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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】スラッジ水分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/38 20060101AFI20240410BHJP
   G01N 27/10 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G01N33/38
G01N27/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020079236
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021173687
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 由季
(72)【発明者】
【氏名】里 哲也
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-225420(JP,A)
【文献】特開昭58-190758(JP,A)
【文献】特開2012-143702(JP,A)
【文献】特開2017-177020(JP,A)
【文献】特開2010-197125(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0053715(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第1781851(CN,A)
【文献】山口 哲矢,安定化スラッジ水の自動管理に関する研究,月刊コンクリートテクノ,2013年08月01日,32(8),pp.36-41
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00~33/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レディーミクストコンクリートのスラッジ水を分析するスラッジ水分析装置であって、
陰イオン交換樹脂が充填された分離カラムと、前記分離カラムに溶離液を通過させる溶離液ポンプと、スラッジ水を採取して、前記溶離液ポンプによって前記分離カラムに送られる溶離液中に供給する試料供給部と、前記試料供給部の上流側に接続されたサンプリング部と、前記分離カラムから流出した溶離液の電気伝導率を検出する電気伝導率検出器と、前記分離カラムと前記電気伝導率検出器を収容する恒温槽と、演算制御装置を有し、
前記サンプリング部は、サンプリング槽と前記サンプリング槽の上流側に配置された濾過装置と、前記濾過装置にスラッジ水を供給するサンプリングポンプとを有し、
前記演算制御装置は、分析モードと待機モードの少なくとも2つの動作モードを切り替え可能であって、
前記待機モードでは、前記溶離液ポンプの流量を前記分析モードにおける流量よりも低下させ、
前記待機モードから前記分析モードに切り替えた際は、前記溶離液ポンプの流量を前記分析モードにおける流量に戻した後、前記電気伝導率検出器の検出値を監視し、
前記電気伝導率検出器の検出値が安定したことを確認した後に、前記サンプリングポンプの動作を開始させ、その後に前記試料供給部に、前記サンプリング槽からのスラッジ水の採取を開始させる、スラッジ水分析装置。
【請求項2】
前記演算制御装置は、前記待機モードでは、前記溶離液ポンプの流量を前記分析モードにおける流量よりも低下させ、かつ、前記恒温槽の設定温度を前記分析モードにおける設定温度よりも低下させ、
前記待機モードから前記分析モードに切り替えた際は、前記溶離液ポンプの流量を前記分析モードにおける流量に戻すと共に、前記恒温槽の設定温度を前記分析モードにおける設定温度に戻した後、前記電気伝導率検出器の検出値を監視する、請求項1に記載のスラッジ水分析装置。
【請求項3】
前記試料供給部は、スラッジ水を採取して濾過する前処理部と、前記溶離液ポンプによって前記分離カラムに送られる溶離液中に前記前処理部で濾過したスラッジ水を注入する試料注入部とを有する、請求項1又は2に記載のスラッジ水分析装置。
【請求項4】
前記サンプリング部は、さらに前記濾過装置から流出して前記サンプリング槽に収容されたスラッジ水の濁度を検出する濁度検出器を有し、
前記演算制御装置は、前記待機モードから前記分析モードに切り替えた際、前記電気伝導率検出器の検出値が安定したことを確認した後に、前記サンプリングポンプの動作を開始させて、前記濁度検出器の検出値を監視し、前記濁度検出器の検出値が所定の値以下となったことを確認した後に、前記試料供給部に、前記サンプリング槽からのスラッジ水の採取を開始させる、請求項1~3のいずれか一項に記載のスラッジ水分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レディーミクストコンクリートのスラッジ水を分析するスラッジ水分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レディーミクストコンクリート(以下「生コン」という。)の工場においては、廃棄物としてスラッジ水が発生する。スラッジ水は、コンクリートの洗浄排水から粗骨材及び細骨材を取り除いて回収した懸濁水である。
スラッジ水中にはすでに水和反応したセメントだけでなく、未水和のセメントも含まれているため、未水和のセメントの水和反応を抑制しておくことで、新しい生コンを製造する際のセメント分の一部として再利用することができる。
【0003】
そこで、JIS A 5308 2019「レディーミクストコンクリート」では、一定の条件の下で、スラッジ水を練混ぜ水として使用することを認めている。
スラッジ水の再利用を促進することは、低炭素型社会を構築する上で極めて重要である。日本全体のCO排出量の約40%が建設産業に由来しており、このうちコンクリートの比率は20~30%である。コンクリートのCO原単位の大部分はセメントに由来するので、スラッジ水の再利用が促進されれば、コンクリート産業におけるCO排出量を大幅に削減できることになる。
【0004】
スラッジ水の再利用にあたっては、スラッジ水に含まれる未水和のセメント量(セメントの活性度)を評価することが求められる。特許文献1では、硫酸イオン濃度を指標として、セメントの活性度を求めることが提案されている。
また、未水和のセメントの水和反応を抑制するために、安定剤(凝結遅延剤)としてグルコン酸ナトリウムをコンクリートに添加することが提案されている(非特許文献1)。
そのためスラッジ水を再利用するにあたっては、グルコン酸イオン濃度を測定することも求められている。
【0005】
しかし、現時点において、硫酸イオン濃度及びグルコン酸イオン濃度を、生コン工場の現場において簡便に測定する方法は存在していない。
特許文献1によれば、近赤外分光分析計を使用すれば、硫酸イオン濃度とグルコン酸イオン濃度の双方を測定可能であるとされている。
しかしながら、近赤外領域においては、グルコン酸イオンとピークが重なる夾雑物が多数存在するため、低濃度のグルコン酸イオンを近赤外分光分析計で定量することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5462499号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】セメント・コンクリート論文集(Cement Science and Concrete Technology)、Vol.66,2012、2013年2月25日、p22-27
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、イオンクロマトグラフィーにより、硫酸イオン濃度とグルコン酸イオン濃度の双方を同時に分析できるのではないかと考えた。
しかし、スラッジ水は、混ぜ水として使用する前に分析することが望まれるが、混ぜ水として使用するタイミングは一定しない。
【0009】
また、例えば、出荷した生コンのうち、購入者の事情により不要になった生コンや、運搬車のドラムに付着したものなど(戻りコンと呼ばれる)は、不定期に工場に戻ってくる。そのため、生コン工場におけるスラッジ水の貯留槽には、不定期に新たなスラッジ水が追加されるので、スラッジ水中の硫酸イオン濃度とグルコン酸イオン濃度の濃度も不定期に変化する。
したがって、生コン工場において、スラッジ水の分析が必要とされる状況は、不定期に生じやすい。
【0010】
一方、イオンクロマトグラフ装置は、分析開始前に溶離液の供給や温度調節を開始し、一定の時間待機させるウォームアップの時間(暖機時間)が必要である。そのため、実験室等でイオンクロマトグラフ装置を使用する場合は、例えば、分析を行う前日の夜にウォームアップを開始することが行われている。
しかし、生コン工場の現場でスラッジ水を管理するためには、分析が必要とされる状況となった場合、できる限り迅速に分析を開始することが望まれる。
【0011】
分析が必要とされる状況となった場合に即座に分析を開始するためには、分析を行っていない時も、溶離液の供給や温度調節を分析中と同様に継続すればよい。
しかし、その場合、溶離液や電力の消費量が嵩み、装置のランニングコストが増大してしまう。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、生コンのスラッジ水を扱う現場で、簡便にかつ、ランニングコストを抑制しながら、硫酸イオンとグルコン酸イオンを、迅速に同時測定可能なスラッジ水分析装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]レディーミクストコンクリートのスラッジ水を分析するスラッジ水分析装置であって、
陰イオン交換樹脂が充填された分離カラムと、前記分離カラムに溶離液を通過させる溶離液ポンプと、スラッジ水を採取して、前記溶離液ポンプによって前記分離カラムに送られる溶離液中に供給する試料供給部と、前記分離カラムから流出した溶離液の電気伝導率を検出する電気伝導率検出器と、前記分離カラムと前記電気伝導率検出器を収容する恒温槽と、演算制御装置を有し、
前記演算制御装置は、分析モードと待機モードの少なくとも2つの動作モードを切り替え可能であって、
前記待機モードでは、前記溶離液ポンプの流量を前記分析モードにおける流量よりも低下させ、
前記待機モードから前記分析モードに切り替えた際は、前記溶離液ポンプの流量を前記分析モードにおける流量に戻した後、前記電気伝導率検出器の検出値を監視し、
前記電気伝導率検出器の検出値が安定したことを確認した後に、前記試料供給部に、スラッジ水の採取を開始させることを特徴とする、スラッジ水分析装置。
[2]前記演算制御装置は、前記待機モードでは、前記溶離液ポンプの流量を前記分析モードにおける流量よりも低下させ、かつ、前記恒温槽の設定温度を前記分析モードにおける設定温度よりも低下させ、
前記待機モードから前記分析モードに切り替えた際は、前記溶離液ポンプの流量を前記分析モードにおける流量に戻すと共に、前記恒温槽の設定温度を前記分析モードにおける設定温度に戻した後、前記電気伝導率検出器の検出値を監視する、[1]に記載のスラッジ水分析装置。
[3]前記試料供給部は、スラッジ水を採取して濾過する前処理部と、前記溶離液ポンプによって前記分離カラムに送られる溶離液中に前記前処理部で濾過したスラッジ水を注入する試料注入部とを有する、[1]又は[2]に記載のスラッジ水分析装置。
[4]さらにサンプリング部を備え、
前記サンプリング部は、サンプリング槽と前記サンプリング槽の上流側に配置された濾過装置と、前記濾過装置にスラッジ水を供給するサンプリングポンプとを有し、
前記演算制御装置は、前記待機モードから前記分析モードに切り替えた際、前記電気伝導率検出器の検出値が安定したことを確認した後に、前記サンプリングポンプの動作を開始させ、その後に前記試料供給部に、前記サンプリング槽からのスラッジ水の採取を開始させる、[1]~[3]のいずれかに記載のスラッジ水分析装置。
[5]前記サンプリング部は、さらに前記濾過装置から流出して前記サンプリング槽に収容されたスラッジ水の濁度を検出する濁度検出器を有し、
前記演算制御装置は、前記待機モードから前記分析モードに切り替えた際、前記電気伝導率検出器の検出値が安定したことを確認した後に、前記サンプリングポンプの動作を開始させて、前記濁度検出器の検出値を監視し、前記濁度検出器の検出値が所定の値以下となったことを確認した後に、前記試料供給部に、前記サンプリング槽からのスラッジ水の採取を開始させる、[4]に記載のスラッジ水分析装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスラッジ水分析装置によれば、生コンのスラッジ水を扱う現場で、簡便にかつ、ランニングコストを抑制しながら、硫酸イオンとグルコン酸イオンを、迅速に同時測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るスラッジ水分析装置の概略構成図である。
図2図1における希釈水計量器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[装置構成]
図1の分析装置100は、本発明の一実施形態に係るスラッジ水分析装置である。本実施形態の分析装置100は、サンプリング部10と前処理部20と分析部60と演算制御装置90とで構成されている。
取り扱いの便宜上、前処理部20と分析部60と演算制御装置90とは、1つの筐体に収容してもよい。
【0017】
サンプリング部10はサンプリング槽11とサンプリング槽11にスラッジ水を供給するスラッジ水採取ライン12と、サンプリング槽11の上流側においてスラッジ水採取ライン12に設けられた濾過装置13と、濾過装置13の上流側においてスラッジ水採取ライン12に設けられたサンプリングポンプ14とを有している。
【0018】
また、サンプリング槽11に貯留されたスラッジ水や洗浄水をサンプリング槽11から排液するためのサンプリング槽排液ライン15を有しており、サンプリング槽排液ライン15には、サンプリング槽排液弁16が設けられている。また、サンプリング槽11に洗浄水を導入するための、図示を省略する洗浄機構が設けられている。
また、サンプリング槽11内のスラッジ水を測定するための濁度検出器17が設けられている。
【0019】
濾過装置13の種類に限定はないが、固着性のあるスラッジ水を繰り返し濾過することができる、固液分離性の高い濾過装置が好ましい。例えば、クロスフロー式の濾過装置が好ましい。
濁度検出器17の種類に限定はないが、例えば、透過光式濁度計や、散乱光式濁度計等の公知の濁度計を使用できる。
【0020】
また、前処理部20は、受液槽21と、受液槽21の上流側に配置された第1フィルタ24及び第2フィルタ25と、受液槽21に収容されたスラッジ水の一定量を計量するスラッジ水計量器30と、希釈水を計量する希釈水計量器41と、希釈槽51とを有している。
希釈槽51には、スラッジ水計量器30で計量されたスラッジ水と希釈水計量器41で計量された希釈水とが導入されるようになっている。
【0021】
サンプリング槽11と受液槽21との間には、スラッジ水導入ライン22が設けられている。また、スラッジ水導入ライン22には、上流側から順に、スラッジ水導入ポンプ23、第1フィルタ24、第2フィルタ25及びフィルタ洗浄用三方弁26が設けられている。なお、スラッジ水導入ライン22の上流側はフィルタ洗浄用三方弁26の共通ポートに、スラッジ水導入ライン22の下流側はフィルタ洗浄用三方弁26の常開ポートに接続している。
【0022】
また、受液槽21に導入されたスラッジ水を受液槽21からオーバーフローさせるためのオーバーフローライン27が設けられていると共に、受液槽21に貯留されたスラッジ水や洗浄水を受液槽21から排液するための受液槽排液ライン28が設けられている。受液槽排液ライン28には、受液槽排液弁29が設けられている。
オーバーフローライン27と受液槽排液ライン28の下流端はドレン80に接続されている。
【0023】
また、受液槽21には、スラッジ水計量用上流側ライン34の上流端が挿入されている。受液槽21には、濾過されたスラッジ水が導入されるが、濾過後にも沈殿物や表面析出物が生じる恐れがあるため、スラッジ水計量用上流側ライン34の上流端は、受液槽21の中央付近に挿入されている。
【0024】
第1フィルタ24と第2フィルタ25とは、上流側の第1フィルタ24の方が目が粗く(分画特性が大きく)、下流側の第2フィルタ25の方が目が細かい(分画特性が小さい)ものが使用される。
例えば第1フィルタ24には、分画特性が70μm程度のものが好適に使用される。第2フィルタ25には、分画特性が0.1μm程度のものが好適に使用される。第1フィルタ24としては、保守管理が容易となることから、カートリッジタイプのものを使用することが好ましい。また、第2フィルタ25としては、例えば、中空糸膜型フィルタを使用することができる。
第1フィルタ24と第2フィルタ25とは、各々複数設けてもよい。
【0025】
スラッジ水計量器30は、第1三方弁31及び第2三方弁32と、両端が、これら第1三方弁31及び第2三方弁32の各々の共通ポートに接続したスラッジ水計量管33とで構成されている。
スラッジ水計量器30の第1三方弁31の常開ポートには、スラッジ水計量用上流側ライン34の下流端が接続されている。スラッジ水計量器30の第2三方弁32の常開ポートには、スラッジ水計量用下流側ライン35の上流端が接続されている。
また、スラッジ水計量用下流側ライン35には、スラッジ水計量用ポンプ36が設けられている。
【0026】
希釈水計量器41は、図2に示すように、計量容器46とこの計量容器46に接続された第1から第4の常閉弁とで構成されている。第1の常閉弁47aと第4の常閉弁47dは、計量容器46の下方に接続されている。第2の常閉弁47bと第3の常閉弁47cは、計量容器46の上方に接続されている。
【0027】
希釈水計量器41の第1の常閉弁47aには、純水槽40から希釈水として純水を導入するための希釈水計量用上流側ライン42が接続されている。また、希釈水計量器41の第2の常閉弁47bには、希釈水計量用下流側ライン43が接続されている。希釈水計量用下流側ライン43はドレン80に接続されている。
なお、図1では、希釈水計量用上流側ライン42を希釈水計量器41の上側に、希釈水計量用下流側ライン43を希釈水計量器41の下側に接続する位置に示したが図示の便宜上のものである。
【0028】
希釈水計量用上流側ライン42には、純水用ポンプ44と希釈水用常開弁45が設けられている。
また、希釈水計量器41の第3の常閉弁47cには計装エアを導入するための加圧ライン54が接続されている。加圧ライン54には、空気量を調整するためのニードル弁55が設けられている。
また、希釈水計量器41の第4の常閉弁47dには、希釈用上流側ライン52の上流端が接続されている。希釈用上流側ライン52の下流端は、スラッジ水計量器30の第2三方弁32の常閉ポートに接続している。また、スラッジ水計量器30の第1三方弁31の常閉ポートには、希釈槽51に至る希釈用下流側ライン53が接続している。
【0029】
希釈槽51には、攪拌装置58が設けられている。また、攪拌装置58で攪拌して得られた希釈試料を、分析部60に移送するための試料注入用上流側ライン71の上流端が挿入されている。
試料注入用上流側ライン71の上流端は、沈殿物や表面析出物を避けるため、希釈槽51の底部よりも、やや上方にまで挿入されている。
【0030】
希釈槽51内には、ドレン80に接続する希釈槽排液ライン56が挿入されている。希釈槽排液ライン56には希釈槽排液ポンプ57が設けられており、希釈槽排液ポンプ57を動作させることにより、希釈槽51内の液を吸い上げて排液できるようになっている。
また、オーバーフローライン59が設けられている。
【0031】
また、希釈水計量用上流側ライン42の純水用ポンプ44より下流側には、受液槽洗浄ライン81と希釈槽洗浄ライン83とフィルタ洗浄ライン85とが分岐して接続されている。
受液槽洗浄ライン81の終端は受液槽21に挿入されている。受液槽洗浄ライン81には受液槽洗浄用常閉弁82が設けられている。
【0032】
また、希釈槽洗浄ライン83の終端は希釈槽51に挿入されている。希釈槽洗浄ライン83には希釈槽洗浄用弁84が設けられている。
また、フィルタ洗浄ライン85の終端はフィルタ洗浄用三方弁26の常閉ポートに接続されている。フィルタ洗浄ライン85には、フィルタ洗浄用常閉弁86と洗浄用フィルタ87が設けられている。洗浄用フィルタ87としては、第2フィルタ25と同等の分画特性の物を使用することが好ましい。
【0033】
分析部60には、分析用ライン63と試料注入用上流側ライン71と試料注入用下流側ライン72が設けられている。
分析用ライン63は、溶離液タンク61から廃液タンク62に至るラインで、溶離液タンク61側から順に、脱気装置64、溶離液ポンプ65。六方バルブ66、ガードカラム67、分離カラム68、及び電気伝導率検出器69が設けられている。
また、分析用ライン63に設けられたガードカラム67、分析用ライン63、及び電気伝導率検出器69は、恒温槽70に収容されている。
【0034】
分離カラム68は、陰イオン交換樹脂が充填されたカラムである。陰イオン交換樹脂が有するイオン交換基としては、アンモニウムイオンなどが挙げられる。
なお、ガードカラム67は、予期せずに混入した固形分や不純物等から、分離カラム68をガードする役割を担っている。
【0035】
六方バルブ66の6つのポートの内2つには、分析用ライン63の上流側と下流側が各々接続されている。
六方バルブ66の他の2つのポートには、試料注入用上流側ライン71と試料注入用下流側ライン72が各々接続されている。試料注入用上流側ライン71は、希釈槽51から六方バルブ66に至るラインであり、試料注入用下流側ライン72は六方バルブ66から廃液タンク62に至るラインである。試料注入用下流側ライン72には、試料注入用ポンプ74が設けられている。
また、六方バルブ66の残りの2つのポートには、試料計量管73の上流端と下流端が各々接続している。
【0036】
本実施形態では、六方バルブ66、試料注入用上流側ライン71、試料注入用下流側ライン72及び試料注入用ポンプ74で本発明の試料注入部が構成されている。
また、この試料注入部と前処理部20とで、本発明における試料供給部が構成されている。
【0037】
電気伝導率検出器69で検出された電気伝導率は、演算制御装置90に出力されるようになっている。なお、分離カラム68と電気伝導率検出器69との間に、サプレッサーカラムを設けてもよい。
演算制御装置90は、電気伝導率検出器69から出力された電気伝導率をデータ処理するようになっている。また、前処理部20と分析部60の動作を制御するようになっている。
さらに、サンプリング部10に信号を出力することにより、サンプリング部10の動作を制御するようになっている。
【0038】
本実施形態の分析装置100は、演算制御装置90の制御の下、少なくとも、分析モードと待機モードの少なくとも2つの動作モードを切り替え可能である。
また、待機モードから分析モードに切り替えた際は、所定の準備動作を経て、試料供給部に、スラッジ水の採取を開始させる。
なお、待機モードと分析モードのいずれにおいても、その動作モードに応じた所定の流量で、分析用ライン63内に溶離液を流し続ける。
以下、待機モード及び分析モードの各々の動作について説明する。
【0039】
[待機モード]
待機モードは、分析モードにおいて、1回の分析が終了したときに自動的に開始するようにしても良いし、1回の分析が終了後、所定時間経過後に自動的に開始するようにしてもよい。
また、外部コントローラーからの待機モード開始指示を受けて開始するようにしてもよい。
また、操作者による待機モード開始指示の入力動作により開始するようにしてもよい。
【0040】
本実施形態の分析装置100は、少なくとも、溶離液ポンプの流量を分析モードにおける流量よりも低下させる。換言すれば、溶離液ポンプの流量を分析モードにおける流量よりも低下させる動作モードが待機モードである。
待機モードにおいては、六方バルブ66を、分析用ライン63の上流側と下流側とが直接接続するようにした状態で溶離液ポンプ65を動作させる。
本実施形態の分析装置100は、待機モードにおいて、溶離液ポンプの流量を分析モードにおける流量よりも低下させると共に、恒温槽70の設定温度を分析モードにおける設定温度よりも低下させることが好ましい。
【0041】
待機モードにおける溶離液ポンプの流量と分析モードにおける流量との差が大きい程、溶離液や電力の消費量を抑制することができる。待機モードにおける溶離液ポンプの流量と分析モードにおける流量との差が小さい程、分析モードにおける準備動作の時間を短縮できる。
したがって、溶離液ポンプの流量を分析モードにおける流量からどの程度低下させるかは、分析装置100による分析結果をどの程度迅速に得ることが必要とされるかと、ランニングコストとのバランスを考慮して決定される。
例えば、分析モードにおける流量の50%とすることができる。
【0042】
また、待機モードにおける恒温槽70の設定温度と分析モードにおける恒温槽70の設定温度との差が大きい程、電力の消費量を抑制することができる。待機モードにおける恒温槽70の設定温度と分析モードにおける恒温槽70の設定温度との差が小さい程、分析モードにおける準備動作の時間を短縮できる。
したがって、恒温槽70の設定温度を分析モードにおける恒温槽70の設定温度からどの程度低下させるかは、分析装置100による分析結果をどの程度迅速に得ることが必要とされるかと、ランニングコストとのバランスを考慮して決定される。
例えば、分析モードにおける設定温度よりも低い25℃~35℃に設定できる。
【0043】
待機モードでは、試料供給部によるスラッジ水の採取は行わない。したがって、溶離液ポンプ65以外のポンプについては、その動作を総て停止してもよい。ただし、サンプリング部10及び前処理部20の洗浄動作の一部又は全部等、スラッジ水の採取以外の動作を、待機モード中に行ってもよい。
【0044】
[分析モード]
待機モードから分析モードへの切り替えは、前回の分析モードから所定時間経過後に自動的に切り替えるようにしても良いし、外部コントローラーからの分析モード開始指示を受けて切り替えてもよい。操作者による切り替え指示の入力動作により切り替えるようにしてもよい。
【0045】
分析モードでは、準備動作の後に、試料供給部にスラッジ水の採取を開始させ、前処理動作及び分析動作を行う。
ただし、準備動作は、待機モードから分析モードに切り替えた時のみ必要である。1回の分析動作が終了しても、待機モードへの切り替えを経なければ、次の前処理動作は、準備動作を行うことなく、そのまま前処理動作を開始でき、次いで分析動作を行うことができる。
【0046】
(準備動作)
準備動作では、演算制御装置90は、まず、溶離液ポンプ65の流量を分析モードにおける流量に戻す。
準備動作においては、六方バルブ66を、分析用ライン63の上流側と下流側とが直接接続するようにした状態を継続したまま、流量だけ変更して溶離液ポンプ65の動作を継続させる。
【0047】
また、待機モードにおいて恒温槽70の設定温度を分析モードにおける設定温度より低下させた場合は、恒温槽70の設定温度も分析モードにおける設定温度に戻す。
その後、演算制御装置90は、電気伝導率検出器69の検出値の監視を開始する。そして、電気伝導率検出器69の検出値が安定したか否かを確認する。
【0048】
検出値が安定したか否かの判別方法に特に限定はない。例えば、単位時間当たりの電気伝導率の変化量が所定の値以下となった場合に、安定したと判断することができる。また、単位時間内における電気伝導率の最大値と最小値の差が所定の値以下となった場合に、安定したと判断してもよい。なお、これらの判断の基準となる所定の値は、要求される分析精度等に応じて適宜設定すればよい。
【0049】
演算制御装置90は、電気伝導率検出器69の検出値が安定したことを確認すると、まず、サンプリング部10のサンプリングポンプ14に動作開始の信号を送る。これにより、レディーミクストコンクリート(生コン)のスラッジ水が濾過装置13で濾過された後にサンプリング槽11に貯留される。
濾過装置13で濾過されたスラッジ水がサンプリング槽11に貯留されると、演算制御装置90は、濁度検出器17から濁度の信号を監視する。そして、濁度に基づき、濁質が充分に除去されていることを確認すると準備動作を終了する。
【0050】
(前処理動作)
前処理動作においても、準備動作におけるのと同様に、六方バルブ66を、分析用ライン63の上流側と下流側とが直接接続するようにした状態で、準備動作の際に戻した流量を維持して溶離液ポンプ65の動作を継続させる。また、恒温槽70の設定温度も、準備動作の際の設定温度を維持する。
【0051】
そして、まず、サンプリング槽11に貯留された生コンのスラッジ水を、スラッジ水導入ポンプ23を動作させることにより、受液槽21に導入する。
なお、受液槽21に必要量のスラッジ水を導入した後に、サンプリング槽11に残ったスラッジ水はサンプリング槽排液弁16を開として排液し、その後、サンプリング槽11内の洗浄を行う。
【0052】
フィルタ洗浄用三方弁26をOFFの状態(常開ポートが開)としてスラッジ水導入ポンプ23を動作させることにより、サンプリング槽11から導入されたスラッジ水が、第1フィルタ24及び第2フィルタ25により順次濾過された後に、受液槽21に導入される。
受液槽21には、オーバーフローライン27から、スラッジ水が流出して表面析出物を排出できるように、充分な量のスラッジ水を導入する。
【0053】
次いで、スラッジ水計量用ポンプ36を動作させることにより、受液槽21内のスラッジ水を、スラッジ水計量器30を通過するように吸引し、余剰分をスラッジ水計量用下流側ライン35から排液する。これにより、スラッジ水計量管33に、スラッジ水を充填する。
【0054】
スラッジ水計量管33にスラッジ水を充填した後に、受液槽21に残ったスラッジ水は受液槽排液弁29を開として排液し、その後、受液槽21内の洗浄を行う。
受液槽21への洗浄水の導入は、希釈水用常開弁45を閉とし、受液槽洗浄用常閉弁82を開とした状態で純水用ポンプ44を動作させることにより行う。
【0055】
また、必要に応じて、第1フィルタ24と第2フィルタ25の洗浄を行う。第1フィルタ24と第2フィルタ25の洗浄は、希釈水用常開弁45を閉とし、希釈槽洗浄用弁84を開とし、フィルタ洗浄用三方弁26の常閉ポートを開とした状態で純水用ポンプ44を動作させることにより行う。これにより、第1フィルタ24と第2フィルタ25とを、洗浄用フィルタ87で濾過した純水で逆洗浄できる。
【0056】
また、スラッジ水計量管33にスラッジ水を充填するのと同時に、又は充填するのと前後して、希釈水を希釈水計量器41の計量容器46に充填する。
計量容器46への希釈水の充填は、希釈水用常開弁45をOFF(開状態)のまま第1の常閉弁47a及び第2の常閉弁47bを開として純水用ポンプ44を動作させることで、純水槽40内の純水を、希釈水計量器41を下方から上方に通過させることにより行う。
なお、余剰の純水は希釈水計量用下流側ライン43から排液する。
【0057】
スラッジ水計量管33へのスラッジ水の充填と計量容器46への希釈水の充填が終わった後、希釈水計量器41の第3の常閉弁と第4の常閉弁を開として、かつ、第1三方弁31と第2三方弁32の常閉ポートを開として、加圧ライン54から計装エアを導入する。
これにより、希釈水計量器41の計量容器内の希釈水と、スラッジ水計量器30のスラッジ水計量管33内のスラッジ水が押し出され、希釈槽51に導入される。
希釈槽51に導入したスラッジ水と希釈水とは、攪拌装置58で充分に混合することによって希釈試料となる。
【0058】
なお、スラッジ水の希釈試料を得るための希釈率に特に限定はなく、スラッジ水の組成や、分析部60におる分析条件に応じて適宜設定すればよい。
例えば、スラッジ水計量器30において、スラッジ水5mLを計量し、希釈水計量器41において希釈水20mLを計量すれば、5倍希釈した希釈試料が得られる。
【0059】
(分析動作)
演算制御装置90は、準備動作における溶離液ポンプ65の流量と恒温槽70の設定温度(すなわち、分析モードにおける流量と設定温度)を維持したまま、分析用ライン63を流れる溶離液中に、希釈試料としたスラッジ水を供給する。
希釈試料の供給は、以下に説明する手順で行われる。
【0060】
まず、六方バルブ66を、試料注入用上流側ライン71と試料計量管73と試料注入用下流側ライン72とが連通するように切り替えて、試料注入用ポンプ74を動作させる。
これにより、試料計量管73に一定量の希釈試料が充填される。
試料計量管73に一定量の希釈試料が充填された後は、試料注入用ポンプ74を停止し、希釈槽51内に残った希釈試料は、希釈槽排液ポンプ57により排液し、その後、希釈槽51内の洗浄を行う。
希釈槽51への洗浄水の導入は、希釈水用常開弁45を閉とし、希釈槽洗浄用弁84を開とした状態で純水用ポンプ44を動作させることにより行う。
【0061】
次に、六方バルブ66を切り替えて、試料計量管73が分析用ライン63の上流側と下流側の間に挟まれるようにすると、溶離液ポンプ65により分析用ライン63を流れる溶離液の中に、計量された希釈試料が注入される。
注入された希釈試料は、分析用ライン63の溶離液の流れに乗って、ガードカラム67、次いで分離カラム68を通過する。
【0062】
そして、分離カラム68を通過する間に成分が分離され、まずグルコン酸イオンが流出し、次いで硫酸イオンが流出する。流出した成分は、電気伝導率の変化として電気伝導率検出器69で検知される。
演算制御装置90は、電気伝導率検出器69によって得られたクロマトグラムを解析することにより、希釈前のスラッジ水のグルコン酸イオンと、硫酸イオンの濃度を求める。
【0063】
なお、分析部60における設定条件は、グルコン酸イオンと硫酸イオンが分離して分離カラム68から流出できるようであれば、特に限定はないが、例えば以下のように設定することができる。
分析モードにおける恒温槽70の設定温度:37~40℃
待機モードにおける恒温槽70の設定温度:26~40℃
分析モードにおける溶離液の流量:0.6~1.0mL/分
待機モードにおける溶離液の流量:0.1~0.5mL/分)
希釈試料の注入量:20μL
【0064】
分離カラム68に充填する陰イオン交換樹脂としては、グルコン酸イオンと硫酸イオンが分離できるものであれば特に限定はないが、例えば以下のものを使用できる。
基材:ポリヒドロキシメタクリレート
官能基:第4級アンモニウム基
粒径:5μm
【0065】
溶離液は、グルコン酸イオンと硫酸イオンが分離できるものであれば特に限定はないが、例えば、以下の組成のものを使用できる。
・4mMのクエン酸と16mMのβ-アラニンを含む10%エタノール水溶液。
・1.3mMのフタル酸と1.8mMの6-アミノ-n-ヘキサン酸を含む5%エタノール水溶液。
・1mMの酒石酸と10mMのβ-アラニンを含む10%エタノール水溶液。
・2mMの酒石酸と7mMの6-アミノ-n-ヘキサン酸を含む5%エタノール水溶液。
・5mMのマロン酸と5.25mMのトリスヒドロキシメチルアミノメタンを含む5%エタノール水溶液。
【0066】
[作用機序]
本実施形態の分析装置100によれば、待機モードにおいて、溶離液ポンプ65の流量を分析モードにおける流量より低下させるので、溶離液や電力の消費量を抑制することができる。
また、恒温槽70の設定温度を分析モードにおける設定温度よりも低下させれば、さらに電力の消費量を抑制できる。
【0067】
また、待機モードから分析モードに切り替えた際は、溶離液ポンプ65の流量等を分析モードにおける流量等に戻した後、電気伝導率検出器69の検出値を監視し、その検出値が安定したことを確認した後に、サンプリングポンプ14を始動し、次いでスラッジ水導入ポンプ23を始動させる。
そのため、分析部60による安定な分析が可能になった後、迅速に分析部60に試料を供給できる。
したがって、スラッジ水の分析が必要とされる状況となってから、硫酸イオンとグルコン酸ナトリウムイオンの濃度を得るまでの時間を短縮できる。
さらに、分析の直前にスラッジ水の採取を行うので、採取後、空気中の炭酸ガスを吸収して、カルシウム分が析出してくることも抑制できる。
【0068】
[その他の態様]
上記実施形態の分析装置100は、サンプリング部10が濁度検出器17を備え、濁度検出器17の検出値が所定の値以下となったことを演算制御装置90が確認した後に、スラッジ水導入ポンプ23を動作させる態様としたが、サンプリング部10は濁度検出器17を備えなくともよい。
その場合、例えば、サンプリング槽11にレベルセンサを設け、サンプリング槽11に必要量のスラッジ水が貯留されたことを確認してからスラッジ水導入ポンプ23を始動してもよい。
また、サンプリング部10の始動後、サンプリング槽11に必要量のスラッジ水が貯留されたと見做せる所定の時間経過後にスラッジ水導入ポンプ23を始動してもよい。
【0069】
また、上記実施形態の分析装置100は、サンプリング部10を備える態様としたが、本発明のスラッジ水分析装置は、サンプリング部10以外の部分からなる装置であってもよい。
サンプリング部10以外の部分からになる装置を別途用意されたサンプリング部10と同様の機能を有するサンプリング装置と組み合わせて使用する場合、演算制御装置90は、サンプリング装置のポンプ等に信号を出力することによって、その動作を制御するようにしてもよい。
また、演算制御装置90は、サンプリング装置のポンプ等に直接信号を出力することを行わず、例えば、準備動作が終了した旨の表示等を行い、その表示等を確認した操作者がサンプリング装置を始動するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態の分析装置100は、試料注入部と前処理部20とで試料供給部が構成される態様としたが、本発明のスラッジ水分析装置は、前処理部20を備えなくともよい。その場合、本発明の試料供給部は、分析部60の試料注入部のみから構成される。
また、前処理部20を有さず分析部60のみからなる装置を、別途用意された前処理部20と同様の機能を有する前処理装置と組み合わせて使用する場合、演算制御装置90は、前処理装置のポンプ等に信号を出力することによって、その動作を制御するようにしてもよい。
また、演算制御装置90は、前処理装置のポンプ等に直接信号を出力することを行わず、例えば、準備動作が終了した旨の表示等を行い、その表示等を確認した操作者が別途用意されたサンプリング装置を始動し、次いで前処理装置を始動するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態の分析装置100は、六方バルブ66、試料注入用上流側ライン71、試料注入用下流側ライン72及び試料注入用ポンプ74とで試料注入部を構成する態様としたが、別途の試料注入部として、分析用ライン63に設けられた手動のインジェクタを追加してもよい。
その場合、演算制御装置90は、準備動作が終了した旨の表示等を行い、その表示等を確認した操作者が別途用意された試料を手動インジェクタにより注入することができる。
【0072】
また、上記実施形態では、分析装置100全体の動作制御とデータ処理の総てを分析装置100内の演算制御装置90が行う態様としたが、分析装置100内の演算制御装置90の機能の一部又は全部は、直接又は通信システムを利用して接続された外部コンピュータに担わせてもよい。
その場合、その機能を達成するためのプログラムは、予めコンピュータに記録されていてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませてもよい。
また、予めコンピュータに記録されているプログラムと、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、コンピュータに読み込ませるプログラムとを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 サンプリング部
11 サンプリング槽
13 濾過装置
14 サンプリングポンプ
17 濁度検出器
20 前処理部
21 受液槽
23 スラッジ水導入ポンプ
24 第1フィルタ
25 第2フィルタ
30 スラッジ水計量器
36 スラッジ水計量用ポンプ
40 純水槽
41 希釈水計量器
44 純水用ポンプ
51 希釈槽
58 攪拌装置
60 分析部
61 溶離液タンク
65 溶離液ポンプ
66 六方バルブ
68 分離カラム
69 電気伝導率検出器
70 恒温槽
74 試料注入用ポンプ
90 演算制御装置
100 分析装置
図1
図2