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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】適応型電圧クランプ及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/08 20060101AFI20240410BHJP
   G05F 1/44 20060101ALI20240410BHJP
   H03K 17/0814 20060101ALI20240410BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
H03K17/08 C
G05F1/44
H03K17/0814
H03K17/687 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020538581
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 US2019013080
(87)【国際公開番号】W WO2019140109
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】16/001,551
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/615,696
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】エウン ジュン キム
(72)【発明者】
【氏名】スアルプ アラス
(72)【発明者】
【氏名】アビドゥール ラフマン
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0079944(US,A1)
【文献】特開2014-138303(JP,A)
【文献】特表2010-537273(JP,A)
【文献】特開2015-91211(JP,A)
【文献】特表2005-506707(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102005057765(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K17/08-17/082
H03K17/687-17/695
H02M1/08-1/096
G05F1/44-1/455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
コントローラであって、
障害信号を受信し、
前記障害信号に応答して少なくとも1つの制御信号を生成する、
ように構成される、前記コントローラと、
前記コントローラに結合され、第1のトランジスタと前記第1のトランジスタにバック・ツー・バックダイオード構成で直列に結合される第2のトランジスタとを含む電圧クランプ回路であって、
前記少なくとも1つの制御信号を受信し、
前記少なくとも1つの制御信号が第1の値を有することを判定することに応答してクランプ電圧を第1の電圧値に設定し、
前記少なくとも1つの制御信号が第2の値を有することを判定することに応答して前記クランプ電圧を第2の電圧値に設定する、
ように構成される、前記電圧クランプ回路と、
供給電圧ノードと出力ノードとの間に前記電圧クランプ回路と並列に結合されるパワートランジスタであって、ゲートとソースとドレインとを有する、前記パワートランジスタと、
前記コントローラに結合されるゲートドライバであって、
前記パワートランジスタのゲートに結合されるゲートプルアップ出力を有するゲートプルアップドライバであって、前記ゲートプルアップ出力に供給電圧を提供するように構成される、前記ゲートプルアップドライバと、
前記パワートランジスタのソースに結合されるゲートプルダウン出力を有するゲートプルダウンドライバと、
を含む、前記ゲートドライバと、
前記ゲートプルアップ出力と前記ゲートプルダウン出力との間に結合される抵抗器と、
を含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記障害信号を生成するように構成される障害状態検出器を更に含む、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記電圧クランプ回路が、前記第2のトランジスタに結合されるインバータであって、前記第2のトランジスタをオンにするために前記少なくとも1つの制御信号の1つの制御信号を反転させるように構成される、前記インバータを更に含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記制御信号が第1の制御信号であり、
前記コントローラが、前記障害信号に基づいて前記少なくとも1つの制御信号の第2の制御信号を生成するように更に構成され、
前記電圧クランプ回路が、前記第2の制御信号に基づいて前記クランプ電圧を第3の電圧値にクランプするように更に構成される、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記インバータが第1のインバータであり、
前記電圧クランプ回路が、第3のトランジスタと、前記第3のトランジスタに結合される第4のトランジスタと、前記コントローラと第3のトランジスタとに結合される第2のインバータとを更に含み、
前記第2のインバータが、前記第3のトランジスタをオンにするために前記第2の制御信号を反転させるように構成される、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタと前記第3のトランジスタと前記第4のトランジスタとの少なくとも1つが、Pチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタである、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記電圧クランプ回路が、第3のトランジスタと、バック・ツー・バックダイオード構成で第3のトランジスタに直列に結合される第4のトランジスタとを更に含む、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記第3のトランジスタと前記第4のトランジスタとに結合されるダイオードスタックであって、2つ又はそれ以上のダイオードを含む、前記ダイオードスタックを更に含む、装置。
【請求項9】
請求項7に記載の装置であって、
前記第3のトランジスタと前記第4のトランジスタとが、Nチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタである、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、
前記出力ノードに結合されるデバイスを更に含む、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、
前記少なくとも1つの制御信号が第1の制御信号と第2の制御信号とを含み、
前記コントローラが、前記ゲートプルアップドライバ又は前記ゲートプルダウンドライバをイネーブルするために前記第2の制御信号を生成するように更に構成される、装置。
【請求項12】
システムであって、
クランプ電圧に基づいて電圧を生成するように構成される第1のトランジスタであって、ゲートとソースとドレインとを有する、前記第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのゲートに結合されるゲートプルアップ出力を有するゲートプルアップドライバであって、前記ゲートプルアップ出力に供給電圧を提供するように構成される、前記ゲートプルアップドライバと、
前記第1のトランジスタのソースに結合されるゲートプルダウン出力を有するゲートプルダウンドライバと、
前記ゲートプルアップ出力と前記ゲートプルダウン出力との間に結合される抵抗器と、
コントローラであって、
障害信号を受信し、
前記障害信号に応答して少なくとも1つの制御信号を生成する、
ように構成される、前記コントローラと、
前記コントローラと前記第1のトランジスタとに結合され、第2のトランジスタと前記第2のトランジスタにバック・ツー・バックダイオード構成で直列に結合される第3のトランジスタとを含む電圧クランプ回路であって、
前記少なくとも1つの制御信号を受信し、
前記少なくとも1つの制御信号が第1の値を有することを判定することに応答して前記クランプ電圧を第1の電圧値に設定し、
前記少なくとも1つの制御信号が第2の値を有することを判定することに応答して前記クランプ電圧を第2の電圧値に設定する、
ように構成される、前記電圧クランプ回路と、
を含む、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、
前記第1のトランジスタが、
前記クランプ電圧が前記第1の電圧値を有するときに、安全動作領域マージンにおいて第1の電流制限で動作し、
前記クランプ電圧が前記第2の電圧値を有するときに、前記安全動作領域マージンにおいて前記第1の電流制限より高い第2の電流制限で動作する、
ように更に構成される、システム。
【請求項14】
請求項12に記載のシステムであって、
前記第1のトランジスタが、
前記クランプ電圧が前記第1の電圧値を有するときに、第1の安全動作領域マージンにおける電流制限で動作し、
前記クランプ電圧が前記第2の電圧値を有するときに、前記第1の安全動作領域マージンより高い第2の安全動作領域マージンにおいて前記電流制限で動作する、
ように更に構成される、システム。
【請求項15】
請求項12に記載のシステムであって、
前記第1のトランジスタの状態に基づいて前記障害信号を生成するように構成される障害状態検出器を更に含む、システム。
【請求項16】
請求項12に記載のシステムであって、
前記電圧クランプ回路が、前記第2のトランジスタと前記第3のトランジスタとを制御することによって前記第1のトランジスタのドレイン・ソース間電圧を前記第2の電圧値にクランプするように更に構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、全般的に、パワースイッチに関し、特に、適応型電圧クランプ及び関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)がSOA(安全動作領域)内で動作するためには、印加された電圧及び電流からパワーMOSFETがエネルギーを蓄積するとき、そのドレイン・ソース間電流及びドレイン・ソース間電圧はSOA境界内に収まらなければならない。印加された電圧及び電流が安全動作レベルを超えることにより、パワーMOSFETが熱的不安定領域に入ると、典型的に、パワーMOSFETは熱的保護に依存する。パワーMOSFETがスイッチング非効率性を生じる熱暴走問題に遭遇する前に、パワーMOSFETはオフにされなければならない。
【発明の概要】
【0003】
例示の装置は、ドレイン・ソース間電圧が第1の電圧を超えると、トランジスタのドレイン・ソース間電圧を第1の電圧までクランプする電圧クランプと、障害信号に基づいて、電圧クランプに、ドレイン・ソース間電圧を第1の電圧とは異なる第2の電圧までクランプするように指示するための制御信号を生成するコントローラとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本明細書で説明される例を実装するための例示の適応型ドレイン・ソース間電圧(VDS)クランプを含む例示のパワースイッチングシステムの概略図である。
【0005】
図2図1のVDSクランプの例示の動作を図示する例示のグラフである。
【0006】
図3図1の適応型VDSクランプの例示の実装の概略図である。
【0007】
図4図1の適応型VDSクランプの代替的な例示の実装の概略図である。
【0008】
図5図1のパワースイッチングシステムの安全動作領域に対応する例示のグラフを図示する。
【0009】
図6図1のパワースイッチングシステムの熱的不安定制限に対応する例示のグラフを図示する。
【0010】
図7】例示のトランジスタが障害状態にあるときの図1のパワースイッチングシステムの電気的パラメータを図示する。
【0011】
図8図7の例示のトランジスタが非障害正規負荷状態にあるときの図1のパワースイッチングシステムの電気的パラメータを図示する。
【0012】
図9図1の例示のパワースイッチングシステムの動作に対応する例示のタイミング図を示す。
【0013】
図10図1の例示の適応型VDSクランプを制御するための例示のコントローラを実装するために実行され得る機械可読命令を表すフローチャートである。
【0014】
図11】本明細書で説明される例を実装するための、図1の例示の適応型VDSクランプを含む例示のシステム実装の概略図である。
【0015】
図12図11の例示のシステムの動作に対応する例示のタイミング図を示す。
【0016】
図13】例示のコントローラを実装するための図10の命令を実行するために構成された例示のプロセッサプラットフォームのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図は一定の縮尺で描かれているわけではない。概して、図面及び付随する説明において、同一又は類似の部分を示すために一貫して同じ参照番号が用いられる。
【0018】
パワーMOSFETは、その高速スイッチング速度、低ゲート駆動電力、及び卓越した並列化能力のため一般的に用いられているパワーデバイスである。パワーMOSFETがSOA内で動作するためには、印加された電圧及び電流からパワーMOSFETがエネルギーを蓄積するとき、そのドレイン・ソース間電流(IDS)及びドレイン・ソース間電圧(VDS)はSOA範囲内に収まらなければならない。通常、集積回路(IC)パッケージに含まれるパワーMOSFETは、ソースとドレインの間に流れる最大電流(例えば、IDSS)及び/又は最大BVDSSに制限されるとき、安全に動作する。
【0019】
オートモーティブ応用例(例えば、オートモーティブ照明応用例)等の幾つかの例において、ロードダンプの間の供給電圧サージのため、VDS及びIDSを制限することは困難である。電源から電力が供給されている負荷が急に切断されると、ロードダンプが起こり得る。例えば、オートモーティブ応用例において、車載バッテリが、車載オルタネータによって充電されている間に切断されると、車載オルタネータに接続された他の負荷が、供給電圧におけるサージ(例えば、60V、80V、100V等)及び/又は実質的に高い過渡電流(例えば、80A(アンペア)、90A、100A等)に遭遇する。
【0020】
電球等のデバイスを(例えば、寒冷気候下で)オンにすることは、その高い突入電流のため問題となる。例えば、-40℃において車の電球を駆動する場合、65ワット(W)電球を特定の時間期間内にオンにするには、約80アンペア(A)を必要とし得る。ロードダンプの間、高電圧と、その高電圧が続く相対的に長い持続期間とにより、ドレイン・ソース間クランプが供給電圧をクランプすることはない。しかしながら、そのような例では、その時間期間の間、高いVDS及び対応するIDSにより、パワーMOSFETに対する電力蓄積がSOAを超え得る。
【0021】
同様に、オートモーティブ照明応用例では、低温下でのライトインジケータ(例えば、ヘッドライト電球等)の突入電流は、短絡回路状態に関連する電流と同程度に高くなり得る。短絡回路緩和手段の起動を回避するため、ライトインジケータを付勢し、所望とされるオン時間仕様制限内にオンにするように、高側スイッチの電流制限は、ライトインジケータの突入電流より高い固定レベルに設定されなければならない。
【0022】
従来例では、ライトインジケータの突入電流より高い電流制限とロードダンプ供給電圧サージより高いドレイン・ソース間クランプ電圧との両方を取り扱うパワースイッチング回路を設計するために、パワーMOSFETにおいて有意なシリコン領域オーバーヘッドが必要である。例えば、従来の実装は、1つ又は複数のパワーMOSFETがSOA境界内で確実に動作するように、固定されたドレイン・ソース間クランプ電圧を用いていた。
【0023】
本明細書で説明される例は、パワースイッチングシステムにおけるドレイン・ソース間電圧クランプレベルに対して適応型の調節又は動的な調節を提供する。幾つかの説明される例において、適応型電圧クランプコントローラは、1つ又は複数のMOSFETの動作状態に基づいて、1つ又は複数のMOSFETのドレイン・ソース間電圧(VDS)に対し、クランプ電圧(V)(例えば、クランプ電圧レベル、クランプ電圧閾値等)を動的に制御する。幾つかの説明される例において、適応型電圧クランプコントローラは、非障害状態、又は非障害正規負荷状態の間、実質的に高いクランプ電圧(例えば、40V、45V、50V等)を維持する。
【0024】
幾つかの説明される例において、適応型電圧クランプコントローラは、1つ又は複数のMOSFETが障害状態であるとき、クランプ電圧を通常動作状態からフォールドされた状態(例えば、25V、30V、35V、等)に低下させる。例えば、熱的シャットダウンの間及び/又はMOSFETが(例えば、短絡回路保護手法を起動する)電流制限を超えるとき、パワースイッチングシステムに電気的に結合されたデバイスに電力を提供するMOSFETが、障害状態になり得、即時にオフになり得る。障害状態の間に、クランプ電圧を下げることによって、1つ又は複数のパワーMOSFETにおけるピーク電力消失が低減され得、その結果、信頼性が向上し、並びに/或いは、パワーMOSFETの動作寿命がその他の方式で延長される。
【0025】
図1は、例示のデバイス104に電力を提供する例示のトランジスタ124の動作状態に基づいて、VDSクランプレベル又はクランプ電圧を動的に制御するための、例示の電圧クランプ102、又は例示の適応型ドレイン・ソース間電圧(VDS)クランプ102を含む例示のパワースイッチングシステム100の概略図である。適応型VDSクランプ102は、従来の固定VDSクランプに対する改善であり、適応型VDSクランプ102の例示の実装をこれ以降に説明する。図1において、パワースイッチングシステム100は、例示のパワースイッチングダイ110を介して、例示の電源108からデバイス104に電力(例えば、電流、電圧等)をいつ提供するかを決定するための例示のコントローラダイ106を含む。図1において、コントローラダイ106は、1つ又は複数の電気的回路を含む集積回路(IC)チップである。或いは、コントローラダイ106は、ハードウェアロジック、機械可読命令、ハードウェア実装状態機械等、及び/又はそれらの任意の組み合わせを用いて実装され得る。
【0026】
図1において、デバイス104は、乗り物(例えば、航空機、自動車、海上乗り物等)のライトインジケータ(例えば、ハロゲンバルブ、発光ダイオード、キセノンバルブ等)である。例えば、デバイス104は、車外照明に対応する自動車のヘッドライトであり得る。或いは、デバイス104は、切り替え可能な電源から電力を要求する任意の他のデバイスであり得る。図1のデバイス104は、出力電圧(VOUT)113を受け取るために、出力ノード112においてパワースイッチングダイ110に電気的に結合される。図1において、パワースイッチングダイ110は、第1の例示のインダクタ(L1)114及び第1の例示の抵抗器(R1)116を介して出力ノード112に結合される。第1のインジケータ114及び第1の抵抗器116は別個の要素として図示されているが、それらは物理的な要素ではなく、デバイス104とパワースイッチングダイ110との間の結合の等価インダクタンス及び抵抗(例えば、配線インダクタンス及び抵抗)を表すものである。
【0027】
図1において、パワースイッチングダイ110は、パワー入力ノード122における第2の例示のインダクタ(L2)118及び第2の例示の抵抗器(R2)120を介して電源108に電気的に結合される。パワースイッチングダイ110は、トランジスタ124の例示のゲート電圧128に基づいて、例示の供給電圧(VBB)(例えば、ソース電圧)126をデバイス104に交互に提供するための例示のトランジスタ124を含む。図1において、電源108は車載バッテリである。或いは、電源108は、任意の他の電力の供給であり得る。第2のインダクタ118及び第2の抵抗器120は別個の要素として描かれているが、それらは、物理的な要素ではなく、電源108とパワースイッチングダイ110との間の結合の等価インダクタンス及び抵抗を表している。
【0028】
図1において、トランジスタ124は第1のトランジスタ124である。図1の第1のトランジスタ124はNチャネルMOSFETである。例えば、第1のトランジスタ124はパワートランジスタであり得る。或いは、パワースイッチングダイ110は、複数のトランジスタ124を用いて実装され得る。或いは、パワースイッチングダイ110は、1つ又は複数のPチャネルMOSFETを用いて実装され得る。
【0029】
図1において、コントローラダイ106は、VDSクランプ102、例示のコントローラ130、例示のゲートドライバ132、及び第3の例示の抵抗器(R3)134を含む。図1において、第1の閾値電圧(VTH1)135が第3の抵抗器134に増大し、第1のトランジスタ124をオンにする。図1において、ゲートドライバ132は例示のゲートプルアップドライバ136及び例示のゲートプルダウンドライバ138を含む。図1において、ゲートプルアップドライバ136及びゲートプルダウンドライバ138の各々は、1つ又は複数の抵抗器に対応し得る。或いは、ゲートプルアップドライバ136、ゲートプルダウンドライバ138、及び/又はゲートドライバ132は、ハードウェアロジック、機械可読命令、ハードウェア実装状態機械等、及び/又はそれらの任意の組み合わせを用いて実装され得る。
【0030】
幾つかの例において、ゲートプルアップドライバ136は、ゲート電圧128を例示のプルアップ電圧(VCP)140までプルアップする。他の例において、ゲートプルダウンドライバ138は、ゲート電圧128を供給電圧126にプルダウンする。或いは、コントローラダイ106は、VDSクランプ102、コントローラ130、及び/又はゲートドライバ132の1つ以上を含み得る。図1において、コントローラ130は、1つ又は複数の電気回路を含むICチップである。或いは、コントローラ130は、ハードウェアロジック、機械可読命令、ハードウェア実装状態機械等、及び/又はそれらの任意の組み合わせを用いて実装され得る。
【0031】
図1のコントローラ130は、第2の例示の入力ノード146又はコントローラダイ入力ノード146において、第1の例示の入力ノード144から例示のイネーブル信号(EN PAD)142を得る。幾つかの例において、イネーブル信号142の高値が、コントローラ130をトリガしてパワースイッチングシステム100を初期化する。幾つかの例において、イネーブル信号142の低値がコントローラ130をトリガして、電力スイッチングシステム100の動作をアイドリングさせ、中断させ、並びに/或いは停止させる。
【0032】
図1において、第1の入力ノード144は、例示の回路インタフェース148上の第2の入力ノード146に電気的に結合される。例えば、第2の入力ノード146は、回路インタフェース148上に配置される、1つ又は複数の電気回路、コントローラ、及び/又はハードウェアに結合され得る。図1において、回路インタフェース148は、シリコン基板である。或いは、回路インタフェース148は、ガリウム砒素基板又は任意の他のタイプの半導体基板であり得る。図1において、回路インタフェース148は、異なる回路又は電気的インタフェース間の別個のものとして描かれている。図1において、出力ノード112、パワー入力ノード122、及び第1の入力ノード144は、互いに直接的に結合されていない。例えば、出力ノード112、パワー入力ノード122、及び第1の入力ノード144は、互いに電気的に短絡されていない。幾つかの例において、回路インタフェース148は、コントローラダイ106及び/又はパワースイッチングダイ110を含むマルチチップモジュール(MCM)パッケージである。
【0033】
動作において、コントローラ130は、第1のトランジスタ124の状態に基づいて、第1の例示の制御信号(VDS_Clamp_Fold)150及び第2の例示の制御信号(EN_GATE)152を生成する。例えば、コントローラ130は、第1のトランジスタ124の動作状態(例えば、図3及び図4に関連して説明される例示の障害信号302)に関連する情報を取得し得る。例えば、コントローラ130は、第1のトランジスタ124が非障害正規負荷状態にあるとき、第1の制御信号150の第1の値及び第2の制御信号152の第2の値を生成し得る。例えば、第1の制御信号150の第1の値は、VDSクランプ102が供給電圧126を早まってクランプすることを防止するために、第1のトランジスタ124の例示のVDS154を第1の電圧(例えば、第1の閾値、第1の電圧クランプレベル、第1の電圧閾値等)にクランプするように、VDSクランプ102を制御し得る。第2の制御信号152の第2の値は、ゲートプルアップドライバ136を起動、並びに/或いは、その他の方式でイネーブルし、ゲートプルダウンドライバ138を停止、並びに/或いはその他の方式でディセーブルして、第1のトランジスタ124をオンにするように、ゲートドライバ132を制御し得る。
【0034】
幾つかの例において、コントローラ130は、第1のトランジスタ124が障害状態にあるとき、第1の制御信号150の第3の値及び第2の制御信号152の第4の値を生成する。例えば、第1のトランジスタ124のVDS154が安全でない動作レベルに延伸するとき、並びに/或いは安全でない動作レベルで動作するときに、第1の制御信号150の第3の値は、VDS154を第2の電圧(例えば、第2の閾値、第2の電圧クランプレベル、第2の電圧閾値等)にクランプさせ、VDSクランプ102をイネーブルさせ、VOUT113をクランプするように、VDSクランプ102を制御し得る。第2の制御信号152の第4の値は、第1のトランジスタをオフにするように、ゲートプルアップドライバ136をディセーブルし、ゲートプルダウンドライバ138を起動させ、ゲートドライバ132を制御し得る。
【0035】
コントローラダイ106及び電パワースイッチングダイ110を実装する例示の手法が図1に図示されているが、図1に図示されている要素、プロセス、及び/又はデバイスの1つ又は複数が、任意の他の手法で、結合、分割、再配置、省略、削除、及び/又は実装され得る。また、例示のVDSクランプ102、例示のコントローラ130、例示のゲートドライバ132、及び/又は、より一般的に図1の例示のコントローラダイ106及び/又は例示のトランジスタ124、及び/又は、より一般的に図1の例示のパワースイッチングダイ110は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの任意の組み合わせによって実装され得る。このように、例えば、例示のVDSクランプ102、例示のコントローラ130、例示のゲートドライバ132、及び/又は、より一般的に、例示のコントローラダイ106、及び/又は第1のトランジスタ124、及び/又は、より一般的に、例示のパワースイッチングダイ110は、いずれも、1つ又は複数のアナログ又はデジタル回路、ロジック回路、プログラマブルコントローラ、グラフィック処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、及び/又はフィールドプログラマブルロジックデバイス(FPLD)によって実装され得る。純粋にソフトウェア及び/又はファームウェア実装を網羅するためにこの特許の装置又はシステムの任意の請求項を読む場合、例示のVDSクランプ102、例示のトランジスタ124、例示のコントローラ130、及び/又は例示のゲートドライバ132の少なくとも1つが、ソフトウェア及び/又はファームウェアを含むメモリ、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、ブルーレイディスク等の固定コンピュータ可読ストレージデバイス又はストレージディスクを含むように明示的に定義される。また更に、例示のコントローラダイ106及び/又はパワースイッチングダイ110は、図1に図示されたものに加えて又はその代わりに、1つ又は複数の要素、プロセス、及び/又はデバイスを含み得、及び/又は、図示された要素、プロセス、及びデバイスの任意の又は全ての1つ以上を含み得る。本明細書で用いられるように、用語「通信」は、その変形も含めて、直接的な通信、及び/又は1つ又は複数の介在構成要素を介しての間接的な通信を包含し、直接の物理的な(例えば、有線の)通信及び/又は恒常的な通信を必要とせず、付加的に、周期的間隔、スケジュールされた間隔、非周期的間隔、及び/又は、単発的事象における選択的通信を含む。
【0036】
図2は、図1のVDSクランプ102の例示の動作を図示する例示のグラフ200である。図2において、グラフ200は、供給電圧(VBB)126及びVDS154を時間に対して描いている。図2において、供給電圧126は実線を用いて描かれ、VDS154はクロスハッチ付きの実線を用いて描かれている。図2において、グラフ200はVDSクランプ102のVを図示し、VDSクランプ102のVは第1のトランジスタ124の状態に基づいて、第1の例示の閾値202又は第1の例示のクランプ電圧202から第2の例示の閾値204又は第2の例示のクランプ電圧204に調節されている。
【0037】
図2の図示された例において、第1の時間(T)206に、供給電圧126及びBVDSSは、第1のトランジスタ124の非障害正規負荷動作の間、約24Vである。図2において、第1の時間206に、VDSクランプ102のVは第1の閾値202にある。図2において、第1の閾値202は44Vである。或いは、第1の閾値202は、任意の他の電圧であり得る。
【0038】
第2の時間(T)208に、VDS154は、電圧サージ(例えば、ロードダンプ)状態にある。第2の時間208に、図1のコントローラ130は、第1のトランジスタ124が障害状態にないので、VDSクランプ102を第2の閾値に調節しない。40VのVを備える固定VDSクランプを用いていた従来の実装では、供給電圧126は、40Vにクランプされ得、第1のトランジスタ124の動作を阻害し得た。図2では、VDS154は約42Vまでサージしているが、Vが44Vの第1の閾値202にあるので、VDSクランプ102は、VDS154をクランプしていない。このように、VDS154は、VDSサージが低下すると、第2の時間208から第3の時間(T)210まで、供給電圧126に相関する。
【0039】
図2の図示された例において、VDS154は、第4の時間(T)212において、約49Vまでサージする。第4の時間212に、第1のトランジスタ124は、障害状態にないので、コントローラ130はVDSクランプ102のVを調節するための第1の制御信号150を生成しない。第4の時間212から第5の時間(T)214まに、VDSクランプ102は、VDS154を、49Vから第1の閾値の44Vにクランプする。
【0040】
図2において、第1のトランジスタ124は、第6の時間(T)216において、障害状態にある。コントローラ130が障害状態を判定することに応答して、コントローラ130は、VDSクランプ102を第1の閾値202から第2の閾値204に調節するための第1の制御信号150を生成する。図2において、VDSクランプは、約60VのVDS154を33Vの第2の閾値204にクランプする。コントローラ130は、VDSフォールディングタイマによって定義された時間期間、第1の制御信号150を生成する。VDSフォールディングタイマは、デバイス104への出力電流が消失して約0Aになるまでの時間量を示す。
【0041】
図2の図示された例において、VDSフォールディングタイマが満了した後、コントローラ130は第1の制御信号150を生成して、VDSクランプ102のVを第2の閾値204から第1の閾値202に戻すように調節する。例えば、VDSフォールディングタイマは、第7の時間(T)218に、又は第8の時間(T)220の前の任意の時間に満了し得る。図2において、供給電圧126は、第8の時間220において、約40Vまでサージする。第8の時間220において、第1のトランジスタ124は、障害状態ではない。VDSフォールディングタイマが満了したとき、VDSクランプ102のVが第1の閾値202に戻っているので、第8の時間220から第9の時間(T)222まで、VDSクランプ102はVDS154をクランプしない。
【0042】
図3は、図1のVDSクランプ102の例示の実装の概略図である。図3のVDSクランプl02aは、図1のVDSクランプ102に対応する。図3において、図1のコントローラ130は、例示の障害状態検出器304によって生成される例示の障害信号302(IN_FAULT)に基づいて、VDSクランプl02aのVを制御する。図3において、障害状態検出器304は、電流制限回路及び/又は熱的保護回路である。例えば、電流制限回路は、出力電流が電流閾値より高いか否かを検出し得る。熱的保護回路は、ダイ(例えば、図1のパワースイッチングダイ110)の温度が温度閾値より高いか否かを検出し得る。幾つかの例において、電流制限回路及び/又は熱的保護回路は、図1のコントローラダイ106と統合され、並びに/或いは図1のコントローラダイ106内に含まれる。他の例において、電流制限回路及び/又は熱的保護回路は、コントローラダイ106に含まれない。幾つかの例において、障害状態検出器304は、第1のトランジスタ124に対して障害状態が検出されると、障害信号302に対して高値を生成する。例えば、第1のトランジスタ124が、電流制限を超えると及び/又は熱的シャットダウンを経験すると、障害状態検出器304は、障害信号302に対して高値を生成し得る。
【0043】
図3の図示された例において、コントローラ130は、障害信号302に基づいて、第1の制御信号150を生成する。幾つかの例において、障害信号302が第1のトランジスタ124に関連する障害状態を示さないとき、コントローラ130は、低値又は第1の電圧(例えば、デジタル0、0の論理値、約0Vの信号等)を有するように、第1の制御信号150を生成する。幾つかの例において、障害信号302が第1のトランジスタ124に関連する障害状態を示すとき、コントローラ130は、高値又は第2の電圧(例えば、デジタル1、1の論理値、約5Vの信号等)を有するように、第1の制御信号150を生成する。
【0044】
図3において、VDSクランプl02aは、第1の制御信号150を受け取り反転させるため、コントローラ130に結合される例示のインバータ306を含む。例えば、インバータ306は、第1の電圧を第2の電圧に反転させ得るか又は第2の電圧を第1の電圧に反転させ得る。図3において、インバータ306は、第2の例示のトランジスタ(MP1)308のゲート端子に結合される。図3のMP1 308は、バック・ツー・バックダイオード構成で第3の例示のトランジスタ(MP2)310に結合される。例えば、MP1 308のドレインはMP2 310のドレインに結合され、MP1 308のボディダイオードはMP2 310のドレインに結合され、MP1 308のボディダイオードはMP2 310のボディダイオードに結合される、などとなる。図3において、MP2 310がMP1 308に対してブロッキングダイオードを提供するので、MP2 310は常にオフにされる。例えば、MP1 308がオンにされると、MP2 310の例示のボディダイオード309を介して電流が流れる。
【0045】
図3において、MP1 308及びMP2 310は、これ以降に更に詳細に説明するように、第1の例示のノード332及び第2の例示のノード334を短絡させることによって、VDSクランプ電圧レベルを下げることにより、VDSクランプl02aのフォールドバックを提供する。図3において、MP1 308及びMP2 310はPチャネルMOSFETである。図3において、MP1 308及びMP2 310は、互いに実質的に類似している(例えば、MP1 308及びMP2 310は、同じタイプであり、或る公差範囲内で、同じ電気的及び/又は機械的パラメータ、構造等を有する)。或いは、MP1 308及びMP2 310は互いに異なっていてもよい。
【0046】
第1のトランジスタ124の非障害正規負荷動作の間、コントローラ130は、第1の制御信号150に対して第1の電圧を生成する。インバータ306は、第1の電圧を第2の電圧に反転させて、MP1 308をオンにする。図3において、第4の例示のトランジスタ(MN1)312が、供給電圧126、MP1 308、及び直列接続ダイオードスタック314に接続される。図3において、MN1 312はNチャネルMOSFETである。或いは、VDSクランプl02aは、MN1 312の代わりにPチャネルMOSFETを用いて実装され得る。図3において、MN1 312のゲートが、供給電圧126に結合され、そのため常にオフにされる。図3において、第1のトランジスタ124のゲート電圧128が供給電圧126を上回る通常のターンオンに対して、MN1 312は、ブロッキングダイオード(例えば、MN1のボディダイオード(VD,MN1))を提供する。
【0047】
図3において、直列接続ダイオードスタック314は、第1の例示のダイオード(D1)316、第2の例示のダイオード(D2)318、第3の例示のダイオード(D3)320、及び第4の例示のダイオード(D4)322を含む。幾つかの例において、ダイオードスタック314は、2つ又はそれ以上のダイオードを含む。第4の例示の抵抗器(R4)324が、第1の例示のダイオード316と第2の例示のダイオード318との間に結合される。図3において、第1、第3、及び第4のダイオード316、318、322は、各々、約9.8Vの降伏電圧を有する。或いは、第1、第3、及び第4のダイオード316、318、322は、異なる降伏電圧を有し得、及び/又は互いに異なる降伏電圧を有し得る。図3の第2のダイオード318は、約5.9Vの降伏電圧を持つツェナダイオードである。或いは、第2のダイオード318は、異なる降伏電圧を有し得る。
【0048】
図3の図示された例において、直列接続ダイオードスタック314の降伏に応答して、供給電圧126からMN1 312のVD,MN1、ダイオードスタック314、及び第5の例示の抵抗器(R5)326を介して電流が流れる。図3において、その電流は、MN2 328のゲート電圧を第5の抵抗器326の第2の例示の閾値電圧(VTH2)330より大きくなるように誘導することによって、充分高くなって第5の例示のトランジスタ(MN2)328をオンにする。MN2 328がオンになると、MN1 312及びMN2 328は電流経路を形成して、電流が供給電圧126から図1の第1のトランジスタ124のゲートに流れるように促進する。電流は、図1の第3の抵抗器134に第1の閾値電圧135を増大させ、それが図1の第1のトランジスタ124をオンにする。
【0049】
図3において、非障害正規負荷状態(例えば、障害信号302が低値である、障害信号302が障害状態を示していない、等)の間、第1のトランジスタ124のVDS154は、図2の第1の電圧閾値202にクランプされる。図3において、VDSクランプl02aのVは、第1のトランジスタ124が非障害正規負荷状態にあるとき、下記式(1)に記載されるように近似され得る。
VC=VD,MN1+VD1+VD2+VD3+VD4+VTH1+VTH2+R4×(VTH2/5R) 式(1)
【0050】
上記式(1)の例において、VD,MN1は、MN1 312の順バイアスボディダイオード電圧を指し、VD1,VD2,VD3,及びVD4は、それぞれ、第1のダイオード316、第2のダイオード318、第3のダイオード320、及び第4のダイオード322の逆降伏電圧を指す。上記式(1)の例において、VTH1は第1の閾値電圧135を指し、VTH2は第2の閾値電圧330を指し、R4は第4の抵抗器324の抵抗を指し、R5は第5の抵抗器326の抵抗を指す。図3の例において、第1のトランジスタ124の非障害正規負荷動作の間、式(1)の例は、約44Vであると評価され得る。
【0051】
幾つかの例において、第1のトランジスタ124が障害状態にあるとき、コントローラ130は第1の制御信号150に対して第2の電圧を生成し、インバータ306は第2の電圧を第1の電圧に反転させる。図3において、第1の電圧は、MP1 308のゲートを低にプルすることによって、MP1 308をオンにする。MP1 308がイネーブルされると、供給電圧126に結合された第1の例示のノード332が、第2の例示のノード334へ分流される。図3において、第2のノード334は、MP2 310、第2のダイオード318のカソード、及び第4の抵抗器324に結合される。MP1 308をイネーブルすることに応答して、MP1 308及びMP2 310は、供給電圧126から、第2のノード334における第2のダイオード318のカソードへの電流経路を提供する。第2のダイオード318への電流経路は、第1のトランジスタ124が非障害正規負荷状態にあるときと比較して、VDSクランプl02aの早期降伏を生じる。
【0052】
図3において、障害状態の間のVDSクランプl02aのVは、式(2)において下記に記載されるように、近似され得る。
=VD,MP2+VD2+VD3+VD4+VTH1+VTH2 式(2)
【0053】
上記の式(2)の例において、VD,MP2はMP2 310の順バイアスボディダイオード電圧を指す。図3の例において、第1のトランジスタ124の障害状態の間、式(2)の例は、約33Vであると評価され得る。
【0054】
図4は、2レベルのクランプ制御構造400を含む、図1の適応型VDSクランプ102の代替的な例示の実装の概略図である。図4のVDSクランプl02bは、図1のVDSクランプ102に対応する。図4において、VDSクランプl02bは、図3のインバータ306、又は図3の第1のインバータ306、MP1 308、及びMP2 310を含む。図4のVDSクランプl02bは、コントローラ130に結合される第2のインバータ402、及び第6の例示のトランジスタ(MP11)404を含む。図4において、MP11 404は第7の例示のトランジスタ(MP22)406に結合される。図4において、MP11 404は第1のノード332を介して供給電圧126に結合される。図4のMP22 406は、第2のダイオード318のカソード及び第3の例示のノード408において第4の抵抗器324に結合される。図4において、MP22 406はMP11 404に対してブロッキングダイオードを提供するので、MP22 406は常にオフにされる。例えば、MP11 404がオンにされると、MP22 406の例示のボディダイオード405を介して電流が流れる。
【0055】
図4において、MP11 404及びMP22 406はPチャネルMOSFETである。或いは、VDSクランプl02bは、MP11 404及びMP22 406の代わりにNチャネルMOSFETを用いて実装され得る。図4において、MP11 404及びMP22 406は、互いに実質的に類似している(例えば、MP11 404及びMP22 406は、同じタイプであり、或る公差内において、同じ電気的及び/又は機械的パラメータ、構造、等を有する)。或いは、MP11 404及びMP22 406は、互いに異なり得る。図4において、MP11 404及びMP22 406は、MP1 308及びMP2 310に実質的に類似している。或いは、MP11 404及びMP22 406は、MP1 308及びMP2 310とは異なり得る。
【0056】
図4において、図1のコントローラ130は、VDSクランプl02bのVを、少なくとも、第2の制御信号152、障害信号302、第1の例示のクランプ制御信号(VDS_CLAMP_FOLD1)410、又は第2の例示のクランプ制御信号(VDS_CLAMP_FOLD2)412の一つに基づいて、異なるクランプ電圧に調節し得る。第1のクランプ制御信号410は、図1の第1の制御信号150に対応し得る。幾つかの例において、コントローラ130は、第1のトランジスタ124の非障害正規負荷動作の間、第1及び第2のクランプ制御信号410、412に対して低値を生成すること、並びに/或いは、第1及び第2のクランプ制御信号410、412をディセーブルすることによって、VDSクランプl02bのVを第1のクランプ電圧又は第1の閾値に調節する。コントローラ130は、障害信号302に基づいて、第1のトランジスタ124の非障害正規負荷状態を決定し得る。例えば、コントローラ130は、障害信号302に対する低値に基づいて、非障害正規負荷動作の間に第1及び第2のクランプ制御信号410、412に対して低値を生成し得る。第1のインバータ306は、第1のクランプ制御信号410の低値を取得して、それを高値に反転させ、MP1 308をオフにする。第2のインバータ402は第2のクランプ制御信号412の低値を取得し、それを、MP11 404をオフにする高値に反転させる。MP1 308及びMP11 404をオフにすることに応答して非障害正規負荷動作の間のVDSクランプl02bのVは、上述のように、式(1)において、約44Vと評価され得る。
【0057】
幾つかの例において、コントローラ130は、第1のトランジスタ124の第1の障害状態の間に、第1のクランプ制御信号410に対して高値を生成すること、並びに/或いは第1のクランプ制御信号410をイネーブルすること及び第2のクランプ制御信号412をディセーブルすることによって、VDSクランプl02bのVを第2のクランプ電圧又は第2の閾値に調節する。第1のトランジスタ124の第1の障害状態は、完全な熱的シャットダウンに、及び/又は、第1のトランジスタ124を監視する電流制限器の完全な使用に対応し得る。コントローラ130は、障害信号302に基づいて第1のトランジスタ124の第1の障害状態を判定し得る。例えば、コントローラ130は、第1の障害状態の間に、第1のクランプ制御信号410に対して高値を、及び第2のクランプ制御信号412に対して低値を生成し得る。第1のインバータ306は、第1のクランプ制御信号410の高値を取得し、それを、MP1 308をオンにする低値に反転させる。第2のインバータ402は、第2のクランプ制御信号412の低値を取得し、それを、MP11 404をオフにする高値に反転させる。
【0058】
MP1 308をオンにすること及びMP11 404をオフにすることに応答して、第1の障害状態の間のVDSクランプl02bのVは、式(3)において、下記のように、約27Vとして評価され得る。
=VD,MP2+VD3+VD4+VTH1+VTH2 式(3)
例えば、第1のノード332及び第2のノード334を分流させることによって、MP1 308、及びMP2 310のボディダイオード309を介して電流経路が形成され得る。
【0059】
幾つかの例において、コントローラ130は、第1のトランジスタ124の第2の障害状態の間に、第1のクランプ制御信号410をディセーブルすること及び第2のクランプ制御信号412をイネーブルすることによって、VDSクランプl02bのVを第3のクランプ電圧又は第3の閾値に調節する。第1のトランジスタ124の第2の障害状態は、部分的熱的シャットダウンに、及び/又は、第1のトランジスタ124を監視する電流制限器の部分的使用に対応し得る。コントローラ130は、障害信号302に基づいて、第1のトランジスタ124の第2の障害状態を判定し得る。例えば、コントローラ130は、第2の障害状態の間に、第1のクランプ制御信号410に対して低値を、及び第2のクランプ制御信号412に対して高値を生成し得る。第1のインバータ306は、第1のクランプ制御信号410の低値を取得し、それを、MP1 308をオフにする高値に反転させる。第2のインバータ402は、第2のクランプ制御信号412の高値を取得し、それを、MP11 404をオンにする低値に反転させる。
【0060】
MP1 308をオフにすること及びMP11 404をオンにすることに応答して、第2の障害状態の間のVDSクランプl02bのVは、下記のように、式(4)において、33Vとして近似され得る。
=VD,MP22+VD2+VD3+VD4+VTH1+VTH2 式(4)
例えば、第1のノード334及び第3のノード408を分流させることによって、MP11 404、及びMP22 406のボディダイオード405を介して、電流経路が形成され得る。或いは、式(4)の例は、第1及び第2のクランプ制御信号410、412に対して高値を生成し、VDSクランプl02bのVを約27Vにすることにより、MP1 308をオンにし、MP11 404をオフにすることによって用いられ得る。
【0061】
図5は、図1の第1のトランジスタ124の例示の安全動作領域(SOA)502に対応する例示のグラフ500を示す。SOA502は、図1の第1のトランジスタ124が自己損傷無しに動作することを期待され得る電圧及電流状態に対応する。図5において、グラフ500は、例示の熱的不安定領域504を図示する。例示の熱的不安定領域504は、そのような状態における動作に起因して第1のトランジスタ124が損傷を受け得る電圧及び電流状態に対応する。
【0062】
図5の図示された例において、第1のトランジスタ124は、例示の時間ウィンドウの間、第1の例示の熱的不安定ライン506上で動作している。第1の熱的不安定ライン506は、図6に関連して説明されるように、所与の時間ウィンドウの間に消失され得る電力の量に基づいて決定される。図6は、図1の第1のトランジスタ124のVDS及びドレイン電流Iの関数として例示の熱的不安定制限のグラフ600を描いている。図6に描かれているように、第1のトランジスタ124は、第1のトランジスタ124の一層短いパルス幅が可能とされている場合に、一層高いVDS及びI制限で動作し得る。例えば、100ミリ秒(ms)のパルス幅と比べて、第1のトランジスタ124のパルス幅が100マイクロ秒(μs)であるときに、第1のトランジスタ124は一層高いVDS及びI制限で動作し得る。例えば、第1のトランジスタ124は、パルス幅が短いと、時間が短いため、第1のトランジスタ124上に少ないエネルギーしか蓄積しないので、一層高い制限で動作し得る。
【0063】
図5を再び参照すると、図1のコントローラ130は、図1の第1のトランジスタ124に、ピーク電力消失時間ウィンドウの間、一層高い信頼性マージンを有して動作すること及び/又は一層高いIDSをプッシュ(例えば、より高いIDS電流制限を操作)することを可能にし得る。例えば、第1のトランジスタ124が非障害正規負荷状態にあるときに、コントローラ130は、図1のVDSクランプ102に、図2の第1の電圧閾値202に調節するように指示し得る。第1のトランジスタ124の障害状態に応答して、コントローラ130は、VDSクランプ102に、図2の第2の電圧閾値204に調節するように指示し得る。
【0064】
幾つかの例において、VDSクランプ102のVを第1の電圧閾値202(例えば、44V)から第2の電圧閾値204(例えば、27V、33V等)に低下させることによって、コントローラ130は、第1のトランジスタ124を、同じ熱的不安定制限ライン506上に留めることによって(例えば、グラフ500上でポジション1からポジション2に動かすことによって)より高い電流制限で動作するようにイネーブルし得る。例えば、第1のトランジスタ124は、Vが第1の電圧であるとき、SOAマージンにおいて、第1の電流制限(例えば、IDSの第1の電流制限)に基づいて動作し得る。そのような例において、コントローラ130は、Vが第2の電圧であるとき、同じSOAマージンで第2の電流制限(例えば、IDSの第2の電流制限)に基づいて動作するように、第1のトランジスタ124に指示、並びに/或いは、第1のトランジスタ124をイネーブルし得る。第2の電流制限は第1の電流制限より高い。
【0065】
幾つかの例において、VDSクランプ102のVを第1の電圧閾値202(例えば、44V)から第2の電圧閾値204(例えば、27V、33V等)に低下させることによって、コントローラ130は、第1の熱的不安定ライン506から第2の例示の熱的不安定ライン508に移動させることにより(例えば、グラフ500上で、ポジション1からポジション2に移動させることによって)、第1のトランジスタ124を、同じ電流制限であるが、より高いSOAマージンで、動作するようにイネーブルし得る。例えば、第1のトランジスタ124は、Vが第1の電圧であるとき、第1のSOAマージンで、電流制限(例えば、IDSの電流制限)に基づいて、動作し得る。そのような例において、コントローラ130は、Vが第2の電圧であるとき、第2のSOAマージンで同じ電流制限に基づいて動作するように、第1のトランジスタ124に指示、並びに/或いは、第1のトランジスタ124をイネーブルし得る。第2のSOAマージンは、第1のSOAマージンより高い。
【0066】
図7は、図1の第1のトランジスタ124が障害状態にあるときの図1の第1のトランジスタ124の電気的パラメータを示す。図7において、第1の例示の曲線700は、図1の第1のトランジスタ124のVDSを時間の関数として描いている。図7において、第2の例示の曲線702は、第1のトランジスタ124のIDSを時間の関数として描いている。0μsの第1の時間704において、第1のトランジスタ124はオフにされ、VDS図1の供給電圧126(例えば、車載オルタネータ、車載バッテリ等からの約14V)に対応させる。約280μsの第2の時間706において、第1のトランジスタ124はオンにされ、VDSを約0Vに近づけさせ、IDSを増加させる。約460μsの第3の時間708において、第1のトランジスタ124がオフにされ、第1のトランジスタ124のインピーダンスを増加させ、IDSを低下させ、VDS図2の第2の電圧閾値204まで増加させる。
【0067】
図7において、VDSは、IDSが約0Aに到達するまで、フォールド時間τ710の間、第2の電圧閾値204のままである。また、図7に示すように、第3の例示の曲線712は、第1のトランジスタ124の電力消失を時間の関数として描いている。第3の時間708において、電力消失は、約5.4キロワット(kW)に到達し、フォールド時間710の間に、約0kWまで低下する。
【0068】
図8は、図1の第1のトランジスタ124が非障害正規負荷状態にあるときの図1の第1のトランジスタ124の電気的パラメータを示す。図8において、第1の例示の曲線800は、図1の第1のトランジスタ124を時間の関数として描いている。図8において、第2の例示の曲線802は、第1のトランジスタ124の損失を時間の関数として描いている。0μsの第1の時間804において、第1のトランジスタ124はオフにされて、VDS図1の供給電圧126(例えば、車載オルタネータ、車載バッテリ等からの約14V)に対応させる。約280μsの第2の時間806において、第1のトランジスタ124はオンにされて、VDSを約0Vに近づかせ、IDSを増加させる。約460μsの第3の時間808において、第1のトランジスタ124はオフにされて、第1のトランジスタ124のインピーダンスを増加させ、IDSを低下させ、VDS図2の第1の電圧閾値202まで増加させる。
【0069】
図8において、VDSは、IDSが約0Aに到達するまで、フォールド時間τ810の間、第1の電圧閾値202に留まる。図8に更に示されるように、第3の例示の曲線812は、第1のトランジスタ124の電力消失を時間の関数として描いている。第3の時間808において、電力消失は、約7.0キロワット(kW)に到達し、フォールド時間810の間に、約0kWまで低下する。
【0070】
図9は、図1のVDSクランプ102の動作に対応する例示のタイミング図900を示す。第1の時間(T)902において、コントローラ130は、図3の障害状態検出器304からの障害信号302に対する低値を受け取ることに基づいて、図1の第1のトランジスタ124が非障害正規負荷状態にあると判定する。非障害正規負荷状態を判定することに応答して、コントローラ130は、図1のVDSクランプ102のV図2の第1の電圧閾値202(例えば、44V)に調節するために、第1の制御信号150に対して低値を生成する。
【0071】
図9の図示された例において、第2の時間(T)904に、図1のコントローラ130は、図1の第1のトランジスタ124をオンにするために、イネーブル信号142及び第2の制御信号152に対して高値を生成する。第3の時間(T)906において、コントローラ130は、障害信号302に対して高値を受け取る。障害信号302に対して高値を受け取ることに応答して、コントローラ130は、第1のトランジスタ124が障害状態(例えば、第1の障害状態、第2の障害状態等)にあると判定し得る。第1のトランジスタ124の障害状態を判定することに応答して、コントローラ130は、第1のトランジスタ124をオフにするために第2の制御信号152に対して低値を生成し、VDSクランプ102のV図2の第2の電圧閾値204に調節するために、第1の制御信号150に対して高値を生成する。例えば、コントローラ130は、VDSクランプ102のVを44Vから33Vに調節するために、図3のMP1 308をオンにし得、第1のノード332を第2のノード334に分流させ得る。
【0072】
図9において、コントローラ130は、VDSフォールディングタイマ910によって定義されるフォールド時間τ912の間、第4の時間(T)908まで、VDSクランプ102のVを第2の電圧閾値204に調節する。図9において、コントローラ130は、フォールド時間912が満了するまで、第1の制御信号150に対して高値を出力する。VDSクランプ102のVは、Vが調節され第1の電圧閾値202に戻される第4の時間908まで、第1の電圧閾値202から第2の電圧閾値204に調節される。フォールド時間912は、図7のフォールド時間710又は図8のフォールド時間810に対応し得る。フォールド時間912は、VDSクランプ102のVを第1の電圧閾値202に再調節する前に、図7及び/又は図8に関連して上述されたように、第1のトランジスタ124のIDSが約0Aに近づくことを確実にするように、コントローラ130によって定義される。図9において、フォールド時間912は、障害状態にある第1のトランジスタ124の各インスタンスに対して同じである。或いは、コントローラ130は、フォールド時間912を、第1のトランジスタ124の障害状態と障害状態との間の異なる時間値に調節し得る。
【0073】
図9の図示された例において、第5の時間(T)914に、コントローラ130は、第2の制御信号152に対して高値を生成して第1のトランジスタ124をオンにすることによって、第1のトランジスタ124の通常動作を再開する。第6の時間(T)916において、コントローラ130は、障害信号302に対して高値を受け取ることに基づいて、第1のトランジスタ124が障害状態にあると判定する。障害状態を判定することに応答して、コントローラ130は、第2の制御信号152に対して低値を出力して、第1のトランジスタ124をオフにし、また、第1の制御信号150に対して高値を出力して、フォールド時間912にわたり、VDSクランプ102のVを第1の電圧閾値202から第2の電圧閾値204に調節する。フォールド時間912が満了することに応答して、コントローラ130は、Vを第1の電圧閾値202に戻すために、第1の制御信号150に対して低値を生成するが、第1のトランジスタ124は、依然として障害状態にある。従って、第1のトランジスタ124は、障害信号302が下げられるまで、通常動作を再開しない。
【0074】
図1図3、及び/又は図4のコントローラ130を実装するための例示のハードウェアロジック、機械可読命令、ハードウェア実装状態機械、及び/又はそれらの任意の組み合わせを表すフローチャートが図10に示される。機械可読命令は、図13に関連して下記に説明される例示のプロセッサプラットフォーム1300において示されるプロセッサ1312等のコンピュータプロセッサによる実行のための、実行可能プログラム又は実行可能プログラムの一部であり得る。プログラムは、CD-ROM、フロッピーディスク、ハードドライブ、DVD、ブルーレイディスク、又はプロセッサ1312に関連するメモリ等の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体上にストアされるソフトウェアにおいて具現化され得るが、全体のプログラム及び/又はそれらの一部は、プロセッサ1312以外のデバイスによって代替的に実行され得、及び/又は、ファームウェア又は専用ハードウェアにおいて具現化され得る。また、例示のプログラムは、図10において図示されたフローチャートに関連して説明されるが、例示のコントローラ130を実装する多くの他の方法も代替的に用いられ得る。例えば、ブロックの実行順は変更され得、及び/又は説明されるブロックの幾つかが、変更され得、省かれ得、又は組み合わせられ得る。それに加えて又はその代わりに、任意の又は全てのブロックが、ソフトウェア又はファームウェアを実行することなしに、対応する動作を実施するために構成される1つ又は複数のハードウェア回路(例えば、離散及び/又は集積アナログ及び/又はデジタル回路要素、FPGA、ASIC、コンパレータ、オペアンプ(op-amp)、論理回路等)によって実装され得る。
【0075】
上述したように、図10の例示のプロセスは、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ、コンパクトディスク、デジタルバーサタイルディスク、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ、及び/又は、その中に、任意の期間(例えば、延長された時間期間の間、永久的に、短いインスタンスの間、一時的なバッファリングの間、及び/又は、情報のキャッシングの間)情報がストアされる任意の他のストレージデバイス又はストレージディスク等の、非一時的コンピュータ及び/又は機械可読媒体上にストアされた実行可能な命令(例えば、コンピュータ及び/又は機械可読命令)を用いて実装され得る。本明細書で用いられるように、用語「非一時的コンピュータ可読媒体」は、任意のタイプのコンピュータ可読ストレージデバイス及び/又はストレージディスクを含み、伝播する信号を除外し、伝送媒体を除外するものとして明示的に定義される。
【0076】
本明細書において、用語「及び/又は」(A、B、及び/又はC等の形式で用いられる場合)は、(a)Aのみ、(b)Bのみ、(c)Cのみ、(d)AとB、(e)AとC、(f)BとC、及び、(g)AとBとC等、A、B、Cの任意の組み合わせ又はサブセットを指す。
【0077】
図10は、図1図3、及び/又は図4のVDSクランプ102、l02a、l02bを制御するための図1図3、及び/又は図4のコントローラ130を実装するために実行され得る、例示の機械可読命令1000を表すフローチャートである。機械可読命令1000は、コントローラ130がイネーブル信号を受信するブロック1002から始まる。例えば、コントローラ130は、図1のイネーブル信号142を受信し得、図1の電力スイッチングシステム100を初期化する。
【0078】
イネーブル信号を受信することに応答して、コントローラ130は、ブロック1004において、ゲートドライバに対して高信号を生成する。例えば、コントローラ130は、図1の第2の制御信号152に対して高値を生成し得、図1のゲートプルアップドライバ136をイネーブルして第1のトランジスタ124をオンに切り替える。
【0079】
ブロック1006において、コントローラ130は障害状態を識別する。例えば、コントローラ130は、図3の障害状態検出器304から取得した障害信号302に基づいて、図1の第1のトランジスタ124が障害状態にあると判定し得る。
【0080】
ブロック1008において、コントローラ130は、ゲートドライバに対して低信号を及び電圧クランプに対して高信号を生成する。例えば、コントローラ130は、第2の制御信号152に対して低値を生成し得、それにより、ゲートプルアップドライバ136をディセーブルし、図1のゲートプルダウンドライバ138をイネーブルして、第1のトランジスタ124をオフに切り替える。コントローラ130は、第1の制御信号150に対して高値を生成し得、MP1 308をオンにし、VDSクランプ102のVを、第1の電圧閾値202(例えば、44V)から第2の電圧閾値204(例えば、33V)にフォールドする。
【0081】
ブロック1010において、コントローラ130は、VDSフォールディングタイマが満了したか否かを判定する。例えば、コントローラ130は、図9のVDSフォールディングタイマ910が満了したか否かを判定し得る。ブロック1010においてVDSフォールディングタイマが満了していないとコントローラ130が判定した場合、コントローラ130は、VDSフォールディングタイマが満了したか否かをブロック1010において再度判定する。ブロック1010において、VDSフォールディングタイマが満了したとコントローラ130が判定した場合は、ブロック1012において、コントローラは電圧クランプに対して低信号を生成する。例えば、コントローラ130は、第1の制御信号150に対して低値を生成し得、それにより、MP1 308をオフにし、VDSクランプ102のVを第1の電圧閾値202に戻す。電圧クランプに対する低信号の生成に応答して、機械可読命令1000は終了する。
【0082】
図11は、本明細書で説明される例を実装するための、図1のVDSクランプ102を含む例示のシステム1100の概略図である。図11において、システム1100は、例示の電源1102、第1の例示の誘導性負荷(Lsupply)1104、第1の例示の抵抗負荷(Rsupply)1106、例示のスイッチングネットワーク1108、第2の例示の誘導性負荷(Lshort)1110、第2の例示の抵抗負荷(Rshort)1112、例示のデバイス1114、及び例示の制御システム1116を含む。
【0083】
図11の図示された例において、システム1100は、例示の乗り物1118に含まれる例示の電力スイッチングシステムである。図11において、乗り物1118は自動車である。或いは、乗り物1118は、海上乗り物(例えば、ボート、潜水艦等)、航空機(例えば、無人航空機(UAV)(例えば、ドローン)、飛行機等)等であり得る。例えば、システム1100は、図1の電力スイッチングシステム100に対応し得る。システム1100は、電源1102又はデバイス1114の少なくとも一方の状態(例えば、動作状態)を監視するように動作可能であり、監視に基づいて制御システム1116を介してVDSクランプ102を制御するように動作可能である。
【0084】
図11において、電源1102はバッテリである。例えば、電源1102は図1の電源108に対応し得る。図11の第1の誘導性負荷1104及び第1の抵抗負荷1106は、離散物理要素である。或いは、第1の誘導性負荷1104及び/又は第1の抵抗負荷1106は、電源1102とスイッチングネットワーク1108との間の結合の等価インダクタンス及び抵抗を表し得る。例えば、第1の誘導性負荷1104は、図1の第2のインダクタ118に対応し得、及び/又は第1の抵抗負荷1106は、図1の第1の抵抗器116に対応し得る。
【0085】
図11の第2の誘導性負荷1110及び第2の抵抗負荷1112は、離散物理要素(例えば、誘導性負荷及び/又は抵抗負荷によって表され得る電気的デバイス)である。或いは、第2の誘導性負荷1110及び/又は第2の抵抗負荷1112は、スイッチングネットワーク1108とデバイス1114との間の結合の等価インダクタンス及び抵抗を表すものであり得る。例えば、第2の誘導性負荷1110は、図1の第1のインダクタ114に対応し得、及び/又は第2の抵抗負荷1112は、図1の第1の抵抗器116に対応し得る。それに加えて又はその代わりに、システム1100は、図11に描かれた誘導性負荷1104、1110及び/又は抵抗負荷1106、1112をこれより少なく又はこれより多く含み得る。
【0086】
図11の図示された例において、制御システム1116は、図11のスイッチングネットワーク1108に指示、命令、並びに/或いは、その他の方式でスイッチングネットワーク1108を制御する。制御システム1116は、図1のコントローラ130等の1つ又は複数のコントローラを含む。或いは、制御システム1116は、図1のコントローラ130の1つ又は複数のインスタンスに対応し得る。図11の制御システム1116は、デバイス1114の状態を取得し、その状態に基づいて、制御信号を生成する。例えば、状態は、非障害正規負荷状態(例えば、通常動作、典型的な動作、標準動作等)又は障害状態であり得る。
【0087】
図11の制御システム1116は、デバイス1114の状態に基づいて、スイッチングネットワーク1108を制御する。図11において、スイッチングネットワーク1108は、例示のトランジスタ1120(例えば、NチャネルMOSFET、PチャネルMOSFET等)を含む。或いは、スイッチングネットワーク1108は、複数のトランジスタ及び/又は複数のタイプのトランジスタを含み得る。図11において、トランジスタ1120は、直接、又は1つ又は複数の介在電気デバイスを介して、図1のVDSクランプ102に結合される。図11において、VDSクランプ102はまた、図3のVDSクランプl02a又は図4のVDSクランプl02bであり得る。
【0088】
幾つかの例において、図11の制御システム1116は、デバイス1114の状態に基づいて、VDSクランプ102を第1の電圧から第2の電圧に調節するために、制御信号(例えば、図1の第1の制御信号150、図1の第2の制御信号152等)を生成する。例えば、制御システム1116は、デバイス1114が障害状態にあると判定することに応答して、デバイス1114の非障害正規負荷動作の間に、44Vの第1の電圧クランプレベルから33Vの第2の電圧クランプレベルに調節又はフォールドバックするように、VDSクランプ102に命令し得る。図11の制御システム1116は、VDSフォールディングタイマによって定義された時間期間の間、制御信号を生成する(例えば、繰り返し生成する、連続的に生成する、等)。VDSフォールディングタイマの満了に応答して、制御システム1116は、別の制御信号を生成して、VDSクランプ102に、33Vの第2の電圧クランプレベルから44Vの第1の電圧クランプレベルに戻すように調節するように指示する。
【0089】
幾つかの例において、VDSクランプ102は、電源1102からの供給電圧(VBB)が電圧クランプレベルを超えると、スイッチングネットワーク1108に含まれるトランジスタ1120のVDSをクランプする。例えば、デバイス1114の非障害正規負荷動作の間のVDSクランプ102は、44Vの電圧クランプレベルを有し得る。そのような例において、VDSクランプ102は、デバイス1114が障害状態にないとき、50Vの供給電圧を44Vにクランプし得る。例えば、VDSクランプ102は、デバイス1114の非障害正規負荷動作の間、供給電圧を第1の電圧(例えば、44V)にクランプし得、デバイス1114の障害状態の間、供給電圧を第2の電圧(例えば、33V)にクランプし得る。図11のシステム1100は、VDSクランプ102(例えば、図3のVDSクランプl02a、図4のVDSクランプl02b等)の適応性に起因して、デバイス1114が異なる動作状態にあるときに、必要な電力を提供し、並びに/或いは、その他の方式でデバイス1114の動作を助ける。
【0090】
図12は、図11のシステム1100の動作に対応する例示のタイミング図1200を示す。図12において、第1の時間(T)1202に、図11の制御システム1116は、例示の制御信号1204に対して高値を受信する。例えば、制御信号1204は、図1のイネーブル信号142に対応し得る。制御信号1204に対して高値を受信することに応答して、制御システム1116は、コントローラ(例えば、図1のコントローラ130)に図11のシステム1100を初期化するように命令し得る。第1の時間1202において、制御システム1116は、例示の状態フィードバック信号1206を受信する。例えば、状態フィードバック信号1206は、図3の障害信号302に対応し得る。例えば、状態フィードバック信号1206は、図11のデバイス1114の状態を示し得る。第1の時間1202において、制御システム1116は、デバイス1114が非障害正規負荷状態にあることを状態フィードバック信号1206が示していると判定する。
【0091】
図12の図示された例において、第2の時間(T)1208に、図11のデバイス1114は、例示の短絡回路電流1210における増加によって明らかな、障害状態にある。第2の時間1208において、短絡回路電流1210における増加により、状態フィードバック信号1206を第1の電圧から第2の電圧に変化させて、デバイス1114が障害状態にあることを示している。第2の時間1208において、制御システム1116は、状態フィードバック信号1206に基づいて、デバイス1114が障害状態にあると判定する。デバイス1114が障害状態にあると判定することに応答して、制御システム1116は、制御信号を生成して、VDSフォールディングタイマによって定義された時間期間の間、図11のスイッチングネットワーク1108に含まれるVDSクランプ102を第1のクランプ電圧から第2のクランプ電圧に調節する。
【0092】
図13は、図1図3、及び/又は図4のコントローラ130を実装するため図10の命令を実行するように構成される、例示のプロセッサプラットフォーム1300のブロック図である。プロセッサプラットフォーム1300は、例えば、サーバ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、自己学習機械(例えば、ニューラルネットワーク)、モバイルデバイス(例えば、携帯電話、スマートフォン、iPad(登録商標)等のタブレット)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、インターネット機器、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、デジタルビデオレコーダ、ブルーレイプレーヤ、ゲーミングコンソール、パーソナルビデオレコーダ、セットトップボックス、ヘッドセット、又は他のウェアラブルデバイス、又は他の任意のタイプのコンピューティングデバイスであり得る。
【0093】
図示された例のプロセッサプラットフォーム1300は、プロセッサ1312を含む。図示された例のプロセッサ1312はハードウェアである。例えば、プロセッサ1312は、任意の所望のファミリー又は製造元から提供される、集積回路、論理回路、マイクロプロセッサ、GPU、DSP、又はコントローラの1つ又は複数によって実装され得る。ハードウェアプロセッサは、半導体ベース(例えば、シリコンベース)のデバイスであり得る。この例において、プロセッサ1312は、コントローラ130を実装する。
【0094】
図示された例のプロセッサ1312は、ローカルメモリ1313(例えば、キャッシュ)を含む。図示された例のプロセッサ1312は、バス1318を介して、揮発性メモリ1314及び不揮発性メモリ1316を含むメインメモリと通信する。揮発性メモリ1314は、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、RAMBUS(登録商標)ダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM(登録商標))、及び/又は任意の他のタイプのランダムアクセスメモリデバイスによって実装され得る。不揮発性メモリ1316は、フラッシュメモリ及び/又は任意の他の所望のタイプのメモリデバイスによって実装され得る。メインメモリ1314、1316に対するアクセスはメモリコントローラによって制御される。
【0095】
図示された例のプロセッサプラットフォーム1300はまた、インタフェース回路1320を含む。インタフェース回路1320は、Ethernetインタフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)、ブルートゥース(登録商標)インタフェース、近接通信(NFC)インタフェース、及び/又はPCIエクスプレスインタフェース等の任意のタイプのインタフェース規格によって実装され得る。
【0096】
図示された例において、1つ又は複数の入力デバイス1322がインタフェース回路1320に接続される。入力デバイス1322によって、ユーザがデータ及び/又はコマンドをプロセッサ1312に入力することができる。入力デバイス1322は、例えば、オーディオセンサ、マイクロフォン、カメラ(静止画又は動画)、キーボード、ボタン、マウス、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、イソポイント(isopoint)デバイス、及び/又は音声認識システムによって実装され得る。
【0097】
1つ又は複数の出力デバイス1324はまた、図示された例のインタフェース回路1320に接続される。出力デバイス1324は、例えば、ディスプレイデバイス(例えば、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管ディスプレイ(CRT)、インプレース(in-place)スイッチング(IPS)ディスプレイ、タッチスクリーン等)、触覚出力デバイス、プリンタ、及び/又はスピーカによって実装され得る。図示された例のインタフェース回路1320は、このように、通常、グラフィックドライバカード、グラフィックドライバチップ、及び/又はグラフィックドライバプロセッサを含む。
【0098】
図示された例のインタフェース回路1320はまた、ネットワーク1326を介して外部機械(例えば、任意の種類のコンピューティングデバイス)とのデータ交換を促進するために、トランスミッタ、レシーバ、トランシーバ、モデム、レジデンシャルゲートウェイ、ワイヤレスアクセスポイント、及び/又はネットワークインタフェース等の通信デバイスを含む。通信は、例えば、Ethernet接続、デジタル加入者線(DSL)接続、電話線接続、同軸ケーブルシステム、サテライトシステム、視線ワイヤレスシステム、セルラー電話システム等を介して行われ得る。
【0099】
図示された例のプロセッサプラットフォーム1300はまた、ソフトウェア及び/又はデータをストアするために、1つ又は複数の大容量ストレージデバイス1328を含む。そのような大容量ストレージデバイス1328の例としては、フロッピーディスク、ハードドライブディスク、コンパクトディスクドライブ、ブルーレイディスクドライブ、RAID(Redundant array of independent disk)システム、及びデジタルバーサタイルディスク(DVD)ドライブが含まれる。
【0100】
図10の機械実行可能命令1332は、大容量ストレージデバイス1328に、揮発性メモリ1314に、不揮発性メモリ1316に、及び/又は、CD又はDVD等の取り外し可能な非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体上にストアされ得る。
【0101】
ドレイン・ソース間電圧クランプレベルに対して動的調節を提供するための例示の方法、装置、及び製品が本明細書に説明される。そのような動的調節は、ロードダンプ下でパワースイッチングデバイスの汎用性を向上させ、障害状態においてシリコン領域へ重大な影響を与えることなく堅牢性を向上させる。ドレイン・ソース間電圧クランプレベルを適応的に調節することによって、上述の例により、パワー切り替え可能デバイスが、同じ電流制限で大きな安全動作領域マージンを備えて動作可能になり、又は同じ安全動作領域マージンに対して高い電流制限で動作可能になる。
【0102】
特許請求の範囲内で、説明した実施形態における変更が可能であり、他の実施形態が可能である。
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