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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/79 20180101AFI20240410BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240410BHJP
   G05D 3/00 20060101ALI20240410BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240410BHJP
   F24F 120/12 20180101ALN20240410BHJP
【FI】
F24F11/79
G01B11/00 H
G05D3/00 Z
H04N23/60
F24F120:12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021160886
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023050665
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 雄行
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】江村 知恵
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特許第6768985(JP,B1)
【文献】国際公開第2017/212528(WO,A1)
【文献】特開2020-079694(JP,A)
【文献】国際公開第2020/121405(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
H04N 23/60
G01B 11/00
G05D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(T)を含む平面の2次元画像を取得する撮像部(22)と、
前記対象物(T)に物理的作用を及ぼすアクチュエータ(35,92)と、
前記撮像部(22)により取得された前記2次元画像に基づいて、前記アクチュエータ(35,92)を制御する制御部(70)と
を備え、
前記アクチュエータ(35,92)は、モータによって回転して前記物理的作用を及ぼす方向を変えることができ、
前記制御部(70)は、
前記平面上における4つ以上の異なる位置座標と、当該4つ以上の異なる位置座標のそれぞれに対応する前記アクチュエータ(35,92)が前記物理的作用を及ぼす方向との関係を用いて、前記平面上における任意の位置座標を前記アクチュエータ(35,92)が前記物理的作用を及ぼす方向に変換する変換特性を設定する設定部(72)と、
前記平面上における前記対象物(T)の位置座標と前記変換特性とを用いて、前記対象物(T)に前記物理的作用を及ぼせるように前記アクチュエータ(35,92)が前記物理的作用を及ぼす方向を調整する調整部(73)と
を有する
制御システム。
【請求項2】
請求項1の制御システムにおいて、
前記平面上の一点をポインティングする位置特定手段(37)をさらに備え、
前記設定部(72)は、前記位置特定手段(37)によりポインティングされた点に対応する前記アクチュエータ(35,92)が前記物理的作用を及ぼす方向を特定する
制御システム。
【請求項3】
請求項2の制御システムにおいて、
前記位置特定手段(37)と前記アクチュエータ(35,92)とは互いに連動して動作する
制御システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項の制御システムにおいて、
前記設定部(72)は、前記アクチュエータ(35,92)を前記モータによって回転させたときの前記物理的作用の変化に基づいて、前記4つ以上の異なる位置座標のそれぞれに対応する前記アクチュエータ(35,92)が前記物理的作用を及ぼす方向を特定する
制御システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項の制御システムにおいて、
前記調整部(73)は、前記2次元画像上の特徴量から、前記平面上における前記対象物(T)の位置座標を取得する
制御システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項の制御システムにおいて、
前記設定部(72)は、前記2次元画像のうち前記変換特性の設定に用いる範囲をユーザー指定可能に構成される
制御システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項の制御システムにおいて、
前記設定部(72)は、前記アクチュエータ(35,92)が前記物理的作用を及ぼす方向をユーザー指定可能に構成される
制御システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項の制御システムにおいて、
前記アクチュエータ(35,92)は、気流制御装置(35,92)である
制御システム。
【請求項9】
請求項8の制御システムにおいて、
前記気流制御装置(35,92)は、空気調和装置(90)の室内機(91)の吹き出しフラップ(92)である
制御システム。
【請求項10】
請求項8の制御システムにおいて、
前記気流制御装置(35,92)は、渦輪発生装置(20)の可動ノズル(35)である
制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空気砲の方向制御を行うために、目標座標と空気砲の座標とを取得し、これらの座標を用いて空気砲の方向を計算することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-144464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、目標(ターゲット)座標を取得するための撮像手段と、空気砲とをそれぞれ任意の位置に設置しようとすると、撮像手段、空気砲、ターゲットのそれぞれの位置情報の測定が必要になる。このため、システムの設置時や、システムの配置関係の変更時等に、その都度ユーザーがこれらの位置情報の測定を行う手間が生じる。また、三次元位置の測定が可能なステレオカメラ等の撮像手段は、通常のカメラと比較して高価であるため、システムの商品価格が高額になり、前述の手間も含めて、ユーザーの負担が大きくなってしまう。
【0005】
本開示の目的は、撮像部により取得した対象物の位置情報に基づき、対象物に物理的作用を及ぼすアクチュエータを制御する制御システムにおいて、撮像部とアクチュエータとの位置関係を制約することなく、ユーザーの負担を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、対象物(T)を含む平面の画像を取得する撮像部(22)と、前記対象物(T)に物理的作用を及ぼすアクチュエータ(35,92)と、前記アクチュエータ(35,92)を制御する制御部(70)とを備える制御システムである。前記制御部(70)は、設定部(72)と調整部(73)とを有する。前記設定部(72)は、前記平面上における4つ以上の異なる位置座標と、当該4つ以上の異なる位置座標のそれぞれに対応する前記アクチュエータ(35,92)の方向との関係を用いて、前記平面上における任意の位置座標を前記アクチュエータ(35,92)の方向に変換する変換特性を設定する。前記調整部(73)は、前記平面上における前記対象物(T)の位置座標と前記変換特性とを用いて、前記対象物(T)に物理的作用を及ぼせるように前記アクチュエータ(35,92)の方向を調整する。
【0007】
第1の態様では、撮像部(22)とアクチュエータ(35,92)とを別体で、ユーザーがそれぞれ任意の位置に設置した場合にも、ステレオカメラ等の高額な3次元撮像手段を用いることなく、従来よりも少ない手順でアクチュエータ(35,92)の方向制御を実現できるので、ユーザーの負担を低減することができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記平面上の一点をポインティングする位置特定手段(37)をさらに備え、前記設定部(72)は、前記位置特定手段(37)によりポインティングされた点に対応する前記アクチュエータ(35,92)の方向を特定する。
【0009】
第2の態様では、位置特定手段(37)を用いて、アクチュエータ(35,92)の方向を簡単に特定することができる。尚、位置特定手段(37)は、例えばレーザポインターであってもよい。また、位置特定手段(37)とアクチュエータ(35,92)とは、一体で構成されてもよいし、別体で構成されてもよい。
【0010】
本開示の第3の態様は、前記第2の態様において、前記位置特定手段(37)と前記アクチュエータ(35,92)とは互いに連動して動作する。
【0011】
第3の態様では、位置特定手段(37)を用いて、アクチュエータ(35,92)の方向を正確に特定することができる。
【0012】
本開示の第4の態様は、前記第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、前記設定部(72)は、前記アクチュエータ(35,92)を駆動したときの物理的作用の変化に基づいて、前記4つ以上の異なる位置座標のそれぞれに対応する前記アクチュエータ(35,92)の方向を特定する。
【0013】
第4の態様では、各位置座標に対応するアクチュエータ(35,92)の方向を簡単に特定することができる。
【0014】
本開示の第5の態様は、前記第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、前記調整部(70)は、前記画像上の特徴量から、前記平面上における前記対象物(T)の位置座標を取得する。
【0015】
第5の態様では、画像上の特徴量、例えば、輝度、熱、動きなどに基づいて、対象物(T)の位置座標を簡単且つ正確に取得することができる。
【0016】
本開示の第6の態様は、前記第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、前記設定部(72)は、前記画像のうち前記変換特性の設定に用いる範囲をユーザー指定可能に構成される。
【0017】
第6の態様では、変換特性の設定に不要な画像領域を除くことができる。
【0018】
本開示の第7の態様は、前記第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、前記設定部(72)は、前記アクチュエータ(35,92)の方向をユーザー指定可能に構成される。
【0019】
第7の態様では、ユーザーがアクチュエータ(35,92)を駆動したときの物理的作用の変化に基づいて、アクチュエータ(35,92)の方向を特定することができる。
【0020】
本開示の第8の態様は、前記第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、前記アクチュエータ(35,92)は、気流制御装置(35,92)である。
【0021】
第8の態様では、気流制御装置(35,92)を制御する制御システムにおいて、撮像部(22)と気流制御装置(35,92)との位置関係を制約することなく、ユーザーの負担を低減することができる。
【0022】
本開示の第9の態様は、前記第8の態様において、前記気流制御装置(35,92)は、空気調和装置(90)の室内機(91)の吹き出しフラップ(92)である。
【0023】
第9の態様では、室内機(91)の吹き出しフラップ(92)を制御する制御システムにおいて、撮像部(22)と吹き出しフラップ(92)との位置関係を制約することなく、ユーザーの負担を低減することができる。
【0024】
本開示の第10の態様は、前記第8の態様において、前記気流制御装置(35,92)は、渦輪発生装置(20)の可動ノズル(35)である。
【0025】
第10の態様では、渦輪発生装置(20)の可動ノズル(35)を制御する制御システムにおいて、撮像部(22)と可動ノズル(35)との位置関係を制約することなく、ユーザーの負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施形態に係る制御システムを概略的に示した図である。
図2図2は、実施形態に係る制御システムにおける渦輪発生装置の縦断面図である。
図3図3は、実施形態に係る制御システムにおける渦輪発生装置の横断面図である。
図4図4は、実施形態に係る制御システムにおける制御部の構成を概念的に示した図である。
図5図5は、実施形態に係る制御システムが行う校正処理の流れを示したフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る制御システムが行う校正処理の流れを示したフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る制御システムが行う校正処理において校正エリアを表示する様子の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る制御システムが行う校正処理において渦輪吹き出し口の方向を設定する様子の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る制御システムが行う校正処理における変換特性算出方法を説明する図である。
図10図10は、実施形態に係る制御システムが行う校正処理における変換特性算出方法を説明する図である。
図11図11は、実施形態に係る制御システムが行う校正処理における変換特性算出方法を説明する図である。
図12図12は、実施形態に係る制御システムが行う校正処理における変換特性算出方法を説明する図である。
図13図13は、実施形態に係る制御システムが行う校正処理における変換特性算出方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態)
以下、本開示の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0028】
<制御システム>
本実施形態に係る制御システム(10)は、図1に示すように、対象物、例えば就寝スペース(S)にいる就寝者(T)に対して、例えば香り成分を含ませた渦輪を供給するように構成されている。就寝スペース(S)は、例えばベッドの上面に沿うスペース、或いは敷き布団の上面に沿うスペースであってもよい。但し、就寝スペース(S)には、それ以外のスペースが含まれていてもよい。例えば、就寝スペース(S)には、ベッドの周囲の床などが含まれていてもよい。
【0029】
図1に示すように、制御システム(10)は、主として、渦輪発生装置(20)と、撮像部(22)と、位置特定手段(37)と、空気調和装置(90)と、無線通信端末(5)と、制御部(70)とを備える。
【0030】
<渦輪発生装置>
渦輪発生装置(20)は、渦輪状の空気を気流として生成し、当該気流を就寝スペース(S)上の位置に向かって局所的且つ間欠的に吹き出す装置である。ここで、「局所的」とは、就寝スペース(S)上の一部の位置に向かってのみ、気流が吹き出されることを指す。渦輪発生装置(20)は、例えば図1に示すように、就寝スペース(S)の上方に配置される照明装置(50)に搭載される。
【0031】
図1図3に示すように、渦輪発生装置(20)は、下側が開放される円筒状のケーシング本体(31)と、当該ケーシング本体(31)の下側の開放面を塞ぐ下蓋(32)とを備える。ケーシング本体(31)の内部には、空気通路(33)が形成される。下蓋(32)には、空気通路(33)と連通する開口(34)が形成される。開口(34)は、就寝スペース(S)に対向するように設けられる。開口(34)には、アクチュエータとしての可動ノズル(35)が接続される。可動ノズル(35)の先端部(下端部)には、渦輪吹き出し口(36)が形成される。図示を省略しているが、可動ノズル(35)は回転軸を介してモータと連結され、当該モータによって当該回転軸が回転駆動されると、可動ノズル(35)の向きが調整され、ひいては渦輪吹き出し口(36)の向きが変化する。図示は省略しているが、渦輪発生装置(20)には成分供給装置が設けられてもよい。成分供給装置は、渦輪に付与する香りなどの所定の放出成分を空気通路(33)に供給する。
【0032】
ケーシング本体(31)の内部には、複数の押出機構(40)が設けられる。本例では、8つの押出機構(40)が設けられる。但し、押出機構(40)の数量は単なる例示であり、1つ~7つであっても、或いは、9つ以上であってもよい。各押出機構(40)は、駆動部であるリニアアクチュエータ(41)と、当該リニアアクチュエータ(41)によって駆動される振動板(42)とを有する。リニアアクチュエータ(41)は、振動板(42)をケーシング本体(31)の径方向に変位させる。本例では、複数の押出機構(40)がケーシング本体(31)の内周壁に沿うように配置される。複数の押出機構(40)は周方向に等間隔に配列される。
【0033】
渦輪発生装置(20)は、押出機構(40)を制御するための駆動制御部(75)を備える。駆動制御部(75)は、リニアアクチュエータ(41)に接続する回路基板を含む。駆動制御部(75)は、振動板(42)の振動の振幅、当該振動の周期などを調整するように構成される。駆動制御部(75)は、例えば、ケーシング本体(31)の外部に配置されてもよいし、或いは、ケーシング本体(31)の内部に配置されてもよい。駆動制御部(75)は、後述する制御部(70)の一部として構成されてもよい。
【0034】
駆動制御部(75)により振動板(42)の振動の振幅(変位量)が調整されると、渦輪吹き出し口(36)から放出される渦輪状の空気の流速、すなわち吹き出し速度が調整される。駆動制御部(75)により振動板(42)の振動の周期が調整されると、渦輪吹き出し口(36)から放出される渦輪状の空気の周期が調整される。言い換えると、駆動制御部(75)により振動板(42)の振動の周期が調整されると、例えば1分間あたりに渦輪吹き出し口(36)から渦輪状の空気が放出される回数[cpm](count per minute)が調整される。渦輪状の空気が吹き出される回数[cpm]は、例えば40以上90以下の範囲に設定してもよい。このように、本実施形態では、押出機構(40)の制御により、渦輪状の空気が吹き出される回数や吹き出し速度が変化する。
【0035】
尚、本例では、渦輪に香り成分を含ませて、就寝者(T)に供給するようにしているが、渦輪に添加する成分は香り成分以外の任意の放出成分であってもよいし、放出成分を添加せずに渦輪のみを就寝者(T)に供給するようにしてもよい。また、渦輪を供給する対象は、就寝者(T)である必要はなく、例えば、会議室やその他の会場で壁に渦輪供給装置(20)を設置して、室内空間の中央に向かって香りなどを含んだ渦輪を供給するようにしてもよい。
【0036】
<渦輪発生装置の運転動作>
渦輪発生装置(20)が運転されると、各押出機構(40)の振動板(42)がリニアアクチュエータ(41)によって駆動される。各振動板(42)が前後に振動すると、空気通路(33)の容積が縮小するときに、香り成分を含んだ空気が渦輪吹き出し口(36)に向かって押し出される。渦輪吹き出し口(36)を通過する空気は、比較的大きな流速であるのに対し、その周囲の空気は静止している。このため、両者の空気の不連続面では、空気に剪断力が作用し、渦輪吹き出し口(36)の外周縁部付近で渦流が発生する。この渦流により、渦輪吹き出し口(36)から下方に向かって進む気流(渦輪)が形成される。渦輪吹き出し口(36)から放出された渦輪は、就寝者(T)に向かって下方へ流れ、渦輪に香り成分が含まれているので、香り成分が就寝者(T)に届けられる。この香り成分により、就寝者(T)に例えばリラックス効果を感じさせることができる。
【0037】
<撮像部>
撮像部(22)は、例えば、就寝スペース(S)上の温度分布を画像として取得するサーモカメラである。本例では、撮像部(22)は、天井の照明装置(50)の近傍に設置されるが、撮像部(22)の設置位置は特に限定されない。本例の撮像部(22)は、就寝者(T)を含む就寝スペース(S)全体を平面的に見たときの温度分布を撮像し、温度分布画像(熱画像)を取得する。
【0038】
尚、撮像部(22)としては、就寝者(T)を含む就寝スペース(S)全体の2次元画像を取得可能であれば、サーモカメラに限定されず、例えば赤外線カメラ等の他の種類のカメラを用いてもよい。
【0039】
<位置特定手段>
位置特定手段(37)は、就寝スペース(S)上の一点をポインティングする。位置特定手段(37)は、例えばレーザポインターやプロジェクターなど、ポインティングした点を撮像部(22)を用いて特定可能に構成されたものであってもよい。位置特定手段(37)は、アクチュエータとしての可動ノズル(35)と一体に構成されてもよいし、或いは、別体に構成されてもよい。位置特定手段(37)と可動ノズル(35)とは互いに連動して動作するように構成されてもよい。例えば、位置特定手段(37)としてのレーザポインターを、渦輪吹き出し口(36)の中心に位置するように可動ノズル(35)内に設け、当該レーザポインターが渦輪吹き出し口(36)と一緒に動くようにしてもよい。
【0040】
後述するように、本例では、アクチュエータとしての可動ノズル(35)の方向(動作角度)と連動する位置特定手段(例えばレーザポインター)(37)を4方向以上に向けて動作させ、ポインティングした点(例えばレーザポインター照射位置)を、例えば撮像部(22)により取得した画像を用いて特定する。さらに、特定した位置座標とアクチュエータの方向との関係を用いて、任意の位置座標をアクチュエータの方向に変換する変換特性を取得する。
【0041】
尚、アクチュエータとしての可動ノズル(35)自体を位置特定手段として用いてもよい。可動ノズル(35)から放出される渦輪は透明であるため、どこに命中しているかを撮像部(22)が認識することはできない。そこで、可動ノズル(35)の方向をユーザー指定可能に構成した上で、ユーザーが可動ノズル(35)を駆動したときの物理的作用の変化に基づいて、可動ノズル(35)がユーザー(例えば顔)に向いているかどうかを判断してもよい。このようにすると、可動ノズル(35)がユーザーに向いているときのユーザーの位置座標とアクチュエータの方向との関係を用いて、変換特性を取得することができる。
【0042】
<空気調和装置>
空気調和装置(90)は、就寝スペース(S)を含む室内空間の空調を行う。空気調和装置(90)は、例えば、室内空間の壁に取り付けられる壁掛け式の室内機(91)を有する。室内機(91)は、図示を省略しているが、室外ユニットと冷媒配管を介して連結される。空気調和装置(90)は、冷凍サイクルを行う冷媒によって、室内空気を冷却又は加熱する。これにより、室内空間の空気の温度が調節される。空気調和装置(90)は、室内空気の温度に加えて、該室内空気の湿度を調節できるものであってもよい。
【0043】
室内機(91)には、空気吹き出し口(92)が設けられると共に、当該空気吹き出し口(92)の開閉を行えるように、吹き出しフラップ(93)が設けられる。図示を省略しているが、吹き出しフラップ(93)は回転軸を介してモータと連結され、当該モータによって当該回転軸が回転駆動されると、吹き出しフラップ(93)の向きが調整され、ひいては空気吹き出し口(92)から吹き出される空気の向きが変化する。室内機(91)は、吹き出しフラップ(93)等を制御するための室内制御部(図示省略)を備える。室内制御部は、後述する制御部(70)の一部として構成されてもよい。
【0044】
<ユーザーインターフェイス>
本実施形態では、ユーザーインターフェイスとして、無線通信端末(5)が設けられる無線通信端末(5)は、例えばスマートフォンであってもよい。無線通信端末(5)は、就寝前に就寝者(T)が各種情報を入力するための端末である。無線通信端末(5)に入力される情報は、例えば、渦輪状の空気を就寝者(T)に作用させ始める開始時刻や、渦輪状の空気の就寝者(T)への作用を終了させる終了時刻などである。就寝者(T)が無線通信端末(5)に上記情報を入力すると、入力内容に応じた信号が、後述する制御部(70)に供給される。
【0045】
<制御部>
制御部(70)は、例えば、マイクロコンピュータと、当該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリデバイスとを用いて構成されてもよい。制御部(70)は、渦輪発生装置(20)と有線又は無線により接続され、渦輪発生装置(20)を制御する。制御部(70)は、照明装置(50)、撮像部(22)、位置特定手段(37)、及び空気調和装置(90)と接続され、これらを制御するように構成されてもよい。
【0046】
制御部(70)は、渦輪発生装置(20)に設けてもよいし、渦輪発生装置(20)と別体に設けてもよい。或いは、制御部(70)は、無線通信端末(5)に設けてもよい。制御部(70)が空調制御も行う場合、空気調和装置(90)の空調制御部やリモコンに制御部(70)を設けてもよい。或いは、ローカルネットワークやインターネットに接続するサーバや、各種の通信端末(携帯端末、パソコン等)に制御部(70)を設けてもよい。
【0047】
図4に示すように、制御部(70)は、主として、記憶部(71)と、設定部(72)と、調整部(73)とを有する。制御部(70)は、渦輪発生装置(20)、撮像部(22)、位置特定手段(37)、及び無線通信端末(5)のそれぞれとの間で情報伝達可能に構成される。制御部(70)は、渦輪発生装置(20)の動作制御、例えば、アクチュエータである可動ノズル(35)の方向制御を行う。制御部(70)が空調制御も行う場合、制御部(70)は、空気調和装置(90)との間で情報伝達可能に構成され、例えば、アクチュエータである吹き出しフラップ(92)の方向制御を行う。
【0048】
記憶部(71)は、主として、撮像部(22)により取得された画像情報や、位置特定手段(37)を用いて取得された位置情報等を記憶する。
【0049】
設定部(72)は、記憶部(71)の画像情報や位置情報から、就寝スペース(S)上における4つ以上の異なる位置座標と、当該4つ以上の異なる位置座標のそれぞれに対応する可動ノズル(35)の方向の方向との関係を抽出し、当該関係を用いて、就寝スペース(S)上における任意の位置座標を可動ノズル(35)の方向に変換する変換特性を設定する。
【0050】
調整部(73)は、就寝スペース(S)上における就寝者(T)の位置座標と前記変換特性とを用いて、就寝者(T)に渦輪が当たるように可動ノズル(35)の方向を調整する。調整部(73)は、撮像部(22)により取得された画像上の特徴量(例えば輝度、熱、動き等)から、就寝スペース(S)上における就寝者(T)の位置座標を取得してもよい。
【0051】
<アクチュエータの方向制御>
本実施形態では、撮像部(22)とアクチュエータ(例えば可動ノズル(35)、吹き出しフラップ(93))とが別々の位置に設置されたシステム構成において、撮像部(22)により取得された画像情報に基づいて、アクチュエータをターゲット(例えば就寝者(T))に向けるものである。これにより、渦輪(空気砲)を就寝者(T)に向けて発射したり、エアコンの風を狙った位置に当てることが可能となる。
【0052】
本実施形態の制御部(70)は、撮像部(22)と異なる位置にある可動ノズル(35)をホモグラフィを用いて方向制御する。具体的には、「対象物(ターゲット)が同一平面上を移動すること」、及び「アクチュエータの方向を仮想平面座標に置き換えること」を前提として、ホモグラフィを用いたアクチュエータの方向制御を可能にする。ホモグラフィ制御を可能にすることにより、従来技術と比べて、ユーザーのシステム導入負荷等の負担を低減しつつ、撮像部(22)と可動ノズル(35)等のアクチュエータとの位置関係を自由に設定できる。
【0053】
撮像部つまりセンサと、アクチュエータとが異なる位置にある場合、センサで認識したターゲットに対してアクチュエータの動作を制御(アクチュエータの方向をターゲットに向くように制御)するためには、センサ情報(撮像部で撮像した画像内のターゲット座標)とアクチュエータ動作とを対応させることが必要である。
【0054】
ターゲットに対するセンサ情報とアクチュエータ動作とを対応させることは、「センサとターゲットの位置/角度関係」と、「センサとアクチュエータの位置/角度関係」とを測定することにより可能となる。しかしながら、センサ、アクチュエータ、ターゲットのそれぞれの位置/角度を測定することは、ユーザーにとっての負担が大きい。
【0055】
一方、測定個所を減らすために、センサとアクチュエータとを一体にすれば、「センサとアクチュエータとの位置/角度関係」が固定されて測定不要になる。しかし、この場合は、センサとアクチュエータとをそれぞれ自由な位置に設置できないという別の問題が発生する。
【0056】
従って、自由な位置にセンサとアクチュエータとを設置することができ、なおかつセンサとアクチュエータとの対応付けをユーザーが簡便に行えることが望ましい。そこで、本願発明者らは、アクチュエータに仮想平面という概念を導入することにより、平面移動するターゲットについて、ホモグラフィを用いた簡便な対応付けを可能にすることを着想した。尚、アクチュエータは撮像手段ではないため、撮影範囲や撮影平面を持たない。従って、一般的に画像処理で用いられるホモグラフィを利用することや、ホモグラフィによってユーザー負荷を減らすことは、容易に想到できないアイデアである。
【0057】
ホモグラフィとは、平面を射影変換を用いて別の平面に射影することであり、二次元画像の変形などに用いられている。位置の異なる座標Aと座標Bにそれぞれ置かれた2つのカメラから、同一の平面に描かれた模様を撮影した場合(以下、座標Aで撮影した画像を画像A、座標Bから撮影した画像を画像Bとする)、画像A、Bでは模様の形状や遠近感(伸び縮み)がそれぞれ異なる。座標Aと座標Bの位置の違いに起因して、画像Aと画像Bで模様等の見え方がどのように変化するかは、一般的にホモグラフィを行うことによって知ることができる。ここで、ホモグラフィを行うためには、ホモグラフィ変換行列を用いる必要がある。
【0058】
ホモグラフィ変換行列は、異なる4点の座標がどこからどこへ動くのかを測定することによって算出できる。詳しくは、ホモグラフィ変換行列の算出は、一般的に、画像Aで座標(X、Y)にある点が、画像Bでは座標(X’、Y’)にあるという関係性を、異なる4点において4組把握することにより可能である。ホモグラフィ変換行列の算出は、座標Aと座標Bの位置や角度に依存しないため、どのような場合でも利用可能である。
【0059】
しかし、アクチュエータは撮像手段ではないため、ホモグラフィによる制御を直接的に行うことができない。そこで、本願発明者らは、アクチュエータの設置座標に仮想的なカメラが置かれていると仮定し、仮想的なカメラが撮像した仮想平面を想定することで、アクチュエータの方向を仮想平面上の座標に変換することにより、ホモグラフィによる制御を可能にできることを見出した。すなわち、「センサが認識したターゲットの画像内での座標」と、「アクチュエータがターゲットを向いている場合における、変換により算出された仮想平面での座標」との関係を4組取得することで、ホモグラフィ変換行列を算出することができ、ホモグラフィを用いた制御が可能となる。この4組の関係の取得やホモグラフィ変換行列の算出(以下、変換特性算出ともいう)については、以下に詳述するが、本開示の方法(以下、校正処理ともいう)は、センサ、アクチュエータ、ターゲットのそれぞれの位置/角度を測定する場合に比べて、ユーザー負担を小さくするものである。
【0060】
<校正処理>
本開示の校正処理は、例えば、(1)ユーザー指定、(2)4組の関係の取得、(3)変換特性算出、(4)動作確認 、(5)再校正/変換特性補正の順に実施される。このうち、(1)ユーザー指定、(4)動作確認、及び(5)再校正/変換特性補正の実施は任意である。また、(2)4組の関係の取得は、システム構成等に応じた方法が1つ以上選択される。また、(5)再校正/変換特性補正は、校正処理と別途単独で実施可能である。
【0061】
以下、図5図8を参照しながら、本実施形態の制御システム(10)による校正処理の一例について説明する。
【0062】
まず、ステップS1において、ユーザーが無線通信端末(5)のアプリケーション(以下、スマホアプリということもある)で校正モードを起動する。ユーザーは、就寝者(T)本人であってもよい。
【0063】
次に、ステップS2において、制御部(70)は、「センサ(撮像部(22))が認識したターゲット(例えば就寝者(T)の顔)の画像内での座標」と、「アクチュエータ(可動ノズル(35))がターゲットを向いている場合に、変換により算出された仮想平面での座標」との関係を4組以上取得するためのループ処理を開始する。
【0064】
次に、ステップS3において、制御部(70)は、無線通信端末(5)に、撮像部(22)により撮像された画像(以下、サーモ画像ということもある)を、1箇所目の校正エリアと共に表示する(図7参照)。
【0065】
次に、ステップS4において、ユーザー(就寝者(T))が、無線通信端末(5)に表示されたサーモ画像を見ながら1箇所目の校正エリアに移動する。その後、ステップS5において、ユーザーが、スマホアプリで校正処理を次へ進めるよう指示する。
【0066】
次に、ステップS6において、制御部(70)は、渦輪発生装置(20)に渦輪(空気砲)の連続発射を開始させる。その後、ステップS7において、制御部(70)は、サーモ画像内にターゲット位置を表示する(図7参照)。
【0067】
次に、ステップS8において、ユーザーつまり就寝者(T)が、空気砲が自分の顔に当たっているか判断する。空気砲が自分の顔に当たっていない場合、ステップS9において、ユーザーが、空気砲が自分に当たるように無線通信端末(5)を通じて制御部(70)に可動ノズル(35)(つまり渦輪吹き出し口(36))の方向を調整させる。ここで、無線通信端末(5)に、図8に示すような画面を表示させながら、渦輪吹き出し口(36)の方向を調整してもよい。空気砲が自分の顔に当たっている場合、ステップS10において、ユーザーが、ターゲット位置が自分の顔(空気砲が当たっている場所)であることを確認する。続いて、ステップS11において、ユーザーが、スマホアプリで、ターゲット位置と可動ノズル(35)の方向(以下、空気砲方向ともいう)との一致の確認を決定する。
【0068】
次に、ステップS12において、制御部(70)は、渦輪発生装置(20)に空気砲の連続発射を終了させる。その後、ステップS13において、制御部(70)は、サーモ画像内のターゲット位置(以下、サーモ画像位置ともいう)と空気砲方向との組となる座標(以下、正規化座標ともいう)を記憶部(71)に保存する。
【0069】
次に、ステップS14において、制御部(70)は、4箇所以上の所定数の校正エリアで校正処理が行われたかどうかを判断し、校正処理が所定数の校正エリアで行われるまで、ステップS03からステップS13までの処理を繰り返し行う。
【0070】
次に、ステップS15において、制御部(70)は、追加校正(例えば5箇所目の校正エリアでの校正処理)が不要かどうか判断する。追加校正が不要であれば、ステップS16において、制御部(70)(具体的には設定部(72))は、n箇所(n≧4)の校正エリアで得られた正規化座標の組から、就寝スペース(S)上における任意の位置座標を可動ノズル(35)の方向に変換する変換特性(以下、校正データともいう)を算出する。変換特性算出の詳細については、後述する。続いて、ステップS17において、制御部(70)(具体的には調整部(73))は、校正データを用いて、可動ノズル(35)の仮動作を行う。すなわち、調整部(73)は、就寝スペース(S)上におけるおける就寝者(T)(具体的には顔)の位置座標と校正データとを用いて、就寝者(T)に空気砲が当たるように可動ノズル(35)の方向を調整する
次に、ステップS18において、ユーザーつまり就寝者(T)は、調整部(73)によって空気砲方向が自分を自動で追尾できているかを確認する。続いて、ステップS19において、ユーザーは、自動追尾の確認結果に基づいて校正が適切に行われたかどうかを判断する。校正ができている場合、ユーザーは、スマホアプリでその旨を指定し、続いて、ステップS20において、制御部(70)は、校正結果(ステップS16で得られた校正データ)を記憶部(71)に保存すると共に無線通信端末(5)に校正処理が終了したことを表示し、校正処理を終了する。
【0071】
校正ができていない場合、ユーザーは、スマホアプリでその旨を指定し、続いて、ステップS21において、制御部(70)は、再校正を行うか、追加校正を行うかを判断する。再校正を行うと判断した場合、ステップS22において、制御部(70)は、再校正モードに移行し、続いて、ステップS23において、制御部(70)は、校正データをリセットして、ステップS02以降の処理を再度行う。
【0072】
ステップS21で制御部(70)が追加校正を行うと判断した場合、又はステップS15で制御部(70)が追加校正が必要であると判断した場合、ステップS24において、制御部(70)は、追加校正モードに移行し、続いて、ステップS25において、制御部(70)は、校正エリアの個数(つまりステップS03~S13の処理のループ回数)を追加変更して、追加した校正エリアについてステップS03以降の処理を再度行う。
【0073】
尚、図5及び図6に示す例では、校正処理がいったん終了した後に再校正又は追加校正(校正データの追加)を行えるようにしたが、これに限定されず、部分的な再校正、手動補正、自動補正等を行えるようにしてもよい。
【0074】
部分的な再校正とは、少なくとも1つの校正エリアで再校正を行うことを意味し、例えば、3箇所目の校正エリアについて校正をやり直す場合が該当する。これにより、変換特性を修正するために、最初から全データを取得し直すことなく、任意の校正エリアでのみ再校正して変換特性を再計算できる。
【0075】
手動補正とは、少なくとも1つの校正エリアで、ユーザーが校正データを任意の値に変更することを意味し、例えば、制御部(70)による校正では、自動追尾が不十分で空気砲が当たりにくい場所があるので、2箇所目の校正エリアについて校正データの数値をユーザーが変更する場合が該当する。校正データを手動で任意の値に変更できるようにすることで、ユーザーや設置業者が現場に合わせて調整することが可能になる。
【0076】
自動補正とは、外部影響(例えば、自然風などに起因する空気砲の命中地点のずれなど)がある場合に、撮像部(22)を用いて外部影響量を推定し、推定した外部影響量に基づき、制御部(70)が校正データを補正することを意味する。
【0077】
尚、追加校正では、前述の通り、校正エリアを後から追加することが可能である。最低4箇所での校正処理によって、ホモグラフィ変換に必要な校正データを得ることができるが、校正エリアを追加して校正処理を行うことにより、校正データの精度を上げることができる。追加校正を行うことによって、5箇所以上の校正エリアについて校正処理を最初からやり直さなくても、校正精度の向上が図れる。
【0078】
また、図5及び図6に示す例のように、ユーザーからの各種校正指示を例えばスマホアプリを用いて遠隔で行えるようにすれば、ユーザーの利便性が向上する。
【0079】
さらに、制御部(70)(具体的には設定部(72))は、撮像部(22)により撮像された画像のうち校正データの算出(変換特性の設定)に用いる範囲をユーザー指定可能に構成されてもよい。このようなユーザー指定は、以下のような場合に有効と考えられる。
【0080】
例えば、撮像部(22)により取得された画像から、エッジ認識などを用いて同一平面である校正エリアを推定し、当該校正エリア内で制御部(70)が校正処理を行ったところ、校正データの精度が悪かった場合に、エッジ認識で、異なる平面同士(例えば床面とベッド面など)を混ぜて校正エリアを推定していることが原因となっていることがある。このような場合、そのままでは、適切な校正処理ができない。そこで、「ターゲット位置が存在する範囲がどこからどこまでなのか」、或いは「校正処理に用いるべき範囲がどこからどこまでなのか」をユーザーが指定してから、校正処理を開始するようにしてもよい。或いは、校正処理終了後に、校正データの精度が悪いことが分かった場合に、撮像画像のうち校正データの算出に用いる範囲をユーザーが指定し直して、校正データを再計算できるようにしてもよい。
【0081】
<変換特性算出>
以下、本実施形態の制御システム(10)が行う校正処理における変換特性算出方法について説明する。
【0082】
前述のように、一の平面と他の平面との間における座標の関係性は、下記の式1~式3に示すように、ホモグラフィ変換行列(つまり変換特性)によって表すことができる。
【0083】
【数1】
【0084】
【数2】
【0085】
【数3】
【0086】
ここで、式1の(x、y)は、変換前の座標であり、式2の(x’、y’)は、変換後の座標であり、式3のH’は、ホモグラフィ変換行列である。式3のホモグラフィ変換行列H’が既知であれば、式1~2を用いて、任意の座標の変換を行うことができる。
【0087】
ホモグラフィ変換は、スケールに対して不変であるので、式3のホモグラフィ変換行列H’は、下記の式4のホモグラフィ変換行列Hに置き換えることができる。
【0088】
【数4】
【0089】
式4のホモグラフィ変換行列Hを用いると、式1のホモグラフィ変換は、下記の式5(式1のH’をHに置き換えたもの)のように表される。
【0090】
【数5】
【0091】
従って、ホモグラフィ変換に必要なパラメータは、式4~式5に示すh00、h01、h02、h10、h11、h12、h20、h21の8パラメータである。
【0092】
ホモグラフィ変換行列Hを用いた式5、及び式2から、変換前座標(x0、y0)と変換後座標(x0’、y0’)の関係は、下記式6のように表される。
【0093】
【数6】
【0094】
異なる3組の変換前座標(x1、y1)、(x2、y2)、(x3、y3)と変換後座標(x1’、y1’)、(x2’、y2’)、(x3’、y3’)との関係についても、式6と同様に計算が可能であり、合わせて4組の変換前後の座標同士の関係をまとめると、下記の式7のように表すことができる。
【0095】
【数7】
【0096】
ここで、ホモグラフィ変換に必要な8パラメータh00、h01、h02、h10、h11、h12、h20、h21を求めるために、式7の左辺をA、右辺の2次元行列をB、右辺の1次元行列(前記の8パラメータ)をCとして、式7をA=B・Cと表す。続いて、Cを求めるために、A=B・Cの両辺にBの逆行列B-1をかけると、C=B-1・Aとなる。
【0097】
Cを求めるために必要なB-1・Aの各行列要素は、式7に記載の通り、「変換前座標と変換後座標との4組の組み合わせ」から得られる。すなわち、「変換前座標と変換後座標との4組の組み合わせ」を求めることによって、ホモグラフィ変換行列(変換特性)の算出、つまり校正処理を行うことができる。
【0098】
図9は、校正処理における撮像部(22)(以下、単にカメラという)、位置特定手段(37)(以下、単にレーザという)、ターゲット(例えば就寝者(T)の顔)を含む平面(以下、単に対象平面という)の位置関係の一例を示す。尚、レーザの方向は、アクチュエータ(例えば可動ノズル(35))の方向と連動するものとする。図9に示す位置関係では、室内空間の天井にカメラとレーザとが下向きに設置され、ターゲットが床上に位置するものとする。図9では、レーザにポインティングされた点を「光点」としている。図9に示すように、任意に設定したワールド座標系(X、Y、Z)の原点(ワールド原点)を基準として、カメラのワールド座標が(2、1、2)、レーザのワールド座標が(2、1、4)であるとする。各座標の大きさの単位は[m]である。カメラの画角は縦横(X方向、Z方向)90度であり、レーザの向き(レーザ方向)の可動範囲は縦横(X方向、Z方向)90度であるとする。
【0099】
図10の(a)、(b)はそれぞれ、カメラ画角を基準として設定したカメラ座標系(x、y)と、レーザ可動範囲を基準として設定したレーザ座標系(x’、y’)を示す。
【0100】
次に、レーザ角度を仮想平面上の座標に変換する例について説明する。図9に示すXZ平面を仮想平面とすると、仮想平面の座標系は、図10(b)に示すレーザ座標系と一致する。レーザの方向を図11の(a)のように定義した(φ、θ)で表すと、φ=1/4・π[rad]=45[度]、θ=arctan(√2)[rad]≒54.7[度]の方向にレーザが向いたとき、光点の座標は、図11の(b)に示すように、レーザ座標系で(2、0)となる。このように、レーザ角度と仮想平面座標との相互変換が可能である。
【0101】
次に、ホモグラフィ変換行列を算出するための校正作業について説明する。ホモグラフィ変換行列を算出するためには、変換前座標と変換後座標との組み合わせを4組知る必要がある。以下の説明では、変換前座標をカメラ座標、変換後座標をレーザ座標として、カメラ座標をレーザ座標に変換するためのホモグラフィ変換行列の算出例を述べる。図12に示す対象平面上における座標番号0~3の位置にそれぞれレーザを向けたときの光点のカメラ座標(x、y)、レーザ座標(x’、y’)は、下記の表1のようになる。
【0102】
【表1】
【0103】
表1に示す校正情報を式7に代入して整理すると、下記の式8が得られる。
【0104】
【数8】
【0105】
式8から、逆行列B-1は、下記の式9のように算出される。
【0106】
【数9】
【0107】
式9に示す逆行列B-1を、式7の左辺であるAと共に、C=B-1・Aの関係式に代入すると、C、つまりホモグラフィ変換に必要な8パラメータh00、h01、h02、h10、h11、h12、h20、h21が下記の式10のように算出される。
【0108】
【数10】
【0109】
式10に示す結果から、ホモグラフィ変換行列Hが下記の式11のように算出される。
【0110】
【数11】
【0111】
最後に、算出したホモグラフィ変換行列Hを用いた任意の座標の変換の例について説明する。
【0112】
ホモグラフィ変換行列Hを用いたホモグラフィ変換では式5、式2を用いる。ここで、(x、y)はカメラ座標、(x’、y’)はレーザ座標、Hは、式11に示すホモグラフィ変換行列Hである。例えば、図13の(a)に示すターゲットのカメラ座標(x、y)=(1、1)を式5、式2に代入すると、下記の式12、式13が得られ、図13の(b)に示すターゲットのレーザ座標(x’、y’)=(1、0)に変換される。
【0113】
【数12】
【0114】
【数13】
【0115】
また、レーザ座標(x’、y’)=(1、0)に位置するターゲットを向くときのレーザの方向は、図13の(c)に示すように、φ=90[度]、θ=45[度]である。
【0116】
以上に説明したように、カメラで認識したターゲットのカメラ座標と、ホモグラフィ変換行列とがあれば、レーザつまりアクチュエータをターゲットに向けることができる。
【0117】
<実施形態の特徴>
本実施形態の制御システム(10)は、就寝者(対象物)(T)を含む就寝スペース(対象平面)(S)の画像を取得する撮像部(22)と、対象物(T)に物理的作用を及ぼす可動ノズル(アクチュエータ)(35)と、アクチュエータ(35)を制御する制御部(70)とを備える。制御部(70)は、設定部(72)と調整部(73)とを有する。設定部(72)は、対象平面上における4つ以上の異なる位置座標と、当該4つ以上の異なる位置座標のそれぞれに対応するアクチュエータ(35)の方向との関係を用いて、対象平面上における任意の位置座標をアクチュエータ(35)の方向に変換する変換特性(校正データ)を設定する。調整部(73)は、対象平面上における対象物(T)の位置座標と校正データとを用いて、対象物(T)に物理的作用を及ぼせるようにアクチュエータ(35)の方向を調整する。
【0118】
本実施形態の制御システム(10)によると、撮像部(22)とアクチュエータ(35)とを別体で、ユーザーがそれぞれ任意の位置に設置した場合にも、ステレオカメラ等の高額な3次元撮像手段を用いることなく、従来よりも少ない手順でアクチュエータ(35)の方向制御を実現できるので、ユーザーの負担を低減することができる。
【0119】
具体的には、制御システム(10)の導入準備(校正処理)として、4組の座標関係を測定すればよいので、従来のように、撮像手段、アクチュエータ、ターゲットの三次元位置関係を測定する場合と比べて、ユーザーの負荷が小さくなる。すなわち、ステレオカメラなどの特殊で高額なセンサを用いなくても、従来より少ない校正手順でアクチュエータの方向制御が実現できる。また、撮像部(22)が取得した画像情報(センサ情報)をホモグラフィを用いて仮想平面座標に変換することで、アクチュエータ(35)の方向制御を行うため、従来のように、撮像手段、アクチュエータ、ターゲットの三次元位置関係に三角関数を適用してアクチュエータの方向制御を行う場合と比べて、ユーザーの負荷がさらに小さくなる。
【0120】
さらに、本実施形態の制御システム(10)によると、撮像部(22)とアクチュエータ(35)とを別体でそれぞれユーザーが任意の位置に設置した場合にも、前述のユーザー負荷の軽減効果を得ることができる。
【0121】
尚、撮像部(22)とアクチュエータ(35)とを別々な位置に設置できると、例えば、ユーザーがアクチュエータ(35)の動作音等に煩わされる自体を回避できる。また、既存システムにおいて、別売りのセンサを撮像部(22)として購入、設置することで、アクチュエータ(35)の方向制御機能を付加することができる。或いは、撮像部(22)として、既存システムのセンサ(例えば設置済みエアコンのセンサ)を用い、アクチュエータを後付けした場合にも方向制御が可能となる。さらに、センサやアクチュエータを後付けしたり、新規設置したりする際に、センサの死角が少なくセンサの機能を有効活用できる(例えばターゲットを見えやすい位置でセンシングして行動履歴等を詳しく取得できる)ような位置にセンサを設置しやすくなる。
【0122】
一方、センサとアクチュエータとの位置関係を固定した場合、センサとアクチュエータとを近接させて小型化する点では有利となるが、センサを見通しの良い位置(例えばベッドの上部や就寝者の顔に近い位置など)に設置しようとすると、アクチュエータもセンサの近くや就寝者に近い位置に設置しなければならなくなる。その結果、例えば、アクチュエータの動作音がユーザーに大きく聞こえてしまう等のデメリットが生じる。
【0123】
また、既に設置済みのアクチュエータに対して、別売りのセンサを後付けしてアクチュエータの方向制御を行おうとする場合、センサ後付けを考慮していないアクチュエータ(センサ取り付けスペースが定められていない場合や、センサを定位置に取り付けることが難しい場合)では、センサの後付けが難しくなる。さらに、この場合、アクチュエータの設置位置にセンサ設置位置が限定されてしまうため、ターゲットを認識しやすい位置にセンサを設置することが難しくなる。
【0124】
本実施形態の制御システム(10)において、対象平面上の一点をポインティングする位置特定手段(37)をさらに備え、設定部(72)は、位置特定手段(37)によりポインティングされた点に対応するアクチュエータ(35)の方向を特定してもよい。このようにすると、位置特定手段(37)を用いて、アクチュエータ(35)の方向を簡単に特定することができる。尚、位置特定手段(37)は、例えばレーザポインターであってもよい。また、位置特定手段(37)とアクチュエータ(35)とは、一体で構成されてもよいし、別体で構成されてもよい。
【0125】
本実施形態の制御システム(10)において、位置特定手段(37)とアクチュエータ(35)とは互いに連動して動作してもよい。このようにすると、位置特定手段(37)を用いて、アクチュエータ(35)の方向を正確に特定することができる。
【0126】
本実施形態の制御システム(10)において、設定部(72)は、アクチュエータ(35)を駆動したときの物理的作用の変化に基づいて、4つ以上の異なる位置座標のそれぞれに対応するアクチュエータ(35)の方向を特定してもよい。このようにすると、各位置座標に対応するアクチュエータ(35)の方向を簡単に特定することができる。
【0127】
本実施形態の制御システム(10)において、調整部(70)は、画像上の特徴量から、対象平面上における対象物(T)の位置座標を取得してもよい。このようにすると、画像上の特徴量、例えば、輝度、熱、動きなどに基づいて、対象物(T)の位置座標を簡単且つ正確に取得することができる。
【0128】
本実施形態の制御システム(10)において、設定部(72)は、画像のうち校正データの設定に用いる範囲をユーザー指定可能に構成されてもよい。このようにすると、校正データの設定に不要な画像領域を除くことができる。
【0129】
本実施形態の制御システム(10)において、設定部(72)は、アクチュエータ(35)の方向をユーザー指定可能に構成されてもよい。このようにすると、ユーザーがアクチュエータ(35)を駆動したときの物理的作用の変化に基づいて、アクチュエータ(35)の方向を特定することができる。
【0130】
本実施形態の制御システム(10)において、アクチュエータ(35)は、気流制御装置、具体的には、渦輪発生装置(20)の可動ノズル(35)であってもよい。このようにすると、気流制御装置である可動ノズル(35)を制御する制御システムにおいて、撮像部(22)と可動ノズル(35)との位置関係を制約することなく、ユーザーの負担を低減することができる。
【0131】
(変形例1)
前記実施形態の制御システム(10)は、渦輪発生装置(20)の可動ノズル(35)の方向制御を行ったが、本変形例の制御システム(10)は、空気調和装置(90)の室内機(91)の吹き出しフラップ(92)の方向制御を行う。本変形例の制御システム(10)は、例えば、撮像部(22)としてカメラ、制御部(70)としてマイコン及びメモリを用いて、カメラ画像を取得してターゲット(例えば就寝者(T))座標を認識し、ターゲット座標を変換特性(校正データ)を用いて吹き出しフラップ(92)の角度に変換し、当該角度に吹き出しフラップ(92)を制御してターゲットに向け風を送る。すなわち、「カメラ画像から抽出したターゲット座標を、ターゲットに風を送れる吹き出しフラップ(92)の角度に変換する」変換特性が分かれば、対象空間内の同一平面上である限り、カメラ画像のどの位置にターゲットが写っていても、吹き出しフラップ(92)をターゲットに向けられる。
【0132】
本変形例では、変換特性を得るために、以下のようなセットアップ(校正処理)を実施する。尚、画像内のターゲット座標を(x、y)とし、吹き出しフラップ(92)の方向を極座標を用いて(θ、φ)とし、(x、y)と(θ、φ)との対応関係から、変換特性を求める。また、従来技術と比べて、手間が少なく簡単にセットアップを行えるように、吹き出しフラップ(92)と連動する位置特定手段(例えばレーザポインター)を用いる。
【0133】
まず、制御部(70)は、任意の角度(θ1、φ1)に吹き出しフラップ(92)の方向を変える。このとき、レーザポインターも同じ方向を向き、当該方向の対象平面(例えば就寝スペース(S)となるベッド表面)上に光点が生じる。次に、カメラが対象平面の画像を撮影し、当該画像情報が制御部(70)に送られる。次に、制御部(70)は、画像内の光点(レーザポインターの命中地点)の画像内座標(x1、y1)を記憶すると共に、角度(θ1、φ1)と座標(x1、y1)との関係(一組の座標関係)を記憶する。同様に、制御部(70)は、合計4回以上吹き出しフラップ(92)の方向を変えて、合計4組以上の座標関係を取得する。最後に、制御部(70)は、4組以上の座標関係を用いて、変換特性を得る。
【0134】
変換特性が得られたら、前記実施形態と同様に、制御システム(10)は、以下のように、吹き出しフラップ(92)の方向制御を行う。まず、カメラが対象平面の画像を撮影し、当該画像情報が制御部(70)に送られる。次に、制御部(70)は、画像内のターゲットを認識して、その画像内座標(xt、yt)を記憶する。次に、制御部(70)は、画像内座標(xt、yt)と変換特性とを用いて、ターゲットに風を送れる吹き出しフラップ(92)の角度(θt、φt)を算出する。最後に、制御部(70)は、角度(θt、φt)に吹き出しフラップ(92)の方向を制御し、吹き出しフラップ(92)からターゲットに風を送る。
【0135】
(変形例2)
前記実施形態の制御システム(10)は、渦輪発生装置(20)の可動ノズル(35)の方向制御を行ったが、本変形例の制御システム(10)は、可動ノズル(35)の方向制御に加えて、空気調和装置(90)の室内機(91)の吹き出しフラップ(92)の方向制御を行う。
【0136】
本変形例のように、複数台のアクチュエータの制御を行う場合、アクチュエータ毎に撮像部(カメラ)を設けてもよいし、或いは、一台の撮像部を用いて、複数台のアクチュエータの制御を行ってもよい。
【0137】
本変形例では、撮像部とアクチュエータとの組み合わせ毎に複数の変換特性を算出、記憶し、制御対象のアクチュエータに応じた変換特性を切り替え利用する。変換特性(校正データ)の保管は、制御システム(10)の電源をOFFしてもリセットされないように行う。
【0138】
(変形例3)
前記実施形態の制御システム(10)では、4箇所での校正処理によって、ホモグラフィ変換に必要な校正データ、つまり4組の正規化座標を取得した。
【0139】
それに対して、本変形例では、追加校正によって、5組以上の正規化座標を取得する。5組以上の正規化座標を取得した場合、前記の式7を拡張した下記の式14を用いてホモグラフィ変換行列を算出する。
【0140】
【数14】
【0141】
下記の式15は、簡単のために、式14を文字に置き換えたものである。
【0142】
【数15】
【0143】
式15において、式14の左辺をM’、右辺の2次元行列をM、右辺の1次元行列(ホモグラフィ変換に必要な8パラメータh00、h01、h02、h10、h11、h12、h20、h21)をhで表している。
【0144】
取得した正規化座標には一般的に測定誤差が含まれており、ホモグラフィ変換行列は一意に定まらないため、式15においては、どのようなhを用いたとしても、下記の式16で表される変換誤差が生じてしまう。
【0145】
【数16】
【0146】
そこで、例えば、下記の式17のように、最小二乗法を用いて変換誤差の二乗和が最小になるようなhを算出して校正データとして用いてもよい。
【0147】
【数17】
【0148】
このように得られた校正データでは測定誤差の影響が小さくなるので、校正精度の向上が図れる。
【0149】
(その他の実施形態)
前記実施形態(各変形例を含む。以下同じ。)では、制御対象のアクチュエータとして、気流制御装置、具体的には、渦輪発生装置(20)の可動ノズル(35)、又は空気調和装置(90)の室内機(91)の吹き出しフラップ(92)を例示したが、制御対象のアクチュエータは、特に制限されるものではない。例えば、その他の気流制御装置や環境制御装置、、或いは、光や音等を対象物に作用させる他のアクチュエータを制御対象としてもよい。
【0150】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0151】
以上説明したように、本開示は、制御システムについて有用である。
【符号の説明】
【0152】
10 制御システム
20 渦輪発生装置
22 撮像部
35 可動ノズル(アクチュエータ)
37 位置特定手段
70 制御部
72 設定部
73 調整部
90 空気調和装置
91 室内機
92 吹き出しフラップ(アクチュエータ)
T 就寝者(対象物)
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