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特許7469546充電制御システム、充電制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】充電制御システム、充電制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240409BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240409BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240409BHJP
   B60L 53/62 20190101ALI20240409BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20240409BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240409BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H02J7/02 F
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/62
B60L53/67
B60L58/12
H02J7/00 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023134903
(22)【出願日】2023-08-22
【審査請求日】2023-08-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】市川 哲理
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-056897(JP,A)
【文献】特開2013-192348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の充電器に供給可能な電力を取得する電力取得部と、
前記電力取得部により取得された電力を、前記複数の充電器のうち、満充電と判定された車両が接続された特定の充電器に供給せず、満充電と判定されていない車両が接続された充電器に供給し、一定時間経過後、前記複数の充電器のうち、当該特定の充電器と、満充電と判定されていない車両が接続された充電器とに供給する電力供給部と
を備え
前記電力供給部は、前記複数の充電器のうちの充電中でない充電器のうち、充電中でないことが満充電以外の要因によるものでない充電器に接続された車両が満充電と判定する、充電制御システム。
【請求項2】
前記電力供給部は、前記電力取得部により取得された電力を、前記複数の充電器のうち、満充電と判定されていない車両が接続された充電器に、車両が接続されてからの積算充電量に応じた優先順位で供給する、請求項1に記載の充電制御システム。
【請求項3】
前記電力供給部は、前記電力取得部により取得された電力を、前記一定時間経過後、前記複数の充電器のうち、前記特定の充電器と、満充電と判定されていない車両が接続された充電器とに、当該特定の充電器の優先順位を、満充電と判定されていない車両が接続された充電器の優先順位よりも低く設定して供給する、請求項1に記載の充電制御システム。
【請求項4】
複数の充電器に供給可能な電力を取得するステップと、
取得された電力を、前記複数の充電器のうち、満充電と判定された車両が接続された特定の充電器に供給せず、満充電と判定されていない車両が接続された充電器に供給し、一定時間経過後、前記複数の充電器のうち、当該特定の充電器と、満充電と判定されていない車両が接続された充電器とに供給するステップと
を含み、
前記供給するステップでは、前記複数の充電器のうちの充電中でない充電器のうち、充電中でないことが満充電以外の要因によるものでない充電器に接続された車両が満充電と判定する、充電制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
複数の充電器に供給可能な電力を取得する機能と、
取得された電力を、前記複数の充電器のうち、満充電と判定された車両が接続された特定の充電器に供給せず、満充電と判定されていない車両が接続された充電器に供給し、一定時間経過後、前記複数の充電器のうち、当該特定の充電器と、満充電と判定されていない車両が接続された充電器とに供給する機能と
を実現させ
前記供給する機能は、前記複数の充電器のうちの充電中でない充電器のうち、充電中でないことが満充電以外の要因によるものでない充電器に接続された車両が満充電と判定する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御システム、充電制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両を充電するための複数の充電器と、充電器の充電電流を一括制御する充電制御部とを有し、充電制御部は充電する車両に優先順位を設定するために車両毎に設けた充電量の閾値を設けて、充電量が閾値以下の車両の充電を、閾値を超えて充電が進んでいる車両より優先する充電制御を実施すると共に、系統からの受電電力情報を入手して、受電電力が基準値を超えないよう車両充電を制御し、且つ充電電流の指示値に対して、実際に充電器から供給される充電電流が指示値より少ない状態が所定時間継続した車両は、充電対象から外す車両充電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-56897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一旦充電が停止した車両は満充電と判定し、この車両に接続された充電器は電力供給の対象外として再び電力供給の対象としない構成が考えられる。しかしながら、車種によっては満充電になる前でも一度充電を停止し、再度開始して満充電に近付けていくようなものもある。また、満充電近くで多いが、満充電になっていなくても充電電流が減少するという現象が起きることもある。このような場合に、上記構成を採用すると、満充電と誤認する虞がある。
【0005】
本発明の目的は、満充電と誤認することを抑制して、車両の充電を効率よく行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、複数の充電器に供給可能な電力を取得する電力取得部と、電力取得部により取得された電力を、複数の充電器のうち、満充電と判定された車両が接続された特定の充電器に供給せず、満充電と判定されていない車両が接続された充電器に供給し、一定時間経過後、複数の充電器のうち、特定の充電器と、満充電と判定されていない車両が接続された充電器とに供給する電力供給部とを備える、充電制御システムを提供する。
【0007】
電力供給部は、複数の充電器の各充電器の充電状態情報に基づいて、各充電器に接続された車両が満充電か否かを判定する、ものであってよい。その場合、電力供給部は、複数の充電器のうち充電中でない充電器に接続された車両が満充電と判定する、ものであってよい。また、その場合、電力供給部は、複数の充電器のうち満充電以外の要因によって充電中でない充電器に接続された車両は満充電と判定しない、ものであってよい。
【0008】
電力供給部は、電力取得部により取得された電力を、複数の充電器のうち、満充電と判定されていない車両が接続された充電器に、車両が接続されてからの積算充電量に応じた優先順位で供給する、ものであってよい。
電力供給部は、電力取得部により取得された電力を、一定時間経過後、複数の充電器のうち、特定の充電器と、満充電と判定されていない車両が接続された充電器とに、特定の充電器の優先順位を、満充電と判定されていない車両が接続された充電器の優先順位よりも低く設定して供給する、ものであってよい。
【0009】
また、本発明は、複数の充電器に供給可能な電力を取得するステップと、取得された電力を、複数の充電器のうち、満充電と判定された車両が接続された特定の充電器に供給せず、満充電と判定されていない車両が接続された充電器に供給し、一定時間経過後、複数の充電器のうち、特定の充電器と、満充電と判定されていない車両が接続された充電器とに供給するステップとを含む、充電制御方法も提供する。
【0010】
更に、本発明は、コンピュータに、複数の充電器に供給可能な電力を取得する機能と、取得された電力を、複数の充電器のうち、満充電と判定された車両が接続された特定の充電器に供給せず、満充電と判定されていない車両が接続された充電器に供給し、一定時間経過後、複数の充電器のうち、特定の充電器と、満充電と判定されていない車両が接続された充電器とに供給する機能とを実現させるためのプログラムも提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、満充電と誤認することを抑制して、車両の充電を効率よく行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態における充電システムの全体構成例を示す図である。
図2】本実施の形態におけるクラウドサーバのハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施の形態におけるクラウドサーバの機能構成例を示すブロック図である。
図4】満充電情報記憶部に記憶される満充電判定情報について示す図である。
図5】本実施の形態におけるクラウドサーバの電力供給部の動作例を示すフローチャートである。
図6】電力供給部のN回目の動作が実行される前の満充電情報の例を示す図である。
図7】電力供給部のN回目の動作が実行された後の満充電情報の例を示す図である。
図8】電力供給部の(N+1)回目の動作が実行された後の満充電情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
[充電システムの全体構成]
図1は、本実施の形態における充電システム1の全体構成例を示した図である。図示するように、充電システム1は、充電器10a~10dと、電力負荷20と、商用電源30と、受電設備40と、クラウドサーバ60とを含む。このうち、充電器10a~10d、受電設備40、及びクラウドサーバ60は、通信回線80に接続されている。また、図には、厳密には充電システム1を構成するものではないが、車両90a~90dも示している。尚、図では、充電器10a~10d、車両90a~90dを示したが、これらを区別しない場合は充電器10、車両90と称することもある。また、充電器10、車両90はそれぞれ、4つ示したが、3つ以下でもよいし5つ以上でもよい。
【0015】
充電器10は、自身に接続された車両90の充電を行う。その際、充電器10は、クラウドサーバ60からの充電指示を受けて、車両90に対する充電電流を増減する。充電器10は、例えばSAE J1772やIEC62196-2 type1に準拠した普通充電器であってよい。
電力負荷20は、充電器10以外の電力を消費する電気部品である。電力負荷20には、例えば、建物内で電力を消費する空調機、照明等がある。
【0016】
商用電源30は、電力会社から提供される交流電力を供給する電源である。
受電設備40は、商用電源30から供給される交流電力を受電する設備である。
【0017】
クラウドサーバ60は、商用電源30から受電した受電電力に関する情報と、電力負荷20及び複数の充電器10を含む全体の負荷に関する情報とを受電設備40から受信する。また、クラウドサーバ60は、充電器10で使用された電力の実績値である実績電力に関する情報を充電器10から受信する。そして、クラウドサーバ60は、これらの情報に基づいて、複数の充電器10のそれぞれにおける充電量を決定し、複数の充電器10のそれぞれに、接続された車両90に対する充電を指示する充電指示を送信する。
【0018】
通信回線80は、充電器10とクラウドサーバ60との間、受電設備40とクラウドサーバ60との間等の情報通信に用いられる通信手段である。通信回線80としては、例えば、インターネットを用いるとよい。
【0019】
車両90は、充電器10に充電ケーブルによって接続され、充電器10によって充電可能な例えばEV(Electric Vehicle)車両である。
【0020】
[クラウドサーバのハードウェア構成]
図2は、本実施の形態におけるクラウドサーバ60のハードウェア構成例を示す図である。図示するように、クラウドサーバ60は、制御ユニット61と、ハードディスクドライブ62と、通信インターフェース63と、入力デバイス64と、表示デバイス65とを備えている。
【0021】
制御ユニット61は、装置全体の動作を制御する所謂コンピュータである。制御ユニット61は、CPU611と、基本ソフトウェアやBIOS等が記憶されたROM612と、ワークエリアとして用いられるRAM613とを有している。CPU611はマルチコアでもよい。また、ROM612は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリでもよい。
【0022】
ハードディスクドライブ62は、データ等を記憶するためのデバイスである。ハードディスクドライブ62は、円盤状の基板表面に磁性体を塗布した不揮発性の記憶媒体上でデータを読み書きする。不揮発性の記憶媒体は、半導体メモリ等でもよい。
通信インターフェース63は、他の装置との通信を実現するインターフェースである。他の装置との通信は、例えばLAN(Local Area Network)、インターネットを介して実現するとよい。
入力デバイス64は、装置に情報を入力するためのデバイスである。入力デバイス64は、例えばキーボード、マウス、タッチパネルであってよい。
表示デバイス65は、装置に情報を表示するためのデバイスである。表示デバイス65は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであってよい。
【0023】
制御ユニット61と、ハードディスクドライブ62と、通信インターフェース63と、入力デバイス64と、表示デバイス65とは、バス69や不図示の信号線を通じて接続されている。
【0024】
[本実施の形態の課題及び解決手段]
充電器10が例えばSAE J1772やIEC62196-2 type1に準拠した普通充電器とすると、充電器10は、SOC(State Of Charge)情報を取得できないため、満充電になった車両90を判別できない。よって、エネルギーマネジメント制御において、満充電になった車両90が接続された充電器10にも電力を割り当ててしまうことになる。しかしながら、これでは、割り当られた電力の全てが充電に活用されることにはならないので、全ての車両90が充電を完了するまでに必要以上に時間を要することになる。
【0025】
そこで、本実施の形態では、満充電になった車両90は充電が停止することから、充電が停止した車両90を満充電と判定し、満充電になった車両90が接続された充電器10には電力を割り当てないようにする。
【0026】
[クラウドサーバの機能構成]
図3は、本実施の形態におけるクラウドサーバ60の機能構成例を示すブロック図である。図示するように、クラウドサーバ60は、電力取得部71と、電力供給部72とを含む。
【0027】
電力取得部71は、受電設備40から受電電力に関する情報と電力負荷20及び複数の充電器10を含む全体の負荷に関する情報とを取得する。そして、電力取得部71は、受電電力に関する情報と、負荷に関する情報とに基づいて、計算によって、複数の充電器10に供給可能な電力を取得する。
本実施の形態では、複数の充電器に供給可能な電力を取得する電力取得部の一例として、電力取得部71を用いている。
また、電力取得部71は、充電器10から実績電力に関する情報を取得する。
【0028】
電力供給部72は、複数の充電器10に電力を供給するように制御する。その際、電力供給部72は、充電が停止した車両90を満充電と判定し、満充電になった車両90が接続された充電器10には電力を供給しないように制御する。
電力供給部72は、電力供給制御部721と、接続検知部722と、満充電判定部723と、電力割り振り部724と、満充電情報記憶部725とを含む。
【0029】
電力供給制御部721は、接続検知部722、満充電判定部723、及び電力割り振り部724の動作を制御する。具体的には、電力供給制御部721は、接続検知部722、満充電判定部723、及び電力割り振り部724が一定時間おきに動作するように制御する。ここで、一定時間毎とは例えば5分毎等であるが、これに限られるものではない。
【0030】
接続検知部722は、充電器10に充電ケーブルによって車両90が接続された場合に、その接続を検知する。接続検知部722は、充電器10に車両90が接続されたことを示す信号を受信することにより、この接続を検知するとよい。
【0031】
満充電判定部723は、複数の充電器10のうち車両90が接続中の充電器10のそれぞれについて、車両90が満充電か否かを判定する。具体的には、満充電判定部723は、充電器10の充電状態に関する情報に基づいて、車両90が満充電か否かを判定する。
本実施の形態では、電力供給部のうち、複数の充電器の各充電器の充電状態情報に基づいて、各充電器に接続された車両が満充電か否かを判定する機能の一例として、満充電判定部723のこの機能を設けている。
【0032】
ここで、充電状態に関する情報には、充電器10が車両90を充電中であるか否かという情報がある。つまり、満充電判定部723は、充電器10が車両90を充電中でない場合に、車両90を満充電と判定し、充電器10が車両90を充電中である場合に、車両90を満充電でないと判定する。尚、「充電中でない場合」とは、充電中ステータスが「充電停止」になった場合や、充電電力が0Aになった場合であってよい。一方、「充電中である場合」とは、充電中ステータスが「充電中」になっている場合や、充電電力が0Aより大きい場合であってよい。
本実施の形態では、電力供給部のうち、複数の充電器のうち充電中でない充電器に接続された車両が満充電と判定する機能の一例として、満充電判定部723のこの機能を設けている。
【0033】
また、充電状態に関する情報には、車両90が満充電以外の別の要因により充電器10が充電を停止しているか否かという情報もある。つまり、満充電判定部723は、充電器10が車両90を充電中でない場合に、別の要因による充電の停止でなければ、車両90を満充電と判定し、別の要因による充電の停止であれば、車両90を満充電でないと判定する。ここで、「別の要因による充電の停止」は、例えば、温度上昇による充電の停止等であってよい。
本実施の形態では、電力供給部のうち、複数の充電器のうち満充電以外の要因によって充電中でない充電器に接続された車両は満充電と判定しない機能の一例として、満充電判定部723のこの機能を設けている。
【0034】
更に、満充電判定部723は、後述する電力割り振り部724により電力の割り振りが一度行われた後、一定時間が経過すると、電力供給制御部721により再度起動される。これにより、満充電判定部723は、複数の充電器10のうち車両90が接続中の充電器10のそれぞれについて、車両90が満充電か否かを再度判定する。
【0035】
電力割り振り部724は、電力取得部71が取得した電力を、満充電判定部723により満充電でないと判定された車両90が接続された充電器10に割り振る。つまり、電力割り振り部724は、電力取得部71が取得した電力を、満充電判定部723により満充電と判定された車両90が接続された充電器10には割り振らない。
【0036】
また、電力割り振り部724は、満充電判定部723により満充電と判定された車両90が接続され一旦電力が割り振られないこととなった充電器10であっても、一定時間経過後に再度電力の割り振りを試みる。そして、電力割り振り部724は、満充電判定部723により満充電でないと判定された車両90が接続された充電器10に再度電力を割り振り、満充電判定部723により再度満充電と判定された車両90が接続された充電器10に電力を割り振らないようにする。例えば、車種によっては満充電になる前でも一度充電を停止し、再度開始して満充電に近付けていくようなものもあるため、充電の停止によって満充電が確定しないからである。また、満充電近くでは満充電になっていなくても充電電流が減少することがあり、その意味でも充電の停止によって満充電が確定しないからである。
【0037】
本実施の形態では、電力取得部により取得された電力を、複数の充電器のうち、満充電と判定された車両が接続された特定の充電器に供給せず、満充電と判定されていない車両が接続された充電器に供給し、一定時間経過後、複数の充電器のうち、特定の充電器と、満充電と判定されていない車両が接続された充電器とに供給する電力供給部の一例として、電力割り振り部724を設けている。
【0038】
加えて、電力割り振り部724は、満充電でないと判定された車両90が接続された複数の充電器10に電力を割り振る際に、複数の充電器10に優先順位を設けてもよい。このような優先順位としては、充電器10に車両90が接続されてからの積算充電量に応じた優先順位が考えられる。つまり、電力割り振り部724は、積算充電量が少ない車両90が接続された充電器10の優先順位を、積算充電量が多い車両90が接続された充電器10の優先順位よりも高くして、複数の充電器10に電力を割り振る。尚、電力割り振り部724は、電力取得部71が取得した実績電力に関する情報に基づいて、上記の積算充電量を求めるとよい。
本実施の形態では、電力供給部のうち、電力取得部により取得された電力を、複数の充電器のうち、満充電と判定されていない車両が接続された充電器に、車両が接続されてからの積算充電量に応じた優先順位で供給する機能の一例として、電力割り振り部724のこの機能を設けている。
【0039】
また、電力割り振り部724は、一度満充電と判定された車両90が接続された充電器に、一定時間経過後に再度電力の割り振りを試みる場合、その充電器10の優先順位を、満充電と判定されていない車両が接続された充電器10の優先順位よりも低く設定することが考えられる。つまり、電力割り振り部724は、再度充電を試みる車両90が接続された充電器10の優先順位を、満充電と判定されていない車両が接続された充電器10の優先順位よりも低くして、複数の充電器10に電力を割り振る。
本実施の形態では、電力供給部のうち、電力取得部により取得された電力を、一定時間経過後、複数の充電器のうち、特定の充電器と、満充電と判定されていない車両が接続された充電器とに、特定の充電器の優先順位を、満充電と判定されていない車両が接続された充電器の優先順位よりも低く設定して供給する機能の一例として、電力割り振り部724のこの機能を設けている。
【0040】
ところで、上記において、「優先順位」とは、例えば、電力取得部71が取得した電力のうち、電力割り振り部724が各充電器10に割り振る電力の大きさに関する順位であってよい。つまり、ある充電器10の優先順位を別の充電器10の優先順位よりも高くするとは、前者の充電器10に割り振る電力の大きさを後者の充電器10に割り振る電力の大きさよりも大きくすることであってよい。
【0041】
満充電情報記憶部725は、複数の充電器10のそれぞれについて、充電器10に接続された車両90が満充電と判定されたか否かを示す満充電情報を記憶する。
【0042】
図4は、満充電情報記憶部725に記憶される満充電情報について示す図である。図示するように、満充電情報は、充電器IDと、満充電フラグとを対応付けたものとなっている。
【0043】
充電器IDは、複数の充電器10のそれぞれを識別する識別情報である。ここでは、充電器10a,10b,10c,10dの充電器IDを、それぞれ「A」、「B」、「C」、「D」としている。
満充電フラグは、対応する充電器IDの充電器10に接続された車両90が満充電と判定されたか否かを示す。ここでは、何れの充電器10にも車両90が接続されていないものとして、満充電フラグは記憶されていない。その後、何れかの充電器10に車両90が接続されれば、満充電フラグとして「True」又は「False」が記憶されることになる。ここで、満充電フラグ「True」は、対応する充電器IDの充電器10に接続された車両90が満充電と判定されたことを示し、満充電フラグ「False」は、対応する充電器IDの充電器10に接続された車両90が満充電と判定されていないことを示す。
【0044】
[クラウドサーバの動作例]
まず、クラウドサーバ60では、電力取得部71が、電力供給部72により複数の充電器10に供給可能な電力の情報を取得する。
次に、電力供給部72は、電力取得部71が取得した供給可能な電力の情報に基づいて、複数の充電器10に電力を供給するように制御する。
【0045】
図5は、本実施の形態におけるクラウドサーバ60の電力供給部72の動作例を示すフローチャートである。
【0046】
図示するように、電力供給部72では、接続検知部722が、何れかの充電器10に車両90が接続されたか否かを判定する(ステップ601)。
ステップ601で何れかの充電器10に車両90が接続されたと判定すれば、接続検知部722は、満充電情報記憶部725に記憶された満充電情報で、その充電器10の充電器IDに対して、満充電フラグ「False」を記憶する(ステップ602)。そして、接続検知部722は、処理をステップ603へ進める。
一方、ステップ601で何れの充電器10にも車両90が接続されなかったと判定すれば、接続検知部722は、ステップ602の処理を実行せずに、処理をステップ603へ進める。
【0047】
次に、満充電判定部723が、車両90が接続中の1つの充電器10に着目する(ステップ603)。そして、満充電判定部723は、ステップ603で着目した充電器10が充電中であるか否かを判定する(ステップ604)。
ステップ604でその充電器10が充電中であると判定すれば、満充電判定部723は、そのまま、処理をステップ609へ進める。
【0048】
一方、ステップ604でその充電器10が充電中でないと判定されたとする。すると、満充電判定部723は、満充電情報記憶部725に記憶された満充電情報で、その充電器10の充電器IDに対して記憶された満充電フラグが「True」であるか「False」であるかを判定する(ステップ605)。そして、ステップ605でその充電器10の充電器IDに対して記憶された満充電フラグが「True」であると判定すれば、満充電判定部723は、一定時間おきに電力割り振り部724による電力割り振りの対象とするため、満充電フラグを「False」とする。つまり、満充電判定部723は、満充電情報記憶部725に記憶された満充電情報で、その充電器10の充電器IDに対して、満充電フラグ「False」を記憶する(ステップ606)。そして、満充電判定部723は、処理をステップ609へ進める。
【0049】
一方、ステップ605でその充電器10の充電器IDに対して記憶された満充電フラグが「False」であると判定されたとする。すると、満充電判定部723は、その充電器10の充電の停止が別の要因によるものであるか否かを判定する(ステップ607)。そして、ステップ607でその充電器10の充電の停止が別の要因によるものであると判定すれば、満充電判定部723は、そのまま、処理をステップ609へ進める。
【0050】
一方、ステップ607でその充電器10の充電の停止が別の要因によるものでないと判定されたとする。すると、満充電判定部723は、その充電器10に接続中の車両90は満充電と判定する。つまり、満充電判定部723は、満充電情報記憶部725に記憶された満充電情報で、その充電器10の充電器IDに対して、満充電フラグが「True」を記憶する(ステップ608)。そして、満充電判定部723は、処理をステップ609へ進める。
【0051】
次に、満充電判定部723は、車両90が接続中の他の充電器10があるか否かを判定する(ステップ609)。
ステップ609で車両90が接続中の他の充電器10があると判定すれば、満充電判定部723は、処理をステップ603へ戻す。
一方、ステップ609で車両90が接続中の他の充電器10がないと判定すれば、満充電判定部723は、処理をステップ610へ進める。
【0052】
次に、電力割り振り部724は、電力取得部71が取得した電力を、満充電と判定されていない車両90が接続されている充電器10に割り振る。つまり、電力割り振り部724は、満充電情報記憶部725に記憶された満充電情報で、満充電フラグ「False」が記憶された充電器IDの充電器10に電力を割り振る(ステップ610)。逆に、電力割り振り部724は、電力取得部71が取得した電力を、満充電と判定された車両90が接続されている充電器10に割り振らないようにする。
【0053】
その後、電力供給制御部721は、一定時間が経過したか否かを判定する(ステップ611)。
ステップ611で一定時間が経過していないと判定すれば、電力供給制御部721は、ステップ611を繰り返す。
一方、ステップ611で一定時間が経過したと判定すれば、電力供給制御部721は、処理をステップ601へ戻す。
【0054】
ここで、図5のフローチャートに従って電力供給部72が動作する際の満充電情報記憶部725に記憶される満充電情報の推移について説明する。
【0055】
図6は、電力供給部72のN回目の動作が実行される前の満充電情報の例を示す図である。
ここでは、充電器ID「A」、「B」に対して満充電フラグ「False」が記憶されている。これは、充電器ID「A」の充電器10a及び充電器ID「B」の充電器10bには車両90が接続されているが、何れの充電器10に接続された車両90も満充電になっていないことを示している。
また、充電器ID「C」、「D」に対して満充電フラグは記憶されていない。これは、充電器ID「C」の充電器10c及び充電器ID「D」の充電器10dには車両90が接続されていないことを示している。
この場合、電力割り振り部724は、電力取得部71が取得した電力を、充電器ID「A」の充電器10a及び充電器ID「B」の充電器10bに割り振ることになる。
【0056】
図7は、電力供給部72のN回目の動作が実行された後の満充電情報の例を示す図である。
ここでは、充電器ID「C」に対して新たに満充電フラグ「False」が記憶されている。これは、図5のステップ601で充電器ID「C」の充電器10cに車両90が接続されたことが検出されたが、ステップ604でその車両90は満充電でないと判定されたことを示している。
また、充電器ID「B」に対する満充電フラグが「False」から「True」に変更されている。これは、図5のステップ604、607で充電器ID「B」の充電器10bに接続された車両90が満充電と判定され、ステップ608で満充電フラグが「True」になったことを示している。
この場合、電力割り振り部724は、電力取得部71が取得した電力を、充電器ID「A」の充電器10a及び充電器ID「C」の充電器10cに割り振ることになる。
【0057】
図8は、電力供給部72の(N+1)回目の動作が実行された後の満充電情報の例を示す図である。
ここでは、充電器ID「D」に対して新たに満充電フラグ「False」が記憶されている。これは、図5のステップ601で充電器ID「D」の充電器10dに車両90が接続されたことが検出されたが、ステップ604でその車両90は満充電でないと判定されたことを示している。
また、充電器ID「B」に対する満充電フラグが「True」から「False」に戻っている。これは、図5のステップ604で充電器ID「B」の充電器10bに接続された車両90が満充電と判定されたが、ステップ605で満充電フラグが既に「True」であると判定され、ステップ606で満充電フラグが「False」になったことを示している。
この場合、電力割り振り部724は、電力取得部71が取得した電力を、充電器ID「A」の充電器10a、充電器ID「B」の充電器10b、充電器ID「C」の充電器10c、及び充電器ID「D」の充電器10dに割り振ることになる。
【0058】
[変形例]
上記実施の形態では、クラウドサーバ60が複数の充電器10による充電の制御を行うこととしたが、これには限らない。複数の充電器10に併設された不図示の充電制御装置が複数の充電器10に対する充電の制御を行ってもよい。
また、クラウドサーバ60及び不図示の充電制御装置は、単一の装置であってもよいし、複数の装置によって構成されたシステムであってもよい。
その意味で、クラウドサーバ60及び不図示の充電制御装置は、充電制御システムの一例である。
【0059】
[プログラム]
本実施の形態におけるクラウドサーバ60又は不図示の充電制御装置が行う処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。
この場合、本実施の形態を実現するプログラムは、コンピュータに、複数の充電器に供給可能な電力を取得する機能と、取得された電力を、複数の充電器のうち、満充電と判定された車両が接続された特定の充電器に供給せず、満充電と判定されていない車両が接続された充電器に供給し、一定時間経過後、複数の充電器のうち、特定の充電器と、満充電と判定されていない車両が接続された充電器とに供給する機能とを実現させるためのプログラムとして捉えられる。
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…充電システム、10a~10d…充電器、20…電力負荷、30…商用電源、40…受電設備、60…クラウドサーバ、71…電力取得部、72…電力供給部、721…電力供給制御部、722…接続検知部、723…満充電判定部、724…電力割り振り部、725…満充電情報記憶部
【要約】
【課題】満充電と誤認することを抑制して、車両の充電を効率よく行う。
【解決手段】複数の充電器に供給可能な電力を取得する電力取得部と、電力取得部により取得された電力を、複数の充電器のうち、満充電と判定された車両が接続された特定の充電器に供給せず、満充電と判定されていない車両が接続された充電器に供給し、一定時間経過後、複数の充電器のうち、特定の充電器と、満充電と判定されていない車両が接続された充電器とに供給する電力供給部とを備える、充電制御システム。
【選択図】図3
図1
図2
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図8