対応する撮影側装置1から受信したエンコード済データの品質が第1品質に切り換わり、出力部236が、第1品質のエンコード済データに基づく撮影データを出力するまでの時間よりも長い時間である。このようにすることで、情報処理装置2は、出力部236が第1品質のエンコード済データに基づく撮影データを出力したことをもって、それまでに出力部236が出力していた撮影データに対応するエンコード済データを第2品質に切り換えることができる。これにより、情報処理装置2は、第2品質のエンコード済データから復元された撮影データが放送用に用いられることを防止することができる。
【0051】
なお、設定部235は、設定指示信号を送信することにより、撮影側装置1に第1品質又は第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定したが、これに限らない。設定部235は、複数の撮影側装置1のそれぞれに、自身が選択部234により選択された撮影データに対応する撮影側装置であるか否かを示す通知信号を用いて、選択部234により選択された撮影データに対応する撮影側装置1が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定してもよい。同様に、設定部235は、当該通知信号を用いて、選択部234が生成していない撮影データに対応する撮影側装置1が第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定してもよい。
【0052】
この場合、例えば、設定部235は、選択部234が撮影データを選択すると、複数の撮影側装置1のそれぞれに、自装置が選択部234により選択された撮影データに対応する撮影側装置であるか否かを示す通知信号としてのタリー信号を送信することにより、撮影側装置1において第1品質又は第2品質のエンコード済データを生成するよう撮影側装置1を設定する。
【0053】
撮影側装置1の設定部151は、情報処理装置2から、受信部154が受信したタリー信号に基づいてエンコードパラメータを設定する。例えば、設定部151は、受信部154がタリー信号として赤色点灯指示信号を受信すると、エンコード部152が第1品質のエンコード済データを生成するようにエンコードパラメータを設定する。また、設定部151は、受信部154がタリー信号として緑色点灯指示信号を受信すると、エンコード部152が第2品質のエンコード済データを生成するようにエンコードパラメータを設定する。このようにすることで、情報処理装置2は、タリー信号に連動して撮影側装置1において第1品質のエンコード済データを生成するか、第2品質のエンコード済データを生成するかを設定することができる。なお、タリー信号には第1時間のディレイが設けられていない。このため、エンコード部152は、緑色点灯指示信号を受信したタイミングから第1時間が経過したことに応じて、第2品質のエンコード済データを生成するようにエンコードパラメータを設定してもよい。
【0054】
また、設定部235は、受信部231が撮影側装置1からエンコード済データを無線通信により受信するときの、無線通信に対応する電波の受信強度に応じて、第1品質としてのデータ転送レートと、第2品質としてのデータ転送レートとを決定してもよい。この場合、無線通信に対応する電波の受信強度は、撮影側装置1で取得した電波の品質を示す電波品質情報に基づくものである。電波品質情報は、例えば、電界強度、撮影側装置1の無線通信に対するリソースブロックの割当量、及び変調方式や符号化率を示すMCS(Modulation and Coding Scheme)の少なくともいずれかである。
【0055】
例えば、受信部231は、複数の撮影側装置1から、エンコード済データを受信するとともに、電波品質情報を取得する。設定部235は、取得した電波品質情報に基づいて、複数の撮影側装置1のそれぞれに対応して、無線通信に対応する電波の受信強度を特定する。
【0056】
記憶部22には、無線通信に対応する電波の受信強度の範囲と、第1品質としてのデータ転送レートと、第2品質としてのデータ転送レートとを関連付けて予め記憶させておく。設定部235は、複数の撮影側装置1のそれぞれに対し、特定した電波の受信強度に対応する電波の受信強度の範囲に関連付けられている第1品質としてのデータ転送レートと、第2品質としてのデータ転送レートとを特定する。
【0057】
設定部235は、選択部234により選択された撮影データに対応する撮影側装置1が、特定した第1品質としてのデータ転送レートのエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定する。また、設定部235は、選択部234により選択されていない撮影データに対応する撮影側装置1が、特定した第2品質としてのデータ転送レートのエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定する。
【0058】
また、設定部235は、複数の撮影側装置1からの撮影データの伝送に対して所定の通信帯域を占有できる場合には、占有帯域を撮影側装置1の台数で分割して得られる部分帯域に基づいて、第1品質としてのデータ転送レートと、第2品質としてのデータ転送レートとを設定してもよい。このようにすることで、情報処理装置2は、第1品質及び第2品質を撮影側装置1との通信状況に対応する品質に決定することができる。
【0059】
出力部236は、選択部234が撮影データを選択したことに応じて、選択部234が選択した撮影データを、例えばテレビ放送に用いる放送用撮影データとして、テレビ放送を行うための外部装置に送信する。
【0060】
例えば、出力部236は、選択部234が撮影データを選択してから、デコード部232が、当該撮影データに対応する撮影側装置1から第1品質のエンコード済データを取得して、当該エンコード済データから復元した撮影データを出力可能になるまでの時間である切換遅延時間以降に、当該復元された撮影データを外部装置に出力する。
【0061】
ここで、切換遅延時間は、予め測定された時間であり、切換遅延時間を示す遅延時間情報が記憶部22に記憶されているものとする。そして、出力部236は、選択部234が撮影データを選択すると、記憶部22に記憶されている遅延時間情報を参照し、選択部234が撮影データを選択してから、当該遅延時間情報が示す切換遅延時間を経過したタイミングで、選択された撮影データに対応する撮影側装置1から取得したエンコード済データから復元された撮影データを出力する。このようにすることで、情報処理装置2は、第2品質のエンコード済データに対応する撮影データが放送用に用いられることを防止することができる。
【0062】
なお、出力部236は、遅延時間情報を参照して、選択された撮影データに対応する撮影側装置1から取得したエンコード済データから復元された撮影データを出力したが、これに限らない。出力部236は、選択部234が選択した撮影データに対応する撮影側装置1から受信した第1品質のエンコード済データからデコード部232が撮影データを復元したことを条件として、復元された当該撮影データを外部装置に出力してもよい。
【0063】
この場合、出力部236は、デコード部232が、選択部234が選択した撮影データに対応する撮影側装置1から受信したエンコード済データから、撮影データとして第1品質に対応するIフレームを復元したことを検出すると、復元された当該撮影データを外部装置に出力する。例えば、出力部236は、選択部234が選択した撮影データに対応する撮影側装置1から受信したエンコード済データからデコード部232が復元したIフレームのデータ量に基づいて、デコード部232が第1品質に対応するIフレームを復元したことを検出する。このようにすることで、情報処理装置2は、第2品質のエンコード済データに対応する撮影データが放送用に用いられることを防止することができる。
【0064】
ここで、出力部236は、選択部234が選択した撮影データに対応する撮影側装置1からの第1品質のエンコード済データが外部装置に出力可能となるまでの間の時間、内部又は外部のスイッチャに対し、撮影データの切換中である旨の信号を送信し、スイッチャにおいて、撮影データの切換中における更なる撮影データの切換を受け付けないようにしてもよい。このようにすることで、通信状態に応じた映像ディレイ状況が把握しやすい映像切換システムを運用することが可能となる。
【0065】
[動作フロー]
続いて、情報処理装置2に係る処理の流れについて説明する。
図4は、情報処理装置2による撮影側装置1の設定に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本フローチャートと並行して、受信部231が複数の撮影側装置1のそれぞれからエンコード済データを受信し、デコード部232が当該複数のエンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元し、出力部236が既に選択されている撮影データを外部装置に出力しているものとする。
【0066】
まず、選択部234は、複数の撮影データの中から、一つの撮影データが新たに選択されたか否かを判定する(S1)。選択部234は、撮影データが新たに選択されたと判定すると(S1のYES)、S2に処理を移し、撮影データが新たに選択されていないと判定すると(S1のNO)、S1を再実行する。
【0067】
続いて、設定部235は、撮影データが選択されたことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置1を特定し、当該撮影側装置1に対して、第1品質のエンコード済データの生成を指示する第1設定指示信号を送信する(S2)。
【0068】
続いて、設定部235は、撮影データが選択されてから第1時間が経過したか否かを判定する(S3)。設定部235は、第1時間が経過したと判定すると(S3のYES)、S4に処理を移し、第1時間が経過していないと判定すると(S3のNO)、S3を再実行する。
【0069】
S4において、設定部235は、選択されていない撮影データに対応する撮影側装置1を特定し、当該撮影側装置1に対して、第2品質のエンコード済データの生成を指示する第2設定指示信号を送信する。
【0070】
続いて、出力部236は、外部装置に出力する撮影データを、S1において選択された撮影データに切り換える際の切換遅延時間が経過したか否かを判定する(S5)。出力部236は、切換遅延時間が経過したと判定すると(S5のYES)、S6に処理を移し、切換遅延時間が経過していないと判定すると(S5のNO)、S5を再実行する。
続いて、出力部236は、テレビ放送を行うための外部装置に出力する撮影データを、S1において選択された撮影データに切り換える(S6)。
【0071】
続いて、設定部235は、撮影側装置1の設定を管理する管理装置(不図示)から、撮影側装置1の設定に係る処理の終了指示を受け付けたか否かを判定する(S7)。設定部235は、終了指示を受け付けたと判定すると(S7のYES)、本フローチャートに係る処理を終了し、終了指示を受け付けていないと判定すると(S7のNO)、S1に処理を移す。
【0072】
[変形例1]
上述の実施の形態において、出力部236は、選択部234が選択した撮影データを、テレビ放送に用いる放送用撮影データとして外部装置に出力することとしたが、これに限らない。出力部236は、選択部234が選択した撮影データを、テレビ会議システム、ライブの動画配信サービスといった、データ配信に用いる配信用撮影データとして外部装置に出力してもよい。
【0073】
[変形例2]
また、設定部235は、複数の撮影側装置1からの撮影データの伝送に対して所定の通信帯域を占有できる場合には、占有帯域を撮影側装置1の台数で分割して得られる部分帯域に基づいて、第1品質としてのデータ転送レートと、第2品質としてのデータ転送レートとを設定してもよいこととしたが、これに限らない。
【0074】
設定部235は、複数の撮影側装置1からの撮影データの伝送に対して所定の通信帯域を占有でき、受信部231が、全ての撮影側装置1から第1品質のエンコード済データを同時に受信可能である場合には、全ての撮影側装置1が第1品質のエンコード済データを生成するように全ての撮影側装置1を設定してもよい。この場合、出力部236は、選択部234が撮影データを選択したことに応じて、選択部234が撮影データを選択したタイミングで、選択された撮影データを放送用撮影データとして外部装置に出力するようにしてもよい。このようにすることで、情報処理装置2は、選択部234が撮影データを選択してから、当該撮影データが放送用撮影データとして外部装置に出力するまでの遅延を抑制することができる。
【0075】
[情報処理装置2による効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置2は、複数の撮影側装置1のそれぞれからエンコード済データを受信し、複数の撮影側装置1それぞれから受信した複数のエンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元する。そして、情報処理装置2は、復元された複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択したことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置1が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定するとともに、選択されていない撮影データに対応する撮影側装置1が第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定する。このようにすることで、情報処理装置2は、複数の撮影側装置1のそれぞれが撮影データを無線で送信する場合において帯域を逼迫してしまうことを抑制することができる。
【0076】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0077】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0078】
1 撮影側装置
2 情報処理装置
11 撮影部
12 通信部
13 通知部
14 記憶部
15 制御部
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
151 設定部
152 エンコード部
153 送信部
154 受信部
155 通知制御部
231 受信部
232 デコード部
233 表示制御部
234 選択部
235 設定部
236 出力部
S 情報処理システム
【要約】 (修正有)
【課題】複数の撮影装置のそれぞれが撮影データを無線で送信する場合において帯域を逼迫してしまうことを抑制する。
【解決手段】情報処理装置2は、複数の撮影側装置1のそれぞれから、各撮影側装置1がエンコードした撮影データであるエンコード済データを受信する受信部231と、複数の撮影側装置1それぞれから受信した複数のエンコード済データをデコードして複数の撮影データを復元するデコード部232と、復元された複数の撮影データのうち、一つの撮影データを選択する選択部234と、撮影データが選択されたことに応じて、当該撮影データに対応する撮影側装置1が第1品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定するとともに、選択されていない撮影データに対応する撮影側装置1が第1品質よりも低い第2品質のエンコード済データを生成するように当該撮影側装置1を設定する設定部235と、を有する。
【選択図】
図3