(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ガス検知器
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20240409BHJP
G01N 21/3504 20140101ALI20240409BHJP
G01N 21/39 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G01N21/27 A
G01N21/3504
G01N21/39
(21)【出願番号】P 2023506397
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2021010369
(87)【国際公開番号】W WO2022195673
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】503063168
【氏名又は名称】東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 健
(72)【発明者】
【氏名】原 毅
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-159798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0284887(US,A1)
【文献】特開2018-169202(JP,A)
【文献】特開2014-055858(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0336281(US,A1)
【文献】国際公開第2016/181854(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを検知するための検知光を放射する検知光放射装置と、前記検知光の反射光を受光する受光装置と、前記受光装置が受光した反射光に関する情報から前記検知光の光路上に存在するガスを検知する制御部と、を備えたガス検知器において、
前記検知光放射装置が放射する前記検知光の光軸と略一致する光軸を有するカメラ装置と、
前記カメラ装置により撮像されたカメラ画像を表示するとともに該カメラ画像に重畳させて前記検知光
が現在照射している位置を示す画像を表示する表示装置と、
を備えている、
ガス検知器。
【請求項2】
請求項1に記載のガス検知器において、
前記検知光の光軸と略一致する光軸を有するガイド光を放射するガイド光放射装置を備え、
前記ガイド光は、可視光である、
ガス検知器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のガス検知器において、
前記制御部は、前記検知光の光路上に存在するガスを検知した場合、該検知したガスに関する情報を前記表示装置に表示するように構成されている、
ガス検知器。
【請求項4】
請求項3に記載のガス検知器において、
前記制御部は、前記ガスに関する情報として該ガスに関する検知結果を前記表示装置に表示するように構成されている、
ガス検知器。
【請求項5】
請求項4に記載のガス検知器において、
前記制御部は、前記ガスに関する検知結果として該ガスのコラム密度を前記表示装置に表示するように構成されている、
ガス検知器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のガス検知器において、
前記検知光放射装置は、前記検知光として赤外レーザー光を放射する、
ガス検知器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のガス検知器において、
前記ガスを検知した場合、当該ガスを検知したときのカメラ画像の情報とともに前記検知したガスに係る情報を記憶装置に記憶させるように構成されている、
ガス検知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外レーザー光を検知光として利用してメタンガス等のガスを検知し或いはそのガスのコラム密度を測定するガス検知器が知られている。こうしたガス検知器は、赤外レーザー光を放射するが、その赤外レーザー光は、不可視光線であるので、ガス検知器の利用者は、赤外レーザー光の照射位置を視認することができない。そこで、光軸が赤外レーザー光の光軸と一致するように可視レーザー光を放射するように構成されているガス検知器も知られている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、可視レーザー光の照射位置は、赤外レーザー光の照射位置に略一致する。このため、利用者は、可視レーザー光の照射位置から赤外レーザー光の照射位置を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来のガス検知器は、利用者が赤外レーザー光の照射位置を知ることができるように可視レーザー光を放射するが、可視レーザー光の照射位置が遠い等の理由から、利用者が可視レーザー光の照射位置を視認しづらいことがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、利用者が検知光の照射位置を良好に把握することができるガス検知器を提供することにある。更に、本発明の目的は、被検知ガスの漏洩箇所及び漏洩量並びにその漏洩を検知した年月日等の情報を、被検知ガスの漏洩を検知した時点で一元的に管理し、それら情報を参照して保守業務等のメンテナンス業務を適切に行うことを可能とするガス検知器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るガス検知器は、ガスを検知するための検知光を放射する検知光放射装置と、前記検知光の反射光を受光する受光装置と、前記受光装置が受光した反射光に関する情報から前記検知光の光路上に存在するガスを検知する制御部と、を備えている。
【0007】
更に、本発明に係るガス検知器は、前記検知光放射装置が放射する前記検知光の光軸と略一致する光軸を有するカメラ装置と、前記カメラ装置により撮像されたカメラ画像を表示するとともに該カメラ画像に重畳させて前記検知光が現在照射している位置を示す画像を表示する表示装置と、を備えている。
【0008】
尚、本発明に係るガス検知器は、前記検知光の光軸と略一致する光軸を有するガイド光を放射するガイド光放射装置を備えていてもよい。この場合、前記ガイド光は、例えば、可視光である。
【0009】
又、本発明に係るガス検知器において、前記制御部は、前記検知光の光路上に存在するガスを検知した場合、該検知したガスに関する情報を前記表示装置に表示するように構成されていてもよい。
【0010】
又、本発明に係るガス検知器において、前記制御部は、前記ガスに関する情報として該ガスに関する検知結果を前記表示装置に表示するように構成されていてもよい。
【0011】
又、本発明に係るガス検知器において、前記制御部は、前記ガスに関する検知結果として該ガスのコラム密度を前記表示装置に表示するように構成されていてもよい。
【0012】
又、本発明に係るガス検知器において、前記検知光放射装置は、例えば、前記検知光として赤外レーザー光を放射する。
【0013】
又、本発明に係るガス検知器において、前記ガスを検知した場合、当該ガスを検知したときのカメラ画像とともに前記検知したガスに関する情報を記憶装置に記憶させるように構成されていてもよい。
ガス検知器。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るガス検知器によれば、カメラ装置は、検知光の照射位置及びその周辺を撮像する。従って、表示装置には、検知光の照射位置及びその周辺の画像に重畳して照射位置画像が表示される。このため、ガス検知器の利用者は、表示装置の表示から検知光の照射位置を良好に把握することができる。
【0015】
本発明によれば、ガス検知器によってガスの漏洩が検知されたとき、そのガスの漏洩箇所及び漏洩量並びにその漏洩を検知した年月日等の情報が一元的に集約されるので、その後のメンテナンス業務の質を向上させることができる。
【0016】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るガス検知器及びその構成要素を示した図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るガス検知器及びその構成要素を示した図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るガス検知器の表示装置のディスプレイを示した図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るガス検知器の光学系等を示した図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るガス検知器及び記憶装置等を示した図である。
【
図6】
図6は、
図3と同様の図であって、ガス検知器の電源がオンされたときのディスプレイを示した図である。
【
図7】
図7は、
図3と同様の図であって、ガス検知が行われているときのディスプレイを示した図である。
【
図8】
図8は、
図3と同様の図であって、被検知ガスが検知されたときのディスプレイを示した図である。
【
図9】
図9は、記憶装置から取得したカメラ画像情報及び被検知ガス情報を表示したディスプレイを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るガス検知器について説明する。
図1に、本発明の実施形態に係るガス検知器10が示されている。ガス検知器10は、所定のガス(被検知ガス)を検知する機器である。
【0019】
図1に示したように、ガス検知器10は、光放射装置20、受光装置30、カメラ装置40、電源ボタン51、検知ボタン52、表示装置60、通信装置80及び制御部としての電子制御装置90(以下「ECU90」)を備えている。
【0020】
又、
図2に示したように、ガス検知器10の本体11の先端面11Eには、検知光放射開口121、ガイド光放射開口122及びカメラレンズ開口123が形成されている。本例において、ガイド光放射開口122は、検知光放射開口121に対してガス検知器10の正面11F側に形成されており、カメラレンズ開口123は、検知光放射開口121に対してガイド光放射開口122とは反対側に形成されている。更に、
図3に示したように、ガス検知器10は、光学系70を備えている。
【0021】
<光放射装置>
光放射装置20は、ガス検知器10の本体11内に配置されており、検知光放射装置21及びガイド光放射装置22を備えている。
【0022】
<検知光放射装置>
検知光放射装置21は、被検知ガス(ガス検知器10により検知する対象のガス)を検知するための検知光Ldを放射する。本例において、被検知ガスは、メタンガスであるが、硫化水素であってもよい。
【0023】
検知光Ldは、例えば、周波数変調されたレーザー光等である。レーザー光を周波数変調すると、ガスの濃度に応じた2倍波信号が生じる。検知光Ldの波長(周波数)は、被検知ガスには吸収されるが、背景ガス(被検知ガス以外の水蒸気等のガス)には吸収されない波長であることが好ましい。本例において、被検知ガスは、メタンガスであるので、検知光Ldとして、発振波長が1.65μm帯の赤外レーザー光が用いられる。又、被検知ガスが硫化水素ガスである場合、検知光Ldとして、発振波長が1.57μm帯の赤外レーザー光が用いられる。
【0024】
検知光放射装置21は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、検知光放射装置21から検知光Ldを放射させたり、検知光Ldの放射を停止させたりすることができる。
【0025】
<ガイド光放射装置>
上述したように、本例において、被検知ガスは、メタンガスであり、検知光Ldは、不可視光の赤外レーザー光であるため、ガス検知器10の利用者は、検知光Ldの照射位置(検知光Ldが照射されている位置)を視認することができない。
【0026】
ガイド光放射装置22は、検知光Ldの照射位置(検知光Ldが照射されている位置)を示すためのガイド光Lgを放射する。ガイド光Lgは、赤色や緑色の半導体レーザー光等の可視光である。又、ガイド光放射装置22は、ガイド光Lgの光軸が検知光Ldの光軸と略一致するようにガイド光Lgを放出するように配置されている。このため、ガイド光Lgの照射位置(ガイド光Lgが照射されている位置)は、検知光Ldの照射位置に略一致する。従って、ガス検知器10の利用者は、ガイド光Lgの照射位置から検知光Ldの照射位置を知ることができる。
【0027】
ガイド光放射装置22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、ガイド光放射装置22からガイド光Lgを放射させたり、ガイド光Lgの放射を停止させたりすることができる。
【0028】
尚、検知光放射装置21に半導体レーザー発振器を用いる場合、被検知ガスが封入された標準セルを準備し、その標準セルにおける光吸収を参照して検知光Ldの発振波長が被検知ガスの吸収線の中心に一致するよう半導体レーザー発振器の動作温度等を調整することが好ましい。
【0029】
<光学系>
光学系70は、物体により反射された検知光Ld(反射光Lr)を収束させる装置である。光学系70は、
図4に示したように、複数の光学素子、即ち、第1光学素子71、第2光学素子72及び第3光学素子73を備えている。尚、
図4において、符号C70は、光学系70の光軸を示している。
【0030】
第1光学素子71は、受光装置30の最も近くに配置されている。第1光学素子71は、平行光を受光装置30に収束させる集光素子である。
【0031】
第2光学素子72は、受光装置30から最も遠くに配置されている。第2光学素子72は、第1光学素子71の開口径よりも大きな開口径を有している。第2光学素子72は、光学系70に入射する平行光を収束させる集光素子である。
【0032】
第3光学素子73は、第1光学素子71と第2光学素子72との間に配置されている。第3光学素子73は、第2光学素子72が収束させた光を平行光に発散させる散光素子である。尚、本例において、第3光学素子73は、単一の光学素子であるが、複数の光学素子を組み合わせて構成された光学素子であってもよい。
【0033】
本例において、第2光学素子72は、検知光Ldの光路及びガイド光Lgの光路を遮る位置に配置されているが、第2光学素子72には、検知光Ldを通過させる検知光通過孔721及びガイド光Lgを通過させるガイド光通過孔722がそれぞれ形成されている。そして、検知光放射装置21は、放射した検知光Ldが検知光通過孔721及び検知光放射開口121を通ってガス検知器10の外へ放射されるように配置されている。又、ガイド光放射装置22は、放射したガイド光Lgがガイド光通過孔722及びガイド光放射開口122を通ってガス検知器10の外へ放射されるように配置されている。このため、検知光放射装置21から放射された検知光Ldは、検知光通過孔721及び検知光放射開口121を通ってガス検知器10の外へ放射され、ガイド光放射装置22から放射されたガイド光Lgは、ガイド光通過孔722及びガイド光放射開口122を通ってガス検知器10の外へ放射される。
【0034】
ガス検知器10においては、第2光学素子72の開口径が第1光学素子71の開口径よりも大きいため、より多くの反射光Lrを集め、集めた反射光Lrを収束させ、より強度の大きい光を受光装置30に入射せることができる。このため、被検知ガスのコラム密度等の情報をより感度高く取得することができる。尚、被検知ガスのコラム密度とは、検知光Ld(及び反射光Lr)の光路上に存在する被検知ガスの濃度の積分値である。
【0035】
尚、光学系70の光学素子の少なくとも1つ(好ましくは、全て)として、フレネルレンズを採用してもよい。これによれば、光学系70を軽量化し、その結果、ガス検知器10を軽量化することができる。
【0036】
<受光装置>
受光装置30は、光学系70が収束させた反射光Lrを受光し、受光した反射光Lrの強度に応じた信号(受光信号)を出力する装置である。受光装置30は、例えば、フォトダイオード、フォトマルチプライヤー等の光電変換素子とその駆動検出回路から構成される。受光装置30は、バンドパスフィルタ等の光学フィルタ、スリット及び分光機構等を備えていてもよい。
【0037】
受光装置30は、ECU90に電気的に接続されている。受光装置30は、受光信号をECU90に送信する。ECU90は、受信した受光信号に基づいて検知光Ldの光路上に存在する被検知ガスに関する情報を取得することができる。
【0038】
<カメラ装置>
カメラ装置40は、ガス検知器10の外部を撮像し、撮像した画像(カメラ画像)を出力する装置である。カメラ装置40は、CCDカメラ等のカメラ41を備えている。カメラ装置40は、カメラレンズ開口123を通してカメラ41によりガス検知器10の外部を撮像することができるように配置されている。
【0039】
又、
図4に示したように、カメラ装置40は、カメラ41の光軸C41が検知光Ldの光軸と略一致するように配置されている。従って、カメラ装置40は、検知光Ldの照射位置を中心としてその周囲をカメラ41により撮像する。
【0040】
カメラ装置40は、ECU90に電気的に接続されている。カメラ装置40は、カメラ41により撮像した画像(のデータ)をECU90に送信する。
【0041】
<表示装置>
表示装置60は、各種画像を表示する装置である。表示装置60は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ61を備えている。表示装置60は、そのディスプレイ61を利用者が視認することができる位置に配置されるように設けられている。本例においては、表示装置60は、ディスプレイ61がガス検知器10の本体11の正面11Fにおいて外部に露出するように設けられている。
【0042】
表示装置60は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、表示装置60に各種画像を表示させることができる。
【0043】
<電源ボタン及び検知ボタン>
電源ボタン51は、ガス検知器10の電源をオン状態にしたりオフ状態にしたりするために利用者により操作される機器である。又、検知ボタン52は、後述するガス検知を開始したり終了したりするために利用者により操作される機器である。これら電源ボタン51及び検知ボタン52は、ガス検知器10の本体11の正面11Fにおいて外部に露出するようにして設けられている。
【0044】
電源ボタン51及び検知ボタン52は、ECU90に電気的に接続されている。利用者により電源ボタン51が操作されると、ECU90は、ガス検知器10の電源をオンにしたりオフにしたりする。又、利用者により検知ボタン52が操作されると、ECU90は、ガス検知を開始したり終了したりする。
【0045】
<通信装置>
通信装置80は、インターネット200を介してインターネット200上に配置されたサーバ及びクラウド等の記憶装置201と通信を行う装置である(
図5参照)。通信装置80は、ECU90に電気的に接続されている。従って、ECU90は、通信装置80を介してインターネット200上に配置された記憶装置201と通信することができる。
【0046】
<ガス検知器の動作>
次に、ガス検知器10の動作について説明する。
【0047】
ガス検知器10の電源がオフ状態であるときに電源ボタン51が操作されると、ECU90は、ガス検知器10の電源をオン状態とし、カメラ装置40による撮像を開始し、
図6に示したように、カメラ装置40から送信されてくる画像(カメラ画像IMG_C)をディスプレイ61の中央領域61Cに表示するとともに、ガス検知器10に搭載されているバッテリの充電残量等の情報をディスプレイ61の上方領域61Uに表示する。
【0048】
そして、ガス検知器10の電源がオン状態であるときに検知ボタン52が操作されると、ECU90は、被検知ガスの検知(ガス検知)を開始する。
【0049】
ECU90は、ガス検知を開始すると、検知光放射装置21から検知光Ldを放射させる。検知光放射装置21から放射された検知光Ldは、検知光通過孔721及び検知光放射開口121を順に通ってガス検知器10の外に放射される。ガス検知器10の外に放射された検知光Ldは、物体に照射される。
【0050】
更に、ECU90は、ガス検知を開始すると、ガイド光放射装置22からガイド光Lgを放射させる。ガイド光放射装置22から放射されたガイド光Lgは、ガイド光通過孔722及びガイド光放射開口122を順に通ってガス検知器10の外に放射される。ガス検知器10の外に放射されたガイド光Lgは、物体に照射される。
【0051】
又、ECU90は、ガス検知を開始すると、
図7に示したように、照射位置画像IMG_Pをカメラ画像IMG_Cに重畳してディスプレイ61の中央領域61Cの中央に表示する。照射位置画像IMG_Pは、ガイド光Lgの照射位置(即ち、検知光Ldの照射位置)を示す画像である。
【0052】
物体に照射された検知光Ldは、その物体で反射する。物体で反射した検知光Ld(反射光Lr)は、受光装置30により受光される。受光装置30は、受光した反射光Lrの強度に応じた受光信号をECU90に送信する。ECU90は、受信した受光信号から反射光Lrに含まれる被検知ガスによる光吸収に関する情報を取得し、その情報から検知光Ldの光路上の被検知ガスを検知する。より具体的には、ECU90は、受信した受光信号から「検知光Ldの変調周波数に等しい周波数の基本波信号」及び「検知光Ldの変調周波数の2倍の周波数の2倍波信号」を検出する。基本波信号及び2倍波信号の検出には、同期検波を用いることができる。ECU90は、基本波信号と2倍波信号との比に基づいて背景ガスが存在する雰囲気における被検知ガスを検知する。
【0053】
そして、ECU90は、被検知ガスを検知した場合、その被検知ガスに関する情報を取得し、取得した情報を表す画像をディスプレイ61に表示する。
【0054】
被検知ガスに関する情報は、例えば、被検知ガスに関する検知結果であり、この被検知ガスに関する検知結果は、例えば、被検知ガスのコラム密度及び被検知ガスの濃度等の被検知ガスの測定値である。又、被検知ガスに関する検知結果は、被検知ガスを検知したこと自体であってもよい。
【0055】
本例においては、ECU90は、被検知ガスを検知した場合、その被検知ガスのコラム密度を取得し、
図8に示したように、取得した被検知ガスのコラム密度を表す画像IMG_Gをディスプレイ61の下方領域61Lに表示する。
【0056】
ガス検知器10によれば、検知光Ldの照射位置及びその周辺のカメラ画像IMG_Cに重畳して照射位置画像IMG_Pがディスプレイ61に表示される。従って、ガス検知器10の利用者は、ディスプレイ61の表示から検知光Ldの照射位置を良好に把握することができ、又、被検知ガスのコラム密度がディスプレイ61に表示されたときにディスプレイ61から被検知ガスが存在する位置を良好に把握することができる。
【0057】
更に、ガス検知器10は、被検知ガスを検知した場合、被検知ガスを検知したときのカメラ画像IMG_Cの情報(カメラ画像情報)及び検知した被検知ガスに係る情報(被検知ガス情報)を通信装置80及びインターネット200を介して記憶装置201に記憶させる(
図5参照)。
【0058】
本例において、被検知ガス情報は、検知した被検知ガスのコラム密度、被検知ガスを検知した場所及び/又は箇所、並びに、被検知ガスを検知した年月日及び時刻である。
【0059】
尚、ガス検知器10にボタン又はスイッチを設け、そのボタンを利用者が操作したときにカメラ画像情報及び被検知ガス情報を記憶装置201に記憶させるようにガス検知器10を構成してもよい。
【0060】
利用者は、後に、記憶装置201に記憶させたカメラ画像情報及び被検知ガス情報を利用することができる。
【0061】
例えば、記憶装置201に記憶させたカメラ画像情報及び被検知ガス情報を識別するQRコード(登録商標)又はバーコード等のコードを紙又はシールに印刷する機能と、そうしたコードを読み取り、読み取ったコードが示すカメラ画像情報及び被検知ガス情報を記憶装置201から取得する機能と、を行えるようにガス検知器10を構成する。
【0062】
利用者は、ガス検知器10により被検知ガスを検知したときに上記コードを紙又はシールに印刷し、その紙又はシールを被検知ガスを検知した箇所に残しておく。そして、利用者は、後に、そのコードをガス検知器10に読み取らせることにより、そのコードが示すカメラ画像情報及び被検知ガス情報を記憶装置201から取得する。
【0063】
尚、上記コードを読み取り、読み取ったコードが示すカメラ画像情報及び被検知ガス情報を記憶装置201から取得する機能を備えた専用の機器を利用してカメラ画像情報及び被検知ガス情報を取得するようにしてもよい。
【0064】
ガス検知器10は、カメラ画像情報及び被検知ガス情報を取得した場合、
図9に示したように、取得したカメラ画像情報が示すカメラ画像IMG_Cをディスプレイ61に表示するとともに、取得した被検知ガス情報をカメラ画像IMG_Cに重畳させてディスプレイ61に表示する。
図9に示した例においては、ガス検知器10は、被検知ガスのコラム密度を表す画像IMG_G、被検知ガスを検知した年月日を表す画像IMG_D、被検知ガスを検知した時刻を表す画像IMG_T、及び、被検知ガスを検知した場所の住所を表す画像IMG_Aをディスプレイ61に表示する。
【0065】
ガス検知器10によれば、作業員がガスの漏洩箇所を修理する等のメンテナンス業務を行うとき、記憶装置201に記憶させたカメラ画像情報及び被検知ガス情報を参照することができる。このため、メンテナンス業務の質を向上させることができる。