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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20240410BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D30/16 A
B65D30/16 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020124023
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2022020495
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】林 寛之
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-001550(JP,A)
【文献】特開2018-083640(JP,A)
【文献】特開2019-199259(JP,A)
【文献】特開2005-178068(JP,A)
【文献】特開2017-071424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 30/16
B65D 33/01
B65D 33/06
B31B 70/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するフィルムが袋状に形成された自立式の電子レンジ用包装袋であって、
前記包装袋は、底面部と、前記底面部から立ち上げるように設けられた周面部を備え、
前記周面部は、
前記包装袋を開封するための開封部と、
前記開封部における開口を維持するための補強部を備え、
前記補強部は、前記周面部に熱履歴を加えることで形成された熱履歴跡である、包装袋。
【請求項2】
請求項1に記載の包装袋であって、
前記周面部は、互いに対向する前面部と背面部を備え、
前記補強部は、前記前面部および前記背面部の少なくとも一方に形成されている、包装袋。
【請求項3】
請求項に記載の包装袋であって、
前記補強部は、前記前面部または前記背面部において、左右方向の中心線に対して線対称に形成されている、包装袋。
【請求項4】
可撓性を有するフィルムが袋状に形成された自立式の電子レンジ用包装袋であって、
前記包装袋は、底面部と、前記底面部から立ち上げるように設けられた周面部を備え、
前記周面部は、
前記包装袋を開封するための開封部と、
前記開封部における開口を維持するための補強部と、
互いに対向する前面部と背面部とを備え、
前記補強部は、
前記前面部および前記背面部の少なくとも一方に形成され、
前記前面部または前記背面部において、左右方向の中心線に対して線対称に形成され、
前記開口における周縁部から前記中心線に向かって傾斜するように形成されている、包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された自立式の電子レンジ用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
レトルト食品等の内容物を充填した包装袋であって、電子レンジ等で自立させた状態で加熱することができる包装袋が知られている。例えば、特許文献1の包装袋は、自立安定性を有していることから、店頭での陳列効果に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-306426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、開封部よりも上側の切り取り部を除くことによって得られる容器状の本体部を、内容物を食べる際の食器として利用することが考えられる。このような場合においては、開封部の開口がすぐに閉じてしまうという不具合が発生し、利用者の利便性の点で改善の余地があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、食器として利用される際に利用者の利便性が高い電子レンジ用包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された自立式の電子レンジ用包装袋であって、前記包装袋は、底面部と、前記底面部から立ち上げるように設けられた周面部を備え、前記周面部には、前記包装袋を開封するための開封部と、前記開封部における開口を維持するための補強部を備える、包装袋が提供される。
【0007】
このような構成とすることにより、包装袋の周面部に形成された補強部によって、開口の開きが維持され、内容物を取り出しやすくなる。これにより、食器として利用される際の利用者の利便性が向上する。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記補強部は、前記周面部に熱履歴を加えることで形成された熱履歴跡である。
好ましくは、前記周面部は、互いに対向する前面部と背面部を備え、前記補強部は、前記前面部および前記背面部の少なくとも一方に形成されている。
好ましくは、前記補強部は、前記前面部または前記背面部において、左右方向の中心線に対して線対称に形成されている。
好ましくは、前記補強部は、前記開口における周縁部から前記中心線に向かって傾斜するように形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、本発明の第1実施形態の包装袋1内に内容物が収容された状態の斜視図である。図1Bは、開封された状態における包装袋1の斜視図である。
図2図1の包装袋1を平面視で示す図である。
図3】底面部2を構成する底部フィルム20aの斜視図である。
図4図4Aは、周壁フィルム20bの側面図である。図4Bは、周壁フィルム20bの一部を切断し、切断箇所に底部フィルム20aを挿入した状態を示す図である。
図5図5Aは、周壁フィルム20bおよび底部フィルム20aを溶着して包装袋1を製造する様子を示す図であり、図5Bは、前面部3と背面部4の間に緩衝材26を挿入して熱履歴を加える様子を示す図である。
図6図6Aは、包装袋1の中央部下端を前後方向に大きく開いた状態での底面部2の拡大図である。図6Bは、図2の包装袋1の下端近傍の詳細図である。
図7図7Aは、包装袋1の中央部下端を前後方向に大きく開いた状態での開口7の拡大図である。図7Bは、本体部6の詳細図である。
図8】第2実施形態の包装袋1を平面視で示す図である。
図9】第3実施形態の包装袋1を平面視で示す図である。
図10】第4実施形態の包装袋1を平面視で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0011】
1.第1実施形態
1-1.包装袋1の構成
図1および図2に示すように、本発明の実施形態における包装袋1は、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された自立式の電子レンジ用の包装袋である。包装袋1は、底面部2と、底面部2から立ち上げるように設けられた周面部21を備える。周面部21は、互いに対向する前面部3および背面部4を備える。前面部3および背面部4は、その左右方向の端部(以下、側端ともいう)において互いに溶着されている。底面部2は、前面部3および背面部4と溶着(ヒートシール)されている。このように、底面部2と、前面部3と、背面部4が互いに溶着されることによって、フィルムが袋状となっている。
【0012】
本開示では、図2の上下左右を包装袋1の上下左右として説明する。具体的には、底面部2側を下側、前面部3(および背面部4)側を上側とする。また、前面部3を手前に配置したときの左右を、包装袋1の左右とする。さらに、前面部3側を前側、背面部4側を後側とする。
【0013】
前面部3は、前面下部3aと前面上部3bを備える。前面下部3aは、底面部2に溶着されている。前面下部3aと前面上部3bは、互いに折り返された状態で、前面下部3aと前面上部3bの内面同士を重ね合わされて形成された合掌部10において溶着されている。
【0014】
包装袋1の周面部21には、開封部24が設けられている。開封部24は、包装袋1を開封するための部位であり、本実施形態では、開封部24は、周面部21を引き裂く際の起点となる引裂開始部24aと、開封箇所を切り取る部位を示す線が印刷された切り取り線24bを備える。包装袋1は、引裂開始部24aを起点にして周面部21を引き裂くことによって開封してもよく、ハサミなどの切断具を用いて切り取り線24bに沿って周面部21を切断することによって開封してもよい。
【0015】
引裂開始部24aは、周面部21の引き裂きを容易にする部位であり、例えば切り欠きや切り込みによって構成される。引裂開始部24aと切り取り線24bの一方は省略可能である。また、開封部24は、包装袋1の開封を可能にする別の構成であってもよい。例えば、切り取り線24bの代わりに、周面部21の周方向に延びるハーフカットのラインを設けたり、周面部21の周方向に延びるように帯状フィルムを配置したりしてもよい。帯状フィルムは、周面部21に溶着され、帯状フィルムの端部を把持して引っ張ることによって周面部21を帯状フィルムに沿って切り裂くことを可能にするものである。
【0016】
包装袋1は、開封部24を境界にして、上下方向における上側の切り取り部5と、下側の本体部6を備える。開封部24において周面部21を周方向に裂いて開封部24よりも上側の切り取り部5を取り除くことによって容器状の本体部6が得られる。図1Bに示すように、本体部6には、開口7が形成される。本体部6は、包装袋1内の内容物を食べる際に使用する食器として利用される。
【0017】
開封部24は、合掌部10よりも底面部2に近い位置に設けられる。つまり、合掌部10は、切り取り部5に設けられる。このため、開封の際に切り取り部5を除くと、合掌部10も一緒に除かれる。従って、内容物を食べる際に合掌部10が邪魔になることがない。
【0018】
本体部6における前面部3および背面部4には、上下方向に斜めに伸びる補強部25が形成されている。補強部25は、前面部3および背面部4に熱履歴を加えることにより形成された熱履歴跡として構成されている。補強部25の詳細については後述する。
【0019】
図2は、包装袋1を平面視において示す図である。平面視とは、包装袋1内に内容物が含まれていない状態で包装袋1を平たくし、その状態で包装袋1の前面部3に垂直な方向から見ることを意味する。図2に示すように、包装袋1は、左右方向の中心線を基準として線対称となるように形成されている。
【0020】
包装袋1には、蒸気抜きシール部11が形成されている。蒸気抜きシール部11は、合掌部10に設けられている。蒸気抜きシール部11は、他の溶着部よりも溶着強度が低い溶着部である。蒸気抜きシール部11では、包装袋1を加熱することにより内部に発生した蒸気によって包装袋1内の内圧が上昇すると、それに伴って蒸気流路が形成される。包装袋1内の蒸気は、蒸気抜きシール部11から外部へ排出される。
【0021】
切り取り部5の上下方向の長さH1は、たとえば6~10cmとすることができる。本体部6の上下方向の長さH2は、たとえば6~14cmであり、12cm以下が好ましく、10cm以下がさらに好ましい。これよりも大きくしすぎると、内容物を取り出すのが難しくなる。H1は、具体的には例えば、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。H2は、具体的には例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0022】
さらに、長さH2は、底部フィルム20aの中央線Eから下端までの長さH3よりも長いことが好ましく、H3より2cm以上長いことがさらに好ましい。(H2-H3)の値は、例えば2~8cmであり、具体的には例えば、2、3、4、5、6、7、8cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0023】
包装袋1の側端には、前面部3と背面部4を溶着する側端溶着部12が設けられている。これにより、前面部3と背面部4は、前後方向に固定されている。さらに、包装袋1の下端には、底面部2と前面部3、および底面部2と背面部4を溶着する下端溶着部13が設けられている。なお、図1Aに示すように、包装袋1に内容物が収容された際には、包装袋1の上端には、前面部3と背面部4を溶着する上端溶着部22が設けられる。
【0024】
下端溶着部13は、中央線Eより下側の領域であって、包装袋1の側端および下端(図2において、1点鎖線で囲まれた領域)において、底面部2と前面部3、および底面部2と背面部4を溶着している。
【0025】
図3図5に示すように、包装袋1は、中央線EにおいてV字形に折り曲げられた底部フィルム20aが、前面部3と背面部4との間に挿入されて製造されている。ここで、底部フィルム20aの中央線Eから下端までの長さH3は、3~6cmが好ましく、より具体的には、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば4.5cmとすることができる。上述したように、本体部6は、食器としても使用するため、この程度の大きさがあるのが好ましい。底部フィルム20aの両端には、切り欠けRが形成されている。
【0026】
底部フィルム20aの中央線Eから切り欠けRの中心までの長さr1は、1~3cmが好ましく、より具体的には、1、1.5、2、2.5、3(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば2.5cmとすることができる。
【0027】
切り欠けRの直径は、1~4cmが好ましく、より具体的には、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば2cmとすることができる。
【0028】
以下、図4図5を参照し、包装袋1の製造手順を簡潔に説明する。
【0029】
まず、図4Aに示すように、1枚の周壁フィルム20bの端部の内面同士を重ね合わせて重ね合わせ部10aを形成し、図4Bに示すように、重ね合わせ部10aを溶着することで合掌部10を形成し、残りの部分で楕円状の環Cを形成する。
【0030】
続いて、図4A図4Bに示すように、環Cの一端C1を切断し、V字形に折り曲げられた底部フィルム20aを挿入する。続いて、図4B図5Aに示すように、底部フィルム20aおよび周壁フィルム20bを溶着すると共に、環Cの他端C2を切除することによって、底面部2、前面部3、及び背面部4を形成する。
【0031】
続いて、図5Bに示すように、環Cの他端C2近傍(前面部3及び背面部4の上端近傍)から、前面部3と背面部4の間に緩衝材26を挿入し、シールバー27で前面部3および背面部4に熱履歴を加える。これにより、前面部3及び背面部4に補強部25が形成され、包装袋1が製造される。
【0032】
補強部25を構成する熱履歴は、周壁フィルム20bの外側からシールバーで加えるのが好ましい。このようにすることで、内容物を収容する内側の衛生面に影響を与えることなく、容易に補強部25の加工を行うことが可能となる。
【0033】
ここで、底部フィルム20aおよび周壁フィルム20bは、基材層とシーラント層を有する積層フィルムであることが好ましく、基材層とシーラント層の間に接着層、印刷層を備えることがさらに好ましい。
【0034】
基材層は、包装袋1の外表面に露出するように配置され、シーラント層は、包装袋1の内表面に露出するように配置される。シーラント層同士が溶着(ヒートシール)されることによって、溶着部が形成される。
【0035】
基材層は、強度に優れて高い耐衝撃性を有する素材により形成されている。基材層としては、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル等が用いられる。より具体的には、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、またはポリプロピレン/エチレンービニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等を用いることができる。基材層を構成するフィルムとしては、MD方向(製造時においてフィルムが流れる方向)の直線カット性を有するものが好ましい。
【0036】
接着層は、基材層とシーラント層を互いに積層するように接着するための層である。接着方法として例えばポリエチレン等を接着層として用いた押し出しラミネートでもいいし、接着材としてポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接 着剤、ポリアミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤等を用いたドライラミネートでもよい。
【0037】
シーラント層は、溶着性に優れた樹脂で形成可能である。シーラント層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂で形成することができ、より具体的には、無延伸ポリプロピレンや直鎖状低密度ポリエチレンを用いることができる。シーラント層を構成するフィルムとしては、MD方向の直線カット性を有するものが好ましい。
【0038】
なお、基材層とシーラント層との間には、中間層を設けてもよい。中間層としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレンープロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルム、あるいはこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしは酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着を施したフィルム、あるいはポリ塩化ビニリデン等のフィルムなどを用いることができる。
【0039】
図6Aに示すように、包装袋1は、左右方向における中央部の下端(以下、中央部下端ともいう)では、左右方向における側部の下端(以下、側部下端ともいう)よりも前後方向に大きく開くように構成されている。これは、底部フィルム20aに形成された切り欠けR(図3参照)において、前面部3と背面部4が直接溶着されることとなり、前面部3と背面部4を前後方向に固定する固定部15が構成されているためである。なお、中央部下端が前後方向に開くことにより、底面部2の中央線Eは包装袋1の下側に引っ張られる。
【0040】
図6Bに示すように、下端溶着部13は、1対の勾配部13aと、中央部13bを備える。勾配部13aは、包装袋1の側端から中央部下端に向けて、勾配をつけて(斜めに)溶着されている箇所である。このように、勾配部13aを設けることにより、中央線Eからの下端溶着部13までの距離が、側端から左右方向中央部に向かうにつれて徐々に大きくなる(W1<W2)。このような構成とすることにより、側部下端においてピンホールが発生することを防ぐことができる。
【0041】
中央部13bは、1対の勾配部13aの間に設けられ、直線状に形成されている。中央部13bを直線状に設けることにより、本体部6を食器として使用しやすくなる。
【0042】
勾配部13aの外側には、エアポケット14が設けられている。エアポケット14は三角形状に形成され、下端溶着部13における溶着で外部に排出しきれなかった空気が残留する空間である。エアポケット14を設けることにより、下端溶着部13内の残留空気がエアポケット14に集まることとなり、溶着の強度が向上する。
【0043】
包装袋1の下端での左右方向の長さL1は、15~25cmが好ましく、より具体的には、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば20cmとすることができる。25cmより大きくしすぎると、電子レンジのターンテーブルに収まらなくなる可能性がある。ただし、フラットタイプの電子レンジ向けの包装袋であれば、この限りではない。
【0044】
勾配部13aの左右方向の長さL2は、3~6cmが好ましく、より具体的には、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば4cmとすることができる。これよりも小さくしすぎると、中央部下端を前後方向に完全に開くのが難しくなる。
【0045】
中央部13bの左右方向の長さL3は、5~15cmが好ましく、より具体的には、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば10cmとすることができる。
【0046】
包装袋1の内側における左右方向の長さL4は、10~23cmが好ましく、より具体的には、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、例えば18cmとすることができる。
【0047】
中央線Eから中央部13bの上端までの長さW2は、3~6cmが好ましく、より具体的には、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば4cmとすることができる。なお、長さW2は、勾配部13aの左右方向の長さL2と同じ長さとするのがより好ましい。
【0048】
中央線Eから固定部15の上端までの高さH4は、中央線Eから下端までの長さH3に対して、H4/H3≧0.2であることが望ましい。好ましくは、0.5≧H4/H3≧0.2であることが望ましく、より具体的にはH4/H3の値は、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。このように、中央線Eから固定部15までの高さH4を確保することにより、開口7を前後方向に確実に開きつづけておくことが可能となる。
【0049】
中央部13bの上端に対する勾配部13aの角度θの値は、30度~60度とすることが好ましく、より具体的には、30、35、40、45、50、55、60(単位:度)のいずれかの値であり、またここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、より好ましくは45度とすることができる。このように、勾配部13aの角度θを30度よりも大きくすることにより、包装袋1の側端の近傍領域N2間における前後方向の幅Wnを確保することができ、包装袋1の自立安定性が向上する(図6A参照)。
【0050】
なお、底部フィルム20aは、温度上昇に伴って引張弾性率が低下するものが好ましい。この場合、包装袋1を加熱した際にフィルムが軟化して包装袋1の中央部下端が前後方向に開きやすい。ここで、底面部2を構成するフィルムの23.5℃及び100℃でのTD方向(包装袋1の前後方向に対応)の引張弾性率をそれぞれM1,M2とする。引張弾性率は、JIS K 7127に準拠して引張試験を行うことによって求めることができる。引張の試験速度は、50mm/minとし、試験用のダンベル形状は5号形とする。
【0051】
M1は、600~1400MPaが好ましく、800~1200MPaがさらに好ましい。M1は、具体的には例えば、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400MPaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0052】
M2は、200~600MPaが好ましく、300~500MPaがさらに好ましい。M2は、具体的には例えば、200、250、300、350、400、450、500、550、600MPaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0053】
M1/M2の値は、例えば、1.2~4であり、1.5~3が好ましい。この値は、具体的には例えば、1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0054】
周壁フィルム20bは、底部フィルム20aと同じ物性を有するものを用いてもよく、異なる物性を有するものを用いてもよい。
【0055】
図7Aおよび図7Bを参照し、補強部25について詳述する。上述したように、補強部25は、前面部3および背面部4に熱履歴を加えることにより形成された熱履歴跡として構成されている。図7Aおよび図7Bに示すように、補強部25の表面は、熱履歴を加えるシールバー27の表面の模様が転写されている。これにより、補強部25は、前面部3および背面部4が湾曲した場合において、補強部25の平面形状を維持しようとする。
【0056】
包装袋1を開口すると、図7Aに示すように、熱履歴跡が形成された補強部25は平面形状を維持しようとするため、補強部25の左右方向両端にエッジPおよびエッジQが形成される。このエッジPおよびエッジQがリブ(補強のための折り目)として機能することにより、開口7の開きが維持される。
【0057】
図7Bに示すように、補強部25は、包装袋1の左右方向の中心線Fに対して、左右対称であることが好ましい。開口7の周縁部7aにおいて、補強部25の左右方向の長さL5は、0.3~2.0cmが好ましく、より具体的には、0.3、0.5、0.7、0.9、1.1、1.3、1.5、1.7、2.0(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、例えば1.0cmとすることができる。
【0058】
開口7の周縁部7aにおいて、中心線Fから補強部25の左右方向中央側の端点Q1までの長さL6は、補強部25の左右方向外側の端点P1から包装袋1の外側端部までの長さL7に対して、0.5≦L6/L7≦2.0であることが望ましい。より具体的にはL6/L7の値は、0.5、0.7、0.9、1.1、1.3、1.5、1.7、2.0のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。このように補強部25を配置することにより、開口7の開きを維持するのが容易となる。
【0059】
補強部25の上下方向の長さH6は、開口7の周縁部7aから中央線Eまでの長さH5(図2におけるH2-H3に相当)に対して、0.3≦H6/H5<1.0であることが望ましい。より具体的にはH6/H5の値は、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。このように補強部25の上下方向の長さを設けることにより、リブとしての機能を確保することが可能となる。
【0060】
上下方向の垂線Tを基準とした補強部25の傾きΦは、反時計回りを正の方向として、-45度~45度とすることが好ましく、より具体的には、-45、-35、-25、-15、-5、0、5、15、25、35、45(単位:度)のいずれかの値であり、またここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、より好ましくは30度とすることができる。すなわち、補強部25は、必ずしも図7Bに示すような逆ハの字に形成される必要はなく、ハの字に形成してもよく、または上下方向に沿って真っすぐに形成されてもよい。
【0061】
2.第2実施形態
図8を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、前面部3および背面部4に、補強部25が1つずつ設けられている点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0062】
本実施形態では、図8に示すように、補強部25は、開封部24から上下方向に延びるように1本設けられている。このような形態とすることにより、前面部3および背面部4に熱履歴加えるシールバー27の構成をより簡易なものとすることができるとともに、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
3.第3実施形態
図9を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に類似しており、補強部25の左右方向が上下方向よりも長い点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0064】
本実施形態では、図9に示すように、補強部25は左右方向の長さL7が上下方向の長さH6よりも大きくなるように形成されている。このような形態とすることにより、前面部3および背面部4における補強部25の面積が大きくなるため、開口7の開きを維持するだけでなく、包装袋1の自立安定性を高めることが可能となる。
【0065】
4.第4実施形態
図10を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、補強部25は、熱履歴を加えることにより形成された熱履歴跡ではなく、補強ワイヤー25aと貼付シール25bとで構成されている点で、上記実施形態と異なる。以下、相違点を中心に説明する。
【0066】
本実施形態では、図10に示すように、本体部6における前面部3および背面部4の開封部24付近に、切り取り線24bに沿って補強ワイヤー25aを貼付シール25bで張り付けることにより、補強部25が構成されている。このような形態とすることにより、より簡易な構成で補強部25を構成することが可能となり、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、補強ワイヤー25aの材質は特に限定されず、好ましくは、形状保持性のあるプラスチック部材である。
【0067】
5.他の実施形態
以上、実施形態について説明してきたが、本開示における技術的思想は、以下の態様においても採用することができる。
・補強部25は、前面部3および背面部4の両方に形成される必要はなく、いずれか一方だけに形成されていてもよい。
・補強部25は、必ずしも中心線Fに対して線対称に形成されている必要はない。
・補強部25は、必ずしも熱履歴を加えることにより形成された熱履歴跡として形成される必要はない。例えば、シールバーが熱されていない状態で、単に押圧することにより、折り目をつけることで補強部25を形成してもよい。この場合、両面から押圧してもよいし、片面からのみ押圧してもよい。
・補強部25は、開封部24から離間せずに設けられるのが最も好ましいが、下方向に離間した位置から設けられていてもよい。この場合、離間距離は、1cm以下が好ましい。
・補強部25は、開封部24を跨るようにして、切り取り部5にも設けられていてもよい。
・周面部21は、前面部3と背面部4の間に一対の側面部を備えてもよい。この場合、前面部3と背面部4がそれぞれ一対の側面部に溶着されることによって略四角形状の周面部21が構成される。
・上記実施形態では、固定部15は、底面部2に形成された半円状の切り欠きRで構成されているが、この形態に限定されることはない。たとえば、接着剤を用いて底部フィルムの対向する面同士を接着することや、ステープラー等の係止手段によって前面部3と背面部4とを前後方向に固定してもよい。
・上記実施形態では、底面部2はV字形に折り曲げられたフィルムで構成されているが、この形態に限定されることはなく、たとえばW字形に折り曲げられたフィルムで構成されていてもよい。
・包装袋1は、蒸気抜きシール部11を備えていてなくてもよい。その場合は、例えば袋を少しだけ開封して加熱の際に発生した蒸気を排出することができる
・包装袋1は、合掌部10を備えていなくてもよい。
・蒸気抜きシール部11は、合掌部10以外の部分に設けられていてもよい。
・包装袋1の製造方法は、上記実施形態で説明した方法に限定されることはない。
【符号の説明】
【0068】
1 :包装袋
2 :底面部
3 :前面部
3a :前面下部
3b :前面上部
4 :背面部
5 :切り取り部
6 :本体部
7 :開口
7a :周縁部
10 :合掌部
10a :合わせ部
11 :蒸気抜きシール部
12 :側端溶着部
13 :下端溶着部
13a :勾配部
13b :中央部
14 :エアポケット
15 :固定部
20a :底部フィルム
20b :周壁フィルム
21 :周面部
22 :上端溶着部
23 :開閉部材
24 :開封部
24a :引裂開始部
24b :切り取り線
25 :補強部
25a :補強ワイヤー
25b :貼付シール
26 :緩衝材
27 :シールバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10