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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-09
(45)【発行日】2024-04-17
(54)【発明の名称】機器登録作業支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240410BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240410BHJP
   F24F 11/49 20180101ALI20240410BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/08
F24F11/49
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022057518
(22)【出願日】2022-03-30
(65)【公開番号】P2023149123
(43)【公開日】2023-10-13
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 有紀
(72)【発明者】
【氏名】由良 嘉紀
(72)【発明者】
【氏名】藤原 真之
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032469(JP,A)
【文献】特開2020-136725(JP,A)
【文献】特開2007-010223(JP,A)
【文献】特開2021-139896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
F24F 11/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物(BL)内の複数の設置箇所に設置されている、複数の機器(20)と、
前記設置箇所の位置情報(81)と、前記機器の固有情報とを記憶し、前記機器と通信可能である、管理装置(10)と、
前記管理装置に、前記設置箇所の前記位置情報と、前記設置箇所に設置されている前記機器の固有情報と、を対応付けて登録する登録作業、を支援する情報を、作業者(3)に報知する、報知装置(60)と、
を備え、
前記機器は、互いに無線通信を行うための通信部(27)、を有し、
前記管理装置は、
前記機器が互いに無線通信を行うことにより取得した電磁波に関する情報、に基づいて、前記機器の配置情報を推定し、
前記配置情報と、前記設置箇所の前記位置情報と、を照合することにより、前記設置箇所に設置されている前記機器の候補、および前記機器の候補が前記設置箇所に設置されている確率、を算出し、
前記管理装置が、前記設置箇所に設置されている前記機器の候補の中から、前記設置箇所に実際に設置されている前記機器を特定できないと判定した場合、前記報知装置は、前記設置箇所の前記位置情報と、前記設置箇所に設置されている前記機器の候補の固有情報と、を報知し、
前記電磁波に関する情報は、電波強度、または往復時間、を含み、
前記管理装置は、前記電波強度または前記往復時間に基づいて前記機器間の距離を推定し、前記距離に基づいて前記機器の相対位置を推定することにより、前記配置情報を推定し、
前記確率は、前記設置箇所と、前記配置情報における前記機器の位置と、の間の距離に応じて算出され、
前記管理装置は、前記設置箇所が、前記確率が閾値以上である前記機器の候補を有しない場合に、前記設置箇所に設置されている前記機器の候補の中から、前記設置箇所に実際に設置されている前記機器を特定できないと判定する、
機器登録作業支援システム(1)。
【請求項2】
前記設置箇所は、第1箇所と、前記第1箇所とは異なる第2箇所と、を含み、
前記報知装置は、前記登録作業に関する情報を入力する入力部(62)、を有し、
前記管理装置が前記第1箇所及び前記第2箇所に実際に設置されている前記機器を特定できないと判定した場合、前記入力部を用いて、前記第1箇所の前記位置情報と、前記第1箇所に設置されている前記機器の固有情報と、が対応付けて登録されると、
前記管理装置は、前記第1箇所に設置されている前記機器を除いて、前記第2箇所に設置されている前記機器の候補、および前記機器の候補が前記第2箇所に設置されている前記確率、を再度算出し、
前記管理装置が、前記第2箇所に実際に設置されている前記機器を特定できないと判定した場合、前記報知装置は、前記第2箇所の前記位置情報と、前記第2箇所に設置されている前記機器の候補の固有情報と、を報知し、
前記登録作業に関する情報は、前記設置箇所の前記位置情報と、前記設置箇所に設置されている前記機器の固有情報と、の対応である、
請求項1に記載の機器登録作業支援システム(1)。
【請求項3】
前記設置箇所は、第1箇所と、前記第1箇所とは異なる第2箇所と、を含み、
前記機器は、第1機器と、前記第1機器とは異なる第2機器と、を含み、
前記報知装置は、前記登録作業に関する情報を入力する入力部(62)、を有し、
前記第1機器及び前記第2機器の両方が、前記第1箇所及び前記第2箇所の両方に設置されている前記機器の候補であり、前記第1箇所及び前記第2箇所に設置されている前記機器の候補が、前記第1機器及び前記第2機器のみであり、前記第1機器及び前記第2機器が、前記第1箇所及び前記第2箇所以外の設置箇所に設置されている前記機器の候補ではない場合、前記入力部を用いて、前記第1箇所の前記位置情報と、前記第1機器の固有情報と、が対応付けて登録されると、前記管理装置は、前記第2箇所の前記位置情報と、前記第2機器の固有情報と、を対応付けて登録し、
前記登録作業に関する情報は、前記設置箇所の前記位置情報と、前記設置箇所に設置されている前記機器の固有情報と、の対応である、
請求項1に記載の機器登録作業支援システム(1)。
【請求項4】
前記報知装置は、前記登録作業に関する情報を表示する表示部(63)、を有し、
前記表示部は、前記設置箇所の前記位置情報と、前記設置箇所に設置されている前記機器の候補の固有情報と、を表示する、
請求項2又は3に記載の機器登録作業支援システム(1)。
【請求項5】
前記表示部に表示される前記設置箇所の前記位置情報は、前記設置箇所の位置を示す画像を含み、
前記画像が、前記入力部を用いて選択されると、前記表示部は、前記設置箇所に設置されている前記機器の候補の固有情報を表示する、
請求項4に記載の機器登録作業支援システム(1)。
【請求項6】
前記管理装置は、前記入力部を用いて、前記表示部における前記設置箇所に設置されている前記機器の候補の1つが選択されると、前記設置箇所の前記位置情報と、選択された前記機器の固有情報と、を対応付けて登録する、
請求項4又は5に記載の機器登録作業支援システム(1)。
【請求項7】
前記報知装置は、音声によって、前記設置箇所の前記位置情報と、前記設置箇所に設置されている前記機器の候補の固有情報と、を報知する、
請求項1から6のいずれか1つに記載の機器登録作業支援システム(1)。
【請求項8】
前記管理装置が、前記設置箇所に実際に設置されている前記機器を特定できないと判定した場合、
前記管理装置は、前記設置箇所の前記位置情報と、前記設置箇所に設置されている前記機器の候補の内、前記確率が最大である前記機器と、を対応付けて登録する第1登録処理を行い、その後、前記報知装置は、前記設置箇所の前記位置情報と、前記設置箇所に設置されている前記機器の候補の固有情報と、を報知する、又は、
前記管理装置は、前記第1登録処理を行わずに、前記報知装置は、前記設置箇所の前記位置情報と、前記設置箇所に設置されている前記機器の候補の固有情報と、を報知する、
の内のいずれかである、
請求項1から7のいずれか1つに記載の機器登録作業支援システム(1)。
【請求項9】
前記管理装置は、
前記設置箇所と前記機器との組み合わせのパターンごとに、前記組み合わせにおける前記機器が設置されている前記設置箇所と、前記配置情報における前記機器の位置と、の間の前記機器ごとの距離の総和である第1総和を算出し、
前記第1総和が所定値より小さい前記組み合わせの中で、前記第1総和の逆数を前記設置箇所に出現する前記機器ごとに加算し、加算した値が大きい前記機器を、前記設置箇所に実際に設置されている可能性が高い前記機器とする、
請求項1から8のいずれか1つに記載の機器登録作業支援システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
機器登録作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2009-192149号公報)に示されているように、建物内の複数の設置箇所に設置されている複数の機器に対して、設置箇所の位置情報と、設置箇所に設置されている機器の固有情報と、を対応付けて登録する登録作業を自動的に行う技術がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のように自動的に行われる登録作業は、すべて正確に行われることは少ない。そのため、正確性を担保するためには、作業者が機器の設置箇所に赴き、手動で登録作業を行う必要がある。このとき、作業者が無作為に設置箇所をまわって登録作業を行うと、コストや時間がかかる、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の機器登録作業支援システムは、複数の機器と、管理装置と、報知装置と、を備える。複数の機器は、建物内の複数の設置箇所に設置されている。管理装置は、設置箇所の位置情報と、機器の固有情報とを記憶する。管理装置は、機器と通信可能である。報知装置は、登録作業を支援する情報を、作業者に報知する。登録作業は、管理装置に、設置箇所の位置情報と、設置箇所に設置されている機器の固有情報と、を対応付けて登録する作業である。機器は、互いに無線通信を行うための通信部、を有する。管理装置は、機器が互いに無線通信を行うことにより取得した電磁波に関する情報、に基づいて、機器の配置情報を推定する。管理装置は、配置情報と、設置箇所の位置情報と、を照合することにより、設置箇所に設置されている機器の候補を算出する。管理装置が、設置箇所に設置されている機器の候補の中から、設置箇所に実際に設置されている機器を特定できないと判定した場合、報知装置は、設置箇所の位置情報と、設置箇所に設置されている機器の候補の固有情報と、を報知する。
【0005】
第1観点の機器登録作業支援システムでは、管理装置が、設置箇所に設置されている機器の候補の中から、設置箇所に実際に設置されている機器を特定できないと判定した場合、報知装置は、設置箇所の位置情報と、設置箇所に設置されている機器の候補の固有情報と、を報知する。その結果、作業者は、特定できない設置箇所についてのみ登録作業を行うことにより、効率的に登録作業を行うことができ、登録作業にかかるコストや時間を削減することができる。
【0006】
第2観点の機器登録作業支援システムは、第1観点の機器登録作業支援システムであって、設置箇所は、第1箇所と、第1箇所とは異なる第2箇所と、を含む。報知装置は、入力部を有する。入力部は、登録作業に関する情報を入力する。管理装置が第1箇所及び第2箇所に実際に設置されている機器を特定できないと判定した場合、入力部を用いて、第1箇所の位置情報と、第1箇所に設置されている機器の固有情報と、が対応付けて登録されると、管理装置は、第2箇所に設置されている機器の候補を再度算出する。管理装置が、第2箇所に実際に設置されている機器を特定できないと判定した場合、報知装置は、第2箇所の位置情報と、第2箇所に設置されている機器の候補の固有情報と、を報知する。
【0007】
第2観点の機器登録作業支援システムでは、このような構成により、作業者は、機器を登録する度に、最新の、設置されている機器が特定できない設置箇所や、設置箇所に設置されている機器の候補、を把握することができる。
【0008】
第3観点の機器登録作業支援システムは、第1観点の機器登録作業支援システムであって、設置箇所は、第1箇所と、第1箇所とは異なる第2箇所と、を含む。機器は、第1機器と、第1機器とは異なる第2機器と、を含む。報知装置は、入力部を有する。入力部は、登録作業に関する情報を入力する。第1機器及び第2機器が、第1箇所及び第2箇所に設置されている機器の候補であって、第1箇所及び第2箇所以外の設置箇所に設置されている機器の候補ではない場合、入力部を用いて、第1箇所の位置情報と、第1機器の固有情報と、が対応付けて登録されると、管理装置は、第2箇所の位置情報と、第2機器の固有情報と、を対応付けて登録する。
【0009】
第3観点の機器登録作業支援システムでは、このような構成により、作業者は、機器を登録する手間を省くことができる。
【0010】
第4観点の機器登録作業支援システムは、第2観点又は第3観点の機器登録作業支援システムであって、報知装置は、表示部を有する。表示部は、登録作業に関する情報を表示する。表示部は、設置箇所の位置情報と、設置箇所に設置されている機器の候補の固有情報と、を表示する。
【0011】
第5観点の機器登録作業支援システムは、第4観点の機器登録作業支援システムであって、表示部に表示される設置箇所の位置情報は、設置箇所の位置を示す画像を含む。画像が、入力部を用いて選択されると、表示部は、設置箇所に設置されている機器の候補の固有情報を表示する。
【0012】
第5観点の機器登録作業支援システムは、このような構成により、設置箇所の位置を示す画像が比較的多い場合であっても、機器の候補の固有情報によって、画像が見えなくなることを防止することができる。
【0013】
第6観点の機器登録作業支援システムは、第4観点又は第5観点の機器登録作業支援システムであって、管理装置は、入力部を用いて、表示部における設置箇所に設置されている機器の候補の1つが選択されると、設置箇所の位置情報と、選択された機器の固有情報と、を対応付けて登録する。
【0014】
第7観点の機器登録作業支援システムは、第1観点から第6観点のいずれかの機器登録作業支援システムであって、報知装置は、音声によって、設置箇所の位置情報と、設置箇所に設置されている機器の候補の固有情報と、を報知する。
【0015】
第8観点の機器登録作業支援システムは、第1観点から第7観点のいずれかの機器登録作業支援システムであって、管理装置が、設置箇所に実際に設置されている機器を特定できないと判定した場合、次の内のいずれかを行う。管理装置は、設置箇所の位置情報と、設置箇所に設置されている機器の候補の内の1つと、を対応付けて登録する第1登録処理を行う。その後、報知装置は、設置箇所の位置情報と、設置箇所に設置されている機器の候補の固有情報と、を報知する。又は、管理装置は、第1登録処理を行わずに、報知装置は、設置箇所の位置情報と、設置箇所に設置されている機器の候補の固有情報と、を報知する。
【0016】
第9観点の機器登録作業支援システムは、第1観点から第8観点のいずれかの機器登録作業支援システムであって、管理装置は、設置箇所と機器との組み合わせごとに、組み合わせにおける機器が設置されている設置箇所と、配置情報における機器の位置と、の間の機器ごとの距離の総和である第1総和を算出する。管理装置は、第1総和が所定値より小さい組み合わせの中で、第1総和の逆数を設置箇所に出現する機器ごとに集約する。管理装置は、集約した値が大きい機器を、設置箇所に実際に設置されている可能性が高い機器とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】機器登録作業支援システムの概略構成図である。
図2】冷媒系統の冷媒回路を示す図である。
図3】空気調和システムの機能ブロック図である。
図4】建物内に室内機が設置されている様子を示すための建物の断面図である。
図5】管理装置、及びモバイル端末の機能ブロック図である。
図6】管理装置の登録部による処理の一例を示す図である。
図7A】モバイル端末に表示される画面の一例である。
図7B】モバイル端末に表示される画面の一例である。
図7C】モバイル端末に表示される画面の一例である。
図7D】モバイル端末に表示される画面の一例である。
図7E】モバイル端末に表示される画面の一例である。
図8A】機器登録作業支援システムの処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8B】機器登録作業支援システムの処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8C】機器登録作業支援システムの処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8D】機器登録作業支援システムの処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(1)全体構成
図1は、機器登録作業支援システム1の概略構成図である。図1に示すように、複数の室内機20(機器)が、建物BL内の複数の設置箇所に設置されている。作業者3は、建物BL内において、室内機20のアドレス登録作業を行う。アドレス登録作業は、後述する管理装置10に、室内機20の設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の固有情報と、を対応付けて登録する作業である。機器登録作業支援システム1は、アドレス登録作業を支援する情報を、作業者3に報知する。
【0019】
図1に示すように、機器登録作業支援システム1は、主として、管理装置10と、空気調和システム2と、作業者3が所持するモバイル端末60(報知装置)と、を有する。管理装置10と、空気調和システム2と、モバイル端末60とは、ネットワークNWによって、通信可能に接続されている。ネットワークNWは、LAN、WAN、インターネット、及び移動体通信網等を含む。
【0020】
(2)詳細構成
以下、例えば、室内機20a~20d等について、これらを区別せずに説明する場合は、室内機20等と記載することがある。
【0021】
(2-1)空気調和システム
空気調和システム2は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成し、対象空間の空気調和(冷房及び暖房等)を行う。本実施形態では、空気調和システム2は、いわゆるビル用マルチ式空気調和システムである。図1に示すように、空気調和システム2は、建物BLに設置されている。空気調和システム2は、1つ又は複数の冷媒系統RSと、コントローラ40とを有する。それぞれの冷媒系統RSは、室外機30と、複数の室内機20とを有する。1つの冷媒系統RSを構成する複数の室内機20は、建物BLの同一のフロアにすべて設置されてもよいし、異なるフロアに分かれて設置されてもよい。室外機30と室内機20とは、通信線90によって、通信可能に接続されている。室外機30と、コントローラ40とは、通信線91によって、通信可能に接続されている。
【0022】
図2は、冷媒系統RSの冷媒回路50を示す図である。冷媒系統RSを構成する各室内機20についての説明は、基本的に同様であるため、図2では、代表して、冷媒系統RSを構成する複数の室内機20の内の、1台の室内機20を示している。図2に示すように、室外機30と、室内機20とは、液冷媒連絡配管51及びガス冷媒連絡配管52によって接続され、冷媒回路50を構成している。
【0023】
(2-1-1)室内機
本実施形態では、室内機20は、建物BL内のフロアの天井に設置される天井埋込型のユニットである。図2に示すように、室内機20は、主として、室内熱交換器21と、室内ファン22と、室内膨張弁23と、通信部27と、室内記憶部28と、室内制御部29と、室内温度センサ等の各種センサと、を有する。また、図2に示すように、室内機20は、室内熱交換器21の液側端と、液冷媒連絡配管51と、を接続する液冷媒配管53aを有する。また、室内機20は、室内熱交換器21のガス側端と、ガス冷媒連絡配管52と、を接続するガス冷媒配管53bを有する。
【0024】
室内熱交換器21は、室内熱交換器21を流れる冷媒と、対象空間の空気と、の間で熱交換を行わせる。室内熱交換器21は、例えば、複数の伝熱フィンと、複数の伝熱管と、を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。
【0025】
室内ファン22は、室内熱交換器21に、対象空間の空気を供給するファンである。室内ファン22は、例えば、ターボファンやシロッコファン等の遠心ファンである。図2に示すように、室内ファン22は、室内ファンモータ22mによって駆動される。室内ファンモータ22mの回転数は、インバータによって制御可能である。
【0026】
室内膨張弁23は、液冷媒配管53aを流れる冷媒の圧力や流量を調節するための機構である。本実施形態では、室内膨張弁23は、開度調節が可能な電子膨張弁である。
【0027】
通信部27は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信(無線通信)を行うためのネットワークインターフェイス機器である。通信部27は、BLE通信の電磁波を送受信すると共に、受信したBLE通信の電磁波の電波強度を測定する機能を有する。
【0028】
室内記憶部28は、RAM、ROM及びフラッシュメモリ等の記憶媒体である。室内記憶部28は、室内制御部29が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。室内記憶部28は、自身の固有情報を記憶する。固有情報は、例えば、MACアドレス、IPアドレス、便宜的に室内機20に振られた番号、室内機20の名称等の室内機20を識別可能な情報である。本実施形態では、特に断らない限り、固有情報として、MACアドレスを用いる。また、室内記憶部28は、後述するBLE通信情報80を記憶する。
【0029】
室内制御部29は、CPUやGPU等のプロセッサである。図3は、空気調和システム2の機能ブロック図である。図3では、簡単のため、1つの冷媒系統RSと、当該冷媒系統RSを構成する複数の室内機20の内の、1台の室内機20を示している。図3に示すように、室内制御部29は、室内膨張弁23、室内ファンモータ22m、通信部27、及び室内記憶部28を含む、室内機20が有する各種機器と電気的に接続されている。室内制御部29は、室内記憶部28に記憶されているプログラムを読み出し、プログラムに従って所定の演算処理を行うことで、室内機20を構成する各部の動作を制御する。また、室内制御部29は、プログラムに従って、演算結果を室内記憶部28に書き込んだり、室内記憶部28に記憶されている情報を読み出したりすることができる。室内制御部29は、操作用リモコン(図示せず)から送信される各種信号を、受信可能に構成されている。各種信号には、例えば、運転の開始及び停止を指示する信号や、各種設定に関する信号が含まれる。各種設定に関する信号には、例えば、設定温度や風量に関する信号が含まれる。また、室内制御部29は、室外機30と、通信線90を介して、制御信号、計測信号、各種設定に関する信号等の各種情報のやりとりを行う。
【0030】
室内制御部29は、BLE通信により、他の室内機20や、モバイル端末60に、自身の固有情報を送信することができる。また、室内制御部29は、BLE通信により、他の室内機20が送信した他の室内機20の固有情報を受信することができる。また、室内制御部29は、他の室内機20にBLE通信の電磁波を送信し、これに対するリプライ通知を受信することにより、他の室内機20との間で、BLE通信の電磁波の往復時間を測定することができる。
【0031】
図3に示すように、室内制御部29は、機能ブロックとして、取得部291を有する。
【0032】
取得部291は、BLE通信によって送受信する電磁波に関する情報と、BLE通信を行った室内機20の固有情報と、を取得する。電磁波に関する情報は、例えば、電波強度、往復時間等である。取得部291は、取得した、BLE通信によって送受信する電磁波に関する情報と、BLE通信を行った室内機20の固有情報とを、BLE通信情報80として、室内記憶部28に記憶する。例えば、電磁波に関する情報が電波強度である場合、室内機20のBLE通信情報80には、他の室内機20から受信した他の室内機20の固有情報と、当該他の室内機20から受信したBLE通信の電磁波の電波強度と、が対応付けて記憶される。例えば、電磁波に関する情報が往復時間である場合、室内機20のBLE通信情報80には、他の室内機20から受信した他の室内機20の固有情報と、当該他の室内機20との間でかかるBLE通信の電磁波の往復時間と、が対応付けて記憶される。本実施形態では、特に断らない限り、電磁波に関する情報として、電波強度を用いる。
【0033】
図4は、建物BL内に室内機20が設置されている様子を示すための建物BLの断面図である。図4では、建物BL内のフロアAに、4台の室内機20a~20dが設置されている。以下の表1は、室内機20aが取得したBLE通信情報80の一例である。以下、特に断らない限り、BLE通信情報80は、電波強度の降順にソートされているとする。
【0034】
【表1】
【0035】
図4に示すように、室内機20aと室内機20b~20dとの距離は、室内機20b、室内機20c、及び室内機20dの順に近い。そのため、表1では、室内機20aが受信するBLE通信の電磁波の電波強度は、室内機20b、室内機20c、及び室内機20dの順に大きい。
【0036】
(2-1-2)室外機
室外機30は、建物BLの屋上等、建物BLの外に設置される。図2に示すように、室外機30は、主として、圧縮機31と、流路切換弁32と、室外熱交換器33と、室外膨張弁34と、アキュムレータ35と、室外ファン36と、液側閉鎖弁37aと、ガス側閉鎖弁37bと、室外記憶部38と、室外制御部39と、室外温度センサ等の各種センサと、を有する。また、室外機30は、吸入管54aと、吐出管54bと、ガス冷媒配管54c,54eと、液冷媒配管54dと、を有する。
【0037】
吸入管54aは、流路切換弁32と圧縮機31の吸入側とを接続する。吸入管54aには、アキュムレータ35が設けられる。吐出管54bは、圧縮機31の吐出側と流路切換弁32とを接続する。ガス冷媒配管54cは、流路切換弁32と室外熱交換器33のガス側とを接続する。液冷媒配管54dは、室外熱交換器33の液側と液冷媒連絡配管51とを接続する。液冷媒配管54dには、室外膨張弁34が設けられている。液冷媒配管54dと液冷媒連絡配管51との接続部には、液側閉鎖弁37aが設けられている。ガス冷媒配管54eは、流路切換弁32とガス冷媒連絡配管52とを接続する。ガス冷媒配管54eとガス冷媒連絡配管52との接続部には、ガス側閉鎖弁37bが設けられている。液側閉鎖弁37a及びガス側閉鎖弁37bは、手動で開閉される弁である。
【0038】
図2に示すように、圧縮機31は、吸入管54aから低圧の冷媒を吸入し、圧縮機構(図示せず)によって冷媒を圧縮して、圧縮した冷媒を吐出管54bに吐出する。
【0039】
圧縮機31は、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積圧縮機である。圧縮機31の圧縮機構は、圧縮機モータ31mによって駆動される。圧縮機モータ31mの回転数は、インバータにより制御可能である。
【0040】
流路切換弁32は、冷媒の流路を、第1状態と第2状態との間で切り換える機構である。流路切換弁32は、第1状態のとき、図2の流路切換弁32内の実線で示されるように、吸入管54aをガス冷媒配管54eと連通させ、吐出管54bをガス冷媒配管54cと連通させる。流路切換弁32は、第2状態のとき、図2の流路切換弁32内の破線で示されるように、吸入管54aをガス冷媒配管54cと連通させ、吐出管54bをガス冷媒配管53eと連通させる。
【0041】
流路切換弁32は、冷房運転時には、冷媒の流路を第1状態とする。このとき、圧縮機31から吐出される冷媒は、冷媒回路50内を、室外熱交換器33、室外膨張弁34、室内膨張弁23、室内熱交換器21の順に流れ、圧縮機31へと戻る。第1状態では、室外熱交換器33は凝縮器として機能し、室内熱交換器21は蒸発器として機能する。
【0042】
流路切換弁32は、暖房運転時には、冷媒の流路を第2状態とする。このとき、圧縮機31から吐出される冷媒は、冷媒回路50内を、室内熱交換器21、室内膨張弁23、室外膨張弁34、室外熱交換器33の順に流れ、圧縮機31へと戻る。第2状態では、室外熱交換器33は蒸発器として機能し、室内熱交換器21は凝縮器として機能する。
【0043】
室外熱交換器33は、室外熱交換器33を流れる冷媒と、建物BLの外の空気との間で熱交換を行わせる。室外熱交換器33は、例えば、複数の伝熱フィンと、複数の伝熱管と、を有するフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。
【0044】
室外膨張弁34は、液冷媒配管54dを流れる冷媒の圧力や流量を調節するための機構である。図2に示すように、室外膨張弁34は、液冷媒配管54dに設けられる。本実施形態では、室外膨張弁34は、開度調節が可能な電子膨張弁である。
【0045】
アキュムレータ35は、流入する冷媒を、ガス冷媒と液冷媒とに分ける気液分離機能を有する容器である。アキュムレータ35に流入する冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とに分離され、上部空間に集まるガス冷媒が、圧縮機31へと流入する。
【0046】
室外ファン36は、室外熱交換器33に、建物BLの外の空気を供給するファンである。室外ファン36は、例えば、プロペラファン等の軸流ファンである。図2に示すように、室外ファン36は、室外ファンモータ36mによって駆動される。室外ファンモータ36mの回転数は、インバータにより制御可能である。
【0047】
室外記憶部38は、RAM、ROM及びフラッシュメモリ等の記憶媒体である。室外記憶部38は、室外制御部39が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。
【0048】
室外制御部39は、CPUやGPU等のプロセッサである。図3に示すように、室外制御部39は、圧縮機モータ31m、流路切換弁32、室外膨張弁34、室外ファンモータ36m、及び室外記憶部38を含む、室外機30が有する各種機器に電気的に接続されている。室外制御部39は、室外記憶部38に記憶されているプログラムを読み出し、プログラムに従って所定の演算処理を行うことで、室外機30を構成する各部の動作を制御する。また、室外制御部39は、プログラムに従って、演算結果を室外記憶部38に書き込んだり、室外記憶部38に記憶されている情報を読み出したりすることができる。室外制御部39は、室内機20と、通信線90を介して、制御信号、計測信号、各種設定に関する信号等の各種情報のやりとりを行う。また、室外制御部39は、コントローラ40と、通信線91を介して、制御信号、計測信号、各種設定に関する信号等の各種情報のやりとりを行う。
【0049】
(2-1-3)コントローラ
コントローラ40は、1つ又は複数の冷媒系統RSを集中して制御する、いわゆるエッジと呼ばれる装置である。コントローラ40は、例えば、建物BLのサーバ室等に設置されている。図3に示すように、コントローラ40は、主として、記憶部41と、通信部44と、制御部49と、を有する。
【0050】
記憶部41は、RAM、ROM、及びHDD等の記憶装置である。記憶部41は、制御部49が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。記憶部41は、空気調和システム2を構成する、すべての室内機20の固有情報を記憶する。
【0051】
通信部44は、ネットワークNWを介して管理装置10と通信を行うためのネットワークインターフェイス機器や、通信線91を介して室外機30と通信を行うためのネットワークインターフェイス機器を含む。
【0052】
制御部49は、CPUやGPU等のプロセッサである。制御部49は、記憶部41に記憶されているプログラムを読み込んで実行し、コントローラ40の様々な機能を実現する。また、制御部49は、プログラムに従って、演算結果を記憶部41に書き込んだり、記憶部41に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0053】
制御部49は、管理装置10から受信する制御信号や、室内機20を介して操作用リモコンから受信する制御信号や、各種センサの計測信号等に基づいて、室内制御部29と室外制御部39の動作を制御する。
【0054】
制御部49は、例えば、空気調和システム2を構成する、すべての室内機20から、固有情報を取得し、記憶部41に記憶する。
【0055】
また、制御部49は、例えば、管理装置10から、ある室内機20のBLE通信情報80を要求されると、指定された室内機20にBLE通信情報80を取得させ、当該BLE通信情報80を、管理装置10に送信する。
【0056】
また、制御部49は、例えば、操作用リモコンから、室内機20を介して、冷房運転を行わせる旨の指示を受けると、流路切換弁32を、第1状態に切り換える。そして、制御部49は、室内熱交換器21内の冷媒温度が、設定温度に応じた目標冷媒温度となるように、圧縮機31の回転数、室外熱交換器33を流れる冷媒の温度、室外膨張弁34の開度、及び室内膨張弁23の開度等を調節する。
【0057】
また、制御部49は、例えば、操作用リモコンから、室内機20を介して、暖房運転を行わせる旨の指示を受けると、流路切換弁32を、第2状態に切り換える。そして、制御部49は、室内熱交換器21内の室内冷媒温度が、設定温度に応じた目標冷媒温度となるように、圧縮機31の回転数、室外熱交換器33を流れる冷媒の温度、室外膨張弁34の開度、及び室内膨張弁23の開度等を調節する。
【0058】
(2-2)管理装置
管理装置10は、クラウド上に設置されるコンピュータである。管理装置10は、空気調和システム2から収集する各種情報を用いて、空気調和システム2を管理する。なお、管理装置10は、建物BL以外の建物に設置されている空気調和システムからも各種情報を収集し、空気調和システム2を含む複数の空気調和システムを管理してもよい。
【0059】
図5は、管理装置10、及びモバイル端末60の機能ブロック図である。図5に示すように、管理装置10は、主として、記憶部11と、入力部12と、表示部13と、通信部14と、制御部19と、を有する。
【0060】
(2-2-1)記憶部
記憶部11は、RAM、ROM、及びHDD等の記憶装置である。記憶部11は、制御部19が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。記憶部11は、空気調和システム2を構成する、すべての室内機20の固有情報を記憶している。また、記憶部11は、BLE通信情報80や、後述する位置情報81、及びアドレス登録情報82を記憶している。
【0061】
(2-2-2)入力部
入力部12は、キーボード、及びマウスである。管理装置10に対する各種命令や、各種情報は、入力部12を介して入力することができる。
【0062】
管理装置10の管理者は、室内機20の設置箇所の位置情報81として、フロア内の所定の点を基準とした室内機20の設置箇所の(2次元)座標と、当該設置箇所のアドレス(地番)と、を対応付けた情報を、入力部12を介して記憶部11に記憶する。ここで、「アドレス」は、管理者が適宜決定する。以下の表2は、図4に示すように、建物BL内のフロアAに、4台の室内機20が設置された場合の位置情報81の一例である。以下、特定の設置箇所を示すために、「アドレス」を用いて、設置箇所A-1等と記載することがある。
【0063】
【表2】
【0064】
アドレス登録作業が行われる前は、例えば、設置箇所A-1に、室内機20a~20dの内、どの室内機20が設置されているか(どの固有情報を有する室内機20が設置されているか)は、不明である。
【0065】
(2-2-3)表示部
表示部13は、モニターである。表示部13には、管理装置10に各種情報を入力するための入力画面や、記憶部11に記憶された各種情報等を表示することができる。
【0066】
(2-2-4)通信部
通信部14は、ネットワークNWを介して、空気調和システム2と通信を行うためのネットワークインターフェイス機器である。
【0067】
(2-2-5)制御部
制御部19は、CPUやGPU等のプロセッサである。制御部19は、記憶部11に記憶されているプログラムを読み込んで実行し、管理装置10の様々な機能を実現する。また、制御部19は、プログラムに従って、演算結果を記憶部11に書き込んだり、記憶部11に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0068】
制御部19は、例えば、コントローラ40を介して、空気調和システム2を構成する、すべての室内機20の固有情報を取得し、記憶部11に記憶する。
【0069】
図5に示すように、制御部19は、機能ブロックとして、登録部191を有する。
【0070】
(2-2-5-1)登録部
登録部191は、アドレス登録作業を実現するための機能ブロックである。建物BL内に、室内機20が設置された直後は、管理装置10は、位置情報81により、室内機20の設置箇所を把握しているが、各設置箇所に、どの室内機20が設置されているかを把握していない。そのため、登録部191は、室内機20の設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の固有情報と、を対応付けて登録する。言い換えると、登録部191は、表2の位置情報81の各レコードに、設置されている室内機20の固有情報を追加した、アドレス登録情報82を作成する。以下の表3は、登録部191による処理が行われる前のアドレス登録情報82を示している。
【0071】
【表3】
【0072】
表3では、登録部191による処理が行われる前であるため、「MACアドレス」には、設置箇所ごとに、室内機20を特定できない旨と、設置されている室内機20の候補となるすべての室内機20a~20dと、が記憶されている。
【0073】
図6は、登録部191による処理の一例を示す図である。図6に示すように登録部191による処理は、6つの工程を有する。ここでは、図4におけるフロアAに設置された室内機20a~20dのアドレス登録作業について説明する。
【0074】
第1工程では、登録部191は、各室内機20間の距離を、推定する。制御部19は、例えば、各室内機20のBLE通信情報80を取得し、電波強度や往復時間に基づいて、各室内機20間の距離を推定する。図6の第1工程では、制御部19は、室内機20aと室内機20bとの距離を3.3mと、室内機20aと室内機20cとの距離を4.2mと、室内機20aと室内機20dとの距離を6.0mと、推定している。
【0075】
第2工程では、登録部191は、各室内機20の相対位置を推定する。制御部19は、第1工程で推定した各室内機20間の距離に基づいて、各室内機20の相対位置を推定する。
【0076】
第3工程では、登録部191は、複数の設置箇所の内の1つと、複数の室内機20の固有情報の内の1つと、を対応付けて登録する。具体的には、登録部191は、登録部191による処理が行われる前のアドレス登録情報82(表3)を、モバイル端末60に送信する。建物BL内の作業者3は、アドレス登録情報82を受信したモバイル端末60を用いて、設置箇所と、室内機20の固有情報と、の1組の対応を、管理装置10に送信する。登録部191は、モバイル端末60から、設置箇所と、室内機20の固有情報と、の1組の対応を取得すると、取得した設置箇所と、室内機20の固有情報と、を対応付けて、アドレス登録情報82に登録する。ここでは、図6の第3工程に示すように、登録部191は、モバイル端末60から、設置箇所A-1と、室内機20aと、の対応を取得し、設置箇所A-1と、室内機20aと、を対応付けて、アドレス登録情報82に登録したとする。以下の表4は、第3工程を終えた後のアドレス登録情報82を示している。
【0077】
【表4】
【0078】
第4工程では、登録部191は、室内機20の配置情報を推定する。登録部191は、座標空間上でのアフィン変換等を用いて、各設置箇所の座標と、各室内機20の位置と、をできる限り近づける。具体的には、座標空間において、第3工程で登録した、設置箇所の座標と、室内機20の位置と、を一致させ、これを基点として、他の室内機20の位置を回転等させることにより、他の設置箇所の座標と、他の室内機20の位置と、をできる限り近づける。本実施形態では、各設置箇所の座標と、各室内機20の位置と、をできる限り近づけた後の、各室内機20の位置を、室内機20の配置情報とよぶ。図6の第4工程では、登録部191は、設置箇所A-1と、室内機20aの位置と、を一致させ、室内機20aの位置を基点として、時計回りに室内機20b~20dの位置を回転させることにより、設置箇所A-2~A-4と、室内機20b~20dの位置と、をできる限り近づけている。
【0079】
第5工程では、登録部191は、推定した配置情報と、設置箇所の位置情報81と、を照合することにより、設置箇所に設置されている室内機20の候補を算出する。
【0080】
まず、登録部191は、設置箇所と室内機20との組み合わせごとに、組み合わせにおける室内機20が設置されている設置箇所と、推定した配置情報における室内機20の位置と、の間の室内機20ごとの距離の総和である第1総和を算出する。以下の表5は、設置箇所と室内機20との組み合わせを示している。
【0081】
【表5】
【0082】
例えば、組み合わせP1は、設置箇所A-1に室内機20aが、設置箇所A-2に室内機20bが、設置箇所A-3に室内機20cが、設置箇所A-4に室内機20dが、設置されている組み合わせである。第3工程において、設置箇所A-1と、室内機20aの固有情報と、を対応付けて登録しているため、設置箇所A-1の室内機20は、室内機20aに固定している。そのため、表5には、3つの室内機20b~20dの中から、3つを並べる順列により、6通りの組み合わせが示されている。表5の「第1総和」は、各組み合わせにおける、設置箇所A-1~A-4と、第4工程で推定した配置情報における室内機20a~20dの位置と、の間の室内機20ごとの距離の総和を示している。例えば、組み合わせP1の第1総和は、(設置箇所A-1と室内機20aの位置との距離)+(設置箇所A-2と室内機20bの位置との距離)+(設置箇所A-3と室内機20cの位置との距離)+(設置箇所A-4と室内機20dの位置との距離)である。「第1総和」の値が小さい組み合わせ程、全体として、各設置箇所と、各室内機20の位置と、が一致している可能性が高い。表5のレコードは、「第1総和」の昇順にソートされている。
【0083】
次に、登録部191は、第1総和が所定値より小さい組み合わせの中で、第1総和の逆数を設置箇所に出現する室内機20ごとに集約する。以下の表6は、表5から第1総和が「6(所定値)」より小さい組み合わせを抽出している。表6の「第1総和の逆数」には、「第1総和」の値の逆数が記憶されている。
【0084】
【表6】
【0085】
例えば、表6の設置箇所A-2に室内機20bが出現するレコードについて、第1総和の逆数を加算(集約)すると、集約した値は3/2(=1+1/2)である。設置箇所A-2に室内機20cが出現するレコードについて、第1総和の逆数を加算すると、集約した値は7/12(=1/3+1/4)である。設置箇所A-2に室内機20dが出現するレコードは、1つであるため、集約した値は1/5とする。
【0086】
次に、登録部191は、集約した値が大きい室内機20を、設置箇所に実際に設置されている可能性が高い室内機20とする。以下の表7は、表6において、第1総和の逆数を設置箇所に出現する室内機20ごとに集約し、集約した値の百分率を、設置箇所ごとに算出したものである。
【0087】
【表7】
【0088】
例えば、設置箇所A-2では、第1総和の逆数を、室内機20b~20dごとに集約した値は、それぞれ3/2、7/12、1/5である。そのため、これらを百分率で表すと、それぞれ66%、25%、9%となる。言い換えると、設置箇所A-2に設置されている室内機20の候補は、室内機20b~20dである。さらに言い換えると、設置箇所A-2に、室内機20bが設置されている確率は65%、室内機20cが設置されている確率は25%、室内機20dが設置されている確率は9%、とみなすことができる。図6の第5工程では、各設置箇所に、実際に設置されている可能性が高い、上位2台の室内機20を示している。
【0089】
第6工程では、登録部191は、第5工程で算出した確率に閾値を適用し、各設置箇所に対して、設置箇所に設置されている室内機20の候補の中から、設置箇所に実際に設置されている室内機20を特定できるか否かを判定する。
【0090】
具体的には、登録部191は、室内機20が設置されている確率の最大値が閾値以上である設置箇所に対して、設置箇所に設置されている室内機20の候補の中から、設置箇所に実際に設置されている室内機20を特定できると判定する。そして、登録部191は、最大の確率を有する室内機20と、その設置箇所と、を対応付けて登録する。一方、登録部191は、室内機20が設置されている確率の最大値が閾値未満である設置箇所に対して、設置箇所に設置されている室内機20の候補の中から、設置箇所に実際に設置されている室内機20を特定できないと判定する。ここでは、確率の閾値は「65%」とする。表7に示すように、設置箇所A-2では、室内機20が設置されている確率の最大値は66%であり、閾値以上であるため、登録部191は、最大の確率を有する室内機20bと、設置箇所A-2と、を対応付けて登録する。一方、設置箇所A-3,A-4では、室内機20が設置されている確率の最大値はそれぞれ53%,58%であり、閾値未満であるため、登録部191は、設置箇所A-3,A-4に設置されている室内機20の候補の中から、設置箇所A-3,A-4に実際に設置されている室内機20を特定できないと判定する。以下の表8は、判定後のアドレス登録情報82を示している。また、図6の第6工程の上側には、表8の内容が簡易的に示されている。
【0091】
【表8】
【0092】
登録部191は、ある設置箇所に対して、設置箇所に設置されている室内機20の候補の中から、設置箇所に実際に設置されている室内機20を特定できないと判定した場合、判定後のアドレス登録情報82(表8)を、モバイル端末60に送信する。建物BL内の作業者3は、アドレス登録情報82を受信したモバイル端末60を用いて、設置されている室内機20を特定できない設置箇所について、設置箇所と、室内機20の固有情報と、の1組の対応を、管理装置10に送信する。登録部191は、モバイル端末60から、設置箇所と、室内機20の固有情報と、の1組の対応を取得すると、取得した設置箇所と、室内機20の固有情報と、を対応付けて、アドレス登録情報82に登録する。登録部191は、登録を行う度に、前述のように、未登録の設置箇所に設置されている室内機20の候補を算出する。そして、登録部191は、未登録の設置箇所に実際に設置されている室内機20を特定できないと判定した場合、判定後のアドレス登録情報82を、モバイル端末60に送信する。
【0093】
なお、本実施形態では、室内機20c,20dは、設置箇所A-3,A-4に設置されている室内機20の候補であって、設置箇所A-3,A-4以外の設置箇所に設置されている室内機20の候補ではないため、例えば、登録部191は、設置箇所A-3と室内機20cとの対応を取得し、設置箇所A-3と、室内機20cの固有情報と、を対応付けて登録した時点で(設置箇所A-4と室内機20dとの対応を取得する前に)、設置箇所A-4と、室内機20dの固有情報と、を対応付けて登録してもよい。
【0094】
以下の表9は、最終的なアドレス登録情報82を示している。また、図6の第6工程の下側には、表9の内容が簡易的に示されている。
【0095】
【表9】
【0096】
(2-3)モバイル端末
モバイル端末60は、建物BL内の作業者3が携帯する端末である。モバイル端末60は、登録作業を支援する情報を、作業者3に報知する。本実施形態では、モバイル端末60は、タブレットである。しかし、これに限定されず、モバイル端末60はスマートフォン等であってもよい。図5に示すように、モバイル端末60は、主として、記憶部61と、入力部62と、表示部63と、第1通信部64aと、第2通信部64bと、制御部69と、を有する。
【0097】
記憶部61は、RAM、ROM、及びHDD等の記憶装置である。記憶部61は、制御部69が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ等を記憶する。
【0098】
入力部62は、タッチパネルである。モバイル端末60に対する各種命令や、アドレス登録作業に関する情報を含む各種情報は、入力部62を用いて入力することができる。
【0099】
表示部63は、タッチパネルである。言い換えると、タッチパネルは、入力部62と表示部63とを兼ねる。表示部63には、モバイル端末60に、アドレス登録作業に関する情報を含む各種情報を入力するための入力画面や、記憶部61に記憶された各種情報等を表示することができる。
【0100】
第1通信部64aは、ネットワークNWを介して管理装置10と通信を行うためのネットワークインターフェイス機器である。
【0101】
第2通信部64bは、BLE通信を行うためのネットワークインターフェイス機器である。第2通信部64bは、BLE通信の電磁波を送受信すると共に、受信したBLE通信の電磁波の電波強度を測定する機能を有する。
【0102】
制御部69は、CPUやGPU等のプロセッサである。制御部69は、記憶部61に記憶されているプログラムを読み込んで実行し、モバイル端末60の様々な機能を実現する。また、制御部69は、プログラムに従って、演算結果を記憶部61に書き込んだり、記憶部61に記憶されている情報を読み出したりすることができる。
【0103】
制御部69は、例えば、BLE通信により室内機20から受信した固有情報と、受信したBLE通信の電磁波の電波強度と、を対応付けた電波強度リストを、表示部63に表示する。図4の作業者3は、例えば、以下の表10のような電波強度リストを、表示部63に表示する。以下、特に断らない限り、電波強度リストは、電波強度の降順にソートされているとする。
【0104】
【表10】
【0105】
図4では、作業者3は、室内機20aの真下にいるため、作業者3から最も近い室内機20aから受信するBLE通信の電磁波の電波強度が最も強い。言い換えると、作業者3は、室内機20の真下で電波強度リストを表示し、電波強度が最も強い室内機20に着目することにより、作業者3の真上にある室内機20の固有情報を把握することができる。
【0106】
制御部69は、管理装置10から受信したアドレス登録情報82に基づいて、表示部63に、室内機20の設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の候補の固有情報と、を表示(報知)する。図7A~7Eは、アドレス登録情報82に基づいて、モバイル端末60に表示される画面の一例である。図7A~7Eでは、アドレス登録情報82の「座標」に対応して、室内機20の設置箇所の位置を示す、室内機20の画像が表示されている。また、図7A~7Eでは、アドレス登録情報82の「MACアドレス」に対応して、設置されている室内機20が特定できない設置箇所が、四角で囲まれている。
【0107】
図7A,7Bは、表3のアドレス登録情報82に基づいて表示された画面である。制御部69は、図7Aにおいて、設置箇所A-1を示す室内機20の画像が、作業者3により、入力部62を用いてタップ(選定)されると、図7Bに示すように、設置箇所A-1に設置されている室内機20の候補の固有情報を表示する。このとき、さらに設置箇所A-1を示す室内機20の画像が、作業者3により、入力部62を用いてタップされると、図7Aの状態に戻る。図7Bでは、表3のアドレス登録情報82に対応して、設置箇所A-1に設置されている室内機20の候補の固有情報として、室内機20a~20dの固有情報が表示されている。また、図7Bにおいて、作業者3により、入力部62を用いて、設置箇所に設置されている室内機20の候補の1つがタップされると、制御部69は、当該設置箇所と、タップされた室内機20の固有情報と、の対応を、管理装置10に送信する。作業者3は、例えば、設置箇所A-1の真下に移動し、作業者3の真上にある室内機20aの固有情報を把握して、設置箇所A-1に設置されている室内機20の候補の固有情報の内、室内機20aの固有情報をタップする。これにより、制御部69は、前述の第3工程に示すように、設置箇所A-1と、室内機20aの固有情報と、の対応を、管理装置10に送信する。
【0108】
図7C,7Dは、表8のアドレス登録情報82に基づいて表示された画面である。制御部69は、図7Cにおいて、設置箇所A-3を示す室内機20の画像が、作業者3により、入力部62を用いてタップされると、図7Dに示すように、設置箇所A-3に設置されている室内機20の候補の固有情報を表示する。図7Dでは、表8のアドレス登録情報82に対応して、設置箇所A-3に設置されている室内機20の候補の固有情報として、室内機20c,20dの固有情報が表示されている。作業者3は、例えば、設置箇所A-3の真下に移動し、作業者3の真上にある室内機20cの固有情報を把握して、設置箇所A-3に設置されている室内機20の候補の固有情報の内、室内機20cの固有情報をタップする。これにより、制御部69は、前述の第6工程において、例えば、設置箇所A-3と、室内機20cの固有情報と、の対応を、管理装置10に送信することができる。なお、制御部69は、図7Cにおいて、既に登録されている設置箇所A-1を示す室内機20の画像が、作業者3により、入力部62を用いてタップされると、図7Dに示すように、設置箇所A-1に登録されている室内機20aの固有情報を表示する。
【0109】
(3)処理
機器登録作業支援システム1の処理の一例を、図8A~8Dのフローチャートを用いて説明する。
【0110】
ステップS1に示すように、管理装置10は、各室内機20のBLE通信情報80を取得し、電波強度や往復時間に基づいて、各室内機20間の距離を推定する。
【0111】
ステップS1を終えると、ステップS2に示すように、管理装置10は、第1工程で推定した各室内機20間の距離に基づいて、各室内機20の相対位置を推定する。
【0112】
ステップS2を終えると、ステップS3に示すように、管理装置10は、登録部191による処理が行われる前のアドレス登録情報82を、モバイル端末60に送信する。
【0113】
ステップS3を終えると、ステップS4に示すように、モバイル端末60は、室内機20の設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の候補の固有情報と、を表示する。
【0114】
ステップS4を終えると、ステップS5に示すように、作業者3は、モバイル端末60を用いて、設置箇所と、室内機20の固有情報と、の1組の対応を、管理装置10に送信する。
【0115】
ステップS5を終えると、ステップS6に示すように、管理装置10は、モバイル端末60から、設置箇所と、室内機20の固有情報と、の1組の対応を取得すると、取得した設置箇所と、室内機20の固有情報と、を対応付けて、アドレス登録情報82に登録する。
【0116】
ステップS6を終えると、ステップS7に示すように、管理装置10は、室内機20の配置情報を推定する。
【0117】
ステップS7を終えると、ステップS8に示すように、管理装置10は、推定した配置情報と、設置箇所の位置情報81と、を照合することにより、設置箇所に設置されている室内機20の候補と、各候補が当該設置箇所に設置されている確率と、を算出する。
【0118】
ステップS8を終えると、ステップS9に示すように、管理装置10は、算出した確率に閾値を適用し、各設置箇所に対して、設置箇所に設置されている室内機20の候補の中から、設置箇所に実際に設置されている室内機20を特定できるか否かを判定する。実際に設置されている室内機20を特定できると判定した設置箇所については、管理装置10は、最大の確率を有する室内機20と、その設置箇所と、を対応付けて登録する。
【0119】
ステップS9を終えると、ステップS10に示すように、管理装置10は、すべての設置箇所について、実際に設置されている室内機20を特定できたか否かを判定する。すべての設置箇所に対して、実際に設置されている室内機20を特定できた場合、管理装置10は、処理を終了する。ある設置箇所に対して、設置箇所に設置されている室内機20の候補の中から、設置箇所に実際に設置されている室内機20を特定できないと判定した場合、ステップS11に進む。
【0120】
ステップS10からステップS11に進むと、管理装置10は、判定後のアドレス登録情報82を、モバイル端末60に送信する。
【0121】
ステップS11を終えると、ステップS12に示すように、モバイル端末60は、室内機20の設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の候補の固有情報と、を表示する。
【0122】
ステップS12を終えると、ステップS13に示すように、作業者3は、モバイル端末60を用いて、設置されている室内機20を特定できない設置箇所について、設置箇所と、室内機20の固有情報と、の1組の対応を、管理装置10に送信する。
【0123】
ステップS13を終えると、ステップS14に示すように、管理装置10は、モバイル端末60から、設置箇所と、室内機20の固有情報と、の1組の対応を取得すると、取得した設置箇所と、室内機20の固有情報と、を対応付けて、アドレス登録情報82に登録する。
【0124】
ステップS14を終えると、ステップS15に示すように、管理装置10は、未登録の設置箇所があるか否かを判定する。未登録の設置箇所がある場合、ステップS8に戻り、管理装置10は、未登録の設置箇所に設置されている室内機20の候補と、各候補が当該設置箇所に設置されている確率と、を算出する。未登録の設置箇所がない場合、管理装置10は、処理を終了する。
【0125】
(4)特徴
(4-1)
従来、建物内の複数の設置箇所に設置されている複数の機器に対して、設置箇所の位置情報と、設置箇所に設置されている機器の固有情報と、を対応付けて登録する登録作業を自動的に行う技術がある。
【0126】
しかし、従来の技術のように自動的に行われる登録作業は、すべて正確に行われることは少ない。そのため、正確性を担保するためには、作業者が機器の設置箇所に赴き、手動で登録作業を行う必要がある。このとき、作業者が無作為に設置箇所をまわって登録作業を行うと、コストや時間がかかる、という課題がある。
【0127】
本実施形態の機器登録作業支援システム1は、複数の室内機20と、管理装置10と、モバイル端末60と、を備える。複数の室内機20は、建物BL内の複数の設置箇所に設置されている。管理装置10は、設置箇所の位置情報81と、室内機20の固有情報とを記憶する。管理装置10は、室内機20と通信可能である。モバイル端末60は、登録作業を支援する情報を、作業者3に報知する。登録作業は、管理装置10に、設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の固有情報と、を対応付けて登録する作業である。室内機20は、互いにBLE通信を行うための通信部27、を有する。管理装置10は、室内機20が互いにBLE通信を行うことにより取得した電磁波に関する情報、に基づいて、室内機20の配置情報を推定する。管理装置10は、配置情報と、設置箇所の位置情報81と、を照合することにより、設置箇所に設置されている室内機20の候補を算出する。管理装置10が、設置箇所に設置されている室内機20の候補の中から、設置箇所に実際に設置されている室内機20を特定できないと判定した場合、モバイル端末60は、設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の候補の固有情報と、を報知する。
【0128】
本実施形態の機器登録作業支援システム1では、管理装置10が、設置箇所に設置されている室内機20の候補の中から、設置箇所に実際に設置されている室内機20を特定できないと判定した場合、モバイル端末60は、設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の候補の固有情報と、を報知する。その結果、作業者3は、特定できない設置箇所についてのみ登録作業を行うことにより、効率的に登録作業を行うことができ、登録作業にかかるコストや時間を削減することができる。
【0129】
(4-2)
本実施形態の機器登録作業支援システム1では、設置箇所は、第1箇所と、第1箇所とは異なる第2箇所と、を含む。モバイル端末60は、入力部62を有する。入力部62は、登録作業に関する情報を入力する。管理装置10が第1箇所及び第2箇所に実際に設置されている室内機20を特定できないと判定した場合、入力部62を用いて、第1箇所の位置情報81と、第1箇所に設置されている室内機20の固有情報と、が対応付けて登録されると、管理装置10は、第2箇所に設置されている室内機20の候補を再度算出する。管理装置10が、第2箇所に実際に設置されている室内機20を特定できないと判定した場合、モバイル端末60は、第2箇所の位置情報81と、第2箇所に設置されている室内機20の候補の固有情報と、を報知する。
【0130】
その結果、作業者3は、室内機20を登録する度に、最新の、設置されている室内機20が特定できない設置箇所や、設置箇所に設置されている室内機20の候補、を把握することができる。
【0131】
(4-3)
本実施形態の機器登録作業支援システム1では、設置箇所は、第1箇所と、第1箇所とは異なる第2箇所と、を含む。室内機20は、第1機器と、第1機器とは異なる第2機器と、を含む。モバイル端末60は、入力部62を有する。入力部62は、登録作業に関する情報を入力する。第1機器及び第2機器が、第1箇所及び第2箇所に設置されている室内機20の候補であって、第1箇所及び第2箇所以外の設置箇所に設置されている室内機20の候補ではない場合、入力部62を用いて、第1箇所の位置情報81と、第1機器の固有情報と、が対応付けて登録されると、管理装置10は、第2箇所の位置情報81と、第2機器の固有情報と、を対応付けて登録する。
【0132】
その結果、作業者3は、設置箇所と、室内機20の固有情報と、を対応付けて登録する手間を省くことができる。
【0133】
(4-4)
本実施形態の機器登録作業支援システム1では、モバイル端末60は、表示部63を有する。表示部63は、登録作業に関する情報を表示する。表示部63は、設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の候補の固有情報と、を表示する。
【0134】
(4-5)
本実施形態の機器登録作業支援システム1では、表示部63に表示される設置箇所の位置情報81は、設置箇所の位置を示す画像を含む。画像が、入力部62を用いて選択されると、表示部63は、設置箇所に設置されている室内機20の候補の固有情報を表示する。
【0135】
その結果、機器登録作業支援システム1は、設置箇所の位置を示す画像が比較的多い場合であっても、室内機20の候補の固有情報によって、画像が見えなくなることを防止することができる。
【0136】
(4-6)
本実施形態の機器登録作業支援システム1では、管理装置10は、入力部62を用いて、表示部63における設置箇所に設置されている室内機20の候補の1つが選択されると、設置箇所の位置情報81と、選択された室内機20の固有情報と、を対応付けて登録する。
【0137】
(4-7)
本実施形態の機器登録作業支援システム1では、管理装置10は、設置箇所と室内機20との組み合わせごとに、組み合わせにおける室内機20が設置されている設置箇所と、推定した配置情報における室内機20の位置と、の間の室内機20ごとの距離の総和である第1総和を算出する。管理装置10は、第1総和が所定値より小さい組み合わせの中で、第1総和の逆数を設置箇所に出現する室内機20ごとに集約する。管理装置10は、集約した値が大きい室内機20を、設置箇所に実際に設置されている可能性が高い室内機20とする。
【0138】
(5)変形例
(5-1)変形例1A
本実施形態では、機器登録作業支援システム1によって選定される機器は、空気調和システム2を構成する室内機20であった。しかし、機器は、室内機20に限定されず、本実施形態の室内機20と同様の通信機能を有する、IoT機器等の通信機器であってもよい。
【0139】
(5-2)変形例1B
本実施形態では、アドレス登録作業は、登録部191等の機能を有する管理装置10によって実行された。しかし、アドレス登録作業は、管理装置10の代わりに、管理装置10と同様の機能を備えたコントローラ40によって実行されてもよい。
【0140】
(5-3)変形例1C
本実施形態では、モバイル端末60は、表示部63に表示することにより、室内機20の設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の候補の固有情報と、を作業者3に報知した。
【0141】
しかし、モバイル端末60は、音声によって、室内機20の設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の候補の固有情報と、を報知してもよい。
【0142】
(5-4)変形例1D
本実施形態では、管理装置10が、設置箇所に実際に設置されている室内機20を特定できないと判定した場合、管理装置10は、特定できない設置箇所については、室内機20の登録を行わずに、判定後のアドレス登録情報82を、モバイル端末60に送信した。モバイル端末60は、設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の候補の固有情報と、を表示した。
【0143】
しかし、管理装置10が、設置箇所に実際に設置されている室内機20を特定できないと判定した場合、管理装置10は、特定できない設置箇所についても、設置箇所の位置情報と、設置箇所に設置されている室内機20の候補の内の1つと、を対応付けて登録するし、判定後のアドレス登録情報82を、モバイル端末60に送信してもよい。その後、モバイル端末60は、設置箇所の位置情報81と、設置箇所に設置されている室内機20の候補の固有情報と、を表示する。
【0144】
管理装置10は、特定できない設置箇所について、例えば、設置箇所の位置情報と、設置箇所に設置されている室内機20の候補の内、設置されている確率が最大の室内機20と、を対応付けて登録する。例えば、表7において、管理装置10は、設置箇所A-3と、設置されている確率が最大(53%)の室内機20cと、を対応付けて登録する。このとき、モバイル端末60は、例えば、図7Cに示すように、設置箇所A-3を四角で囲んで表示する。図7Cにおいて、設置箇所A-3を示す室内機20の画像が、作業者3により、入力部62を用いてタップされると、モバイル端末60は、図7Eに示すように、設置箇所A-3に登録されている室内機20cの固有情報を表示する。この場合、設置箇所A-3に設置されている室内機20の候補の固有情報は、1つしか表示されないが、作業者3は、例えば、設置箇所A-3に正しく室内機20cが設置されていることを確認するために、設置箇所A-3の真下に移動し、電波強度リストを表示させる。
【0145】
(5-5)
本実施形態では、作業者3は、電波強度リストによって、設置箇所に設置されている室内機20の固有情報を把握した。しかし、作業者3は、室内機20の固有情報を指定して、室内機20を操作可能なアプリケーションをインストールしたモバイル端末60を用いて、室内機20の固有情報を把握してもよい。モバイル端末60は、別途、管理装置10から、すべての室内機20の固有情報を取得しておく。
【0146】
作業者3は、例えば、ある室内機20の固有情報を指定して、当該室内機20に送風運転を行わせる。作業者3は、送風運転を行っている室内機20の設置箇所を、目視で確認することにより、当該設置箇所に設置されている室内機20の固有情報を把握することができる。
【0147】
(5-6)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0148】
1 機器登録作業支援システム
3 作業者
10 管理装置
20 室内機(機器)
27 通信部
60 モバイル端末(報知装置)
62 入力部
63 表示部
81 位置情報
BL 建物
【先行技術文献】
【特許文献】
【0149】
【文献】特開2009-192149号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D