(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ダウンコンバータ層転写デバイス及びダウンコンバータ層転写デバイスを使用する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20240409BHJP
F21V 9/38 20180101ALI20240409BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240409BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240409BHJP
【FI】
H01L33/50
F21V9/38
G02B5/20
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2023533858
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 US2021061831
(87)【国際公開番号】W WO2022120184
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-06-02
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ドーナー,エマ
(72)【発明者】
【氏名】ロイトマン,ダニエル
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-107763(JP,A)
【文献】特開2019-149538(JP,A)
【文献】特開平02-033825(JP,A)
【文献】特開平04-051422(JP,A)
【文献】特開2004-265842(JP,A)
【文献】特開2012-015174(JP,A)
【文献】特表2019-509639(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102891221(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0221835(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
G02B 5/20ー5/28
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 8/00
F21V 9/38
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダウンコンバータ層転写デバイスであって:
リリースライナと;
前記リリースライナ上に配置されているダウンコンバータ層であって、前記ダウンコンバータ層は、接着材にわたって分散したダウンコンバータ材料を含み、前記ダウンコンバータ層は、第1温度で固体かつ非接着性であり、前記第1温度を上回る高温で接着性である、ダウンコンバータ層と;を備え、
前記ダウンコンバータ層は、第1ダウンコンバータ層ピクセル及び第2ダウンコンバータ層ピクセルを備え、
前記第1ダウンコンバータ層ピクセル及び前記第2ダウンコンバータ層ピクセルは、異なるダウンコンバータ材料を有し、前記リリースライナの異なるエリアに配置されており、互いに隣り合い、かつ、接合部で接触する、
ダウンコンバータ層転写デバイス。
【請求項2】
前記リリースライナと前記ダウンコンバータ層との間に配置されたシリコン化層をさらに備える、
請求項1記載のダウンコンバータ層転写デバイス。
【請求項3】
前記ダウンコンバータ材料が、蛍光体、有機色素、量子ドット、及び散乱剤のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1記載のダウンコンバータ層転写デバイス。
【請求項4】
前記第1温度における前記ダウンコンバータ層の(1Hzにおける)せん断弾性率G*は、100kPaよりも大きく、
前記高温における前記ダウンコンバータ層の(1Hzにおける)せん断弾性率G*は、1kPaと100kPaとの間である、
請求項1記載のダウンコンバータ層転写デバイス。
【請求項5】
照明デバイスを形成する方法であって、
基板上に実装された複数の発光ダイオードを提供するステップであって、各発光ダイオードは発光表面を有する、ステップと、
リリースライナ上に配置されたダウンコンバータ層を有するダウンコンバータ層転写デバイスを提供するステップであって、
前記ダウンコンバータ層は、第1ダウンコンバータ層ピクセルを形成する接着材にわたって分散された第1ダウンコンバータ材料と、第2ダウンコンバータ層ピクセルを形成する第2ダウンコンバータ材料とを含み、
第1ダウンコンバータ材料及び第2ダウンコンバータ材料は互いに異なり、
前記第1ダウンコンバータ層ピクセル及び前記第2ダウンコンバータ層ピクセルは、前記リリースライナの異なるエリア上に配置されており、互いに隣り合い、かつ、接合部で接触する、ステップと、
前記ダウンコンバータ層を前記発光表面と位置合わせするステップと、
前記ダウンコンバータ層を高温で前記発光表面と接触させるステップであって、前記高温は、前記接着材が前記発光表面に付着する温度である、ステップと、
前記複数の発光ダイオードの前記発光表面と接触している前記ダウンコンバータ層を、前記高温を下回る温度に冷却するステップと、
前記複数の発光ダイオードの前記発光表面に接着された前記ダウンコンバータ層を残して、前記リリースライナを除去するステップと、を含む
方法。
【請求項6】
前記ダウンコンバータ層を硬化させるステップをさらに含む、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ダウンコンバータ層を高温で前記発光表面と接触させることが、前記ダウンコンバータ層転写デバイス及び前記発光ダイオードに真空
積層プロセスを適用することを含む、
請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記ダウンコンバータ層転写デバイスを提供するステップは:
リリースライナを提供するステップと;
接着材料、前記第1ダウンコンバータ材料及び溶媒を混合して、第1接着ダウンコンバータ混合物を形成する、ステップと;
前記リリースライナを前記第1接着ダウンコンバータ混合物でコーティングするステップと;
前記第1接着ダウンコンバータ混合物から前記溶媒を除去して、前記第1ダウンコンバータ層ピクセルを形成する、ステップと;をさらに含む、
請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記リリースライナを前記第1接着ダウンコンバータ混合物でコーティングする前に、前記リリースライナ上にフォトレジストパターンを形成するステップであって、前記フォトレジストパターンはウェルを含む、ステップをさらに含み、
前記リリースライナを前記第1接着ダウンコンバータ混合物でコーティングするステップは、
前記ウェル内に前記第1接着ダウンコンバータ
混合物を配置するステップと、
前記フォトレジストパターンを除去するステップと、を含む、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記リリースライナを前記第1接着ダウンコンバータ混合物でコーティングする前に、前記リリースライナをシリコン化コーティングでコーティングするステップをさらに含む、
請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記ダウンコンバータ層転写デバイスを提供するステップは:
リリースライナを提供するステップと;
接着材料、前記第1ダウンコンバータ材料及び溶媒を混合して、第1接着ダウンコンバータ混合物を形成する、ステップと;
前記接着材料、前記第2ダウンコンバータ材料及び前記溶媒を混合して、第2接着ダウンコンバータ混合物を形成する、ステップと;
前記リリースライナの第1エリア上のピクセルパターンで、前記リリースライナを前記第1接着ダウンコンバータ混合物でコーティングするステップと;
前記リリースライナの第2エリア上のピクセルパターンで、前記リリースライナを前記第2接着ダウンコンバータ混合物でコーティングするステップと;
前記第1接着ダウンコンバータ混合物及び第2接着ダウンコンバータ混合物から前記溶媒を除去して、前記第1ダウンコンバータ層ピクセル及び前記第2ダウンコンバータ層ピクセルを形成する、ステップと;を含む、
請求項5記載の方法。
【請求項12】
前記リリースライナを前記第1接着ダウンコンバータ混合物及び前記第2接着ダウンコンバータ混合物でコーティングする前に、前記リリースライナをシリコン化コーティングでコーティングするステップをさらに含む、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第1ダウンコンバータ材料は、蛍光体、有機色素、量子ドット、及び散乱剤のうちの少なくとも1つを含む、
請求項5記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月4日に出願された米国特許出願第17/112,633号に対する優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、概して、蛍光体をLEDダイに取り付けるために発光デバイス(LED)の製造において使用されるデバイス及び方法、ならびにそのデバイス及び方法を使用して形成されるLEDに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体発光ダイオード及びレーザダイオード(本明細書ではまとめて「LED」と称する)は、現在利用可能な最も効率的な光源の1つである。LEDの発光スペクトルは、典型的には、デバイスの構造及びデバイスが構成される半導体材料の組成によって決定される波長において単一の狭いピークを示す。デバイス構造及び材料系の適切な選択によって、LEDは、紫外線、可視光線、又は赤外線波長で動作するように設計され得る。
【0004】
LEDは、LEDによって放出された光を吸収し、それに応じてより長い波長の光を放出する1つ又は複数の波長変換材料(本明細書では概して「蛍光体」又は「ダウンコンバータ」と称される)と組み合わされることができる。かかる蛍光体変換LED(「pcLED」)の場合、蛍光体によって吸収されるLEDによって放射された光の割合は、LEDによって放射された光の光路内の蛍光体材料の量、例えば、LED上又は周囲に配置された蛍光体層内の蛍光体材料の濃度及び層の厚さに依存する。蛍光体は、LEDによって放射される光の経路に配置されるシリコンマトリクスに埋め込まれることができる。
【0005】
蛍光体変換LEDは、LEDによって放射された光の全てが1つ以上の蛍光体によって吸収されるように設計されてもよく、この場合、pcLEDからの放射は完全に蛍光体からのものである。そのような場合、蛍光体は、例えば、LEDによって直接効率的に生成されない狭いスペクトル領域の光を放出するように選択されることができる。
【0006】
あるいは、pcLEDは、LEDによって放射された光の一部のみが蛍光体によって吸収されるように設計されることができ、その場合、pcLEDからの放射は、LEDによって放射された光と蛍光体によって放射された光との混合である。LED、蛍光体、及び蛍光体組成物の適切な選択によって、そのようなpcLEDは、例えば、所望の色温度及び所望の演色特性を有する白色光を放射するように設計され得る。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、ダウンコンバータ層転写、転送又は移着デバイス(downconverter layer transfer device)が提供され、ダウンコンバータ層転写デバイスは、リリースライナと、リリースライナ上に配置されているダウンコンバータ層であって、ダウンコンバータ層は、接着材にわたって(throughout an adhesive)分散したダウンコンバータ材料を含み、ダウンコンバータ層は、第1温度で固体かつ非接着性であり、第1温度を上回る高温(an elevated temperature)で接着性である、ダウンコンバータ層と、を備える。ダウンコンバータ層は、2つ以上のダウンコンバータ層ピクセルを含み、各ダウンコンバータ層ピクセルは、異なるダウンコンバータ材料を含み、リリースライナの異なるエリア上に配置されている。ダウンコンバータ層転写デバイスは、2つ以上のダウンコンバータ層ピクセルの間に空間を含むことができる。2つ以上のダウンコンバータ層ピクセルは、隣り合うことができ、接合部で接触又は当接する(meet at a junctions)ことができる。ダウンコンバータ層転写デバイスは、リリースライナとダウンコンバータ層との間に配置されたシリコン化層を含むことができる。ダウンコンバータ材料は、蛍光体、有機色素、量子ドット、及び散乱剤のうちの少なくとも1つを含むことができる。第1温度におけるダウンコンバータ層の(1Hzにおける)せん断弾性率G*(shear modulus G*)は、100 kPaよりも大きく、高温におけるダウンコンバータ層の(1Hzにおける)せん断弾性率G*は、1kPaと100kPaとの間である。
【0008】
別の態様においては、照明デバイスが提供され、照明デバイスは、基板上に実装された複数の個別にアドレス指定可能な発光ダイオードであって、各発光ダイオードが発光表面を有する、発光ダイオードと、複数のダウンコンバータ層ピクセルであって、各ダウンコンバータ層ピクセルは、発光ダイオードのうちの1つの発光ダイオードの発光表面に接触して接着されており、ダウンコンバータ層ピクセルは、接着材料と、接着材料全体にわたって分散するダウンコンバータ材料と、を含む、ダウンコンバータ層ピクセルと、を含む。接着材は、硬化前に、第1温度で固体かつ非接着性であり、第1温度を上回る高温で接着性である熱硬化性接着材であり得る。
【0009】
別の態様では、照明デバイスを形成する方法が提供され、照明デバイスを形成する方法は、基板上に実装された複数の発光ダイオードを提供するステップであって、各発光ダイオードは発光表面を有する、ステップと、リリースライナ上に配置されたダウンコンバータ層を有するダウンコンバータ層転写デバイスを提供するステップであって、ダウンコンバータ層は、接着材にわたって分散された第1ダウンコンバータ材料を含む、ステップと、ダウンコンバータ層を発光表面と位置合わせするステップと、ダウンコンバータ層を高温で発光表面と接触させるステップであって、高温は、接着材が発光表面に付着する温度である、ステップと、複数の発光ダイオードの発光表面と接触しているダウンコンバータ層ピクセルを高温未満の温度に冷却するステップと、リリースライナを除去するステップと、複数の発光ダイオードの発光表面に接着されたダウンコンバータ層を残して、リリースライナを除去するステップと、を含む。本方法は、ダウンコンバータ層を硬化させるステップをさらに含むことができる。ダウンコンバータ層を高温で発光表面と接触させることは、ダウンコンバータ層転写デバイス及び発光ダイオードに真空を適用することを含むことができる。ダウンコンバータ層転写デバイスを提供するステップは、リリースライナを提供するステップと、接着材料、第1ダウンコンバータ材料及び溶媒を混合して、第1接着ダウンコンバータ混合物を形成する、ステップと、リリースライナを第1接着ダウンコンバータ混合物でコーティングするステップと、接着ダウンコンバータ混合物から溶媒を除去してダウンコンバータ層を形成するステップと、を含むことができる。方法は、リリースライナを第1接着ダウンコンバータ混合物でコーティングする前に、リリースライナ上にフォトレジストパターンを形成するステップであって、フォトレジストパターンはウェルを含み、リリースライナを第1接着ダウンコンバータ材料でコーティングするステップは、ウェル内に第1接着ダウンコンバータ材料を配置するステップを含む、ステップと、フォトレジストパターンを除去して、ダウンコンバータ層ピクセルの各々の間に空間を有するダウンコンバータ層ピクセルのピクセルパターンを有するダウンコンバータ層を残す、ステップと、をさらに含むことができる。接着混合物でコーティングする前に、シリコン化コーティングでリリースライナをコーティングすることをさらに含むことができる。ダウンコンバータ層の第1部分は、第1ダウンコンバータ材料を含むことができ、リリースライナの第1エリア上に配置されることができ、ダウンコンバータ層の第2部分は、第1ダウンコンバータ材料とは異る第2ダウンコンバータ材料を含むことができ、リリースライナの、第1エリアとは異なる第2エリア上に配置されることができる。ダウンコンバータ層転写デバイスを提供するステップは、リリースライナを提供するステップと、接着材料、第1ダウンコンバータ材料及び溶媒を混合して、第1接着ダウンコンバータ混合物を形成する、ステップと、接着材料、第2ダウンコンバータ材料及び溶媒を混合して、第2接着ダウンコンバータ混合物を形成する、ステップと、リリースライナの第1エリア上のピクセルパターンで、リリースライナを第1接着ダウンコンバータ混合物でコーティングするステップと、リリースライナの第2エリア上のピクセルパターンで、リリースライナを第2接着ダウンコンバータ混合物でコーティングするステップと、第1接着ダウンコンバータ混合物及び第2接着ダウンコンバータ混合物から溶媒を除去して、ダウンコンバータ層ピクセルを有するダウンコンバータ層を形成する、ステップと、を含むことができる。方法は、さらに、リリースライナを第1接着ダウンコンバータ混合物及び第2接着ダウンコンバータ混合物でコーティングする前に、リリースライナ上にフォトレジストパターンを形成するステップであって、フォトレジストパターンはウェルを含み、リリースライナを第1接着ダウンコンバータ材料でコーティングするステップは、第1接着ダウンコンバータ材料を第1セットのウェル内に配置するステップを含み、リリースライナを第2接着ダウンコンバータ材料でコーティングするステップは、第2接着ダウンコンバータ材料を、第1セットのウェルとは異なる第2セットのウェル内に配置するステップを含む、ステップと、フォトレジストパターンを除去して、ダウンコンバータ層ピクセルの各々の間に空間を有するダウンコンバータ層ピクセルのピクセルパターンを残す、ステップと、を含むことができる。本方法は、第1接着混合物及び第2接着混合物でコーティングする前に、シリコン化コーティングでリリースライナをコーティングすることをさらに含むことができる。ダウンコンバータ材料は、蛍光体、有機色素、量子ドット、及び散乱剤のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、マイクロアレイ照明装デバイスの一例を示す平面図である。
【
図1B】
図1Bは、マイクロアレイ照明装デバイスの一例を示す断面図である。
図1 Bの断面図は、
図1Aの線A-Aに沿った断面図である。
【0011】
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態によるダウンコンバータ層転写デバイスを示す断面図である。
【0012】
【
図3A】
図3Aは、ダウンコンバータ層転写デバイスを使用する方法の例示的実施形態、及び、結果として生じる例示的実施形態による照明デバイスのためのフローチャートを示す図である。
【
図3B】
図3Bは、ダウンコンバータ層転写デバイスを使用する方法の例示的実施形態、及び、結果として生じる例示的実施形態による照明デバイスを示す図である。
【
図3C】
図3Cは、ダウンコンバータ層転写デバイスを使用する方法の例示的実施形態、及び、結果として生じる例示的実施形態による照明デバイスを示す図である。
【
図3D】
図3Dは、ダウンコンバータ層転写デバイスを使用する方法の例示的実施形態、及び、結果として生じる例示的実施形態による照明デバイスを示す図である。
【
図3E】
図3Eは、ダウンコンバータ層転写デバイスを使用する方法の例示的実施形態、及び、結果として生じる例示的実施形態による照明デバイスを示す図である。
【0013】
【
図4】
図4は、複数のマイクロアレイ照明デバイスを形成するためにダウンコンバータ層転写デバイスを使用するための方法の例示的な実施形態を示す。
【0014】
【
図5A】
図5Aは、ダウンコンバータ層転写デバイスを作製する方法の例示的実施形態のフローチャートを示す。
【
図5B】
図5Bは、ダウンコンバータ層転写デバイスを作製する方法の例示的実施形態を示す。
【
図5C】
図5Cは、ダウンコンバータ層転写デバイスを作製する方法の例示的実施形態を示す。
【
図5D】
図5Dは、ダウンコンバータ層転写デバイスを作製する方法の例示的実施形態を示す。
【
図5E】
図5Eは、ダウンコンバータ層転写デバイスを作製する方法の例示的実施形態を示す。
【
図5F】
図5Fは、ダウンコンバータ層転写デバイスを作製する方法の例示的実施形態を示す。
【
図5G】
図5Gは、ダウンコンバータ層転写デバイスを作製する方法の例示的実施形態を示す。
【0015】
【
図6】
図6は、別の例示的実施形態によるダウンコンバータ層転写デバイスを示す断面図である。
【0016】
【
図7A】
図7Aは、ダウンコンバータ層転写デバイスを使用する方法の例示的実施形態、及び、結果として生じる例示的実施形態による照明デバイスを示す図である。
【
図7B】
図7Bは、ダウンコンバータ層転写デバイスを使用する方法の例示的実施形態、及び、結果として生じる例示的実施形態による照明デバイスを示す図である。
【
図7C】
図7Cは、ダウンコンバータ層転写デバイスを使用する方法の例示的実施形態、及び、結果として生じる例示的実施形態による照明デバイスを示す図である。
【
図7D】
図7Dは、ダウンコンバータ層転写デバイスを使用する方法の例示的実施形態、及び、結果として生じる例示的実施形態による照明デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面において、同一の参照番号は、異なる図面を通して同様の要素を指す。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、選択的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定としてではなく、例として、本発明の原理を示す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下部(lower)」、「上方(above)」、「上部(upper)」などの空間的に相対的な用語は、図に示されるように、1つの要素又は特徴の別の要素(複数可)又は特徴(複数可)に対する関係を説明するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図面に示された配向に加えて、使用又は動作中のデバイスの異なる配向を包含することが意図されていることが理解されよう。例えば、図中のデバイスがひっくり返された場合、他の要素又は特徴の「下方(below)」又は「下(beneath)」として説明される要素は、他の要素又は特徴の「上(above)」に配向されるであろう。したがって、例えば、「下方(below)」という用語は、デバイスの向きに応じて、上方及び下方の両方の向きを包含することができる。デバイスは、別様に配向されてもよく(90度又は他の配向で回転される)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。
【0019】
発光ピクセルアレイは、例えばLEDなどの多数の小さな発光デバイスが、基板上に配列された発光デバイスであり、半導体ダイ又はチップであり得る。発光ピクセルアレイ内の個々のLED又はピクセルは、個々にアドレス指定可能であることができ、アレイ内のピクセルのグループ又はサブセットの一部としてアドレス指定可能であることができ、又はアドレス指定可能でなくてもよい。したがって、発光ピクセルアレイは、光分布のきめの細かい強度、空間的、及び時間的制御を必要とする、又はそれから利益を得る任意の用途に有用である。これらの用途は、ピクセルブロック又は個々のピクセルから放出された光の正確な特別なパターニングを含み得るが、これらに限定されない。用途に応じて、放出された光は、スペクトル的に別個であり、経時的に適応可能であり、及び/又は環境的に応答性であり得る。発光ピクセルアレイは、様々な強度、空間的、又は時間的パターンで事前にプログラムされた光分布を提供することができる。放出された光は、少なくとも部分的に受光センサデータに基づくことができ、光ワイヤレス通信のために使用されることができる。関連する電子機器及び光学機器は、ピクセル、ピクセルブロック、又はデバイスレベルで別個であってもよい。
【0020】
発光ピクセルアレイには幅広い用途があり、発光ピクセルアレイ照明器具には、選択的なピクセル活性化及び強度制御に基づいてさまざまな照明パターンを投影するようにプログラムできる照明器具が含まれる。かかる照明器具は、可動部品を使用せずに単一の照明デバイスから複数の制御可能なビームパターンを送達することができる。典型的には、これは、1D又は2Dアレイにおける個々のLEDの輝度を調整することによって行われる。光学系は、共有であるか個別であるかにかかわらず、任意選択で、光を特定のターゲットエリアに方向付けることができる。
【0021】
発光ピクセルアレイは、改善された視覚表示のために建物又はエリアを選択的かつ適応的に照明するために、又は照明コストを低減するために使用され得る。加えて、発光ピクセルアレイは、装飾的な動き又はビデオ効果のためにメディアファサードを投影するために使用されてもよい。追跡センサ及び/又はカメラと共に、歩行者の周りの領域の選択的な照明が可能であり得る。スペクトル的に異なるピクセルを使用して、照明の色温度を調整し、波長固有の園芸照明(wavelength specific horticultural illumination)をサポートすることができる。
【0022】
街路照明は、発光ピクセルアレイの使用から大いに利益を得ることができる重要な用途である。単一タイプの発光アレイは、様々な街路灯タイプを模倣するために使用されることができ、例えば、選択されたピクセルの適切な活性化又は非活性化によって、タイプI線形街路灯とタイプIV半円形街路灯との間の切り替えを可能にする。さらに、街路照明コストは、環境条件又は使用時間に従って光ビームの強度又は分布を調整することによって低減され得る。例えば、歩行者が存在しない場合には、光強度及び分布面積を減少させることができる。発光ピクセルアレイのピクセルがスペクトル的に別個である場合、光の色温度は、それぞれの昼光、夕暮れ、又は夜間条件に従って調整され得る。
【0023】
発光アレイはまた、直接ディスプレイ又は投影ディスプレイを必要とする用途をサポートするのによく適している。例えば、警告、緊急、又は情報サインは全て、発光アレイを使用して表示又は投影され得る。これにより、例えば、色変化又は点滅する出口標識を投影することが可能になる。発光アレイが多数のピクセルから構成される場合、テキスト又は数値情報を提示することができる。方向矢印又は同様のインジケータも提供されることができる
【0024】
車両ヘッドランプは、大きなピクセル数及び高いデータリフレッシュレートを必要とする発光アレイ用途である。道路の選択された部分のみを能動的に照明する自動車用ヘッドライトを使用して、近づいてくる運転者のグレア又はまぶしさ(dazzling)に関連する問題を低減することができる。センサとして赤外線カメラを使用して、発光ピクセルアレイは、道路を照明するために必要とされるピクセルのみを活性化し、歩行者又は接近車両のドライバーを眩惑(dazzle)し得るピクセルのみを非活性化する。さらに、ドライバーの環境警戒意識(environmental arvareness)を向上させるために、道路外の歩行者、動物、又は標識を選択的に照明することもできる。発光ピクセルアレイのピクセルがスペクトル的に別個である場合、光の色温度は、それぞれの昼光、夕暮れ、又は夜間の条件に従って調整されてもよい。いくつかのピクセルは、光ワイヤレス車両間通信のために使用され得る。
【0025】
発光ピクセルアレイのタイプの一例は、pLEDとも称されるマイクロLEDである。
図1A及び
図1Bは、マイクロLEDの一例を示す。
図1Aは、マイクロLEDアレイ110の平面図を、LEDアレイ110の3×3部分展開図と共に示す。
図1Aでは、1つの正方形111は、単一のLED又はピクセルを表す。3×3部分展開図に示すように、LEDアレイ110は、幅w1を有するピクセル111を含むことができ、幅w1は30μm~500μm、例えば約100μm以下、例えば40μmであり得る。ピクセル間のギャップ又はレーン113は、幅w2によって分離されることができ、幅w2は30μm~500μm、例えば、約20μm以下、例えば、5μmであり得る。レーン113は、
図1Bに示されるように、ピクセル間に空隙を提供することができ、又は他の材料を含むことができる。1つのピクセル111の中心から隣り合うピクセル111の中心までの距離d1は、約120μm以下(例えば、45μm)であることができる。かかるマイクロLEDアレイは、例えばセンチメートル範囲のエリアを有する基板上に、共に配置された数百、数千、又は数百万のLEDを有することができるが、そのエリアのサイズは変化し得る。本明細書で提供される幅及び距離は例に過ぎず、実際の幅及び/又は寸法は変化し得ることが理解されるであろう。例えば、幅w2は、少なくともミリメートルのオーダーであることができ、スパースマイクロLEDを形成することができるが、より大きくてもより小さくてもよい。
【0026】
図1A及び
図1Bには、対称マトリクスに配置された矩形ピクセルが示されているが、本明細書に開示される実施形態には、任意の形状及び配置のピクセルが適用され得ることが理解されよう。例えば、
図1AのLEDアレイ110は、100×100マトリクス、200×50マトリクス、対称マトリクス、非対称マトリクスなどの任意の適用可能な配置で10,000個のピクセルを含むことができる。ピクセル、マトリクス、及び/又は基板の複数のセットが、本明細書に開示される実施形態を実装するために、任意の適用可能なフォーマットで配列され得ることも理解されるであろう。
【0027】
マイクロLEDはpcLEDから形成することができる。マイクロLEDを形成するための1つの方法は、当技術分野で知られているように、エピタキシャル成長を使用して、複数の個別のLED110をフリップチップ構造でダイ上に形成することである。
図1Bは、
図1AのA-A線に沿った1つのタイプのマイクロLEDデバイスの一部の側面図を示す。
【0028】
図1Bは、ピクセル111及びレーン113を示す。各ピクセル111は、例えば基板116上に配置されたLEDダイのアレイ144の1つであるLEDダイ140から形成される。基板116は、例えば、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)チップ又はMCPCB(メタルコアプリント配線板)などの、例えば、単一の半導体ダイ又はチップ、ボード又はインターポーザであることができる。基板116は、LEDダイのアレイ144内のLEDダイ140の各々に電気信号を供給することができる。ダウンコンバータ163は、LEDダイのアレイ144の直接上に(over and on)ある。ダウンコンバータ163は、例えば、マトリックスに含まれる蛍光体粒子、例えば、シリコンに含まれるガーネット粒子から形成されてもよい。
【0029】
図1Bは、個別化され(singulated)、個々のLEDダイ140のみを覆うダウンコンバータ163を示す。しかしながら、ダウンコンバータ163は、LEDダイ140と、LEDダイ140間のギャップ113と、の両方を覆う単一の層であってもよい。
図1Bに示される個別化されたダウンコンバータ163は、個々のダイ140の上に配置された個々のダウンコンバータピクセル164、165、及び166を含み得る。ダウンコンバータ163は、様々な異なるダウンコンバータ材料を含むことができ、各々が、個々のLEDダイ140上方に配置された異なる個々のダウンコンバータピクセル内にある。例えば、赤色、緑色、及び青色発光ピクセルを有するマイクロLED(「RGBマイクロLED」)を形成するために、LEDダイ140は青色発光LEDダイであってもよく、個々の蛍光体ピクセル164は青色光を赤色光に変換するダウンコンバータであってもよく、個々の蛍光体ピクセル165は青色光を緑色又は黄緑色光に変換するダウンコンバータであってもよく、個々の蛍光体ピクセル166は、LEDダイからの青色光が変換されずに透過されるように散乱剤のみを含んでもよい。放出された赤色光、緑色光、及び青色光を組み合わせて白色光を形成することができる。一実施例では、ダウンコンバータは、青色光を白色光に変換して、約5700KのCCTで単色白色であるマイクロLEDを生成する。個々のピクセル111によって放出される光の量は、放出される不飽和緑色、赤色、及び青色光の混合が、高効率の調整可能白色光源を確立することができる調整可能マイクロLEDを形成するように、個別に制御されることができる。ダウンコンバータ163はまた、各個々のダウンコンバータピクセル164、165、166の間に、スペース113と位置合わせされたギャップ167を含むことができる。
【0030】
マイクロLEDを含むpcLEDを形成する1つの方法は、蛍光体変換材料を、例えばLumiramic(商標)などのタイル(プレート、小板、ウェハ、フィルム、又は他の形状と称されることもある)に別個に形成することである。次に、タイルは、別個に形成されたLEDダイ又はLEDダイのアレイに取り付けられるか(attached)又は結合若しくは接着(bonded)される。この方法を使用してRGBマイクロLEDを組み立てるために、接着剤の層がLEDダイに適用された後、「ピックアンドプレース」ツールを使用して、個々の蛍光体タイルのそれぞれを個々のLEDダイ上に配置して、個々の赤色、緑色、及び青色ピクセルを形成する。このシリアルピックアンドプレース法は、隣り合うピクセル間の広いギャップにつながる重大な取り付け精度問題をもたらす。また、シリアルピックアンドプレース法は、時間がかかり、スループットのボトルネックとなり、製造プロセスが遅くなる。使用され得る他の方法は、スタンププロセス、フォトリソグラフィ、又はインクジェット印刷のいずれかを介して、青色ダイのアレイ上に赤色及び緑色サブピクセルをパターン化することを含む。スタンププロセス方法は、マルチカラーアレイに対して、スタンプ上のダウンコンバータピクセルのアセンブリを必要とする可能性があり、これは、アセンブリするためのシリアルピックアンドプレースの使用を伴う。フォトリソグラフィ法は、LEDのアレイ上に直接パターニングすることを必要とする可能性があり、これは、トポグラフィの変動ならびに材料タイプの違い(例えば、GaN上のリソグラフィはシリコン上のリソグラフィとは異なる)のために困難である可能性がある。インクジェット印刷の使用は、高アスペクト比の蛍光体ピクセルを印刷することが困難であるために制限され得る。
【0031】
図2は、pcLEDを形成するために使用することができ、特に、RGBマイクロLEDなどの発光ピクセルアレイを形成するのに有用であるダウンコンバータ層転写デバイス200の一部の側面図を示す。ダウンコンバータ層転写デバイス200は、ダウンコンバータ層220でコーティングされたリリースライナ210を含む。ダウンコンバータ層220は、以下でより詳細に説明するように、接着材料と混合された1つ以上のダウンコンバータ材料を含む。ダウンコンバータ層220は、別々のダウンコンバータ層ピクセル221、222、223内に異なるタイプのダウンコンバータ材料の部分を含むことができる。例えば、ダウンコンバータ層ピクセル221は赤色ダウンコンバータ材料を含んでもよく、ダウンコンバータ層ピクセル222は緑色ダウンコンバータ材料を含んでもよく、ダウンコンバータ層ピクセル223は散乱剤のみを含んでもよい。ダウンコンバータ層220において使用される異なるダウンコンバータ材料の数、ならびに異なるダウンコンバータ層ピクセルの配列及び色は、製造される所望の発光デバイスに応じて変化し得る。例えば、ダウンコンバータ層ピクセルのRGBパターンは、ダウンコンバータ層転写デバイスの全体にわたって繰り返すことができる。ダウンコンバータ層ピクセル221、222、及び223の各々の間に空間224があり得る。ダウンコンバータ層ピクセル221、222、223及びスペース224のサイズは、ダウンコンバータ層220がLEDアレイ144に転写、転送又は移着された(transferred)ときに、以下で説明するように、ダウンコンバータ層ピクセル221、222、223が個々のLED140の上に配置されて、
図1A及び
図1Bで上述したような発光デバイスを生成するように設定される。
【0032】
図2は、ちょうど4つのダウンコンバータ層ピクセルを有するダウンコンバータ層転写デバイスの一部のみを示す。概して、フルダウンコンバータ層転写デバイスは、マイクロLED110を形成するためにダウンコンバータが配置されることになるLEDアレイ144の面積に一致する面積、又はその発光部分を覆うのに十分な大きさを有することができる。完全ダウンコンバータ層転写デバイスは、いくつかのLEDアレイ144が一度に製造され得るように、2つ以上のLEDアレイ144を覆う面積を有することができる。個々のダウンコンバータ層ピクセル221、222、223の数は、LEDアレイ144内の個々のLEDダイ140の数に一致することができるが、これは必須ではない。したがって、単一のダウンコンバータ層転写デバイス内の個々のダウンコンバータ層ピクセルの数は、数百から数千万であり得る。
【0033】
リリースライナ210は、(
図3A-3Dにおいて以下に示されるような)動作において、ダウンコンバータ層220を保持することができ、ダウンコンバータ層220をリリースすることができる、概して可撓性シートの形態の任意の材料であることができる。したがって、ダウンコンバータ層220がリリースライナ210を均一にコーティングするように、かつダウンコンバータ層220が基板に転写された後にリリースライナ210をダウンコンバータ層220からきれいにリリースできるように、リリースライナ210を(例えば、粗さ、滑り、及び表面エネルギーに関して)最適化することができる。リリースライナ210は、例えば、PANAC Corporation SP-PET-50-01 BU等のポリエチレンテレフタレート(「PET」)等の可撓性材料のシートであり得る。リリースライナ210は、リリースライナ210と接着層220との間に配置され、接着層220のリリースを強化する転写コーティング(
図2には図示せず)でコーティングされることができる。かかる転写コーティングは、例えば、シリコン処理されたリリースコーティングであってもよく、その例としては、PETライナ上のPANAC CorporationのPDMSリリースコーティングを含み、これは、Dow White Paper”Release Force Understanding-Recent Findings’”by R.Ekeland,J.Tonge,and G.Gordon,2018,The Dow Chemical Companyにさらに記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特に、リリースライナ210が除去されるとき(以下の例に示されるように)、ダウンコンバータ層220の基板へのきれいな転写を確実にするために、接着層220とリリースライナ210との間のリリース強度は、30N/m未満、例えば、1~5N/mであることができる。
【0034】
ダウンコンバータ層220は、ダウンコンバータ材料及び接着材料を含み、
図3A~
図3Eに関して以下でより詳細に説明するように、マイクロLEDを形成するために基板、すなわちLEDアレイ144に転写及び接着されるダウンコンバータ層転写デバイスの一部である。
【0035】
ダウンコンバータ層220を形成するために使用される接着材料(adhesive material)は、以下の特性を有するように選択することができる。第1は、ダウンコンバータ層転写デバイス200を形成するために、接着材料をリリースライナ210上に均一にコーティングすることができることである。第2は、接着材料が、第1のより低い温度、例えば室温で、乾燥し、粘着性ではなく、比較的硬い、すなわち流動しないダウンコンバータ層220を形成することである。すなわち、室温(例えば、15~25℃)などの第1温度では、ダウンコンバータ層220内の接着材料は、それが形成されたリリースライナ210に接着しているが、LEDダイなどの基板に取り付けるのに十分な接着性を有していない。例えば、室温などの第1温度でのダウンコンバータ層220内の接着材料は、せん断弾性率G*(1Hzで)>100kPa(0.1MPa)、例えばせん断弾性率G*>300kPa(0.3MPa)のダルキスト基準(Dahlquist Criterium)に従うことができる。第3に、ダウンコンバータ層を形成する接着材料220は、高温で粘着性になりリフローする。すなわち、ダウンコンバータ層220に熱が加えられると、接着性になり、次いで基板に直接取り付けることができる。例えば、高温は、接着材料のせん断弾性率G*(1Hzのける)がせん断弾性率G*=1kPaとせん断弾性率G*=100kPaとの間になるように選択され、tanδは、例えば、50℃~150℃、例えば、100℃において、典型的には0.5~3.0である。第4に、ダウンコンバータ層220を形成するために使用される接着材料は、ターゲット基板への強い結合を提供するダウンコンバータを形成することができる。
【0036】
特に、ダウンコンバータ層220に使用される接着材料は、より低い第1温度では基板に直接取り付けるのに十分な接着性を有していなくてもよいが、高温ではLEDダイなどの基板に直接取り付けるのに十分な接着性を有し、冷却後、リリースライナが容易に除去され得るように、リリースライナ210よりも基板に強固に付着する。ダウンコンバータ層220を形成するために使用される接着材料は、例えば、シロキサン接着剤であり得る。
【0037】
ダウンコンバータ層220に使用されるダウンコンバータ材料は、マイクロLEDの用途に使用され、接着材料と適合性のある任意のダウンコンバータ材料であり得る。ダウンコンバータ材料は、例えば、ガーネット粒子などの蛍光体粒子、例えば、Alq3(Al(C9H6NO)3などの発光性小分子などの有機色素、又は例えば、PPV(ポリパラフェニレンビニレン)などのポリマー、及び/又は例えば、コロイド状半導体ナノ結晶などの量子ドットを含むことができる。ダウンコンバータ材料はまた、LED140によって放出される光を散乱させるが、放出される光の色を変化させない、例えば、TiO2等の散乱剤であることができる。
【0038】
ダウンコンバータ層220の厚さTは、最終デバイスにおけるダウンコンバータ163の所望の目標厚さに一致するように選択され、1μm~200μmの範囲内、例えば、10μm未満、5μm~10μmの範囲内であることができる。接着層220はまた、厚さTが層にわたって均一であるように形成されてもよく、例えば、Tは、ダウンコンバータ層220にわたって、及びダウンコンバータ層ピクセル221、222、223、224の間で、20%未満、例えば、10%未満の偏差(変動)を有し得る。すなわち、ダウンコンバータ層ピクセル221、222、223、224の各々は、他のダウンコンバータ層ピクセル221、222、223、224のいずれかの厚さTと比較して、20%未満、例えば、10%未満の厚さ偏差(変動)を有する。ダウンコンバータ層ピクセル221、222、223、224の均一な厚さは、より均一な厚さが放射される光のより均一な外観をもたらすため、有利である。また、有利なことに、ダウンコンバータ材料が接着層内にあるので、ダウンコンバータ材料を含むタイル又は他の層をLEDダイに取り付けるための別個の結合層(bonding layer)が不要である。これは、照明デバイスの形成における追加の処理ステップを除去し、ダウンコンバータ層がLEDダイの発光表面と直接接触したデバイスをもたらす。LEDダイによって放射された光は、ダウンコンバータ層に入る前に結合層を通過する必要はない。さらなる利点は、ピックアンドプレースプロセスの結果としてアライメントにランダムな変動が存在し得るピックアンドプレース方法によって作製されたものと比較して、結果として得られるデバイス内のダウンコンバータピクセル間に一貫したアライメントが存在することである。
【0039】
図3A~
図3Eは、ダウンコンバータ層転写デバイス200を使用する方法の一例のフローチャート及び図を示す。2020年5月14日に出願された「Adhesive Film Transfer Coating and Use in Manufacturing of Light Emitting Devices」と題する米国特許出願第16/874,529号に開示されているプロセスと同様に、ダウンコンバータ層220をLEDアレイ344上に転写するために、真空積層プロセスを使用することができ、この特許出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0040】
図3Bに示すように、S310において、ダウンコンバータ層転写デバイス200は、LEDアレイ344の上方に位置合わせされることができる。LEDアレイ344は、基板316上に複数の個々のLEDダイ340を含む。
図3Bに示されるように、コンバータ層結合デバイス200のダウンコンバータ層220は、ダウンコンバータ層220が適用されるLEDアレイ344の表面317に面している。表面317は、LEDダイが光を放射する表面である。ダウンコンバータ層ピクセル221、222、223の各々は、個々のLEDダイ340のうちの1つの表面317に面している。ダウンコンバータ層ピクセル221、222、223の縁部226は、ダウンコンバータ層ピクセル221、222、223間の空間224がLEDアレイ344のレーン313上に配置されるように、個々のLEDダイ340の縁部346と位置合わせすることができる。個々のダウンコンバータ層ピクセル221、222、223と個々のLEDダイ340との間の良好なアライメントを達成することは、マイクロLEDの性能を改善するために重要である。整列を達成するために様々な方法を使用することができる。例えば、当業者には公知の基準マーカをダウンコンバータ層転写デバイス200及びLEDアレイ344上に配置して(図示せず)、正確な位置合わせを可能にすることができる。
【0041】
図3Cに示すように、S320において、ダウンコンバータ層転写デバイス200及びLEDアレイ344に真空を適用することができ、S330において、ダウンコンバータ層転写デバイス200を高温でLEDアレイ344と接触させることができる。使用される温度は、ダウンコンバータ層転写デバイス200で使用される特定の接着材料に依存する。概して、温度は、ダウンコンバータ層220に使用される接着材料を流動させ、LEDダイ340sの表面317に付着するのに十分な粘着性、すなわち接着性にするのに十分なほど高い。高温(elevated temperature)は、せん断弾性率G*(1Hzにおける)が、せん断弾性率G*=1kPaとせん断弾性率G*=100kPaとの間であり、tanδが典型的には0.5と3.0との間であるように選択されることができる。同時に、ダウンコンバータ層220に使用される接着材料が、LEDダイ340の縁部を越えて滴下又は漏出することなく、LEDダイ340のその形状及びカバレッジを概して維持するように、温度は過剰な流動を防止するのめに十分に低くあるべきである。ダウンコンバータ層転写デバイス200が取り付けられたLEDアレイ344は、その後、冷却され、例えば、室温に戻されることができる。
【0042】
図3Dに示すように、S340において、リリースライナ210を除去して、ダウンコンバータ層220をLEDアレイ344上に残すことができる。ダウンコンバータ層220内の接着材料は、熱処理後、リリースライナ210よりも強くLEDダイ340に取り付けられる。リリースライナ210は、例えば、LEDアレイ344に取り付けられたダウンコンバータ層220からリリースライナ210を剥がすことによって機械的に除去されることができる。上述したように、クリーンな転写を確実にするために、リリースライナ210は、ダウンコンバータ層220とリリースライナ210との間の剥離強度が30N/m未満、例えば1~5N/mとなるように設計されることができる。ダウンコンバータ層220は、リリースライナ210の除去後にLEDアレイ344上に残る。特に、個々のLEDダイ340は、LEDダイ340の表面317に取り付けられた個々のダウンコンバータ層ピクセル221、222、223を有する。
【0043】
S350において、ダウンコンバータ層220内の接着材料の追加の硬化が、リリースライナ210の除去後に行われることができる。例えば、
図3Eに示すように、ダウンコンバータ層220内の接着材料を完全に硬化させてダウンコンバータ363に変換するために、熱が加えられることができる。
【0044】
図3Eに示すように、完全に硬化したダウンコンバータ層363が、LEDアレイ344に結合される。特に、異なるダウンコンバータ材料を含み得る個々のダウンコンバータピクセル364、365、及び366は、LEDアレイ344の個々のLEDダイ340に結合される。
【0045】
図3B~
図3Dは、LEDアレイ344の個々のLED340及び個々のダウンコンバータピクセル364、365、366のレベルでダウンコンバータ層転写デバイス200を使用するプロセスの拡大図を示す。ダウンコンバータ層転写デバイス200は、
図4に示すように、ダウンコンバータを2つ以上のLEDアレイ344に転写するのに十分な大きさに作製することができる。各LEDアレイ344は、複数のLED340を含み、例えばマイクロLEDを形成する。各LEDアレイ344は基板401上に配置され、この基板は、例えば、当業者に知られているようなキャリアテープであることができる。フルダウンコンバータ層転写デバイス200が示されており、個々のダウンコンバータピクセルがリリースライナ210上に複数のアレイ420で形成されている。単一の製造プロセスにおいて複数のLEDアレイ344上にダウンコンバータを形成するために、
図3A~
図3Dに関して開示された真空積層プロセスが適用される。
【0046】
図5A~
図5Gは、ダウンコンバータ層転写デバイス200を作製する方法のフローチャート及び図を示す。
図5Bは、リリースライナ210に関して上述したような特性を有する可撓性シートであり得るリリースライナ510を示す。S510において、
図5Cに示されるように、使用されるリリースライナ510は、上述のようにリリース特性を向上させるためにシリコン化コーティング(siliconized coatin)511でコーティングされることができる。シリコン化コーティング511は任意である。
【0047】
図5D及び
図5Eに示すように、S520において、リリースライナ510上にパターニングされたフォトレジスト512を形成することができる。パターニングされたフォトレジスト512を形成するために、UV硬化性レジストがリリースライナ510上にコーティングされ、その後、所望のピクセル寸法の反転を有するパターン構造を形成するようにインプリントされる。その後、インプリントされたUV硬化性レジストを硬化させて、フォトレジストパターン内に「ウェル」513を有するパターニングされたフォトレジスト512を残す。
図5Eに示すように、この実施例では、パターニングされたフォトレジスト512は行にパターニングされるが、所望のダウンコンバータピクセルの最終パターンに応じて他のパターンを使用することができる。
図5Eはまた、「ウェル」513とほぼ同じ幅を有するパターニングされたフォトレジスト512を示すが、サイズは変化してもよく、フォトレジスト512はウェル513よりもはるかに狭くてもよい。一実施例ではウェルは、50μmの幅及び45μmの深さを有することができる。
【0048】
S530において、1つ以上の接着ダウンコンバータ混合物501、502は、接着材料、ダウンコンバータ材料、及び溶媒を混合することによって調製され得る。例えば、メチルフェニルシロキサン樹脂及びシクロヘキサノン溶媒などの樹脂及び溶媒、又は、別の例では、シリコン樹脂(Dow Corning(登録商標)LF-1112など)及び、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒を、蛍光体、有機色素、量子ドット、又は散乱剤などの1つ以上のダウンコンバータ材料と混合することができる。ダウンコンバータ材料は、接着材全体に分散されている。別個の接着ダウンコンバータ混合物501、502が、形成されるべきダウンコンバータピクセルタイプごとに形成される。例えば、RGBデバイスが形成される場合、赤色ダウンコンバータ材料を有する接着ダウンコンバータ混合物、緑色ダウンコンバータ材料を有する接着ダウンコンバータ混合物、及び散乱剤を有する接着ダウンコンバータ混合物がそれぞれ形成され得る。接着材料対溶媒の質量比は、使用される特定のダウンコンバータ材料及びデバイスから放出される光の所望の特性に依存し、例えば、5:1と0.1:1との間、又はさらに大きくてもよい。接着材料及び溶媒の濃度は、接着ダウンコンバータ混合物501、502の所望の粘度を達成するように選択することができる。接着ダウンコンバータ混合物501、502の粘度は、結果として得られるダウンコンバータ層520の所望の厚さTを依然として達成しながら、リリースライナ510の濡れを最適化するように選択することができる。例えば、接着ダウンコンバータ混合物501、502の粘度は、70~3,000MPa.s(又はcP)の範囲内であり得る。
【0049】
S540において、
図5Fに示されるように、各接着ダウンコンバータ混合物501、502は、フォトレジスト512のパターニングされた領域上にコーティングされる。特に、各接着ダウンコンバータ混合物501、502は、フォトレジスト512の「ウェル」領域513のある程度(certain)を接着ダウンコンバータ混合物501、502で充填するように、フォトレジスト512上にコーティングされる。例えば、フレキソ印刷、スロットダイコーティング、ロータリースクリーン印刷など、リリースライナ210を接着ダウンコンバータ混合物の均一層501、502で所望の厚さに適切にコーティングできる任意の方法を使用することができる。
図5Fに示すように、異なる接着ダウンコンバータ混合物501、502が、異なるウェル513に充填される。例えば、接着ダウンコンバータ混合物501は、1つおきのウェル513に充填されてもよく、接着ダウンコンバータ混合物502は、その間のウェルを充填してもよい。別個の接着ダウンコンバータ混合物501、502のために、複数の連続コーティングパスが必要とされ得る。すなわち、
図5Fに示すように、第1接着ダウンコンバータ混合物501は、ウェル513の第1セット内にコーティングされてもよく、その後、第2の接着ダウンコンバータ混合物502が、第1接着ダウンコンバータ混合物501で充填されていないウェル513内に続いてコーティングされてもよい。2つより多い接着ダウンコンバータ混合物が使用される場合、異なる接着ダウンコンバータ混合物の各々に対して1つずつ、いくつかのコーティングパスが使用され得る。
【0050】
S550、S560において、接着ダウンコンバータ混合物501、502がフォトレジスト512のウェル513内にコーティングされると、接着ダウンコンバータ混合物501、502を乾燥させて、ダウンコンバータ層ピクセル521、522を有するダウンコンバータ層520を形成することができる。
図5Gに示すように、フォトレジスト512を現像してフォトレジスト512を除去し、ダウンコンバータ層ピクセル522、521を有するダウンコンバータ層転写デバイス500をリリースライナ510上に残すことができる。S560におけるフォトレジストの除去はまた、S550における接着ダウンコンバータ混合物510、502の乾燥及び/又は部分的硬化の前又はその間に行われてもよい。
【0051】
使用される接着材に応じて、S570において、接着ダウンコンバータ混合物は、材料を安定させ、ダウンコンバータ層520の均一性を改善するためにさらに硬化されることができる。
【0052】
上記の
図5に示されるようなフォトレジスト512を使用する利点は、縁部(又は側壁)、例えばダウンコンバータ層ピクセル522のエッジ526が好適に画定され、ピクセルを分離するためにダウンコンバータ層を機械的に切断する必要がないことである。
【0053】
図6は、pcLEDを形成するために使用することができ、特に、RGBマイクロLEDなどの発光ピクセルアレイを形成するのに有用であるダウンコンバータ層転写デバイス600の別の実施例の一部の側面図を示す。
図6Aに示されるダウンコンバータ層転写デバイス600では、ダウンコンバータ層620は、
図3Bに示される空間224等のダウンコンバータピクセル間の明確な画定された間隙又は空間を含まない。ダウンコンバータ層転写デバイス600は、ダウンコンバータ層620でコーティングされたリリースライナ610を含む。ダウンコンバータ層620は、上述したように、接着材料と混合された1つ以上のダウンコンバータ材料を含む。ダウンコンバータ層620は、別々のダウンコンバータ層ピクセル621、622、623内に異なるタイプのダウンコンバータ材料の部分を含むことができる。例えば、ダウンコンバータ層ピクセル621は赤色ダウンコンバータ材料を含んでもよく、ダウンコンバータ層ピクセル622は緑色ダウンコンバータ材料を含んでもよく、ダウンコンバータ層ピクセル623は、散乱剤のみを含んでもよい。ダウンコンバータ層620において使用される異なるダウンコンバータ材料の数、ならびに異なるダウンコンバータ層ピクセルの配列及び色は、製造される所望の発光デバイスに応じて変化し得る。例えば、ダウンコンバータ層ピクセルのRGBパターンは、ダウンコンバータ層転写デバイスの全体にわたって繰り返すことができる。
図6Aに示すように、異なる接着ダウンコンバータピクセル621、622、623は互いに隣り合い、接合部633で互いに接触していてもよい。接合部633において、2つの隣接するダウンコンバータピクセルのダウンコンバータ材料間にいくらかの混合があってもよい。ダウンコンバータ層ピクセル621、622、623のサイズは、ダウンコンバータ層620がLEDアレイ144に転写されたときに、以下で説明するように、ダウンコンバータ層ピクセル621、622、623が個々のLED140の上に配置されて、
図1A及び
図1Bで上に示したような発光デバイス生成するように設定される。
【0054】
図7A~
図7Cは、ダウンコンバータ層転写デバイス600を使用する方法を示す。この方法は、ダウンコンバータ層転写デバイス600が
図3Bに示す縁部226などのエッジを含まないことを除いて、ダウンコンバータ層転写デバイス200について
図3Aのフローチャートに記載された方法に概ね従う。
図7Aに示すように、ダウンコンバータ層転写デバイス600は、LEDアレイ744の上方に位置合わせされてもよい。LEDアレイ744は、基板716上に複数の個々のLEDダイ740を含む。
図7Aに示されるように、コンバータ層結合デバイス600のダウンコンバータ層620は、ダウンコンバータ層620が適用されるLEDアレイ744の表面717に面している。表面717は、LEDダイ740が光を放射する表面である。ダウンコンバータ層ピクセル621、622、623の各々は、個々のLEDダイ740のうちの1つの表面717に面している。ダウンコンバータ層ピクセル621、622、623間の接合部633がLEDアレイ744のレーン713上方に配置されるように、ダウンコンバータ層ピクセル621、622、623間の接合部633は、個々のLEDダイ740の縁部746間にあるように位置合わせされてもよい。個々のダウンコンバータ層ピクセル621、622、623と個々のLEDダイ640との間の良好なアライメントを達成することは、マイクロLEDの性能を改善するために重要である。上述したように、基準マーカなどの様々な方法を使用して位置合わせを達成することができる。
【0055】
図7Bに示すように、ダウンコンバータ層転写デバイス600及びLEDアレイ744に真空を適用することができ、ダウンコンバータ層転写デバイス600を高温でLEDアレイ744と接触させることができる。使用される温度は、
図3Cに関して上述したように、ダウンコンバータ層転写デバイス600で使用される特定の接着材料に依存する。ダウンコンバータ層転写デバイス600を有するLEDアレイ744は、その後、冷却され、例えば、室温に戻されてもよい。
【0056】
図7Cに示すように、リリースライナ610を除去して、ダウンコンバータ層620が後にLEDアレイ644上に残され得る。熱処理後、LEDダイ640上に配置されたダウンコンバータ層620内の接着材料の部分は、リリースライナ610よりも強くLEDダイ740に取り付けられる。リリースライナ610は、例えば、LEDアレイ744に取り付けられたダウンコンバータ層620からリリースライナ610を剥離することによって機械的に除去されてもよい。接合部633におけるダウンコンバータ層620内の接着材料の部分634は、LEDダイ740と接触しておらず、熱処理後にリリースライナに取り付けられたままであり、したがって、
図7Cに示すように、リリースライナが除去されると、接合部633におけるダウンコンバータ層の部分634はリリースライナ610と共に除去され、LEDダイ740上に配置されたダウンコンバータ層620の部分のみが残る。リリースライナ610は、
図3Dに関して上述したようなリリース強度を有する。リリースライナ610と接合部633におけるダウンコンバータ層620の部分634との除去後、個々のLEDダイ740は、LEDダイ740の表面717に取り付けられた個々のダウンコンバータ層ピクセル621、622、623を有する。
【0057】
ダウンコンバータ層620内の接着材料の追加の硬化は、リリースライナ610の除去後に実行されてもよく、
図7Dに示されるように、LEDアレイ344に結合された完全に硬化したダウンコンバータ層763をもたらす。特に、異なるダウンコンバータ材料を含み得る個々のダウンコンバータピクセル764、375、及び766は、LEDアレイ744の個々のLEDダイ740に結合(bonded)される。
図7Dの照明デバイス構造は、ダウンコンバータ層620を形成するためにフォトレジストを使用せずに、ダウンコンバータピクセル664、665、666の縁部がダウンコンバータピクセルのエッジほど良好に画定されない場合があることを除いて、
図3Eに示される照明デバイス構造と本質的に同じである。
【0058】
リリースライナ610の除去による部分634の除去に加えて又は代わりに、機械的な鋸引きを使用して、LEDダイ744上に配置されたダウンコンバータ層ピクセル621、622、623を分離し、ダウンコンバータ層620の任意の残りの部分634を除去することができる。
【0059】
ダウンコンバータ層転写デバイス600を準備するために、フォトレジストを使用しないことを除いて、
図5Aに示したものを使用することができる。したがって、
図5AのS510と同様に、リリースライナ610は、任意にシリコン化コーティング611でコーティングされてもよい。パターニングされたフォトレジストはリリースライナ610上に形成されず、すなわち、S520はスキップされる。S530と同様に、1つ以上の接着ダウンコンバータ混合物は、接着材料、ダウンコンバータ材料、及び溶媒を混合することによって調製され得る。次に、接着ダウンコンバータ混合物は、ダウンコンバータ層620(
図6)を形成するために所定のパターンでリリースライナ上にコーティングされ、所定のパターンは、異なるダウンコンバータ層ピクセル621、622、623を形成するように設定される。これは、例えば、グラビア印刷又はフレキソ印刷などの接触印刷技術を使用して達成することができる。
【0060】
図6に示されるように、異なる接着ダウンコンバータ混合物は、ダウンコンバータ層ピクセル621、622、623を形成するためにリリースライナ610上に配置されるとき、接合部633において互いに接触してもよく、ダウンコンバータ層620を形成する接着材内の接合部633においてダウンコンバータ材料のいくらかの混合があってもよい。しかしながら、ダウンコンバータピクセルを形成するために使用されるとき、
図7Cに示されるように、ダウンコンバータ混合物が混合され得る接合部633は、LEDダイ740間の間隙713に対応するように位置付けられ得る。その後、部分634は、
図7Cに示すように、リリースライナが除去されるときにリリースライナとともに、及び/又は、ダイ間のギャップ713の上方に残っている可能性があるダウンコンバータ層620を機械的に除去することによって除去することができる。
【0061】
本開示は例示的なものであり、限定するものではない。さらなる変更は、本開示に照らして当業者に明らかであり、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。